特許第6272783号(P6272783)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6272783
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】携行用医療用具プロテクター
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/18 20060101AFI20180122BHJP
   A61B 50/30 20160101ALI20180122BHJP
   B65D 81/28 20060101ALI20180122BHJP
   A61L 101/22 20060101ALN20180122BHJP
   A61L 101/32 20060101ALN20180122BHJP
【FI】
   A61L2/18 102
   A61B50/30
   A61L2/18
   B65D81/28 Z
   A61L101:22
   A61L101:32
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-555818(P2014-555818)
(86)(22)【出願日】2013年2月4日
(65)【公表番号】特表2015-509386(P2015-509386A)
(43)【公表日】2015年3月30日
(86)【国際出願番号】US2013024644
(87)【国際公開番号】WO2013119505
(87)【国際公開日】20130815
【審査請求日】2016年1月14日
(31)【優先権主張番号】61/595,635
(32)【優先日】2012年2月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/757,381
(32)【優先日】2013年2月1日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507119249
【氏名又は名称】ハイプロテック、 インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パトリック オー.テニカン
(72)【発明者】
【氏名】エル.マイルズ フィップス
【審査官】 松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0080017(US,A1)
【文献】 米国特許第05041264(US,A)
【文献】 米国特許第04446967(US,A)
【文献】 特表昭59−500801(JP,A)
【文献】 実公昭34−012395(JP,Y1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0019889(US,A1)
【文献】 米国特許第05732716(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0052664(US,A1)
【文献】 実公昭36−001593(JP,Y1)
【文献】 国際公開第2010/131253(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/091322(WO,A1)
【文献】 実開平05−044111(JP,U)
【文献】 実開平02−149225(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00− 2/28
A61L 11/00− 12/14
A61B 34/00− 90/98
A61L 15/00− 15/64
A61L 17/00− 33/18
A61F 13/15− 13/84
B65D 67/00− 79/02
B65D 81/18− 81/30
B65D 81/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不浸透性容器であって、携行用医療用具の一部を保持するように構成された内面を有する不浸透性容器;
前記不浸透性容器内の浸透性アプリケーター;および
前記浸透性アプリケーターの上または内に配置された抗菌剤または消毒剤;
を備える、携行用医療用具プロテクターであって、
前記浸透性アプリケーター内に配置された前記抗菌剤または消毒剤が、
5〜50mg/mlのエチレンジアミン四酢酸(EDTA);
多くとも70容積%のエタノール;
多くとも7.5容積%の過酸化水素;および
水;
を含み、かつ、
前記不浸透性容器が、携行用医療用具の周囲に前記不浸透性容器を固定し、前記不浸透性容器の開口部を密閉するためのドローストリング、ジップロック、ツイストタイ、プラスチッククリップ、またはバネ材料を備える、
携行用医療用具プロテクター。
【請求項2】
前記不浸透性容器が、ポリエチレン、酸化アルミニウム、シリコン酸化物でコーティングされたポリマーフィルム、ポリプロピレン、ポリシリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、マイラー、またはそれらの混合物を含む、請求項1に記載の医療用具プロテクター。
【請求項3】
