(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
医師が標的組織にエネルギーを適正に供給し、それと同時に標的外組織には破壊的エネルギーが一切供給されないようにすることのできるエネルギー供給およびエネルギーモニタシステムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第一の態様によれば、組織表面の表面温度を推測するシステムは、複数の組織表面領域から発せられた赤外光を受け取るように構成および配置された第一の光学アセンブリと、近位端と遠位端を含むファイバであって、遠位端が第一の光学アセンブリから赤外光を受け取るように光学的に連結されているファイバと、ファイバ近位端に光学的に連結されたセンサであって、複数の組織表面領域の各々の平均温度と相関する信号を生成するように構成および配置されているセンサと、を含む。
【0006】
システムは、食道表面の表面温度を推測するように構成および配置できる。
【0007】
システムは、第一の光学アセンブリとファイバを含むプローブをさらに含むことができる。プローブ径は15Fr以下、または12Fr以下、または9Fr以下、または6Fr以下とすることができる。
【0008】
第一の光学アセンブリは、これを包囲する管を含むことができる。包囲管は、赤外線を比較的透過する管を含むことができる。包囲管は、高密度ポリエチレン(HDPE)または低密度ポリエチレン(LDPE)、ゲルマニウム、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される材料を含むことができる。
【0009】
第一の光学アセンブリは、光ファイバ、レンズ、ミラー、フィルタ、プリズム、増幅器、屈折媒体、スプリッタ、偏光板、開口、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される光学素子を含むことができる。
【0010】
第一の光学アセンブリは、受け取った赤外光に対し、合焦、分割、フィルタ処理、フィルタ処理せず伝送、増幅、屈折、反射、偏光、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される操作を実行するように構成および配置された光学素子を含むことができる。
【0011】
第一の光学アセンブリは、3cm以下、または2cm以下、または1cm以下、または0.5cm以下の長さの剛性部分を含むことができる。
【0012】
第一の光学アセンブリは、平面、斜面、および凸面を含む光学素子を含むことができる。斜面の角度は約45°とすることができる。凸面は、半径約4mmの凸面を含むことができる。
【0013】
第一の光学アセンブリは、組織から赤外光を受け取るように構成および配置された第一の面と、受け取った赤外光をファイバ遠位端へと案内するように構成および配置された第二の面を有する光学素子を含むことができる。第二の面は凸面を含むことができる。第一の光学アセンブリは、第二の面とファイバ遠位端との間の光学的分離距離を含むことができる。いくつかの実施形態において、ファイバは約400μmのコアを含むことができ、光学的分離距離は約4.5mmの距離とすることができ、第二の面は約3mmの凸面半径を有することができる。この実施形態において、第一の光学アセンブリは約3.5mmの焦点距離を有することができ、システムは、面積約0.4mm
2の複数の組織表面領域から赤外光を受け取るように構成および配置できる。いくつかの実施形態において、ファイバは約400μmのコアを含むことができ、光学的分離距離は約4.2mmの距離とすることができ、第二の面は約4mmの凸面半径を有することができる。この実施形態において、第一の光学アセンブリは約7.5mmの焦点距離を有することができ、システムは、面積約1.0mm
2の複数の組織表面領域から赤外光を受け取るように構成および配置でき、システムは、約8mmの被写界深度と相関する空間分解能基準を有することができる。
【0014】
第一の光学アセンブリは10mm以下、または5mm以下の焦点距離、例えば約3.2mmまたは約3.5mmの焦点距離を有することができる。第一の光学アセンブリは4mm〜10mmの間の焦点距離を有することができる。
【0015】
システムは、0.1mm〜15mmの間の被写界深度、または0.1mm〜1.0mmの被写界深度、例えば約0.5mmの被写界深度と相関する空間分解能基準を有することができる。システムは、1.5mm〜10mmの被写界深度、例えば約7mmの被写界深度と相関する空間分解能基準を有することができる。
【0016】
第一の光学アセンブリは、ファイバを幾何学的に中央に位置付けるように構成および配置されたフランジを含むことができる。
【0017】
複数の組織表面領域は、各々が面積0.1mm
2〜20mm
2、または面積0.5mm
2〜1.5m
2、例えば面積約1mm
2である複数の組織表面を含むことができる。
【0018】
複数の組織表面領域は、各々が0.5mm〜1.5mmの間の同等の直径を持つ複数の組織表面を含むことができる。
【0019】
複数の組織表面領域は、各々が長さ0.5mm〜1.5mmの間の主軸を有する複数の組織表面を含むことができる。
【0020】
複数の組織表面領域は、各々が比較的円形の形状、または比較的長方形の形状を有する複数の組織表面を含むことができる。複数の組織表面領域は、複数の比較的平坦な組織表面を含むことができ、または複数の山部と谷部を含むことができる。複数の組織表面領域は、複数の管状組織表面領域、たとえば食道の1区間を含むことができる。
【0021】
ファイバは、セレン化亜鉛、ゲルマニウム、酸化ゲルマニウム、ハロゲン化銀、カルコゲニド、中空コアファイバ材、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される材料を含むことができる。
【0022】
ファイバは、6μm〜15μmの間の波長、または8μm〜11μmの間の波長に対して比較的透過性の材料を含むことができる。
【0023】
ファイバは、ファイババンドルを含むことができる。ファイババンドルは、コヒーレントまたはインコヒーレントファイバを含むことができる。
【0024】
ファイバは、少なくとも1つの反射防止コーティングを含むことができる。例えば、少なくとも1つの反射防止コーティングは、ファイバ近位端またはファイバ遠位端の少なくとも一方に設置できる。少なくとも1つの反射防止コーティングは、6μm〜15μmの範囲、または8μm〜11μmの範囲をカバーするコーティング等の広帯域反射防止コーティング、約7.5μm〜8μmの範囲、または8μm〜9μmの範囲をカバーするコーティング等の狭帯域反射防止コーティング、赤外領域の1つの波長または非常に狭い範囲の波長を最適に反射するように設計されたコーティング等のシングルライン反射防止コーティング、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるコーティングを含むことができる。
【0025】
ファイバは、6μm〜100μmの間の直径、または200μm〜400μmの直径を有するコアをさらに含むことができる。
【0026】
ファイバは、コアと、これを包囲するクラッドと、をさらに含むことができる。ファイバはさらに、コアと、コアを取り囲むエアエンベロープと、を含むことができる。
【0027】
ファイバはさらに、ファイバのうちのファイバ近位端とファイバ遠位端との間の少なくとも一部を取り囲む捻じれ防止構造、例えばコイル、編組、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される構造を含むことができる。捻じれ防止構造はトルクシャフトを含むことができる。トルクシャフトは、反対方向に巻き付けられた複数のワイヤ層を含むことができる。トルクシャフトは、4〜12本のワイヤを含むことができる。
【0028】
システムは、ファイバに対し、ファイバを回転させる、ファイバを平行移動させる、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される操作を行うように構成および配置できる。ファイバは平行移動が可能となるように構成および配置されたサービスループを含むことができる。
【0029】
ファイバは、少なくともファイバのうちの一部を取り囲むスリーブをさらに含むことができ、スリーブは、少なくともファイバの一部と反応しないように構成および配置された材料を含むことができる。例えば、ファイバはコアを含むことができ、スリーブ材料はコアと反応しないように構成および配置することができる。
【0030】
センサは赤外線検出器を含むことができる。センサは、テルル化カドミウム水銀光検出器またはテルル化亜鉛水銀光検出器等の光電導体、マイクロボロメータ、タンタル酸リチウム検出器または硝酸トリグリシン検出器等の焦電検出器、サーモパイル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるセンサを含むことができる。
【0031】
センサは、200ミリ秒以下の応答時間、または1ミリ秒以下の応答時間を有することができる。
【0032】
センサは、センサの1つまたは複数の部分を冷却するように構成および配置された冷却アセンブリを含むことができる。冷却アセンブリは、液体窒素充填デュワ、熱電クーラ、スターリングサイクルクーラ、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される冷却アセンブリを含むことができる。
【0033】
信号は、電圧信号および/または電流信号を含むことができる。信号は、受け取った赤外光の変化を表すことができる。
【0034】
システムはシャフトをさらに含むことができ、ファイバはシャフトによって摺動可能に受けられる。シャフトは丸い先端を含むことができる。シャフトは、ポリエチレン、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミド、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される材料を含むことができる。シャフトは編組シャフトを含むことができる。シャフトは体腔内にオーバーザワイヤ方式で挿入するように構成および配置できる。シャフトは鼻孔内に挿入するように構成および配置できる。シャフトは、曲率半径4インチ以下、または曲率半径2インチ以下、または曲率半径1インチ以下の体内構造を通じて挿入するように構成および配置できる。
【0035】
システムは、ファイバから赤外光を受け取り、光をセンサの受光面へと誘導するように構成および配置された第二の光学アセンブリをさらに含むことができる。第二の光学アセンブリは、第二の光学アセンブリをセンサに関して少なくとも二次元で位置決めできるように構成および配置された調整アセンブリを含むことができる。
【0036】
第二の光学アセンブリは、光ファイバ、レンズ、ミラー、フィルタ、プリズム、増幅器、屈折媒体、スプリッタ、偏光板、開口、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される光学素子を含むことができる。第二の光学アセンブリは、受け取った赤外光に対し、合焦、分離、フィルタ処理、フィルタ処理せずに伝送、増幅、屈折、反射、偏光、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される動作を実行するように構成および配置された光学素子を含むことができる。
【0037】
システムは冷却筐体を含むことができ、第二の光学アセンブリの少なくとも一部を冷却筐体、例えばスターリング冷却筐体内に保持できる。
【0038】
第二の光学アセンブリは、反射防止面を含む構成部品を含む。
【0039】
第二の光学アセンブリは、6μm〜15μmの間の波長、または8μm〜11μmの間の波長の光に対して比較的透過性の構成部品を含むことができる。
【0040】
第二の光学アセンブリは焦点レンズを含むことができる。焦点レンズは、少なくともセンサの一部からギャップ、例えばオペレータが調整できるギャップによって分離できる。
【0041】
第二の光学アセンブリはフィルタを含むことができる。フィルタは、8μm未満の波長の光に対して比較的不透過性、および/または11μmを超える波長の光に対して比較的不透過性とすることができる。
【0042】
第二の光学アセンブリはコールドストップ(cold aperture)を含むことができる。
【0043】
第二の光学アセンブリはイマージョンレンズを含むことができる。
【0044】
第二の光学アセンブリは、センサの受光面にファイバから受け取った赤外光をオーバーフィル条件で入射させるように構成および配置できる。例えば、第二の光学アセンブリは、センサをオーバーフィルの状態にすることにより、ファイバ近位端以外の表面からセンサの受光面へと発せられる赤外光を最小限にする、ファイバ近位端から発せられる光が受光面の上または外のうちの少なくとも一方に移動することに起因するエラーを最小限にする、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される動作を実行するように構成および配置できる。第二の光学アセンブリは、センサの受光面にファイバから受け取った赤外光をアンダーフィル条件で入射させるように構成および配置できる。例えば、第二の光学アセンブリは、センサをアンダーフィルの状態にすることにより、ファイバ近位端から発せられ、センサの受光面が受け取る光の量を最大限にするように構成および配置できる。システムは、オペレータがオーバーフィルまたはアンダーフィルの少なくとも一方の量を調整できるように構成および配置できる。
