【文献】
PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS,JOHN WILEY & SONS, INC.,1998年10月 2日,p.10-14
【文献】
Jasper DINKELAAR, et al.,Synthesis of Hyaluronic Acid Oligomers using Chemoselective and One-Pot Strategies,The Journal of Organic Chemistry,2009年,Vol.74,p.4208-4216
【文献】
Koen M. HALKES, et al.,Synthesis of hyaluronic-acid-related oligosaccharides and analogues, as their 4-methoxyphenyl glycos,Carbohydrate Research,1998年,Vol.309,p.161-174
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明は、一般式(2)で表される糖供与体と、一般式(3)で表される糖受容体とを、酸の存在下で反応させ、一般式(1)で表されるオリゴ糖化合物を製造するものである。
【0042】
[式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は、水酸基の保護基又は基−SO
3R
6を示す。ここでR
6は、C
1−8アルキル基、C
1−6ハロアルキル基、ベンジル基(ベンジル基のフェニル環上には、ハロゲン原子、C
1−4アルキル基、C
1−4ハロアルキル基、C
1−4アルコキシ基、C
1−4ハロアルコキシ基、C
1−4アルコキシカルボニル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれた少なくとも1種の置換基が1個以上置換してもよい)又はフェニル基(フェニル環上には、ハロゲン原子、C
1−4アルキル基、C
1−4ハロアルキル基、C
1−4アルコキシ基、C
1−4ハロアルコキシ基、C
1−4アルコキシカルボニル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれた少なくとも1種の置換基が1個以上置換してもよい)を示す。R
5はC
1−4アルコキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基(フェニル環上には、ハロゲン原子、C
1−4アルキル基、C
1−4ハロアルキル基、C
1−4アルコキシ基、C
1−4ハロアルコキシ基、C
1−4アルコキシカルボニル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれた少なくとも1種の置換基が1個以上置換してもよい)、ベンズヒドリルオキシカルボニル基(フェニル環上には、ハロゲン原子、C
1−4アルキル基、C
1−4ハロアルキル基、C
1−4アルコキシ基、C
1−4ハロアルコキシ基、C
1−4アルコキシカルボニル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれた少なくとも1種の置換基が1個以上置換してもよい)又は基−CH
2OR
7を示す。ここでR
7は、水酸基の保護基又は基−SO
3R
6を示す。
R
a及びR
bは、同一又は異なってC
1−4アルキル基、C
1−4ハロアルキル基又はC
1−4ハロアルコキシ基を示すか、互いに結合してC
1−4アルキレン基、C
2−4アルケニレン基又はフェニレン基を示す。Q
1及びQ
2は、水酸基の保護基、基−SO
3R
6又は糖残基を示す。]
【0044】
[式中、R
3、R
4、R
a、R
b及びQ
2は、前記と同じ。Xは、脱離基を示す。]
【0046】
[式中、R
1、R
2、R
5及びQ
1は、前記と同じ。]
【0047】
上記一般式(1)で表されるオリゴ糖化合物は、文献未記載の新規化合物であり、各種生理活性物質の製造中間体になりうる化合物である。特に、下記一般式(1a)で表されるオリゴ糖化合物は、多硫酸化ヒアルロン酸の製造中間体になりうる有用な物質である。
【0049】
[式中、R
3及びR
4は水酸基の保護基又は基−SO
3R
6を示す。R
6はC
1−8アルキル基、C
1−6ハロアルキル基、ベンジル基(ベンジル基のフェニル環上には、ハロゲン原子、C
1−4アルキル基、C
1−4ハロアルキル基、C
1−4アルコキシ基、C
1−4ハロアルコキシ基、C
1−4アルコキシカルボニル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれた少なくとも1種の置換基が1個以上置換してもよい)又はフェニル基(フェニル環上には、ハロゲン原子、C
1−4アルキル基、C
1−4ハロアルキル基、C
1−4アルコキシ基、C
1−4ハロアルコキシ基、C
1−4アルコキシカルボニル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれた少なくとも1種の置換基が1個以上置換してもよい)を示す。R
5はC
1−4アルコキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基(フェニル環上には、ハロゲン原子、C
1−4アルキル基、C
1−4ハロアルキル基、C
1−4アルコキシ基、C
1−4ハロアルコキシ基、C
1−4アルコキシカルボニル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれた少なくとも1種の置換基が1個以上置換してもよい)、ベンズヒドリルオキシカルボニル基(フェニル環上には、ハロゲン原子、C
1−4アルキル基、C
1−4ハロアルキル基、C
1−4アルコキシ基、C
1−4ハロアルコキシ基、C
1−4アルコキシカルボニル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれた少なくとも1種の置換基が1個以上置換してもよい)又は基−CH
2OR
7を示す。ここでR
7は、水酸基の保護基又は基−SO
3R
6を示す。
R
a及びR
bは、同一又は異なってC
1−4アルキル基、C
1−4ハロアルキル基又はC
1−4ハロアルコキシ基を示すか、互いに結合してC
1−4アルキレン基、C
2−4アルケニレン基又はフェニレン基を示す。Q
4は、保護基で保護された水酸基、次式(Q
4a)又は(Q
4b):
【0051】
或いは保護基で保護された水酸基を示し、R
9及びR
10は水酸基の保護基又は基−SO
3R
6を示す。Aは、基−OSO
3R
6、アジド基、
【0053】
を示す。ここで、R
c及びR
dは、同一又は異なって、水素原子、C
1−4アルキルカルボニル基、C
1−4ハロアルキルカルボニル基又はC
1−4ハロアルコキシカルボニル基を示し、R
e及びR
fは、同一又は異なって水素原子、C
1−4アルキル基又はフェニル基を示し、R
g、R
h、R
i及びR
jは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C
1−4アルキル基、C
1−4ハロアルキル基、C
1−4アルコキシ基、C
1−4ハロアルコキシ基、C
1−4アルコキシカルボニル基、ニトロ基又はシアノ基を示す。Q
5は次式(Q
5a):
【0055】
或いは水酸基の保護基又は基−SO
3R
6を示す。R
8は、水素原子、水酸基の保護基、基−SO
3R
6を示す。mは0又は1の整数、nは0〜4の整数を示す。]
【0056】
また、前記一般式(2)で表される糖供与体も、文献未記載の新規化合物である。特に、下記一般式(2a)で表される糖化合物は、多硫酸化ヒアルロン酸の製造原料になりうる有用な物質である。
【0058】
[式中、R
4は、水酸基の保護基又は基−SO
3R
6を示す。R
6は、C
1−8アルキル基、C
1−6ハロアルキル基、ベンジル基(ベンジル基のフェニル環上には、ハロゲン原子、C
1−4アルキル基、C
1−4ハロアルキル基、C
1−4アルコキシ基、C
1−4ハロアルコキシ基、C
1−4アルコキシカルボニル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれた少なくとも1種の置換基が1個以上置換してもよい)又はフェニル基(フェニル環上には、ハロゲン原子、C
1−4アルキル基、C
1−4ハロアルキル基、C
1−4アルコキシ基、C
1−4ハロアルコキシ基、C
1−4アルコキシカルボニル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれた少なくとも1種の置換基が1個以上置換してもよい)を示す。R
5はC
1−4アルコキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基(フェニル環上には、ハロゲン原子、C
1−4アルキル基、C
1−4ハロアルキル基、C
1−4アルコキシ基、C
1−4ハロアルコキシ基、C
1−4アルコキシカルボニル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれた少なくとも1種の置換基が1個以上置換してもよい)、ベンズヒドリルオキシカルボニル基(フェニル環上には、ハロゲン原子、C
1−4アルキル基、C
1−4ハロアルキル基、C
1−4アルコキシ基、C
1−4ハロアルコキシ基、C
1−4アルコキシカルボニル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれた少なくとも1種の置換基が1個以上置換してもよい)又は基−CH
2OR
7を示す。ここでR
7は、水酸基の保護基又は基−SO
3R
6を示す。R
8は、水酸基の保護基又は基−SO
3R
6を示す。R
a及びR
bは、同一又は異なってC
1−4アルキル基、C
1−4ハロアルキル基又はC
1−4ハロアルコキシ基を示すか、互いに結合してC
1−4アルキレン基、C
2−4アルケニレン基又はフェニレン基を示す。X
aは、ハロゲン原子、C
1−5アルキルカルボニルオキシ基、C
2−6アルケニルカルボニルオキシ基、トリハロアセトイミドイルオキシ基又はチオホルムイミドイルオキシ基を示す。]
【0059】
また、前記一般式(3)で表される糖受容体の中でも、特に、下記一般式(3a)で表される糖化合物は、文献未記載の新規化合物であり、多硫酸化ヒアルロン酸の製造原料になりうる有用な物質である。
【0061】
[式中、R
5はC
1−4アルコキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基(フェニル環上には、ハロゲン原子、C
1−4アルキル基、C
1−4ハロアルキル基、C
1−4アルコキシ基、C
1−4ハロアルコキシ基、C
1−4アルコキシカルボニル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれた少なくとも1種の置換基が1個以上置換してもよい)、ベンズヒドリルオキシカルボニル基(フェニル環上には、ハロゲン原子、C
1−4アルキル基、C
1−4ハロアルキル基、C
1−4アルコキシ基、C
1−4ハロアルコキシ基、C
1−4アルコキシカルボニル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれた少なくとも1種の置換基が1個以上置換してもよい)又は基−CH
2OR
7を示す。ここでR
7は、水酸基の保護基、基−SO
3R
6を示す。R
6は、C
1−8アルキル基、C
1−6ハロアルキル基、ベンジル基(ベンジル基のフェニル環上には、ハロゲン原子、C
1−4アルキル基、C
1−4ハロアルキル基、C
1−4アルコキシ基、C
1−4ハロアルコキシ基、C
1−4アルコキシカルボニル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれた少なくとも1種の置換基が1個以上置換してもよい)、フェニル基(フェニル環上には、ハロゲン原子、C
1−4アルキル基、C
1−4ハロアルキル基、C
1−4アルコキシ基、C
1−4ハロアルコキシ基、C
1−4アルコキシカルボニル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれた少なくとも1種の置換基が1個以上置換してもよい)を示す。Q
3は次式(Q
3a)又は(Q
3b):
【0063】
を示す。R
9及びR
10は水酸基の保護基、基−SO
3R
6を示す。Aは、基−OSO
3R
6、アジド基、
【0065】
を示す。ここで、R
c及びR
dは、同一又は異なって、水素原子、C
1−4アルキルカルボニル基、C
1−4ハロアルキルカルボニル基又はC
1−4ハロアルコキシカルボニル基を示し、R
e及びR
fは、同一又は異なって水素原子、C
1−4アルキル基又はフェニル基を示し、R
g、R
h、R
i及びR
jは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C
1−4アルキル基、C
1−4ハロアルキル基、C
1−4アルコキシ基、C
1−4ハロアルコキシ基、C
1−4アルコキシカルボニル基、ニトロ基又はシアノ基を示す。]
【0066】
1.オリゴ糖化合物及び糖化合物
1−1.一般式(1)で表されるオリゴ糖化合物
上記一般式(1)中の各基は、次のとおりである。
【0067】
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0068】
C
1−4アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が挙げられる。
【0069】
C
1−8アルキル基としては、例えば、前記C
1−4アルキル基で例示した基に加えて、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が挙げられる。
【0070】
C
1−4ハロアルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロジフルオロメチル基、ブロモジフルオロメチル基、ジクロロフルオロメチル基、1−フルオロエチル基、2−フルオロエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−ヨードエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、ペンタフルオロエチル基、1−フルオロイソプロピル基、3−フルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、3−ブロモプロピル基、4−フルオロブチル基、4−クロロブチル基等の1〜9個、好ましくは1〜5個のハロゲン原子で置換された炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が挙げられる。
【0071】
C
1−6ハロアルキル基としては、例えば、前記C
1−4ハロアルキル基で例示した基に加えて、5−クロロペンチル基、5−フルオロペンチル基、6−クロロヘキシル基、6−フルオロヘキシル基等の1〜13個、好ましくは1〜7個のハロゲン原子で置換された炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が挙げられる。
【0072】
C
1−4アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、シクロプロピルオキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基が挙げられる。
【0073】
C
1−4ハロアルコキシ基としては、例えば、フルオロメトキシ基、クロロメトキシ基、ブロモメトキシ基、ヨードメトキシ基、ジクロロメトキシ基、トリクロロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、クロロジフルオロメトキシ基、ブロモジフルオロメトキシ基、ジクロロフルオロメトキシ基、1−フルオロエトキシ基、2−フルオロエトキシ基、2−クロロエトキシ基、2−ブロモエトキシ基、2−ヨードエトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、2,2,2−トリクロロエトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、1−フルオロイソプロポキシ基、3−フルオロプロポキシ基、3−クロロプロポキシ基、3−ブロモプロポキシ基、4−フルオロブトキシ基、4−クロロブトキシ基等の1〜9個、好ましくは1〜5個のハロゲン原子で置換された炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基が挙げられる。
【0074】
C
1−4アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシカルボニル基が挙げられる。
【0075】
C
1−4アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基を挙げることができる。これらアルキレン基は、酸素原子、硫黄原子を含んでいてもよく、フェニレン基を介していてもよい。このようなアルキレン基としては、例えば、−CH
2OCH
2−、−CH
2OCH
2CH
2−、−CH
2SCH
2−、−CH
2SCH
2CH
2−、
【0077】
等が挙げられ、任意の位置にC
1−4アルキル基、C
1−4アルコキシ基、C
1−4アルコキシカルボニル基、ニトロ基、フェニル基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
【0078】
C
2−4アルケニレン基としては、ビニレン基、プロペニレン基、2−ブテニレン基、1,4−ブタジエニレン基等が挙げられ、任意の位置にC
1−4アルキル基、フェニル基等の置換基を有していてもよい。
【0079】
フェニレン基としては、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基が挙げられ、任意の位置にC
1−4アルキル基、C
1−4アルコキシ基、C
1−4アルコキシカルボニル基、ニトロ基、フェニル基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
【0080】
水酸基の保護基としては、通常糖化合物の水酸基の保護基として使用されるものであれば特に制限されず、例えばProtective Group in Organic Synthesis, Chapter 2, pp. 10-142, Theodora W. Greene and Peter G. M. Wuts, 2
