(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、センサを搭載する製品の小型化や薄型化の要求にともなって、センサをさらに小型化・低背化することが求められている。しかしながら、ICチップとセンサチップを同一基板上に並べて配置した従来のセンサの構成では、各構成部材の小型化が必要になるという問題がある。
【0005】
また、圧力センサにおいては、特許文献1に記載の加速度センサのように蓋体によってハウジングを密閉すると、圧力センサが収容された空間に外気が導入されないため、正確な圧力を検知することが困難である。
【0006】
そこで本発明は、検知性能を確保しつつ、小型化・低背化の可能なセンサパッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のセンサパッケージは、外気に接して検知動作を行う検知部と、前記検知部による検知結果が入力されるIC基板と、前記検知部を内部に収容する収容空間を有するケースと、を備え、
前記ケースが、平面視で第1の方向に延びて互いに対向する2辺と、前記第1の方向と直交する第2の方向に延びて互いに対向する2辺を有しているセンサパッケージにおいて、
前記ケースに、複数のパッド部と複数のバンプおよび前記パッド部と前記バンプとを導通させる導通路が設けられ、前記パッド部と前記バンプとが、いずれも前記検知部よりも前記ケースの辺に近い外側に設けられ、
前記検知部は、前記第1の方向および前記第2の方向のそれぞれに延びる縁部を有して平面視が四角形であり、前記検知部と前記パッド部とがワイヤボンディングによって電気的に接続されており、
前記IC基板
が、前記収容空間の開口部を覆うように配置されて
、前記IC基板がバンプに電気的に接続され、
複数の前記バンプが、前記第1の方向に延びる前記2辺に沿って間隔を空けて配置され、複数の前記パッド部が、前記第2の方向に延びる前記2辺に沿って間隔を空けて配置されることで、複数の前記バンプの配置方向と複数の前記パッド部の配置方向とが互いに直交しており、
前記ケースと前記IC基板との間で且つ複数の前記バンプの間に、前記収容空間の開口部に外気を導入する導入隙間が形成されていることを特徴としている。
【0008】
これにより、検知性能を確保できるとともに、収容空間内に収容された検知部が外部からのダメージを受けにくくなり、さらに、センサパッケージの低背化・小型化を実現することができる。
また、ケースの外形を大きくすることなくワイヤボンディングを行うための領域を広くとることができる。
【0009】
なお、前記検知部は圧力検知部である。あるいは圧力検知部に代えて、又は、圧力検知部に加えて、収容空間内に、温度検知部や湿度検知部を配置してもよい。この場合も、外部からのダメージから保護されていると同時に、外気が導入されていることにより正確な検知を行うことができる。
【0010】
本発明のセンサパッケージにおいて、
前記導通路が、前記ケースの内部に設けられているものが好ましく、前記導通路は、前記ケースのスルーホール内に充填された導電性材料からなることが好ましい。
【0011】
また、前記複数のバンプの間に前記導入隙間が形成されていることで、確実に外気を導入できるとともに、隙間を設けるための特別な構造が必要とならない。
【0013】
本発明のセンサパッケージは、ワイヤボンディングを行うための領域を広くとることができる。
【0015】
本発明のセンサパッケージにおいて、ケースは、隙間をあけてIC基板の側面を囲む保護壁部を備えることが好ましい。
【0016】
これにより、IC基板を外部からのダメージから保護することができるとともに、隙間から外気が導入されることから、センサパッケージの正確な測定を行うことができる。
【0017】
本発明のセンサパッケージにおいて、保護壁部の高さは、IC基板の厚みより大きいことが好ましい。
これにより、IC基板の保護をより確実にすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、外気に接する検知性能を確保しつつ、小型化及び低背化を実現することができるセンサパッケージを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係るセンサパッケージについて図面を参照しつつ詳しく説明する。