【0045】
第二の光学アセンブリは、ファイバから受け取った赤外光をセンサの受光面の形状に適合するパターンで供給するように構成および配置できる。いくつかの実施形態において、システムは、ファイバから受け取った赤外光を長方形のパターンでセンサの受光面に供給するように構成および配置でき、センサの受光面は長方形のパターンを含む。いくつかの実施形態において、システムは、ファイバから受け取った赤外光を円形のパターンでセンサの受光面に供給するように構成および配置でき、センサの受光面は円形のパターンを含む。いくつかの実施形態において、システムは、ファイバから受け取った赤外光を楕円形のパターンでセンサの受光面に供給するように構成および配置でき、センサの受光面は楕円形のパターンを含む。いくつかの実施形態において、システムは、ファイバから受け取った赤外光を正方形のパターンでセンサの受光面に供給するように構成および配置でき、センサの受光面は正方形のパターンを含む。
【0046】
システムは、回転アセンブリをさらに含むことができる。回転アセンブリは、ファイバおよび/または第一の光学アセンブリを回転させるように構成および配置できる。システムは、ファイバを平行移動させるように構成および配置された平行移動アセンブリをさらに含むことができる。システムは、ファイバを同時に回転および平行移動させるか、ファイバを逐次的に回転させ、平行移動させるように構成および配置できる。回転アセンブリは、360°回転させるように構成および配置できる。回転アセンブリは、360°未満の往復回転運動、例えば45°〜320°の間の往復回転、または180°以下の往復運動、または90°以下の往復運動を提供するように構成および配置できる。
【0047】
回転アセンブリは回転エンコーダを含むことができる。
【0048】
回転アセンブリは、ファイバを1000rpm〜15000rpmの間の速度、または4000rpm〜8000rpmの間の速度、例えば約7260rpmの速度で回転させるように構成および配置できる。
【0049】
回転アセンブリは、オペレータがファイバの少なくとも一部、例えばファイバ近位端の位置を調整できるように構成および配置された調整アセンブリを含むことができる。調節アセンブリは、少なくとも二次元調整を提供するように構成および配置できる。
【0050】
システムは、ファイバおよび/またはセンサを平行移動させるように構成および配置された平行移動アセンブリをさらに含むことができる。平行移動アセンブリは、ファイバを往復運動で平行移動させるように構成および配置できる。システムは、ファイバを回転させるように構成および配置された回転アセンブリをさらに含むことができる。平行移動アセンブリは、回転アセンブリを平行移動させるようにさらに構成および配置できる。システムは、ファイバを同時に回転および平行移動させるか、ファイバを逐次的に回転させ、平行移動させるように構成および配置できる。
【0051】
平行移動アセンブリは、5mm〜100mmの間の距離、または10mm〜40mmの間の距離、例えば約25mmの距離だけファイバを平行移動させるように構成および配置できる。
【0052】
平行移動アセンブリはリニアエンコーダを含むことができる。平行移動アセンブリはヤンキースクリュー(yankee screw)を含むことができる。
【0053】
平行移動アセンブリは、ファイバの比較的連続的な平行移動を提供するように構成および配置できる。平行移動アセンブリは、ファイバを第一の期間と第二の期間にわたり平行移動させるように構成および配置でき、第一と第二の期間は遅延によって分離される。
【0054】
システムはユーザインタフェースをさらに含むことができる。ユーザインタフェースは、複数の組織表面領域の各々の平均温度の図式的温度マップを表示するように構成および配置できる。ユーザインタフェースは、色、色相、コントラスト、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される作図パラメータを変えることによって温度差を表現するように構成および配置できる。ユーザインタフェースは、オペレータが温度と作図パラメータとの相関関係を調整できるように構成および配置できる。
【0055】
ユーザインタフェースは、体内組織の二次元表現および/または体内組織の三次元表現の温度マップを表示するように構成および配置できる。
【0056】
ユーザインタフェースは、英数字による温度情報の表を表示するように構成および配置できる。
【0057】
ユーザインタフェースは、複数の組織表面領域の各々の平均温度の温度マップを表示し、継続的に更新するように構成および配置できる。例えば、ユーザインタフェースは、温度マップを0.1秒おき〜30秒おき、または0.2秒おき〜5秒おき、または0.5秒おき〜2秒おき、例えば約1秒おきに更新するように構成および配置できる。
【0058】
ユーザインタフェースは、ユーザ入力構成部品をさらに含むことができる。ユーザ入力構成部品は、タッチスクリーンモニタ、キーボード、マウス、ジョイスティック、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される構成部品を含むことができる。
【0059】
ユーザインタフェースは、オペレータがセンサを校正できるように構成および配置できる。ユーザインタフェースは、オペレータが、回転移動距離および/または回転速度等の回転パラメータ、平行移動距離および/または平行移動速度等の平行移動パラメータ、走査パターン形状、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される運動パラメータを調整できるように構成および配置できる。
【0060】
ユーザインタフェースは、その他の温度情報、例えば複数の組織表面のピーク温度情報と平均温度情報の少なくとも一方を表示するように構成および配置できる。
【0061】
システムは、信号処理ユニットをさらに含むことができる。信号処理ユニットは、センサ信号を複数の組織表面領域と相関する温度値の表と相関させるように構成および配置できる。システムはビデオモニタをさらに含むことができ、信号処理ユニットは、ビデオモニタを駆動するように構成および配置されたビデオ信号を生成できる。信号処理ユニットはアルゴリズム、例えば温度値等の1つまたは複数の数値を平均化する、1つまたは複数の温度値のピーク値を見つける、1つまたは複数の組織領域のピーク値を比較する、組織温度の変化率、異常値を判定する、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される機能を実行するように構成および配置されるアルゴリズムを含むことができる。これに加えて、アルゴリズムは、測定された他の組織領域より高い平均温度を持つ組織領域を判断するように構成および配置できる。
【0062】
システムは少なくとも1つのバンドを含むことができ、第一の光学アセンブリは、少なくとも1つのバンドから発せられる赤外光を集光できる。少なくとも1つのバンドは近位側バンドを含むことができ、第一の光学アセンブリは、近位位置と遠位位置との間で平行移動するように構成および配置でき、近位側バンドは近位位置に関して位置付けられる。少なくとも1つのバンドは遠位側バンドを含むことができ、第一の光学アセンブリは、近位位置と遠位位置との間で平行移動するように構成および配置でき、遠位側バンドは遠位位置に関して位置付けられる。少なくとも1つのバンドは遠位側バンドと近位側バンドを含むことができ、第一の光学アセンブリは、遠位側バンドと近位側バンドとの間で平行移動するように構成および配置できる。少なくとも1つのバンドは、熱伝導材料、アルミニウム、チタン、金、銅、スチール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される材料を含むことができる。少なくとも1つのバンドは、第一の光学素子が少なくとも1つのバンドから赤外光を受け取った時にセンサに所定の信号を生成させるように構成および配置できる。
【0063】
システムは、少なくとも1つのバンドの温度を測定するように構成および配置された少なくとも1つの温度センサをさらに含むことができる。少なくとも1つの温度センサは、サーモカップル、サーミスタ、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるセンサを含むことができる。システムは、測定された温度に基づいてセンサを校正するように構成および配置できる。システムは、センサを複数回校正するように構成および配置でき、校正は測定温度に基づくことができる。例えば、光学アセンブリは平行移動するように構成および配置でき、システムは、光学アセンブリが平行移動するたびにセンサを校正するように構成および配置できる。
【0064】
少なくとも1つのバンドは第一のバンドと第二のバンドを含むことができ、システムは、第二のバンドの温度を測定するように構成および配置された第二の温度センサをさらに含むことができる。例えば、光学アセンブリは平行移動するように構成および配置でき、システムは、光学アセンブリが平行移動するたびにセンサを2回校正するように構成および配置できる。
【0065】
少なくとも1つのバンドは可視化マーカ、例えば、X線不透過マーカバンド等のX線不透過マーカ、超音波反射マーカ、可視光マーカ、磁気マーカ、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるマーカを含むことができる。
【0066】
システムは位置決め部材をさらに含むことができる。位置決め部材は、第一の光学アセンブリを組織表面からある距離に位置決めするように構成および配置できる。位置決め部材は、第一の光学アセンブリを体腔内、例えば食道内で中央に置くように構成および配置できる。
【0067】
他の態様によれば、組織表面の表面温度を推測するシステムは、複数の組織表面領域から発せられた赤外光を受け取るように構成および配置された第一の光学アセンブリと、近位端と遠位端を含むファイバであって、遠位端が第一の光学アセンブリからの赤外光を受け取るように光学的に連結されているファイバと、を含む長尺プローブと、ファイバ近位端に光学的に連結されたセンサであって、複数の組織表面領域の各々の平均温度と相関する信号を生成するように構成および配置されたセンサと、を含む。
【0068】
他の態様によれば、組織表面の表面温度を推測するシステムは、近位端と遠位端を有するファイバであって、赤外光がそこを通過できるように構成および配置されたファイバと、ファイバ遠位端に光学的に連結された光学アセンブリであって、少なくとも1つの組織表面領域から発せられた赤外光を受け取るように構成および配置された光学アセンブリと、ファイバ近位端に光学的に連結されたセンサであって、少なくとも1つの組織表面領域から発せられた赤外光に基づいて信号を生成するように構成および配置され、信号が少なくとも1つの組織表面領域の平均温度と相関するようなセンサと、を含む。
【0069】
他の態様によれば、組織表面の表面温度を推測する方法は、本明細書に記載されているシステムを選択するステップと、システムの少なくとも一部を患者の位置の組織表面に展開するステップと、組織表面のその領域内で表面温度を推測するステップと、を含む。
【0070】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本願の発明的な概念の各種の実施形態を示しており、記述と共に本願の発明的な概念を説明する役割を果たす。
【発明を実施するための形態】
【0072】
ここで、本願の発明的概念の実施形態を詳細に参照するが、その例が添付の図面に示されている。可能なかぎり、図面を通じて同じまたは同様の部品を指すためには同じ参照番号を用いる。
【0073】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものであり発明的概念を限定しようとするものではない。本明細書で使用されるかぎり、単数形の冠詞(a、an、the)は、文脈上、明らかに他の解釈が必要な場合を除き、複数形も同様に示すものとする。
【0074】
さらに当然のことながら、「〜を含む(comprising)」(およびcomprisingのあらゆる形態(comprise、comprises)、「〜を有する(having)」(およびhavingのあらゆる形態(have 、has)、「〜を包含する(including)」(およびincludingのあらゆる形態(includes、include)または「〜を含有する(containing)」(およびcontainingのあらゆる形態(contains、contain)は、本明細書で使用されるかぎり、明記された特徴、整数、ステップ、操作、要素、および/または構成部品の存在を明示しているが、1つまたは複数のその他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成部品および/またはこれらの群の存在を排除しない。
【0075】