nd ed.に記載される水酸基の保護基を例示できる。より具体的には、例えば、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、p−ニトロベンジル基、メトキシメチル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ベンゾイル基、アセチル基、ピバロイル基、レブリル基、アリル基等を挙げることができ、隣接する2つの水酸基に対して、C
1−4アルキル基、C
2−6アルケニル基又は置換基を有することのあるフェニル基で置換されてよい炭素数1〜3の2価基で環を形成してもよい。
【0081】
前記C
2−6アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、1,3−ブタジエニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1,1−ジメチル−2−プロペニル基、1−エチル−2−プロペニル基、1−メチル−2−ブテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1,1−ジメチル−2−ブテニル基、1,1−ジメチル−3−ブテニル基等の任意の位置に少なくとも1つの二重結合を有する炭素数2〜6の直鎖状又は分岐鎖状アルケニル基が挙げられる。
【0082】
また、前記炭素数1〜3の2価基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン、プロピレン基、イソプロピリデン基、エチルエチレン基、アリルメチレン基、ベンジリデン基、p−メトキシベンジリデン基等が挙げられる。
【0083】
糖残基としては、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、ガラクトサミン、N−アセチルガラクトサミン、マンノサミン、N−アセチルマンノサミン、フルクトース、グルクロン酸、イズロン酸等の単糖類、マルトース、イソマルトース、ラクトース、ラクトサミン、N-アセチルラクトサミン、セロビオース、メリビオース等の二糖類、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ラクトオリゴ糖、ラクトサミンオリゴ糖、N−アセチルラクトサミンオリゴ糖、セロオリゴ糖、メリビオオリゴ糖、ヒアルロン酸オリゴ糖、コンドロイチン硫酸オリゴ糖、ケラタン硫酸オリゴ糖、ヘパリンオリゴ糖、ヘパラン硫酸オリゴ糖等のオリゴ糖類、シアロ複合型糖鎖、N結合型糖鎖、O結合型糖鎖、グリコサミノグリカン、澱粉、アミロース、アミロペクチン、セルロース、キチン、グリコーゲン、アガロース、アルギン酸、ヒアルロン酸、イヌリン、グルコマンナン等の多糖類に由来する糖残基が挙げられる。これら糖残基は、その水酸基等が任意の保護基又は基−SO
3R
6によって保護されていてもよく、また、これらの還元糖に由来する糖誘導体であってもよい。
【0084】
本発明の一般式(1)で表わされるオリゴ糖化合物は、当該化合物を構成するグリコサミン又はガラクトサミン単位の、2位のアミノ基のイミド保護基を、一般に知られるイミド保護基を脱保護する方法で脱保護できることから、上述したとおり、各種生理活性物質の製造中間体とすることができる。特に、一般式(1a)で表されるオリゴ糖化合物においては、脱保護の条件である塩基性条件下においても、硫酸基が外れることなく脱保護することができ(参考例13参照)、多硫酸化ヒアルロン酸の製造中間体として使用することができる。
【0085】
1−2.一般式(2)で表される糖供与体
上記一般式(2)中の各基は、次のとおりである。
【0086】
一般式(2)中のR
3、R
4、R
a、R
b及びQ
2における各基は、一般式(1)における各基と同じである。
【0087】
脱離基としては、ハロゲン原子、メチルチオ基等のC
1−4アルキルチオ基、フェニルチオ基等のアリールチオ基、C
1−5アルキルカルボニルオキシ基、C
2−6アルケニルカルボニルオキシ基、トリハロアセトイミドイルオキシ基、チオホルムイミドイルオキシ基を挙げることができ、これらの脱離基の中でもC
2−6アルケニルカルボニルオキシ基又はトリハロアセトイミドイルオキシ基が好ましい。
【0088】
1−3.一般式(3)で表される糖受容体
一般式(3)中のR
1、R
2、R
5及びQ
1における各基は、一般式(1)における各基と同じである。
【0089】
1−4.一般式(2a)で表される糖化合物
一般式(2a)中のR
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
a、R
b及びX
aにおける各基は、一般式(1)における各基と同じである。
【0090】
C
1−5アルキルカルボニルオキシ基としては、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、n−ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、ピバロイルオキシ等が挙げられる。
【0091】
C
2−6アルケニルカルボニルオキシ基としては、例えば、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、クロトノイルオキシ基、イソクロトノイルオキシ基、4−ペンテノイルオキシ基等が挙げられる。
【0092】
トリハロアセトイミドイルオキシ基としては、例えばトリフルオロアセトイミドイルオキシ基、トリクロロアセトイミドイルオキシ基、N−メチルトリクロロアセトイミドイルオキシ基、N−フェニルトリクロロアセトイミドイルオキシ基等のイミド窒素原子に、C
1−4アルキル基又はフェニル基が置換してもよい、3個のハロゲン原子で置換されたアセトイミドイルオキシ基を挙げることができる。
【0093】
チオホルムイミドイルオキシ基としては、例えばp−トリフルオロメチルベンジルチオ−p−トリフルオロメチルフェニルホルムイミドイルオキシ基、p−トリフルオロメチルベンジルチオ−p−ニトロフェニルホルムイミドイルオキシ基等を挙げることができる。
【0094】
また、R
8が水酸基の保護基であり、R
5が基−CH
2OR
7であって、かつR
7が水酸基の保護基であるとき、R
8とR
7とは一緒になって炭素数1〜3の2価基を形成していてもよく、当該2価基の任意の位置にC
1−4アルキル基、C
2−6アルケニル基又は置換基を有することのあるフェニル基が置換されていてもよい。
【0095】
一般式(2a)で表される糖化合物の中でも、X
aがC
2−6アルケニルカルボニルオキシ基又はトリハロアセトイミドイルオキシ基である糖化合物が好ましく、X
aが4−ペンテノイルオキシ基、トリクロロアセトイミドイルオキシ基又はN−フェニルトリクロロアミドイルオキシ基である糖化合物がより好ましい。
【0096】
一般式(2a)で表される糖化合物の中でも、R
a及びR
bが、同一又は異なってC
1−4アルキル基、C
1−4ハロアルコキシ基、或いは互いに結合してC
2−4アルケニレン基又はフェニレン基である糖化合物が好ましく、R
a及びR
bが、同一又は異なってメチル基、2,2,2−トリクロロエトキシ基、或いは互いに結合してビニレン基、1,2−ジメチルビニレン基、1,2−ジフェニルビニレン基又は1,2−フェニレン基である糖化合物がより好ましい。
【0097】
一般式(2a)で表される糖化合物の中でも、R
5がアルコキシカルボニル基であって、メトキシカルボニル基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル基である糖化合物が好ましい。
【0098】
一般式(2a)で表される糖化合物の中でも、R
5が基−CH
2OR
7であって、R
7及びR
8がそれぞれアセチル基である糖化合物が好ましい。
【0099】
一般式(2a)で表される糖化合物の中でも、R
5が基−CH
2OR
7であって、R
7及びR
8が、互いに結合してイソプロピリデン基、ベンジリデン基又はp−メトキシベンジリデン基である糖化合物が好ましい。
【0100】
一般式(2a)で表される糖化合物の中でも、R
6が2,2,2−トリクロロエチル基である糖化合物が好ましい。
【0101】
1−5.一般式(3a)で表される糖化合物
一般式(3a)中のR
5、R
6、R
7、R
9、R
10、A、R
c、R
d、R
e、R
f、R
g、R
h、R
i及びR
jにおける各基は、一般式(1)における各基と同じである。
【0102】
C
1−4アルキルカルボニル基としては、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基とカルボニル基とが結合した基であって、例えば、メチルカルボニル基(アセチル基)、エチルカルボニル基(プロピオニル基)、n−プロピルカルボニル基(ブチリル基)、イソプロピルカルボニル基(イソブチリル基)、n−ブチルカルボニル基(バレリル基)、イソブチルカルボニル基(イソバレリル基)、sec−ブチルカルボニル基、tert−ブチルカルボニル基等が包含される。
【0103】
C
1−4ハロアルキルカルボニル基としては、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状ハロアルキル基とカルボニル基とが結合した基であって、例えば、クロロアセチル基、ブロモアセチル基、ヨードアセチル基、ジフルオロアセチル基、トリフルオロアセチル基、トリクロロアセチル基、クロロジフルオロアセチル基、2,2,2−トリフルオロプロピオニル基、2,2,2−トリクロロプロピオニル基、ペンタフルオロプロピオニル基、4−フルオロブタノイル基等が包含される。
【0104】
C
1−4ハロアルコキシカルボニル基としては、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基が挙げられる。
【0105】
一般式(3a)で表される糖化合物の中でも、R
5がベンジルオキシメチル基、p−メトキシベンジルオキシメチル基又はメトキシカルボニル基である糖化合物が好ましく、メトキシカルボニル基である糖化合物がより好ましい。
【0106】
一般式(3a)で表される糖化合物の中でも、Q
3がQ
3a又はQ
3bである糖化合物であって、Q
3a又はQ
3b上のAがアジド基、ジメチルマレイミド基又はフタルイミド基である糖化合物が好ましく、Aがジメチルマレイミド基又はフタルイミド基である糖化合物がより好ましい。
【0107】
一般式(3a)で表される糖化合物の中でも、R
6が2,2,2−トリクロロエチル基である糖化合物が好ましい。
【0108】
一般式(3a)で表される糖化合物の中でも、Q
3がQ
3aである糖化合物が好ましい。
【0109】
一般式(3a)で表される糖化合物の中でも、Q
3がQ
3aである糖化合物においてはR
9がメチル基、ベンジル基又はp−メトキシベンジル基である糖化合物が好ましく、p−メトキシベンジル基である糖化合物がより好ましい。
【0110】
一般式(3a)で表される糖化合物の中でも、Q
3がQ
3aである糖化合物においてはR
10がアセチル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、レブニル基である糖化合物が好ましく、アセチル基である糖化合物がより好ましい。
【0111】
1−6.一般式(1a)で表されるオリゴ糖化合物
一般式(1a)中のR
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、A、R
c、R
d、R
e、R
f、R
g、R
h、R
i、R
j、Q
4及びQ
5における各基は、一般式(1)、(2a)及び(2b)における各基と同じである。
【0112】
なお、R
3とR
4が水酸基の保護基であるとき、また、一般式(1a)で表わされるオリゴ糖化合物のQ
5がQ
5aであって、当該Q
5aにおけるR
8が水酸基の保護基であり、R
5が基−CH
2OR
7であって、かつR
7が水酸基の保護基であるとき、R
3とR
4、又はR
7とR
8とは、それぞれ一緒になって炭素数1〜3の2価基を形成していてもよく、当該2価基には任意の位置にC
1−4アルキル基、C
2−6アルケニル基又は置換基を有することのあるフェニル基が置換されていてもよい。
【0113】
一般式(1a)で表されるオリゴ糖化合物の中でも、Q
4が式(Q
4a)又は(Q
4b)であるオリゴ糖化合物が好ましい。
【0114】
一般式(1a)で表されるオリゴ糖化合物の中でも、Q
5が式(Q
5a)であるオリゴ糖化合物が好ましい。
【0115】
一般式(1a)で表されるオリゴ糖化合物の中でも、Q
4が式(Q
4a)又は式(Q
4b)であり、Q
5が式(Q
5a)であり、mが0又は1の整数、nが0〜4の整数であるオリゴ糖化合物が好ましい。
【0116】
一般式(1a)で表されるオリゴ糖化合物の中でも、Q
4が式(Q
4a)又は式(Q
4b)であり、Q
5が式(Q
5a)であり、m及びnが0であるオリゴ糖化合物が好ましい。
【0117】
一般式(1a)で表されるオリゴ糖化合物の中でも、Q
4が式(Q
4a)又は式(Q
4b)であり、Q
5が式(Q
5a)であり、R
3が基−SO
3R
6であり、m及びnが0であるオリゴ糖化合物が好ましい。
【0118】
一般式(1a)で表されるオリゴ糖化合物の中でも、Q
4が式(Q
4a)又は式(Q
4b)であり、Q
5が次式(Q
5b):
【0120】
[式中、R
6は前記に同じ。R
11a及びR
11bは、同一又は異なって、水素原子、C
1−4アルキル基、C
2−6アルケニル基又はフェニル基(フェニル環上には、ハロゲン原子、C
1−4アルキル基、C
1−4ハロアルキル基、C
1−4アルコキシ基、C
1−4ハロアルコキシ基、C
1−4アルコキシカルボニル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれた少なくとも1種の置換基が1個以上置換してもよい)を示す。]であるオリゴ糖化合物が好ましい。
【0121】
一般式(1a)で表されるオリゴ糖化合物の中でも、Q
4が式(Q
4a)又は式(Q
4b)であり、Q
5が式(Q
5a)であり、R
3が基−SO
3R
6であり、mとnとの合計が2又は3であるオリゴ糖化合物が好ましい。
【0122】
2.製造方法
2−1.オリゴ糖の製造方法
本発明の一般式(1)で表されるオリゴ糖化合物の製造方法は、下記反応式−1に示すとおり、一般式(2)で表される糖供与体と、一般式(3)で表される糖受容体とを、酸の存在下で反応させることを特徴とする。
【0124】
[式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
a、R
b、Q
1、Q
2及びXは前記と同じ。]
【0125】
本反応に使用する酸としては、硫酸等の無機酸、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル(BF
3・OEt
2)、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル、トリフルオロメタンスルホン酸トリエチルシリル、トリフルオロメタンスルホン酸トリプロピルシリル、トリフルオロメタンスルホン酸ジメチルエチルシリル、トリフルオロメタンスルホン酸トリベンジルシリル、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルシリル又はトリフルオロメタンスルホン酸トリベンジルメチルシリル、トリフルオロメタンスルホン酸銀、シクロペンタジエニル塩化ハフニウム、シクロペンタジエニル塩化ジルコニウム、塩化錫等のルイス酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸が挙げられる。これらの中でもルイス酸が好ましく、特にトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルが好ましい。
【0126】
これらの酸は、1種または2種以上を併用することができ、その使用量は一般式(2)で表される糖供与体に対して0.1〜5当量、好ましくは0.2〜1.5当量とするのがよい。一般式(2)で表される糖供与体と一般式(3)で表される糖受容体との使用割合は任意の割合で使用することができるが、糖供与体1モルに対して、好ましくは、糖受容体を0.2〜10モル、更に好ましくは0.7〜4モルとするのがよい。
【0127】
なお、本反応において一般式(2)で表される糖供与体のXがアルケニルカルボニル基である場合は、トリフルオロメタンスルホン酸銀等のルイス酸にフェニルセレニウムブロマイド等の活性化剤とトリtert−ブチルピリジン等の塩基とを併用して、又はトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル等のルイス酸にN−ヨードこはく酸イミド等の活性化剤を併用して反応させるのが好ましい。ルイス酸に活性化剤及び塩基を併用する場合の使用割合は、例えば、一般式(2)で表される糖供与体に対して、ルイス酸を1〜5当量程度、活性化剤を1〜5当量程度、塩基を1〜5当量程度とすればよく、ルイス酸に活性化剤を併用する場合の使用割合は、例えば、一般式(2)で表される糖供与体に対して、ルイス酸を0.1〜2当量程度、活性化剤を1〜5当量程度とすればよい。
【0128】
本反応は、通常、溶媒中で行われる。使用する溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば、特に制限されず、例えば、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、四塩化炭素、クロルベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、モノグライム等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、アセトニトリル、プロパンニトリル等のニトリル類又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。これらの中でも、芳香族炭化水素類、ニトリル類及びハロゲン化炭化水素類が好ましく、ハロゲン化炭化水素類が特に好ましい。具体的には、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、四塩化炭素、クロルベンゼン、o−ジクロロベンゼンが好ましい。
【0129】
これら溶媒の使用量は、一般式(2)で表される糖供与体1kg当たり1〜100リットル程度、好ましくは1〜40リットル程度とすればよい。
【0130】
本反応は、通常、−100℃〜40℃、更に好ましくは−40℃〜25℃の温度で行われる。反応時間は特に制限されないが、通常1〜24時間で進行する。
