特許第6272316号(P6272316)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6272316
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】バルブのための油圧機構
(51)【国際特許分類】
   F16K 7/17 20060101AFI20180122BHJP
   F16K 31/165 20060101ALI20180122BHJP
   F16K 31/163 20060101ALI20180122BHJP
   F16K 1/00 20060101ALI20180122BHJP
【FI】
   F16K7/17 A
   F16K31/165
   F16K31/163
   F16K1/00 E
【請求項の数】18
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-517325(P2015-517325)
(86)(22)【出願日】2013年6月10日
(65)【公表番号】特表2015-519528(P2015-519528A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】US2013044910
(87)【国際公開番号】WO2013188263
(87)【国際公開日】20131219
【審査請求日】2016年4月15日
(31)【優先権主張番号】13/523,696
(32)【優先日】2012年6月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591055436
【氏名又は名称】フィッシャー コントロールズ インターナショナル リミテッド ライアビリティー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100123319
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175190
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 裕明
(72)【発明者】
【氏名】ミューシ,モーゼ アレハンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ベスマン,ジョン カール
【審査官】 山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−140223(JP,A)
【文献】 特開平9−229213(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0253100(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 7/17
F16K 1/00−1/54
F16K 31/32−31/165
F16K 31/36−31/42
F15B 1/00−7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向軸に沿って延伸する第一の端部および第二の端部を有し、前記縦方向軸に沿って動くように構成されたバルブステムと、
前記バルブステムの前記第一の端部に連結されており、第一の領域を画定する外周囲を有する第一のピストン部材と、
ダイヤフラムに係合するように構成された圧縮部材と、
前記圧縮部材に連結されており、第二の領域を画定する外周囲を有する第二のピストン部材と、
一以上の内面によって画定された第一のボアを有する第一の室であって、前記第一のピストン部材が前記第一の室と相対的に前記第一のボア内において縦方向に移動可能なように、前記第一のボアが前記第一のピストン部材を受け入れるように構成されており、前記第一のピストン部材の底部、および前記第一のボアを画定する前記一以上の内面が、第一の内部容積を少なくとも部分的に画定するように、前記第一のピストン部材が前記第一のボアを画定する前記一以上の内面に密封的に係合する、第一の室と、
一以上の内面によって画定された第二のボアを有する第二の室であって、前記第二のピストン部材が前記第二の室と相対的に前記第二のボア内において縦方向に移動可能なように、前記第二のボアが前記第二のピストン部材を受け入れるように構成されており、前記第二のピストン部材の上部、および前記第二のボアを画定する前記一以上の内面が第二の内部容積を少なくとも部分的に画定するように、前記第二のピストン部材が前記第二のボアを画定する前記一以上の内面に密封的に係合する、第二の室と、
前記第一の内部容積と前記第二の内部容積とが流体連絡するように、前記第一の室および前記第二の室から延伸する導管部と、
前記第一の内部容積、前記導管部および前記第二の内部容積内に配置された油圧流体であって、これにより前記第一の室と相対的な前記第一のピストン部材の下向きの移動によって、前記油圧流体の一部分が前記第二のピストン部材の前記上部に圧力を与えて、前記第二のピストン部材を下向きに動かす、油圧流体と
前記圧縮部材を前記第一のピストン部材の方に付勢し、これにより前記第一のピストン部材が前記第一の室と相対的に上向きに動かされたときに、前記第二のピストン部材が前記第一のピストン部材の方に動かされて、前記第一のピストン部材の前記底部と前記油圧流体との接触を維持する弾性部材と
を備えた、バルブアセンブリ。
【請求項2】
前記第二のピストン部材の前記第二の領域が、前記第一のピストン部材の前記第一の領域よりも大きい、請求項1に記載のバルブアセンブリ。
【請求項3】
前記第二の領域が前記第一の領域よりも1.5〜10倍大きい、前記請求項のいずれか1項に記載のバルブアセンブリ。
【請求項4】
前記第二のピストン部材が前記圧縮部材の上部に連結し、前記圧縮部材の底部が前記ダイヤフラムに係合するように構成された、前記請求項のいずれか1項に記載のバルブアセンブリ。
【請求項5】
前記第一の室、前記第二の室、前記第一のピストン部材、および前記第二のピストン部材の各々が、円形断面形状を有する、前記請求項のいずれか1項に記載のバルブアセンブリ。
【請求項6】
