特許第6273196号(P6273196)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6273196
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】タイヤ空気圧監視システム
(51)【国際特許分類】
   B60C 23/04 20060101AFI20180122BHJP
   G01L 17/00 20060101ALI20180122BHJP
【FI】
   B60C23/04 N
   G01L17/00 301P
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-249344(P2014-249344)
(22)【出願日】2014年12月9日
(65)【公開番号】特開2016-107921(P2016-107921A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120204
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 巌
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(72)【発明者】
【氏名】牛田 敏
【審査官】 三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−330907(JP,A)
【文献】 特開2004−322927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 23/00 − 23/04
G01L 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の各タイヤに設置され、タイヤ空気圧を検出して前記タイヤ空気圧のデータ信号を無線で送信する検出装置と、車体に設置され、前記データ信号を受信して各前記タイヤ空気圧を監視する監視装置と、を備えたタイヤ空気圧監視システムであって、
前記検出装置は、タイヤ空気圧検出手段と、前記車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、前記空気圧検出手段又は前記走行状態検出手段により検出された情報に基づいた信号を送信する送信手段と、前記タイヤ空気圧検出手段、前記走行状態検出手段、及び前記送信手段の動作を制御する検出装置制御手段と、を有し、
前記監視装置は、前記信号を受信する受信手段と、前記受信手段の制御を行う監視装置制御手段と、前記受信手段及び前記監視装置制御手段に電源を供給する電源装置とを有し、
前記検出装置制御手段は、前記走行状態検出手段が前記車両の停止を検出した後に前記送信手段からの送信を停止し、前記車両の停止から所定の第1の時間経過後に通信状態確認用信号を前記送信手段によって送信し、
前記監視装置制御手段は、前記車両のイグニッションスイッチのオフを検出してから前記第1の時間以上の所定の第2の時間経過後に、前記イグニッションスイッチのオフに遅れて前記受信手段の電源をオフにし、前記イグニッションスイッチが再びオンに変わるまで前記受信手段の電源をオンにせず、
前記通信状態確認用信号の送信は、前記イグニッションスイッチが再びオンに変わるまで、前記第1の時間経過時から前記第2の時間経過時までの間でのみ行われる、ことを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。
【請求項2】
車両には報知装置が設けられており、前記監視装置が情報記憶部を有し、前記通信状態確認用信号の受信の有無を前記情報記憶部に通信状態情報として記憶させ、前記イグニッションスイッチがオンの時に、記憶させた前記通信状態情報を前記報知装置に出力する、ことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ空気圧監視システム。
【請求項3】
車両の各タイヤに設置され、タイヤ空気圧を検出して前記タイヤ空気圧のデータ信号を無線で送信する検出装置と、車体に設置され、前記データ信号を受信して各前記タイヤ空気圧を監視する監視装置と、を備えたタイヤ空気圧監視システムであって、
