(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ハンドと、前記ハンドが先端側に回動可能に連結される先端側アーム部および前記先端側アーム部の基端側が先端側に回動可能に連結される第1アーム部を有するアームと、前記先端側アーム部と前記第1アーム部とを回動可能に連結する第1関節部と、前記ハンドと前記先端側アーム部とを回動可能に連結する第2関節部とを備え、
前記ハンド、前記先端側アーム部および前記第1アーム部は、真空中に配置され、
前記先端側アーム部および前記第1アーム部は、中空状に形成されるとともに、前記先端側アーム部の内部および前記第1アーム部の内部は、大気圧となっており、
前記第1関節部は、動力が入力される第1入力軸と、前記第1入力軸に入力される動力を減速して出力する第1出力軸と、前記第1入力軸および前記第1出力軸を回転可能に支持する第1ケース体とを有する第1減速機を備えるとともに、前記先端側アーム部と前記第1アーム部との連結部分から真空中への空気の流出を防ぐ第1磁性流体シールを備え、
前記第2関節部は、動力が入力される第2入力軸と、前記第2入力軸に入力される動力を減速して出力する第2出力軸と、前記第2入力軸および前記第2出力軸を回転可能に支持する第2ケース体とを有する第2減速機を備えるとともに、前記ハンドと前記先端側アーム部との連結部分から真空中への空気の流出を防ぐ第2磁性流体シールを備え、
前記第1磁性流体シールは、その外周側部分を構成するとともに前記第1ケース体が固定される第1シールケース体と、前記第1シールケース体の内周側に回転可能に保持されるとともに前記第1出力軸が固定される第1内周側部材と、軸受と永久磁石と磁性流体とを有し径方向における前記第1シールケース体と前記第1内周側部材との間に配置される第1軸受シール部とを備え、
前記第2磁性流体シールは、その外周側部分を構成するとともに前記第2ケース体が固定される第2シールケース体と、前記第2シールケース体の内周側に回転可能に保持されるとともに前記第2出力軸が固定される第2内周側部材と、軸受と永久磁石と磁性流体とを有し径方向における前記第2シールケース体と前記第2内周側部材との間に配置される第2軸受シール部とを備え、
前記第1ケース体は、前記第1シールケース体を介して前記先端側アーム部に固定され、前記第2ケース体は、前記第2シールケース体を介して前記先端側アーム部に固定されていることを特徴とする産業用ロボット。
2個の前記ハンドと、2個の前記先端側アーム部と、2個の前記第1アーム部と、2個の前記第1アーム部の基端側が固定されるアーム支持部と、上下方向を回動の軸方向とする前記アーム支持部の回動が可能となるように前記アーム支持部が連結される本体部とを備えることを特徴とする請求項1または2記載の産業用ロボット。
ハンドと、第1アーム部、第2アーム部および第3アーム部を有し前記ハンドが先端側に回動可能に連結されるアームと、前記第2アーム部と前記第1アーム部とを回動可能に連結する第1関節部と、前記第3アーム部と前記第2アーム部とを回動可能に連結する第2関節部とを備え、
前記第3アーム部の基端側は、前記第2アーム部の先端側に回動可能に連結され、
前記第2アーム部の基端側は、前記第1アーム部の先端側に回動可能に連結され、
前記ハンド、前記第3アーム部、前記第2アーム部および前記第1アーム部は、真空中に配置され、
前記第2アーム部および前記第1アーム部は、中空状に形成されるとともに、前記第2アーム部の内部および前記第1アーム部の内部は、大気圧となっており、
前記第1関節部は、動力が入力される第1入力軸と、前記第1入力軸に入力される動力を減速して出力する第1出力軸と、前記第1入力軸および前記第1出力軸を回転可能に支持する第1ケース体とを有する第1減速機を備えるとともに、前記第2アーム部と前記第1アーム部との連結部分から真空中への空気の流出を防ぐ第1磁性流体シールを備え、
前記第2関節部は、動力が入力される第2入力軸と、前記第2入力軸に入力される動力を減速して出力する第2出力軸と、前記第2入力軸および前記第2出力軸を回転可能に支持する第2ケース体とを有する第2減速機を備えるとともに、前記第3アーム部と前記第2アーム部との連結部分から真空中への空気の流出を防ぐ第2磁性流体シールを備え、
前記第1磁性流体シールは、その外周側部分を構成するとともに前記第1ケース体が固定される第1シールケース体と、前記第1シールケース体の内周側に回転可能に保持されるとともに前記第1出力軸が固定される第1内周側部材と、軸受と永久磁石と磁性流体とを有し径方向における前記第1シールケース体と前記第1内周側部材との間に配置される第1軸受シール部とを備え、
前記第2磁性流体シールは、その外周側部分を構成するとともに前記第2ケース体が固定される第2シールケース体と、前記第2シールケース体の内周側に回転可能に保持されるとともに前記第2出力軸が固定される第2内周側部材と、軸受と永久磁石と磁性流体とを有し径方向における前記第2シールケース体と前記第2内周側部材との間に配置される第2軸受シール部とを備え、
前記第1ケース体は、前記第1シールケース体を介して前記第2アーム部に固定され、前記第2ケース体は、前記第2シールケース体を介して前記第2アーム部に固定されていることを特徴とする産業用ロボット。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
(産業用ロボットの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の平面図である。
図2は、
図1に示すアーム6、7の基端側部分およびアーム支持部8の断面図である。
図3は、
図1に示すアーム6の断面図である。
図4は、
図1に示すアーム7の断面図である。
【0020】
本形態の産業用ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、たとえば、搬送対象物である有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ用のガラス基板2(以下、「基板2」とする。)を搬送するためのロボットである。このロボット1は、図示を省略する有機ELディスプレイの製造システムに組み込まれて使用され、高温の基板2を搬送する。