前記第一の室、前記第二の室、前記第一のピストン部材、前記第二のピストン部材、および前記バルブステムの各々が、前記縦方向軸と同軸上に位置合わせされた、前記請求項のいずれか1項に記載のバルブアセンブリ。
【請求項7】
前記導管部が、前記第一の室の底部と前記第二の室の上部との間に配置された、前記請求項のいずれか1項に記載のバルブアセンブリ。
【請求項8】
第一のOリングが、前記第一のピストン部材の周囲に配置され、前記第一の室の前記ボアを画定する前記一以上の内面に密封的に係合し、第二のOリングが、前記第二のピストン部材の周囲に配置され、前記第二の室の前記ボアを画定する前記一以上の内面に密封的に係合する、前記請求項のいずれか1項に記載のバルブアセンブリ。
【請求項9】
前記第一のボアが前記縦方向軸に沿って延伸し、前記第二のボアが前記縦方向軸に沿って延伸する、前記請求項のいずれか1項に記載のバルブアセンブリ。
【請求項10】
バルブステムの第一の端部に連結されており、第一の室の第一のボア内に移動可能に配置され、第一の領域を画定する外周囲を有する第一のピストン部材と、
バルブ閉鎖要素に連結されており、第二の室の第二のボア内に移動可能に配置され、第二の領域を画定する外周囲を有する第二のピストン部材と
前記第二のピストン部材に連結されており、ダイヤフラムに係合するように構成された圧縮部材と
前記圧縮部材を前記第一のピストン部材の方に付勢し、これにより前記第一のピストン部材が前記第一の室と相対的に上向きに動かされたときに、前記第二のピストン部材が前記第一のピストン部材の方に動かされて、前記第一のピストン部材の底部と油圧流体との接触を維持する弾性部材と
を備えており、
前記第一の室と相対的な前記第一のピストン部材の縦方向の移動によって、前記第二のピストン部材が縦方向に動き、前記バルブ閉鎖要素が弁座に密封的に係合して、バルブ入口からバルブ出口への流れを防ぐように、前記第一の室の密封された容積内に配置された前記油圧流体が前記第二のピストン部材に作用し、
前記第二の領域が前記第一の領域よりも大きく、これにより前記第二のピストン部材によって与えられた下向きの力が、前記第一のピストン部材によって与えられた下向きの力よりも大きい、バルブアセンブリ。
【請求項11】
前記第一のピストン部材が、前記第一のボアを画定する前記第一の室の内面に密封的に係合し、前記第二のピストン部材が、前記第二のボアを画定する前記第二の室の内面に密封的に係合する、請求項10に記載のバルブアセンブリ。
【請求項12】
前記バルブステムの第二の端部がバルブアクチュエータに連結された、前記請求項のいずれか1項に記載のバルブアセンブリ。
【請求項13】
前記第一の室、前記第二の室、前記第一のピストン部材、および前記第二のピストン部材の各々が、円形断面形状を有する、前記請求項のいずれか1項に記載のバルブアセンブリ。
【請求項14】
前記第一の室、前記第二の室、前記第一のピストン部材、および前記第二のピストン部材の各々が、縦方向軸と同軸上に位置合わせされた、前記請求項のいずれか1項に記載のバルブアセンブリ。
【請求項15】
前記第一の室の前記密封された容積が前記第二の室の密封された容積と流体連絡するように、導管部が前記第一の室と前記第二の室とに連結し、前記第二の室の前記密封された容積内の前記油圧流体が、前記第二のピストン部材を縦方向に動かすように前記第二のピストン部材に作用する、前記請求項のいずれか1項に記載のバルブアセンブリ。
【請求項16】
前記第二のピストン部材が、前記バルブ閉鎖部材として作用するダイヤフラムに連結された、前記請求項のいずれか1項に記載のバルブアセンブリ。
【請求項17】
前記第二のピストン部材が圧縮部材の上部に連結し、前記圧縮部材の底部が前記ダイヤフラムに係合する、前記請求項のいずれか1項に記載のバルブアセンブリ。
【請求項18】
制御バルブを閉鎖する方法であって、
バルブステムに連結されたダイヤフラムに流体によって力を加えることによって、前記バルブステムを下向きに動かすことと、
前記バルブステムの前記下向きの移動によって、前記バルブステムに連結された第一のピストン部材を下向きに動かすことと、
前記第一のピストン部材の前記下向きの移動によって油圧流体に圧力を加えることと、これにより前記油圧流体が前記圧力を第二のピストン部材に伝達して前記第二のピストン部材を下向きに動かし、前記第二のピストン部材が前記第一のピストン部材よりも大きい領域を有し、これにより前記第二のピストン部材にかかる下向きの力が、前記第一のピストン部材に作用する下向きの力よりも大きいことと、
前記第二のピストン部材に連結されたバルブ閉鎖部材を下向きに動かすことによって、前記バルブ閉鎖部材を弁座に密封的に係合することと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的にバルブに関し、より詳細には、衛生制御バルブを作動させるための油圧機構に関する。
【背景技術】
【0002】
衛生制御バルブは、一般的に洗浄または無菌処理を必要とするバイオテクノロジーおよび薬学的用途に使用される。標準的な衛生制御バルブは、アクチュエータ部および制御部を含む。アクチュエータ部は、縦に配列されたアクチュエータステムに連結されたアクチュエータダイヤフラムを含み、作動室内に導き入れられた圧縮流体が、ダイヤフラムに作用して作動ステムをその軸に沿って動かす。
【0003】
アクチュエータステムが下向きに動かされると、アクチュエータステムの遠位端が、そこに旋回可能に固定された一対の係合アームを有する結合本体に係合し、それによって、アクチュエータステムが係合アームを旋回させると、係合アームが外側に動く。各係合アームの遠位端に配置されたローラが、圧縮板を下向きに動かすような下向きの力を圧縮板に対して与える。係合アームが結合本体に旋回可能に連結されているため、アームは、圧縮板の上面に加えられる下向きの力を増大するレバーとして作用する。圧縮板は制御ダイヤフラムに係合する底部表面を有し、圧縮板の下向きの移動によって、制御ダイヤフラムの一部分が弁座に係合することによって、バルブ入口からバルブ出口への流れを防ぐ。その後、アクチュエータステムが上向きに動かされると、バネが、制御ダイヤフラムが弁座と縦方向に間隔をあけるように圧縮板を上向きに付勢する。それによって、バルブ入口からバルブ出口への流れを可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのような構成では、圧縮板の上部に堆積した破片またはくずが、ローラが圧縮板に係合するときに、長期にわたって圧縮板および/またはローラを損傷することがある。そのような損傷は、圧縮板に与えられる力の増大を大幅に低減することがあり、対応してダイヤフラムの密封性を低減することがある。加えて、結合本体アセンブリが多数の可動部品を有し、損傷および損耗した部分の保守および交換によって、バルブの点検にかかる費用および時間が増大する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