前記検出装置は、タイヤ空気圧検出手段と、前記車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、前記空気圧検出手段又は前記走行状態検出手段により検出された情報に基づいた信号を送信する送信手段と、前記タイヤ空気圧検出手段、前記走行状態検出手段、及び前記送信手段の動作を制御する検出装置制御手段と、を有し、
前記監視装置は、前記信号を受信する受信手段と、前記受信手段の制御を行う監視装置制御手段と、前記受信手段及び前記監視装置制御手段に電源を供給する電源装置とを有し、
前記検出装置制御手段は、前記走行状態検出手段が前記車両の停止を検出した後に前記送信手段からの送信を停止し、前記車両の停止から所定の第1の時間経過後に通信状態確認用信号を前記送信手段によって送信し、
前記監視装置制御手段は、前記車両のイグニッションスイッチのオフを検出してから前記第1の時間以上の所定の第2の時間経過後に、前記イグニッションスイッチのオフに遅れて前記受信手段の電源をオフにし、前記イグニッションスイッチが再びオンに変わるまで前記受信手段の電源をオンにせず、
前記通信状態確認用信号の送信は、前記イグニッションスイッチが再びオンに変わるまで、前記第1の時間経過時から前記第2の時間経過時までの間でのみ行われ、
前記監視装置制御手段は、前記イグニッションスイッチがオフの状態で前記通信状態確認用信号を受信したら、前記第2の時間経過前でも前記受信手段の電源をオフにする、ことを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のタイヤ空気圧等の情報を監視するタイヤ空気圧監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に取り付けられている各タイヤに空気圧センサが設けられ、該空気圧センサで検出した各タイヤの空気圧情報を監視するタイヤ空気圧監視システムが知られている。
【0003】
このようなタイヤ空気圧監視システムとしては、例えば特許文献1に挙げるタイヤ空気圧検出装置900がある。タイヤ空気圧検出装置900の構成を図6に示す。
【0004】
タイヤ空気圧検出装置900では、空気圧センサ912と、車輪の回転に応答する遠心力スイッチと、制御部916A及び送信部916Bを有する無線送信装置916と、バッテリ918と、が車輪910に設けられ、無線受信装置922及び制御装置が車体920に設けられる。制御部916Aは遠心力スイッチがオン状態になり車両が走行状態にある場合に定期的に空気圧センサ912を動作させてタイヤ空気圧を検出し、また送信部916Bを動作させて車輪側より車体側へタイヤ空気圧を示す信号を無線送信する。従って、車両が走行状態の時だけタイヤ空気圧データを所定時間ごとに送信することになる。
【0005】
タイヤ空気圧検出装置900においては、車両が走行状態にある場合に定期的に空気圧センサ912を動作させるため、車両が停止状態にある場合にタイヤ空気圧を示す信号が車輪側より車体側へ不必要に無線送信されることを回避し、タイヤ空気圧信号の送信によるバッテリ918の電力消費量を低減することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開H11−020427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、タイヤ空気圧監視システムとして上記タイヤ空気圧検出装置900を用いた場合、以下のような問題が発生することが分かった。
【0008】
近年では、受信アンテナが車両の中央部に共通で配置されることが多くなったために、各タイヤにあるセンサからのデータ送信において、ヌルポイント(タイヤ送信部が1周するうち、受信部での受信強度が弱くなる位置)が存在する場合が発生する。従って、ヌルポイントの状態になった場合、受信不能となることも考えられる。走行中は、データ送信のタイミングをずらすことによりヌルポイントの影響を抑えてデータ取得することができるが、駐車時に4つのタイヤのいずれかがヌルポイントで止まった場合には、受信不能の状態が維持されることになる。このように、受信不能状態にあると、タイヤの空気を充填する際に、タイヤ充填時における空気圧の情報を受信し、ユーザに報知できないため、ユーザは適正な空気圧に充填することができない。
【0009】
