(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6272968
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】削岩機械における配置及び削岩機械の装着方法
(51)【国際特許分類】
E21B 6/04 20060101AFI20180122BHJP
【FI】
E21B6/04
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-173250(P2016-173250)
(22)【出願日】2016年9月6日
(65)【公開番号】特開2017-82572(P2017-82572A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2016年9月6日
(31)【優先権主張番号】15185209.2
(32)【優先日】2015年9月15日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515277780
【氏名又は名称】サンドヴィック マイニング アンド コンストラクション オーワイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ムートトネン, ティモ
(72)【発明者】
【氏名】ケラ, ティモ
【審査官】
亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】
特表2003−503617(JP,A)
【文献】
特開昭62−284883(JP,A)
【文献】
特開2002−295167(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0084110(US,A1)
【文献】
米国特許第04846289(US,A)
【文献】
実公昭56−015270(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 1/00−19/24
E21B 44/00−44/10
B28D 1/00−7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
削岩機械における配置であって、
削岩機械の前端部分に配置されるギアモジュール(13)と削岩機械の後端部分に配置される打撃モジュール(15)を備える削岩機械(4)であって、前記ギアモジュール(13)と前記打撃モジュール(15)は同一の軸ライン(17)上にあり、前記ギアモジュール(13)の本体(23)は前記削岩機械の前記後端部分の方を向いた第1の軸接合面(21)を含み、前記打撃モジュール(15)の本体(25)は前記削岩機械の前記前端部分の方を向いた第2の軸接合面(22)を含む削岩機械(4)と、
前記ギアモジュール(13)と前記打撃モジュール(15)を接続するための接続手段(31、34)と、
フィードビームに移動可能に支持されており、前記削岩機械(4)に対して長手方向に配置される細長いエレメントである本体部分と前記削岩機械(4)を接続するための第1の軸支持面(28)とを含むキャリッジ(5)とを含み、
前記キャリッジ(5)は、互いに横方向距離だけ離間して配置され、前記削岩機械(4)を接続するための前記軸支持面(28)が設けられた2つの固定ラグ(18)を更に備え、
前記打撃モジュール(15)は、前記キャリッジ(5)の長手方向中心線(17)で前記固定ラグ(18)の間に配置され、
前記接続手段は、複数の第1の接続手段(27)と複数の第2の接続手段(30)を含み、前記第1の接続手段(27)は、前記ギアモジュール(13)の第1の軸接合面(21)と前記打撃モジュール(15)の第2の軸接合面(22)とを互いに向かって押圧するための第1の接続力(F1)を生成し、前記第2の接続手段(30)は、前記ギアモジュール(13)の前記第1の軸接合面(21)と前記打撃モジュール(15)の前記第2の軸接合面(22)とを互いに向かって押圧するための第2の接続力(F2)を生成し、その第2の接続力(F2)は、前記ギアモジュール(13)と前記打撃モジュール(15)を前記キャリッジ(5)の前記第1の軸支持面(28)に固定するように構成されることを特徴とする配置。
【請求項2】
前記キャリッジ(5)の前記第1の軸支持面(28)は、前記削岩機械(4)の前記前端部分の方を向いており、
前記打撃モジュール(15)は、前記削岩機械の前記後端部分の方を向いた第2の軸支持面(29)を含み、