バルブアセンブリはバルブステムを含み、これは縦方向軸に沿って延伸する第一の端部および第二の端部を有し、縦方向軸に沿って動くように構成される。バルブアセンブリは、バルブステムの第一の端部に連結された第一のピストン部材をさらに含む。第一のピストン部材は、第一の領域を画定する外周囲を有する。バルブアセンブリは、加えて、圧縮部材を含み、これは圧縮部材に連結されたダイヤフラムおよび第二のピストン部材に係合するように構成されている。第二のピストン部材は第二の領域を画定する外周囲を有する。第一のピストン部材と第二のピストン部材とは、縦方向に分離して位置することができる。バルブアセンブリは、加えて、一以上の内面によって画定された第一のボアを有する第一の室を含む。第一のボアは、第一のピストン部材が第一の室と相対的に第一のボア内において縦方向に移動可能なように、第一のピストン部材を受け入れるように構成される。第一のピストン部材は、第一のピストン部材の底部、および第一のボアを画定する一以上の内面が、第一の内部容積を少なくとも部分的に画定するように、第一のボアを画定する一以上の内面に密封的に係合する。バルブアセンブリは、加えて、縦方向軸に沿って延伸し、かつ一以上の内面によって画定された第二のボアを有する第二の室を含む。第二の
ボアは、第二のピストン部材が第二の室と相対的に第二のボア内において縦方向に移動可能なように、第二のピストン部材を受け入れるように構成される。第二のピストン部材は、第二のピストン部材の上部、および第二のボアを画定する一以上の内面が、第二の内部容積を少なくとも部分的に画定するように、第二のボアを画定する一以上の内面に密封的に係合する。導管部が、第一の内部容積と第二の内部容積とが流体連絡するように第一の室から第二の室に延伸する。油圧流体が第一の内部容積、導管部および第二の内部容積内に配置され、これにより第一の室と相対的な第一のピストン部材の下向きの移動によって、油圧流体が第二のピストン部材の上部に圧力を与えて、第二のピストン部材を下向きに動かす。
【0006】
バルブアセンブリは、バルブステムの第一の端部に連結された第一のピストン部材も含むことができる。第一のピストン部材は、第一の室の第一のボア内に移動可能に配置できる。第一のピストン部材は、第一の領域を画定する外周囲を有することができる。バルブアセンブリは、バルブ閉鎖要素に連結された第二のピストン部材も含むことができる。第二のピストン部材は、第二の室の第二のボア内に移動可能に配置できる。第二のピストン部材は、第二の領域を画定する外周囲を有することができる。このような構成では、第一の室と相対的な第一のピストン部材の縦方向の移動によって、第一の室の密封された容積内に配置された油圧流体が第二のピストン部材に作用する。これにより第二のピストン部材が縦方向に動き、バルブ閉鎖要素が弁座に密封的に係合して、バルブ入口からバルブ出口への流れを防ぐ。加えて、第二の領域が第一の領域よりも大きく、これにより第二のピストン部材によって与えられた下向きの力が、第一のピストン部材によって与えられた下向きの力よりも大きくなる。
【0007】
加えて、制御バルブを作動させる方法は、第一のピストン部材をバルブアクチュエータに連結することと、第一のピストン部材を第一の室の第一のボア内において移動可能に配置することと、を含む。方法は、第二のピストン部材をバルブ閉鎖要素に連結することと、第二のピストン部材を第二の室の第二のボア内において移動可能に配置することと、をさらに含む。第一の室の第一のボアの一部分は、第二の室の第二のボアの一部分と流体的に連結されており、これにより第一のピストン部材の移動によって、流体が第二のピストン部材に作用する。それによって、バルブ閉鎖要素を弁座に密封的に係合させる第二のピストン部材の対応する移動が生じ、バルブ入口からバルブ出口への流れを防ぐ。方法は、第二のピストン部材に作用する力が、第一のピストン部材に作用する力よりも大きくなるように、第一のピストン部材および第二のピストン部材をサイズ調整することも含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】閉鎖位置におけるバルブを示す、バルブアセンブリの実施形態の断面正面図である。簡潔さのためにバルブアクチュエータは省略する。
図1B】バルブアクチュエータを含む、図1Aに図示する実施形態の断面正面図である。
図1C】開放位置におけるバルブを備えた図1Aに図示する実施形態の部分断面正面図である。
図2A】次は、バルブが閉鎖位置にあるときのバルブアセンブリの第一の室および第二の室の部分断面正面図である。簡潔さのためにダイヤフラム、バルブ本体およびボンネットは省略する。
図2B】次は、バルブが開放位置にあるときのバルブアセンブリの第一の室および第二の室の部分断面正面図である。簡潔さのためにダイヤフラム、バルブ本体およびボンネットは省略する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1Aに図示するように、バルブアセンブリ10はバルブステム12を含み、バルブス