当然のことながら、第一の、第二の、第三の、等の用語は本明細書において、様々な限界、要素、構成部品、領域、層および/または区間を説明するために使用される場合があるが、これら限界、要素、構成部品、領域、層および/または区間はこれらの用語により限定されるべきではない。これらの用語は、1つの限界、要素、構成部品、領域、層または区間を他の限界、要素、構成部品、領域、層または区間から区別するためだけに使用されている。それゆえ、後述の第一の限界、要素、構成部品、領域、層または区間は、本願の教示から逸脱することなく、第二の限界、要素、構成部品、領域、層または区間と呼ぶこともできる。
【0076】
さらに当然のことながら、ある要素が他の要素「の上にある」、「それに取り付けられている」、「それに接続される」または「それに連結される」と記載されている場合、これはもう一方の要素の直接的に上にある、またはその上方にある、またはそれに接続する、または連結することができ、あるいは介在する要素を存在させることができる。これに対して、ある要素が他の要素に「直接的に上にある」、「それに直接取り付けられる」、「それに直接接続される」、またば「それに直接連結される」と記載されている場合、介在する要素はない。要素間の関係を説明するために使用されるその他の単語も同様に解釈するべきである(例えば、「〜の間」と「直接的に〜の間」、「隣接して」と「直接的に隣接して」、等)。
【0077】
空間的関係を示す用語、例えば「〜の下」、「〜の下方」、「〜より低い」、「〜の上方」、「〜より高い」およびその他が、例えば図に描かれている、ある要素および/または特徴の他の要素および/または特徴との関係を説明するために使用されている場合がある。当然のことながら、空間的関係を示す用語は、図に示されている向きに加えて、使用中および/または動作中の装置の異なる向きも包含するものとする。例えば、図中の装置をひっくり返した場合、他の要素または特徴の「下方に」および/または「下に」あると説明されている要素は、他の要素または特徴の「上方」の向きとなるであろう。この装置は、それ以外に向き付けられることもありえ(例えば、90度回転させられているか、他の向き)、本明細書で使用されている空間的関係を示す説明は相応に解釈される。
【0078】
本明細書で使用されている「および/または」という用語は、明記された2つの特徴または構成部品の各々の、もう一方がある場合またはない場合を具体的に開示していると解釈するものとする。例えば、「Aおよび/またはB」は、(i)A、(ii)B、および(iii)AとBの各々を、本明細書にその各々が個々に記載されているかのように具体的に開示していると解釈するものとする。
【0079】
当然のことながら、明瞭にするために別々の実施形態の内容の中で説明されている本発明の特定の特徴は、1つの実施形態の中で組み合わせて提供されてもよい。反対に、簡潔にするために1つの実施形態の内容の中で説明されている本発明の各種の特徴はまた、別々に、またはあらゆる適当な副結合の形で提供されてもよい。
【0080】
例えば、当然のことながら、特許請求の範囲の何れかの項(独立項か従属項かを問わない)に明記されている特徴はすべて、どのような方法でも組み合わせることができる。
【0081】
本願では、複数の位置、例えば患者の組織の二次元または三次元表面の温度マップを生成するための温度測定システムが提供される。このシステムは、1つまたは複数のセンサ、例えば赤外(IR)光検出器またはその他の赤外線センサを含むことができる。システムは、1つの再使用可能部分と1つまたは複数の使い捨て部分を含むことができる。システムは、食道または結腸等の体腔内に挿入されるように構成および配置されたプローブ等のプローブを含むことができる。プローブは、シャフト等の長尺部材を含むことができ、システムは長尺部材の側面に、および/または長尺部材の遠位端の前方にある複数の組織位置の温度を測定するように構成および配置できる。システムまたはプローブは、本出願人による本願と同時係属中の、2011年11月22日に出願された、“Ablation and Temperature Measurement Devices”と題する国際特許出願PCT/US2011/061802号に記載されているように構成および配置でき、同国際出願の内容の全てを参照によって本願に援用する。
【0082】
ここで、
図1を参照すると、本願の発明的概念と一致する温度測定プローブを含む温度マッピングシステムの概略図が示されている。システム10は、プローブ100と、センサアセンブリ500と、信号処理ユニット(SPU)400と、ユーザインタフェース300と、を含む。プローブ100は、長尺のフィラメント、すなわちファイバアセンブリ200を摺動可能に受けるシャフト110を含む。ファイバアセンブリ200は、シャフト110の遠位部分の中心軸から半径方向に外側にある1つまたは複数の表面位置(例えば、1つまたは複数の組織表面位置)から発せられる少なくとも赤外光を集光するように構成および配置される。集光された赤外光はファイバアセンブリ200の中で近位側へと進み、センサアセンブリ500によって受け取られる。センサアセンブリ500は、受け取った赤外光を1つまたは複数の情報信号に変換し、これらはSPU 400に送信される。システム10は動作伝達アセンブリ600を含むことができ、これはファイバアセンブリ200を平行移動および/または回転させて、例えば一連の組織位置(例えば、連続または不連続の組織表面)からの赤外光を集光するように構成される。SPU 400は、センサアセンブリ500から受け取った1つまたは複数の情報信号を、一連の組織位置と相関可能な一連の温度測定値に変換して、例えば二次元および/または三次元組織表面上の温度(例えば平均温度)に関する情報を提供することができる。
【0083】
シャフト110は近位端111と遠位端112を含む。遠位端112は、プローブ100を患者の体腔内に、傷を付けないように挿入するために、図のように構成された丸い先端を含むことができる。シャフト110は、ポリエチレン、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミド、およびこれらの組み合わせから構成される群より選択される材料を含むことができる。シャフト110は編組シャフトを含み、および/または柱強度を増大させ、および/またはシャフト110の近位端111に、またはその付近にかけられたトルクへの応答を改善するように構成および配置された1つまたは複数の編組部分を含むことができる。プローブ100はガイドワイヤに沿って挿入されるように構成でき、図示されていないが、一般的にシャフト110が当業者にとって知られているようなガイドワイヤンルーメンまたは遠位側ガイドワイヤサイドカーを含む。シャフト110の遠位部分は、赤外線を比較的透過させる管(すなわち、赤外線透過管)、すなわちウィンドウ115を含み、これは、赤外光に対して透過性または比較的透過性の少なくとも一部を含むことのできる管状区間を含む。ウィンドウ115は、高密度ポリエチレン(HDPE)または低密度ポリエチレン(LDPE)等のポリエチレン、ゲルマニウムまたは同様に赤外線透過性の材料、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される材料を含むことができる。シャフト110が編組またはその他の補強構造を含む実施形態において、ウィンドウ115またはウィンドウ115の一部には補強構造をなくすことができる。
【0084】
シャフト110は、剛性であり、柔軟であり、または剛性区間と柔軟区間の両方をその長さに沿って含むようにすることができる。ファイバアセンブリ200は、剛性であり、柔軟であり、または剛性区間と柔軟区間の両方をその長さに沿って含むようにすることができる。シャフト110とファイバアセンブリ200は直線または曲線形状、例えば半径4インチ以下、2インチ以下、または1インチ以下の1つまたは複数の曲げ部を含む曲線形状にして、例えば鼻孔から食道に挿入できるようにすることができる。いくつかの実施形態において、シャフト110とファイバアセンブリ200は、その長さの1つまたは複数の部分に沿って、プローブ100を体腔またはその他の体内位置、例えば、口または鼻孔から食道へ、または肛門から下部胃腸管へ、および/または尿道へと挿入するのに十分な柔軟性を有する。シャフト110は外径15Fr未満、例えば直径12Fr未満、9Fr未満、または6Fr未満のシャフト等とすることができる。
【0085】
ファイバアセンブリ200は、近位端211と遠位端212を含むファイバ210を含む。コネクタ204が近位端211に位置付けられ、機械的および光学的にファイバアセンブリ200をセンサアセンブリ500に接続するように構成される。いくつかの実施形態において、コネクタ204は、センサアセンブリ500の1つまたは複数の構成部品に関してファイバ210を正確に位置決めできるように構成および配置された線形調整可能テーブルまたは二次元的調整可能(X−Y)テーブルを含む。いくつかの実施形態において、一次元または二次元位置決めは製造者にしかできない。ファイバ210は、1つまたは複数の赤外光波長に対して高い透過性を有する1つまたは複数の材料、例えばセレン化亜鉛、ゲルマニウム、酸化ゲルマニウム、ハロゲン化銀、カルコゲニド、中空コアファイバ材、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される材料を含む1本または複数のファイバを含むことができる。ファイバ210は、6μm〜15μmの間、または8μm〜11μmの間の波長の赤外光に対して高い透過性を有するように構成できる。いくつかの実施形態において、ファイバ210は複数のファイバ、例えばコヒーレントまたはインコヒーレントバンドルとした複数のファイバを含む。
【0086】
いくつかの実施形態において、ファイバ210の近位端211および/または遠位端212は、例えば反射防止(AR)コーティング等のコーティングを有する表面を含む。システム10は、赤外光を受け取り、および/または赤外光を発する光学的平面を含む1つまたは複数の構成部品を含むことができる。これらの光学的平面は1つまたは複数の反射防止コーティング、6μm〜15μmの範囲または8μm〜11μmの範囲をカバーするコーティング等の広帯域反射防止コーティング、7.5μm〜8μmの範囲または8μm〜9μmの範囲をカバーするコーティング等の狭帯域反射防止コーティング、赤外線領域内の単独の波長または非常に狭い範囲の波長を最適に反射するように設計されたコーティング等のシングルライン反射防止コーティング、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるコーティングを含むことができる。反射防止コーティングは、各面におけるフレネル反射損失を低減化することによって、平面あたり最大30%透過率を改善するために含めることができる。反射防止コーティングは、小さいまたは大きい範囲の入射角を受け入れるように構成および配置できる。
【0087】
いくつかの実施形態において、ファイバアセンブリ200はクラッドを含み、これについては
図2Aに関して後述する。クラッドは、赤外光がファイバアセンブリ200の遠位端から近位端へと進む間にその全反射を発生させ、および/または保持するために含めることができる。その代わりに、またはそれに加えて、ファイバアセンブリ200は、光ファイバ210を包囲するコイル、編組、またはその他の捻じれ防止構造を含み、例えばファイバアセンブリ200の捻じれ応答を改善することができる。いくつかの実施形態において、ファイバアセンブリ200はトルク応答を改善するためにコイル、編組、またはその他の包囲要素(例えばトルクシャフト)を含み、これについては
図2Aに関して後述する。
【0088】
システム10は、ファイバ210の遠位端212に取り付けることのできる集光器220を含む光学アセンブリ250を含む。集光器220は、1つまたは複数の光学構成部品、例えば集光された赤外光に対し、合焦、分割、フィルタ処理、フィルタ処理せずに伝送(例えば通過)、増幅、屈折、反射、偏光、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される動作を実行するために使用される1つまたは複数の光学構成部品を含むことができる。集光器220は、光ファイバ、レンズ、ミラー、フィルタ、プリズム、増幅器、屈折媒体、スプリッタ、偏光板、開口、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の光学構成部品を含むことができる。集光器220は筐体およびその他の機械的、電気的および/または光学的構成部品を含むことができ、これについては
図2Aの集光器220に関して後述する。集光器220は有限の剛性長さ範囲、例えば3cm未満、2cm未満、1cm未満、または0.5cm未満の剛性長さ範囲を含み、例えば上述のように湾曲経路の中を進めるようにすることができる。
【0089】