【0131】
また、本反応は、系内の水及びハロゲン化水素酸等を除去しておくことが好ましく、モレキュラーシーブ等の捕捉体を使用するのが好ましい。
【0132】
本発明の製造方法によれば、一般式(1)で表される、βグリコシル結合であるオリゴ糖化合物を、選択的に、効率よく製造することができる。
【0133】
2−2.糖供与体の製造方法
本反応で使用される一般式(2)で表される糖供与体は、例えば、次の反応式−2の方法で製造することができる。
【0135】
[式中、R
3、R
4、R
a、R
b、Q
2及びXは、前記と同じ。R
12は水酸基の保護基を示す。ここで、水酸基の保護基とは、一般式(1)における定義と同じである。]
【0136】
上記反応式−2に示したとおり、一般式(4)で表される2−アミノ糖化合物の、2位のアミノ基をイミド化(Process 1)して、一般式(5)で表される2−イミド糖化合物を製造し、その後、一般式(6)で表される2−イミド糖化合物に変換(Process 2)した後、1位の水酸基保護基の脱保護反応(Process 3)を行って、一般式(7)で表される2−イミド糖化合物を製造する。得られた一般式(7)で表される糖化合物の遊離水酸基を、所定の脱離基に置換(Process 4)させて、目的とする一般式(2)で表される糖供与体を得ることができる。
【0137】
また、一般式(2)において、脱離基としてC
2−6アルケニルカルボニルオキシ基を有する場合、先に脱離基Xを導入し、その後2位アミノ基をイミド化することにより、一般式(2)で表される糖供与体を得ることもできる(後述の参考例10、実施例5および6参照)。
【0138】
また、脱離基として、p−トリフルオロメチルベンジルチオ−p−トリフルオロメチルフェニルホルムイミドイル基、p−トリフルオロメチルベンジルチオ−p−ニトロフェニルホルムイミドイル基等のチオホルムイミドイル基を導入する場合は、一般式(5)で表される2−イミド糖化合物と、p−トリフルオロメチルフェニルイソチオシアネート又はp−ニトロフェニルイソチオシアネートとを反応させ、次いでp−トリフルオロメチルベンジルブロマイド等で処理することにより、一般式(2)で表される糖供与体を製造することができる。
【0139】
(
Process 1)
一般式(4)で表される2−アミノ糖化合物の、2位のアミノ基をイミド化して、一般式(5)で表される2−イミド糖化合物を製造する反応(Process 1)は、反応剤を用いて、通常、溶媒中で行われる。
【0140】
本反応で使用する反応剤としては、例えば、アセチルクロライド、アセチルブロマイド、トリクロロアセチルクロライド等のアシルハライド類、無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸等の酸無水物、酢酸p−ニトロフェニル、トリフルオロ酢酸エチル、酢酸イソプロペニル等のエステル類等のアミド化剤、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルクロリド等のカーバメート化剤、無水フタル酸、N−エトキシカルボニルフタルイミド、o−メトキシカルボニル安息香酸クロリド、無水マレイン酸、2−メチルマレイン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、2,3−ジフェニルマレイン酸無水物等のイミド化剤を挙げることができる。
【0141】
アミド化剤を使用する場合は、一般式(4)で表される2−アミノ糖化合物1モルに対してアミド化剤2モル以上を使用して一度に2位アミノ基をイミド化してもよいが、1モル程度を使用する等の反応制御を行って一旦モノ置換体(アミド体)を形成し、その後更にアミド化剤を反応させてイミド化することができ、本反応においては後者の2段階でイミド化する方法が反応効率の観点から好ましく、また異なるアミド基の導入が可能となり好ましい。
【0142】
本反応に使用される溶媒としては、該反応に対して不活性な溶媒である限り、公知の溶媒を広く使用することができ、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族もしくは脂環式炭化水素系溶媒、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、ジメチルスルホキド、N−メチルピロリドン、N,N'−ジメチルイミダゾリノン等の非プロトン性極性溶媒等を挙げることができる。これらの溶媒は、1種を単独で使用でき、又は必要に応じて2種以上を混合して使用することができる。
【0143】
これらの溶媒の使用量は、使用する反応剤の種類と反応の種類等によって適宜設定すればよいが、通常、一般式(4)で表される2−アミノ糖化合物1重量部に対して、1〜500重量部程度、好ましくは5〜100重量部程度、より好ましくは1〜20重量部程度使用すればよい。
【0144】
また、本反応は、通常、塩基の存在下において行うことが好ましく、使用される塩基としては、公知の無機塩基及び有機塩基を使用可能である。無機塩基としては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物等が挙げられる。有機塩基としては、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチ
ルアミン、ピリジン等のアミン等が挙げられる。これらの塩基は、1種単独で又は2種以上混合して使用される。
【0145】
このような塩基の使用量は、使用する反応剤の種類、使用量に応じて適宜設定されるものであるが、通常、一般式(2)で表される2−アミノ糖化合物に対して、0.1〜100当量、好ましくは0.5〜5当量、より好ましくは1〜2.0当量程度とすればよい。
【0146】
本反応は、通常、−100℃から使用する溶媒の沸点温度までの範囲内で行うことができる。0℃〜使用する溶媒の沸点温度で反応を行うのが好ましく、加熱還流下で反応を行うのがより好ましい。
【0147】
反応時間は、使用する反応剤の種類、反応温度等により異なり、一概には言えないが、通常0.5〜24時間程度で該反応は完結する。
【0148】
(
Process 2)
一般式(5)で表される2−イミド糖化合物から、一般式(6)で表される2−イミド糖化合物に誘導する方法(Process 2)は、通常、反応剤を用いて、溶媒中で行われる。
【0149】
本反応で使用する反応剤としては、酢酸-無水酢酸が挙げられる。
【0150】
反応剤の使用量は、使用する反応剤の種類と反応の種類等によって適宜設定すればよいが、反応剤として酢酸−無水酢酸を使用する場合、通常、一般式(5)で表される2−アミノ糖化合物に対して、酢酸5〜30当量程度、好ましくは10〜20程度使用すればよく、また無水酢酸は2−アミノ糖化合物1重量部に対して10〜500重量部程度、好ましくは10〜200重量部程度使用すればよい。
【0151】
本反応で使用される溶媒としては、該反応に対して不活性な溶媒である限り、公知の溶媒を広く使用することができ、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族もしくは脂環式炭化水素系溶媒、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N,N'−ジメチルイミダゾリノン等の非プロトン性極性溶媒等を挙げることができる。これらの溶媒は、1種を単独で使用でき、又は必要に応じて2種以上を混合して使用することができる。
【0152】
これらの溶媒の使用量は、使用する反応剤の種類と反応の種類等によって適宜設定すればよいが、通常、一般式(5)で表される2−アミノ糖化合物1重量部に対して、0〜500重量部程度、好ましくは0〜100重量部程度使用すればよい。
【0153】
また、本反応は、通常、酸の存在下において反応させることが好ましく、使用される酸としては、公知の無機酸、有機酸を使用可能である。無機酸としては、硫酸、硝酸等の無水酸が挙げられ、有機酸としては、例えば、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、10−カンファスルホン酸等が挙げられる。これらの酸は、1種単独で又は2種以上混合して使用される。
【0154】
このような酸の使用量は、使用する反応剤の種類、使用量に応じて適宜設定されるものであるが、通常、一般式(5)で表される2−アミノ糖化合物に対して、1〜200当量、好ましくは10〜100当量、より好ましくは20〜60当量程度とすればよい。
【0155】
本反応は、通常、−100℃から使用する溶媒の沸点温度までの範囲内で行うことができる。0℃〜60で反応を行うのが好ましく、好ましくは、室温〜40℃が好ましい。
【0156】
反応時間は、使用する反応剤の種類、反応温度等により異なり、一概には言えないが、通常0.5〜24時間程度で該反応は完結する。
【0157】
(
Process 3)
一般式(6)で表される2−イミド糖化合物の、1位の水酸基保護基の脱保護反応(Process 3)は、脱保護を予定する保護基の種類に応じて、従来公知の方法を適用すればよい。
【0158】
例えば、保護基がアセチル基である場合は、通常、塩基存在下に、溶媒中で行われる。
【0159】
使用する塩基としては、例えば、ヒドラジン酢酸、ベンジルアミンを挙げることができる。
【0160】
このような塩基の使用量は、使用する反応剤の種類、使用量に応じて適宜設定されるものであるが、通常一般式(6)で表される2−アミノ糖化合物に対して、通常1〜100当量、好ましくは1〜5当量、より好ましくは1〜2.0当量程度とすればよい。
【0161】
使用される溶媒としては、該反応に対して不活性な溶媒である限り、公知の溶媒を広く使用することができ、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族もしくは脂環式炭化水素系溶媒、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N,N'−ジメチルイミダゾリノン等の非プロトン性極性溶媒等を挙げることができる。これらの溶媒は、1種を単独で使用でき、又は必要に応じて2種以上を混合して使用することができる。
【0162】
これらの溶媒の使用量は、使用する反応剤の種類と反応の種類等によって適宜設定すればよいが、通常一般式(6)で表される2−アミノ糖化合物1重量部に対して、通常1〜500重量部程度、好ましくは5〜100重量部程度使用すればよい。
【0163】
本反応は、通常、−100℃から使用する溶媒の沸点温度までの範囲内で行うことができる。−30℃〜室温で反応を行うのが好ましく、特に−15℃〜室温で反応を行うのがより好ましい。
【0164】
反応時間は、使用する反応剤の種類、反応温度等により異なり、一概には言えないが、通常0.5〜24時間程度で該反応は完結する。
【0165】
(
Process 4)
一般式(7)で表される2−イミド糖化合物の1位に、所定の脱離基を置換させる反応(Process 4)は、導入させる脱離基に相当する反応剤に応じた反応を選択して行う。
【0166】
脱離基として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子を導入する場合は、通常、反応に悪影響を与えない溶媒中で、例えば、従来公知のハロゲン化剤を作用させればよい。
【0167】
ハロゲン化剤としては、塩素、臭素、ヨウ素、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、臭化水素等が挙げられる。このようなハロゲン化剤の使用量は、使用するハロゲン化剤の種類に応じて適宜設定されるものであるが、通常、一般式(7)で表される化合物に対して、少なくとも等モル以上用いればよい。
【0168】
また、使用する溶媒としては、例えば、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸、水等を挙げることができる。これらの溶媒は、1種を単独で使用でき、又は必要に応じて2種以上を混合して使用することができる。
【0169】
脱離基として、メチルチオ基等のC
1−4アルキルチオ基、フェニルチオ基等のアリールチオ基を導入する場合は、通常、反応に悪影響を与えない溶媒中、酸又は塩基の存在下に、酸無水物と所定のチオール化合物とを作用させればよい。
【0170】
酸無水物としては、無水酢酸等が挙げられる。酸無水物の使用量としては、通常、一般式(7)で表される化合物に対して、少なくとも等モル以上用いればよい。
【0171】
チオール化合物としては、メチルチオール、イソプロピルチオール、チオフェノール等が挙げられる。このようなチオール化合物の使用量は、使用するチオール化合物の種類に応じて適宜設定されるものであるが、通常、一般式(7)で表される化合物に対して、少なくとも等モル以上用いればよい。
【0172】
酸としては、フッ化ホウ素ジエチルエーテル等のルイス酸等が挙げられる。
【0173】
塩基としては、1,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド、トリエチルアミン等が挙げられる。このような酸又は塩基の使用量は、使用するチオール化合物の種類、使用量に応じて適宜設定されるものであるが、例えば、一般式(7)で表される化合物に対して、少なくとも0.1モル以上、好ましくは等モル以上用いればよい。
【0174】
また、使用する溶媒としては、ジクロロメタン、アセトニトリル、トルエン、水等の単独又は2種以上の混合溶媒を挙げることができる。
【0175】
脱離基として、C
1−5アルキルカルボニルオキシ基を導入する場合は、通常、反応に悪影響を与えない溶媒中で、塩基存在下に、必要に応じて反応促進剤を併用して、反応剤を作用させればよい。
【0176】
反応剤としては、無水酢酸、無水プロピオン酸等が挙げられる。このような反応剤の使用量は、使用する反応剤の種類に応じて適宜設定されるものであるが、通常、一般式(7)で表される化合物に対して、少なくとも等モル以上用いればよい。
【0177】
塩基としては、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン等が挙げられる。このような塩基の使用量は、使用する反応剤の種類、使用量に応じて適宜設定されるものであるが、通常、一般式(7)で表される化合物に対して、少なくとも等モル以上用いればよい。
【0178】
反応促進剤としては、ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
【0179】
また、使用する溶媒としては、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒等を挙げることができる。これらの溶媒は、1種を単独で使用でき、又は必要に応じて2種以上を混合して使用することができる。
【0180】
また別法として、通常、反応に悪影響を与えない溶媒中で、アセチルクロリド等のアシルハライドを作用させることで、目的の化合物を得ることもできる。
【0181】
脱離基として、C
2−6アルケニルカルボニルオキシ基を導入する場合は、通常、反応に悪影響を与えない溶媒中で、塩基存在下に、必要に応じて反応促進剤を併用して、反応剤を作用させればよい。
【0182】
反応剤としては、無水4−ペンテニル酸 無水3−ブテニル酸等が挙げられる。このような反応剤の使用量は、使用する反応剤の種類に応じて適宜設定されるものであるが、通常、一般式(7)で表される化合物に対して、少なくとも等モル以上用いればよい。
【0183】
塩基としては、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン塩基等が挙げられるこのような塩基の使用量は、使用する反応剤の種類、使用量に応じて適宜設定されるものであるが、通常、一般式(7)で表される化合物に対して、少なくとも等モル以上用いればよい。
【0184】
反応促進剤としては、ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
【0185】
また、使用する溶媒としては、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒等を挙げることができる。これらの溶媒は、1種を単独で使用でき、又は必要に応じて2種以上を混合して使用することができる。
【0186】
脱離基として、トリフルオロアセトイミドイルオキシ基、トリクロロアセトイミドイルオキシ基、N−フェニルトリクロロアセトイミドイルオキシ基等のトリハロアセトイミドイルオキシ基を導入する場合は、通常、反応に悪影響を与えない溶媒中で、塩基存在下に、反応剤を作用させればよい。
【0187】
塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン等が挙げられる。これらの塩基の使用量は、使用する反応剤の種類及び使用量に応じて適宜設定されるが、通常、一般式(7)で表される2−アミノ糖化合物に対して、通常0.1〜10当量、好ましくは0.1〜5当量、より好ましくは0.2〜1.0当量程度とすればよい。
【0188】
反応剤としては、トリクロロアセトニトリル、トリフルオロアセトニトリル等を作用させればよい。これらの反応剤の使用量は、使用する反応剤の種類に応じて適宜設定されるものであるが、一般式(7)で表される2−アミノ糖化合物に対して、通常1〜200当量、より好ましくは5〜100当量程度とすればよい。
【0189】
また、使用する溶媒としては、例えば、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒等を挙げることができる。これらの溶媒は、1種を単独で使用でき、又は必要に応じて2種以上を混合して使用することができる。これらの溶媒の使用量としては、一般式(7)で表わされる2−アミノ糖化合物1重量部に対して、通常、10〜100重量部程度、好ましくは10〜50重量部程度とすればよい。
【0190】
本反応は、通常、−100℃から使用する溶媒の沸点温度までの範囲内で行うことができ、−50℃〜室温で反応を行うのが好ましく、−40℃〜0℃で反応を行うのがより好ましい。反応時間は、使用する反応剤の種類、反応温度等により異なり、一概には言えないが、通常、0.5〜24時間程度で該反応は完結する。
【0191】
脱離基として、p−トリフルオロメチルベンジルチオ−p−トリフルオロメチルフェニルホルムイミドイル基、p−トリフルオロメチルベンジルチオ−p−ニトロフェニルホルムイミドイル基等のチオホルムイミドイル基を導入する場合は、一般式(5)で表される2−イミド糖化合物と、p−トリフルオロメチルフェニルイソチオシアネート又はp−ニトロフェニルイソチオシアネートとを反応させ、次いでp−トリフルオロメチルベンジルブロマイド等で処理することにより、一般式(2)で表される糖供与体を製造することができる。