テム12は第一の端部14および第二の端部16を有し、縦方向軸18に沿って延伸し、そして縦方向軸18に沿って動くように構成される。バルブアセンブリ10は、バルブステム12の第一の端部14に連結された第一のピストン部材20をさらに含む。第一のピストン部材20は、第一の領域A1を画定する外周囲22を有する。バルブアセンブリ10は、加えて、圧縮部材24を含み、これは、圧縮部材24に連結されたダイヤフラム26および第二のピストン部材28に係合するように構成されている。第二のピストン部材28は、第二の領域A2を画定する外周囲30を有する。図2Aおよび図2Bを参照するように、バルブアセンブリ10は、加えて、一以上の内面36によって画定された第一のボア34を有する第一の室32を含む。第一のボア34は、第一のピストン部材20が第一の室32と相対的に第一のボア34内において縦方向に移動可能なように、第一のピストン部材20を受け入れるように構成される。第一のピストン部材20は、第一のピストン部材20の底部38、および第一のボア34を画定する一以上の内面36が、第一の内部容積40を少なくとも部分的に画定するように、第一のボア34を画定する一以上の内面36に密封的に係合する。
【0010】
図2Aおよび図2Bをなおも参照するように、バルブアセンブリ10は、加えて、一以上の内面46によって画定された第二のボア44を有する第二の室42を含む。第二のボア44は、第二のピストン部材28が第二の室42と相対的に第二のボア44内において縦方向に移動可能なように、第二のピストン部材28を受け入れるように構成される。第二のピストン部材28は、第二のピストン部材28の上部48、および第二のボア44を画定する一以上の内面46が、第二の内部容積50を少なくとも部分的に画定するように、第二のボア44を画定する一以上の内面46に密封的に係合する。導管部52が、第一の内部容積40と第二の内部容積50とが流体連絡するように第一の室32から第二の室42に延伸する。油圧流体54が、第一の内部容積40、導管部52および第二の内部容積50内に配置され、これにより第一の室32と相対的な第一のピストン部材20の下向きの移動によって、油圧流体54の一部が第二のピストン部材28の上部48に圧力を与えて、第二のピストン部材28を下向きに動かす。油圧流体54は、食品用の油圧オイルなどの任意の適切な油圧液体でもよい。
【0011】
このような構成では、衛生バルブアセンブリ10は、パックレスであり、可動部品が従来の衛生バルブよりも少ない。加えて、圧力を受けた油圧流体によって、第二のピストン部材28がバルブアセンブリ10を開閉するようにダイヤフラム26を動かすため、バルブコンポーネント内部の破片またはくずがバルブ性能に影響を与えることがない。それ故に、開示したバルブアセンブリ10は、従来のバルブよりも運転および保守費用が低く、その上、一定かつ正確な閉鎖力をもたらし、かつ運用年数がより長くなる。
【0012】
バルブアセンブリ10をより詳細に参照すると、図1Aに図示するように、バルブアセンブリ10は、バルブ本体56およびバルブ本体56の上部に連結されたボンネット58を含む。バルブ本体56は、入口59および出口60ならびにそれらの間を延伸する通路62を含む。入口59は水平に配置してもよく、出口60は垂直に配置してもよい。本明細書に使用するような「水平」という用語は、図1Aの基準座標系におけるX軸と平行またはそれと同軸上の方向を指し、「垂直」という用語は、図1Aの基準座標系におけるY軸と平行またはそれと同軸上の方向を指す。代替的な実施形態では、入口59および出口60は、任意の適切な方位を有することができる。例えば、入口59および出口60は、共に水平に配置してもよい。出口60と入口59とが交わるところに形成された出口60の周囲縁が、弁座64を形成できる。円形ボンネット開口部66を、バルブ本体56の弁座64と対向して配置でき、ボンネット58を、ボンネット開口部66を覆うようにバルブ本体56に固定できる。ボンネット58は、ボンネット58がバルブ本体56に隣接した第一の端部68および第一の端部68と反対側の第二の端部70を有することができるように、縦方向軸18に沿って延伸できる。ボンネット58は、一以上の内面によって画
定できる中空内部72を有することができる。例えば、ボンネット58は、内部72が円筒形内壁74によって画定されるように、縦方向軸18の周りに対称的にまたは略対称的に形成できる。このような構成では、ボンネット58は、円筒形内壁74によって部分的に画定された中空内部72に開放された第一の端部68を持つ、シリンダの概略の形状を有する。ボンネット58は、第二の端部70に隣接した上部76を有することができる。上部76は、バルブステム12を摺動自在に受け入れるように構成されたステム開口部78を含むことができる。それ故に、ステム開口部78は、バルブステム12の断面形状に略対応する形状を有することができる。例えば、ステム開口部78は、円形断面形状を有するバルブステム12を受け入れるような円形状を有することができる。ステム開口部78は、図1Aに図示するように、上壁部80または上壁部80から上向きに突出するステム突出部82に形成できる。加えて、Oリングなどのシール(図示せず)を、ステム開口部78にまたはそこに隣接して配置し、ステム12を密封係合して、破片がステム開口部78を通じてボンネット58の内部78に入ることを防ぐことができる。
【0013】
図1Bを参照するように、バルブアセンブリ10のステム12は、バルブアクチュエータアセンブリ84に連結できる。バルブアクチュエータアセンブリ84は、上方アクチュエータケーシング86および上方アクチュエータケーシング86に連結された下方アクチュエータケーシング88を有することができる。下方アクチュエータケーシング88は、その内部にコイルバネ92を少なくとも部分的に配置するバネ凹部90を含むことができ、この配置ではコイルバネ92の下部がバネ凹部90の底部に接触する。アクチュエータダイヤフラム94を、上方アクチュエータケーシング86と下方アクチュエータケーシング88との間に配置できる。バルブアクチュエータアセンブリ84は、アクチュエータダイヤフラム94と下方アクチュエータケーシング88との間に配置されたダイヤフラム板96も含む。アクチュエータダイヤフラム94の下面97は、ダイヤフラム板96の上面98に係合する。アクチュエータステム99は、アクチュエータステム99がダイヤフラム板96の底部表面100から下向きに延伸する(すなわち、図1Bの基準座標系のY軸と反対の方向に延伸する)ように、ダイヤフラム板96に連結できる。コイルバネ92は、コイルバネ92がアクチュエータステム99の上部を取り巻くように、アクチュエータステム99と同軸上に位置合わせできる。このような構成では、コイルバネ92の上部はダイヤフラム板96の底部表面100に係合し、これによりコイルバネ92はダイヤフラム板96を上向きの方向(すなわち、図1Bの基準座標系のY軸の方向)に付勢できる。アクチュエータステム99の底部は、バルブステム12の第二の端部16に連結し、これによりダイヤフラム板96の垂直移動によって、バルブステム12が対応して垂直移動できる。