また、上述したタイヤ空気圧検出装置900のような従来技術では、車両走行中しかデータを取得しないために、駐車時に各タイヤがヌルポイントで止まっているか否かを確実に把握することができず、それを把握するためには、これから空気を充填しようとしている状態であっても、再度走行(タイヤを回転)させて、各タイヤがヌルポイントにあるかどうかを確認しなければならなかった。更に、車両が止まった時に、それが一時停止であるか駐車であるかの判別も必要であった。また、このような状況を避けるために車両駐車中も常時通信するようにすると、電力を余計に消費してしまうという問題もあった。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、電力の消費量を抑えながら、タイヤ空気圧検出手段からの受信状態を車両ユーザに報知することができ、空気充填時より前に、車両ユーザに対し車両の移動等の適切な処置を取らせることができるタイヤ空気圧監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題を解決するために、本発明のタイヤ空気圧監視システムは、車両の各タイヤに設置され、タイヤ空気圧を検出して前記タイヤ空気圧のデータ信号を無線で送信する検出装置と、車体に設置され、前記データ信号を受信して各前記タイヤ空気圧を監視する監視装置と、を備えたタイヤ空気圧監視システムであって、前記検出装置は、タイヤ空気圧検出手段と、前記車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、前記空気圧検出手段又は前記走行状態検出手段により検出された情報に基づいた信号を送信する送信手段と、前記タイヤ空気圧検出手段、前記走行状態検出手段、及び前記送信手段の動作を制御する検出装置制御手段と、を有し、前記監視装置は、前記信号を受信する受信手段と、前記受信手段の制御を行う監視装置制御手段と、前記受信手段及び前記監視装置制御手段に電源を供給する電源装置とを有し、前記検出装置制御手段は、前記走行状態検出手段が前記車両の停止を検出した後に前記送信手段からの送信を停止し、前記車両の停止から所定の第1の時間経過後に通信状態確認用信号を前記送信手段によって送信し、前記監視装置制御手段は、前記車両のイグニッションスイッチのオフを検出してから前記第1の時間以上の所定の第2の時間経過後に、前記イグニッションスイッチのオフに遅れて前記受信手段の電源をオフにし、前記イグニッションスイッチが再びオンに変わるまで前記受信手段の電源をオンにせず、前記通信状態確認用信号の送信は、前記イグニッションスイッチが再びオンに変わるまで、前記第1の時間経過時から前記第2の時間経過時までの間でのみ行われる、ことを特徴とする、という特徴を有する。
【0012】
このように構成されたタイヤ空気圧監視システムは、車両停止後に通信状態確認用信号の送受信を行うことで、車両停止後でも各検出装置の通信可否状況を確認できる。また、車両が停止してから所定の第1の時間経過した後に通信状態確認用信号を送信するため、一時停止ではなく、駐車したとみられる時点での状態を取得できる。更に、第1の時間以上の所定の第2の時間経過後に受信手段の電源をオフにするので、通信状態確認用信号を確実に受信できると共に、監視装置の消費電力の増大を抑えることができる。
【0013】
また、上記の構成において、車両には報知装置が設けられており、前記監視装置が情報記憶部を有し、前記通信状態確認用信号の受信の有無を前記情報記憶部に通信状態情報として記憶させ、前記イグニッションスイッチがオンの時に、記憶させた前記通信状態情報を前記報知装置に出力する、という特徴を有する。
【0014】
このように構成されたタイヤ空気圧監視システムは、車両のイグニッションスイッチがオンの時にタイヤ空気圧検出装置との通信状況を報知装置によって車両ユーザが把握できるため、空気充填を行う前にタイヤ空気圧を受信できる位置まで車両を移動させる等の処置ができる。
【0015】
あるいは、本発明のタイヤ空気圧監視システムは、上記の構成において、前記監視装置制御手段は、イグニッションスイッチがオフの状態で前記通信状態確認用信号を受信したら、前記第2の時間経過前でも前記受信手段の電源をオフにする、という特徴を有する。
【0016】