【0192】
この反応は溶媒中、塩基存在下で進行する。
【0193】
使用する塩基としては、n−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムハイドライド、カリウムハイドライドなどが挙げられる。このような塩基の使用量は、使用する反応剤の種類、使用量に応じて適宜設定されるものであるが、通常の触媒量、例えば、一般式(7)で表される化合物に対して、少なくとも0.1モル以上用いればよい。
【0194】
使用する溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族もしくは脂環式炭化水素系溶媒、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N,N'−ジメチルイミダゾリノン等の非プロトン性極性溶媒等を挙げることができる。これらの溶媒は、1種を単独で使用でき、又は必要に応じて2種以上を混合して使用することができる。
【0195】
反応温度は室温から−100℃の間で選択されるが、第一工程は−78℃が好ましく、第二工程は0℃が好ましい。本反応は、通常−100℃から室温までの範囲内で行うことができ、フェニルイソチオシアネートを使用する反応では−78℃程度が好ましく、ベンジル化処理する場合は0℃付近が好ましい。
【0196】
2−3.糖受容体の製造方法
反応式−1の原料として使用される一般式(3)で表される糖受容体は、例えば、次の反応式−3に示す方法で製造することができる。
【0198】
[式中、R
1、R
2、R
5及びQ
1は、前記と同じ。R
13a及びR
13bは、同一又は異なって水素原子、C
1−4アルキル基、C
2−6アルケニル基又はフェニル基を示す。ここで、C
1−4アルキル基、C
2−6アルケニル基とは、一般式(1)における定義と同じである。]
【0199】
反応式−3に示すとおり、一般式(8)で表される糖化合物の、4位及び6位の水酸基の保護基を脱保護し、一般式(9)で表される糖化合物に変換した(Process 5)後、(a)6位の水酸基を選択的に保護する、あるいは、(b)5位の−CH
2OHを酸化した後、保護基を導入することにより、一般式(3)で表される糖受容体を製造することができる(Process 6)。
【0200】
あるいは、一般式(8)で表される糖化合物の、4位の水酸基の保護基を選択的に脱保護することで、R
5が基−CH
2OCHR
13aR
13bである、一般式(3)で表される糖受容体に、一段階で誘導することもできる(Process 7)。
【0201】
(
Process 5)
一般式(8)で表される糖化合物の、4位及び6位の水酸基の保護基を脱保護し、一般式(9)で表される糖化合物に変換する反応(Process 5)は、通常、溶媒中で、酸の存在下に加水分解させることにより行う。
【0202】
本反応に使用される酸としては、公知の無機酸、有機酸を使用できる。無機酸としては、硫酸、硝酸等の無水酸が挙げられ、有機酸としては、例えば、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、10−カンファスルホン酸等が挙げられる。これらの酸は、1種単独で又は2種以上混合して使用される。
【0203】
これらの酸の使用量は、使用する反応剤の種類及び使用量に応じて適宜設定されるものであるが、一般式(8)で表される糖化合物に対して、通常1〜100当量、好ましくは10〜50当量程度とすればよい。
【0204】
また、使用される溶媒としては、該反応に対して不活性な溶媒である限り、公知の溶媒を広く使用することができ、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族もしくは脂環式炭化水素系溶媒、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N,N'−ジメチルイミダゾリノン等の非プロトン性極性溶媒等を挙げることができる。これらの溶媒は、1種を単独で使用でき、又は必要に応じて2種以上を混合して使用することができる。
【0205】
これらの溶媒の使用量は、使用する反応剤の種類と反応の種類等によって適宜設定すればよいが、通常、一般式(8)で表される2糖化合物1重量部に対して、1〜100重量部程度、好ましくは1〜50重量部程度使用すればよい。
【0206】
本反応は、通常−20℃から使用する溶媒の沸点温度までの範囲内で行うことができる。−10℃〜30で反応を行うのが好ましく、好ましくは、0〜30℃が好ましい。
【0207】
反応時間は使用する反応剤の種類、反応温度等により異なり、一概には言えないが、通常0.5〜24時間程度で該反応は完結する。
【0208】
(
Process 6)
一般式(9)で表される糖化合物について、(a)6位の水酸基を選択的に保護する、あるいは、(b)5位の−CH
2OHを酸化した後、保護基を導入することにより、一般式(3)で表される糖受容体を得る反応(Process 6)は、導入させる基に相当する反応剤に応じた反応を選択して行う。
【0209】
(a)6位の水酸基を選択的に保護する反応は、通常、溶媒中で、反応剤を作用させることにより行う。
【0210】
反応剤としては、該当する保護基がトリクロロイミドイルオキシ基等で活性化されたものや、該当する保護基のハロゲン体などが挙げられる。これらの反応剤の使用量は、使用する反応剤の種類、使用量に応じて適宜設定されるものであるが、一般式(9)で表される糖化合物に対して、通常1〜100当量、好ましくは1.5〜10当量程度とすればよい。
【0211】
また、本発明に使用される溶媒としては、該反応に対して不活性な溶媒である限り公知の溶媒を広く使用することができ、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族もしくは脂環式炭化水素系溶媒、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N,N'−ジメチルイミダゾリノン等の非プロトン性極性溶媒等を挙げることができる。これらの溶媒は、1種を単独で使用でき、又は必要に応じて2種以上を混合して使用することができる。
【0212】
これらの溶媒の使用量は、使用する反応剤の種類と反応の種類等によって適宜設定すればよいが、通常、一般式(9)で表される糖化合物1重量部に対して、1〜100重量部程度、好ましくは1〜50重量部程度使用すればよい。
【0213】
また、本反応は、通常、酸の存在下において反応させることが好ましく、使用される酸としては、公知の無機酸、有機酸を使用可能である。無機酸としては、硫酸、硝酸等の無水酸が挙げられ、有機酸としては、例えば、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、10−カンファスルホン酸等が挙げられる。これらの酸は、1種単独で又は2種以上混合して使用される。
【0214】
これらの酸の使用量は、使用する反応剤の種類、使用量に応じて適宜設定されるものであるが、一般式(9)で表される糖化合物に対して、通常、0.05〜10当量、好ましくは0.1〜2当量程度とすればよい。
【0215】
本反応は、通常、−20℃から使用する溶媒の沸点温度までの範囲内で行うことができる。−10℃〜30で反応を行うのが好ましく、好ましくは、0〜30℃が好ましい。
【0216】
反応時間は使用する反応剤の種類、反応温度等により異なり一概には言えないが、通常0.5〜24時間程度で該反応は完結する。
【0217】
(b)5位の−CH
2OHの酸化反応は、通常、溶媒中、酸化に必要な触媒と再酸化剤とを組み合わせて行われる。
【0218】
触媒としては、TEMPO(2,2,6,6-tetramethylpiperidine 1-oxyl)、再酸化剤としては、次亜塩素酸、BAIB((Diacetoxyiodo)benzene)、過酸化水素、過マンガン酸カリウム等が用いられる。
【0219】
これらの触媒の使用量は、一般式(9)で表される糖化合物に対して、通常、0.05〜10当量、好ましくは0.1〜2当量程度とすればよい。また、再酸化剤の使用量は、一般式(9)で表される糖化合物に対して、通常、1〜50当量、好ましくは1.5〜3当量程度とすればよい。
【0220】
使用される溶媒としては、該反応に対して不活性な溶媒である限り、公知の溶媒を広く使用することができ、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族もしくは脂環式炭化水素系溶媒、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、これらの溶媒は、1種を単独で使用でき、又は必要に応じて2種以上を混合して使用することができ、これに水を加えた二相系反応溶媒が使用される。
【0221】
これらの溶媒の使用量は、使用する反応剤の種類と反応の種類等によって適宜設定すればよいが、通常、一般式(9)で表される糖化合物1重量部に対して、1〜100重量部程度、好ましくは1〜50重量部程度使用すればよい。
【0222】
反応時間は、使用する反応剤の種類、反応温度等により異なり、一概には言えないが、通常0.5〜24時間程度で該反応は完結する。
【0223】
上記酸化反応の後、保護基の導入反応は、通常、溶媒中、反応剤を作用させることにより行われる。
【0224】
反応剤としては、トリメチルシリルジアゾメタン、アルコール/塩酸の混合物などが使用される。これらの反応剤の使用量は、通常、一般式(9)で表される糖化合物に対して、通常1〜50当量、好ましくは1.5〜5当量程度とすればよい。
【0225】
使用される溶媒としては、該反応に対して不活性な溶媒である限り、公知の溶媒を広く使用することができ、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族もしくは脂環式炭化水素系溶媒、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒、これらの溶媒は、1種を単独で使用でき、又は必要に応じて2種以上を混合して使用することができ、又は必要に応じて2種以上を混合して使用することができる。
【0226】
これらの溶媒の使用量は、使用する反応剤の種類と反応の種類等によって適宜設定すればよいが、通常、一般式(9)で表される糖化合物1重量部に対して、1〜100重量部程度、好ましくは1〜50重量部程度使用すればよい。
【0227】
本反応は、通常、−40℃から使用する溶媒の沸点温度までの範囲内で行うことができる。−20℃〜30で反応を行うのが好ましく、好ましくは、−10〜25℃が好ましい。
【0228】
反応時間は、使用する反応剤の種類、反応温度等により異なり、一概には言えないが、通常0.5〜248時間程度で該反応は完結する。
【0229】
(
Process 7)
一般式(8)で表される糖化合物の、4位水酸基の保護基を選択的に脱保護することで、R
5が基−CH
2OCH
2R
13aR
13bである一般式(3)で表される糖受容体に、一段階で誘導する反応(Process 7)は、通常、溶媒中で、ルイス酸と還元剤の組み合わせにより選択的に還元反応を行うことにより行う。
【0230】
使用するルイス酸としては、BF
3・OEt
2、AlCl
3、AlMeCl
2,AlMe
2Cl,AgCl,CuCl
2等が挙げられ、還元剤としては、トリエチルシラン、NaCNBH
3、BH
3・NMe
3 等が
挙げられる。これらのルイス酸の使用量は、一般式(8)で表される糖化合物に対して、通常0.1〜100当量、好ましくは0.2〜20当量程度とすればよい。また、還元剤の使用量は、一般式(8)で表される糖化合物に対して、通常1〜30当量、好ましくは1.5〜20当量程度とすればよい。
【0231】
使用される溶媒としては、該反応に対して不活性な溶媒である限り、公知の溶媒を広く使用することができ、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族もしくは脂環式炭化水素系溶媒、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、これらの溶媒は、1種を単独で使用でき、又は必要に応じて2種以上を混合して使用することができ、又は必要に応じて2種以上を混合して使用することができる。
【0232】
これらの溶媒の使用量は、使用する反応剤の種類と反応の種類等によって適宜設定すればよいが、通常、一般式(8)で表される糖化合物1重量部に対して、1〜100重量部程度、好ましくは1〜50重量部程度使用すればよい。
【0233】
本反応は、通常、−70℃から使用する溶媒の沸点温度までの範囲内で行うことができる。−40℃〜30で反応を行うのが好ましく、好ましくは、−20〜25℃が好ましい。
【0234】
反応時間は、使用する反応剤の種類、反応温度等により異なり、一概には言えないが、通常0.5〜24時間程度で該反応は完結する。
【実施例】
【0235】
以下に、参考例、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0236】
また、以下の各参考例、実施例における各反応式において記載される略号は以下のとおりとする。
Ac:アセチル基、All:アリル基、Bn:ベンジル基、Me:メチル基、NDMM:ジメチルマレイミド基、NPhth:フタルイミド基、OMP:p−メトキシフェノキシ基、Ph:フェニル基、TCA:トリクロロアセチル基、Tf:トリフルオロメタンスルホニル基、Z:基−SO
3CH
2CCl
3。
【0237】
参考例1(糖受容体/供与体原料の調製1−1)
【0238】
【化29】
【0239】
グルコース(90g)とN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(600ml)とを室温で撹拌し、Benzaldehyde dimethyl acetal(90ml)とカンファースルホン酸(CSA)(6.18g)を順に加え、室温で減圧下25時間撹拌した。反応終了後、減圧下でDMFを留去し、得られた濃縮残渣にトリエチルアミン(4.5ml)とピリジン(450ml)を加えて溶解させた。この溶液を0〜5℃に冷却し、無水酢酸(450ml)を加えた後、室温に戻して15時間撹拌した。反応終了後、減圧下で濃縮し、残渣にトルエンを加えて共沸させピリジンを留去した。得られた濃縮残渣にジクロロメタン(600ml)を加えて溶かし、飽和重曹水(450ml)、飽和食塩水(450ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。濾過後、濾液を減圧下濃縮し、濃縮残渣を熱メタノールから結晶化させて化合物(11)(90.75g,収率45.9%)を得た。
【0240】
化合物(11)(90g)にテトラヒドロフラン(THF)(900ml)を加えて溶解させ、ベンジルアミン(31.2ml)を加えて室温で24時間撹拌した。反応終了後、ジクロロメタン(1500ml)を加え、1N塩酸(300ml)、飽和重曹水(600ml)、飽和食塩水(600ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。濾過後、濾液を減圧下濃縮し、濃縮残渣をシリカゲルカラムで精製して化合物(12)(62.3g,収率77.6%)を得た。
【0241】
化合物(12)(82.8g)にジクロロメタン(2100ml)を加えて溶解させ、窒素雰囲気下で内温−10℃に冷却した。このものにトリクロロアセトニトリル(117.8ml)を加え、−10〜−3℃の範囲を維持しながらDBU(1,8-diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene)(10.4ml)をゆっくり滴下した。−8〜−5℃で3時間撹拌した後、反応液を減圧下で濃縮し、得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムで精製して化合物(13)(104.1g,収率90.0%)を得た。
【0242】
参考例2(糖受容体/供与体原料の調製1−2)
【0243】
【化30】
【0244】
マンノース(10.0g)及びピリジン(40.3ml)に、アルゴン雰囲気下でp−トルエンスルホニルクロリド(16.93g)/ピリジン(34.3ml)溶液を滴下して加え、室温で4.5時間撹拌し、無水酢酸(29.3ml)を加えて、室温で16.5時間撹拌した。反応液を氷に注ぎ入れ、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水、飽和重曹水、飽和食塩水の順で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥した。有機層をろ過し、ろ液を濃縮して得られた残渣をリカゲルカラムにて精製した。このものにアルミナ(316.89g)を加えて濃縮し、真空乾燥を行った。真空乾燥後のアルミナにM.W.(高周波出力 500W)を2分照射し、粉末を良くかき混ぜた後、さらに2分加熱した。セライトろ過後、エタノール/酢酸エチル(9/1)の溶液で洗浄し、濃縮を行い、濃縮残渣にメタノール(110ml)、トリエチルアミン(55ml)、水(55ml)を加えて16.5時間撹拌した。反応液を濃縮し、トルエン共沸を行った後の濃縮残渣をシリカゲルカラムで精製して化合物(14)(4.0666g,収率 48.4%(2 steps))を得た。
【0245】
水素化ナトリウム(103.6g)にDMF(1168ml)を加えて0〜10℃に冷却した。この懸濁液に化合物(14)(70g)/DMF(632ml)を内温0〜10℃を維持しながら滴下した。滴下終了後、使用した容器をDMF(68ml)で洗いこみ、このままの温度で1時間撹拌した後、内温を15〜20℃に調整し、ベンジルブロマイド(154ml)を30分かけて滴下して加えた。滴下終了後30分程度撹拌し、再びベンジルブロマイド(154ml)を30分かけて滴下した。このままの温度で30分熟成させた後、室温で13時間攪拌した。反応液を0〜5℃に冷却し、メタノール(210ml)を加えた溶液を、酢酸エチル(1720ml)と3%重曹水(1400ml)の混合液に加え、分液した。水層を酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を合わせて水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥した。濾過後、濾液を減圧下濃縮し、濃縮残渣をシリカゲルカラムで精製して化合物(15)(172g,収率92%)を得た。
【0246】
