(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6272641
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】環境配慮型車両の空圧生成方法
(51)【国際特許分類】
B60R 16/08 20060101AFI20180122BHJP
【FI】
B60R16/08 C
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-250875(P2012-250875)
(22)【出願日】2012年11月15日
(65)【公開番号】特開2014-61865(P2014-61865A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2015年11月12日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0104000
(32)【優先日】2012年9月19日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA MOTORS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 相 烋
【審査官】
菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−199095(JP,A)
【文献】
特開2004−203256(JP,A)
【文献】
実開昭59−147610(JP,U)
【文献】
特開2003−276591(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0254246(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアタンク内部の空圧を、エンジン駆動エアコンプレッサまたは電動エアコンプレッサが作動するように設定された作動開始空圧と比較する作動開始空圧判断ステップと、
前記エアタンク内部の空圧が前記作動開始空圧未満であれば、車両に搭載されたエンジンが駆動されているかを判断するエンジン稼働判断ステップと、
前記エンジン稼働判断ステップで前記エンジンが駆動中でなければ、前記電動エアコンプレッサを作動させる電動エアコンプレッサ作動ステップと、
前記エンジン稼働判断ステップで前記エンジンが駆動中であれば、前記エンジン駆動エアコンプレッサを作動させるエンジン駆動エアコンプレッサ作動ステップと、
前記電動エアコンプレッサ作動ステップまたは前記エンジン駆動エアコンプレッサ作動ステップが行われた後に、前記エンジン駆動エアコンプレッサまたは電動エアコンプレッサの作動を中止するように設定された作動完了空圧と比較する作動完了空圧判断ステップとを含み、
電動エアコンプレッサ作動ステップとエンジン駆動エアコンプレッサ作動ステップで、
前記エアタンクの前段には、前記エアタンクに流入する加圧された空気に含まれた湿気を除去するAPU(Air Pressure Unit)が備えられ、前記APUは、加圧された空気の水分を除去するほか、加圧された空気の圧力を調節し、不純物を除去し、
前記エンジン稼働判断ステップにおいて、前記エンジンが駆動中でないと判断されると、前記エンジン稼働判断ステップが行われた後に、前記電動エアコンプレッサの異常の有無を判断する電動エアコンプレッサエラー判断ステップをさらに含み、
前記電動エアコンプレッサが正常であれば、前記電動エアコンプレッサ作動ステップが行われ、
前記電動エアコンプレッサが正常でなければ、前記エンジン駆動エアコンプレッサ作動ステップが行われ、
前記電動エアコンプレッサエラー判断ステップにおいて、前記電動エアコンプレッサが正常と判断されると、車両の高電圧系統の異常の有無を判断する高電圧系統エラー判断ステップをさらに含み、
前記高電圧系統が正常であれば、前記電動エアコンプレッサ作動ステップが行われ、
前記高電圧系統が正常でなければ、前記エンジン駆動エアコンプレッサ作動ステップを行い、
前記高電圧系統エラー判断ステップにおいて、前記高電圧系統が正常と判断されると、
車両の低電圧系統の異常の有無を判断する低電圧系統エラー判断ステップをさらに含み、
前記低電圧系統が正常であれば、前記電動エアコンプレッサ作動ステップが行われ、
前記低電圧系統が正常でなければ、前記エンジン駆動エアコンプレッサ作動ステップが行われることを特徴とする環境配慮型車両の空圧生成方法。
【請求項2】
前記作動完了空圧判断ステップにおいて、