【0021】
図1に示すように、ロボット1は、基板2が搭載される2個のハンド4、5と、ハンド4が先端側に回動可能に連結されるアーム6と、ハンド5が先端側に回動可能に連結されるアーム7と、アーム6、7の基端側が固定されるアーム支持部8と、アーム支持部8が回動可能に連結される本体部9とを備えている。ハンド4、5、アーム6、7およびアーム支持部8は、本体部9の上側に配置されている。
【0022】
ハンド4、5、アーム6、7、アーム支持部8および本体部9の上端側は、有機ELディスプレイの製造システムを構成する真空チャンバーの内部に配置されている。すなわち、ハンド4、5、アーム6、7、アーム支持部8および本体部9の上端側は、真空領域VRの中(真空中)に配置され、本体部9の上端側を除いた部分は、大気領域ARの中(大気中)に配置されており(
図2参照)、ロボット1は、ハンド4、5に搭載された基板2を真空中で搬送する。
【0023】
ハンド4、5は、アーム6、7に連結される基部11と、基板2が搭載される2本のフォーク部12とを備えている。フォーク部12は、直線状に形成されている。また、2本のフォーク部12は、互いに所定の間隔をあけた状態で平行に配置されている。
【0024】
本体部9は、中空状に形成されるケース体13と、アーム支持部8の下面に固定される中空状の回転軸14とを備えている。回転軸14は、上下方向を軸方向とする細長い円筒状に形成されている。回転軸14の上端は、アーム支持部8の下面に固定されており、アーム支持部8は、上下方向を回動の軸方向とする回動が可能となっている。回転軸14の上端側部分は、ケース体13の上端面よりも上側へ突出し、回転軸14の、上端側部分を除いた部分は、ケース体13の内部に収容されている。
【0025】
ケース体13の内部には、ケース体13に対してアーム支持部8を回動させるためのモータ(図示省略)が配置されている。このモータには、たとえば、プーリ、ベルトおよび減速機を介して回転軸14の下端側が連結されている。また、ケース体13の内部には、回転軸14等を昇降させる昇降機構(図示省略)が配置されている。ケース体13の上端側部分は、真空領域VRの中に配置され、ケース体13の、上端側部分を除いた部分は、大気領域ARの中に配置されている。ケース体13の内部は、大気圧となっており、回転軸14の外周側には、真空領域VRへの空気の流出を防ぐための磁性流体シールおよびベローズ(図示省略)が配置されている。
【0026】
アーム支持部8は、中空状に形成されており、支持部本体15と3個の蓋部材16とを備えている。蓋部材16は、アルミニウム合金で形成されている。また、蓋部材16は、円板状に形成されている。支持部本体15は、アルミニウム合金で形成されている。また、支持部本体15は、支持部本体15の上面を構成する上面部15aと、支持部本体15の下面を構成するとともに上面部15aと所定の隙間を介して略平行に対向配置される下面部15bと、上面部15aの外周端と下面部15bの外周端とを繋ぐ側面部15cとから構成されている。上面部15aおよび下面部15bは、細長い略長円形の平板状に形成されており、上下方向で対向している。側面部15cは、上下方向から見たときの形状が細長い略長円形状となる筒状に形成されている。
【0027】
上面部15aには、円形状の3個の開口部15d、15eが上下方向へ貫通するように形成されている。3個の開口部15d、15eのうちの1個の開口部15dは、上面部15aの中心に形成され、残りの2個の開口部15eは、略長円形に形成される上面部15aの長手方向における両端側に形成されている。下面部15bにも、円形状の3個の開口部15f、15gが上下方向に貫通するように形成されている。3個の開口部15f、15gのうちの1個の開口部15fは、下面部15bの中心に形成され、残りの2個の開口部15gは、略長円形に形成される下面部15bの長手方向における両端側に形成されている。
【0028】
下面部15bの下面には、回転軸14の上端が固定されている。回転軸14は、開口部15fを囲むように、下面部15bの下面に固定されており、回転軸14の内周側とアーム支持部8の内部とが通じている。すなわち、アーム支持部8の内部は、ケース体13の内部に通じており、アーム支持部8の内部は、大気圧となっている。
図2に示すように、開口部15dは、蓋部材16によって上側から塞がれ、2個の開口部15gは、蓋部材16によって下側から塞がれている。支持部本体15と蓋部材16との間には、真空領域VRへの空気の流出を防止する環状のシール部材(図示省略)が配置されている。
【0029】
アーム6は、互いに相対回動可能に連結される第1アーム部20と第2アーム部21との2個のアーム部によって構成されている。第1アーム部20および第2アーム部21は、中空状に形成されている。すなわち、アーム6の全体は、中空状に形成されている。第1アーム部20の基端側は、アーム支持部8に固定されている。第1アーム部20の先端側には、第2アーム部21の基端側が回動可能に連結されている。第2アーム部21の先端側には、ハンド4が回動可能に連結されている。本形態の第2アーム部21は先端側アーム部である。
【0030】
第1アーム部20と第2アーム部21との連結部は、関節部22となっており、関節部22は、第1アーム部20と第2アーム部21とを回動可能に連結している。アーム6とハンド4との連結部(すなわち、第2アーム部21とハンド4との連結部)は、関節部23となっており、関節部23は、第2アーム部21とハンド4とを回動可能に連結している。第2アーム部21は、第1アーム部20よりも上側に配置され、ハンド4は、第2アーム部21よりも上側に配置されている。本形態の関節部22は第1関節部であり、関節部23は第2関節部である。
【0031】
アーム7は、互いに相対回動可能に連結される第1アーム部25と第2アーム部26との2個のアーム部によって構成されている。第1アーム部25および第2アーム部26は、中空状に形成されている。すなわち、アーム7の全体は、中空状に形成されている。第1アーム部25の基端側は、アーム支持部8に固定されている。第1アーム部25の先端側には、第2アーム部26の基端側が回動可能に連結されている。第2アーム部26の先端側には、ハンド5が回動可能に連結されている。本形態の第2アーム部26は先端側アーム部である。