化合物(15)(186g)にジクロロメタン(4687ml)を加えて溶かし、窒素雰囲気下で、内温を−10〜−5℃となるよう冷却した後、塩化スズ(IV)(55.4ml)をゆっくり加えてこのままの温度で1.5時間撹拌した。反応終了後、予め氷冷しておいた1N塩酸(5125ml)に反応液をゆっくり注ぎ入れ、分液し、水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせて、水、3%重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。濾過後、濾液を減圧下濃縮し、濃縮残渣をシリカゲルカラムで精製して化合物(16)(127g,収率86.7%)を得た。
【0247】
化合物(16)(131.2g)にジクロロメタン(2000ml)を加えて溶解させ、窒素雰囲気下で−10℃まで冷却した。この溶液にピリジン(77ml)を加え、その後無水トリフルオロメタンスルホン酸(97ml)をゆっくり加え、0℃まで昇温させて1時間撹拌した。反応終了後、3%重曹水(3150ml)を反応液にゆっくり注ぎ入れ、分液し、水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。濾過後、濾液を減圧下濃縮し、濃縮残渣にDMF(1725ml)を加えて溶解させた。このものに粉末状モレキュラーシーブス(MS)3A(220g)、アジ化ナトリウム(75g)を加えた後、室温で2時間撹拌した。反応液を濾過し、濾液に酢酸エチル、水を加えて分液し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせて10%食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。濾過後、濾液を減圧下濃縮し、濃縮残渣をシリカゲルカラムで精製して化合物(17)(123g,収率85.1%)を得た。
【0248】
化合物(17)(122g)をジクロロメタン(6400ml)に溶解させ、窒素雰囲気下で四塩化チタン(44.9ml)をゆっくり加え、室温で2時間撹拌した。冷1N塩酸(7600ml)を反応液にゆっくり注ぎ入れ、分液し、水層をジクロロメタン(3400ml)で抽出した。有機層を合わせ、水、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。濾過後、濾液を減圧下濃縮し、濃縮残渣をシリカゲルカラムで精製して化合物(18)(74.8g,収率80.0%)を得た。
【0249】
化合物(18)(74.5g)、MS3A(62.0g)、ジクロロメタン(1170ml)を室温で攪拌し、窒素雰囲気下で内温を0〜5℃に冷却した後、1,2−ジメチルイミダゾール(DMI)(51.7g)、次いで化合物(19)(246g)を加えた。反応液を室温まで戻し、そのまま17時間撹拌した。反応終了後、ジクロロメタン(2300ml)を反応液に注ぎ入れた後、反応液をセライト濾過した。ろ液を水、10%食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。濾過後、濾液を減圧下濃縮し、濃縮残渣をシリカゲルカラムで精製して化合物(20)(128.9g,定量的)を得た。
【0250】
化合物(20)(47.8g)に四塩化炭素(3520ml)及び水(1760ml)を加えて30〜32℃で撹拌した。このものにN−ブロモスクシンイミド(43.6g)、炭酸カルシウム(42.8g)を加え、窒素バブリングを30分間行った後、白熱灯(375W、10分間×4回)照射した。反応終了後10〜15℃となるよう冷却し、反応液を濾過した。濾液に水を加えて分液し、水層をジクロロメタンで抽出した。得られた有機層を合わせ、1%亜硫酸ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。濾過後、濾液を減圧下濃縮し、濃縮残渣をシリカゲルカラムで精製して化合物(21)(33.2g,収率85%)を得た。
【0251】
参考例3(糖受容体/供与体原料の調製1−3)
【0252】
【化31】
【0253】
化合物(13)(76.9g)と参考例2で製造した化合物(21)(36.2g)にジクロロメタン(1180 ml)を加えて、室温(20〜25℃)で撹拌し溶解させた。窒素置換してMS4A(102g)を加え60分間撹拌した。この反応液にトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(TMSOTf)(3.29ml)を加え、室温で1.5時間撹拌攪拌した後、反応液を濾過し、濾液を3%重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。濾過後、濾液を減圧下濃縮し、得られた残渣にクロロホルム(100ml)を加えて溶解させ、ヘキサン(202ml)をゆっくり加えた。析出物を濾過して除き、得られた濾液を減圧下濃縮し、濃縮残渣をシリカゲルカラムで精製して化合物(22)(53.6g,収率80%)を得た。
【0254】
参考例4(糖受容体/供与体原料の調製1−4)
【0255】
【化32】
【0256】
化合物(22)(85.5g)にジクロロメタン(1425ml)とメタノール(1288ml)を加えて溶解させた。窒素置換し、内温を−10℃まで冷却後、0.5Mナトリウムメトキシド(200ml)を加えて−10〜−8℃で26時間撹拌した。反応液に1N塩酸(107ml)、飽和食塩水(800ml)、水(360ml)、ジクロロメタン(1400ml)を加えて分液した。水層をジクロロメタン(1400ml)で抽出し、得られた有機層を合わせて飽和食塩水、水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。濾過後、濾液を減圧下濃縮し、濃縮残渣をシリカゲルカラムで精製して化合物(23)(48.5g,収率63%)を得た。
【0257】
化合物(23)(46.3g)にジクロロメタン(310ml)を加えて溶解させ、反応系内をアルゴン置換した。DMI(25.8g)、化合物(19)(98.0g)を加え、内温37℃で反応させた。反応開始後1日後と2日後にDMI(25.8g)、化合物(19)(98.0g)をそれぞれ追加投入し、計3日間反応を行った後、反応液を減圧下濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムで精製して化合物(8−1)(48.2g,収率63%)を得た。
【0258】
参考例5(糖供与体原料の調製1)
【0259】
【化33】
【0260】
化合物(8−1)(300.0mg)をTHF(11ml)、水(1.2ml)に溶解させ、トリフェニルホスフィン(147mg)、シリカゲル(154mg)をそれぞれ加えて、室温で3時間撹拌した。原料の消失を確認後、水(5ml)を加えて、40℃で終夜撹拌した。反応液をセライト濾過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣に酢酸エチルを加えて抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥後、濃縮して得られた残渣をカラム精製して化合物(4−1)(259.9mg,収率89%)を得た。
【0261】
化合物(4−1)(50.0mg)をクロロホルム(1ml)に溶解させ、無水フタル酸(10.6mg)を加えて加熱還流した。TLCでカルボン酸体の生成スポットを確認後、室温に戻して、無水酢酸(45μl)、ピリジン(38μl)をそれぞれ加えて、終夜加熱還流した。反応終了後、反応液を酢酸エチルで希釈し、1N塩酸、重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥後、濃縮して固形残渣を得た。このものをヘキサン/酢酸エチル(5/1(V/V))で解砕洗浄し、濾取して化合物(5−1)(43.4mg,収率77%)を得た。
【0262】
化合物(5−1)(4.20g)を無水酢酸(500ml)に60℃で溶かし、酢酸(2.1ml)を加えた。反応液を40℃に冷却後、トリフルオロ酢酸(16ml)を加えて、40℃で8時間撹拌した後、30℃で終夜撹拌した。反応液に重曹水を加えて反応を終了させた後、酢酸エチルで希釈し、さらに重曹水で洗浄した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過した。ろ液を濃縮後、トルエン共沸させて得られた残渣をカラムで精製して化合物(6−1)(3.15g,収率69%)を得た。
【0263】
化合物(6−1)(3.15g)をDMF(40ml)に溶解させ、−15℃に冷却後、ヒドラジン酢酸(295.4mg)を加えて、−15℃で5時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈後、重曹水を加えて分液した。有機層を、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥後、濃縮した。得られた残渣をカラムで精製して化合物(7−1)(2.41g,収率79%)を得た。
【0264】
参考例6(糖供与体原料の調製2)
【0265】
【化34】
【0266】
化合物(4−1)(3.916g)をジクロロメタン(20ml)に溶解させ、無水マレイン酸(708.5mg)、トリエチルアミン(1.0ml)を加えて3日間加熱還流した。析出した目的物をジクロロメタンで溶かし、1N塩酸で洗浄後、洗浄に用いた塩酸水をジクロロメタンにて抽出した。得られた有機層を重曹水、飽和食塩水で順次洗浄後、硫酸マグネシウム上で乾燥した。有機層を濾過し、ろ液を濃縮して得られた残渣をクロロホルム(40ml)に溶解させ、ヘキサン(120ml)を20分間かけて滴下して加え、室温で晶析させた。結晶を濾過してとり、クロロホルム/ヘキサン(1/3(v/v))で洗浄して化合物(5−2)(2.86g,収率66%)を得た。
【0267】
化合物(5−2)(651.6mg)を無水酢酸(17ml)に溶解させ、酢酸(330μl)を加えて氷冷した。反応液にトリフルオロ酢酸(2.62ml)を加えて室温で撹拌後、40℃に加温してすべて溶解させた後、30℃で2時間撹拌し室温に戻した。酢酸エチルを加えて希釈した反応液を重曹水に注ぎ入れて反応を終了させた後、分液し、水層を酢酸エチルで2回抽出後、有機層合を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥した。有機層を濾過し、ろ液を濃縮後更にトルエン共沸をして得られた残渣をカラム精製して化合物(6−2)(400.4mg,収率56%)を得た。
【0268】
化合物(6−2)(400.4mg)をDMF(5.3ml)に溶解させ、−15℃に冷却し、ヒドラジン酢酸(35.3mg)を加えて、−15℃で5時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈後、重曹水で洗浄した。水層を酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、ろ液を濃縮して得られた残渣をカラム精製して化合物(7−2)(336.0mg,収率87%)を得た。
【0269】
参考例7(糖受容体原料の調製2)
【0270】
【化35】
【0271】
化合物(8−1)(5.0g)を無水酢酸(63ml)に溶解させ、酢酸(2.75ml)を加えて、−10℃まで冷却し、トリフルオロ酢酸(20.3ml)を加えて24時間撹拌した。反応液に酢酸エチルを加えて希釈し、重曹水に注ぎ入れて反応を終了させた後、分液し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせて、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。有機層を濾過し、ろ液を濃縮、更にトルエン共沸をして得られた残渣をカラム精製して化合物(24)(3.63g,収率66%)を得た。
【0272】
化合物(24)(2.63g)をDMF(34ml)に溶解させて0℃に冷却し、ヒドラジン酢酸(371.5mg)を加えて、0℃で5時間撹拌した。反応終了後、酢酸エチルを加えて希釈し、重曹水で洗浄した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層をまとめて飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウム上で乾燥した。有機層を濾過し、ろ液を濃縮して得られた残渣をカラム精製して化合物(25)(1.90g)を得た。
【0273】
化合物(25)(336.0mg)をジクロロメタン(5.6ml)に溶解させ、トリクロロアセトニトリル(2.8ml)を加えて、−40℃に冷却した。反応液にDBU(8.3μl)を加えて、−40℃で1時間撹拌した。反応液を濃縮し、得られた残渣をカラム精製して化合物(26)(324.1mg,収率86%)を得た。
【0274】
化合物(26)(1.64g)とp−メトキシフェノール(192mg)をトルエン(16.4ml)に溶解させ、MS4A(1.8g)を加えて−40℃に冷却し、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル(32μl)を加えてそのままの温度で1.5時間攪拌した。反応液をセライト濾過し、重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。反応液を濾過し、ろ液を濃縮して得られた残渣をカラム精製して化合物(8−2)(1.36g,収率85%)を得た。
【0275】
参考例8(糖受容体原料の調製3)
【0276】
【化36】
【0277】
化合物(13)(200.0mg)とp−メトキシフェノール(60mg)をジクロロメタン(1ml)に溶解させ、MS4A(500mg)を加えて室温で1時間撹拌し、−20℃に冷却した。
反応液にTMSOTf(81μl)を加えてそのままの温度で1時間撹拌した。反応液をセライト濾過し、重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。反応液を濾過し、ろ液を濃縮して得られた残渣をカラム精製して化合物(27)(164mg,収率89%)を得た。
【0278】
化合物(27)(100mg)にジクロロメタン(1.7ml)及びメタノール(1.1ml)を加えて室温で撹拌し、溶解させた。このものに1Mナトリウムメトキシド(110μl)を加えて3時間撹拌した。反応終了後、反応液に1N塩酸を加えて反応をクエンチした後、ジクロロメタンにて反応液を希釈した後、分液を行った。水層をジクロロメタンで抽出し、得られた有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。有機層を濾過し、ろ液を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムで精製して化合物(28)(67.8mg,収率83%)を得た。
【0279】
化合物(28)(67.6mg)、ジクロロメタン(730μl)、MS4A(300mg)を加えて室温で撹拌した。アルゴンガスで反応系内を置換した後、0℃に冷却し、DMI(43.5mg)、化合物(19)(166mg)を加えて0℃で1日反応させた。その後DMI(43.5mg)と化合物(19)(166mg)とを反応液へ追加投入し、更に1日反応させた後、反応液を減圧下濃縮した。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムで精製して化合物(8−3)(110.2mg,収率76%)を得た。
【0280】
参考例9(糖受容体原料の調製1−5)
【0281】
【化37】
【0282】
化合物(8−1)(4.0g)をジクロロメタン(64ml)及びメタノール(64ml)に溶解させ、CSA(6.07g)を加えて、35℃で3時間撹拌した。原料消失後、ジクロロメタンを加えて希釈し、重層水で洗浄した。水層をジクロロメタンで抽出し、得られた有機層をまとめて飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。有機層を濾過し、ろ液を濃縮して得られた残渣をカラム精製して化合物(9−1)(3.62g,収率99%)を得た。
【0283】
参考例10(糖供与体原料の調製3)
【0284】
【化38】
【0285】
化合物(25)(1.0g)をジクロロメタン(22ml)に溶解させ、4−無水ペンテン酸(0.2ml)を加えて0℃に冷却した。反応液にピリジン(85μl)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(32.4mg)を加えてそのままの温度で1.5時間撹拌した。反応終了後、0.5N塩酸でクエンチし、ジクロロメタンで抽出、得られた有機層を3%重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。反応液を濾過し、ろ液を濃縮して得られた残渣をカラム精製して化合物(29)(971mg,収率90%)を得た。
【0286】
化合物(29)(50.0mg)をクロロホルム(1ml)に溶解させ、ピリジン(66μl)、チオ酢酸(58.9μl)を加え、室温にて3.5時間撹拌を行った。その後、40℃に昇温し、20時間反応を行った後、酢酸エチル、1N塩酸を加え、抽出を行った。得られた水層を酢酸エチルにて再抽出し、得られた有機層をまとめて3%重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。反応液を濾過し、ろ液を濃縮して得られた残渣をカラム精製して化合物(30)(35.4mg,収率70%)を得た。
【0287】
実施例1(糖供与体の製造1)
【0288】
【化39】
【0289】
化合物(7−1)(1.00g,0.809mmol)をジクロロメタン(16 ml)に溶かし、トリクロロアセトニトリル(8.1ml,80.9mmol)を加えて−40℃に冷却した。DBU(24μl,0.162 mmol)を加えて−40℃で1時間撹拌した後、反応液をシリカゲルに直接チャージして精製し、糖供与体(2a−1)(696.2mg,収率62%)及び糖供与体(2a−2)(223.4mg,収率20%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
37H
34Cl
12N
2O
22S
3,m/z=1379.69, found;1424.7[M+HCO
2]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図1、2に示した。
【0290】
実施例2(糖供与体の製造2)
【0291】
【化40】
【0292】