前記浸透性アプリケーターが、デンプンポリマー、セルロースゲル、ポリエチレン発泡体、シリコーンオープンセル発泡体、またはそれらの混合物を含む、請求項1に記載の医療用具プロテクター。
【請求項4】
前記浸透性アプリケーターが、前記携行用医療用具をスクラブするように構成された、荒い、粗い、平滑な、マイクロまたはナノ構造を有する、請求項1に記載の医療用具プロテクター。
【請求項5】
感染性因子の伝播を妨げる方法であって:
携行用医療用具を使用するための用具プロテクターを特定するステップであって、
前記用具プロテクターが、
携行用医療用具の一部を保持するように構成された密閉可能な不浸透性レセプタクル;
前記不浸透性レセプタクル内に配置されアプリケーター;および
前記アプリケーターによって担持される抗菌剤または消毒剤;
を備え、
前記アプリケーター内に配置された前記抗菌剤または消毒剤が、
5〜50mg/mlのエチレンジアミン四酢酸(EDTA);
多くとも70容積%のエタノール;
多くとも7.5容積%の過酸化水素;および
水;
を含む、ステップと;
前記携行用医療用具とともに前記特定された用具プロテクターを用いるステップであって、
前記密閉可能な不浸透性レセプタクルを開口するステップ;
前記レセプタクルから前記アプリケーターを取り外すステップ;
携行用医療用具の少なくとも一部に対して抗菌剤または消毒剤を含有するアプリケーターを適用するステップ;
前記不浸透性レセプタクル内に前記携行用医療用具の少なくとも一部を配置するステップ;および
再汚染を防ぐために前記携行用医療用具の一部の周囲で前記不浸透性レセプタクルを密閉するステップと;
を含む方法であって、
前記密閉可能な不浸透性レセプタクルが、携行用医療用具の周囲に前記不浸透性レセプタクルを固定し、前記不浸透性レセプタクルの開口部を密閉するためのドローストリング、ジップロック、ツイストタイ、プラスチッククリップ、またはバネ材料を備える、方法。
【請求項6】
前記携行用医療用具が、聴診器、体温計、血圧モニター、超音波振動子または他の診断装置のうちの少なくとも1つを含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記抗菌剤または消毒剤が、細菌、芽胞、寄生生物、ウイルス、体液またはそれらの混合物のうちの1つ以上を含む1つ以上の汚染物質を排除または阻害し得る、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上の細菌が、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)、緑膿菌(Pseudimonas aeruginosa)および他の耐性細菌を含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記不浸透性レセプタクルが、ポリエチレン、シリコン酸化物でコーティングされたポリマーフィルム、ポリプロピレン、ポリシリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、マイラー、またはそれらの混合物を含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記アプリケーターが、
デンプンポリマー、セルロースゲル、ポリエチレン発泡体、シリコーンオープンセル発泡体、またはそれらの混合物;および
前記携行用医療用具をスクラブするように構成された、荒い、粗い、平滑な、マイクロまたはナノ構造;
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
取り外し可能なトレイを収容する無菌性パッケージであって、前記取り外し可能なトレイが、
携行用医療用具の一部を包含するように構成された密閉可能な不浸透性レセプタクル;
前記携行用医療用具の一部をスクラブするように構成されたアプリケーター;および
前記アプリケーター内に配置された抗菌剤または消毒剤であって、前記抗菌剤または消毒剤が、
5〜50mg/mlのエチレンジアミン四酢酸(EDTA);
多くとも70容積%のエタノール;
多くとも7.5容積%の過酸化水素;および
水;
を含む、
携行用医療用具プロテクターシステムであって、
前記密閉可能な不浸透性レセプタクルが、前記携行用医療用具の周囲に前記不浸透性レセプタクルを固定し、前記不浸透性レセプタクルの開口部を密閉するためのドローストリング、ジップロック、ツイストタイ、プラスチッククリップ、またはバネ材料を備える、携行用医療用具プロテクターシステム。
【請求項12】
前記取り外し可能なトレイが、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、または任意の他の適切な熱可塑性ポリマーを含む、請求項11に記載の携行用医療用具プロテクターシステム。
【請求項13】
前記取り外し可能なトレイがさらに、複数の浸透性アプリケーターを含み、前記複数の浸透性アプリケーターの各々が、種々の濃度の抗菌剤を含んでいる、請求項11に記載の携行用医療用具プロテクターシステム。
【請求項14】