【0032】
第1アーム部25と第2アーム部26との連結部は、関節部27となっており、関節部27は、第1アーム部25と第2アーム部26とを回動可能に連結している。アーム7とハンド5との連結部(すなわち、第2アーム部26とハンド5との連結部)は、関節部28となっており、関節部28は、第2アーム部26とハンド5とを回動可能に連結している。第2アーム部26は、第1アーム部25よりも上側に配置されている。ハンド5は、第2アーム部26よりも下側、かつ、第1アーム部25よりも上側に配置されている。本形態の関節部27は第1関節部であり、関節部28は第2関節部である。
【0033】
(アームの構成、アームの内部の構成および関節部の構成)
図5は、
図3のE部の拡大図である。
図6は、
図3のF部の拡大図である。
図7は、
図6のK部の拡大図である。
図8は、
図6のL部の拡大図である。
図9(A)は、
図5に示す蓋部材32の断面図であり、
図9(B)は、
図9(A)のG−G方向から蓋部材32を示す図である。
図10は、
図4のH部の拡大図である。
図11は、
図4のJ部の拡大図である。
図12は、
図11のM部の拡大図である。
図13は、
図11のN部の拡大図である。
【0034】
第1アーム部20は、アーム部本体31と3個の蓋部材32と1個の蓋部材33とを備えている。アーム部本体31は、アルミニウム合金で形成されている。また、アーム部本体31は、アーム部本体31の上面を構成する上面部31aと、アーム部本体31の下面を構成するとともに上面部31aと所定の隙間を介して略平行に対向配置される下面部31bと、上面部31aの外周端と下面部31bの外周端とを繋ぐ側面部31cとから構成されている。上面部31aおよび下面部31bは、細長い略長円形の平板状に形成されており、上下方向で対向している。上面部31aは、第1アーム部20の上面の一部を構成し、下面部31bは、第1アーム部20の下面の一部を構成している。側面部31cは、上下方向から見たときの形状が細長い略長円形状となる筒状に形成されている。
【0035】
上面部31aには、円形状の4個の開口部31d、31eが上下方向へ貫通するように形成されている。4個の開口部31d、31eは、略長円形に形成される上面部31aの長手方向において所定の間隔で形成されている。本形態では、上面部31aの最も先端側に開口部31eが形成され、残りの3個の開口部31dが開口部31eよりも、上面部31aの基端側に形成されている。下面部31bにも、円形状の2個の開口部31f、31gが上下方向に貫通するように形成されている。開口部31fは、下面部31bの先端側に形成され、開口部31gは、下面部31bの基端側に形成されている。
【0036】
第2アーム部21は、アーム部本体34と2個の蓋部材32と2個の蓋部材33とを備えている。アーム部本体34は、アルミニウム合金で形成されている。また、アーム部本体34は、アーム部本体34の上面を構成する上面部34aと、アーム部本体34の下面を構成するとともに上面部34aと所定の隙間を介して略平行に対向配置される下面部34bと、上面部34aの外周端と下面部34bの外周端とを繋ぐ側面部34cとから構成されている。上面部34aおよび下面部34bは、細長い略長円形の平板状に形成されており、上下方向で対向している。上面部34aは、第2アーム部21の上面の一部を構成し、下面部34bは、第2アーム部21の下面の一部を構成している。側面部34cは、上下方向から見たときの形状が細長い略長円形状となる筒状に形成されている。
【0037】
上面部34aには、円形状の4個の開口部34d、34e、34fが上下方向へ貫通するように形成されている。4個の開口部34d〜34fは、略長円形に形成される上面部34aの長手方向において所定の間隔で形成されている。本形態では、上面部34aの最も先端側に開口部34eが形成され、上面部34aの最も基端側に開口部34fが形成され、残りの2個の開口部34dが開口部34eと開口部34fとの間に形成されている。下面部34bにも、円形状の2個の開口部34g、34hが上下方向に貫通するように形成されている。開口部34gは、下面部34bの先端側に形成され、開口部34hは、下面部34bの基端側に形成されている。
【0038】
上述のように、第1アーム部20の基端側は、アーム支持部8に固定されている。具体的には、支持部本体15の上面部15aの上面にアーム部本体31の下面部31bの下面が密着した状態で、第1アーム部20の基端側がアーム支持部8に固定されている。また、上下方向から見たときに、上面部15aの開口部15eの中心と下面部31bの開口部31gの中心とが略一致するように、第1アーム部20の基端側がアーム支持部8に固定されている。そのため、第1アーム部20の内部は、アーム支持部8の内部に通じており、第1アーム部20の内部は、大気圧となっている。なお、支持部本体15とアーム部本体31との間には、真空領域VRへの空気の流出を防止する環状のシール部材(図示省略)が配置されている。
【0039】
第1アーム部20の基端側の内部およびアーム支持部8の内部には、第1アーム部20に対して第2アーム部21を回動させるとともに第2アーム部21に対してハンド4を回動させるモータ35が配置されている。モータ35の上下方向における中心部分は、開口部15eおよび開口部31gに配置されており、モータ35の上端側は、第1アーム部20の基端側の内部に配置され、モータ35の下端側は、アーム支持部8の内部に配置されている。モータ35の出力軸は、上側へ突出しており、この出力軸には、プーリ36が固定されている。
【0040】
関節部22は、モータ35の回転を減速して第2アーム部21に伝達する減速機37を備えている。減速機37は、その径方向の中心に貫通孔が形成された中空減速機である。そのため、第2アーム部21の内部は、第1アーム部20の内部に通じており、第2アーム部21の内部は、大気圧となっている。すなわち、本形態では、アーム6の内部は、大気圧となっている。減速機37は、モータ35の動力が入力される入力軸58と、入力軸58に入力される動力を減速して出力する出力軸59と、軸受を介して入力軸58および出力軸59を回転可能に支持するケース体60とを備えている。本形態の減速機37は第1減速機であり、入力軸58は第1入力軸であり、出力軸59は第1出力軸であり、ケース体60は第1ケース体である。