このように構成されたタイヤ空気圧監視システムは、監視装置における消費電力の増大を、より効果的に抑えることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のタイヤ空気圧監視システムは、車両停止後に通信状態確認用信号の送受信を行うことで、車両停止後でも各検出装置の通信可否状況を確認できる。また、車両が停止してから所定の第1の時間経過した後に通信状態確認用信号を送信するため、一時停止ではなく、駐車したとみられる時点での状態を取得できる。更に、第1の時間以上の所定の第2の時間経過後に前記受信手段の電源をオフにするので、通信状態確認用信号を確実に受信できると共に、監視装置の消費電力の増大を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のタイヤ空気圧監視システムを示す概略図である。
図2】監視装置及び検出装置それぞれの構成を示すブロック図である。
図3】走行時における検出装置からの送信信号のタイミングチャートである。
図4】走行時及び停車時における実施例の送受信タイミングチャートである。
図5】走行時及び停車時における変形例の送受信タイミングチャートである。
図6】従来例に係る車輪のタイヤ空気圧検出装置の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
まず、タイヤ空気圧監視システム10の概略構成について、図1を用いて説明する。また、監視装置20と検出装置30それぞれの構成、及びその働きについて、図2及び図3を用いて説明する。
【0021】
図1は、タイヤ空気圧監視システム10の概略的な構成を示す図であり、監視装置20を備えた車両11及び検出装置30を備えたタイヤ12を上方から見た時の平面図である。
【0022】
タイヤ空気圧監視システム10は、自動車に取り付けられたタイヤの空気圧を検出し、車両側でタイヤの空気圧を監視するために用いられるものである。タイヤ空気圧監視システム10は、図1に示すように、車両11に設置された監視装置20と、各タイヤ12(フロント右タイヤ12a、フロント左タイヤ12b、リヤ右タイヤ12c、及びリヤ左タイヤ12d)に設けられた各検出装置30(フロント右検出装置30a、フロント左検出装置30b、リヤ右検出装置30c、及びリヤ左検出装置30d)と、を備えて、構成されている。監視装置20は、車両11のダッシュボードの裏等に配置され、各検出装置30に対し無線通信可能な位置に取り付けられている。
【0023】
タイヤ空気圧監視システム10は、無線信号の送受信により検出装置30を特定し、各検出装置30で検出されたタイヤ12内の空気圧をそれぞれ監視している。監視装置20の近傍のダッシュボードには報知装置17が取り付けられており、監視装置20の検出した空気圧に関する情報を液晶ディスプレー等で表示することが可能となっている。尚、報知装置17は、監視装置20内に設けられていても良い。また、車両11の運転席側には、車両11内の各機能を始動させるためのイグニッションスイッチ15が設けられている。本実施の形態に係るタイヤ空気圧監視システム10においては、本発明を自動車に適用した場合を例に説明するが、自動車に限定されるものではなく、自動二輪車、電動式自転車等のタイヤにより路面又は軌道上を走行するものであれば、どのようなものに適用してもよい。
【0024】
図2(a)は、検出装置30の構成を示すブロック図である。各検出装置30は、それぞれタイヤ空気圧検出手段37と、車両11の走行状態を検出する走行状態検出手段38と、タイヤ空気圧検出手段37又は走行状態検出手段38により検出された情報に基づいた信号を送信する送信手段32と、送信手段32に接続されたアンテナ31と、タイヤ空気圧検出手段37、走行状態検出手段38、及び送信手段32の動作を制御する検出装置制御手段34と、を備えている。また、電池39が各検出装置30内にそれぞれ取り付けられており、各検出装置30内の各部に電源を供給している。
【0025】
検出装置制御手段34は、タイヤ空気圧検出手段37が検出したタイヤ内空気圧の検出結果、及び走行状態検出手段38が検出した車両11の走行状態に関する検出結果を収得すると共に、予め検出装置制御手段34の内部に書き込まれている、各タイヤ12、即ち、図1に示したフロント右タイヤ12a、フロント左タイヤ12b、リヤ右タイヤ12c、リヤ左タイヤ12d毎にそれぞれ与えられた異なるIDコードを上記の検出結果に付加して、データ信号を生成する。そして、該データ信号を、送信手段32及び送信アンテナ31を介して監視装置20に送信する。
