特許第6273368号(P6273368)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6273368建築材料用コーティング組成物及び被コーティング建築材料基材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6273368
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】建築材料用コーティング組成物及び被コーティング建築材料基材
(51)【国際特許分類】
   C09D 109/06 20060101AFI20180122BHJP
   C09D 125/10 20060101ALI20180122BHJP
   C09D 7/40 20180101ALI20180122BHJP
   C09D 5/02 20060101ALI20180122BHJP
   C09D 129/04 20060101ALI20180122BHJP
   C09D 133/02 20060101ALI20180122BHJP
   E04B 1/64 20060101ALI20180122BHJP
   B32B 13/12 20060101ALI20180122BHJP
   B32B 27/10 20060101ALI20180122BHJP
   B32B 27/12 20060101ALI20180122BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20180122BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20180122BHJP
【FI】
   C09D109/06
   C09D125/10
   C09D7/12
   C09D5/02
   C09D129/04
   C09D133/02
   E04B1/64 D
   B32B13/12
   B32B27/10
   B32B27/12
   B32B27/30 A
   B32B27/32 Z
【請求項の数】13
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-541334(P2016-541334)
(86)(22)【出願日】2014年12月19日
(65)【公表番号】特表2017-509724(P2017-509724A)
(43)【公表日】2017年4月6日
(86)【国際出願番号】US2014071652
(87)【国際公開番号】WO2015095786
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2016年7月13日
(31)【優先権主張番号】61/918,521
(32)【優先日】2013年12月19日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/094,534
(32)【優先日】2014年12月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506207358
【氏名又は名称】サートゥンティード コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100188857
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 智文
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・エイチ・ピート
(72)【発明者】
【氏名】サム・ユアン
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー・ジェイ・クーガン
【審査官】 櫛引 智子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−019295(JP,A)
【文献】 特開2000−220094(JP,A)
【文献】 特表2001−511835(JP,A)
【文献】 特開2009−274287(JP,A)
【文献】 特開2000−303026(JP,A)
【文献】 特開平09−021096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 5/00−7/14
C09D 101/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バリア層へと硬化した際に湿度に応じて水蒸気を選択的に凝結遅延するように適合されたコーティング組成物であって、該組成物が
a.0〜20%の%カルボキシル化を有するスチレンブタジエンラテックスを含む疎水性成分;
b.ポリビニルアルコール及びポリアクリル酸ナトリウムから選択されるポリマーと、カオリン粘土から選択される親水性フィラーとを含む親水性成分;
を含み、
前記コーティング組成物が硬化すると、前記コーティング組成物が、ASTM E96に従って21℃で試験した場合、及びクラフト紙上に前記組成物をコーティングし硬化して試験した場合に、25%平均RHにおいてパーム(perm)以下かつ95%平均相対湿度において5パーム(perm)以上である可変な透湿度を提供するのに有効であるコーティング組成物。
【請求項2】
前記コーティング組成物が硬化すると、前記コーティング組成物が、ASTM E96に従って21℃で試験した場合、及びクラフト紙上に前記組成物をコーティングし硬化して試験した場合に、45%平均RHにおける2.5パーム(perm)以下の透湿度と、75%平均RHにおける6〜12パーム(perm)の透湿度とを提供するのに有効である請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記疎水性成分が−30℃〜0℃のガラス転移温度を有する請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記疎水性成分が、前記疎水性成分及び前記親水性成分の合計乾燥重量に基づき、35〜97重量%の量で存在する請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記親水性成分の前記ポリマーが、50000以上かつ300000以下の重量平均分子量を有する請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項6】
湿度に応じて水蒸気を選択的に凝結遅延するように適合された物品であって、該物品が
a.建築材料基材;及び
b.該建築材料基材上に配置されたバリア層
を含み、該バリア層が、請求項1〜5のいずれかに記載のコーティング組成物を硬化することによって得られる前記物品。