【0041】
関節部23は、モータ35の回転を減速してハンド4に伝達する減速機38を備えている。減速機38は、その径方向の中心に貫通孔が形成された中空減速機である。この減速機38は、モータ35の動力が入力される入力軸61と、入力軸61に入力される動力を減速して出力する出力軸62と、軸受を介して入力軸61および出力軸62を回転可能に支持するケース体63とを備えている。本形態の減速機38は第2減速機であり、入力軸61は第2入力軸であり、出力軸62は第2出力軸であり、ケース体63は第2ケース体である。
【0042】
また、関節部22は、第1アーム部20と第2アーム部21との連結部分から真空領域VRへの空気の流出を防ぐ磁性流体シール39を備えている。磁性流体シール39は、その外周側部分を構成する略円筒状のケース体40と、ケース体40の内周側に回転可能に保持される略円筒状の内周側部材41とを備えている。径方向におけるケース体40と内周側部材41との間には、軸受、永久磁石および磁性流体を有する軸受シール部42が配置されている。本形態の磁性流体シール39は第1磁性流体シールであり、ケース体40は第1シールケース体であり、内周側部材41は第1内周側部材であり、軸受シール部42は第1軸受シール部である。
【0043】
同様に、関節部23は、第2アーム部21とハンド4との連結部分から真空領域VRへの空気の流出を防ぐ磁性流体シール43を備えている。磁性流体シール43は、磁性流体シール39と同様に構成されており、ケース体44と内周側部材45と軸受シール部46とを備えている。本形態の磁性流体シール43は第2磁性流体シールであり、ケース体44は第2シールケース体であり、内周側部材45は第2内周側部材であり、軸受シール部46は第2軸受シール部である。
【0044】
図7に示すように、減速機37の入力軸58の下端側には、プーリ49が固定されている。プーリ49は、第1アーム部20の先端側の内部に配置されている。プーリ36とプーリ49とには、ベルト50が架け渡されており、入力軸58には、プーリ36、49およびベルト50を介してモータ35の動力が入力される。また、入力軸58の上端側には、プーリ51が固定されている。プーリ51は、第2アーム部21の基端側の内部に配置されている。第2アーム部21の内部には、プーリ52が回転可能に取り付けられている。プーリ51とプーリ52とには、ベルト53が架け渡されている。なお、プーリ49の外径は、開口部31eの内径よりも小さくなっている。
【0045】
減速機37の出力軸59には、第1アーム部20の先端側が固定されている。具体的には、出力軸59には、磁性流体シール39の内周側部材41を介して第1アーム部20の先端側が固定されている。出力軸59は、内周側部材41の内周側に固定されている。内周側部材41は、その外周面の一部が開口部31eの内周面に接触するとともに、その一部が上面部31aの上面に接触するように、第1アーム部20の先端側に固定されている。また、内周側部材41は、図示を省略するネジによって第1アーム部20の先端側に固定されている。なお、上面部31aと内周側部材41との間には、真空領域VRへの空気の流出を防止する環状のシール部材(図示省略)が配置されている。
【0046】
減速機37のケース体60には、第2アーム部21の基端側が固定されている。具体的には、ケース体60には、磁性流体シール39のケース体40を介して第2アーム部21の基端側が固定されている。すなわち、ケース体60は、第2アーム部21側に固定されている。ケース体60は、ケース体40の内周側に固定されている。ケース体40は、その外周面の一部が開口部34hの内周面に接触するとともに、その一部が下面部34bの下面に接触するように、第2アーム部21の基端側に固定されている。なお、下面部34bとケース体40との間には、真空領域VRへの空気の流出を防止する環状のシール部材(図示省略)が配置されている。
【0047】
図8に示すように、減速機38の入力軸61の下端側には、プーリ56が固定されている。プーリ56は、第2アーム部21の先端側の内部に配置されている。プーリ56とプーリ52とには、ベルト57が架け渡されている。ベルト53とベルト57とは、上下方向にずれた状態でプーリ52に係合しており、ベルト57は、ベルト53よりも下側に配置されている。入力軸61には、プーリ36、49、51、52、56、ベルト50、53、57および入力軸58を介してモータ35の動力が入力される。
【0048】
減速機38の出力軸62には、ハンド4の基部11が固定されている。具体的には、出力軸62には、磁性流体シール43の内周側部材45を介してハンド4の基部11が固定されている。出力軸62は、内周側部材45の内周側に固定されている。内周側部材45は、ハンド4の基部11に固定されている。また、内周側部材45は、図示を省略するネジによってハンド4の基部11に固定されている。なお、ハンド4の基部11と内周側部材45との間には、真空領域VRへの空気の流出を防止する環状のシール部材(図示省略)が配置されている。
【0049】
減速機38のケース体63には、第2アーム部21の先端側が固定されている。具体的には、ケース体63には、磁性流体シール43のケース体44を介して第2アーム部21の先端側が固定されている。すなわち、ケース体63は、第2アーム部21側に固定されている。ケース体63は、ケース体44の内周側に固定されている。ケース体44は、その外周面の一部が開口部34eの内周面に接触するとともに、その一部が上面部34aの上面に接触するように、第2アーム部21の先端側に固定されている。なお、上面部34aとケース体44との間には、真空領域VRへの空気の流出を防止する環状のシール部材(図示省略)が配置されている。
【0050】
蓋部材32、33は、アルミニウム合金で形成されている。また、蓋部材32、33は、円板状に形成されている。蓋部材33の両面は、平面状に形成されている。一方、蓋部材32の一方の面には、
図9に示すように、放熱用のフィン32aが形成されている。本形態では、径の異なる円環状の複数のフィン32aが蓋部材32の一方の面に形成されており、複数のフィン32aは、同心状に配置されている。また、本形態では、