【0014】
図1Bをなおも参照するように、ヨーク部102を、バルブアセンブリ10とバルブアクチュエータアセンブリ84との間に配置できる。より具体的には、ヨーク部102は、第一の端部104および第一の端部104と縦方向の反対側に位置する第二の端部106を含むことができる。ヨーク部102の第一の端部104は、ボンネット58の上壁部80に固定され、ヨーク部102の第二の端部106は、下方アクチュエータケーシング88の外部に固定できる。
【0015】
図1Aおよび図1Bを参照するように、バルブアセンブリ10のバルブステム12は、縦方向軸18に沿って延伸し、第一の端部14および第一の端部14と縦方向の反対側に位置する第二の端部16を含む。先に記載したように、バルブステム12の第二の端部16は、ダイヤフラム板96の垂直移動によってバルブステム12が縦方向軸18に沿って対応して移動するように、アクチュエータステム99の底部に連結できる。図2Aに図示するように(類似の図2Bは、簡潔さのためにバルブ本体56、ダイヤフラム26およびボンネット58を省略している)、第一のピストン部材20はバルブステム12の第一の端部14に連結でき、第一のピストン部材20の外周囲22が第一の領域A1を画定でき
る。外周囲22は、縦方向軸18に沿う方向から見たときに、第一のピストン部材20の外縁によって画定できる。外周囲22は、任意の適切な形状を有することができる。一実施形態では、第一のピストン部材20は、バルブステム12の第一の端部14に隣接して配置された上部108を有し、上部108と反対側に配置された底部38を備えた円盤の形状(すなわち、円筒形状)を有することができる。上部108および底部38の各々は、平面から成ることができる。あるいは、上部108および底部38の一つまたは両方は、輪郭に合わせてまたは部分的に輪郭に合わせて形成できる。側部110が、上部108と底部38との間を延伸できる。側部110は、円筒形または略円筒形状を有することができる。このような構成では、側部110と底部38との交点によって形成される円形縁が、第一のピストン部材20の外周囲22を形成できる。この例では、第一のピストン部材20の外周囲22によって画定される第一の領域A1は、π(R1)であり得る。ここで、R1は、円形外周囲22の半径である。円形外周囲22の半径R1は、第一の室32の第一のボア34の円筒形内面36の半径よりも若干短くてもよい。
【0016】
第一のピストン部材20は、任意の適切な様式でバルブステム12の第一の端部14に連結できる。例えば、バルブステム12の第一の端部14は、第一のピストン部材20に直接的または間接的に機械的に留めることができる。より具体的には、図2Aに図示するように、バルブステム12の第一の端部14は、ねじ山を付けることができる。ねじ山を付けられた第一の端部14は、第一のピストン部材20の上部108から上向きに延伸する突出部112内に配置された対応するねじ山を付けたボアにねじ山により係合できる。あるいは、個々の留め部材が、バルブステム12の第一の端部14を第一のピストン部材20に固定できる。または、バルブステム12の第一の端部14を、第一のピストン部材20に直接的または間接的に溶接できる。加えて、シール114が第一のピストン部材20の周囲に固定されて、図2Aに図示するように、第一のピストン部材20が第一のボア34の内部に配置されているときに、第一のピストン部材20の側部110と第一の室32の内面36との間を流体が流れることを防ぐ。例えば、シール114はOリングでもよい。Oリングは、第一のピストン部材20の側部110に形成された円周溝(図示せず)に少なくとも部分的に配置できる。単一シール114の代わりに、二つ以上のシール114を使用してもよい。
【0017】
図2Aを参照するように、バルブアセンブリ10は、第一の室32も含む。第一の室32は、縦方向軸18に沿って延伸する第一のボア34を含む。第一の室32は、一以上の内面が第一のボア34を画定するような任意の適切な形状を有することができる。例えば、第一の室32は、全体的に円筒形状を有することができる。第一の室32は、円筒形外面118および円筒形内面36を含む側壁116を含むことができる。内面36は、第一のボア34を画定できる。側壁116は、剛性を保持し、以下により詳細に記載する様式で、第一のピストン部材20および第二のピストン部材28が油圧流体54に圧力をかけるときに実質的に変形しない任意の適切な厚さを有することができる。円筒形内面36の縦方向軸は、縦方向軸18に沿って延伸できる。円筒形内面36の縦方向軸は、縦方向軸18と同軸上に位置合わせしてもよい。上部壁120が、第一の室32の第一の端部122にまたはそこに隣接して配置できる。上部壁120は、平面または略平面でもよい。ステムアパーチャ124が、上部壁120を貫いて延伸できる。ステムアパーチャ124は、ステム12よりも若干大きい外形寸法に形成できる。ステムアパーチャ124は、ステム12に略対応した形状に形成できる。例えば、ステム12が円形断面を有する場合には、ステムアパーチャ124も円形を有することができる。ステムアパーチャ124の縦方向軸は、縦方向軸18と同軸上に位置合わせしてもよい。第一のピストン部材20が第一のボア34の内部に配置されているときに、ステム12は、ステム12の第二の端部16が第一のボア34(および、第一の室32)の外側に配置されるように、ステムアパーチャ124を貫いて延伸できる。
【0018】