【請求項7】
前記物品が、ASTM E96に従って21℃で試験した場合、45%平均RHにおける.5パーム(perm)以下の透湿度と、75%平均RHにおける6〜12パーム(perm)の透湿度とを有する請求項6記載の物品。
【請求項8】
前記基材がクラフト紙外装材、スクリム、ポリマーシート、石膏ウォールボード、またはそれらの組合せを含む請求項6記載の物品。
【請求項9】
前記基材が、ガラスファイバー断熱材に付けられたクラフト紙を含む請求項6記載の物品。
【請求項10】
前記基材が織物材料または不織材料を含む請求項6記載の物品。
【請求項11】
前記基材が、スパンボンド布またはポイントボンド布を含む不織材料を含む請求項10記載の物品。
【請求項12】
前記基材が石膏ボードを含む請求項6記載の物品。
【請求項13】
前記バリア層が、20gsm以上のコーティング重量を有する請求項6記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、建築材料用コーティングに関する。より詳細には、本明細書において記載される特定の実施形態は、相対湿度(RH)に応じて可変の水蒸気パーミアンス値を有する被コーティング基材を提供するのに有効なコーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
建築材料は、所望の物理特性を提供するため、建築材料に付けられた膜または表面材料を含むことができる。その膜または表面材料は、典型的には石油製品を含み、その結果、調製中及び/または材料使用中に、かなりの揮発性有機化合物(VOCs)が気体放出され得る。
【0003】
現在入手可能な製品は、低相対湿度で望ましい水蒸気パーミアンスを維持する能力に劣っている。さらには、現在のコーティング調合物は、多孔性不織布等の多孔性基材で使用することができない。したがって、特に低相対湿度で望ましい水蒸気パーミアンスを提供しながら、例えば多孔性基材、特に多孔性不織布基材等の多様な異なる基材で使用することができる新しいコーティング組成物を提供するには、革新的な解決が必要である。
【図面の簡単な説明】
【0004】
特定の実施形態は、添付の図面を参照しながら説明されている。図面は、以下のとおりである。
図1図1は、本開示の一実施形態の被コーティング基材を示している。
図2図2は、コーティングが基材へ特定の深さに浸透している、本開示の一実施形態の被コーティング基材を示している。
図3図3は、実施例3の粘度測定のグラフを示している。
【0005】
本開示の利点を考えて、図面における特定の寸法または特徴は、拡大、変形されていてもよく、または別の非慣習的方法もしくは非比例方法で示されていてもよく、それにより使用者にわかりやすい様式の図面が提供されてもよいことが当業者に認識されるであろう。以下の記載において、寸法または値が明記されている場合、その寸法または値は、単に説明目的のみで提供されている。前方、後方、上部及び下部への参照は、例示目的で提供されており、限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0006】
概して本開示は、建築材料基材用コーティング組成物と、硬化した際に湿度に応じて水蒸気を選択的に凝結遅延することができる被コーティング基材とに関する。これらの概念は、前の記載を考慮することにより、より理解されよう。
【0007】
コーティング組成物は概して、疎水性成分と、親水性成分とを含むことができる。
【0008】
特定の実施形態においては、疎水性成分は、非水溶性ポリマーを含むことができる。
【0009】
特定の実施形態においては、非水溶性ポリマーは、非水溶性ポリマーが水中で分散しているような水性分散体としてコーティング組成物に与えることができる。
【0010】
さらに特定の実施形態においては、疎水性成分は、ラテックスを含むことができる。例えばラテックスは、スチレンブタジエン、スチレンアクリル、アクリル、酢酸ビニルエチレン、塩化ビニリデン、ポリエチレン、ワックス、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリプロピレン、ブタジエンまたはそれらの組合せのラテックスを含むことができる。さらに特定の実施形態においては、疎水性成分は、スチレンブタジエンラテックスを含むことができる。
【0011】
特定の実施形態においては、疎水性成分は、その%カルボキシル化によって説明することができる。%カルボキシル化は、ポリマー骨格中のカルボン酸モノマーの重量パーセントを意味する。したがって特定の実施形態においては、疎水性成分は、本質的に0%、約0.1%以上、約0.5%以上、またはさらには約1%以上の%カルボキシル化を有することができる。さらなる実施形態においては、疎水性成分は、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、またはさらには約3%以下の%カルボキシル化を有することができる。さらに、疎水性成分は、上で与えられた最小値と最大値のいずれかの範囲、例えば0%〜20%、0.1%〜15%、0.5%〜10%、またはさらには1%〜8%といった範囲の%カルボキシル化を有することができる。さらに特定の実施形態においては、疎水性成分は、約0%の%カルボキシル化を有することができ、この場合、疎水性成分は、ポリマー骨格中にカルボン酸モノマーを本質的に含まない。
【0012】
上記の%カルボキシル化の特定の利点は、相対湿度に応じた優れたパーミアンスを、疎水性成分と組み合わせて得るのに有利であると示されている。理論によって束縛されることを望むものではないが、ラテックスでは、カルボキシル化レベルが高いと、中程度の相対湿度において水蒸気パーミアンスが高すぎる傾向があると考えられている。
【0013】
特定の実施形態においては、疎水性成分は、そのガラス転移温度(Tg)によって説明することができる。本明細書において使用する場合、疎水性成分のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定または動的機械分析に従って測定する。したがって特定の実施形態においては、疎水性成分は、約−50℃以上、約−40℃以上、またはさらには約−30℃以上のガラス転移温度(Tg)を有することができる。さらなる実施形態においては、疎水性成分は、約35℃以下、約25℃以下、約25℃以下、またはさらには約15℃以下のガラス転移温度(Tg)を有することができる。さらに、疎水性成分は、上で与えられた最小値と最大値のいずれかの範囲、例えば−30〜25℃、−30〜15℃、またはさらには−30〜0℃といった範囲のガラス転移温度を有することができる。
【0014】