前記エアタンク内部の空圧が前記作動完了空圧以上であれば、前記エンジン駆動エアコンプレッサまたは電動エアコンプレッサの作動を中止し、
前記エアタンク内部の空圧が前記作動完了空圧未満であれば、前記エンジン稼働判断ステップにリターンすることを特徴とする請求項1に記載の環境配慮型車両の空圧生成方法。
【請求項3】
前記作動完了空圧は、前記作動開始空圧より高く設定されることを特徴とする請求項1に記載の環境配慮型車両の空圧生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境配慮型車両の
空圧生成方法に係り、より詳しくは、通常のエンジンと高電圧バッテリとを備えた環境配慮型車両において、車両の運行状態と電圧系統の異常の有無に応じてエンジン駆動エアコンプレッサと電動エアコンプレッサを選択的に作動させる環境配慮型車両の
空圧生成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両、特に、バス、トラック、特装車両のような商用車では、エンジンによって駆動されるエアコンプレッサが装着され、車両の付帯装置の作動に必要な空圧を提供する。
【0003】
前記のように、エンジンによって駆動される車両は、車両の走行中に常にエンジンが作動する状態であるため、車両の走行中は常にエンジンによってエアコンプレッサを作動させて空圧を発生する。
【0004】
一方、最近では、ハイブリッド自動車のように、エンジンのほか、モータから動力を受ける環境配慮型車両の研究開発と普及が増加している。(例えば特許文献1参照。)
【0005】
前記ハイブリッド自動車では、バッテリ、充電関連技術の発達に伴い、エンジンによる稼働時間は減少し、前記モータが稼働する時間を増加させ、プラグインハイブリッド自動車のような、次第にエンジンの駆動を要しない技術が増えている。これにより、環境配慮型車両では、エンジンの駆動時間が減少し、エンジンによって作動するエンジン駆動エアコンプレッサの作動時間も減少し、車両の各種装置に供給されるべき空圧も減少する現象が発生する。
【0006】
空圧が減少すると、制動装置、サスペンションのような、車両の走行に必ず必要な装置を含めて各種特装装置の動作に制限を受けるようになるため空圧が発生し、モータによって走行可能な状況であるにもかかわらず、無駄にエンジンを駆動させなければならない問題が発生する。
【0007】
このような問題は、ハイブリッド自動車のみならず、電気自動車のうち、主に高電圧バッテリに充電された電力で走行し、走行距離を延ばすために充電専用エンジンを備えた走行距離延長電気自動車(RE−EV;Range Extended Electric Vehicle)においても発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−11722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前記のような点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、エンジンによって駆動されるエンジン駆動エアコンプレッサと、モータによって駆動される電動エアコンプレッサとを設け、車両の走行条件に応じて前記エンジン駆動エアコンプレッサと電動エアコンプレッサを選択的に作動させることにより、空圧発生のためにエンジンが駆動する時間を減少させ、車両の燃費が向上するようにした環境配慮型車両の
空圧生成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
エアタンク内部の空圧を、エンジン駆動エアコンプレッサまたは電動エアコンプレッサが作動するように設定された作動開始空圧と比較する作動開始空圧判断ステップと、
前記エアタンク内部の空圧が前記作動開始空圧未満であれば、車両に搭載されたエンジンが駆動されているかを判断するエンジン稼働判断ステップと、
前記エンジン稼働判断ステップで前記エンジンが駆動中でなければ、前記電動エアコンプレッサを作動させる電動エアコンプレッサ作動ステップと、
前記エンジン稼働判断ステップで前記エンジンが駆動中であれば、前記エンジン駆動エアコンプレッサを作動させるエンジン駆動エアコンプレッサ作動ステップと、
前記電動エアコンプレッサ作動ステップまたは前記エンジン駆動エアコンプレッサ作動ステップが行われた後に、前記エンジン駆動エアコンプレッサまたは電動エアコンプレッサの作動を中止するように設定された作動完了空圧と比較する作動完了空圧判断ステップとを含み、
電動エアコンプレッサ作動ステップとエンジン駆動エアコンプレッサ作動ステップで、