ファイバアセンブリ200の遠位部分に近接する特定の組織位置から発せられ、その後、ウィンドウ115を通過する赤外光は集光器220によって集光される。集光器220はファイバ210の遠位端212に光学的に連結され、それによって集光された光はファイバ210を通って近位側へと進む。近位端211はセンサアセンブリ500に光学的に連結され、それによって集光された光はセンサアセンブリ500により受け取られる。センサアセンブリ500が集光された光に基づいて生成する信号は、SPU 400によって、その特定の組織位置(以下、「集光位置」と呼ぶ)に関する推測平均温度(以下、「推測温度」という)と相関される。この測定温度は集光位置の表面全体の平均温度を表し、その表全体にわたり複数の異なる温度が含まれる可能性がある。換言すれば、各集光位置から集光された赤外光は、集光位置全体の平均温度と相関する単独の分割不能の信号としてファイバ210を通って近位側へと進む。測定温度の誤差は、システム10の光路に沿った説明のつかない、および/または未知の赤外線信号損失、システム10の光路に沿った説明のつかない、および/または未知の赤外線信号ゲイン(例えば赤外光の外部入射)、センサアセンブリ500の不正確さまたはスプリアス信号、電気信号ノイズ、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される要因により引き起こされる可能性がある。
【0090】
いくつかの実施形態において、集光器220は、面積約0.5mm
2〜1.5mm
2、例えば面積約1.0mm
2の集光位置(例えば組織表面領域)から光を集めるように構成および配置される。いくつかの実施形態において、集光器220は、0.5mm〜1.5mmの範囲の同等の直径を有する比較的円形の形状の領域から光を集めるように構成および配置される。いくつかの実施形態において、集光器220は、主軸が0.5〜1.5mmの間の長方形または楕円形の領域からの光を集めるように構成および配置される。集光位置は、幅広い大きさと形状を有することができ、例えば位置は0.1mm
2〜20mm
2の面積を有する。集光位置は、円形または長円等の楕円形、正方形等の長方形、台形等の多角形、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される形状等、各種の形状を有することができる。集光位置からの集光の効率は集光領域上で異なる場合があり、例えば集光位置の中心からの集光効率は集光位置の周辺部からのものより高い場合があり、その結果、測定された温度は集光位置の中心のそれに向かって重み付けされる。システム10は、例えば本明細書で詳しく説明するように集光器220を回転させ、および/または旋回させることによって、複数の組織表面領域から光を集めるように構成および配置できる。
【0091】
集光位置および/または集光位置の集合は、比較的平坦な組織を含むことができ(例えば、そこに含められる、集光器200に直交する組織表面の集光器220まで距離は比較的一定である)、またはそれは、波状であるか、またはそれ以外に山部および/または谷部を含む組織を含むことができる。システム10は、測定対象の組織表面の形状とマッチする焦点を有する光学系によって、温度測定誤差を最小限にするように構成できる。プローブ100から距離が比較的均一な組織について最適化されたシステム10の非限定的な例を、
図3に関して後述する。プローブ100からの距離が異なる、または未知の組織について最適化されたシステム10の非限定的な例を、
図4に関して後述する。
【0092】
前述のように、いくつかの実施形態において、集光器220を含むファイバアセンブリ200は、例えばそれぞれ平行移動アセンブリ610および/または回転アセンブリ660によって平行移動および/または回転するように構成される。平行移動アセンブリ610は、ファイバアセンブリ200のある軸方向区間と光学的に係合し、ファイバアセンブリ200をシャフト110内で前後に移動させるように軸方向の力を加える。平行移動アセンブリ610は、5mm〜100mmの間、例えば10mm〜40mmの間の往復運動、例えば各方向に約25mmの往復平行移動を起こさせるように構成できる。いくつかの実施形態において、往復運動の大きさは、心筋焼灼術中に食道の十分な長さ範囲から温度情報を収集するように構成および配置される。ファイバアセンブリ200はサービスループ203を含むことができ、これは少なくとも柔軟部分を含み、回転アセンブリ660および/またはセンサアセンブリ500が外れることなく、またこれらに不要な力が加わらずに平行移動を可能にする(例えば、ファイバアセンブリ200の平行移動を可能にするため)ように位置付けられ、配置される。いくつかの実施形態において、平行移動アセンブリ610は1つまたは複数のリニアエンコーダまたはその他の位置センサを含み、これらはファイバアセンブリ200の直線位置と相関する信号を生成するように構成および配置される。いくつかの実施形態において、平行移動アセンブリ610は
図6に関して後述するように構成および配置される。
【0093】
回転アセンブリ660は、ファイバアセンブリ200の他の軸方向区間と動作的に係合して、ファイバアセンブリ200と集光器220を例えば連続的に360°回転させるか、または円周の一部で回転させる(例えば、45°〜320°の往復回転)ための回転力を加える。代替的な実施形態において、回転アセンブリ660は集光器220の遠位側に位置付けられ、遠位部分は示されていないが、一般に回転モータを含み、これは遠位端212の付近に位置付けられ、集光器220に動作的に連結されて、集光器220の少なくとも一部を、ファイバ2210を回転させずに回転させることができる。
【0094】
いくつかの実施形態において、回転アセンブリ660は、1つまたは複数のロータリエンコーダまたはその他の位置センサを含み、これは集光器220および/またはファイバアセンブリ200の回転位置と相関する信号を生成するように構成および配置される。いくつかの実施形態において、回転アセンブリ660は、
図5Aに関して後述するように構成および配置される。
【0095】
いくつかの実施形態において、回転アセンブリ660および/またはセンサアセンブリ500は、回転アセンブリ660および/またはセンサアセンブリ500がファイバアセンブリ200に沿って平行移動するように平行移動アセンブリ610の上に位置付けられ、またはそれ以外にこれに連結される。これらの実施形態において、サービスループ203を回避して、例えばファイバアセンブリ200の長さを短縮し、および/またはサービスループ203が曲がっている間に発生するあらゆる信号損失を低減化または排除できる。
【0096】
いくつかの実施形態において、平行移動および回転は同時に行われ、それによって集光器220により集光された赤外光は、螺旋パターンの集光位置から集められた光を表す。他の実施形態において、回転(例えば集光器220の360°の回転)に続いて平行移動(例えば集光器220の前進または引き戻し)が行われ、この回転−平行移動が繰り返され、それによって、集められた赤外光は複数の二次元の平行円を含む形状を持つ一連の集光位置を表す。
【0097】
センサアセンブリ500により提供される情報は、SPU 400によって集光位置の測定温度の表を生成するために使用され、これは上述のように、集光位置に関する推測平均温度を表す。SPU 400よって提供される表は(例えばユーザインタフェース300によって)、複数の集光位置の形状と相関する温度マップの形態で表すことができる。いくつかの実施形態において、複数の集光位置は管状組織の1区間、例えば食道の1区間を含み、温度マップは「切り開いた状態の」管腔壁またはその他の体内組織の二次元表現である。他の実施形態では、管腔壁またはその他の体内組織の三次元表現を提供することができる。表またはその他の表現は、例えば集光器220が連続的または半連続的に回転される一連の往復平行移動中に収集されるデータを介して定期的に更新できる。
【0098】
いくつかの実施形態において、約25mmの1回の前方または後方平行移動が、0.1秒〜30秒の間の時間、例えば0.2秒〜5.0秒の間の時間、例えば05秒〜2.0秒の間の時間、例えば約1.0秒の時間で行われる。前方または後方平行移動中に、集光器220は、例えば1000rpm〜15000rpmの間、または4000rpm〜8000rpmの間、例えば約7260rpmの回転速度で回転させることができる。いくつかの実施形態において、前方または後方平行移動は、ある時間後にそれぞれ後方または前方平行移動によって分離される。他の実施形態において、前方または後方平行移動は、それぞれその前の後方または前方平行移動の完了後比較的すぐに開始される。
【0099】
センサアセンブリ500は、ファイバアセンブリ200から受け取った赤外光に基づいて信号を生成するように構成された1つまたは複数のセンサを含む。前述のように、受け取った赤外光は、集光器220の平行移動および/または回転によって決定される一連の集光位置から集められた赤外光の伝送を表すことができる。SPU 400は、センサアセンブリ500によって生成された信号を一連の集光位置に関連付けられた温度値の表と相関させるように構成できる。センサアセンブリ500は、有限応答時間(例えば、1つまたは複数の電子構成部品の出力信号可用性の遅延)を含むことができ、その間にセンサアセンブリ500が受け取られた赤外光に基づいて生成する信号が利用不能となる(例えば正確でなくなる)。これらの実施形態において、SPU 400は、センサアセンブリ500を個別にサンプリングして、あらゆる信号可用性の遅延に対応できるように構成できる。
【0100】
センサアセンブリ500は、テルル化カドミウム水銀光検出器またはテルル化亜鉛水銀光検出器等の光電導体、マイクロボロメータ、タンタル酸リチウム検出器または硝酸トリグリシン検出器等の焦電検出器、サーモパイル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される素子等のIR検出器510を含むことができる。いくつかの実施形態において、検出器510は、200ミリ秒未満、例えば1ミリ秒未満の応答時間を有する。
【0101】
センサアセンブリ500またはシステム10のその他のアセンブリは光学アセンブリ520を含むことができ、これは、ファイバアセンブリ200から受け取った赤外光をIR検出器501に合焦させるように構成および配置された1つまたは複数の光学構成部品を含む。いくつかの実施形態において、光学アセンブリ520は、
図7に関して後述するように構成される。
【0102】
IR検出器510は、受け取った赤外光を電気信号、例えば受け取った赤外光と相関する電圧および/または電流信号に変換するように構成できる。いくつかの実施形態において、IR検出器510は、例えば受け取った赤外光の変化と相関する電圧または電流等の差分信号を生成し、これは例えば、フロリダ州スチュワートのInfrared Associatesが製造する赤外線センサ、例えばInfrared Associatesのモデル番号MCT−12−0.25SCである。IR検出器510は、広いスペクトル応答および、赤外光から電気信号への高い変換効率を有するように構成できる。いくつかの実施形態において、IR検出器510の感度またはその他の性能特性は、検出器510の面積に関係する。
【0103】
センサアセンブリ500は冷却アセンブリを含むことができ、これは図示されていないが、例えば液体窒素充填デュワ、熱電クーラ、スターリングサイクルクーラまたは、センサアセンブリ500の1つまたは複数の構成部品を室温より低い温度に維持することによって、例えばセンサアセンブリ500の感度、精度、ノイズ特性または応答時間を改善するように構成および配置されたその他の冷凍および/または冷却アセンブリ等である。
【0104】
SPU 400は、1つまたは複数の導体を含むケーブル、すなわちコンダクタ401を介してセンサアセンブリ500から電気信号またはその他の信号を受け取る。その代わりに、またはそれに加えて、SPU 400は、Bluetooth等の無線通信手段を介してセンサアセンブリ500から電気信号またはその他の信号を受け取ることができる。SPU 400は、センサアセンブリ500から受け取った信号に対して1つまたは複数の信号処理タスクを実行するのに十分な機械的構成部品、電気的構成部品(例えば、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、メモリ記憶装置、アナログフィルタまたは増幅器等のアナログ回路、デジタルロジック等のデジタル回路およびその他)および/またはソフトウェア(例えば、1つまたは複数の信号処理アルゴリズムを含むソフトウェア、ユーザインタフェース300を駆動するように構成されたソフトウェアおよびその他)を含む。
【0105】
SPU 400は、ビデオ信号を生成し、これが1つまたは複数の導体を含むケーブル、すなわちコンダクタ402を介してユーザインタフェース300に送信されるように構成できる。その代わりに、またはそれに加えて、SPU 400は、Bluetooth等の無線通信手段を介してビデオ信号をユーザインタフェース300に伝送できる。
【0106】
ユーザインタフェース300はモニタ310を含み、これは、少なくとも1つのタッチスクリーンまたはその他の視覚的表示モニタを含むことができる。ユーザインタフェース300は入力装置320を含むことができ、これは、システム10のオペレータがシステム10にコマンドまたはその他の情報を入力できるように構成された構成部品、例えばモニタ310がタッチスクリーンモニタの場合のようなモニタ310、キーボード、マウス、ジョイスティック、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される入力装置を含むことができる。
【0107】