特定の実施形態においては、疎水性成分は、バリア層の疎水性成分及び親水性成分の合計乾燥重量に基づき、約15重量%以上、約25重量%以上、約35重量%以上、またはさらには約45重量%以上の量で組成物中またはバリア層中に存在することができる。さらなるの実施形態においては、疎水性成分は、バリア層の疎水性成分及び親水性成分の合計乾燥重量に基づき、約99重量%以下、約98重量%以下、またはさらには約97重量%以下の量で組成物中またはバリア層中に存在することができる。さらに、疎水性成分は、上で与えられた最小値と最大値のいずれかの範囲、例えばバリア層の疎水性成分及び親水性成分の合計乾燥重量に基づき、15〜99重量%、25〜98重量%、またはさらには35〜97重量%の範囲の、組成物中またはバリア層中の含有量を有することができる。
【0015】
上述のように、特定の実施形態においては、組成物は、疎水性成分に加えて親水性成分を含むことができる。親水性成分は、高相対湿度で、水分を吸収して組成物のパーミアンスを増加させる役割を果たすことができる。
【0016】
特定の実施形態においては、親水性成分は、架橋無しで水溶性であるポリマーを含むことができる。
【0017】
特定の実施形態においては、親水性成分は、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ(ビニルピロリドン)、デンプン、セルロース、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸、高カルボキシル化ラテックス、アミン、ポリエチレンオキシド、ビニルエーテル、高加水分解ポリマー(例えば、加水分解した無水マレイン酸)、多糖類、またはそれらの組合せを含むことができる。さらに特定の実施形態においては、親水性成分は、ポリビニルアルコール(PVOH)またはポリアクリル酸ナトリウムを含むことができる。
【0018】
特定の実施形態においては、組成物は、1種よりも多い親水性成分を含むことができる。例えば以下でより詳しく議論するように、組成物は、PVOH等の上述の親水性成分の選択項目の代わりに、またはそれらに加えて、親水性充填剤を含むことができる。特定の実施形態においては、親水性充填剤は、カオリン等の無機親水性充填剤であることができる。
【0019】
特定の実施形態においては、親水性成分は、その%水吸収によって説明することができる。本明細書において使用する場合、%水吸収は重量測定法によって測定し、それは当技術分野においてよく理解されている。水吸収のパーセントは、相対湿度に対するパーミアンスの関係を増加させるが、水吸収のパーセントが高すぎる場合、親水性成分が溶けやすくなり、膜を不安定化させる可能性がある。
【0020】
特定の実施形態においては、親水性成分は、相対湿度100%及び23℃で測定した場合に、約0.5%以上、約2%以上、約5%以上、またはさらには約7%以上のパーセント水吸収を有するポリマーを含むことができる。さらなる実施形態においては、親水性成分は、相対湿度100%及び25℃で測定した場合に、約20%以下、約15%以下、またはさらには約10%以下のパーセント水吸収を有するポリマーを含むことができる。さらに、親水性成分は、上で与えられた最小値と最大値のいずれかの範囲、例えば約0.5%〜約20%、またはさらには約7%〜約10%といった範囲のパーセント水吸収を有することができる。
【0021】
特定の実施形態においては、親水性成分は、その分子量によって説明することができる。高温でのみ可溶な高分子量材料を使用することにより、親水性成分の低温での溶解を防ぐことができる。
【0022】
特定の実施形態においては、親水性成分は、約50000以上の重量平均分子量を有することができる。さらなる実施形態においては、親水性成分は、約300000以下の分子量を有することができる。さらに、親水性成分は、上で与えられた最小値と最大値のいずれかの範囲、例えば50000〜300000といった範囲の分子量を有することができる。
【0023】
特定の実施形態においては、親水性成分は、疎水性成分及び親水性成分の合計乾燥重量に基づき、約0.1重量%以上、約0.5重量%以上、またはさらには約1重量%以上の量で組成物中またはバリア層中に存在することができる。さらなる実施形態においては、親水性成分は、疎水性成分及び親水性成分の合計乾燥重量に基づき、約40重量%以下、約30重量%以下、約25重量%以下、約20重量%以下、約15重量%以下、約10重量%以下、またはさらには約8重量%以下の量で組成物中またはバリア層中に存在することができる。さらに、親水性成分は、上で与えられた最小値と最大値のいずれかの範囲、例えば、疎水性成分及び親水性成分の合計乾燥重量に基づき、0.1〜35重量%、またはさらには1〜15重量%といった範囲の量で、組成物中またはバリア層中に存在することができる。
【0024】
特定の実施形態においては、組成物は任意に、無機充填剤、粘度調節剤、顔料、色素、紫外線吸収剤、滑剤、界面活性剤、殺生物剤、消泡剤、脱泡剤、またはそれらの組合せといった、所望の添加物成分をさらに含むことができる。
【0025】
特定の実施形態においては、組成物は充填剤を含むことができる。さらに特定の実施形態においては、組成物は、充填剤のおよそ限界顔料体積濃度以下の充填剤含有量を有することができる。例えば、充填剤の限界顔料体積濃度は、その濃度より大きい濃度では結合剤が顔料粒子間の空隙を完全に占有しない濃度である。例えば、限界顔料体積濃度は、顔料の吸油により測定することができる。CPVCは、20〜68体積パーセントで変化することができるが、その値は一般に50〜55%付近の値である。
【0026】
特定の実施形態においては、充填剤は、粘土、モンモリロナイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、白雲母、イライト、クーク石、カオリナイト、緑泥石、または他の充填剤材料を含むことができる。充填剤は、無機材料、有機材料、またはそれらの組合せを含んでもよい。具体的な充填剤は、カオリン粘土、CaCO、CaSO、BaSO、シリカ、タルク、カーボンブラック、珪藻土、アルミナ、チタニア、またはそれらの組合せを含むことができる。いくつかの好ましい実施形態においては、カオリン粘土等の板状形態を有する充填剤は、相対湿度に対するパーミアンスの関係の傾きを増加させることができる。これは膜のねじれの増加に起因しており、コーティングをより薄く塗布することを可能にし、コーティングが優れた特性を有することが可能になる。いくつかの例においては、充填剤は、硬化コーティングの強化を提供してもよく、硬化コーティングで難燃性を提供してもよく、硬化組成物の物理特性を改良してもよく(例えば、充填剤無しの硬化組成物の線熱膨張率(CLTE)と比較して、CLTEを減少させる)、または他の所望の特徴を提供してもよい(例えば、組成物の全体的な粘度を増加させて、基材上でより均一なコーティングを促進してもよい)。市販の充填剤の実例としては、Southern Clay Products, Inc.から入手可能なBentolite(登録商標)、Cloisite(登録商標)、Nanofil(登録商標)、Nanothix(登録商標)、及びPermont(登録商標)充填剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