前記密閉可能な不浸透性レセプタクルがさらに、前記携行用医療用具の全体を包含するように構成されている、請求項11に記載の携行用医療用具プロテクターシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「アンチセプティックアプリケーターおよび防御デバイス(Antiseptic Applicators and Protective Devices)」と題された2012年2月6日出願の米国特許仮出願第61/595,635号に対して優先権を主張する「携行用医療用具プロテクター(Portable Medical Device Protectors)」と題された2013年2月1日出願の米国特許仮出願第13/757,381号に対して優先権を主張し、両方ともその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
医療関連感染(Healthcare acquired infection)(HAI)は、回避可能な死亡および罹患の重要な原因として認識されてきた。米国では、HAIは毎年、ほぼ99,000例の生存に負担がかかり、ならびに追加の処置および入院において数十億ドルがかかる。Klevensら、Estimating Health Care−Associated Infection and Deaths in U.S. Hospitals,2002,Public Health Reports,第122巻、160ページ,2007。血管内カテーテル、手術部位、および侵襲性手順の部位の汚染は、デバイス取り外しおよび留置、長期の非経口抗菌療法、ならびに長期の入院およびリハビリテーションにつながる場合が多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多剤耐性微生物の伝播は、1つのコロニー形成した患者または感染した患者から他の感染しやすい患者へと、ヘルスケア提供者の手または医療用具で伝播される場合が多い。外科手術部位の感染は、皮膚の不十分な殺菌前処理から生じる場合がある。慣用的な洗浄および術前部位の清拭のためのグルコン酸クロルヘキシジン(CHG)の広範な使用によって、メチシリンに対して耐性(MRSA)およびCHGに対して耐性という両方に耐性のStaphyloccus aureusの頻度が増大した。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概説
本開示は、感染を低減および/または防止するように設計された医療用アプリケーターおよびプロテクターを記載する。一実施形態では、本開示は、携行用医療用具(例えば、聴診器)を保持するための密閉可能な不浸透性容器またはレセプタクルを備える携行用医療用具プロテクター、ならびに抗菌組成物または殺菌性組成物を担持している浸透性の吸収性および/または吸着性のアプリケーターを記載する。いくつかの実施形態では、この抗菌組成物は、水、低分子量アルコール、過酸化物または過酸化物発生剤およびキレート剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、この浸透性アプリケーターは、この経口用医療用具が複数の患者の間で用いられるか、または搬送されるときに、感染を予防しおよび/または伝播を低減するための携行用医療用具を清拭するために用いられてもよい。
【0005】
詳細な説明を、添付の図面を参照して示す。この図では、参照番号の最も左側の数字は、その参照番号が最初に出現する図を特定する。異なる図における同じ参照番号の使用は、同様または同一の事項または特徴を示す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、不浸透性容器内に位置する浸透性アプリケーターを有する例示的な携行用医療用具プロテクターを図示する。
図2図2は、不浸透性容器内に1つ以上の浸透性アプリケーターを保管するための取り外し可能なトレイを有する別の例示的な携行用医療用具プロテクターを図示する。
図3図3は、デバイス(聴診器として図示)をスクラブするための浸透性アプリケーターを保管するための取り外し可能なトレイ、ならびに再汚染を確保して予防するための不浸透性容器を有する別の例示的な携行用医療用具プロテクターを図示する。
図4】例示的な携行用医療用具プロテクターを操作するための例示的なプロセスを示しているフローダイヤグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の詳細な考察は、本明細書に記載の医療用アプリケーターおよびプロテクターに含まれてもよい例示的な抗菌組成物を詳細に記載する「例示的な抗菌組成物(Example Antimicrobial Composition)」と題されたセクションから始まる。「例示的な用具プロテクター(Example Device Protectors)」と題された次のセクションは、携行用医療用具の使用のための例示的な洗浄および保護の用具を記載する。次に、例示的な用具プロテクターを作動するための「例示的なプロセス(Example Process)」を記述する。最後に、本開示は、簡略な「結論」で結論とする。
【0008】
この概説は(セクションの表題を含めて)、下にさらに記載される単純化された形態での概念の選択を導くために示される。この概説は、読者の便利のために示されるのであって、特許請求の範囲を限定する意図もなく、続くセクションを限定する意図でもない。