【0021】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るセンサパッケージ10の構成を示す斜視図である。
図2は、センサパッケージ10からIC基板40を外した状態を示す斜視図である。
図3は、
図2に示す構成を簡略化して表示した平面図である。
図4は、IC基板40を簡略化して表示した底面図である。
図5は、
図1のV−V’線における断面を簡略化して表示した図である。以下、各図に示すZ1方向を上方向、Z2方向を下方向として説明する。各図に示す、X1−X2方向とY1−Y2方向は、互いに直交するとともに、Z1−Z2方向に直交する方向である。XY平面は、Z1−Z2方向に直交する面である。
【0022】
センサパッケージ10は、
図5に示すように、外気に接して検知動作を行う検知部である圧力検知部20と、ケース30と、IC基板40とを備える。
【0023】
圧力検知部20は、例えばダイアフラムゲージであって、ダイアフラムに加わる圧力を静電容量の変化や歪みゲージを用いて検知するセンサである。圧力検知部20は、
図5に示すように、ケース30の収容空間30s内に収容され、底面22がケース30の収容空間30sの底面36に対して、ダイボンド樹脂によって固定される。また、圧力検知部20は、
図3に示すように、平面視四角形の上面21の四隅に導電性材料(例えば金)からなる、4つの第1パッド部23がそれぞれ設けられており、この第1パッド部23から検知結果が出力される。
【0024】
ケース30は、非導電性材料(例えばセラミックス)からなり、
図3及び
図5に示すように、XY平面の中央の底面36の4辺を囲む位置から、上へ向かうほど外側へ階段状に広がるように形成された、下段、中段、上段からなる三段構造を有する。これにより、ケース30内に圧力検知部20を収容する収容空間30sが形成される。XY平面において底面36より外側に位置するケース30の中段面34(パッド形成面)には、XY平面の四隅に、導電性材料(例えば金)からなる4つの第2パッド部35がそれぞれ形成されている。4つの第2パッド部35は、4つの第1パッド部23にそれぞれ対応するように、XY平面において第1パッド部23の外側近傍に配置されている。
【0025】
なお、第1パッド部23及び第2パッド部35は、4つずつ設けるのではなく、2つずつであってもよい。この場合は、Y1−Y2方向に沿って2つずつ、対応する位置に設けることが好ましい。
【0026】
また、ケース30において、XY平面において中段面34よりも外側に位置する最上面(上段面)であるバンプ形成面31には、Y1−Y2方向の両端部に6つの第1バンプ33がそれぞれ設けられている。この第1バンプ33は、例えば金のめっきによってZ1方向に所定量突出するように形成され、X1−X2方向において一定の間隔で配置されている。
【0027】
ここで、第1バンプ33の配置方向(X1−X2方向)は、第1パッド部23及び第2パッド部35の配置方向(Y1−Y2方向)と直交している。別言すると、ケース30において、第1バンプ33は、Y1−Y2方向の両端の2辺に沿って配置されているのに対して、第2パッド部35は、X1−X2方向の両端の2辺に沿って配置されている。このような配置により、第1パッド部23から第2パッド部35へのワイヤボンディングのための領域を広くとることができる。
【0028】
ケース30の底面32のXY平面には、導電性材料(例えば金)からなる出力パッド37がそれぞれ形成されている。
【0029】
IC基板40は、圧力検知部20による検知結果に基づいて、デジタル出力用のデータを作成する演算部を有する。演算部は集積回路であり、下面42側に配置される。この演算部は、IC基板40に設けられた温度センサによる検知結果に基づいて、圧力検知部20による検知結果を補正する。IC基板40の下面42には、Y1−Y2方向の両端部に6つの第2バンプ43がそれぞれ設けられている。第2バンプ43は、例えば金のめっきによって形成され、Z2方向に所定量突出するように形成され、ケース30に設けた、複数の第1バンプ33に対応するように、X1−X2方向において一定の間隔で配置されている。