前記第1の軸支持面(28)と前記第2の軸支持面(29)は、前記第2の接続力(F2)の影響下で互いに向かって押圧されることを特徴とする、請求項1に記載の配置。
【請求項3】
前記第1の接続手段(27)は軸方向に向けられた第1の接続ボルト(31)であり、また、前記第2の接続手段(30)は軸方向に向けられた第2の接続ボルト(34)であり、
前記第1の接続ボルト(31)は、前記第2の接続ボルト(34)と比較して、前記削岩機械(4)の中心線(17)から近い距離に配置され、これにより、前記第1の接続ボルト(31)と前記第2の接続ボルト(34)は、互いに対して異なる位置に配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の配置。
【請求項4】
前記第1の接続手段(27)は軸方向に向けられた第1の接続ボルト(31)であり、また、前記第2の接続手段(30)は軸方向に向けられた第2の接続ボルト(34)であり、
前記ギアモジュール(13)の前記第1の軸接合面(21)は、接続ねじ山が設けられた幾つかの止まり孔(32)を含み、
前記第1の接続ボルト(31)は、前記止まり孔(32)に接続されたピンボルトであり、
前記打撃モジュール(15)の前記第2の軸接合面(22)は、前記ピンボルトが通る幾つかの貫通孔を含み、
前記ピンボルトの外側端部には、前記第1の接続力(F1)を生成するための締付ナット(33)が設けられ、
前記配置は、前記ギアモジュール(13)の前記第1の軸接合面(21)、前記打撃モジュール(15)の前記第2の軸接合面(22)、及び前記キャリッジ(5)の前記第1の軸支持面(28)を通る幾つかの軸方向貫通孔を更に含み、
前記第2の接続ボルト(34)は、前記軸方向貫通孔を通り、前記第2の接続力(F2)を生成するように構成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の配置。
【請求項5】
対向する前記ギアモジュール(13)の前記第1の軸接合面(21)と前記打撃モジュール(15)の前記第2の軸接合面(22)は、互いに直接接して配置され、
前記対向する軸接合面(21、22)は、前記第1の接続力(F1)と第2の接続力(F2)によって、互いに接して押圧されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の配置。
【請求項6】
前記配置は、前記ギアモジュール(13)と前記打撃モジュール(15)との間に配置される少なくとも1つの中間エレメント(42)を含み、中間エレメント(42)は、前記ギアモジュール(13)の方を向いた第3の軸接合面(44)と前記打撃モジュール(15)の方を向いた第4の軸接合面(45)を含み、
前記第1の軸接合面(21)と前記第3の軸接合面(44)は互いに接して配置され、対応して、前記第2の軸接合面(22)と前記第4の軸接合面(45)は互いに接して配置され、前記第1と第2の接続力(F1、F2)によって互いに接して押圧されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の配置。
【請求項7】
前記ギアモジュール(13)の前記後端部分は、前記第1の軸接合面(21)が設けられた第1の接続フランジ(24)を含み、
前記打撃モジュール(15)の前記本体(25)は円筒形であり、前記本体の前記前端部分は、前記第2の軸接合面(22)が設けられた第2の接続フランジ(26)を含み、
前記第2の接続手段(30)は、前記円筒形の本体部分の外表面に沿って通る外側ラインから横方向距離だけ離間して配置される接続ボルト(34)であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の配置。
【請求項8】
前記固定ラグ(18)の前記軸支持面(28)は、前記削岩機械の前記前端部分の方を向いたことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の配置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、削岩リグのフィードビームに支えられるキャリッジに装着される削岩機械を備える配置に関する。削岩機械はギアモジュールと打撃モジュールを備え、これらは同一軸ライン上に配置され、接続手段によって互いに接続される。
【0002】
本発明は更に、削岩機械の装着方法に関する。
【0003】
本発明の分野は、独立請求項のプリアンブルでより具体的に定義される。
【背景技術】
【0004】