図2Aをなおも参照するように、底壁126が、第一の室32の第二の端部128にまたはそこに隣接して配置できる。底壁126は、平面または略平面でもよい。第一の導管アパーチャ130が、上部壁120を貫いて延伸できる。第一の導管アパーチャ130は、任意の適切な形状を有することができる。例えば、第一の導管アパーチャ130は、円形の形状を有してもよい。第一の導管アパーチャ130の直径は、第一のピストン部材20の外周囲22の直径よりも短くてもよい。底壁の厚さは、側壁116の厚さに一致または略一致してもよい。
【0019】
第一の室32は、ボンネット58に固定できる。第一の室32は、任意の適切な様式または任意の適切な方位においてボンネット58に連結できる。例えば、第一の室32は、第一の室32の上部壁120の外面が、ボンネット58の上壁部80の内面に隣接またはそれと接触できるように、ボンネット58に固定できる。第一の室32は、例えば、機械的締め付け、溶接または接着剤によってボンネット58に固定できる。第一の室32は、ステンレス鋼などの任意の適切な材料から製造できる。
【0020】
このような構成では、第一のピストン部材20は、第一の室32と相対的に第一のボア34内において縦方向に移動可能(すなわち、縦方向軸18に沿って移動可能)であってもよい。先に説明したように、シール(または、複数のシール)114が、側壁116の内面36に密封的に係合する。この密封係合は、第一のピストン部材20が第一のボア34内において縦方向に動くときにも維持される。それ故に、第一のピストン部材20は、第一のピストン部材20の底部38、および第一のボア34を画定する一以上の内面が、第一の内部容積40を少なくとも部分的に画定するように、第一のボア34を画定する一以上の内面に密封的に係合する。例えば、第一のピストン部材20の底部38、側壁116の内面36、および底壁126の上表面が、協同して第一の内部容積40を部分的に画定できる。第一のピストン部材20は、ステンレス鋼などの任意の適切な材料から製造できる。
【0021】
図2Aを参照するように、バルブアセンブリ10は、第二の室42も含む。第二の室42は、縦方向軸18に沿って延伸する第二のボア44を含む。第二の室42は、一以上の内面が第二のボア44を画定するような任意の適切な形状を有することができる。例えば、第二の室42は、全体的に円筒形状を有することができる。第二の室32は、円筒形外面134および円筒形内面46を含む側壁132を含むことができる。内面46は、第二のボア44を画定できる。円筒形内面46の直径は、第一の室32の円筒形内面36の直径よりも相当長くてもよい。側壁132は、剛性を保持し、以下により詳細に記載する様式で、第二のピストン部材20および第二のピストン部材28が油圧流体54に圧力をかけるときに実質的に変形しない任意の適切な厚さを有することができる。円筒形内面46の縦方向軸は、縦方向軸18に沿って延伸できる。円筒形内面46の縦方向軸は、縦方向軸18と同軸上に位置合わせしてもよい。上部壁136が、第二の室42の第一の端部138にまたはそこに隣接して配置できる。上部壁136は、平面または略平面でもよい。第二の導管アパーチャ140が、上部壁136を貫いて延伸できる。第二の導管アパーチャ140は、第一の導管アパーチャ130と同じ形状およびサイズを有することができる。例えば、第一の導管アパーチャ130が円形の形状である場合には、第二の導管アパーチャ140の直径は、第一の導管アパーチャ130の直径と同じ長さでもよい。第二の導管アパーチャ140の縦方向軸は、縦方向軸18と同軸上に位置合わせしてもよい。第二の室42の第二の端部142は開放されており、これにより第二のピストン部材28の全てまたは一部が、開放された第二の端部142を通じて挿入され、第二のボア44内に受け入れることができる。このような構成では、第二のピストン部材28は、第二の室42と相対的に第二のボア36内において縦方向に移動可能(すなわち、縦方向軸18に沿って移動可能)であってもよい。第二の室42は、任意の適切な様式または任意の適切な方位においてボンネット58に固定できる。例えば、第二の室42は、第二の室42の側壁
132の外面134が、ボンネット58の内壁74に隣接またはそれと接触できるように、ボンネット58に固定できる。第二の室42は、例えば、機械的締め付け、溶接または接着剤によってボンネット58に固定できる。第二の室42は、第一の室32と同じ材料または複数の材料から製造できる。
【0022】
図2Aを参照するように、バルブアセンブリ10は、圧縮部材24に連結された第二のピストン部材28も含む。より具体的には、第二のピストン部材28の底部144は、任意の適切な様式で圧縮部材24の上部146に連結、さもなければ不動に固定できる。例えば、第二のピストン部材28の底部144は、圧縮部材24の上部146に機械的に連結できる。あるいは、第二のピストン部材28は、例えば、接着剤を使用してまたは溶接によって圧縮部材24に連結できる。加えて、第二のピストン部材28は、圧縮部材24に間接的に連結でき、一以上の中間部材または中間部(例として、縦に配列されたステム)を、第二のピストン部材28の底部144と圧縮部材24の上部146との間に配置できる。
【0023】
第二のピストン部材28の外周囲30は、縦方向軸18に沿う方向から見たときに、第二のピストン部材28の上部48の外縁によって画定でき、外周囲30は任意の適切な形状を有することができる。一実施形態では、第二のピストン部材28は、円盤の形状(すなわち、円筒形状)を有することができる。上部48は平面を含むことができる。あるいは、上部108は、輪郭に合わせてまたは部分的に輪郭に合わせて形成できる。側部148が、上部48と底部144との間を延伸できる。側部148は、円筒形または略円筒形状を有することができる。このような構成では、側部148と上部48との交点によって形成される円形縁が、第二のピストン部材28の外周囲30を形成できる。この例では、第二のピストン部材28の外周囲30によって画定される第二の領域A2は、π(R2)であり得る。ここで、R2は、円形外周囲30の半径である。円形外周囲30の半径R2は、第二の室42の第二のボア44の円筒形内面46の半径よりも若干短くてもよい。第二のピストン部材28の第二の領域A2は、好ましくは、第一のピストン部材20の第一の領域A1よりも大きい。第二のピストン部材28は、第一のピストン部材20と同じ材料または複数の材料から製造できる。
【0024】