図9(A)に示すように、蓋部材32の一方の面から他方の面に向かって窪む円環状の複数の凹部が形成されることで、複数のフィン32aが形成されている。なお、蓋部材32の一方の面から突出する凸部によって、複数のフィン32aが構成されても良い。
【0051】
第1アーム部20の開口部31fは、蓋部材33によって下側から塞がれている。第2アーム部21の開口部34fは、蓋部材33によって上側から塞がれ、第2アーム部21の開口部34gは、蓋部材33によって下側から塞がれている。第1アーム部20の開口部31dおよび第2アーム部21の開口部34dは、蓋部材32によって上側から塞がれている。蓋部材32は、フィン32aが形成された面が下側を向くように固定されている。すなわち、蓋部材32の下面にフィン32aが形成されており、アーム6の内部の上面には、放熱用のフィン32aが形成されている。なお、アーム部本体31、34と蓋部材32、33との間には、真空領域VRへの空気の流出を防止する環状のシール部材(図示省略)が配置されている。
【0052】
第1アーム部25は、
図10に示すように、第1アーム部20と同様に構成されており、アーム部本体31と3個の蓋部材32と1個の蓋部材33とを備えている。また、第2アーム部26は、
図11に示すように、第2アーム部21と同様に構成されており、アーム部本体34と2個の蓋部材32と2個の蓋部材33とを備えている。したがって、第1アーム部25の構成および第2アーム部26の構成の詳細な説明は省略する。
【0053】
第1アーム部25の基端側は、第1アーム部20の基端側と同様に、アーム支持部8の支持部本体15に固定されている。第1アーム部25の内部は、アーム支持部8の内部に通じており、第1アーム部25の内部は、大気圧となっている。第1アーム部25の基端側の内部およびアーム支持部8の内部には、第1アーム部25に対して第2アーム部26を回動させるとともに第2アーム部26に対してハンド5を回動させるモータ65が配置されている。モータ65は、第1アーム部20の基端側の内部およびアーム支持部8の内部に配置されるモータ35と同様に配置されている。モータ65の出力軸は、上側へ突出しており、この出力軸には、プーリ66が固定されている。
【0054】
関節部27は、モータ65の回転を減速して第2アーム部26に伝達する減速機67を備えている。減速機67は、減速機37と同様に、その径方向の中心に貫通孔が形成された中空減速機である。そのため、第2アーム部26の内部は、第1アーム部25の内部に通じており、第2アーム部26の内部は、大気圧となっている。すなわち、本形態では、アーム7の内部は、大気圧となっている。また、減速機67は、減速機37と同様に構成されており、モータ65の動力が入力される入力軸58と、入力軸58に入力される動力を減速して出力する出力軸59と、軸受を介して入力軸58および出力軸59を回転可能に支持するケース体60とを備えている。本形態の減速機67は第1減速機である。
【0055】
関節部28は、モータ65の回転を減速してハンド5に伝達する減速機68を備えている。減速機68は、減速機38と同様にその径方向の中心に貫通孔が形成された中空減速機である。また、減速機68は、減速機38と同様に構成されており、モータ65の動力が入力される入力軸61と、入力軸61に入力される動力を減速して出力する出力軸62と、軸受を介して入力軸61および出力軸62を回転可能に支持するケース体63とを備えている。本形態の減速機68は第2減速機である。
【0056】
また、関節部27は、関節部22と同様に、第1アーム部25と第2アーム部26との連結部分から真空領域VRへの空気の流出を防ぐ磁性流体シール39を備えている。関節部28は、関節部23と同様に、第2アーム部26とハンド5の連結部分から真空領域VRへの空気の流出を防ぐ磁性流体シール43を備えている。
【0057】
図11、
図12に示すように、減速機67の入力軸58の下端には、円筒状に形成される回転軸69の上端が固定されている。回転軸69の下端側には、プーリ70が固定されている。プーリ70は、第1アーム部25の先端側の内部に配置されている。プーリ66とプーリ70とには、ベルト71が架け渡されており、入力軸58には、プーリ66、70およびベルト71を介してモータ65の動力が入力される。また、減速機67の入力軸58の上端側には、プーリ72が固定されている。プーリ72は、第2アーム部26の基端側の内部に配置されている。なお、プーリ70の外径は、開口部31eの内径よりも小さくなっている。
【0058】
減速機67の出力軸59には、第1アーム部25の先端側が固定されている。具体的には、減速機67の出力軸59には、磁性流体シール39の内周側部材41およびスペーサ73を介して第1アーム部25の先端側が固定されている。スペーサ73は、略円筒状に形成されており、回転軸69の外周側を覆うように配置されている。
【0059】
減速機67の出力軸59は、内周側部材41の内周側に固定されている。この内周側部材41は、その外周面の一部がスペーサ73の内周面に接触するとともに、その一部がスペーサ73の上端面に接触するように、スペーサ73の上端に固定されている。スペーサ73の下端は、上面部31aの上面に接触するように、第1アーム部25の先端側に固定されている。また、スペーサ73は、図示を省略するネジによって第1アーム部25の先端側に固定されている。スペーサ73の下端側には、軸受保持部材74が固定されている。軸受保持部材74は、その外周面の一部がスペーサ73の内周面に接触するとともに、その一部がスペーサ73の下端面に接触するように、スペーサ73の下端側に固定されている。また、軸受保持部材74の一部は、開口部31eの内周側に配置されている。軸受保持部材74には、回転軸69を回転可能に支持する軸受75が固定されている。なお、内周側部材41とスペーサ73の上端との間、および、上面部31aとスペーサ73の下端との間には、真空領域VRへの空気の流出を防止する環状のシール部材(図示省略)が配置されている。
【0060】