鉱山及びその他の作業現場では、削岩機械は岩盤表面及び土壌に掘削孔を掘削するために使用される。削岩機械は、掘削工具の長手方向軸の周りでの掘削中に掘削工具を回転するための回転デバイスを備える。削岩機械はまた、掘削工具に衝撃パルスを生成するための打撃デバイスを備える。削岩機械は一般的にキャリッジに接続され、削岩リグのフィードビームに支えられる。削岩機械の稼働中には、軸方向の力は回転デバイスと打撃デバイスとの間の接続手段に向けられている。現在の解決策には、接続手段の耐久性に関する幾つかの問題点が含まれることが示されている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、削岩機械を装着するための新しい改良された配置及び方法を提供することにある。
【0006】
本発明による配置は、独立な装置クレームの特徴的な機能によって特徴付けられている。
【0007】
本発明による方法は、独立な方法クレームの特徴的な機能によって特徴付けられている。
【0008】
開示されている解決策の考え方は、削岩機械がギアモジュールと打撃モジュールを備えることである。ギアモジュールは、回転を伝えるため、ギアホイールなどのトランスミッションエレメントを備え、また、打撃モジュールは、衝撃パルスを生成するため、打撃ピストンなどの衝撃エレメントを備える。ギアモジュールと打撃モジュールは同一軸ライン上に配置され、第1の接続手段によって、互いに向かって軸方向に押圧され、第1の接続力(connecting force)を生成する。第1の接続手段と生成される第1の接続力に加えて、ギアモジュールと打撃モジュールは、第2の接続手段によって互いに向かって押圧され、第2の接続力を生成する。第2の接続手段はまた、別の目的、すなわち、キャリッジの支持面に削岩機械を固定する目的を有する。キャリッジは、削岩機械に対して長手方向に配置される細長い基本エレメントである、本体部分を備える。本体部分は、削岩機械の下方に配置されるよう意図されており、フィードビーム上に削岩機械を装着するためのベアリングが設けられている。キャリッジは、本体部分から上方に延在する2つの横断固定ラグを更に備え、これらのラグは互いに横方向距離だけ離間して配置される。これにより、固定ラグ間のキャリッジの中心線に、何もない空間が存在する。削岩機械はキャリッジの長手方向の中心線に装着され、これによって、打撃モジュールは固定ラグの間に配置される。言い換えるならば、ギアモジュールと打撃モジュールは、キャリッジへの装着前に互いに連結されてもよい。キャリッジへの接続によって付加的な接続力が生み出され、削岩機械の稼働中にモジュールに分離力が働いても、ギアモジュールと打撃モジュールとの間に配置される接合面が適切に固定されるように保証する。したがって、開示されている解決策では、第1の接続手段と第2の接続手段は共に、接合面を互いに引き離そうとする動作力が加わるにもかかわらず、軸接合面が互いに向かって押圧されることを保証する。言い換えるならば、モジュールの接続に向けられた軸力は、その結果、2つの接続システムによって共有される。
【0009】
開示されている解決策の利点は、ギアモジュールと打撃モジュールとの間の一又は複数の接合は、2つの接続システムが利用されているため、より堅牢になる点にある。ギアモジュールと打撃モジュールを引き離そうとする動作力は、第1の接続手段と第2の接続手段によって受容され、これにより応力は、1つではなく、2つの異なる接続システムによって共有される。このおかげで、接続手段の耐用年数は長くなり、故障は減少しうる。これは、削岩機械の生産性にプラスの効果をもたらす。更なる利点は、モジュールが開示されている二重接続システムによって、しっかりと装着されているため、モジュールの接合面の摩耗と変形が減少しうる点にある。ギアモジュールと打撃モジュールとの間に配置される接合面は、互いに接して連続的にしっかりと押圧されるため、対向する接合面の間に相対運動は起こらず、摩耗は低減される。また、ギアモジュールと打撃モジュールは互いに、第1の接続システムによって事前に連結されているため、削岩機械は保守及び修理の際には容易に取り外し可能である。
【0010】
一実施形態によれば、キャリッジには、削岩機械の前端部分の方を向いた一又は複数の第1の支持面が設けられている。打撃モジュールは、削岩機械の後端部分の方を向いた一又は複数の第2の軸支持面を含む。キャリッジの第1の軸支持面と打撃モジュールの第2の軸支持面は、組み立て済み削岩機械がキャリッジに装着されるとき、互いに接して配置される。第2の接続力は、互いに接して支持面を押圧し、削岩機械をキャリッジにしっかりと接続された状態に保持する。キャリッジの前向きの第1の軸支持面は、前向き送り力をキャリッジから削岩機械の本体まで伝達するための安定した軸エレメントを提供するため、有利である。キャリッジの前向きの第1の軸支持面はまた、掘削工具に沿って、掘削された物質から後向きに反射する応力パルスによって引き起こされる、後向きの力に対する支持をもたらす。したがって、送り力と反射する応力パルスは、第2の接続手段に対して余分な負荷を引き起こさない。この実施形態では、第2の接続手段は、削岩機械がフィードビーム上で反転すると、キャリッジから削岩機械の本体まで、後向きの力を伝達するように構成されている。