【0026】
図2(b)は、監視装置20の構成を示すブロック図である。監視装置20は、受信アンテナ21と、受信アンテナ21に接続された受信手段22と、監視装置制御手段24と、情報記憶部25と、情報出力部26と、を備えている。情報出力部26は、図1で示した報知装置17に接続されており、監視装置20の検出した空気圧に関する情報を報知装置17に伝送する。また、電源装置29が監視装置20内に取り付けられており、監視装置20内の各部に電源を供給している。
【0027】
受信手段22は、各検出装置30、即ちフロント右検出装置30a、フロント左検出装置30b、リヤ右検出装置30c、リヤ左検出装置30d、それぞれから送信された上述のデータ信号を、受信アンテナ21を介して受信する。また、情報記憶部25には、フロント右タイヤ12a、フロント左タイヤ12b、リヤ右タイヤ12c、リヤ左タイヤ12dに与えられたそれぞれ異なるIDコードが記憶されている。
【0028】
監視装置制御手段24は、受信手段22で受信したデータ信号内のIDコードと情報記憶部25内に記憶されたIDコードとを照合し、受信手段22で受信したデータ信号が、各タイヤ12の内のどのタイヤからのデータ信号であるかを特定する。また、監視装置制御手段24は、受信手段22で受信したデータ信号の情報を報知装置17に表示する。
【0029】
次に、各検出装置30、即ちフロント右検出装置30a、フロント左検出装置30b、リヤ右検出装置30c、リヤ左検出装置30d、それぞれから送信されるデータ信号の送信タイミングについて、図3を用いて説明する。
【0030】
図3(a)は、各検出装置30それぞれから送信されるデータ信号の送信タイミングの例であり、図3(b)は、各検出装置30それぞれから送信されるデータ信号内の、該データ信号を構成する各個別信号の送信タイミングの例である。
【0031】
図3(a)に示すように、1つの検出装置30、例えば、フロント右検出装置30aからのデータ信号は、所定の時間間隔を隔てて複数個送信される。また、その他の検出装置30、即ちフロント左検出装置30b、リヤ右検出装置30c、又はリヤ左検出装置30dも所定の時間間隔を隔てて複数個送信される。しかし、それぞれの検出装置30同士のタイミングは同期が取れているわけではなく、それぞれの検出装置30間はランダムに送信される。従って、各検出装置30それぞれから送信されるデータ信号は、その送信タイミングがずれる場合もあるが、重なってしまう場合もある。
【0032】
しかしながら、タイヤ空気圧監視システム10では、それぞれの検出装置30からのデータ信号全てが、他の検出装置30からのデータ信号に必ずしも重なり合わないように配慮されている。図3(b)に示すように、各検出装置30からのデータ信号は、その中に、同一の内容の個別信号が例えば4個等複数個含まれて構成されている。そして、それらの複数の個別信号の送信間隔は一定の間隔ではなく、ランダムに変化するように設定されている。尚、図3(b)には、各検出装置30からの個別信号が互いに重なり合う場合を白抜きで表し、各検出装置30からの個別信号が互いに重なり合わない場合をクロスハッチングで表している。
【0033】
各検出装置30からのデータ信号内の複数の個別信号は、時間的にランダムに存在するため、図3(b)のクロスハッチングで示すように、互いに重なり合わない個別信号が、少なくとも1つは含まれていると考えられる。従って、各検出装置30からの個別信号は、単独で送信されるタイミングが存在する。そのため、各検出装置30からの個別信号は監視装置20の受信手段22に受信される。尚、図3(b)では、分かり易くするため各個別信号を密に表示しているが、実際には、各個別信号間はもっと疎であるため、重なり合わない個別信号はもっと多く存在する。また、図3(b)では、各検出装置30からのデータ信号内の個別信号の数を、各4個としているが、各8個又はそれ以上としても良い。
【0034】
次に、検出装置30、監視装置20、及びイグニッションスイッチ15との間の動作タイミングについて、図4及び図5を用いて説明する。
【0035】
図4は、車両11が走行し、停止した後にまた走行を開始した場合の、各検出装置30それぞれから送信されるデータ信号の送信タイミングを示す実施例の説明図であり、図5は、その変形例の説明図である。
【0036】