【0009】
例示的な抗菌組成物
1つの例示的な実行では、本明細書に記載のアプローチと組み合わせて用いられ得る抗菌組成物は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Tennicanらに対する2011年1月21日出願の国際特許出願番号PCT/US2011/022150、およびTennicanに対する2012年11月28日出願の米国特許本出願第13/688,078号に記載される組成物を含んでもよい。例えば、抗菌組成物は、水(HO)、強力かつ非毒性のキレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)(例えば、EDTA二ナトリウム、EDTAカルシウム二ナトリウム、EDTAマグネシウム、EDTAカリウム、EDTAガリウム)またはクエン酸ナトリウム(またはEDTAの酸、塩、誘導体もしくは他の形態、またはクエン酸ナトリウム)、短鎖一価アルコール(例えば、COHの分子式およびCOの実験式を有するエタノール)および強力な、低分子酸化剤、例えば、過酸化水素(H)を含んでもよい。1つの特定の実施例では、この組成物は、水、EDTA、エタノールおよび過酸化水素から本質的に構成され得る。追加の成分としては、増粘剤、ゲル化剤、サーファクタント、発泡剤および/または泡安定剤を挙げることができる。しかし、他の実施例では、他の抗菌組成物が、本開示に記載されるアプリケーターおよびデバイスと組み合わせて用いられてもよい。
【0010】
抗菌組成物は、液体型であってもゲル型であってもよく、特定の適用の必要性次第で、1つ以上の担体または希釈液と組み合わされてもよい。例えば、抗菌組成物を洗浄剤として用いる場合、抗菌組成物は、液体型であってもよい。その場合、種々の構成要素の濃度は、その組成物が直接生きた組織にもしくは医療用具に適用されるか、および/またはその組成物が直接または間接的に(例えば、組成物が適用されるか適用された医療用具を介して)適用される組織の刺激を回避するかにかかわらず、例えば、所望のレベルの衛生および/または消毒に依存し得る。
【0011】
適用の時点で消毒を適用することに加えて、抗菌組成物はまた、混入物に対する長期の障壁を提供し得る。例えば、組成物の揮発性の構成要素(例えば、水、アルコール、過酸化水素など)が蒸発した後でさえ、キレート剤は、処理した表面(例えば、複数回使用のバイアルまたはポートの清浄化/保護器具、聴診器、指、周囲組織など)の上に、抗菌、抗真菌または殺胞子性(例えば、芽胞の発芽を妨げる)、抗寄生生物、殺精子性または精子抑制性(例えば、精子の運動性を低下する)および抗ウイルス性の質を提供する障壁として残る場合がある。細菌(例えば、staphylococcus aureus(MRSA)、Pseudimonas aeruginosaおよび他の耐性細菌)、芽胞、寄生生物、真菌およびウイルスが再生されるために必要な成分(例えば、鉄、マグネシウムおよびマンガン)の環境を奪うことによって、キレート剤は、抗菌組成物の他の構成要素が蒸発した後でさえ、混入物質に対して長期の防御を提供する。さらに、抗菌組成物中の過酸化水素は、抗菌組成物が適用される材料(例えば、シリコーン材料)の表面に対する荷電を誘導し得、これによって、この材料は、細菌または他の微生物に対して耐性になる。
【0012】
上記の抗菌組成物はまた、表面または材料に加えられた場合、混入物の視覚的指標となり得、このような指標によって、使用者は、感染を妨げるための表面を特定して浄化することが可能になり得る。
【0013】
「約」または「およそ」という用語は、例示的な抗菌組成物を記述する状況で用いる場合、許容できるか、および/または当該分野で公知である誤差の合理的な周辺値を含むと解釈されるべきである。
【0014】
例示的な用具プロテクター
種々の例示的な防御用具が本明細書で記載される。図1〜3に関して一般的に記載されるのは、1つのコロニー形成した患者、表面または使用者から、別の患者、表面または使用者への病原性生物の伝播を予防および/または軽減するように構成された例示的な用具プロテクターである。
【0015】
図1は、携行用医療用具での使用のための例示的な医療用具プロテクター100を図示する。例示的な携行用医療用具としては、限定するものではないが、聴診器、体温計、血圧モニター、パルスオキシメーター、ネブライザーおよび関連の装置、内視鏡、血糖値モニター、ドップラー、カプノグラフ、吸引ポンプ、種々の装置のマウスピース、診断または治療用の超音波トランスデューサーおよび/または他の診断装置が挙げられる。一実施形態では、例示的な用具プロテクター100は、携行用医療用具の任意の部分または全体を収容して、保護カバーとして作用するように構成されてもよい。図1に図示されるとおり、用具プロテクター100は、携行用医療用具の任意の部分または全体を収容するように、不浸透性容器102を備えてもよい。不浸透性容器102は、携行用医療用具の任意の部分または全体を包含するように設計された多数のサイズで構成されてもよい。例えば、不浸透性容器102は、聴診器の「ベル」を収容するように構成されてもよいし、または聴診器全体を収容するように構成されてもよい。不浸透性容器の組成のための例示的な材料としては限定するものではないが、ポリエチレン、酸化アルミニウム、アルミニウムホイル、シリコン酸化物でコーティングされたポリマーフィルム、ポリプロピレン、ポリシリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、マイラー、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0016】