特定の実施形態においては、充填剤は、組成物またはバリア層の合計乾燥重量に基づき、0〜85重量%の範囲で組成物中に存在することができる。
【0028】
特定の例においては、分散体は、1種以上の殺生剤を含むことができる。殺生剤は、コーティング及び/または基材表面上での生物の増殖を阻止または防止するのに効果的であることができる。いくつかの実施形態においては、殺生剤は、殺カビ剤等の殺菌剤として、基材表面上のカビまたは他の菌類の増殖を防止するのに効果的であることができる。他の実施形態においては、殺生剤は、基材表面上の細菌類、蘚類、藻類、または他の生物の増殖を防止するのに効果的であることができる。殺生剤が存在する場合は、生物の増殖阻止または増殖防止に有効な量で存在してもよい。
【0029】
いくつかの実施形態においては、分散体は、耐汚染性添加剤を含むことができる。いくつかの実施形態においては、耐汚染性添加剤は、コーティング中に材料が吸収されることを減少させるかまたは妨げるよう作用することができ、概して、水及び気体以外の材料の浸透からコーティングを封じることを助けることができる。例えば、耐汚染性添加剤は、耐油性または撥油性を付与して非極性化学種がコーティング中に閉じ込められることを妨げることができる。耐汚染性添加剤は、熱、紫外光または他のエネルギー形態に曝された際のコーティングの退色を抑制してもよい。耐汚染性添加剤の実例は、例えば3Mから市販されているもの(例えばSRC−220、PM−5000、PM−1680、PM−4800)及びAkzoNobelから市販されているもの(例えばElotex(登録商標)耐汚染性添加剤)である。
【0030】
全体として組成物を説明すると、組成物は、親水性成分に対する疎水性成分の特定の重量%比を有することができる。例えば特定の実施形態においては、親水性成分に対する疎水性成分の体積%比は、約3:1以上、約10:1以上、またはさらには約30:1以上であることができる。さらなる実施形態においては、親水性成分に対する疎水性成分の体積%比は、約200:1以下、またはさらには約100:1以下であることができる。さらに、親水性成分に対する疎水性成分の体積%比は、上で与えられた最小値と最大値のいずれかの範囲内、例えば約2:1〜約200:1といった範囲内であることができる。
【0031】
組成物は、望ましい粘度を有することもできる。例えば特定の実施形態においては、組成物は、せん断速度1s−1及び温度21℃において、約1000cps以上の粘度を有することができる。さらなる実施形態においては、組成物は、せん断速度1000s−1及び温度21℃において、約1000cps以下の粘度を有することができる。さらに、組成物は、せん断速度1s−1及び温度21℃において、約5000cps以上の粘度を有することができ、せん断速度1000s−1及び温度21℃において、約1000cps以下の粘度を有することができる。
【0032】
組成物は、硬化後の特性によって説明することもできる。本明細書において使用する場合、硬化組成物はバリア層を指す。特定の実施形態においては、バリア層は特定のコーティング重量を有することができる。例えばバリア層は、約10gsm以上、約20gsm以上、またはさらには約40gsm以上のコーティング重量を有することができる。さらなる実施形態においては、バリア層は、約120gsm以下のコーティング重量を有することができる。さらに、バリア層は、上で与えられた最小値と最大値のいずれかの範囲、例えば約10gsm〜約120gsm、またはさらには約40gsm〜約100gsmといった範囲のコーティング重量を有することができる。
【0033】
組成物を塗布し硬化すると、組成物は相対湿度に応じて可変の透湿度を有することができる。本明細書において論じる場合、透湿度は、ASTM E96に従って、選択した平均相対湿度(RH)値において温度21℃で測定することができる。透湿度は、材料を通り抜けることができる水蒸気量の尺度である。硬化組成物の特性の説明に使用する場合、透湿度は、組成物をポイントボンド・ポリプロピレン不織布基材上にコーティング重量75gsmでコーティングし、組成物を硬化して測定する。このように、可変の透湿度は、比較及び評価のため、特定基材に標準化することができる。次いで透湿度を、ASTM E96に従って、異なる相対湿度において温度21℃で測定する。したがって特定の実施形態においては、組成物を基材上に塗布して硬化後に組成物が相対湿度に応じて可変の透湿度を有するよう、組成物を適合させることができる。
【0034】
特定の実施形態においては、組成物は、低相対湿度、中相対湿度、及び高相対湿度において望ましい透湿度を示すことができる。
【0035】
例えば特定の実施形態においては、組成物は、25%平均RHにおいて1パーム(perm)以下の透湿度を有することができる。
【0036】
さらなる実施形態においては、組成物は、45%平均RHにおいて5パーム(perm)以下、またはさらには2.5パーム(perm)以下の透湿度を有することができる。特定の実施形態においては、組成物は、45%平均RHにおいて、2.5パーム(perm)以下の透湿度を有することができる。
【0037】
さらなる実施形態においては、組成物は、75%平均RHにおいて、6パーム(perm)〜12パーム(perm)の範囲の透湿度を有することができる。
【0038】
さらなる実施形態においては、組成物は、95%平均RHにおいて、約12パーム(perm)以上、約15パーム(perm)以上、またはさらには約20パーム(perm)以上の透湿度を有することができる。特定の実施形態においては、組成物は、95%平均RHにおいて、約20パーム(perm)以上の透湿度を有することができる。
【0039】
コーティング組成物は、上で与えられた異なる相対湿度における透湿度の様々な組合せをさらに有することができる。
【0040】
例えば特定の実施形態においては、組成物は、25%平均RHにおける約1パーム(perm)以下の透湿度と;95%平均RHにおける約20パーム(perm)以上の透湿度とを有することができる。
【0041】
さらなる実施形態においては、組成物は、25%平均RHにおける約1パーム(perm)以下の透湿度と;95%平均RHにおける約20パーム(perm)以上の透湿度と;45%平均RHにおける5パーム(perm)以下、またはさらには2.5パーム(perm)以下の透湿度とを有することができる。