【0011】
一実施形態によれば、キャリッジと打撃モジュールとの接続は軸支持面を含み、開示した前述の実施形態と比較して反対の方法で方向付けられている。これにより、キャリッジには、後方を向いた一又は複数の第1の軸支持面が設けられ、また、打撃モジュールは前方を向いた一又は複数の第2の軸支持面を備える。反対の方向を向いた支持面は、互いに接して配置され、第2の接続力によって固定される。この解決策では、削岩機械がフィードビーム上で反転し、掘削機器が掘削孔から後退するときでも、第2の接続手段は余分な負荷を受けない。この解決策は、長い掘削孔が掘削され、支えられている掘削機器の重量が大きいとき、或いは、掘削機器の後退が他の何らかの理由によって問題となるときに、有利になりうる。
【0012】
一実施形態によれば、第1及び第2の接続手段は、幾つかの軸方向の接続ボルトを含む。接続ボルトとねじ込み式固定の使用は、疲労荷重に充分耐えるため、また、単純で安価なため、有利である。
【0013】
一実施形態によれば、第1及び第2の接続手段は、幾つかの軸方向の接続ボルトを含む。しかも、第1の接続手段、すなわち第1の接続ボルトと、第2の接続手段、すなわち第2の接続ボルトは、削岩機械の中心線から異なる距離に配置される。これにより、第1の接続ボルトの長手方向軸と中心線との間を横断する第1の距離は、第2の接続ボルトの長手方向軸と中心線との間を横断する第2の距離よりも小さくなる。この実施形態のおかげで、接続ボルトを配置するための空間はより大きくなり、これにより、第1及び第2の接続ボルトの数が制限される必要がなくなり、容易なアクセスが保証され、接続ボルトの装着と取り外しが円滑になる。
【0014】
一実施形態によれば、第1及び第2の接続手段は、幾つかの軸方向の接続ボルトを含む。第1の接続手段は幾つかのピンボルトを含み、第2の接続手段は幾つかの通しボルトを含む。ピンボルト、又はサイドボルトは、ギアモジュールの後向きの第1の軸接合面に配置される、ねじ山の付いた止まり孔に締め込まれる。打撃モジュールの前向きの第2の軸接合面は、ピンボルトの位置に適合する幾つかの貫通孔を含み、これにより、ピンボルトの自由端は貫通孔を通過しうる。ピンボルトの自由端には、締付ナットをピンボルトにねじ込んで、第1の接続力を生成するための、ねじ山が設けられている。ピンボルトは、装着作業中に打撃モジュールをガイドしうるため、打撃モジュールの装着を容易にする。ピンボルトは止まり孔に締め付けられるため、ギアモジュール側にボルトヘッドのための空間を確保する必要はない。更なる利点は、ピンボルトが削岩機械の中心線に近接して配置されうることで、中心線からより遠い距離で支えられる状況と比較して、接合面により良好な支持がもたらされる点にある。しかも、この配置は、第2の接続ボルト用の幾つかの貫通孔を含む。第2の接続ボルトは、ギアモジュールの第1の接続面の第1の貫通孔を通り、打撃モジュールの第2の接続面の第2の貫通孔を通り、更にキャリッジの支持面の第3の貫通孔を通る。第1、第2及び第3の貫通孔は、第2の接続ボルトがこれらを通るように平行になっている。第2の接続ボルトはその第1の端部にねじ付きの頭部を有し、第2の端部には締付ナットを受容するためのねじ山が設けられている。第2の接続力は、締付ナットによって第2のボルトを締め付けることによって生成される。
【0015】
一実施形態によれば、ギアモジュールの後向きの第1の軸接合面と、打撃モジュールの前向きの第2の軸接合面は、互いに直接接して配置される。対向する接合面は、2つの固定システムによって互いに対して押圧され、これにより、第1の接続力と第2の接続力は互いに接して接合面をしっかりと保持する。したがって、この実施形態では、モジュールの第1の接合面と第2の接合面との間に、他の機械エレメント、デバイス又は本体部分は配置されない。
【0016】