図4に示すように、車両11の走行時、車両11側ではイグニッションスイッチ15が当然オンであり、監視装置20内の受信手段22もオンとなっている。この時、各タイヤ12内の各検出装置30の送信手段32からは、それぞれ所定の間隔を隔てて、図3で示したようなデータ信号が送信される。即ち、各データ信号は車両11の走行時に送信される。
【0037】
次に、車両11が停止した時、即ち検出装置30内の走行状態検出手段38が車両11の停止を検出した時、検出装置30内の検出装置制御手段34は、送信手段32からの送信を停止する。その後、車両11側ではイグニッションスイッチ15がオフとなるが、イグニッションスイッチ15がオフとなっても、監視装置20内の受信手段22はオンのままとしている。
【0038】
検出装置30内では、検出装置制御手段34は、車両11の停止から所定の第1の時間T1経過後に通信状態確認用信号を送信手段32によって送信する。尚、この第1の時間T1は、車両11が単に停車した場合の時間ではなく、車両11が駐車したと推定される時間に設定される。この時、上述したように、監視装置20内の受信手段22はオンのままであるため、該通信状態確認用信号を受信手段22で受信することができる。ここで、もしも想定より長い停車が有った場合は、通信状態確認用信号が送信されてしまうが、この場合例えば通信状態確認用信号を情報記憶部25に一旦記憶し、後の駐車時のデータで更新されるようにしてもよいし、再走行開始のデータが来たときに更新する等、適宜処理することができる。また、通信状態確認用信号は、走行時に送信されるデータ信号と同様に空気圧等の情報を含むことが望ましいが、通信ができることが確認できる信号パターンであれば、他の信号パターンでも良く、通信状態確認用信号の送信は1回でも良いし、所定の複数回でも良い。その後、監視装置20内の監視装置制御手段24は、図4に示すように、イグニッションスイッチ15のオフを検出してから、第1の時間T1以上の所定の第2の時間T2経過後に、受信手段22の電源をオフにする(T1≦T2)。尚、通常イグニッションスイッチ15のオフは停車してから行われるので、第2の時間T2が第1の時間T1と同じ時間であっても受信手段22による受信は可能である。また、第2の時間T2には、データ信号自体の長さも考慮して設定される。
【0039】
監視装置20は、図2(b)で示したように情報記憶部25を有しており、上述した通信状態確認用信号の受信の有無を情報記憶部25に通信状態情報として記憶させる。また、車両11のイグニッションスイッチ15がオンの時に、車両11のダッシュボードに設置された報知装置17によって、情報記憶部25に記憶させた通信状態情報を表示することができる。
【0040】
従って、車両11が再度走行を開始しようとして、あるいはタイヤの空気を充填しようとしてイグニッションスイッチ15をオンとすると、報知装置17に通信状態情報を表示させることによって、ユーザは各タイヤ12のタイヤ空気圧及び通信状態に関する情報を確認することができる。しかし、各タイヤ12の中で、車両11の停車時における各検出装置30の位置の関係でヌルポイント状態の検出装置30があった場合、その検出装置30に対しては通信が不能となる。従って、監視装置20の受信手段22の電源がオフになるまでにデータ信号が来なかった場合、ヌルポイント状態の検出装置30があることを、イグニッションスイッチ15を再度オンにした時に確認することができる。尚、空気充填の際は、通常充填による空気圧の変動を検出装置30が検出して、空気圧に関するデータの送信を開始するが、本実施形態のタイヤ空気圧監視システム10では、該空気圧に関するデータを確実に受信できるように、事前に通信状態を確認しユーザに報知し、受信不能状態の場合に、タイヤ空気圧を受信できる位置まで車両11を移動する等の処置をさせることができる。
【0041】
次に、検出装置30、監視装置20、及びイグニッションスイッチ15との間の動作タイミングの変形例について、図5を用いて説明する。
【0042】
図5は、図4と同様に、車両11が走行し、停止した後にまた走行を開始した場合の、各検出装置30それぞれから送信されるデータ信号の送信タイミングを示す変形例の説明図である。
【0043】