【0042】
さらなる実施形態においては、組成物は、25%平均RHにおける約1パーム(perm)以下の透湿度と;95%平均RHにおける約20パーム(perm)以上の透湿度と;45%平均RHにおける5パーム(perm)以下、またはさらには2.5パーム(perm)以下の透湿度と;75%平均RHにおける6パーム(perm)〜12パーム(perm)の範囲の透湿度とを有することができる。
【0043】
上で記載した異なる相対湿度における透湿度の組合せは例示的な組合せであり、上で記載した組成物における透湿度の可能な全組合せが本開示の範囲内であることを理解する必要がある。
【0044】
コーティングが、異なるRH値において上で述べた透湿度を示す場合、湿度増加に伴う透湿度の変化は、本明細書において述べられる際は、相対湿度に対するパーミアンスの対数のプロットで線形または非線形であってもよいことにさらに留意されたい。
【0045】
本開示の別の態様は、被コーティング基材に関する。例えば、上記の組成物は、基材上にコーティングして硬化することができる。本開示の特定の実施形態の特定の利点は、比較的多孔質な基材と共に使用される上記の組成物の能力である。例えば、本明細書において記載される組成物の特定の実施形態の特性は、多孔性基材内の空隙を完全に満たし、それにより水蒸気の凝結遅延に効果的なコーティングを提供することができる。湿度に応じて可変の透湿度を提供する可能性がある他の組成物は、比較的多孔質な基材で使用できない可能性がある。その理由は、コーティング液体の低粘度に起因して組成物が基材を「裏抜け」し、不連続で役に立たないコーティングとなるであろうからである。本発明者らは、効果的な粘度を、可変な透湿度と相乗効果的に組み合わせる能力を驚くべきことに発見し、比較的多孔質な基材で使用することを可能にした。しかしながら、組成物はそれ自体で、明らかに優れた透湿度の可変性を有することも見出されているので、特定の実施形態は、比較的多孔質な基材に限定されないことを理解する必要がある。
【0046】
特定の例においては、本明細書において記載される水性分散体を使用して、例えばガラスファイバー断熱材の裏材に使用されるクラフト紙、スパンボンド不織布もしくはポイントボンド不織布、配向性ストランドボード、またはハウスラップのコーティングとして、または建物外面のシールに使用され得る石膏等の他の材料等の建築基材上に、硬化コーティングを提供することができる。図1を参照すると、物品100は、基材110と、その上に配置されたコーティング120を含んでいることが示されている。基材110及びコーティング120の正確な厚さは変化することができるが、大抵の場合、基材110の厚さは、コーティング120の厚さよりも実質的に大きいであろう。コーティング120の厚さは、基材110の平面方向で実質的に同じであるよう示されているが、このような均一性は必要ではない。特に、コーティング120の厚さが、本明細書において記載される可変な透湿度値を提供するのに有効である限り、厚さは、基材110の各領域で均一である必要は無い。
【0047】
特定の実施形態においては、基材110は、建築業で一般的に使用される任意の好適な基材であることができる。例えば、建築物は通常、壁、床及び/または天井の中空に、ある種の断熱材を有する。この断熱材はしばしば、蒸気凝結遅延剤を含んで水分が断熱中空に入ることを妨げることができるガラスファイバー断熱材である。一般的な蒸気凝結遅延剤は、アスファルトでコーティングしたクラフト紙である。クラフト紙自体が、高割合の水分透過を有する。アスファルトコーティング及び/またはアスファルト接着剤と共に使用した場合、クラフト紙は、好適な蒸気凝結遅延剤としての役割を果たすことができる。壁中空における水分が減少すると、建築材料の劣化を妨げることができ、かつ、壁中空内の熱伝導率の低下を妨げて、エネルギーコストの削減にさらに助力することができる。いくつかの例においては、基材110は、接着剤または他の好適な接着手段を使用して、例えばガラスファイバー断熱材等のより大きな建築基材に付けることができるクラフト紙であってもよい。クラフト紙の正確な重量は変化することができるが、例示的な重量としては、1000平方フィートあたり約25ポンド〜約75ポンド、例えば約39ポンドが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの例においては、基材110は布である。いくつかの例においては、布は、織物または不織布であり得る。他の例においては、コーティングは、乾式壁か、または建造物の内面の仕上げに一般的に使用される他の材料に直接塗布することができる。例えばコーティングを用いて石膏ボードをコーティングして、可変な透湿度を有する石膏ウォールボードを提供することができる。同様に、木製羽目板、木製厚板、合板、繊維板、または外壁、内壁、外側天井もしくは内側天井の仕上げに使用される他の材料を、本明細書において記載されるコーティングを用いてコーティングして、可変な透湿度を提供することができる。このコーティングを用いてコーティングすることができるさらなる建築基材は、本開示の利点を考えて、当業者によって容易に選択されるであろう。
【0048】
さらに特定の実施形態においては、基材は、クラフト紙外装材、スクリム、ポリマーシート、石膏ウォールボード、またはそれらの組合せを含むことができる。さらに特定の実施形態においては、基材は、合成基材として説明することができる。さらに、以下でより詳細に論じるように、基材は、コーティング組成物またはバリア層が基材の細孔構造中に配置され得るような多孔性であるかまたは細孔構造を含むことができる。さらに具体的な実施形態においては、基材は、本明細書において記載されるような細孔構造を有する合成繊維等の布を含むことができる。
【0049】
特定の実施形態においては、コーティング110は、圧延、溶射、ロール塗布、または水性分散体の層を基材上に配置することができる他の手段によって基材120上に配置することができる。所望であれば、さらなるコーティング層を硬化コーティング層に添加して、コーティングの層の厚みを増大させることができる。
【0050】
特定の実施形態においては、基材はクラフト紙外装材を含むことができる。
【0051】
特定の実施形態においては、基材は布基材であることができる。例えば布基材は、織物材料及び/または不織材料を含むことができる。特定の実施形態においては、基材は不織材料を含むことができる。特定の不織材料は、スパンボンド布またはポイントボンド布を含むことができる。
【0052】