一実施形態によれば、ギアモジュールの後向きの第1の軸接合面と、打撃モジュールの前向きの第2の軸接合面は、互いに直接接して配置されない。モジュール同士を直接接触させる代わりに、この配置は両者の間に配置される少なくとも1つの中間エレメントを含む。中間エレメントは、例えば、機械コンポーネント又は本体部品となりうる。中間エレメントは、ギアモジュールの方を向いた前向きの第3の軸接合面と、打撃モジュールの方を向いた後向きの第4の軸接合面を含む。中間エレメントはギアモジュールと打撃モジュールとの間に配置されるため、ギアモジュールの後向きの第1の接合面と中間エレメントの前向きの第3の接合面は互いに接して配置される。これに対応して、打撃モジュールの前向きの第2の接合面と中間エレメントの後向きの第4の接合面は、互いに接して配置される。前述の対向する接合面は、第1及び第2の接続手段によって、互いに接して押圧される。中間エレメントは、軸方向ベアリングモジュールなどの、補助デバイス又はモジュールであってもよい。代替的に、中間エレメントは、キャリッジに装着可能な支持フランジであってもよい。
【0017】
一実施形態によれば、ギアモジュールと打撃モジュールは共に、軸接合面が設けられたフランジを備える。次に、ギアモジュールの後端部分は第1の軸接合面が設けられた第1の接続フランジを備え、打撃モジュールの円筒形の本体の前端部分は第2の軸接合面が設けられた第2の接続フランジを備える。フランジのおかげで、モジュールの本体部分に充分な接合面領域が提供される。フランジの使用は、接続ボルトと接続ボルトに必要とされる開口部の配置に関しても有益である。例えば、フランジにより、打撃モジュールの本体は、比較的薄い壁の円筒形エレメントにすることができる。第2の接続ボルトは、円筒形の本体の外表面に沿って通る外側ラインから横方向距離だけ離間されるように、フランジに配置される。
【0018】
一実施形態によれば、固定ラグには前向きの軸支持面が設けられており、また、第2の接続ボルトを受容するための貫通孔を備える。打撃モジュールの後向きの軸支持面は、固定ラグの前向き支持面に対して固定され、その接続は第2の接続ボルトによって固定される。開示されている固定ラグのおかげで、ギアモジュールと打撃モジュールとの接合は、キャリッジの構造に属する支持エレメントなしであってもよい。
【0019】
一実施形態によれば、ギアモジュールの前端部分は前方支持体によってキャリッジに支持されており、また、これに対応して、打撃モジュールの後端部分は後方支持体によってキャリッジに支持されている。ギアモジュールと打撃モジュールの本体の遠位端は支持フランジを備えうる。キャリッジの前方支持体と後方支持体は、横断装着ボルトを使用することによって、支持フランジが支持され固定される、上向きの面を備えうる。軸力はキャリッジの軸支持面によって受容されるため、開示されている端部支持体は、垂直負荷を受容するという主目的を有する。
【0020】
一実施形態によれば、削岩機械はギアモジュールの正面にフラッシング筐体(flushing housing)を備える。フラッシング筐体は、軸固定ねじによってギアモジュールの正面フランジに接続される後方フランジを備えうる。フラッシング筐体は更に、フラッシング筐体内部と更に掘削工具を介して掘削孔の底までフラッシング液を送り込むための、少なくとも1つの供給ポートを備える。フラッシング筐体は、削岩機械のための一種の前面カバーの役割を果たしうる。フラッシング筐体は、削岩機械がキャリアに装着されるときには、一体に組み立て済みであってもよい。
【0021】
一実施形態によれば、削岩機械の前端部分は、軸スプラインによって、或いはギアモジュールのギアシステムに係合した対応する回転トランスミッションエレメントによって回転される軸シャンクである。シャンクの最後方端部は、打撃モジュールからの衝撃パルスを受容するための衝撃面を備える。掘削中、シャンクは軸方向に移動させることができる。シャンクの軸位置及び衝撃面に作用を与えるため、削岩機械には軸方向ベアリングモジュールが設けられている。軸方向ベアリングモジュールは、軸方向に移動可能で、シャンクの軸位置に作用する、一又は複数の軸ピストンを備える。軸ピストンは、打撃ピストンの周りに配置されたスリーブ状の物体であってもよく、油圧可動式であってもよい。代替的に、幾つかの軸シャフト状のピストンは、打撃ピストンの周りに配置されうる。軸方向ベアリングモジュールは打撃モジュールの前端部分に配置され、これにより、ベアリングモジュールの軸ピストンは直接的に、或いは一又は複数の軸トランスミッションエレメントによって、シャンクまで到達する。軸方向ベアリングモジュールの軸ピストンがシャンクを前方に押圧すると、次に軸方向ベアリングモジュールは、打撃モジュールからギアモジュールを押しのけるように働く力を生成する。軸方向ベアリングモジュールの稼働によって生成された力は、第1及び第2の接続ボルトによって受容される。