いくつかの実施形態において、ユーザインタフェース300により、例えば入力装置320を介して提供されるコマンド信号はコンダクタ402を介してSPU 400に送信できる。コマンド信号は、SPU 400、センサアセンブリ500(例えばコンダクタ401を介して)に対して命令および/または構成(例えば校正)するために使用できる。いくつかの実施形態において、ユーザインタフェース300からのコマンド信号はSPU 400によって受け取られ、1つまたは複数の導体を含むケーブル、すなわちコンダクタ403を介して運動伝達アセンブリ600に送信される。これらの実施形態において、1つまたは複数の回転および/または平行移動パラメータはシステム10のオペレータによって調整可能であり、これは例えば、平行移動距離(例えば軸方向の距離)、平行移動速度、回転移動距離(例えば360°または360°未満等の円周に沿った運動の一部)、回転速度、走査パターン形状、ウィンドウ115内での集光器220の位置または位置範囲、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるパラメータである。
【0108】
前述のように、SPU 400は、測定温度をプローブ100のウィンドウ115に近接する1つまたは複数の集光位置と相関させる数値の表を作ることができる。表にされた情報は、ユーザインタフェース300のモニタ310上に英数字の形態で表すことができる。その代わりに、またはそれに加えて、表にされた情報は、一連の組織位置を累積的組織位置形状の二次元表現と相関させる図式的温度マップの形態で表現できる。図式的温度マップは、色、色相、コントラストおよび/またはその他の作図パラメータを相関させて、一連の温度を表現できる。いくつかの実施形態において、温度と可視化可能なパラメータとの間の相関関係はシステムのオペレータにより調整可能であり、例えばある範囲の色を含む温度マップで色の相関関係を調整できる(例えば、特定の温度をある色に設定するための閾値が調整される)。温度マップの表示に加えて、SPU 400とユーザインタフェース300によってその他の温度情報、例えば集光位置の集合全体のピーク温度または平均温度に関する、またはオペレータが決定可能な集光位置の部分集合等の集光位置の2つまたはそれ以上の部分集合の集光位置に関する数値等を提供できる。
【0109】
SPU 400は、センサアセンブリ500から受け取った信号を処理する(例えば数学的に処理する)または、既に処理された信号をさらに処理するために使用される1つまたは複数のアルゴリズム(例えば、SPU 400のメモリに記憶されたプログラム)を含むことができる。いくつかの実施形態において、温度値等の1つまたは複数の数値を平均化する、1つまたは複数の温度値のピーク値を見つける、1つまたは複数の組織領域のピーク値を比較する、組織温度の変化率、異常値を判定する、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される機能を実行するためのアルゴリズムが含められる。いくつかの実施形態において、平均温度が測定された他の領域より高い組織領域を判定するアルゴリズムが含められる。
【0110】
いくつかの実施形態において、シャフト110は1つまたは複数の機能的要素、例えば近位側バンド125aと遠位側バンド125b(概してバント125)等を含み、これらはウィンドウ115の近位端および遠位端に、および/またはその付近に設置できる。バンド125は、熱伝導性材料、アルミニウム、チタン、金、銅、スチール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される材料を含むことができる。バンド125は、集光器220がバンド125内に位置付けられている時(例えばバンド125から伝達される赤外光を集光する時)にセンサアセンブリ500が、所定の、またはそれ以外に別途測定可能な信号、例えば所定のパターンの赤外線反射率または放射率、または測定可能な温度等を含む信号を受け取るように構成および配置できる。
【0111】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数のバンド125は1つまたは複数の温度センサ、例えばサーモカップルまたはサーミスタを含み、これらは示されていないが、例えば以下の
図2の温度センサ121であり、1本または複数の電気ワイヤ、または温度情報をセンサアセンブリ500および/またはSPU 400に伝送するその他の情報伝送コンジットに接続される。これらの実施形態において、バンド125から受け取った温度読取値は、集光器220によってその位置で集光された赤外光と相関させて、例えばシステム10の校正手順を実行することができる。いくつかの実施形態において、校正手順は前方および後方への往復平行移動1セットごとに少なくとも1回(例えば、集光器220が近位側バンド125a内または遠位側バンド125b内にある時に)実行される。他の実施形態において、校正手順は、前方および後方への往復平行移動1セットごとに少なくとも2回(例えば、集光器220が近位側バンド125aにある時と集光器220が遠位側バンド125b内にある時)に実行される。
【0112】
1つまたは複数のバンド125またはプローブ100のその他の構成部品は可視化マーカ、例えば放射線不透過性マーカバンド等の放射線不透過マーカ、超音波反射マーカ、可視光マーカ、磁気マーカ、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるマーカとして構成できる。バンド215またはプローブ100のその他の可視化マーカは、医師がプローブ100を体内構造に関して前進させ、後退させ、回転させ、またはそれ以外に位置決めするため、例えばプローブ100が食道内に設置される時に蛍光透視法または超音波を使って心臓の近位にウィンドウ115を位置決めするために使用できる(
図2に関して後述する)。
【0113】
いくつかの実施形態において、プローブ100はプローブ100の遠位部分(例えばウィンドウ115)を組織に関して位置決めするように構成および配置された機能的要素、例えば
図1において展開され、半径方向に拡張された状態で示されている位置決め要素118を含む。位置決め要素118は、半径方向に拡張され、および/または半径方向に収縮されるように構成および配置できる。いくつかの実施形態において、位置決め要素118は体腔内でプローブ100を位置決めするように構成および配置され、これは例えば、食道等の体腔内でウィンドウ115を中央に位置付けるように構成および配置されたバルーン、拡張可能ケージ、拡張可能ステント、および/または半径方向に展開可能なアームである。位置決め要素118は、プローブ100の1つまたは複数の部分を組織に向かって、および/または組織から離して位置決めするように構成および配置できる。いくつかの実施形態において、プローブ100および/または位置決め要素118は、本出願人による本願と同時係属中の、2011年11月22に出願された、“Ablation and Temperature Measurement Devices”と題する国際特許出願PCT/US2011/061892号に記載されているように構成および配置され、同国際出願の内容の全体を参照によって本願に援用する。
【0114】
ここで、
図2を参照すると、本願の発明的概念と一致する
図1の温度測定プローブの遠位端が、食道内に位置付けられ、および心室の付近に位置付けられた状態で示されている。プローブ100は、
図1に関して説明したシステム10の1つまたは複数のアセンブリに取り付けることができる。プローブ100は、シャフト110と、ファイバアセンブリ200と、を含み、これはファイバ210と、集光器220を含む光学アセンブリと、を含む。シャフト110は、所望の赤外光波長に対する透過率の高い1つまたは複数の材料を含むウィンドウ115を含む。ウィンドウ115の各端に近位側バンド125aと遠位側バンド125b(概して125)が位置付けられている。バンド125は、1つまたは複数の温度センサ、例えば1つまたは複数のサーモカップル、サーミスタ、またはその他の温度センサを含むことができる。図の実施形態において、サーモカップル121はバンド125aの上に位置付けられ、1つまたは複数の組織Tの位置の付近にあるバンド125aの温度情報を測定するように構成される。バンド125はシャフト110の壁の内部、シャフト110の外面上、例えばシャフト110の外周に沿って、および/またはシャフト110の内面、例えばシャフト110の内周に沿って位置付けることができる。バンド125は、赤外線不透過材料および/または既知の放射率を有する材料を含むことができ、それによってファイバアセンブリ200は、バンド125から発せられた赤外光が集光器22により受け取られた時にバンド125の赤外線温度情報を記録する。バンド125は放射線不透過材料を含むことができ、それによってバンド125は可視化装置にとって可視化されて、シャフト110の遠位端112を例えば食道内の、患者の心臓に最も近い位置に位置決めされる。可視化装置の例としては、MRI、CTスキャナ、蛍光透視またはその他のX線装置、およびこれらの組み合わせがある。
【0115】
サーモカップル121は温度情報、例えばセンサアセンブリ500および/または
図1の信号プロセッサ400等の信号プロセッサによって1本または複数のワイヤを含むコンジット122またはその他の信号伝送コンジットを介して受け取られた温度依存電圧情報を記録する。サーモカップル121は、バンド125a内、バンド125aの外面上、バンド125aの内面上、および/またはシャフト110のルーメン内に位置決めすることができる。いくつかの実施形態において、サーモカップル121がシャフト110のルーメン内に位置決めされ、バンド125aがシャフト110の外面上に位置付けられて、バンド125がシャフト110とサーモカップル121を取り囲む。
【0116】
いくつかの実施形態において、プローブ100を使って、例えば温熱療法(例えば焼灼熱を用いるものや冷間治療)を心臓の後壁に施行する臨床処置中等に食道の表面温度をモニタできる。いくつかの実施形態において、プローブ100はガイドワイヤに沿って食道に挿入され(例えば、オーバーザワイヤ方式による体腔内への挿入)、1回または複数の温度測定を行う前にガイドワイヤが抜去され、または部分的に引き戻されて、例えばガイドワイヤがウィンドウ115の付近から取り除かれる。温熱療法は焼灼治療、例えば、電極21を含む焼灼カテーテル20のような焼灼カテーテルを使って実行されるRF焼灼治療を含むことができる。温熱療法はまた、多電極RF治療、凍結治療、レーザエネルギー治療、超音波エネルギー治療、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される治療を含むことができるが、これらに限定されない。
図2の実施形態において、プローブ100は、光学的観察ウィンドウ115(バンド125間の空間)が焼灼カテーテル20の電極21に関して比較的中央に位置付けられた状態で示されている。バンド125を可視化して、バンド125が少なくとも放射線不透過部分を含む場合に例えば蛍光透視法によるような方法でプローブ100を位置決めするのを支援することができる。
【0117】
ここで、
図2Aを参照すると、本願の発明的概念と一致する、赤外光検出器を含む
図2の温度測定プローブの遠位部分の拡大断面図が示されている。プローブ100はファイバアセンブリ200を含む。ファイバアセンブリ200は、ファイバ210と、赤外光を集光するように構成された光学アセンブリ、すなわち図のようにファイバ210の遠位側に位置付けられた集光器220と、を含む。集光器220により集光された赤外光はファイバ210の遠位面214に合焦される。ファイバアセンブリ200は、例えば
図1に関して上述した回転アセンブリ660および/または平行移動アセンブリ610によって、シャフト110内で回転および/または平行移動させるように構成される。光ファイバ210は、6〜1000マイクロメートルの間のコア径を有することができ、例えば直径200マイクロメートル〜400マイクロメートル間のファイバである。ファイバ210の材料は、6〜15マイクロメートルの波長範囲、例えば8〜11マイクロメートルの波長範囲の赤外光を最適に透過させるように構成された(例えば、それに対するインピーダンスが最小の)材料を含むことができる。いくつかの実施形態において、ファイバ210は、ハロゲン化銀等の多結晶材料または、所望の波長範囲の赤外光に対して高い透過率を有する1つまたは複数のその他の材料、例えばセレン化亜鉛、ゲルマニウム、酸化ゲルマニウム、カルコゲニド、中空コア材料、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される材料を含む。光ファイバ210はクラッド層を含むことができ、これは、ファイバ210のコア内に内部全反射を発生させ、および/または維持して、集光された赤外光をファイバ210の遠位端から近位端へと効率的に伝達できるように構成および配置できる。いくつかの実施形態において、ファイバ210はクラッド層を含まず、その代わりにエアエンベロープがファイバの周囲に位置付けられて、内部全反射を発生させ、および/または維持する。
【0118】