いくつかの実施形態では、不浸透性容器102は、携行用医療用具の挿入部分をしっかり包含するように構成された容器102の開口端部106で閉鎖機構104を備えてもよい。例示的な包囲機構は限定するものではないが、ドローストリング、ジップロック、フォームオープニング(foam opening)、ツイストタイ(twist tie)、プラスチッククリップおよび/またはバネ材料を含んでもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、この閉鎖機構は、ドローストリングおよび/またはツイストタイである。これらの実施形態では、不浸透性容器の開口は、ストリング、ワイヤなどの材料を含んでもよく、これは不浸透性容器から延びる2つの末端を有する。不浸透性容器(例えば、聴診器のベル)の内容物は、ストリングの末端が引っ張られるかおよび/またはねじられる時に閉じられる。従って、不浸透性容器の開口部を閉じる。
【0018】
別の実施形態では、不浸透性容器上の閉鎖機構は、フォームオープニングであってもよい。このフォームオープニングは、携行用医療用具、またはその任意の一部が、開口部を通じて挿入されることを可能にするように構成され得る。携行用医療用具の受け入れの際に、このフォームオープニングは、開口されていない位置まで戻されてもよく、それによって不浸透性容器の外側に位置する容器から携行用医療用具を保護する。
【0019】
別の実施形態では、閉鎖機構は、バネ材料を含む。このバネ材料は、不浸透性容器の開口を閉鎖位置で保持し得る。使用者は、この閉鎖機構の対向する末端を絞って、このスプリングを活性化し、これによって不浸透性容器の開口部を開口させて、携行用医療用具の任意の部分の挿入に対してアクセス可能にし得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、浸透性アプリケーター108は、不浸透性容器102内に保管されてもよい。浸透性アプリケーター108は、抗菌性組成物または殺菌性組成物、例えば、連続するセクションに記載される抗菌性組成物で浸漬されても、またはコーティングされてもよい。いくつかの実施形態では、浸透性アプリケーター108は、不浸透性容器102から取り外されてもよいし、携行用医療用具の任意の一部(例えば、聴診器のダイヤフラム、チェストピース、配管、イヤーチップ、または任意の他の部分)を清浄化および/または消毒するために用いられてもよい。
【0021】
浸透性アプリケーター108は、種々の形状またはサイズで構成されてもよい。例えば、図1に図示されるように、アプリケーターは、不浸透性容器よりも小さくてもよい。他の実施形態では、アプリケーターは、不浸透性容器と実質的に同じサイズであってもよいし、またはそれより大きくてもよい。いくつかの実施形態では、アプリケーターは、そのアプリケーターが不浸透性容器内にあてはまることを可能にするような任意の適切な方式で、それ自体が折り畳まれても、二つ折りにされても、三重にされても、それ以外でもよい。
【0022】
別の実施形態では、浸透性アプリケーター108は、不浸透性容器102の内側裏打ちとして結合されてもよい。例えば、浸透性アプリケーターは、不浸透性容器の内側壁に対して取り外し可能に連結されても、または取り外し不能に連結されてもよい。この実施形態では、使用者は、携行用医療用具、またはその任意の一部を不浸透性容器内に置いてもよい。一旦その装置が容器の内側になれば、使用者は、例えば、メッセージ機能を用いることによって、その容器を操作してもよい。このような作用によって、浸透性アプリケーターを容器の内壁に連結して、抗菌組成物を用いて医療用具をスクラブ/消毒することが可能になる場合がある。
【0023】
浸透性アプリケーター108の組成物の例示的な材料としては限定するものではないが、デンプンポリマー、セルロースゲル、ポリエチレン発泡体、シリコーンオープンセル発泡体、またはそれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、この浸透性アプリケーター108は、使用者がこのアプリケーターを把持し、この医療用具をスクラブまたは清浄化することを補助することを可能にする、異なる表面処理(例えば、浸出、スリットなど)、表面仕上げ(例えば、マクロ−、ミクロ−またはナノ−構造など)、および/または外形(例えば、丸い、リブのある、突起部、フィンガーなど)を備えてもよい。
【0024】