特定の例においては、本明細書において提供されるコーティングを使用して、予めコーティングした建築基材を提供するか、または現場での建築基材のコーティングを可能にすることができる。例えば、クラフト紙を備えたガラス繊維断熱材バットは、1種以上の成分で予めコーティングし、次いでさらなる成分を現場でコーティングして、効果をもたらす最終コーティングを提供することができる。他の例においては、コーティングは、設置者がコーティングを提供するために何もする必要が無いよう、製造場所で作製することができる。他の場合においては、設置者は、設置後にコーティングを基材に噴霧して、設置した基材にコーティングを提供してもよい。いくつかの例においては、基材は、不織基材等の多孔性基材であってもよい。
【0053】
特定の実施形態においては、被コーティング基材は、特定の所望の特性を有することができる。
【0054】
特定の実施形態においては、基材とバリア層とを合わせた厚さは、約25ミクロン以上、約50ミクロン以上、またはさらには約100ミクロン以上であることができる。さらなる実施形態においては、基材とバリア層とを合わせた厚さは、約1000ミクロン以下、約800ミクロン以下、またはさらには約750ミクロン以下であることができる。さらに、基材とバリア層とを合わせた厚さは、上で与えられた最小値と最大値のいずれかの範囲内、例えば25um〜1000umといった範囲内であることができる。
【0055】
図2を特に参照すると、特定の実施形態においては、組成物を比較的多孔質な基材110上にコーティングして硬化した場合、バリア層120は、基材へ所望の深さPに浸透することができ、特定の実施形態においては、基材全体を裏抜けすることはできない。例えば特定の実施形態においては、基材の厚さSTは、基材の1主面がバリア層を実質的に有さないようにして、Pよりも大きいことができる。さらに、バリア層は、図3において示されるように、バリア層の最外面から、基材へ浸透したバリア層の長さまでを測定した厚さBLを有することができる。
【0056】
したがって特定の実施形態においては、バリア層は、基材の厚さの約1%以上、約5%以上、またはさらには約10%以上だけ基材へ浸透することができる。さらなる実施形態においては、バリア層は、基材の厚さの約95%以下、約90%以下、またはさらには約85%以下だけ基材へ浸透することができる。
【0057】
さらに、特定の実施形態においては、バリア層は、バリア層の厚さの約1%以上、約5%以上、またはさらには約10%以上だけ基材へ浸透することができる。さらなる実施形態においては、バリア層は、バリア層の厚さの約95%以下、約90%以下、またはさらには約85%以下だけ基材へ浸透することができる。
【0058】
他の実施形態においては、基材は、組成物の連続層が基材の両主面上に配置されているようにして、完全に覆われていることができる。例えば、PはSTよりも大きいか、またはSTと等しいことができる。さらに、バリア層は、基材の両主面上に、所望の厚さを有することができる。
【0059】
本開示の実施形態は、非常に有利である、相対湿度に応じて変化する可変な透湿度を示すことができる。組成物に関する上記の論考と同様に、基材と組成物とを含む被コーティング物品は、低相対湿度、中相対湿度、及び高相対湿度において望ましい透湿度を示すことができる。本明細書において使用する場合、透湿度は、ASTM E96に従って、温度21℃で測定する。
【0060】
したがって、特定の実施形態においては、被コーティング物品は、25%平均RHにおいて約2パーム(perm)以下、またはさらには1パーム(perm)以下の透湿度を有することができる。特定の実施形態においては、被コーティング物品は、25%平均RHにおいて、約1パーム(perm)以下の透湿度を有することができる。
【0061】
さらなる実施形態においては、被コーティング物品は、95%平均RHにおいて、約12パーム(perm)以上、約15パーム(perm)以上、またはさらには約20パーム(perm)以上の透湿度を有することができる。特定の実施形態においては、被コーティング物品は、95%平均RHにおいて、約20パーム(perm)以上の透湿度を有することができる。
【0062】
さらなる実施形態においては、被コーティング物品は、45%平均RHにおいて5パーム(perm)以下、またはさらには2.5パーム(perm)以下の透湿度を有することができる。特定の実施形態においては、被コーティング物品は、45%平均RHにおいて、2.5パーム(perm)以下の透湿度を有することができる。
【0063】
さらなる実施形態においては、被コーティング物品は、75%平均RHにおいて、6パーム(perm)〜12パーム(perm)の透湿度を有することができる。
【0064】
被コーティング物品は、上で与えられた異なる相対湿度における透湿度の様々な組合せをさらに有することができる。
【0065】
例えば特定の実施形態においては、被コーティング物品は、25%平均RHにおける約1パーム(perm)以下の透湿度と;95%平均RHにおける約20パーム(perm)以上の透湿度とを有することができる。
【0066】
さらなる実施形態においては、被コーティング物品は、25%平均RHにおける約1パーム(perm)以下の透湿度と;45%平均RHにおける5パーム(perm)以下、またはさらには2.5パーム(perm)以下の透湿度と;95%平均RHにおける約20パーム(perm)以上の透湿度とを有することができる。
【0067】
さらなる実施形態においては、被コーティング物品は、25%平均RHにおける約1パーム(perm)以下の透湿度と;45%平均RHにおける5パーム(perm)以下、またはさらには2.5パーム(perm)以下の透湿度と;75%平均RHにおける6パーム(perm)〜12パーム(perm)の範囲のの透湿度と;95%平均RHにおける約20パーム(perm)以上の透湿度とを有することができる。
【0068】
上で記載した異なる相対湿度における透湿度の組合せは例示的な組合せであり、上で記載した被コーティング物品における透湿度の可能な全組合せが本開示の範囲内であることを理解する必要がある。
【0069】
コーティングが、異なるRH値において上で述べた透湿度を示す場合、湿度増加に伴う透湿度の変化は、本明細書において述べられる際は、相対湿度に対するパーミアンスの対数の関数として線形または非線形であってもよいことにさらに留意されたい。
【0070】
物品の別のパラメータは、有利な釘引裂き抵抗性の成績である。釘引裂き抵抗性は、穿刺後の引裂きを妨げる物品の能力の尺度である。本明細書において使用する場合、釘引裂き抵抗性は、EIN 12310−1に従って測定する。したがって、被コーティング物品は、約1N/5cm以上、約5N/5cm以上、またはさらには約10N/5cm以上の釘引裂き抵抗性を有することができる。
【0071】