ファイバアセンブリ200は、スリーブ206と、フランジ207と、トルクシャフト205と、光学素子230と、をさらに含む。スリーブ206は、光ファイバ210の長さの大部分を取り囲み、例えばファイバ210とトルクシャフト205との間の直接的接触を防止することによって、光ファイバ210を保護するように構成できる。スリーブ206は赤外線不透過ポリマを含むことができ、これは、例えばファイバ201が多結晶材料を含む場合に、ファイバ210と反応しないように構成できる。プローブ100は、ファイバ210と接触する1つまたは複数の構成部品を含むことができる。これらの構成部品は、ファイバ210の損傷を避けるように構成される材料、例えば多結晶ベースのファイバ210と反応しないように選択されたチタン、セラミックおよび/またはポリマベースの材料を含むことができる。いくつかの実施形態において、プローブ100のその他の構成部品、例えば光学素子230を多結晶ベースとすることができ、それと接触する構成部品は非反応性材料、例えばチタン、セラミックおよび/またはポリマを含む。
【0119】
図2Aの実施形態において、トルクシャフト205はファイバ210の長さに沿ってスリーブ206、フランジ207、光ファイバ210を包囲する。トルクシャフト205は、それぞれ回転および平行移動アセンブリ660と610からの回転および平行移動の力をファイバアセンブリ200の近位部分からファイバアセンブリ220の遠位端の集光器220へと伝えるように構成され、これによって集光器220を含むファイバアセンブリ200が本明細書で説明するようにシャフト110内で回転および/または平行移動する。いくつかの実施形態において、トルクシャフト205は、ステンレススチールまたはチタンワイヤ等の複数のワイヤまたはその他のフィラメントを含む。シャフト205は、複数の編組ワイヤおよび/または1つまたは複数の方向に巻き付けられた複数のワイヤ層(例えば2つまたはそれ以上の交互の層において反対方向に巻き付けられる)を含むことができる。いくつかの実施形態において、最大16本のワイヤ(例えば4〜12本のワイヤ)をシャフト205の1つまたは複数の層の中に含められる。
【0120】
集光器220は、セラミックまたはチタン材料から作製された構造的および機械的要素を含むことによって、例えば集光器220の多結晶ベースの構成部品、ファイバ210および/またはファイバアセンブリ200の他の構成部品の劣化を防止できる。集光器220は、開口部、すなわちウィンドウ224を含む近位部分222を含む。集光器220は、開口部、すなわちウィンドウ229を含む遠位部分223をさらに含む。集光器220は筐体、すなわち図のような筐体221を含む。トルクシャフト205と光ファイバ210は、集光器220の近位部分222に取り付けられる。フランジ207は、ファイバ210の遠位部分を包囲することができ、スリーブ206と同様または異なる材料を含むことができる。フランジ207は、ウィンドウ224の中で光ファイバ210を幾何学的に中央に位置付けるように構成できる。いくつかの実施形態において、スリーブ206とフランジ207は単独の構成部品とすることができる。集光器220の中央部分は、ファイバ210の遠位面214と光学素子230の対向する面との間に位置付けられたギャップ、すなわち光学的分離ウィンドウ225を含むことができる。光学的分離ウィンドウ225によって、光学素子230からの赤外光を光ファイバ210の遠位面214へと合焦させやすくなり、これについては
図2Bに関して後述する。集光器220の遠位部分223には光学素子230が格納される。光学素子は筐体226によって包囲される。筐体226は、スリーブ206および/またはフランジ207と同様または異なる材料を含むことができる。筐体226は開口部、すなわちウィンドウ228を含み、またキャップ227をさらに含むことができ、これは筐体226内に光学素子230を固定するだけでなく、光学素子230を、例えばウィンドウ228の方を向くように回転により位置合わせするように構成される。あるいは、光学素子230を遠位部分223に直接固定でき、それによって筐体226が不要となる。
【0121】
光学素子230は、レンズ、ミラー、プリズム、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の構成部品を含むことができる。光学素子230は、光ファイバ210と同様または異なる材料を含むことができる。光学素子230は1つまたは複数の材料、例えば赤外光を伝達するように構成された(例えば、これに対して比較的透過性の)材料、および/または赤外線を反射するように構成された材料を含むことができる。いくつかの実施形態において、光学素子230は、赤外線反射材料に取り付けられた赤外線透過材料を含み、これについては
図2Bの光学素子230に関して後述する。
【0122】
さらに
図2Bを参照すると、本願の発明的概念と一致し、集光された赤外光の通路を含む、
図2Aのプローブ100のある区間の斜視図が示されている。
図2Bにおいて、ファイバ210と、光学素子230を含む光学アセンブリ250が示されており、図を明瞭にするためにプローブ100のその他の構成部品は省略されている。光学素子230は、平面231、斜面232、凸面233を含む。いくつかの実施形態において、平面231は凸状または凹状の形状を含むことができる。プローブ100は、組織領域、すなわち組織領域TAの表面から発せられたIR光40を集光し、光ファイバ210の遠位面214に合焦させるように構成される。第一の光学的分離距離OS1は組織領域TAと光学素子230の平面231との間の距離を含む。第二の光学的分離距離OS2は光ファイバ210の遠位面214と光学素子230の凸面233との間の距離を含む。距離OS2は光学素子230の合焦要件と光学アセンブリ250の所望の光学的分解能に基づいて決定され、集光器220の形状(例えば、
図2Aに示されるウィンドウ225の形状)によって維持される。
【0123】
図2B、3、4の実施形態において、ファイバ210と光学素子230は、光学アセンブリ250を画定するように構成および配置されている。いくつかの実施形態において、組織領域TAから光学アセンブリ250により集められたIR光40は、平面231から組織領域TAの表面への光学素子230の円錐投射から集光された赤外光を表す。組織領域TAから集光された円錐投射内にあるIR光40は、距離OS1にわたって光学素子230の平面231へと進む。他の実施形態において、コリメートされた、または略コリメートされた投射、長いビームウエストを有する投射、および/またはその他の形状の投射が集光された赤外光を表す。IR光40は光学素子230を通じて斜面232へと進み、その後、面233に向かって反射される。IR光40はすると、面233によって光ファイバ210の遠位端214へと合焦される。平面231は、組織領域の表面から発せられIR光40を集めるように構成された平坦、凸状、凹状、湾曲および/または不規則形状の表面を含むことができる。平面231は研磨面を含むことができ、および/またはそれは
図1に関して上述した反射防止コーティングを含むことができる。
【0124】
組織領域TAから発せられたIR光40は光学素子230により面231で集められ、光学素子230を通って斜面232へと進む。斜面232は45°の角度を含むことができ、例えば保護膜付アルミニウム(PAL)または銀コーティング等の反射防止コーティングで被覆できる。斜面232は、IR光40を垂直に光学素子230の凸面233に向かって反射するように構成できる。いくつかの実施形態において、斜面232は、光学アセンブリ250の光学的要件を満たすために45°より大きいか、それより小さい角度を有することができる。
【0125】
斜面232から反射された赤外光は凸面233に向かって反射される。凸面233は、IR光40を光ファイバ210の遠位面214に合焦させるように構成される。面233は、反射防止コーティング、例えば平面231の反射防止コーティングと同様または異なる反射防止コーティングで被覆できる。いくつかの実施形態において、面231は、光学アセンブリ250の光学的要件を満たすために、平坦、凹状とすることができ、または不規則な形状の面を含むことができる。
【0126】
光学アセンブリ250は、ある表面からの赤外光が集光される角度範囲を含む開口数を有する。光学アセンブリ250の開口数(NA)は、組織領域TAから光学アセンブリ250に入射し、ファイバ遠位端212を通過する最も急峻な光線の角度の正弦値であり、したがってそれを表す。NAはこの角度の正弦値と定義されるため、最も急峻な光線の角度は開口数の増大と共に大きくなる。組織領域内の特定の地点から集められたIR光40の量は光学アセンブリ250の開口数が増大すると大きくなる。一般に、集められるIR光40の量が増えると(例えばNAがより大きい)、光学アセンブリ250の信号対ノイズ比は改善される。ファイバ210は、ファイバ210のコアとクラッドの材料、特にこれらの材料の屈折率によって決定される固有の最大受入開口数を有する。ファイバ210にファイバ210の最大開口数より大きい角度で入射するIR光40は、ファイバ210によってセンサアセンブリ500に伝達されない。いくつかの実施形態において、ファイバ210の最大開口数は0.28であり、コア径は400マイクロメートルである。これらの実施形態において、光学アセンブリ250は、0〜0.28の範囲、例えば0.11〜0.14の開口数を有し、それによってファイバの最大開口数より小さくなる。
【0127】
平均温度は、組織領域TAについて集められたIR光40の量に基づいて計算することができる。この平均温度が、温度対二次元位置マップ(すなわち、複数の組織位置のマップ)として表示またはそれ以外に提示される用途において、光学アセンブリ250の各円錐投射の面積を使ってこのマップが作られ、わかっているか、それ以外に予測できなければならない。いくつかの実施形態において、測定される組織領域TAの各々までの距離OS1のばらつきを最小限とすることができ、他の実施形態では、測定される組織領域TAの各々までの距離OS1の変動をより大きくすることができる。
図3で後述するように、組織表面距離が比較的均一である用途のために、光学アセンブリ250aが、その被写界深度は最小であるが、光学アセンブリ250aの開口数がより大きく、光学的分解能がより高くなるように構成および配置される。
図4で後述するように、例えば組織表面の距離がより均一でない(例えば不均一な組織表面によって距離のばらつきがより大きい)用途のため、光学的アセンブリ250bがより大きい被写界深度を有するように構成および配置され、これは光学アセンブリ250bのより小さい開口数とより低い光学的分解能に対応する。
【0128】
ここで
図3を参照すると、本願の発明的概念と一致する、「近位置最適化型」光学システムの光学的概略図が示され、組織表面領域の断面図が含まれている。近位置最適化型光学アセンブリ250aは、光学アセンブリ250a開口数がより大きく、光学的分解能がより高くなるように最適化され、その結果、被写界深度はより浅い。これらの近位置最適化型の実施形態は、測定対象の複数の組織表面位置が光学素子230aの中心軸Aから限定的な距離範囲内にあることがわかっている、またはその可能性が高い場合に有益である。この最適化は、
図1に関して詳しく説明したように、温度対組織位置のマップの精度と空間分解能(例えば、ピクセル分解能)を改善するために使用できる。
【0129】
光学素子230aを含む光学アセンブリ250aは、前述のように、光学素子230aおよび/または光学素子230aを取り囲むウィンドウに近い短い焦点距離を有するように構成および配置される。この短い焦点距離によって、被写界深度が比較的浅くなる。いくつかの実施形態において、焦点距離(例えば、光学素子230aの中心軸から測定された距離)は1〜10mm、例えば1mm〜5mmの範囲、例えば約3.2mmとすることができ、集光される赤外光を発する、関係する組織の面積は0.5mm
2〜1.5mm
2の範囲とすることができる。可視光カメラでは、被写界深度は生成された画像が容認可能な程度で鮮鋭に見える距離の範囲と相関する。本発明による温度測定システムと装置においては、被写界深度は、集光される赤外光を発する組織領域が断面積の容認可能な範囲内、例えば温度データ収集のために有益で容認可能な空間分解能基準を満たすように選択された範囲内であるような焦点距離の周囲、その前、またはこれを超える距離範囲と相関する。被写界深度は光学構成部品230aの構成、ファイバ210の開口数、距離OS2に応じて変化する。いくつかの実施形態において、被写界深度は、最適焦点距離の周囲またはこれを超えて0.1〜15.0mm、例えば0.1mm〜1.0mmの範囲、例えば約0.5mmの被写界深度とすることができる。光学素子230aは集められた赤外光40を光ファイバ210の遠位面214に合焦させて、集められた光は本明細書に記載されているように、1つまたは複数のセンサ装置へと近位方向に進むことができる。
【0130】
いくつかの用途において、組織は、光学素子230aを包囲する赤外線透過管の外面、例えば
図1のウィンドウ115に、またはその付近に位置付けられる。包囲管に近接する組織にはしばしば、管より小さい、または比較的同等の径を有する体腔内にカテーテルが挿入される用途において、例えば体腔が結腸、尿道、およびこれらの組み合わせを含む場合に遭遇する。いくつかの実施形態において、体腔は食道を含むことができ、これは例えばシステムが心筋焼灼中に食道の温度をモニタするために使用される場合である。哺乳類の食道は、食道壁が管の周囲に倒れかかる可能性があるような特性を有する。これらの実施形態において、焦点距離は光学素子230aの中心軸と包囲管の外面との間の直交距離と略同じになるように選択でき、被写界深度は小さくなるように選択できる。