図2は、例示的な用具プロテクター200の別の実施形態を図示しており、ここでは1つ以上の浸透性アプリケーター202が、不浸透性容器102内に位置する取り外し可能なトレイ204の上に保管され得る。このトレイ204は、使用者による使用の前に不浸透性容器102内で密閉され得る。いくつかの実施形態では、このトレイ204は、一旦、不浸透性容器102が開口されれば取り外されてもよく、それによって使用者は、1つ以上のアプリケーター202にアクセスするか/それを使用することが可能になる。トレイ204は、不浸透性容器102内の医療用具の任意の一部を置き換える前に廃棄されてもよい。
【0025】
1つ以上のアプリケーター202は、図1の浸透性アプリケーターに対して上記の任意の特徴を有し得る。いくつかの実施形態では、このトレイ上の1つ以上のアプリケーターの各々が、同じまたは異なる洗浄剤、消毒剤もしくは抗菌剤、またはそれらの種々の濃度を含んでもよい。
【0026】
図2は、図1を参照して上記されるような例示的なドローストリング閉鎖機構206を図示する。しかし、他の実施形態では、図1に関して上記される任意の他の閉鎖機構を、用具プロテクター200とともに用いてもよい。
【0027】
トレイ204の組成のための例示的な材料としては、限定するものではないが、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、または任意の他の適切な熱可塑性ポリマーが挙げられる。いくつかの実施形態では、トレイ204は、1つ以上の浸透性アプリケーター202を保管する各々の部分を隔てるために1つ以上の仕切り板を有するように構成されてもよい。
【0028】
図3は、用具プロテクターのさらに別の実施形態を図示する。この実施形態では、不浸透性容器300および浸透性アプリケーター302が、無菌性の破棄可能なパッケージ304内に位置してもよい。図3に示されるとおり、不浸透性容器300(トレイ204の上、および聴診器308のベル306の上の両方で示される)および浸透性アプリケーター302は、無菌性パッケージング304内のトレイ204上に配置されてもよい。無菌性パッケージ304の開口の際に、使用者は、トレイ204を取り除いて、浸透性アプリケーター302(図3に図示される聴診器308のような携行用医療用具の任意の一部を消毒するために、抗菌または殺菌性の組成物で含浸されている)を用いてもよい。このアプリケーターを用いて携行用医療用具を消毒した後に、次いで、使用者は、携行用医療用具、またはその任意の一部を、不浸透性容器300内に置いて、それを汚染から保護してもよい。例えば、図3に図示されるとおり、不浸透性容器300は、使用者がポケット、バッグなどにベルを置くときに、聴診器308のベル306が、1つ以上の汚染物質と接触しないように保護する。
【0029】
いくつかの実施形態では、不浸透性容器内に、または無菌性パッケージ中のトレイ上に配置されるアプリケーターは、浸透性,吸収性および/または吸着性の底部層に連結された不浸透性層を有するアプリケーターであってもよく、これによって、使用者の手の上にある既存の感染性因子が、浸透性底部層および携行用医療用具に移ることを妨げる。
【0030】
例示的プロセス
図4は、例示的な防御用具を操作するという上記の技術の遂行のための例示的なプロセス400を図示する。このプロセス400は、論理的フロー図として図示される。操作を記載する順序は、限定と解釈されることは意図せず、任意の多数の記載された操作を、任意の順序でおよび/または並行に組み合わせて、そのプロセスを実行してもよい。
【0031】
操作402では、用具プロテクターは、携行用医療用具での使用について特定され得る。図3の状況では、使用者が聴診器を用いて病院で部屋から部屋に移動する場合、使用者は、聴診器または聴診器のベルでの使用のための用具プロテクターを特定し得る。
【0032】
操作404では、用具プロテクターの密閉可能なまたは再密閉可能な不浸透性レセプタクルが開口され得る。図1の状況では、使用者は、ジップロック機構として示される閉鎖機構104を隔てることによって不浸透性容器を開口し得る。
【0033】
操作406では、抗菌剤または消毒剤を担持する浸透性アプリケーターは、不浸透性レセプタクルから取り出されてもよい。図1の状況においてやはり、浸透性アプリケーター108は、不浸透性容器102から取り外し可能であってもよい。
【0034】
操作408では、浸透性アプリケーターは、携行用医療用具の少なくとも一部に適用されてもよい。例えば、この浸透性アプリケーターは、聴診器全体または聴診器の任意の一部(例えば、ベル)をふき取るか拭うために用いられてもよい。
【0035】
操作410では、携行用医療用具の少なくとも一部は、用具プロテクターの不浸透性レセプタクル内に配置されてもよい。図3の状況では、聴診器308のベル306は、不浸透性容器300内に配置されてもよい。
【0036】
最終的に、操作412では、不浸透性レセプタクルは、携行用医療用具の挿入部分周囲に取り外し可能に密閉されてもよい。例えば、不浸透性レセプタクルは、図1および図2に関して上記の任意の機構によって密閉されてもよい。
【0037】
結論
本開示は、特定の構造的特徴および/または方法論的な作用を有する実施形態を記載するが、特許請求の範囲は、記載される特定の特徴にも作用にも必ずしも限定されないことが理解されるべきである。そうではなく、特定の特徴および作用は単に、開示の特許請求の範囲内におさまるいくつかの実施形態を例示するに過ぎない。
図1
図2
図3
図4