物品のさらに別のパラメータはその引張り強さである。本明細書において使用する場合、引張り強さは、EIN 12311−2に従って測定する。したがって特定の実施形態においては、被コーティング物品は、約10N/5cm以上、約25N/5cm以上、またはさらには約40N/5cm以上の引張り強さを有することができる。さらに、特定の実施形態においては、被コーティング物品は、約10N/5cm以上、約25N/5cm以上、またはさらには約40N/5cm以上のUV老化引張り強さを有することができる。本明細書において使用する場合、UV老化引張り強さは、0.8W/mで180時間のUV老化後に測定する。
【0072】
物品の特性を説明するさらに別のパラメータは、そのテープ接着力である。テープ接着力は、接着テープへ付着して接着テープから外れる被コーティング物品の能力の尺度である。本明細書において使用する場合、テープ接着力は、EIN 12317−2に従って測定する。したがって被コーティング物品は、約15N/5cm以上、約20N/5cm以上、またはさらには約25N/5cm以上のテープ接着力を有することができる。
【0073】
特定の具体例を以下に記載して、本明細書において記載される技術のより深い理解を助ける。
【0074】
項目1。硬化した際に湿度に応じて水蒸気を選択的に凝結遅延するように適合されたコーティング組成物であって、この組成物が
疎水性成分;及び
親水性成分;
を含み、
上記の組成物が硬化すると、上記の組成物は、ASTM E96に従って21℃で試験した場合、及びクラフト紙上に上記の組成物をコーティングし硬化して試験した場合に、25%平均RHにおいて約1パーム(perm)以下であり、95%平均相対湿度において約15パーム(perm)以上である可変な透湿度を提供するのに有効であるコーティング組成物。
【0075】
項目2。湿度に応じて水蒸気を選択的に凝結遅延するように適合された物品であって、この物品が
建築材料基材;及び
この建築材料基材上に配置されたバリア層
を含み、このバリア層は
疎水性成分;及び
親水性成分;
を含み、
上記の物品が、ASTM E96に従って21℃で試験した場合に、25%平均RHにおいて約1パーム(perm)以下であり、95%平均相対湿度において約15パーム(perm)以上である透湿度を有する物品。
【0076】
項目3。湿度に応じて水蒸気を選択的に凝結遅延するように適合された物品であって、この物品が
細孔構造を有する布を含む建築材料基材;及び
この建築材料基材上に配置されたバリア層;
を含み、
上記の物品が、ASTM E96に従って21℃で試験した場合に、25%平均RHにおいて約1パーム(perm)以下であり、95%平均相対湿度において約15パーム(perm)以上である透湿度を有し;
上記のバリア層の約10%以上が、上記の布の細孔構造内に入り込んでいる物品。
【0077】
項目4。湿度に応じて水蒸気を選択的に凝結遅延するように適合された物品であって、この物品が
細孔構造を有する不織布を含む建築材料基材;及び
バリア層;
を含み、
上記の物品が、ASTM E96に従って21℃で試験した場合に、25%平均RHにおいて約1パーム(perm)以下であり、95%平均相対湿度において約15パーム(perm)以上である透湿度を有し;
上記のバリア層の約10%以上が、上記の不織布基材の細孔構造内に入り込んでいる物品。
【0078】
項目5。湿度に応じて水蒸気を選択的に凝結遅延するように適合された物品を形成する方法であって、この方法が
コーティング組成物を準備すること;
基材を準備すること;
上記の組成物を上記の基材に塗布すること;及び
上記の組成物を乾燥して、それにより上記の基材上にバリア層を形成すること;
を含み、
上記の物品が、ASTM E96に従って21℃で試験した場合に、25%平均RHにおいて約1パーム(perm)以下であり、95%平均相対湿度において約15パーム(perm)以上である透湿度を有する方法。
【0079】
項目6。湿度に応じて水蒸気を選択的に凝結遅延するように適合された物品を形成する方法であって、この方法が
水性コーティング組成物を準備すること;
建築材料基材を準備すること;
上記の組成物を上記の建築材料基材に塗布すること;及び
上記の組成物を乾燥して、それにより上記の建築材料基材上にバリア層を形成すること;
を含み、
上記の物品が、ASTM E96に従って21℃で試験した場合に、25%平均RHにおいて約1パーム(perm)以下であり、95%平均相対湿度において約15パーム(perm)以上である透湿度を有する方法。
【0080】
項目7。上記の疎水性成分が非水溶性ポリマーを含む、項目1〜6のいずれか1項の組成物、物品または方法。
【0081】
項目8。上記の疎水性成分が、水中で分散した非水溶性ポリマーを含む、項目1〜7のいずれか1項の組成物、物品または方法。
【0082】
項目9。上記の疎水性成分がラテックスを含む、項目1〜8のいずれか1項の組成物、物品または方法。
【0083】
項目10。上記の疎水性成分が、スチレンブタジエン、スチレンアクリル、アクリル、酢酸ビニルエチレン、塩化ビニリデン、ポリエチレン、ワックス、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリプロピレン、ブタジエンまたはそれらの組合せのラテックスを含む、項目1〜9のいずれか1項の組成物、物品または方法。
【0084】
項目11。上記の疎水性成分がスチレンブタジエンラテックスを含む、項目1〜10のいずれか1項の組成物、物品または方法。
【0085】
項目12。上記の疎水性成分が、約15%以下、約10%以下、約5%以下、またはさらには約3%以下の%カルボキシル化を有する、項目1〜11のいずれか1項の組成物、物品または方法。
【0086】
項目13。上記の疎水性成分が、約35℃以下、約25℃以下、またはさらには約15℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する、項目1〜12のいずれか1項の組成物、物品または方法。
【0087】
項目14。上記の疎水性成分が、−30〜35℃、−30〜25℃、またはさらには−30〜15℃の範囲のガラス転移温度(Tg)を有する、項目1〜13のいずれか1項の組成物、物品または方法。
【0088】
項目15。上記の疎水性成分が、上記の疎水性成分及び上記の親水性成分の合計乾燥重量に基づき、約15重量%以上、約25重量%以上、約35重量%以上、またはさらには約45重量%以上の量で上記の組成物中またはバリア層中に存在する、項目1〜14のいずれか1項の組成物、物品または方法。
【0089】
項目16。上記の疎水性成分が、上記のバリア層の疎水性成分及び親水性成分の合計乾燥重量に基づき、約99重量%以下、約98重量%以下、またはさらには約97重量%以下の量で上記の組成物中またはバリア層中に存在する、項目1〜15のいずれか1項の組成物、物品または方法。
【0090】