【0030】
IC基板40は、ケース30の収容空間30sの開口部30aを覆うように、上面41がZ1方向上側になるように、ケース30上に配置される。このとき、互いに対応する位置に設けた、12個の第1バンプ33と12個の第2バンプ43がそれぞれ金ボールを介してIC基板40を配置し、超音波溶融によって互いに固定する。第1バンプ33と第2バンプ43は、IC基板40側又はケース30側へ突出しているため、第1バンプ33及び第2バンプ43の間隔に隙間10c(
図5)が形成され、この隙間10cからケース30の収容空間30s内へ外気が導入される。したがって、IC基板40を配置することによって収容空間30s内に配置された圧力検知部20を保護できるとともに、収容空間30s内を外気と同じ気圧にできるため、正確な圧力測定を行うことができる。
【0031】
ここで、第1バンプ33と第2バンプ43の一方を、Z1−Z2方向に突出しない平面状の金属面、例えばアルミニウム面としてもよい。
【0032】
図3に示すように、圧力検知部20の4つの第1パッド部23とケース30の4つの第2パッド部35は、ワイヤボンディングのワイヤ51によって対応するパッド部同士が電気的に接続される。例えば、XY平面の右上に配置された、第1パッド部23と第2パッド部35が互いに接続される。4つの第2パッド部35は、
図5に示すように、ケース30の内部に形成した4本の第1導通路52によって対応する位置の第1バンプ33にそれぞれ電気的に接続されている。上述のように第1バンプ33と対応する位置の第2バンプ43が互いに接続されているため、圧力検知部20の第1パッド部23からの出力は、ケース30の第1導通路52を介してIC基板40へ出力される。
【0033】
また、ケース30には、それぞれの第1バンプ33に対応する位置に、第1導通路52とは独立した、第2導通路53が形成されている。この第2導通路53は、それぞれ、一端が対応する位置の第1バンプ33と電気的に導通しており、他端が出力パッド37に電気的に導通している。これにより、IC基板40による処理結果が出力パッド37へ出力され、出力パッド37へ外部機器を接続することによって、IC基板40による処理結果を取り出すことができる。
【0034】
ここで、第1導通路52及び第2導通路53は、ケース30にスルーホールを形成し、このスルーホール内に導電性材料として、例えばタングステン、モリブデンを充填することによって形成する。
【0035】
以上のように構成されたことから、上記実施形態によれば、次の効果を奏する。
(1)IC基板40が、ケース30の収容空間30sの開口部30aを覆うように配置されているため、収容空間30s内に収容された圧力検知部20は、外部からのダメージを受けにくくなる。さらに、IC基板40を収容空間30sの外に配置したため、センサパッケージ10の低背化を実現することができ、また、収容空間30s内にIC基板40を配置しないことから、XY平面における収容空間30sのサイズを抑えることができ、これにより、X1−X2方向及びY1−Y2方向におけるセンサパッケージ10のサイズを小さくすることができる。
【0036】
(2)IC基板40が、ケース30の収容空間30sの開口部30aとの間に外気を導入する隙間10cを有した状態で配置されているため、センサパッケージ10を配置した箇所の気圧を正確に測定することができる。
【0037】
(3)IC基板40とケース30が、間隔をあけて配置された複数のバンプ33、43によって電気的に接続され、これら複数のバンプ33、43の間の間隔によって隙間10cが形成されるため、確実に外気を導入できるため正確な圧力測定ができるとともに、隙間10cを設けるための特別な構造が必要とならない。
【0038】
(4)ケース30の第2パッド部35が、複数のバンプ33、43よりも内側に配置されているため、第1パッド部23と第2パッド部35の間のワイヤボンディングを行うための領域を広くとることができる。
【0039】
(5)パッド部23、35の配置方向(Y1−Y2方向)と、バンプ33、43の配置方向(X1−X2方向)とが互いに直交しているため、第1パッド部23から第2パッド部35へのワイヤボンディングのための領域を広くとることができる。
【0040】
<第2実施形態>