【0131】
光学アセンブリ250aにおいて、光学アセンブリ250aの焦点距離が光学素子230aの中心軸Aからの距離X1となるように光学素子230aが構成され、また光学分離距離(OS2)が選択される。光学アセンブリ250aの焦点距離X1の位置に領域TA1の断面図が示されており、これは直径Y1を有する。領域TA2の直径Y2は、図のように、組織から集光された赤外光の距離X2におけるコーンにより決まり、領域TA2は領域TA1よりかなり大きい。光学アセンブリ250aは焦点距離X1の付近に中心を置く、これに対応する被写界深度を画定する空間分解能基準(例えば空間精度基準)を有することができる。いくつかの実施形態において、距離X2は光学アセンブリ250aの焦点距離内にあり、それによってX1とX2の間の距離に位置付けられた組織が正確に測定される。他の実施形態において、距離X2は被写界深度の外にあり、正確な温度測定は適正な被写界深度(すなわち、X2より短い閾値距離で)行わなければならない。
図3の実施形態において、光学アセンブリ250の分解能に基づく被写界深度内にある組織位置の断面積は領域TA1と略同じ、例えばTA1の面積の0.01mm
2以内の面積とすることができる。被写界深度の外に位置付けられた組織位置、例えば図のTA2に関して、断面積は領域TA1より大きく、例えばTA1の面積より1mm
2以上大きい面積を有する。光学アセンブリ250aの1つの実施形態において、光ファイバ210は約400μmの直径のコアを有し、距離OS2の長さは約4.5mmであり、光学素子230aはセレン化亜鉛で作製され、レンズ面233aの凸面半径は約3mmである。この特定の実施形態において、焦点距離X1は約3.5mmと等しく、TA1の直径Y1は約0.4mmである(例えば、TA1の面積は約0.13mm
2である)。光学アセンブリ250aは、容認可能な被写界深度の中に7.5mmの距離に位置付けられた組織が含まれるような空間分解能基準を含むことができる(すなわち、直径が1mmより大きい組織領域)。あるいは、光学アセンブリ250aは、容認可能な被写界深度の中に直径約1mmの組織領域が含まれるような空間分解能基準を含むことができる(すなわち、距離X2に位置付けられた組織が含まれない被写界深度)。
【0132】
上述のように、近位置最適化型光学アセンブリ250aは、中心軸Aから比較的一定の距離にある組織領域に関する正確な温度測定を行うように構成および配置できる。光学アセンブリ250aは、その焦点距離X1からの容認可能な被写界深度を決定する空間分解能基準(例えば空間精度基準)を含むことができる。光学アセンブリ250aは、測定対象の組織が光学素子230aを包囲する赤外線透過管の外面、例えば
図1のウィンドウ115の付近に(例えば、管腔壁組織の付近またはそれと接触して)位置付けられている場合に利用できる。最大分解能は、これらの近い距離に位置付けられた組織表面において実現される。組織の位置の距離が長くなると空間精度が低下する。
【0133】
ここで、
図4を参照すると、本願の発明的概念と一致する「広範囲最適化型」光学システムの光学的概略図が示され、組織表面領域の断面図が含まれている。広範囲最適化型光学アセンブリ250bは、
図3の近位置最適化型光学アセンブリ250aより長い距離に位置付けられた、および/または(例えば中心軸Aからの)距離のばらつきがより大きい組織表面に関する正確な温度測定を行うために最適化されている。例えば、光学アセンブリ250bは、より大きな被写界深度について一定の分解能を提供し、および/またはシステムの焦点距離からより長い距離において、より正確な分解能を提供するように構成および配置できる。光学アセンブリ250bは、測定対象の複数の組織表面位置が光学素子230bの中心軸Aから広い範囲の距離の中にあることがわかっている、またはその可能性が高い場合に使用するために選択できる。この最適化は、
図1に関して詳しく説明したように、温度対組織位置のマップの精度を改善するために使用できる。
図4の広範囲最適化型光学アセンブリ250bで代償となるのは、最低温度測定面積が
図3の近位置最適化型光学アセンブリ250aのそれほど小さくないことである。換言すれば光学アセンブリ250bにより焦点距離における空間分解能が低下するのであるが、その空間分解能は焦点距離からはるかに広い範囲の距離についても合理的程度に一定である。
【0134】
光学素子230bを含む光学アセンブリ250bは、焦点距離がX3で、被写界深度が比較的長くなるように構成および配置される。いくつかの実施形態において、被写界深度は1.5mm〜10mmの範囲、例えば約7mmの被写界深度とすることができる。光学素子230bは、集められた赤外光40を光ファイバ210の遠位面214に合焦させ
集められた光は本明細書に記載されているように1つまたは複数のセンサ装置へと近位方向に進むことができる。
【0135】
いくつかの用途において、組織は光学素子230bを包囲する赤外線透過管、例えば
図1のウィンドウ115の近く、および遠くの両方に、および/またはそこから未知の距離に位置付けられる。包囲管から遠くに、および/または異なる距離に位置付けられる組織には、食道または胃等、より大きな体腔において遭遇する可能性がある。食道等の体腔内に位置付けられた時に、組織と包囲管との間の1つまたは複数の距離は未知であってもよい。これらの各種の用途のために、焦点距離は体腔の自然な、または弛緩した状態の半径と略同じになるように選択でき、その一方で、被写界深度は、体腔の半径のばらつき、または体腔内の装置の位置のばらつきと略同じになるように選択できる(例えば、管腔壁の円周に沿った1区間とは接触し、同時に、壁の、それと並ぶ円周に沿った区間からは比較的長い距離に位置付けられる)。いくつかの実施形態において、体腔は食道を含むことができ、これは例えばシステムが心筋焼灼中に食道の温度をモニタするために使用される場合、および食道壁が包囲管からの距離範囲内にあると仮定される場合である。例えば、食道壁の円周方向の1区間に当てて位置付けられた時(例えば、包囲管から0mmまたは光学素子230bの中心軸Aから約1.5mm)、食道壁の、それに並ぶ区間は、包囲管から0mm〜10mmmとすることができる。これらの実施形態において、最適な焦点距離は、包囲管の外面と組織表面からの最大想定距離との間の距離の半分と略同じになるように選択できる(例えば、0mm〜10mmの焦点距離)。被写界深度は、温度測定実行中に遭遇すると仮定または予想される距離範囲と略同じになるように構成できる。
【0136】
光学アセンブリ250bにおいて、光学素子230bは、光学アセンブリ250bの焦点距離が光学素子230bの中心軸Aからの距離X3であるように構成され、また光学的分離距離OS2が選択される。光学アセンブリ250bの焦点距離X3において、組織領域TA3の直径は直径Y3により表される。いくつかの実施形態において、距離X3(すなわち、焦点距離)は、4mm〜10mmの範囲、例えば約7mmとすることができ、組織領域TA3の直径Y3は0.5mm
2〜1.5mm
2の範囲とすることができる。距離X4の組織領域、すなわち領域TA4の断面図が
図4に示されている。光学アセンブリ250bの被写界深度内の組織位置は、領域TA3と略等しい断面積、例えばTA3の面積の0.2mm
2以内、0.1mm
2以内、または0.01mm
2以内の面積である。光学アセンブリ250bは深い被写界深度を有し、焦点距離から離れた適当な距離(光学アセンブリ250bの空間分解能基準により決定される)、例えば図のように距離X4に(または図示されていない包囲管により近い距離に)位置付けられた組織位置の断面積が領域TA3と略同じになるように、例えばTA3の面積の0.2mm
2以内の面積となる。
【0137】
光学アセンブリ250bの1つの実施形態において、光ファイバ210は約400μmの直径のコアを含み、距離OS2の長さは約4.2mmであり、光学素子230bはセレン化亜鉛からなり、レンズ面233bの凸面半径は約4mmである。この特定の実施形態において、焦点距離X3は7.5mmと略等しく、TA3の直径Y3は約1.0mmである(すなわち、領域TA3の面積は約0.79mm
2である)。光学アセンブリ250bは、容認可能な被写界深度に焦点距離X3の各側での最大距離内に、例えば焦点距離X3の各側で4mm以内に配置付けられた組織が含まれるような空間分解能基準(例えば、被写界深度8mm)を有することができる。
図4の広範囲最適化型の実施形態は、測定対象の組織が組織と光学素子230bとの間の広い範囲の距離にわたって位置付けられると予想される時に選択できる。
【0138】
ここで、
図5Aと5Bを参照すると、本願の発明的概念と一致するセンサアセンブリと回転アセンブリの、それぞれ斜視図と部分断面斜視図が示されている。回転アセンブリ660は、
図1に関して詳しく上述したように、ファイバアセンブリ200に動作的に接続される。
【0139】
回転アセンブリ660は、ファイバアセンブリ200を回転させるように構成されたモータ665を含む。回転アセンブリ660はファイバアセンブリ200を1000rpm〜15000rpmの範囲の速度、例えば4000〜8000rpmの速度、例えば約7260rmの速度で回転させることができる。各回転は、360°の完全回転または360°未満の部分回転、例えば180°または90°までの回転を含むことができる。
【0140】
いくつかの実施形態において、回転アセンブリ660は、 後述のような摩擦係合ベルト駆動式アセンブリでファイバアセンブリ200を回転させるように構成できる。ファイバアセンブリ200を回転させるには様々な構成を使用でき、例えばインラインまたは同軸駆動アセンブリ、磁界駆動アセンブリ、およびこれらの組み合わせである。
【0141】
図5Aと5Bの実施形態において、回転アセンブリ660は筐体661を含み、これは回転アセンブリ660の1つまたは複数の構成部品に取り付けられ、および/またはその相対位置を保持する。筐体661は、システム10のその他の構成部品、例えばセンサアセンブリ500および/または、本明細書に記載されているアセンブリ610のような平行移動アセンブリにさらに取り付けられ、および/またはその位置を保持することができる。回転アセンブリ660は、第一のプーリ666と、ベルト667と、トルクアセンブリ670と、第二のプーリ671と、をさらに含む。プーリ671は、トルクアセンブリ670内に組み込まれる。トルクアセンブリ670は、軸受672と、位置決めねじ673と、回転エンコーダ675と、回転エンコーダホイール675と、ファイバアセンブリ継手680と、をさらに含む。継手680は摩擦またはそれ以外に動作的にファイバアセンブリ200の近位部分に係合し、例えば回転力をファイバアセンブリ200のトルクシャフト205に伝える。継手680は、圧入、接着剤、またはその他を通じてファイバアセンブリ200に取り付けることができる。
【0142】
継手680は軸受672を介して筐体661に取り付けられる。軸受672は、筐体661内での継手680の位置を保持し、その一方で継手680がその中心軸の周囲で自由に回転できるようにする。軸受672は、継手680およびファイバアセンブリ200と同軸に構成される。プーリ671は継手680に固定して取り付けられて、回転力を継手680に伝える。プーリ671は、位置決めねじ673、接着剤、またはその他の1つまたは複数を介して継手680に固定して取り付けることができる。回転エンコーダホイール676は継手680および/またはプーリ671に固定して取り付けられる。回転エンコーダホイール676はその角度位置と速度を、それがファイバアセンブリ200の角度位置および速度とマッチし、ホイール676の位置を回転エンコーダ675によって決定でき、情報を
図1の信号プロセッサ400のような信号プロセッサに伝送できるように保持する。
【0143】
モータ665はプーリ666に固定して取り付けられ、それによってモータ665がプーリ666と、回転駆動ベルト667と、さらに回転プーリ671を回転させて、これが今度は、トルクアセンブリ670を回転させる。回転アセンブリ660は、調整アセンブリ、例えば少なくとも二次元調整機構、例えばX−Yテーブル690をさらに含む。X−Yテーブル690は、筐体661に固定して取り付けられるように、例えば筐体661を二次元空間内に位置付けるように構成できる。筐体661はトルクアセンブリ670に固定して取り付けられ、それによってX−Yテーブル690は、光ファイバ210の近位面をセンサアセンブリ500と整合させることができる。X−Yテーブル690は、第一の調整ねじ691と第二の調整ねじ692と、を含み、第一の調整ねじ691が第一の次元における調整を行い、第二の調整ねじ692が第一の方向に直交する第二の次元における調整を行う。調整ねじ691と692を使って、光ファイバ210の近位面を中央に置き、赤外光がセンサアセンブリ500によって適正に集光されるようにすることができ、これについては
図7に関して後述する。
【0144】
ここで、