前記エアタンクの前段には、前記エアタンクに流入する加圧された空気に含まれた湿気を除去するAPU(Air Pressure Unit)が備えられ、前記APUは、加圧された空気の水分を除去するほか、加圧された空気の圧力を調節し、不純物を除去し、
前記エンジン稼働判断ステップにおいて、前記エンジンが駆動中でないと判断されると、前記エンジン稼働判断ステップが行われた後に、前記電動エアコンプレッサの異常の有無を判断する電動エアコンプレッサエラー判断ステップをさらに含み、
前記電動エアコンプレッサが正常であれば、前記電動エアコンプレッサ作動ステップが行われ、
前記電動エアコンプレッサが正常でなければ、前記エンジン駆動エアコンプレッサ作動ステップが行われ、
前記電動エアコンプレッサエラー判断ステップにおいて、前記電動エアコンプレッサが正常と判断されると、車両の高電圧系統の異常の有無を判断する高電圧系統エラー判断ステップをさらに含み、
前記高電圧系統が正常であれば、前記電動エアコンプレッサ作動ステップが行われ、
前記高電圧系統が正常でなければ、前記エンジン駆動エアコンプレッサ作動ステップを行い、
前記高電圧系統エラー判断ステップにおいて、前記高電圧系統が正常と判断されると、
車両の低電圧系統の異常の有無を判断する低電圧系統エラー判断ステップをさらに含み、
前記低電圧系統が正常であれば、前記電動エアコンプレッサ作動ステップが行われ、
前記低電圧系統が正常でなければ、前記エンジン駆動エアコンプレッサ作動ステップが行われることを特徴とする。
【0016】
また、前記作動完了空圧判断ステップにおいて、前記エアタンク内部の空圧が前記作動完了空圧以上であれば、前記エンジン駆動エアコンプレッサまたは電動エアコンプレッサの作動を中止し、前記エアタンク内部の空圧が前記作動完了空圧未満であれば、前記エンジン稼働判断ステップにリターンすることを特徴とする。
【0017】
一方、前記作動完了空圧は、前記作動開始空圧より高く設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
前記のような構成を有する、本発明に係る環境配慮型車両の空圧生成装置および方法によれば、車両の走行状態と、高電圧、低電圧系統の異常の有無に応じてエンジン駆動エアコンプレッサと電動エアコンプレッサを選択的に作動させることにより、空圧の低下によるエンジン駆動エアコンプレッサ作動のために無駄にエンジンを駆動させなくても良い効果がある。
【0019】
また、前記のように、無駄にエンジンを駆動させる状況が減少するため、車両の燃費を向上することができる。
【0020】
同時に、車両の空圧を一定水準以上に常に維持可能なため、車両の各種装置を安定して作動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る環境配慮型車両の空圧生成装置を示すブロック図である。
【
図2】本発明に係る環境配慮型車両の空圧生成方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付した図面を参照して、本発明に係る環境配慮型車両の空圧生成装置について詳細に説明する。
【0023】
本発明に係る環境配慮型車両の空圧生成装置は、エンジン11によって駆動されるエンジン駆動エアコンプレッサ12と、前記エンジン駆動エアコンプレッサ12とは独立して作動し、車両の搭載されたバッテリによって作動する電動エアコンプレッサ13と、前記エンジン駆動エアコンプレッサ12または前記電動エアコンプレッサ13で加圧された空気を貯蔵するエアタンク15と、前記エンジン駆動エアコンプレッサ12および前記電動エアコンプレッサ13の出口側に設けられるチェックバルブ16a、16bとを含む。
【0024】
エンジン駆動エアコンプレッサ12は、エンジン11によって駆動され、車両に必要な空圧を生成する。前記エンジン駆動エアコンプレッサ12は、通常の車両に設けられたエアコンプレッサを用いることができる。前記エンジン駆動エアコンプレッサ12は、前記エンジン11と機構的に連結され、前記エンジン11が作動すると前記エンジン11によって駆動され、加圧された空気を吐出する。
【0025】
電動エアコンプレッサ13は、前記エンジン駆動エアコンプレッサ12とは異なり、エンジン11の駆動とは独立してバッテリから供給される電力によって作動し、空圧を生成する。つまり、前記電動エアコンプレッサ13は、前記エンジン11の駆動とは無関係に作動できるため、前記エンジン11が作動していない間にも加圧された空気を吐出し、車両の各種装置の作動に必要な空圧を生成する。
【0026】