【0022】
一実施形態によれば、削岩リグは軸方向ベアリングを備えるが、これは打撃モジュール内に配置されていないという点で、上記で開示した実施形態と異なる。この配置はむしろ、ギアモジュールと打撃モジュールとの間に配置された中間エレメントを備え、中間モジュールは軸方向ベアリングを備える。したがって、軸方向ベアリングが設けられた中間エレメントは、容易に取り外し可能で、1つの完成したエレメントとして置換されうる。中間エレメントは、ギアモジュールの対向する接合面と打撃モジュールとの間にあるため、軸方向ベアリングに由来する軸力は、本願で開示されている2つの接続手段によって受容される。中間エレメントはフランジ状のエレメントであってもよい。
【0023】
一実施形態によれば、打撃モジュールの本体は、打撃モジュールの前端部分に横方向接続フランジを備える細長い円筒形部品で、接続フランジには第2の軸接合面が設けられている。更に、打撃モジュールの本体の後端には後方カバーが設けられている。
【0024】
一実施形態によれば、打撃モジュールは圧力媒体動作式打撃デバイスを備える。次に、打撃ピストンによって、或いは他の何らかの種類の衝撃エレメントを利用して、衝撃パルスを生成するため、高圧下の圧力媒体が打撃モジュールに送り込まれる。送り込まれた高加圧油圧オイル、又は他の何らかの流体は、削岩機械内部に軸力を引き起こし、ギアモジュールと打撃モジュールを互いに反対方向に押し出す。生成された内部圧力に基づく力は、第1及び第2の接続手段によって受容される。したがって、二重接続システムは、生成された圧力に基づく内部の力に対して反対の力をもたらす。
【0025】
一実施形態によれば、打撃モジュールは、打撃モジュールの本体内部で支えられ、削岩機械の前端部分に向かう衝撃方向と、これに対応して後端部分に向かう戻り方向とにおいて、軸方向に動くように配置される打撃ピストンを含む。ギアモジュール内部には、回転可能で軸方向に移動可能なギアモジュールの本体に支えられるシャンクがある。ギアモジュールは更に、シャンクをその長手方向軸の周りに回転するため、シャンクに回転トルクを伝達するためのギアトランスミッションを備える。シャンクは、ねじ式装着によって掘削工具をシャンクに接続するため、シャンクの前端部分に接続ねじ山を備える。この実施形態では、打撃モジュールの稼働は往復する打撃ピストンに基づいており、打撃ピストンは、衝撃方向に向かう運動の最後にシャンクの衝撃面を叩き、衝撃後、運動の方向が復帰運動から衝撃方向の運動に再び変化するまで、逆方向に動く。打撃ピストンの往復運動は、開示されている二重接続手段によって受容されうる軸力を引き起こす。打撃ピストンの加速と減速は軸力を引き起こし、これにより、軸方向の接続手段は軸方向の応力と疲労を受ける。これらの負荷は2つの接続システムで共有されるため、長い耐用年数が保証される。
【0026】
一実施形態によれば、打撃モジュールは、往復運動しない衝撃エレメントを備える。その代わりに、衝撃エレメントの長さは短縮されてもよく、急に元の長さに戻るときに、衝撃パルスが発生する。したがって、本願により詳細に開示されている以外の種類の打撃モジュールも、開示されている配置で利用されうる。
【0027】
一実施形態によれば、回転デバイスは、ギアモジュール、固定ラグ及び打撃モジュールの軸接続配置の上方に位置する回転モータを含む。回転モータは、ギアモジュールの後端から削岩機械の後端に向かって延在しうる。この配置のおかげで、回転モータが削岩機械の横方向の寸法を増大させることはない。
【0028】
一実施形態によれば、回転デバイスは、ギアモジュール、固定ラグ及び打撃モジュールの軸接続配置の側面上に位置する回転モータを含む。この配置のおかげで、回転モータが削岩機械の高さ方向の寸法を大きくすることはない。
【0029】
一実施形態によれば、開示されている配置は、可動キャリア、少なくとも1つの掘削ブーム及び少なくとも1つの掘削ブーム内のフィードビームを含む削岩リグに適用される。
【0030】
上述の開示された実施形態は、開示された必要な機能を備えた適切な解決策を形成するため、組み合わせ可能である。
【0031】
幾つかの実施形態は、添付の図面により詳細に説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】フィードビーム上に配置された削岩機械を示す側面図である。
【
図2a】削岩機械のモジュールの組立、並びに削岩機械のキャリッジへの装着に関する現在の解決策の基本原理を示す上面図である。
【