つづいて、本発明の第2実施形態について説明する。
図6は、第2実施形態に係るセンサパッケージ110の構成を示す斜視図である。
図7は、
図6のセンサパッケージ110からIC基板40を外した状態を示す斜視図である。
図8は、
図6のVIII−VIII’線における断面を簡略化して表示した図である。
【0041】
第2実施形態に係るセンサパッケージ110においては、ケース130が、IC基板40の側面44を囲む保護壁部138を備える点が第1実施形態と異なる。その他の構成は第1実施形態と同様であって、同じ部材については同じ参照符号を使用する。
【0042】
保護壁部138は、XY平面においてバンプ形成面131の外側においてZ1方向に延びるように形成され、平面視四角形のIC基板40の4つの側面44を囲むように配置される。この保護壁部138と、IC基板40の側面44との間には、外気の導入が可能な隙間110dが形成されている。また、保護壁部138の上面138aと、IC基板40の上面41のZ1方向の位置は同一である。
【0043】
ここで、第2実施形態における、隙間110c、開口部130a、収容空間130s、バンプ形成面131、収容空間130sの底面132、第1バンプ133、中段面134、第2パッド部135、底面136、出力パッド137、第1導通路152、第2導通路153は、第1実施形態における、隙間10c、開口部30a、収容空間30s、バンプ形成面31、収容空間30sの底面32、第1バンプ33、中段面34、第2パッド部35、底面36、出力パッド37、第1導通路52、第2導通路53にそれぞれ対応するため、詳細な説明は省略する。
【0044】
以上のような構成によれば、ケース130が、IC基板40の側面44を囲む保護壁部138を備えるため、IC基板40を外部からのダメージから保護することができる。
【0045】
また、IC基板40の側面44と保護壁部138との間に隙間110dを設けているため、この隙間110dから、隙間110cを経て収容空間130sに至る外気導入路が形成されることから、センサパッケージ10を設置した箇所の気圧を正確に測定することができる。
【0046】
なお、その他の作用、効果、変形例は第1実施形態と同様である。
<第2実施形態の変形例>
図9は、第2実施形態の変形例に係るセンサパッケージ210の構成を示す断面図であって、
図6のVIII−VIII’線に対応する断面を表示した図である。
【0047】
本変形例に係るセンサパッケージ210においては、ケース230が、IC基板40の側面44を囲む保護壁部239を備え、この保護壁部239のZ1−Z2方向の高さが、IC基板40の厚みより大きい点が第1実施形態と異なる。その他の構成は第1実施形態と同様であって、同じ部材については同じ参照符号を使用する。
【0048】
保護壁部239は、XY平面においてバンプ形成面231の外側においてZ1方向に延びるように形成され、平面視四角形のIC基板40の4つの側面44を囲むように配置される。保護壁部239と、IC基板40の側面44との間には、外気の導入が可能な隙間210dが形成されている。さらに、
図9に示すように、保護壁部239の上面239aのZ1−Z2方向における位置は、IC基板40の上面41のZ1方向の位置よりもHだけ高くなっている。
【0049】
ここで、本変形例における、隙間210c、開口部230a、収容空間230s、バンプ形成面231、収容空間230sの底面232、第1バンプ233、中段面234、第2パッド部235、底面236、出力パッド237、第1導通路252、第2導通路253は、第1実施形態における、隙間10c、開口部30a、収容空間30s、バンプ形成面31、収容空間30sの底面32、第1バンプ33、中段面34、第2パッド部35、底面36、出力パッド37、第1導通路52、第2導通路53にそれぞれ対応するため、詳細な説明は省略する。
【0050】
このような構成により、保護壁部239の高さをIC基板40の厚みより大きくしているため、IC基板40の保護をより確実にすることができる。
なお、その他の作用、効果は、第2実施形態と同様である。
【0051】
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。