化合物(7−2)(336.0mg,0.277mmol)をジクロロメタン(5.6ml)に溶かし、トリクロロアセトニトリル(2.8ml,27.68mmol)を加えて−40℃に冷却した。その後、DBU(8.3μl,0.0554mmol)を加えて−40℃で1時間撹拌した後、カラム精製して糖供与体(2a−3)(210.6mg,収率56%)、糖供与体(2a−4)(113.5mg,収率30%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
35H
36Cl
12N
2O
22S
3,m/z=1357.71, found;1358.6[M+H]
+1356.7[M−H]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図3、4に示した。
【0293】
実施例3(糖供与体の製造3)
【0294】
【化41】
【0295】
化合物(7−2)(544.4mg,0.448mmol)をジクロロメタン(11ml)に溶かし、無水ペンテノイル酸(98μl,0.538mmol)を加えて氷冷した。その後、ピリジン(43μl,0.538mmol)及びDMAP(4-N,N-dimethylaminopyridine)を加えて終夜撹拌した。反応液に1N塩酸を加えて反応を終了させ、ジクロロメタンで抽出した。得られた有機層を重曹水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウム上で乾燥した。有機層を濾過し、ろ液を濃縮して得られた残渣をカラム精製して糖供与体(2a−5)(502.2mg,収率86%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
38H
42Cl
9NO
23S
3,m/z=1294.84、1312.8[M+HH
4]
+、1293.8[M−H]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図5に示した。
【0296】
実施例4(糖供与体の製造4)
【0297】
【化42】
【0298】
化合物(7−1)(860mg,0.696mmol)をジクロロメタン(46ml)、メタノール(46ml)に溶かし、このものに10−カンファスルホン酸(1.13g,4.872mmol)を加えた後、40℃に昇温し5時間反応を行った。反応終了後、このものを重曹水にてクエンチし、水層をジクロロメタンで3回抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過、濃縮した。得られた濃縮残渣へジクロロメタン(7.0ml)無水酢酸(660μl,6.96mmol)、ピリジン(560μl,6.96mmol)、DMAP(85mg,0.696mmol)を加え、室温にて1時間撹拌を行った。反応終了後、1N塩酸でクエンチし、水層をジクロロメタンで2回抽出した。得られた有機層を重曹水、飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウム上で乾燥した。有機層を濾過し、ろ液を濃縮して得られた残渣をカラム精製して化合物(8−3)(470 mg,収率53%)を得た。
【0299】
化合物(8−3)(370mg,0.29mmol)をジメチルホルムアミド(4.8ml)、に溶かし、このものにヒドラジン酢酸(48.1mg,0.523mmol)を加えた後、−15℃で5時間反応を行った。反応終了後酢酸エチルで希釈し、重曹水にて洗浄した。水層を酢酸エチルで2回抽出し、得られた有機層をまとめて飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウム上で乾燥した。有機層を濾過し、ろ液を濃縮して得られた残渣をカラム精製して化合物(7−3)(284mg,収率79%)を得た。
【0300】
化合物(7−3)(351.7mg,0.285mmol)をジクロロメタン(5.6ml)に溶かし、トリクロロアセトニトリル(2.9ml,28.5mmol)を加えて−40℃に冷却した。DBU(8.5μl,0.057mmol)を加えて−40℃で1時間撹拌した後、反応液をシリカゲルに直接チャージして精製し、糖供与体(2a−6)(321.5mg,収率82%)を得た。
化合物(8−3)
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図6に示した。
化合物(7−3)
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図7に示した。
化合物(2a−6)
Mass: ESI calcd for C
34H
34Cl
12N
2O
24S
3,m/z=1375.68, found;1420.7[M+HCO
2]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図8に示した。
【0301】
実施例5(糖供与体の製造5)
【0302】
【化43】
【0303】
化合物(30)(33.8mg,0.027mmol)、p−トルエンスルホン酸 (1.3mg,0.0069mmol)、酢酸イソプロペニル(0.6ml, 5.51mmol)を混合し、系内をアルゴン置換した後、温度を60℃まで昇温、2.5時間反応を行った。反応終了後、室温まで冷却し、反応混合物を減圧下濃縮、得られた残渣をカラム精製して糖供与体(2a−7)(28.8mg,収率82.4%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
36H
42Cl
9NO
23S
3,m/z=1270.84, found;1315.7[M+HCO
2]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図9に示した。
【0304】
実施例6(糖供与体の製造6)
【0305】
【化44】
【0306】
アルゴン雰囲気中、化合物(30)(550mg,0.447mmol)にクロロホルム(12.8ml)を加えて55℃に昇温させ、ピリジン(217μl, 2.68mmol)、DMAP(16.4mg, 0.1345mmol)及びクロロギ酸2,2,2−トリクロロエチル(184.7μl, 1.341mmol)を加え、1時間後、ピリジン(217μl, 2.68mmol)及びクロロギ酸2,2,2−トリクロロエチル(184.7μl,1.341mmol)をさらに加えた。計2時間反応後、ジクロロメタン(70ml)及び1N塩酸(50ml)を加えて分液し、水層にジクロロメタン(70ml)を加えて再抽出した。
得られた有機層を合わせて3%重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。有機層を濾過し、ろ液を濃縮して得られた残渣をカラム精製して糖供与体(2a−8)(323.1mg,収率51.4%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
37H
41Cl
12NO
24S
3,m/z=1404.74, found;1422.7[M+NH
4]
+、1449.6[M+HCO
2]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図10に示した。
【0307】
実施例7(糖受容体の製造1)
【0308】
【化45】
【0309】
化合物(9−1)(91.3mg,92.8μmol)をジクロロメタン(1ml)に溶解させ、4−メトキシベンジル−2,2,2−トリクロロアセトイミデート(43.1mg,152μmol)及びCSA(4.8mg,20.4μmol)をそれぞれ加えて、室温で7時間撹拌し、更に4−メトキシベンジル−2,2,2−トリクロロアセトイミデート(25.0mg,88.5μmol)を加えさらに20分反応を行った。その後ジクロロメタンを加えて希釈した後、重曹水で洗浄し、水層をジクロロメタンで抽出、得られた有機層をまとめて飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。有機層を濾過し、ろ液を濃縮して得られた残渣をカラム精製して糖受容体(3a−1)(92.2mg,収率90%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
26H
30Cl
9N
3O
19S
3,m/z=1102.78, found;1120.7[M+NH
4]
+、1101.7[M―H]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図11に示した。
【0310】
実施例8(糖受容体の製造2)
【0311】
【化46】
【0312】
化合物(9−1)(1.0g,1.02mmol)をジクロロメタン(10ml)に溶解させ、アリル−2,2,2−トリクロロアセトイミデート(768μl,5.08mmol)及びトリフルオロメタンスルホン酸(27μl,305μmol)をそれぞれ加えて、室温で2時間撹拌し、更にアリル−2,2,2−トリクロロアセトイミデート(768μl,5.08mmol)及びトリフルオロメタンスルホン酸(27μl,305μmol)を加えて6時間反応を行った。反応液にジクロロメタンを加えて希釈し、重曹水で洗浄、水層をジクロロメタンで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。有機層を濾過し、ろ液を濃縮して得られた残渣をカラム精製して糖受容体(3a−2)(676mg,65%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
21H
26Cl
9N
3O
18S
3,m/z=1022.75, found;1040.6[M+NH
4]
+
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図12に示した。
【0313】
実施例9(糖受容体の製造3)
【0314】
【化47】
【0315】
化合物(9−1)(2.00g,2.03mmol)をジクロロメタン(34ml)に溶解させ、水(17ml)を加えた。0℃に冷却して、TEMPO(2,2,6,6-tetramethylpiperidine 1-oxyl)(63mg,40.6μmol)及びBAIB([Diacetoxyiodo]benzene)(1.63g,5.08mmol)をそれぞれ加えて0℃で2時間撹拌した。反応終了後、2%亜硫酸ナトリウム水溶液を加えて反応を終了させ、ジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。有機層を減圧下で濃縮して溶媒を除去した。残渣にトルエン(90ml)及びメタノール(30ml)を加え溶解させた。0℃に冷却した後、トリメチルシリルジアゾメタン(3.0ml,6mmol)を加えて室温で1.5時間撹拌した。反応液を濃縮し、得られた残渣をカラム精製して糖受容体(3a−3)(1.78g,収率87%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
19H
22Cl
9N
3O
19S
3,m/z=1010.71, found;1028.7[M+NH
4]
+1009.7[M−H]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図13に示した。
【0316】
参考例11(糖受容体原料の調製4−1)
【0317】
【化48】
【0318】
糖供与体(2a−1)(500.0mg)とp−メトキシフェノール(90mg)とをジクロロメタン(3.6ml)に溶解させ、MS4A(100mg)を加えて室温で1時間撹拌した。−20℃に冷却後、TMSOTf(19μl)を加えて約−20℃で1時間撹拌し、原料の消失を確認後、反応液をセライト濾過した。ろ液を重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥した。濾過し、ろ液を濃縮して得られた残渣をカラムで精製して化合物(8−4)(418.7mg,収率86%)を得た。
【0319】
参考例12(糖受容体原料の調製4−2)
【0320】
【化49】
【0321】
化合物(8−4)(200.0mg,149.0μmol)をジクロロメタン(4.6ml)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(460μl)及び水(46μl)をそれぞれ加えて、室温で5時間撹拌した。
原料の消失を確認後、ジクロロメタンを加えて希釈し、重曹水で洗浄した。水層をジクロロメタンで抽出し、得られた有機層をまとめて飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウム上で乾燥した。濾過し、ろ液を濃縮して得られた残渣をカラムで精製して化合物(9−2)(179.7mg,96%)を得た。
【0322】
実施例10(糖受容体の製造4)
【0323】
【化50】
【0324】
化合物(9−2)(179.7mg,143.3μmol)をジクロロメタン(1.4ml)に溶解させ、4−メトキシベンジル−2,2,2−トリクロロアセトイミデート(25.4mg)及びCSA(6.7mg,28.66μmol)を加えて室温で2時間撹拌し、更に4−メトキシベンジル−2,2,2−トリクロロアセトイミデート(25.4mg,89.9μmol)を加え1時間反応を行った。ジクロロメタンを加えて希釈した後、重曹水で洗浄し、水層をジクロロメタンで抽出、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。有機層を濾過し、ろ液を濃縮して得られた残渣をカラム精製して糖受容体(3a−4)(166.7mg,収率85%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
43H
44Cl
9NO
24S
3,m/z=1372.86, found;1390.8[M+NH
4]
+、1371.8[M−H]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図14に示した。
【0325】
実施例11(糖受容体の製造5)
【0326】
【化51】
【0327】
化合物(9−2)(835.8mg,0.667mmol)をジクロロメタン(15ml)に溶解させ、水(7.5ml)を加えた。10℃に冷却して、TEMPO(31.3mg,0.200mmol)及びBAIB(537.1mg,1.668mmol)をそれぞれ加えて10℃で1時間撹拌した。原料の消失を確認した後、ジクロロメタンと水を分液し、水層をジクロロメタンで抽出、反応液と合わせて、このものにメタノール(5ml)を加えた。0℃に冷却後、トリメチルシリルジアゾメタン(1ml,2mmol)を加えて、室温で1時間撹拌した。反応液にジクロロメタンを加えて希釈し、10%チオ硫酸ナトリウム溶液で洗浄し、水層をジクロロメタンで抽出、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。有機層を濾過し、ろ液を濃縮して得られた残渣をカラム精製して糖受容体(3a−5)(411.7mg,収率48%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
36H
36Cl
9NO
24S
3,m/z=1280.79,
found;1298.6[M+NH
4]
+
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図15に示した。
【0328】
実施例12(糖受容体の製造6)
【0329】
【化52】
【0330】
化合物(8−1)(1.06g,1.44mmol)をジクロロメタン(10.5ml)に溶かし、0℃に冷却した。このものにトリエチルシラン (715μl,4.48mmol)と三フッ化ホウ素ジエチルエーテル(92.1μl,0.74mmol)を加えた後、室温に戻して3時間撹拌した。反応終了確認後、ジクロロメタン(60ml)及び3%重曹水(60ml)を加えて分液し、水層をジクロロメタンで再抽出した。得られた有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥後、濾過した。ろ液を濃縮して得られた残渣をカラムで精製して糖受容体(3a−6)(0.86g,収率81%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
25H
28Cl
9N
3O
18S
3,m/z=1072.77, found;1090.6[M+NH
4]
+
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図16に示した。
【0331】
実施例13(糖受容体の製造7)
【0332】
【化53】
【0333】
化合物(8−2)(962.4mg,0.78mmol)をジクロロメタン(31ml)に溶かし、0℃に冷却した。このものにトリエチルシラン(1.5ml,9.32mmol)と三フッ化ホウ素ジエチルエーテル(0.2ml,1.55mmol)を加えた後、室温に戻して3時間撹拌した。反応終了確認後、ジクロロメタン、3%重曹水を加えて分液し、水層をジクロロメタンで再抽出した。得られた有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥後、濾過した。ろ液を濃縮して得られた残渣をカラムで精製して糖受容体(3a−7)(0.72g,収率75%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
34H
38Cl
9N
3O
21S
3,m/z=1238.83, found;1256.7[M+NH
4]
+、1237.7[M−H]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図17に示した。
【0334】
実施例14(糖受容体の製造8)
【0335】
【化54】
【0336】
化合物(8−3)(1.62g,1.44mmol)をジクロロメタン(20ml)に溶かし、0℃冷却した。このものにトリエチルシラン(3.9ml,24.4mmol)と三フッ化ホウ素ジエチルエーテル(513μl,4.07mmol)を加えた後、室温に戻して8時間撹拌した。反応終了確認後、ジクロロメタン、3%重曹水を加えて分液し、水層をジクロロメタンで再抽出した。得られた有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥後、濾過した。ろ液を濃縮して得られた残渣をカラムで精製して糖受容体(3a−8)(966mg,収率59%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
24H
26Cl
6O
13S
2,m/z=797.89, found;815.6[M+NH