エアタンク15は、前記エンジン駆動エアコンプレッサ12および前記電動エアコンプレッサ13から供給された加圧された空気が貯蔵される。前記エアタンク15は、前記エンジン駆動エアコンプレッサ12および前記電動エアコンプレッサ13のパイプを介して連結されていて、前記エンジン駆動エアコンプレッサ12および前記電動エアコンプレッサ13から加圧された空気が前記エアタンク15に流入できるようにする。つまり、前記エンジン駆動エアコンプレッサ12および電動エアコンプレッサ13の出口側に連結されたパイプは互いに合岐され、前記エアタンク15に連結される。
【0027】
この時、前記エンジン駆動エアコンプレッサ12および電動エアコンプレッサ13の出口側には、加圧された空気を選択的に前記エアタンク15に送ることができるようにチェックバルブ16a、16bがそれぞれ備えられる。つまり、前記エンジン駆動エアコンプレッサ12の出口側にチェックバルブ16aが備えられ、前記電動エアコンプレッサ13の出口側にチェックバルブ16bが備えられる。前記エンジン駆動エアコンプレッサ12が作動して加圧された空気が吐出される間、前記エンジン駆動エアコンプレッサ12に連結されたチェックバルブ16aが開放され、前記エンジン駆動エアコンプレッサ12および前記エアタンク15と連通するようにし、前記電動エアコンプレッサ13が作動している間、前記電動エアコンプレッサ13に連結されたチェックバルブ16bが開放され、前記電動エアコンプレッサ13および前記エアタンク15と連通するようにすることにより、加圧された空気が前記エアタンク15に集められて空圧が維持される。
【0028】
前記チェックバルブ16a、16bは、予め設定された値以上の圧力が作用すると開放されるようにし、前記エンジン駆動エアコンプレッサ12または前記電動エアコンプレッサ13が作動すると機械式に開放されるように備えられる。
【0029】
同時に、前記チェックバルブ16a、16bは、前記エンジン駆動エアコンプレッサ12または前記電動エアコンプレッサ13が作動すると、制御部、例えば、HCU17によって開放されるようにしてもよい。
【0030】
一方、前記エアタンク15の前段には、前記エアタンク15に流入する加圧された空気に含まれた湿気を除去するAPU(Air Pressure Unit)14が備えられることが好ましい。また、前記APU14は、加圧された空気の水分を除去するほか、加圧された空気の圧力調節、不純物を除去する機能も果たす。
【0031】
また、前記エンジン駆動エアコンプレッサ12、電動エアコンプレッサ13およびチェックバルブ16a、16bは、車両の制御部によって制御されるものであって、前記制御部は、車両の状態を考慮して、前記エンジン駆動エアコンプレッサ12または前記電動エアコンプレッサ13が稼働するように制御する。
【0032】
例えば、環境配慮型車両のうち、ハイブリッド車両であれば、前記制御部としてHCU(Hybrid Control Unit)17が適用され、前記HCU17によって前記エンジン駆動エアコンプレッサ12または電動エアコンプレッサ13の作動がそれぞれ制御される。
【0033】
以下では、添付した図面を参照して、本発明に係る環境配慮型車両の空圧生成方法について詳細に説明する。
【0034】
本発明に係るハイブリッド車両の空圧生成方法は、エアタンク15内部の空圧を、エンジン駆動エアコンプレッサ12または電動エアコンプレッサ13が作動するように設定された作動開始空圧と比較する作動開始空圧判断ステップS110と、前記エアタンク15内部の空圧が前記作動開始空圧未満であれば、車両に搭載されたエンジン11が駆動されているかを判断するエンジン稼働判断ステップS120と、前記エンジン稼働判断ステップS120で前記エンジン11が駆動中でなければ、(幾つかの付帯条件のチェックを含み、)前記電動エアコンプレッサ13を作動させる電動エアコンプレッサ作動ステップS160と、前記エンジン稼働判断ステップS120で前記エンジン11が駆動中であれば、前記エンジン駆動エアコンプレッサ12を作動させるエンジン駆動エアコンプレッサ作動ステップS170と、前記電動エアコンプレッサ作動ステップS160または前記エンジン駆動エアコンプレッサ作動ステップS170が行われた後に、前記エンジン駆動エアコンプレッサ12または電動エアコンプレッサ13の作動を中止するように設定された作動完了空圧と比較する作動完了空圧判断ステップS180とを含む。
【0035】
作動開始空圧判断ステップS110では、車両のエアタンク15内部の空圧を、電動エアコンプレッサ13またはエンジン駆動エアコンプレッサ12が作動するように設定された作動開始空圧と比較する。