図2b】削岩機械のモジュールの組立、並びに削岩機械のキャリッジへの装着に関する現在の解決策の基本原理を示す上面図である。
【
図2c】削岩機械のモジュールの組立、並びに削岩機械のキャリッジへの装着に関する現在の解決策の基本原理を示す上面図である。
【
図3】ギアモジュールと打撃モジュールを備え、両モジュール間の二重接続システムを備える削岩機械を示す概略側面図である。
【
図5】打撃モジュールのフロントエンド部分に開示されている固定システムと軸方向ベアリングを備える削岩機械を示す、概略的な部分側断面図である。
【
図6】代替的な接続配置を示す概略上面図で、削岩機械は、キャリッジの固定ラグの後方に向けられた支持面に対して固定される。
【
図7】ギアモジュールと打撃モジュールとの間の中間モジュールを含む削岩機械の概略側面図である。
【
図8】
図7に示した削岩機械の概略上面図で、中間モジュール又はエレメントにはシャンクの軸位置に作用するための軸方向ベアリングが装備されることを更に図解している。
【0033】
明確にするため、これらの図は、開示されている解決策の実施形態の幾つかを単純化した方法で示している。これらの図では、同様の参照番号は同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、ブーム2によって削岩リグの可動キャリア(図示せず)に接続されうる、実現可能な削岩ユニット1を示している。掘削ユニット1は、フィードビーム3及び、キャリッジ5によってフィードビームの上に支持される削岩機械4を備えうる。削岩機械4は、キャリッジ5に接続されるフィードデバイス6によって、フィードビーム3上の掘削方向A及び反転方向Bに動かされうる。削岩機械4は、掘削工具8を接続するため、削岩機械4の前端部にシャンク7を備える。掘削工具8は、掘削工具8の遠位端に配置される一又は複数の掘削ロッド及び掘削ビット9を備えうる。削岩機械4は、シャンク7及びシャンク7に接続された掘削工具8を回転(R)するための回転デバイス10を更に備える。また、削岩機械4には、掘削工具8に衝撃パルスPを生成するための往復打撃ピストンなど、衝撃エレメントを含む打撃デバイス11が備わっている。
【0035】
図1は更に、回転デバイス10が回転モータ12を含むことを開示しており、回転モータは、例えば、油圧モータであってもよい。回転モータ12によって生成されるトルクは、ギアモジュール13によってシャンク7へ伝達される。ギアモジュール13は、ギアモジュール13の本体内にギアシステムを備える。ギアモジュールの前端はフラッシング筐体14を含んでもよく、また、ギアモジュール13の後端は打撃モジュール15に接続され、打撃モジュール内部には、衝撃パルスPを生成するための対応する衝撃エレメントの打撃ピストン16が配置される。このように、打撃デバイス11は圧力流体動作式、典型的には油圧動作式であってもよく、そのため、打撃モジュール15は削岩リグの油圧回路に接続される。削岩機械4は、キャリッジ5に装着する前に組み立て済みであってもよく、或いは、少なくともギアモジュール13と打撃モジュール15は直接的に、或いは一又は複数の中間エレメントを介して相互接続されている。見てわかるとおり、ギアモジュール13と打撃モジュール15は、同一の軸ライン17上に連続的に配置されている。キャリッジ5は、軸方向に支持されうる削岩機械4に対して、一又は複数の固定ラグを備えうる。モジュール13と15との間の接合19は、モジュールを互いに引き離す力を受ける。このような力は、高圧流体が打撃モジュールに送り込まれるとき、往復打撃ピストンが加速及び減速されるとき、また、衝撃パルスPが掘削される物質から反射され、反射衝撃パルスRPとして受容されるときに生成される。軸方向の力は、掘削中に前向き送り力FAが生成されるときには、また、削岩機械4の後退のために後向き送り力FBが生成されるときには、削岩機械4と固定ラグ又はキャリッジ5の表面との間の軸接続20に向けられる。したがって、接合19と軸接続20は軸力の影響下にあるため、本願で開示される二重固定システムは有益である。
【0036】
更に述べるならば、掘削方向Aは前方向を示し、反転方向Bは後方向を示す。
【0037】
掘削現場では、一又は複数の掘削孔が掘削ユニット1によって掘削される。掘削孔は、
図1に示すように水平方向に、或いは垂直方向に掘削されてもよい。開示されている解決策はトップハンマー掘削として知られている。本願に開示されている機能は、このような掘削機械に適用されうる。
【0038】
図2a〜
図2cは、削岩機械4をキャリッジ5に組み立てる段階を単純な方法で図解している。