減速機67のケース体60には、第2アーム部26の基端側が固定されている。すなわち、減速機67のケース体60は、第2アーム部26側に固定されている。第2アーム部26の基端側は、第2アーム部21の基端側が減速機37のケース体60に固定されるのと同様に、減速機67のケース体60に固定されている。すなわち、減速機67のケース体60には、磁性流体シール39のケース体40を介して第2アーム部26の基端側が固定されている。
【0061】
図13に示すように、減速機68の入力軸61の上端側には、プーリ76が固定されている。プーリ76は、第2アーム部26の先端側の内部に配置されている。プーリ72とプーリ76とには、ベルト77が架け渡されており、入力軸61には、プーリ66、70、72、76、ベルト71、77、回転軸69および入力軸58を介してモータ65の動力が入力される。減速機68の出力軸62には、ハンド5の基部11が固定されている。ハンド5の基部11は、ハンド4の基部11が減速機38の出力軸62に固定されるのと同様に、減速機68の出力軸62に固定されている。すなわち、減速機68の出力軸62には、磁性流体シール43の内周側部材45を介してハンド5の基部11が固定されている。なお、内周側部材45は、図示を省略するネジによってハンド5の基部11に固定されている。
【0062】
減速機68のケース体63には、第2アーム部26の先端側が固定されている。具体的には、減速機68のケース体63には、磁性流体シール43のケース体44を介して第2アーム部26の先端側が固定されている。すなわち、減速機68のケース体63は、第2アーム部26側に固定されている。減速機68のケース体63は、ケース体44の内周側に固定されている。ケース体44は、その外周面の一部が開口部34gの内周面に接触するとともに、その一部が下面部34bの下面に接触するように、第2アーム部26の先端側に固定されている。なお、下面部34bとケース体44との間には、真空領域VRへの空気の流出を防止する環状のシール部材(図示省略)が配置されている。
【0063】
第1アーム部25の開口部31fは、蓋部材33によって下側から塞がれている。第2アーム部26の開口部34e、34fは、蓋部材33によって上側から塞がれている。第1アーム部25の開口部31dおよび第2アーム部26の開口部34dは、蓋部材32によって上側から塞がれている。蓋部材32は、フィン32aが形成された面が下側を向くように固定されている。すなわち、蓋部材32の下面にフィン32aが形成されており、アーム7の内部の上面には、放熱用のフィン32aが形成されている。
【0064】
(冷却機構の構成、温度センサの構成およびカバー部材の構成)
上述のように、ロボット1は、高温の基板2を搬送する。そのため、基板2からの輻射熱や、ロボット1が設置される真空チャンバーの壁面からの輻射熱等によって、アーム6、7の温度が上昇する。本形態のロボット1は、温度が上昇するアーム6、7の内部を冷却するための冷却機構を備えている。また、ロボット1は、第1アーム部20、25および第2アーム部21、26の内部温度を測定するための温度センサ80と、アーム6、7およびアーム支持部8への輻射熱の伝達を抑制するためのカバー部材81〜85とを備えている。
【0065】
本形態のロボット1は、アーム6、7の内部を冷却するための冷却機構として、モータ35を冷却するとともに第1アーム部20の内部に冷却用空気を供給するためのエア配管87と、第2アーム部21の内部に冷却用空気を供給するためのエア配管88と、モータ65を冷却するとともに第1アーム部25の内部に冷却用空気を供給するためのエア配管89と、第2アーム部26の内部に冷却用空気を供給するためのエア配管90と、アーム6、7の内部に配置される複数のファン(送風機)91とを備えている。
【0066】
エア配管87〜90は、たとえば、アルミニウム合金等の金属管、または、フッ素チューブ等の配管である。エア配管87〜90の基端は、本体部9のケース体13の内部に配置される電磁弁(図示省略)に接続されている。本形態では、エア配管87〜90のそれぞれの基端が接続される4個の電磁弁がケース体13の内部に配置されており、エア配管87〜90ごとに冷却用空気の供給量の調整を行うことが可能となっている。4個の電磁弁は、ケース体13の内部または外部に配置される圧縮空気の供給装置(図示省略)に所定の配管を介して接続されている。
【0067】
エア配管87、88は、回転軸14の内周側および開口部15fを通過するように、ケース体13の内部からアーム6に向かって引き回されている。エア配管87の先端側は、モータ35の外周面に巻回されている。冷却用空気の供給口となるエア配管87の先端は、第1アーム部20の基端側の内部に配置されており、エア配管87から第1アーム部20の基端側の内部へ冷却用空気が供給される。エア配管88は、開口部15e、31gおよび減速機37の軸中心に形成される貫通孔を通過するように、第1アーム部20および第2アーム部21の内部を引き回されている。冷却用空気の供給口となるエア配管88の先端は、第2アーム部21の先端側の内部に配置されており、エア配管88から第2アーム部21の先端側の内部へ冷却用空気が供給される。
【0068】
エア配管89、90は、回転軸14の内周側および開口部15fを通過するように、ケース体13の内部からアーム7に向かって引き回されている。エア配管89の先端側は、モータ65の外周面に巻回されている。冷却用空気の供給口となるエア配管89の先端は、第1アーム部25の基端側の内部に配置されており、エア配管89から第1アーム部25の基端側の内部へ冷却用空気が供給される。エア配管90は、開口部15e、31g、回転軸69の内周側および減速機67の軸中心に形成される貫通孔を通過するように、第1アーム部25および第2アーム部26の内部を引き回されている。冷却用空気の供給口となるエア配管90の先端は、第2アーム部26の先端側の内部に配置されており、エア配管90から第2アーム部26の先端側の内部へ冷却用空気が供給される。
【0069】
温度センサ80は、第1アーム部20、25および第2アーム部21、26のそれぞれの内部に配置されている。第1アーム部20の内部において、温度センサ80は、モータ35の近傍および関節部22の近傍に配置されている。第2アーム部21の内部において、温度センサ80は、関節部23の近傍に配置されている。第1アーム部25の内部において、温度センサ80は、モータ65の近傍および関節部27の近傍に配置されている。第2アーム部26の内部において、温度センサ80は、関節部28の近傍に配置されている。