【0036】
前記作動開始空圧判断ステップS110で測定された前記エアタンク15内部の空圧が前記作動開始空圧未満であれば、車両の各種装置を作動させるための空圧が不足する状態である。このため、前記エアタンク15の内部に加圧された空気を供給して前記エアタンク15内部の空圧を上昇させなければならないため、電動エアコンプレッサ13またはエンジン駆動エアコンプレッサ12が作動するように、以下の過程を進行する。
【0037】
仮に、前記作動開始空圧判断ステップS110で測定された前記エアタンク15内部の空圧が前記作動開始空圧以上であれば、前記エアタンク15の内部に空圧を供給する必要がないため、最初にリターンするようにする。
【0038】
エンジン稼働判断ステップS120は、前記エンジン駆動エアコンプレッサ12または前記電動エアコンプレッサ13のどちらを作動させるかを決定するために、前記エンジン11の駆動の可否を判断する。
【0039】
つまり、前記エンジン11が稼働中であれば、前記エンジン11の動力を利用して空圧が生成されるようにし、前記エンジン11が稼働中でなければ、前記エンジン11の代わりに、バッテリに充電された電力を利用して空圧が生成されるようにする。
【0040】
したがって、前記エンジン稼働判断ステップS120で判断された前記エンジン11の駆動の可否により、後述する電動エアコンプレッサ作動ステップS160とエンジン駆動エアコンプレッサ作動ステップS170が選択的に行われる。
【0041】
電動エアコンプレッサ作動ステップS160は、前記エンジン稼働判断ステップS120で前記エンジン11が駆動されていないと判断された時に行われる。前記エンジン11が駆動されていない状態では、車両のバッテリに充電された電力を利用して電動エアコンプレッサ13を作動させる。したがって、停止した前記エンジン11がエンジン駆動エアコンプレッサ12を駆動させるために作動しなくても、電動エアコンプレッサ13によって空圧が生成されるようにする。
【0042】
一方、前記電動エアコンプレッサ作動ステップS160で前記電動エアコンプレッサ13を作動させる前に、前記電動エアコンプレッサ13の状態、車両の高電圧系統および低電圧系統の異常の有無を確認することが好ましい。
【0043】
つまり、
図2に示すように、前記エンジン稼働判断ステップS120と前記電動エアコンプレッサ作動ステップS160との間に、電動エアコンプレッサエラー判断ステップS130と、高電圧系統エラー判断ステップS140および低電圧系統エラー判断ステップS150が行われることが好ましい。
【0044】
電動エアコンプレッサエラー判断ステップS130では、車両に搭載された前記電動エアコンプレッサ13を駆動させる前に、前記電動エアコンプレッサ13の異常の有無を判断する。前記電動エアコンプレッサ13の状態を判断し、前記電動エアコンプレッサ13の状態が正常な場合に限り、前記電動エアコンプレッサ13を介して前記エアタンク15内部の空圧が生成されるようにする。
【0045】
仮に、前記電動エアコンプレッサエラー判断ステップS130で前記電動エアコンプレッサ13の状態が異常と判断されると、前記電動エアコンプレッサ13を介して前記エアタンク15内部の圧力を上昇させることができないため、前記エンジン駆動エアコンプレッサ12が作動するように、後述するエンジン駆動エアコンプレッサ作動ステップS170が行われるようにする。
【0046】
高電圧系統エラー判断ステップS140では、車両の駆動に用いられるモータに電源を供給するのに使用される車両の高電圧電気系統の異常の有無を判断する。つまり、環境配慮型自動車において、車両の走行に用いられるモータに電源を供給する高電圧電気系統、例えば、高電圧バッテリ、高電圧バッテリ管理システム、LDC(Low DC/DC Converter)、インバータなどの異常の有無を判断する。前記電動エアコンプレッサ13は、作動電圧が高いため、エンジン11が停止した状態で前記電動エアコンプレッサ13が作動するには、その動作時間に制限が生じてしまう。したがって、高電圧系統の異常の有無を判断し、前記電動エアコンプレッサ13の作動時間を十分に確保することができる。
【0047】
前記高電圧系統エラー判断ステップS140で高電圧系統が正常と判断されると、前記電動エアコンプレッサ13を作動させるための後続過程が引き続き行われる。
【0048】
仮に、前記高電圧系統エラー判断ステップS140で高電圧系統に異常があると判断されれば、前記電動エアコンプレッサ13を作動しにくいため、エンジン駆動エアコンプレッサ作動ステップS170が行われるようにする。
【0049】