加えて、シール150が、第二のピストン部材28の周囲に固定されて、第二のピストン部材28が第二のボア44の内部に配置されているときに、第二のピストン部材28の側部148と第二の室42の内面46との間を流体が流れることを防ぐことができる。例えば、シール150はOリングでもよい。Oリングは、第二のピストン部材28の側部148に形成された円周溝(図示せず)に少なくとも部分的に配置できる。単一シール150の代わりに、二つ以上のシール150を使用してもよい。
【0025】
第二のピストン部材28が第二の室42と相対的に第二のボア34内において縦方向に動く(すなわち、縦方向軸18に沿って動く)ときに、シール(または、複数のシール)150が、側壁132の内面46に密封的に係合する。それ故に、第二のピストン部材28は、第二のピストン部材28の上部48、および第二のボア44を画定する一以上の内面が、第二の内部容積50を少なくとも部分的に画定するように、第二のボア44を画定する一以上の内面に密封的に係合する。例えば、第二のピストン部材28の上部48、側壁132の内面46、および上部壁136の下面が、協同して第二の内部容積50を部分的に画定できる。
【0026】
図2Aを参照するように、バルブアセンブリ10は、導管部52も含む。導管部52は、内面154および外面156を有する側壁152を含むことができる。側壁152は剛体でもよい。導管部52は、任意の適切な断面形状を有することができる。例えば、導管部52は、側壁152が中空シリンダとなるような円形断面形状を有することができる。
導管部52の縦方向軸は、縦方向軸18に沿って延伸できる。円筒形導管部52の縦方向軸は、縦方向軸18と同軸上に位置合わせしてもよい。第一の室32の第一の導管アパーチャ130、および第二の室32の第二の導管アパーチャ140が、側壁152の内面154を部分的に画定できる。このような構成では、導管部52の内部容積158が、第一の内部容積40および第二の内部容積50の各々と流体連絡することができる。それ故に、第一の内部容積40および第二の内部容積50の内部に配置された油圧流体54が、導管部52の内部容積158を通って第一の内部容積40と第二の内部容積50との間を移動することができる。
【0027】
導管部52は、第一の室32および第二の室42と同じ材料で作ることができる。そして、任意の適切な様式(例として、機械的締め付け、溶接、接着剤など)で、第一の室32および第二の室42に固定できる。側壁152は、剛性を有する代わりに、可撓性のあるものでもよい。例えば、導管部52は、第一の室32の第一の導管アパーチャ130と、第二の室32の第二の導管アパーチャ140との間を延伸する可撓性チューブでもよい。
【0028】
図1A図2Aおよび図2Bに図示するように、バルブアセンブリ10は、圧縮部材24も含む。以前に説明したように、第二のピストン部材28の底部144は、圧縮部材24の上部146に連結、さもなければ不動に固定でき、これにより第二のピストン部材28の縦方向の移動によって圧縮部材24が対応して縦方向に移動する。圧縮部材24は、輪郭に合わせた下部160を有することができる。下部160は、縦方向軸18と同軸上に位置合わせしてもよい軸を中心にして対称的な丸い先端162を含むことができる。先端162の内側部分は、縦方向軸18と同軸上に位置合わせしてもよい軸を中心にして対称的な中央くぼみ164を画定できる。圧縮部材24の外側周縁部は、フランジ166を形成できる。フランジ166は、第二の室42の外面134の直径よりも長い直径を有する円形外縁を有することができる。
【0029】
第二のピストン部材28が第二のボア44内に配置された状態では、図1Aおよび図2Aに図示するように、波形バネなどの付勢部材168が、フランジ166に隣接した圧縮部材24の底部160に作用して、圧縮部材24を第二の室42の上部壁136の方に付勢することができる。付勢部材168は、任意の適切な様式で付勢部材168に関連する定位置に固定できる。例えば、付勢部材168は、ボンネット58の第一の端部68に隣接したボンネット58の内面に形成された溝内に固定された静止した止め輪170によって所定位置に保持できる。図1Aに図示するように、圧縮部材24は、圧縮部材24と弁座64との間に配置されたダイヤフラム26に係合するように構成できる。具体的には、ダイヤフラム26は、上部172および底部174を含む。上部172は、圧縮部材24の底部160の形状に一致するように構成され、これにより圧縮部材24の底部160の輪郭が、ダイヤフラム26の上部172の対応する輪郭に係合し、それに受け入れられる。ダイヤフラム26の上部172は、ダイヤフラム26の底部174と概して均一にオフセットし、そのような底部174の概略の形状は、圧縮部材24の底部160の概略の形状と一致する。つまり、ダイヤフラム26の底部174は、縦方向軸18と同軸上に位置合わせしてもよい軸を中心にして対称的な丸い先端176を含むことができる。先端176の内側部分は、縦方向軸18と同軸上に位置合わせしてもよい軸を中心にして対称的な中央くぼみ178を画定できる。ダイヤフラム26の外側周縁部は、フランジ部180を形成できる。フランジ部180は、圧縮部材24の円形外縁の直径よりも長い直径を有することができる。
【0030】
図1Aをなおも参照するように、フランジ部180は、ボンネット58がバルブ本体56に固定されているときには、ボンネット58の第一の端部68と、ボンネット開口部66に隣接したバルブ本体56との間に捕捉できる。このように固定すると、ダイヤフラム
26は、流体がバルブ本体56の通路62を通り流れ、さもなければボンネット開口部66の中に入ることを防ぐシールとして作用する。第二のピストン部材28が、図1A図1Bおよび図2Aに図示するような第一の位置(すなわち、バルブ閉鎖位置)にあるときには、ダイヤフラム26の先端176の頂点が、弁座64を画定するバルブ本体56の表面に密封的に係合する。これにより入口68に入る流体が、通路62に入り、最終的に出口60に流れることがダイヤフラム26によって防がれる。しかしながら、第二のピストン部材28が、図1Cおよび図2Bに図示するような第二の位置(すなわち、バルブ開放位置)にあるときには、ダイヤフラム26の先端176の頂点が、弁座64を画定するバルブ本体56の表面と縦方向にオフセットし、従って、入口68に入る流体は、通路62内を流れ、出口60に流れ続ける。