【0070】
上述のように、本形態では、エア配管87〜90ごとに冷却用空気の供給量の調整を行うことが可能となっており、第1アーム部20、25および第2アーム部21、26のそれぞれの内部を個別に冷却することが可能となっている。また、本形態では、温度センサ80での検出結果に基づいて、第1アーム部20、25および第2アーム部21、26のそれぞれの内部を個別に冷却している。すなわち、本形態では、温度センサ80での検出結果に基づいて、エア配管87〜90のそれぞれから供給される冷却用空気の供給量を調整することで、第1アーム部20、25および第2アーム部21、26のそれぞれの内部を個別に冷却している。
【0071】
ファン91は、第1アーム部20、25および第2アーム部21、26のそれぞれの内部に配置されている。また、ファン91は、上側に向かって冷却用空気を送るように配置されている。本形態のファン91は、蓋部材32の下側に配置されており、蓋部材32に形成される複数のフィン32aに向かって冷却用空気を送る。また、ファン91は、たとえば、温度センサ80での検出結果に基づいて、回転または停止する。
【0072】
カバー部材81〜85は、支持部本体15、アーム部本体31、34および蓋部材16、32、33よりも熱伝導率の低い材料で形成されている。また、カバー部材81〜85は、輻射熱の反射率が高い材料で形成されている。たとえば、カバー部材81〜85は、薄いステンレス鋼板で形成されている。カバー部材81は、第1アーム部20の、アーム支持部8と重なっている部分を除いた部分の、上面、下面および側面の略全体を覆っている。カバー部材82は、第2アーム部21の上面、下面および側面の略全体を覆っている。カバー部材83は、第1アーム部25の、アーム支持部8と重なっている部分を除いた部分の、上面、下面および側面の略全体を覆っている。カバー部材84は、第2アーム部26の上面、下面および側面の略全体を覆っている。カバー部材85は、第1アーム部20、25の、アーム支持部8と重なっている部分、および、アーム支持部8の上面、下面および側面の略全体を覆っている。
【0073】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、減速機37のケース体60が磁性流体シール39のケース体40を介して第2アーム部21の基端側に固定されており、減速機37を構成する入力軸58、出力軸59および軸受等の部材と、磁性流体シール39を構成する内周側部材41および軸受シール部42等の部材が第2アーム部21に保持されている。また、本形態では、減速機38のケース体63が磁性流体シール43のケース体44を介して第2アーム部21の先端側が固定されており、減速機38を構成する入力軸61、出力軸62および軸受等の部材と、磁性流体シール43を構成する内周側部材45および軸受シール部46等の部材が第2アーム部21に保持されている。そのため、本形態では、内周側部材41と第1アーム部20とを固定するネジ、および、内周側部材45とハンド4の基部11とを固定するネジを取り外すとともに、ベルト50を取り外せば、減速機37、38および磁性流体シール39、43を第2アーム部21と一体で取り外すことが可能になる。
【0074】
同様に本形態では、減速機67のケース体60が磁性流体シール39のケース体40を介して第2アーム部26の基端側に固定されており、減速機67を構成する入力軸58、出力軸59および軸受等の部材と、磁性流体シール39を構成する内周側部材41および軸受シール部42等の部材が第2アーム部26に保持されている。また、減速機67の入力軸58の下端に回転軸69が固定されるとともに、軸受保持部材74および軸受75を保持するスペーサ73が内周側部材41に固定されており、回転軸69、スペーサ73、軸受保持部材74および軸受75が第2アーム部26に保持されている。また、本形態では、減速機68のケース体63が磁性流体シール43のケース体44を介して第2アーム部26の先端側が固定されており、減速機68を構成する入力軸61、出力軸62および軸受等の部材と、磁性流体シール43を構成する内周側部材45および軸受シール部46等の部材が第2アーム部26に保持されている。そのため、本形態では、スペーサ73と第1アーム部25とを固定するネジ、および、内周側部材45とハンド5の基部11とを固定するネジを取り外すとともに、ベルト71を取り外せば、減速機67、68、磁性流体シール39、43、回転軸69、スペーサ73、軸受保持部材74および軸受75を第2アーム部26と一体で取り外すことが可能になる。
【0075】
したがって、本形態では、ロボット1のオーバーホールを行う際に、減速機37、38および磁性流体シール39、43を第2アーム部21と一体で交換することが可能になり、かつ、減速機67、68、磁性流体シール39、43、回転軸69、スペーサ73、軸受保持部材74および軸受75を第2アーム部26と一体で交換することが可能になる。すなわち、本形態では、ロボット1のオーバーホールを行う際に、第1アーム部20、25よりもアーム6、7の先端側に配置される第2アーム部21、26を交換することで、アーム支持部8に固定される第1アーム部20、25を交換しなくても、減速機37、38、67、68、磁性流体シール39、43、スペーサ73、軸受保持部材74および軸受75を交換することが可能になる。その結果、本形態では、低コストでかつ容易にロボット1のオーバーホールを行うことが可能になる。
【0076】
本形態では、アーム6、7の内部に上側に向かって空気を送るファン91が配置されている。そのため、本形態では、高温の基板2を搬送する際に、アーム6、7の上面側部分を冷却してアーム6、7の上面側部分の温度上昇を抑制することが可能になり、アーム6、7の上面側部分の温度をアーム6、7の下面側部分の温度に近づけることが可能になる。したがって、本形態では、アーム6、7の上面側部分の熱変形量を下面側部分の熱変形量に近づけることが可能になり、先端側が下がるアーム6、7の熱変形を抑制することが可能になる。その結果、本形態では、高温の基板2を搬送する場合であっても、ハンド4、5によって基板2を適切に搬送することが可能になる。