4]
+
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図18に示した。
【0337】
実施例15(オリゴ糖化合物の製造1)
【0338】
【化55】
【0339】
糖供与体(2a−1)(51.8mg,37.53μmol)、糖受容体(3a−8)(20.0mg,25.02μmol)、MS4A(90mg)及びジクロロメタン(0.4ml)を室温で1時間撹拌した。−40℃に冷却後、TMSOTf(1.3μl,7.506μmol)を加えて、−40℃で1時間撹拌後、室温まで徐々に昇温させた。室温で終夜撹拌し、セライト濾過後、濾液を重曹水、飽和食塩水の順で洗浄した。硫酸マグネシウム上で乾燥後、濾過した。ろ液を濃縮して得られた残渣をゲル濾過カラムクロマトグラフィーで精製してオリゴ糖化合物(1−1)(19.6mg,収率39%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
59H
58Cl
15NO
34S
5,m/z=2014.67 found;2032.4[M+NH
4]
+、2059.2[M+HCO
2]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図19に示した。
【0340】
実施例16(オリゴ糖化合物の製造2)
【0341】
【化56】
【0342】
糖供与体(2a−1)を糖供与体(2a−4)(51.8mg,37.53μmol)に替えて、実施例15と同様に操作してオリゴ糖化合物(1−2)(8.8mg,収率18%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
57H
60Cl
15NO
34S
5,m/z=1994.68, found;2012.0[M+NH
4]
+、1993.2[M−H]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図20に示した。
【0343】
実施例17(オリゴ糖化合物の製造3)
【0344】
【化57】
【0345】
糖供与体(2a−1)を糖供与体(2−1:東京化成工業(株)製品)(24.3mg,41.9μmol)に、糖受容体(3a−8)を糖受容体(3a−6)(30.0mg,27.9μmol)に替え、MS4A(90mg)、ジクロロメタン(0.4ml)及びTMSOTf(1.5μl,8.38μmol)を使用して実施例15と同様に操作してオリゴ糖化合物(1−3)(24.0mg,収率58%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
45H
47Cl
9N
4O
27S
3,m/z=1489.87, found;1507.5[M+NH
4]
+、1534.5[M+HCO
2]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図21に示した。
【0346】
実施例18(オリゴ糖化合物の製造4)
【0347】
【化58】
【0348】
糖供与体(2a−1)を糖供与体(2−1)(21.0mg,36.3μmol)に、糖受容体(3a−8)を糖受容体(3a−7(β))(30.0mg,24.2μmol)に替え、MS4A(90mg)、ジクロロメタン(0.4ml)及びTMSOTf(1.3μl,7.26μmol)を使用して実施例15と同様に操作してオリゴ糖化合物(1−4)(11.4mg,収率19%)を得た。尚、本反応で用いた糖受容体(3a−7(β))は、実施例13に準じて製造した糖受容体(3a−7)を更にカラム精製して得たβ体である。
Mass: ESI calcd for C
54H
57Cl
9N
4O
30S
3,m/z=1655.94, found;1673.6[M+NH
4]
+、1700.6[M+HCO
2]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図22に示した。
【0349】
実施例19(オリゴ糖化合物の製造5)
【0350】
【化59】
【0351】
糖供与体(2a−1)を糖供与体(2a−1,2)(100.0mg,72.45μmol)に、糖受容体(3a−8)を糖受容体(3a−1)(320mg,289.8μmol)に替え、MS4A(300mg)、ジクロロメタン(1.3ml)及びTMSOTf(2.6μl,14.49μmol)を使用して実施例15と同様に操作してオリゴ糖化合物(1−5)(26.7mg,収率16%)を得た。尚、糖供与体(2a−1,2)は、実施例1に準じて製造して得られた糖供与体(2a−1)と糖供与体(2a−2)の約3:1の混合物である。
Mass: ESI calcd for C
61H
62Cl
18N
4O
40S
6,m/z=2319.55, found;2337.5[M+NH
4]
+、2364.2[M+HCO
2]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図23に示した。
【0352】
実施例20(オリゴ糖化合物の製造6)
【0353】
【化60】
【0354】
糖受容体(3a−8)を糖受容体(3a−3)(30mg,36.3μmol)に替え、糖供与体(2a−1)(74.8mg,54.4μmol)、MS4A(100mg)、ジクロロメタン(0.4ml)及びTMSOTf(1.9μl,10. 9μmol)を使用して実施例15と同様に操作してオリゴ糖化合物(1−6)(6.0mg,収率9%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
54H
54Cl
18N
4O
40S
6,m/z=2229.49, found;2247.0[M+NH
4]
+
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図24に示した。
【0355】
実施例21(オリゴ糖化合物の製造7)
【0356】
【化61】
【0357】
糖供与体(2a−1)を糖供与体(2a−1,2)(650mg,0.471μmol)に、糖受容体(3a−8)を糖受容体(3a−4)(162mg,0.118μmol)に替え、MS4A(600mg)、ジクロロメタン(2.1ml)及びTMSOTf(6.2μl,35.3μmol)を使用して実施例15と同様に操作してオリゴ糖化合物(1−7)(28.8mg,収率9.4%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
78H
76Cl
18N
2O
45S
6,m/z=2591.63, found;2609.4[M+NH
4]
+、2636.4[M+HCO
2]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図25に示した。
【0358】
実施例22(オリゴ糖化合物の製造8)
【0359】
【化62】
【0360】
糖供与体(2a−1)を糖供与体(2a−1,2)(110.8mg,80.3μmol)に、糖受容体(3a−8)を糖受容体(3a−5)(411.7mg,0.321μmol)に替え、MS4A(600mg)、ジクロロメタン(1.4ml)及びTMSOTf(4.2μl,24.09μmol)を使用して実施例15と同様に操作してオリゴ糖化合物(1−8)(20.2mg,収率10%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
71H
68Cl
18N
2O
45S
6,m/z=2499.57, found;2517.4[M+NH
4]
+、2544.2[M+HCO
2]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図26に示した。
【0361】
実施例23(オリゴ糖化合物の製造9)
【0362】
【化63】
【0363】
糖受容体(3a−8)を糖受容体(3a−6)(30.0mg,27.9μmol)に替え、糖供与体(2a−1)(57.8mg,41.9μmol)、MS4A(90mg)、ジクロロメタン(0.4ml)及びTMSOTf(1.5μl,8.38μmol)を使用して実施例15と同様に操作してオリゴ糖化合物(1−9)(7.2mg,収率11%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
60H
60Cl
18N
4O
39S
6,m/z=2289.54, found;2307.0[M+NH
4]
+、2336.0[M+HCO
2]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図27に示した。
【0364】
実施例24(オリゴ糖化合物の製造10)
【0365】
【化64】
【0366】
糖受容体(3a−8)を糖受容体(3a−7(β))(50.1mg,36.4μmol)に替え、糖供与体(2a−1)(30.0mg,24.3μmol)、MS4A(90mg)、ジクロロメタン(0.3ml)及びTMSOTf(1.3μl,7.3μmol)を使用して実施例15と同様に操作してオリゴ糖化合物(1−10)(4.6mg,収率8%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
69H
70Cl
18N
4O
42S
6,m/z=2455.61, found;2474.0[M+NH
4]
+、2501.0[M+HCO
2]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図28に示した。
【0367】
実施例25(オリゴ糖化合物の製造11)
【0368】
【化65】
【0369】
糖供与体(2a−1)を糖供与体(2a−3)(56.9mg,41.9μmol)に、糖受容体(3a−8)を糖受容体(3a−6)(30.0mg,27.9μmol)に替え、MS4A(90mg)、ジクロロメタン(0.4ml)及びTMSOTf(1.5μl,8.38μmol)を使用して実施例15と同様に操作してオリゴ糖化合物(1−11)(5.5mg,収率8.7%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
58H
62Cl
18N
4O
39S
6,m/z=2267.56, found;2266.2[M−H]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図29に示した。
【0370】
実施例26(オリゴ糖化合物の製造12)
【0371】
【化66】
【0372】
糖供与体(2a−1)を糖供与体(2a−3)(56.9mg,41.9μmol)に、糖受容体(3a−8)を糖受容体(3a−7(β))(30.0mg,36.3μmol)に替え、MS4A(90mg)、ジクロロメタン(0.4ml)及びTMSOTf(1.9μl,10.9μmol)を使用して実施例15と同様に操作してオリゴ糖化合物(1−12)(4.1mg,収率7%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
67H
72Cl
18N
4O
42S
6,m/z=2435.62, found;2453.2[M+NH
4]
+、2434.0[M−H]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図30に示した。
【0373】
実施例27(オリゴ糖化合物の製造13)
【0374】
【化67】
【0375】
糖供与体(2a−1)を糖供与体(2a−6)(27.0mg,36.7μmol)に、糖受容体(3a−8)を糖受容体(3a−6)(75.8mg,55.1μmol)に替え、MS4A(100mg)、ジクロロメタン(0.3ml)及びTMSOTf(1.9μl,10.9μmol)を使用して実施例15と同様に操作してオリゴ糖化合物(1−13)(4.6mg,収率8%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
57H
60Cl
18N
4O
41S
6,m/z=2285.53, found;2303.4[M+NH
4]
+、2330.3[M+HCO
2]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図31に示した。
【0376】
実施例28(糖受容体の調製9)
【0377】
【化68】
【0378】
オリゴ糖化合物(1−9)(500.3mg,0.218mmol)をジクロロメタン(8.3ml)に溶かして氷冷した。この溶液にトリエチルシラン(420μl,2.620mmol)と三フッ化ホウ素ジエチルエーテル(55μl,0.437mmol)を加えた後、室温に戻して3時間撹拌した。原料の消失を確認後、重曹水を加えて反応を終了させた。反応液を分液し、水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥後、濾過した。
ろ液を濃縮して得られた残渣をカラムで精製して糖受容体(3a−9)(404.2mg,収率81%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
60H
62Cl
18N
4O
39S
6,m/z=2291.56, found;2309.4[M+NH
4]
+、2290.3[M-H]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図32に示した。
【0379】
実施例29(オリゴ糖化合物の製造14)
【0380】
【化69】
【0381】
糖受容体(3a−8)を糖受容体(3a−9)(60.0mg,26.16μmol)に替え、糖供与体(2a−1)(162.5mg,117.71μmol)、MS4A(250mg)、ジクロロメタン(1.0ml)及びTMSOTf(1.4μl,7.85μmol)を使用して実施例15と同様に操作してオリゴ糖化合物(1−14)(6.0mg,収率6.5%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
95H
94Cl
27N
5O
60S
9,m/z=3510.4, found;3528.4[M+NH
4]
+,3555.4[M+HCO
2]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図33に示した。
【0382】
実施例30(糖受容体の調製10)
【0383】
【化70】
【0384】
オリゴ糖化合物(1−14)(60.7mg,17.29mmol)をジクロロメタン(1.3ml)に溶かして氷冷した。この溶液にトリエチルシラン(33μl,207.4μmol)と三フッ化ホウ素ジエチルエーテル(4.4μl,34.58μmol)を加えた後、室温に戻して1時間撹拌した。反応液にジクロロメタンを加えて希釈し、重曹水を加えて反応を終了させた。反応液を分液し、水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥後、濾過した。ろ液を濃縮して得られた残渣をカラムで精製して糖受容体(3a−10)(19.1mg,収率31%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
95H
96Cl
27N
5O
60S
9,m/z=3512.4, found;3530.4[M+NH
4]
+、3511.4[M−H]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図34に示した。
【0385】
実施例31(オリゴ糖化合物の製造15)
【0386】
【化71】
【0387】
糖供与体(2a−1)を糖供与体(2a−1,2)(51.4mg,37.27μmol)に、糖受容体(3a−8)を糖受容体(3a−10)(29.1mg,8.283μmol)に替え、MS4A(90mg)、ジクロロメタン(0.6ml)及びTMSOTf(0.9μl,4.97μmol)を使用して実施例15と同様に操作してオリゴ糖化合物(1−15)(3.4mg,収率8.7%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
130H
128Cl
36N
6O
81S
12,m/z=4731.2, found;4749.2[M+NH
4]
+、4776.3[M+HCO
2]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図35に示した。
【0388】
実施例32(オリゴ糖化合物の製造16)
【0389】
【化72】
【0390】
化合物(1−7)(52.4mg,20.2μmol)をジクロロメタン(1ml)に溶かし、水(50μl)、DDQ(2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン)(6.9mg,30.3μmol)を加え、室温で2.5時間反応した。その後さらにDDQ(10.0mg,44.0μmol)を加えて2時間撹拌した。その後、さらにDDQ(23.0mg,101.3μmol)を加えて30分撹拌後、反応液を酢酸エチルで希釈、チオ硫酸ナトリウム溶液にて洗浄した。その後、水層を酢酸エチルにて抽出し、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥後、濾過した。ろ液を濃縮して得られた残渣をカラムで精製してオリゴ糖化合物(1−16)(36.4mg,収率73%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
70H
68Cl
18N
2O
44S
6,m/z=2469.57, found;2487.4[M+NH
4]
+、2514,2[M+HCO
2]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図36に示した。
【0391】
実施例33(オリゴ糖化合物の製造17)
【0392】
【化73】
【0393】
化合物(1−16)(165.8mg,67.1μmol)をジクロロメタン(1.3ml)に溶かし、レブリン酸(10.3μl, 100.6μmol)を加え、氷冷後、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)(20.8mg,100.6μmol),DMAP(2.5mg,20.1μmol)をそれぞれ加えて、室温で3時間反応した。反応終了後、析出したウレアをろ過により除去、濾液を濃縮し、得られた残渣をカラムで精製してオリゴ糖化合物(1−17)(162.6mg,収率94%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
75H
74Cl
18N
2O