【0031】
運転中、図1Bに図示するように、バルブアセンブリ10がバルブ開放位置からバルブ閉鎖位置に動くと、公知の様式で加圧流体をバルブアクチュエータ84の上方アクチュエータケーシング86の内部空洞内に提供できる。この加圧流体の圧力は、ダイヤフラム板96を下向きに動かすようにアクチュエータダイヤフラム94に作用する。アクチュエータダイヤフラム94が下向きに動かされると、アクチュエータステム99およびバルブステム12も下向きに動かされる。その結果、第一のピストン部材20が第一の室32内において下向きに移動する。この第一の室32内の第一のピストン部材20の下向きの移動によって、第一の内部容積40内の油圧流体54が、導管部52の158の内部容積に入り、そして第二の内部容積50内に入る。油圧流体54が非圧縮性または実質的に非圧縮性であるため、第一のピストン部材20の移動に起因して第二の内部容積50に入る油圧流体54が、第二のピストン部材28の上部48に圧力を加える。結果生じた下向きの力によって、第二のピストン部材28は、付勢部材168によって圧縮部材24に与えられる上向きの付勢力に対抗して下向きに動かされる。第二のピストン部材28が下向きに動かされると、第二のピストン部材28は、第二の位置(バルブ開放位置)から第一の位置(バルブ閉鎖位置)に動く。第一の位置では、ダイヤフラム26の先端176の頂点が、弁座64を画定するバルブ本体56の表面に密封的に係合する。これにより入口68に入る流体が、通路62に入り、最終的に出口60に流れることがダイヤフラム26によって防がれる。
【0032】
バルブアセンブリ10を開放するために(すなわち、第二のピストン部材28を第一の位置から第二の位置に動かすために)、バルブアクチュエータ84の上方アクチュエータケーシング86の内部空洞内の加圧流体を大気に放出し、そしてバネ92がダイヤフラム板96を上向きに押し進める。この上向きの移動によって第一のピストン部材20が、静止した第一の室32内において上向きに動かされる。付勢部材168が上向きの力を圧縮部材24およびそこに固定された第二のピストン部材28に与えるため、第一のピストン部材20が上向きに動くにつれて、油圧流体54によって第二のピストン部材28に与えられる圧力が低減するため、第二のピストン部材28が上向きに動く。この第二のピストン部材28の上向きの移動によって、油圧流体54が第二の内部容積50から外に押し出され、導管部52の158の内部容積を通り、第一の内部容積40の中に入る。付勢部材168の力および縦方向の移動距離は、バルブアセンブリ10が第二の位置にあるときに、第一のピストン部材20の底部38が油圧流体54に確実に接触するように選択される。当業者は、バルブアクチュエータ84の上方アクチュエータケーシング86の内部空洞内に所望の圧力を与えることによって、第一の位置と第二の位置との間の中間位置を維持でき、その結果、第一の位置に対応するダイヤフラム板96の下向きの移動よりも小さく、かつ(もしあれば)第二の位置に対応するダイヤフラム板96の下向きの移動よりも大きい、ダイヤフラム板96の所望の下向きの移動がもたらされることを理解するであろう。
【0033】
以前に説明したように、第一のピストン部材20は、第一の領域A1を画定する外周囲
22を有し、第二のピストン部材28は、第二の領域A2を画定する外周囲30を有する。第二のピストン部材28の第二の領域A2は、好ましくは、第一のピストン部材20の第一の領域A1よりも大きい。このような構成では、バルブアクチュエータ84が、バルブアクチュエータ84が第一のピストン部材20を下向きに動かすときに、第一のピストン部材20に下向きの力を与える。この下向きの力が、第一の内部容積40内の油圧流体54に第一の圧力を生じさせる。この圧力は、第一の領域A1によって分け与えられるアクチュエータの下向きの力とほぼ等しい。当業者は、第一のピストン部材20の下向きの移動によって生じる圧力が、第二のピストン部材28にも作用し、従って、第二のピストン部材28に作用する下向きの力が、第二の領域A2と第一の領域A1との比率に比例することを理解するであろう。つまり、第二の領域A2が第一の領域A1の2倍の大きさである場合には、第二のピストン部材28に作用する力は、第一のピストン部材20によって与えられる力(転じて、バルブアクチュエータ84の下向きの力によって与えられる力)の2倍となる。第二の領域A2と第一の領域A1との比率は、任意の適切な値を有することができる。例えば、第二の領域A2と第一の領域A1との比率は、1.5〜10でもよい(すなわち、第二の領域A2は、第一の領域A1よりも1.5〜10倍大きくてもよい)。それ故に、そのような油圧システムは、ダイヤフラム26と弁座64との間の結合力を増大する、力を増加するものとして作用する。
【0034】
記載したように構成すると、衛生バルブアセンブリ10は、少数の可動部品しか有さない。その結果、従来の衛生バルブよりも損耗または損傷箇所がより少なくなり、保守費用が少なくなり、バルブのダウンタイムが短くなり、運用年数がより長くなる。さらに、開示した油圧システムは、圧縮部材26に正確な閉鎖力を与え、その結果、ボンネット58の内部72における破片の存在にかかわらず、ダイヤフラム26と弁座64との間の安定した密封性をもたらす。加えて、ダイヤフラム26がボンネット58の内部72を、通路62を通り流れるプロセス流体と分離するように作動するため、衛生バルブアセンブリ10はパックレスである。当業者は、そのようなパックレス衛生バルブアセンブリ10が保守費用を低減し、バルブのダウンタイムを最小化することを理解するであろう。
【0035】
さまざまな実施形態を先に記載したが、本開示は、それに限定されることを意図しない。添付の請求項の範囲内になおもある開示した実施形態に変更を為すことができる。例えば、本開示のバルブアクチュエータアセンブリ10は、任意の適切な制御バルブとともに使用できる。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B