図6を参照すると、本願の発明的概念と一致する平行移動アセンブリの斜視図が示されている。平行移動アセンブリ610は、モータ615と、ドライブスクリュー620と、平行移動かご625と、ガイド628と、リニアエンコーダ630と、を含む。モータ615はドライブスクリュー620を回転させて、ドライブスクリュー620がかご625を近位側と遠位側に平行移動させる。
図6の実施形態において、ドライブスクリュー620は、例えばベイトキャスティングフィッシングリールのラインガイドの構成部品として一般的に使用されているようなヤンキースクリューを含む。この構成によって、モータ615が一定の速度で単独の回転方向に回転すると、かご625の速度が比較的一定となる。かご625の内部の歯車によって、かご625はドライブスクリュー620の一方の端へと平行移動でき、そこで内部歯車が位置を切り替え、かご625は反対方向に、スクリュー620のもう一方の端へと平行移動し、そこで歯車は当初の方向へと再び切り替わる。この構成では、かご625の線形速度が比較的一定であることに加え、毎回の平行移動終了時の方向反転が比較的瞬時に実行される。他の実施形態において、ドライブスクリュー620はウォームドライブを含み、移動方向はモータ615の回転方向に依存する。
【0145】
案内要素628はかご625を線形に案内し、625はドライブスクリュー620の周囲で回転しないようになっている。案内要素628はリニアエンコーダ630を含み、これはかご625の線形位置を決定し、
図1の信号プロセッサ400のような信号プロセッサに位置情報を送るように構成される。かご625は軸受626を含み、これは継手627をかご625に固定して取り付けるように構成され、継手627はかご625と共に平行移動する。継手627は、ファイバアセンブリ200に固定して取り付けられるように構成され、継手627は直線移動の力をファイバアセンブリ200に伝える。これに加えて、継手627は、ファイバアセンブリ200が
図5Aと5Bに関して上述した回転アセンブリ660によって回転させられると、ファイバアセンブリ200と共に回転する。
【0146】
平行移動アセンブリ610は、筐体611a、611b、611c(概して611)をさらに含む。筐体611は、平行移動アセンブリ610の1つまたは複数の構成部品に取り付けられ、および/またはその相対位置を維持する。筐体611はさらに、システム10のその他の構成部品、例えば本明細書に記載されているセンサアセンブリ500または回転アセンブリ660に取り付けられ、および/またはその位置を維持することができる。筐体611cは、プローブ100のシャフト110の近位端に固定して取り付けられ、シャフト110がシステム10に関して平行移動せず、ファイバアセンブリ200がシャフト110のルーメン内で平行移動するように構成される。
【0147】
ここで
図7を参照すると、本願の発明的概念と一致する、センサアセンブリに近接した状態の光学アセンブリの光学的概略図が示されている。いくつかの実施形態において、光学アセンブリ520はセンサアセンブリ、例えば本願に記載されているセンサアセンブリ500の中に含めることができる。光学アセンブリ520は、赤外光等の光を合焦し、分割し、フィルタ処理し、フィルタ処理せずに透過させ(例えば通過させ)、増幅し、屈折させ、反射し、偏光し、またはそれ以外に扱うように構成された各種の光学構成部品を含むことができる。一般的な光学構成部品は、光ファイバ、レンズ、ミラー、フィルタ、プリズム、増幅器、屈折媒体、スプリッタ、偏光板、開口およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。光学アセンブリ520は、本明細書に記載されているようにファイバ210から受け取ったIR光40を合焦させるように構築される。光学アセンブリ520はレンズ521と、光学ウィンドウ522と、フィルタ523と、開口524と、イマージョンレンズ526と、を含む。アセンブリ520の何れかの、またはすべての構成部品は、センサ検出器筐体501等の筐体内に格納できる。検出器筐体501は、スターリングクーラで冷却された筐体等の冷却筐体とすることができる。光学アセンブリ520の構成部品は、本明細書に記載されているように6〜15マイクロメートルの波長範囲の赤外光、例えば8〜11マイクロメートルの波長範囲の光を通過させるように構成された(例えば、これに対して比較的透過性の)材料等、光ファイバ210の材料と同様または異なる材料を含むことができる。アセンブリ520の1つまたは複数の構成部品は、
図1に関して上述したような反射防止コーティングを含むことができる。
【0148】
組織領域の表面から集められたIR光40は、IR光40を検出器510に向かって合焦させるように構成された焦点レンズ521を通過する。検出器510は受光面、すなわち受光面511を含み、その参照番号は明瞭にするために
図7では示されていないが、以下の
図8Aと8Bには含められている。ファイバ210は焦点レンズ521から物理的ギャップである距離D1によって分離される。D1は、使用中または製造工程中に変化させて、例えば光学アセンブリ520全体にわたるIR光40の倍率を設定することができる。IR光40はすると、光学ウィンドウ522、すなわち検出器筐体501のシール材(例えば、検出器筐体501の中の構成部品を深い位置まで冷却できるようにするシール材)を提供する構成部品を通過する。光学ウィンドウ522は、IR光40が検出器筐体501を通過できるように構成された平型またはウェッジウィンドウ、フィルタ、またはレンズ等の光学構成部品を含むことができる。アセンブリ520のいくつかまたはすべての構成部品は、IR検出器510を含む検出器筐体501の中に収容でき、これは例えば検出器筐体501が冷却筐体を含み、収容された構成部品が検出器筐体501内の温度まで冷却される時等である。検出器筐体501の中の構成部品を冷却することにより、構成部品によって発せられた赤外光の量を最小化し、それゆえ、システムの信号対ノイズ比が大きくなる。いくつかの実施形態において、検出器筐体501の中の構成部品はケルビン度で約77度まで冷却される。フィルタ523は、IR光40、例えば8〜11マイクロメートルの波長を有する赤外光を通過させるように構成された光フィルタを含む。それ以外の波長はすべてフィルタ523によって遮断され、または部分的に遮断され、システムの信号対ノイズ比が大きくなる。
【0149】
アセンブリ520は、コールドストップ、すなわち所望の視界の外からの赤外光を遮断して検出器510に到達させないように構成された開口524をさらに含む。イマージョンレンズ526はさらに、IR光40を検出器510の面に合焦させる。イマージョンレンズ526によって、光学アセンブリ520にはシステムの全体の長さを増大させずに、検出器510のより小さい受光面を取り入れることができる。検出器510の受光面の面積を縮小することにより、信号対ノイズ比および/または時間的性能が改善される(例えば応答速度がより速くなる)。さらに、検出器510の形状をファイバ210のコアの形状(例えば丸または正方形)に最適にマッチさせることにより、例えばIR光40を受け取る可能性のない検出器510の面積を最小化することができる。検出器510の面に向かって発せられるIR光40は、
図1に関して前述したように電圧信号に変換でき、温度値対組織領域位置の表に変換でき、これは本明細書に記載されているように温度マップとして表示できる。いくつかの実施形態において、電圧信号は検出器510によって受け取られたIR光40の変化を表す(すなわち、差分信号)。
【0150】
図7の光路は、IR光40を検出器510の受光面の比較的全体に、「オーバーフィル」条件で、または「アンダーフィル」条件で入射させるように構成および配置することができ、これについてはそれぞれ
図8Aと8Bに関して後述する。
【0151】
図8Aは、本願の発明的概念と一致する、検出器をオーバーフィルの状態にする場合の、検出器に向かって合焦される赤外光の投射を示す赤外線検出器の光学的概略図である。検出器510は、上述の
図7の検出器510と同様とすることができ、赤外光を受けるように構成および配置された受光面511を含み、それによって検出器510は受け取った赤外光を信号に変換できる。赤外光40は、例えば
図7の光学アセンブリ520等の光学アセンブリによって、検出器510に向かって合焦された赤外光の投射を表すことができる。図の実施形態において、検出器510は「オーバーフィル」の状態であり、受け取った赤外光(例えば、
図7のファイバ210から受け取った光)の投射が検出器510の受光面511を完全に覆い、おそらくそれを超える範囲にわたる。IR光40、40’、40’’は、(例えば、
図7の光学アセンブリ520から得られる倍率により)表面511より大きい断面積を有する投射を表す。IR光40は表面511について比較的中央に位置付けられる。IR光40’と40’’は、その中央に置かれた位置から離れる光40の推移、例えば1つまたは複数の光学構成部品の静的アラインメントまたはミスアラインメント、光ファイバまたはシステムのその他の回転構成部品の不規則的回転、またはその他の原因のうちの1つまたは複数により生じる推移を表すことができる。
【0152】
図8Bは、本願の発明的概念と一致する、検出器をアンダーフィルの状態にする場合の、検出器に向かって合焦される赤外光の投射を示す赤外線検出器の光学的概略図である。検出器510は、上述の
図7の検出器510と同様とすることができる。IR光40は例えば、
図7の光学アセンブリ520等の光学アセンブリによって、(例えば、
図7のファイバ210等のファイバから)検出器510に向かって合焦される赤外光の投射を表すことができる。図の実施形態において、検出器510は「アンダーフィル」の状態であり、受け取った赤外光の投射は、検出器510の受光面511を部分的に覆う。IR光40、40’、40’’は、(例えば、
図7の光学アセンブリ520から得られる倍率により)表面511より小さい断面積を有する投射を表す。IR光40は、面511に関して比較的中央に置かれる。IR光40’と40’’は、その中央に置かれた位置から離れるIR光40の推移、例えば1つまたは複数の光学構成部品の静的アラインメントまたはミスアラインメント、光ファイバまたはシステムのその他の回転構成部品の不規則的回転、またはその他の原因のうちの1つまたは複数により生じる推移を表すことができる。いくつかの実施形態において、近位側光学アセンブリ(例えば、
図7の光学アセンブリ520)は、IR光40の全ての予想される推移(例えば、IR光40’と40’’)が表面511により十分に受け取られる(例えば、それを超えない)ように構成および配置できる。
【0153】
いくつかの実施形態においては、
図8Aのオーバーフィル方式を選択することにより、ファイバ210の近位端以外の物体または表面から発せられた赤外光が面511によって受け取られるのを最小化し、ファイバ210の近位端から発せられた光を面511へと、および/またはそこから移動させうるミスアラインメント、不均一な回転またはその他の異常から生じるエラーを最小化し、およびこれらの組み合わせが行われるようにする。他の実施形態において、
図8Bのアンダーフィル設計を選択することにより、ファイバ210の近位端から発せられ、面511により受け取られる光の量を最大化する。いくつかの実施形態において、光学的アセンブリ520は、面511に投射された光の大きさが面511の大きさに比較的マッチするように、検出器510を比較的完全に「満たす」ように構成および配置される。いくつかの実施形態において、本願の発明的概念のシステムは、オペレータが、例えば前述のように光学アセンブリ520の倍率を調整することによって、面511が受け取る赤外光がどれだけその面を満たすか、またはオーバーフィルの状態にするかの量を変化させることができるように構成および配置される。
【0154】
図8Aと8Bの実施形態において、検出器510の受光面511は正方形の赤外光受光面を含む。他の実施形態において、面511は、円形、楕円形、長方形、台形、三角形、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される形状の表面を含むことができる。いくつかの実施形態において、受光面511は、光ファイバ(例えば、
図7の光ファイバ210)の断面形状またはレンズ(例えば
図7の焦点レンズ521)からの赤外光の投射の形状等、システムの光学構成部品とマッチするように構成された形状を含む。いくつかの実施形態において、光学アセンブリ520は、例えば面511がそれぞれ円形、楕円形、長方形、または正方形のパターンを含む時に、IR光40を面511に円形、楕円形、長方形、または正方形のバターンで投射するように構成および配置される。
【0155】
装置と方法の好ましい実施形態をそれらが開発された時の環境に関して説明したが、これらは単に発明的概念の原理を説明しているにすぎない。発明的概念を実施するための上述のアセンブリ、その他の実施形態、構成、方法の、当業者にとって明白な改良や組み合わせ、および発明的概念の態様の変更は特許請求の範囲に含まれるものとする。これに加えて、本願では方法または手順のステップを特定の順序で挙げたが、いくつかのステップの実行順序を変えることも可能であり、または特定の状況の下ではそのほうが好都合であるかもしれず、後述の特許請求の範囲の方法または手順の具体的なステップは特許請求の範囲内で明確に特定の順序が明記されていないかぎり、順序が特定されるとは解釈されないものとする。