46S
6,m/z=2569.61, found;2587.4[M+NH
4]
+、2614.2[M+HCO
2]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図37に示した。
【0394】
実施例34(オリゴ糖化合物の製造18)
【0395】
【化74】
【0396】
化合物(1−17)(30.0mg,11.7μmol)をトルエン(0.25ml)、アセトニトリル(375μl)、水(0.25ml)に溶かし、CAN(ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム)(68.1mg,124.2μmol)を加えて室温で1.5時間撹拌した。その後さらにCAN(32.0mg, 58.4μmol)を加え、室温で30分反応した。反応終了後、酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。水層を酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄、有機層を濃縮し、得られた残渣をカラムで精製してオリゴ糖化合物(1−18)(18.26mg,収率63%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
68H
68Cl
18N
2O
45S
6,m/z=2463.57, found;2481.4[M+NH
4]
+、2462.2[M−H]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図38に示した。
【0397】
実施例35(糖供与体の製造7)
【0398】
【化75】
【0399】
化合物(1−18)(18.2mg,7.39μmol)をジクロロメタン(0.7ml)に溶かし、トリクロロアセトニトリル(0.7ml,27.68mmol)を加えて−40℃に冷却した。その後、DBU(0.1Mジクロロメタン溶液, 22μl, 2.217μmol)を加えて−40℃で1時間撹拌した後、カラム精製して糖供与体(2a−9)(12.5mg,収率65%)、糖供与体(2a−10)(3.3 mg,収率17%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
70H
68Cl
21N
3O
45S
6,m/z=2606.48, found;2651.0[M+HCO
2]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図39、40に示した。
【0400】
実施例36(オリゴ糖化合物の製造19)
【0401】
【化76】
【0402】
化合物(1−16)(468.3mg,0.189μmol)をジクロロメタン(3.8ml)に溶解させ、水(0.95ml)を加えた。10℃に冷却して、TEMPO(17.7mg,0.113μmol)及びBAIB(152.2mg,0.473μmol)をそれぞれ加えて10℃で12時間撹拌した。反応終了後、分液で水を除去し、このものにジクロロメタン(4ml)、メタノール(4ml)を加えて0℃に冷却した後、トリメチルシリルジアゾメタン(189μl,378μmol)を加えて0℃で1時間撹拌した。酢酸でクエンチした後、ジクロロメタンで希釈、チオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄後、水層をジクロロメタンで抽出、得られた有機層をまとめて飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥、ろ過、反応液を濃縮し、得られた残渣をカラム精製してオリゴ糖化合物(1−19)(360mg,収率76%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
71H
68Cl
18N
2O
45S
6,m/z=2499.57, found;2517.4[M+NH
4]
+、2544.2[M+HCO
2]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図41に示した。
【0403】
実施例37(オリゴ糖化合物の製造20)
【0404】
【化77】
【0405】
化合物(1−19)(167.4mg,67.0μmol)をジクロロメタン(1.3ml)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(134μl)及び水(13.4μl)をそれぞれ加えて、室温で1時間撹拌した。原料の消失を確認後、ジクロロメタンを加えて希釈し、重曹水で洗浄した。水層をジクロロメタンで抽出し、得られた有機層をまとめて飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウム上で乾燥した。濾過し、ろ液を濃縮して得られた残渣をカラムで精製してオリゴ糖化合物(1−20)(123.8mg,77%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
64H
64Cl
18N
2O
45S
6,m/z=2411.54, found;2429.4[M+NH
4]
+、2410.1[M−H]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図42に示した。
【0406】
実施例38(糖受容体の製造11)
【0407】
【化78】
【0408】
化合物(1−20)(123.8mg,51.3μmol)をジクロロメタン(1.0ml)に溶解させ、4−メトキシベンジル−2,2,2−トリクロロアセトイミデート(26.1mg, 92.4μmol)及びCSA(4.3mg,18.5μmol)を加えて室温で2.5時間撹拌した。反応終了後ジクロロメタンを加えて希釈した後、重曹水で洗浄し、水層をジクロロメタンで抽出、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。有機層を濾過し、ろ液を濃縮して得られた残渣をカラム精製して糖受容体(3a−11)(110.5mg,収率85%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
72H
72Cl
18N
2O
46S
6,m/z=2531.59, found;2549.4[M+NH
4]
+、2530.1[M-H]
-
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図43に示した。
【0409】
実施例39(オリゴ糖化合物の製造21)
【0410】
【化79】
【0411】
糖供与体(2a−1)を糖供与体(2a−1,2)(181.3mg,0.131mmol)に、糖受容体(3a−8)を糖受容体(3a−11)(997.2mg,0.394mmol)に替え、MS4A(1.2g)、ジクロロメタン(2.2ml)及びTMSOTf(7.0μl,39.3μmol)を使用して実施例15と同様に操作してオリゴ糖化合物(1−21)(63.1mg,収率13%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
107H
104Cl
27N
3O
67S
9,m/z=3749.37, found;1892.4[M+2NH
4]
2+
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図44に示した。
【0412】
実施例40(オリゴ糖化合物の製造22)
【0413】
【化80】
【0414】
化合物(1−21)(133.9mg,35.7μmol)をジクロロメタン(3.6ml)に溶かし、水(360μl)及びDDQ(2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン)(162.1mg,0.174mmol)を加え、室温で5時間反応させた。その後、反応液を酢酸エチルで希釈し、1%亜硫酸ナトリウム水溶液で洗浄した。その後、水層を酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄して、硫酸マグネシウム上で乾燥後、濾過した。ろ液を濃縮して得られた残渣をカラムで精製して、オリゴ糖化合物(1−22)(102.7mg,収率79%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
99H
96Cl
27N
3O
66S
9,m/z=3627.32, found;1831.8[M+2NH
4]
2+
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図45に示した。
【0415】
実施例41(オリゴ糖化合物の製造23)
【0416】
【化81】
【0417】
化合物(1−22)(102.7mg,28.3μmol)をジクロロメタン(2.8ml)に溶かし、レブリン酸(8.7μl, 84.9μmol)を加え、氷冷後、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)(17.5mg,84.9μmol)及びDMAP(3.5mg,28.3μmol)をそれぞれ加えて、室温で2時間反応させた。反応終了後、析出したウレアをろ過により除去し、濾液を濃縮して、得られた残渣をカラムで精製して、化合物(1−23)(79.4mg,収率75%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
104H
102Cl
27N
3O
68S
9,m/z=3727.35, found;1881.3[M+2NH
4]
2+
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図46に示した。
【0418】
実施例42(オリゴ糖化合物の製造24)
【0419】
【化82】
【0420】
化合物(1−23)(79.4mg,21.3μmol)をジクロロメタン(2.1ml)に溶かし、トリフルオロ酢酸(105μl)及び水(21μl)をそれぞれ加えて、室温で3時間撹拌した。原料の消失を確認後、ジクロロメタンを加えて希釈し、重曹水で洗浄した。水層をジクロロメタンで抽出し、得られた有機層をまとめて飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウム上で乾燥した。濾過し、ろ液を濃縮して得られた残渣をカラムで精製して化合物(1−24)(56.6mg,73%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
97H
98Cl
27N
3O
68S
9,m/z=3638.32, found;1837.3[M+2NH
4]
2+
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図47に示した。
【0421】
実施例43(糖受容体の製造12)
【0422】
【化83】
【0423】
化合物(1−24)(56.6mg,15.6μmol)をジクロロメタン(2.7ml)に溶かし、4−メトキシベンジル−2,2,2−トリクロロアセトイミデート(8.6mg, 31.1μmol)及びCSA(1.8mg,7.8μmol)を加えて、室温で1.5時間撹拌した。さらに、4−メトキシベンジル−2,2,2−トリクロロアセトイミデート(13.6mg, 47.9μmol)及びCSA(3.3mg,14.3μmol)を加えて、室温で1時間撹拌した。さらに続けて、4−メトキシベンジル−2,2,2−トリクロロアセトイミデート(13.6mg, 47.9μmol)及びCSA(5.1mg,22.0μmol)を加えて、室温で30分間撹拌した。反応終了後、ジクロロメタンを加えて希釈し、重曹水で洗浄し、水層をジクロロメタンで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。有機層を濾過し、ろ液を濃縮して得られた残渣をカラム精製して、糖受容体(3a−12)(48.2mg,収率82%)を得た。
Mass: ESI calcd for C
105H
106Cl
27N
3O
69S
9,m/z=3759.38, found;1897.2[M+2NH
4]
2+
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)チャートを
図48に示した。
【0424】
実施例44(オリゴ糖化合物の製造25)
【0425】
【化84】
【0426】
糖供与体(2a−1)を糖供与体(2a−7)(16.7mg,6.4μmol)に、糖受容体(3a−8)を糖受容体(3a−12)(48.2mg,12.8μmol)に替え、MS4A(90mg)、ジクロロメタン(0.3ml)及びTMSOTf(0.34μl,1.9μmol)を使用して実施例15と同様に操作して、オリゴ糖化合物(1−25)を得た。
Mass: ESI calcd for C
173H
172Cl
45N
5O
113S
15,m/z=6203.94, found;2086.2[M+3NH
4]
3+【0427】
参考例13【0428】
【化85】
【0429】
化合物(5−1)(500mg, 0.425mmol)をジクロロメタン(28ml)、メタノール(14ml)に溶解し、このものに10-カンファスルホン酸(691.1mg, 2.975mmol)を加え、40℃に昇温、14時間反応を行い、反応終了後、ジクロロメタンで希釈、重曹水で洗浄し、水層をジクロロメタンで逆抽出し、得られた有機層をまとめて。飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウム上で乾燥後、濾過した。ろ液を濃縮して得られた残渣をカラムで精製して化合物(31)(456mg,収率99%)を得た。
【0430】
化合物(31)(397.9mg,0.366mmol)をメタノール(17.5ml)に溶解させ、ぎ酸アンモニウム(415mg,6.584mmol)及び亜鉛粉末(502mg,7.682mmol)をそれぞれ加え、室温で4.5時間撹拌した。水(17.5ml)を加えて終夜撹拌した後、ぎ酸アンモニウム(277mg,4.392mmol)、亜鉛粉末(360mg,5.490mmol)及び水(8.8ml)をそれぞれ加えて終夜撹拌した。反応液をセライト濾過し、メタノール/水(1/1(V/V))で洗浄後、濃縮し、更にイソプロピルアルコールで共沸させて得られた残渣をゲル濾過クロマトグラフィーで精製し、次いでイオン交換樹脂を通して化合物(32)(290.5mg,定量的)を得た。
【0431】
化合物(32)(50.0mg,65.83μmol)をエタノール(1.0ml)及び水(0.3ml)に溶解させ、1,3−プロパンジアミン(330μl,3.95mmol)を加えて5時間加熱還流した。室温に戻し、水(0.2ml)及び無水酢酸(922μl,9.753mmol)を加えて室温で終夜撹拌した。反応液を濃縮し、得られた残渣をゲル濾過クロマトグラフィーで精製し、イオン交換樹脂を通して化合物(33)(15.5mg,収率35%)を得た。
【0432】
比較例1【0433】
【化86】
【0434】
(1)糖供与体(34)(19.6mg,14.2μmol)、糖受容体(35)(13.9mg,9.48μmol)、MS4A(100mg)、ジクロロメタン(0.5ml)をそれぞれ加えて窒素置換を行い、室温で1時間撹拌した。その後、−40℃に冷却し、TMSOTf(0.1M solution, 28μl, 2.84μmol)を加えて、−40℃から室温まで徐々に昇温させた。糖供与体(34)の消失を確認した後、セライト濾過し、ジクロロメタンで洗浄後、重曹水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥後、シリカゲルカラムにてカラム精製を行い、スポットを分取したが、目的のオリゴ糖化合物(36)ではなく、糖供与体(34)由来の副生成物(37)であった。
【0435】
(2)糖供与体(34)(17.8mg, 12.9μmol)、MS4A(30mg)、糖受容体(35)(12.6mg,8.59μmol)、トルエン(0.43ml)をそれぞれ加えて窒素置換を行い、室温で1時間撹拌した。その後、そのままの温度でTMSOTf(0.1M solution, 26μl,2.58μmol)を加えて、30分間撹拌を行った。糖供与体(34)の消失を確認した後、セライト濾過し、ジクロロメタンで洗浄後、重層水、飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウム上で乾燥後、シリカゲルカラムにてカラム精製を行い、スポットを分取したが、目的のオリゴ糖化合物(36)ではなく、糖供与体(34)由来の副生成物(37)であった。
【0436】
(3)糖供与体(34)(22.0mg,13.7μmol)、糖受容体(35)(13.4mg, 9.14μmol)、MS4A(30mg)、ジクロロメタン(0.46ml)をそれぞれ加えて窒素置換を行い、室温で1時間撹拌した。その後、そのままの温度でBF
3・OEt
2(0.1M solution, 27.4μl, 2.74μmol)を加えて、30分間撹拌を行い、さらにBF
3・OEt
2(0.1M solution, 27.4μl, 2.74μmol)を加えて、1時間反応を行った。糖供与体(34)の消失を確認した後、セライト濾過し、ジクロロメタンで洗浄後、重層水、飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウム上で乾燥後、シリカゲルカラムにてカラム精製を行い、スポットを分取したが、目的のオリゴ糖化合物(36)は得られなかった。
【0437】
比較例2【0438】
【化87】
【0439】
糖供与体(38)(58.5mg,41.9μmol)、糖受容体(3a−6)(30.0mg,27.9μmol)、MS4A(90mg)、ジクロロメタン(0.4ml)をそれぞれ加えて窒素置換を行い、室温で40分間撹拌した。その後、−25℃に冷却し、TMSOTf(1.5μl,8.4μmol)を加えて、−25℃にて1時間反応を行い、室温まで徐々に昇温させた。室温にて2時間反応し、糖供与体(38)の消失を確認した後、セライト濾過し、ジクロロメタンで洗浄後、重曹水、飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウム上で乾燥後、シリカゲルカラムにてカラム精製を行い、スポットを分取したが、目的のオリゴ糖化合物(39)ではなく、糖供与体(38)由来の副生成物(40)(45.4mg,変換率88%)が得られた。尚、糖受容体(3a−6)については、水酸基がトリメチルシリル化されたもの(4.6mg(14%))へ変化した以外は、原料回収となった。