【0077】
また、本形態では、アーム6、7の内部の上面に、放熱用のフィン32aが形成されており、ファン91は、フィン32aに向かって冷却用空気を送る。そのため、本形態では、アーム6、7の上面側部分を効果的に冷却することが可能になり、アーム6、7の上面側部分の温度上昇を効果的に抑制することが可能になる。
【0078】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0079】
上述した形態では、別体で形成された第1アーム部20、25の基端側がアーム支持部8に固定されている。この他にもたとえば、第1アーム部20と第1アーム部25とアーム支持部8とが一体で形成されても良い。また、
図14に示すように、第1アーム部20の基端側および第1アーム部25の基端側のそれぞれが本体部9に回動可能に連結されても良い。この場合には、第1アーム部20の内部にモータ35が配置され、第1アーム部25の内部にモータ65が配置される。また、上述した形態では、ロボット1は、2本のアーム6、7を備えているが、ロボット1は、
図15に示すように、1本のアーム6のみを備えていても良い。この場合には、第1アーム部20の基端側が本体部9に回動可能に連結される。なお、
図14、
図15では、上述した形態の構成と共通する構成については、同一の符号を付している。
【0080】
上述した形態では、アーム6、7は、第1アーム部20、25と第2アーム部21、26との2個のアーム部によって構成されているが、アーム6、7は、3個以上のアーム部によって構成されても良い。たとえば、アーム6、7は、第1アーム部20、25と第2アーム部21、26と第3アーム部との3個のアーム部によって構成されても良い。この場合には、第2アーム部21、26の先端側に第3アーム部の基端側が回動可能に連結され、第3アーム部の先端側にハンド4、5が回動可能に連結される。また、この場合には、第2アーム部21、26と第3アーム部とを回動可能に連結する関節部は、関節部23、28と同様に減速機38、68を備えており、減速機38、68のケース体63は、磁性流体シール43のケース体44を介して第2アーム部21、26に固定されている。
【0081】
この場合であっても、減速機37、38および磁性流体シール39、43を第2アーム部21と一体で交換することが可能になり、かつ、減速機67、68、磁性流体シール39、43、回転軸69、スペーサ73、軸受保持部材74および軸受75を第2アーム部26と一体で交換することが可能になるため、上述した形態と同様の効果を得ることができる。
【0082】
上述した形態では、ロボット1は、真空中で基板2を搬送するロボットであるが、本発明が適用されるロボットは、大気中で基板2を搬送するロボットであっても良い。この場合には、磁性流体シール39、43が不要になる。また、この場合には、たとえば、減速機37、67のケース体60が直接、第2アーム部21、26の基端側に固定され、減速機38、68のケース体63が直接、第2アーム部21、26の先端側に固定される。また、減速機37の出力軸59が直接、第1アーム部20の先端側に固定され、減速機67の出力軸59が直接、スペーサ73に固定され、減速機38、68の出力軸62が直接、ハンド4、5の基部11に固定される。
【0083】
この場合であっても、ロボットのオーバーホールを行う際に、減速機37、38を第2アーム部21と一体で交換することが可能になり、かつ、減速機67、68、回転軸69、スペーサ73、軸受保持部材74および軸受75を第2アーム部26と一体で交換することが可能になる。すなわち、ロボット1のオーバーホールを行う際に、第1アーム部20、25よりもアーム6、7の先端側に配置される第2アーム部21、26を交換することで、アーム支持部8に固定される第1アーム部20、25を交換しなくても、減速機37、38、67、68、回転軸69、スペーサ73、軸受保持部材74および軸受75を交換することが可能になる。そのため、低コストでかつ容易にロボットのオーバーホールを行うことが可能になる。
【0084】
上述した形態では、減速機67の入力軸58の下端に回転軸69が固定され、回転軸69の下端側にプーリ70が固定されている。この他にもたとえば、減速機67の入力軸58の下端側にプーリ70が固定されても良い。また、上述した形態では、減速機67の出力軸59に磁性流体シール39の内周側部材41およびスペーサ73を介して第1アーム部25の先端側が固定されているが、減速機67の出力軸59に磁性流体シール39の内周側部材41を介して第1アーム部25の先端側が固定されても良い。すなわち、関節部27において、回転軸69、スペーサ73、軸受保持部材74および軸受75が配置されていなくても良い。
【0085】
上述した形態では、ロボット1は、1台のモータ35によって、第1アーム部20に対して第2アーム部21を回動させ、かつ、第2アーム部21に対してハンド4を回動させている。この他にもたとえば、第1アーム部20に対して第2アーム部21を回動させるモータと、第2アーム部21に対してハンド4を回動させるモータとが個別に設けられても良い。同様に、上述した形態では、1台のモータ65によって、第1アーム部25に対して第2アーム部26を回動させ、かつ、第2アーム部26に対してハンド5を回動させているが、第1アーム部25に対して第2アーム部26を回動させるモータと、第2アーム部26に対してハンド5を回動させるモータとが個別に設けられても良い。
【0086】
上述した形態では、蓋部材32にフィン32aが形成されているが、上面部31a、34aの下面にフィン32aが形成されても良い。また、上述した形態では、蓋部材32にフィン32aが形成されているが、蓋部材32にフィン32aが形成されなくても良い。また、上述した形態では、ロボット1によって搬送される搬送対象物は有機ELディスプレイ用の基板2であるが、ロボット1によって搬送される搬送対象物は、液晶ディスプレイ用のガラス基板であっても良いし、半導体ウエハ等であっても良い。また、上述した形態では、ロボット1は、搬送対象物を搬送するためのロボットであるが、本発明が適用されるロボットは、他の用途で使用されるロボットであっても良い。