図5に示すように、車両11の走行時の動作、車両11が停止した時に検出装置30内の検出装置制御手段34が送信手段32からの送信を停止すること、及び車両11の停止から所定の第1の時間T1経過後に通信状態確認用信号を送信手段32によって送信することについては、図4で説明した実施例の内容と同一である。
【0044】
図4に示した実施例では、イグニッションスイッチ15のオフを検出してから所定の第2の時間T2経過後に受信手段22の電源をオフにしていたが、図5で説明する変形例では、監視装置制御手段24は、イグニッションスイッチ15がオフの状態で通信状態確認用信号を受信手段22が受信したら、上述した第2の時間T2が経過する前の時間(例えばT3)で受信手段22の電源をオフにするようにした(T3<T2)。
【0045】
従って、監視装置20で通信状態確認用信号を確認後に受信手段22の電源をオンにしておく必要がないため、監視装置20における消費電力の増大を、効果的に抑えることができる。尚、車両11の走行を再度開始しようとする場合の動作は、図4で示した実施例の動作と同一である。
【0046】
このように、本発明の実施例であるタイヤ空気圧監視システム10は、車両11の停止後に通信状態確認用信号の送受信を行うことで、車両11の停止後でも各検出装置30の通信可否状況を確認できる。また、車両11が停止してから、所定の第1の時間経過した後に通信状態確認用信号を送信するため、一時停止ではなく、駐車したとみられる時点での状態を取得できる。更に、第1の時間以上の所定の第2の時間経過後に前記受信手段22の電源をオフにするので、通信状態確認用信号を確実に受信できると共に、監視装置20の消費電力の増大を抑えることができる。
【0047】
また、車両11のイグニッションスイッチ15がオンの時に、検出装置30との通信状況を報知装置17によって車両ユーザが把握できるため、空気充填を行う前にタイヤ空気圧を受信できる位置まで車両11を移動させる等の処置ができる。
【0048】
また、監視装置制御手段24は、イグニッションスイッチ15がオフの状態で通信状態確認用信号を受信したら、第2の時間T2経過前でも受信手段22の電源をオフにするので、監視装置20における消費電力の増大を、より効果的に抑えることができる。
【0049】
以上説明したように、本発明のタイヤ空気圧監視システムは、車両の停止後に通信状態確認用信号の送受信を行うことで、車両の停止後でも各検出装置の通信可否状況を確認できる。また、車両が停止してから所定の第1の時間経過した後に通信状態確認用信号を送信するため、一時停止ではなく、駐車したとみられる時点での状態を取得できる。更に、第1の時間以上の所定の第2の時間経過後に前記受信手段の電源をオフにするので、通信状態確認用信号を確実に受信できると共に、監視装置の消費電力の増大を抑えることができる。
【0050】
本発明は上記の実施形態の記載に限定されず、その効果が発揮される態様で適宜変更して実施することができる。
【0051】
例えば、本発明の監視装置制御手段24は、受信手段22で受信したデータ信号が各タイヤ12の内のどのタイヤからのデータ信号であるかを特定するために、受信手段22で受信したデータ信号内のIDコードと情報記憶部25内に記憶されたIDコードとを照合したが、受信手段22と各検出装置30との間の距離をそれぞれ異なった距離に設定し、受信手段22と各検出装置30との間の通信によって各距離を測定して、その結果により各タイヤ12の内のどのタイヤからのデータ信号であるかを特定するようにしても良い。
【0052】
また、本発明では、タイヤ空気圧監視システム10の電源として電池39を使用したが、タイヤ空気圧監視システム10の電源として電池ではなく、例えばタイヤ12の回転によって発電する発電機を備えた電源であっても良い。
【符号の説明】
【0053】
10 タイヤ空気圧監視システム
11 車両
12 タイヤ
12a フロント右タイヤ
12b フロント左タイヤ
12c リヤ右タイヤ
12d リヤ左タイヤ
15 イグニッションスイッチ
17 報知装置
20 監視装置
21 受信アンテナ
22 受信手段
24 監視装置制御手段
25 情報記憶部
26 情報出力部
29 電源装置
30 検出装置
30a フロント右検出装置
30b フロント左検出装置
30c リヤ右検出装置
30d リヤ左検出装置
31 送信アンテナ
32 送信手段
34 検出装置制御手段
37 タイヤ空気圧検出手段
38 走行状態検出手段
39 電池


図1
図2
図3
図4
図5
図6