低電圧系統エラー判断ステップS150は、車両の低電圧系統の異常の有無を判断する。ここで、低電圧系統とは、エンジンだけで駆動される通常の車両の電気系統に関するものであって、前記高電圧系統を除く電気系統となる。
【0050】
前記低電圧系統エラー判断ステップS150で低電圧系統に異常がなければ、前記電動エアコンプレッサ13を駆動させることができるが、低電圧系統に異常があれば、前記電動エアコンプレッサ13を作動させることができないため、同様に、エンジン駆動エアコンプレッサ作動ステップS170が行われるようにする。
【0051】
エンジン駆動エアコンプレッサ作動ステップS170は、前記エンジン稼働判断ステップS120で前記エンジン11が駆動中と判断された時に行われる。そして、前記電動エアコンプレッサエラー判断ステップS130で前記電動エアコンプレッサ13が異常と判断されたり、前記高電圧系統エラー判断ステップS140で車両の高電圧系統が異常と判断されたり、前記低電圧系統エラー判断ステップS150で車両の低電圧系統が異常と判断される場合にも、前記エンジン駆動エアコンプレッサ作動ステップS170が行われる。
【0052】
前記エンジン駆動エアコンプレッサ作動ステップS170では、駆動中のエンジン11の動力を利用して前記エンジン駆動エアコンプレッサ12を作動させることにより、バッテリに充電された電力を使用せずに、駆動中の前記エンジン11から引き出される動力の一部を利用して空圧を生成する。
【0053】
作動完了空圧判断ステップS180は、前記電動エアコンプレッサ13およびエンジン駆動エアコンプレッサ12の作動により、上昇した前記エアタンク15内部の圧力が十分であるかを判断する。前記エアタンク15内部の圧力が十分であれば、前記電動エアコンプレッサ13またはエンジン駆動エアコンプレッサ12の作動を中止し、前記エアタンク15内部の圧力が十分でなければ、前記電動エアコンプレッサ13またはエンジン駆動エアコンプレッサ12が作動し続けて前記エアタンク15内部の圧力を十分に上昇させなければならないため、前記エアタンク15内部の圧力が十分であるかを確認する。
【0054】
前記作動完了空圧判断ステップS180では、前記エアタンク15内部の圧力を、前記電動エアコンプレッサ13またはエンジン駆動エアコンプレッサ12の作動が中止するように設定された作動完了空圧と比較する。
【0055】
仮に、前記エアタンク15内部の圧力が作動完了空圧以上であれば、前記エアタンク15内部の圧力が十分に上昇したため、前記電動エアコンプレッサ13またはエンジン駆動エアコンプレッサ12の作動を停止させる。すでに前記エアタンク15の内部が十分に加圧された状態なので、車両の各種装置を安定した状態で作動させることが可能な状態であるため、それ以上の、前記エアタンク15内部の圧力を上昇させるための、前記電動エアコンプレッサ13またはエンジン駆動エアコンプレッサ12の駆動を停止する。
【0056】
一方、前記エアタンク15内部の圧力が作動完了空圧未満であれば、前記エアタンク15の内部が十分に加圧されていない状態であるため、前記電動エアコンプレッサ13またはエンジン駆動エアコンプレッサ12が作動し続けるようにする。つまり、前記エアタンク15内部の圧力が作動完了空圧未満であれば、前記エンジン稼働判断ステップS120にリターンして上述した過程が繰り返され、前記電動エアコンプレッサ13またはエンジン駆動エアコンプレッサ12を作動して前記エアタンク15内部の圧力が上昇するようにする。
【0057】
この時、前記作動完了空圧は、前記作動開始空圧より高く設定されるようにし、前記エアタンク15内部の圧力が前記作動開始空圧と前記作動完了空圧との間を維持するようにする。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、車両の運行状態と電圧系統の異常の有無に応じてエンジン駆動エアコンプレッサと電動エアコンプレッサを選択的に作動させる環境配慮型車両の空圧生成装置および方法の分野に適用できる。
【符号の説明】
【0059】
11 エンジン
12 エンジン駆動エアコンプレッサ
13 電動エアコンプレッサ
14 APU
15 エアタンク
16a、16b チェックバルブ
17 HCU
S110 作動開始空圧判断ステップ
S120 エンジン稼働判断ステップ
S130 電動エアコンプレッサエラー判断ステップ
S140 高電圧系統エラー判断ステップ
S150 低電圧系統エラー判断ステップ
S160 電動エアコンプレッサ作動ステップ
S170 エンジン駆動エアコンプレッサ作動ステップ
S180 作動完了空圧判断ステップ