図2aは、ギアモジュール13には後向きの第1の接合面21が設けられ、打撃モジュール15には前向きの第2の接合面22が設けられていることを示している。ギアモジュール13は本体23を含み、その後端にはフランジ24が設けられていてもよい。また、これに対応して、打撃モジュール15の本体25にはフランジ26が備わっていてもよい。
図2bでは、互いに向き合う接合面21、22が互いに接して配置され、第1の接続手段27によって接続され、この接続手段は第1の接続力(F1)を生成する。したがって、
図2bでは、モジュール13と15の間で接合19が行われる。これは、削岩機械4がキャリッジ5に装着される前に、組み立て済みであってもよく、或いは少なくとも部分的に組み立て済みであってもよいことを意味する。
図2bは更に、固定ラグ18が、
図2cに示されている第2の接続手段30によって、打撃モジュール15の後向きの第2の軸支持面29が固定されうる前向きの第1の軸支持面28を含むことを示している。これにより、軸接続20が、削岩機械4とキャリア5との間に形成される。
【0039】
図3〜
図5、
図7及び
図8では、生成される接続力を示すため、接続ボルトに関連して小さな矢印が開示される。
【0040】
図3と
図4は、上記で開示されている装着原理が接合19と軸接続20に適用される配置を開示している。ギアモジュール13と打撃モジュール15の軸接合面は、第1の接続力F1と第2の接続力F2によって、互いに接して押圧される。第1の接続力F1は第1の接続ボルト31によって生成され、第1の接続ボルトは、ギアモジュール13のねじ式止まり孔32にねじ込まれるピンボルトであってもよい。ピンボルトの対向端部には、締め付けナット33が準備されうる。第2の固定力F2は、作られた孔を通ってフランジ24、26及び固定ラグ18に至る第2の接続ボルト34によって生成されうる。
【0041】
図3及び
図4は更に、打撃モジュール15の本体25は実質的に円筒形であってもよいこと、並びに、本体の後端には端部カバー35が設けられうることを開示している。打撃モジュールの本体の後方部分とキャリッジ5との間には、垂直な後方支持体36があってよく、また、これに対応して、ギアモジュール13の本体23の前方部分とキャリッジ5との間には、垂直な前方支持体37があってよい。垂直支持体36及び37は、垂直支持面とねじ込み式固定手段を備えうる。
【0042】
図5は、打撃モジュール15の前端に軸方向ベアリングモジュール38を備える削岩機械を示している。軸方向ベアリングモジュール38は、シャンク7の軸位置に作用しうる軸方向ピストン39に類似したスリーブを備えうる。軸方向ピストン39によって生成される力は、直接的に、又はトランスミッションエレメント40を介して、シャンクへ伝達されうる。軸方向ベアリングモジュール38の稼働は、モジュールへの軸方向支持力を引き起こし、この力は第1の接続ボルト31及び第2の接続ボルト34によって受容される。
図5の開示されている実施形態は、これ以前の
図1〜
図4で開示されている実質的に同様な他の特徴を含む。
【0043】
図6は、ギアモジュール13が固定ラグ18の後向き支持面に対して配置された前向き支持面41を備え、代替的な配置を開示している。他の特徴はすべて、上記で開示した実施形態に従いうる。
【0044】
図7及び
図8は、ギアモジュール13と打撃モジュール15との間に中間モジュール42がある配置を示している。中間モジュール42は、軸方向ベアリングモジュールのための空間43を含みうる。その結果、打撃モジュールには軸方向ベアリングモジュールは1つもない。ベアリングモジュールは、
図5に開示されるものに対応しうる。中間モジュール42の後端は後方に突出する部分を備えることがあり、打撃モジュールの前端は突出部分を受容する陥凹部分を備えうる。中間エレメント42は、ギアモジュール13の方を向いた第3の軸接合面44と、打撃モジュール15の方を向いた第4の軸接合面45を備える。ギアモジュールの第1の接合面21と中間モジュール42の第3の接合面44は互いに接して配置され、また、これに対応して、打撃モジュールの第2の接合面と中間モジュール42の第4の接合面45は互いに対向して配置される。第1の接続ボルト31と第2の接続ボルト34は、前述の軸接合面を互いに接して押圧し、二重接続システムによって生成される軸接続力F1とF2によって、軸接合面を固定された状態に保つ。
【0045】
図5及び
図8では、往復打撃ピストン16などの衝撃エレメントは、破線で非常に簡略化されて示されている。
【0046】
図面及びこれに関連する記載は、本発明の概念を示すことのみを意図している。本発明の詳細は、特許請求の範囲内で変化しうる。