項目17。上記の疎水性成分が、上記のバリア層の疎水性成分及び親水性成分の合計乾燥重量に基づき、15〜99重量%、25〜98重量%、またはさらには35〜97重量%の範囲で上記の組成物中またはバリア層中に存在する、項目1〜16のいずれか1項の組成物、物品または方法。
【0091】
項目18。上記の親水性成分が、架橋無しで水溶性であるポリマーを含む、項目1〜17のいずれか1項の組成物、物品または方法。
【0092】
項目19。上記の親水性成分が、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ(ビニルピロリドン)、デンプン、セルロース、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸、高カルボキシル化ラテックス、アミン、ポリエチレンオキシド、ビニルエーテル、高加水分解ポリマー(例えば、加水分解した無水マレイン酸)、多糖類、またはそれらの組合せを含む、項目1〜18のいずれか1項の組成物、物品または方法。
【0093】
項目20。上記の親水性成分がポリビニルアルコール(PVOH)またはポリアクリル酸ナトリウムを含む、項目1〜19のいずれか1項の組成物、物品または方法。
【0094】
項目21。上記の親水性成分が親水性充填剤を含む、項目1〜20のいずれか1項の組成物、物品または方法。
【0095】
項目22。上記の親水性成分が無機親水性充填剤を含む、項目1〜21のいずれか1項の組成物、物品または方法。
【0096】
項目23。上記の親水性成分が、架橋無しで水溶性であるポリマーと、無機親水性充填剤とを含む、項目1〜22のいずれか1項の組成物、物品または方法。
【0097】
項目24。上記の親水性成分が、重量測定法に従って相対湿度100%及び23℃で測定した場合に、約1%以上、約3%以上、約5%以上、またはさらには約7%以上のパーセント水吸収を有するポリマーを含む、項目1〜23のいずれか1項の組成物、物品または方法。
【0098】
項目25。上記の親水性成分が、約50000以上の分子量を有するポリマーを含む、項目1〜24のいずれか1項の組成物、物品または方法。
【0099】
項目26。上記の親水性成分が、約300000以下の分子量を有するポリマーを含む、項目1〜25のいずれか1項の組成物、物品または方法。
【0100】
項目27。上記の親水性成分が、50000〜300000の範囲の分子量を有するポリマーを含む、項目1〜26のいずれか1項の組成物、物品または方法。
【0101】
項目28。上記の親水性成分が、上記の疎水性成分及び上記の親水性成分の合計乾燥重量に基づき、約0.1重量%以上、約0.5重量%以上、またはさらには約1重量%以上の量で上記の組成物中またはバリア層中に存在する、項目1〜27のいずれか1項の組成物、物品または方法。
【0102】
項目29。上記の親水性成分が、上記の疎水性成分及び上記の親水性成分の合計乾燥重量に基づき、約40重量%以下、約30重量%以下、約25重量%以下、約20重量%以下、約15重量%以下、約10重量%以下、またはさらには約8重量%以下の量で上記の組成物中またはバリア層中に存在する、項目1〜28のいずれか1項の組成物、物品または方法。
【0103】
項目30。上記の親水性成分が、上記の疎水性成分及び上記の親水性成分の合計乾燥重量に基づき、0.1〜35重量%、またはさらには1〜15重量%の範囲の量で上記の組成物中またはバリア層中に存在する、項目1〜29のいずれか1項の組成物、物品または方法。
【0104】
項目31。上記の組成物またはバリア層が充填剤をさらに含む、項目1〜30のいずれか1項の組成物、物品または方法。
【0105】
項目32。上記の組成物またはバリア層が充填剤をさらに含む、項目1〜31のいずれか1項の組成物、物品または方法であって、上記の組成物またはバリア層が、充填剤のおよそ限界顔料体積濃度以下の充填剤含有量を有する組成物、物品または方法。
【0106】
項目33。上記の組成物またはバリア層が充填剤をさらに含む、項目1〜32のいずれか1項の組成物、物品または方法であって、上記の組成物またはバリア層が、上記の組成物またはバリア層の合計乾燥重量に基づき、0〜85重量%の範囲の充填剤含有量を有する組成物、物品または方法。
【0107】
項目34。上記の組成物またはバリア層が充填剤をさらに含む、項目1〜33のいずれか1項の組成物、物品または方法であって、上記の充填剤が、粘土、CaCO、CaSO、BaSO、シリカ、タルク、カーボンブラック、珪藻土、アルミナ、チタニア、またはそれらの組合せを含む組成物、物品または方法。
【0108】
項目35。上記の親水性成分に対する上記の疎水性成分の体積%比が、約2:1以上、かつ約200:1以下である、項目1〜34のいずれか1項の組成物または方法。
【0109】
項目36。上記の基材が建築材料を含む、項目1〜35のいずれか1項の物品または方法。
【0110】
項目37。上記の基材がクラフト紙外装材、スクリム、ポリマーシート、またはそれらの組合せを含む、項目1〜36のいずれか1項の物品または方法。
【0111】
項目38。上記の基材が布建築材料を含む、項目1〜37のいずれか1項の物品または方法。
【0112】
項目39。上記の基材が不織材料を含む、項目1〜38のいずれか1項の物品または方法。
【0113】
項目40。上記の基材が織物材料を含む、項目1〜39のいずれか1項の物品または方法。
【0114】
項目41。上記の基材が、スパンボンド布またはポイントボンド布を含む不織材料を含む、項目1〜40のいずれか1項の物品または方法。
【0115】
項目42。上記のバリア層が、約20gsm以上のコーティング重量を有する、項目1〜41のいずれか1項の物品または方法。
【0116】
項目43。上記のバリア層が、せん断速度1s−1及び温度21℃において、約500cps以上の粘度を有する、項目1〜42のいずれか1項の物品または方法であって、上記のバリア層の粘度は、上記のバリア層の硬化前に測定する物品または方法。
【0117】
項目44。上記のバリア層が、温度21℃において、せん断速度1s−1で約5000cps以上の粘度を有し、せん断速度1000s−1で1000cps未満の粘度を有する、項目1〜43のいずれか1項の物品または方法であって、上記のバリア層の粘度は、上記のバリア層の硬化前に測定する物品または方法。
【0118】
項目45。上記の基材と上記のバリア層とを合わせた厚さが、50um〜1000umの範囲内である、項目1〜44のいずれか1項の物品または方法。
【0119】
項目46。上記のバリア層が、上記のバリア層の厚さの約5%以上だけ不織布基材へ浸透するよう適合されている、項目1〜45のいずれか1項の組成物。
【0120】
項目47。上記の組成物が、不織布基材の厚さの90%以下だけ上記の基材へ浸透するよう適合されている、項目1〜46のいずれか1項の組成物。
【0121】
項目48。上記のバリア層が、上記の基材の厚さの約5%以上だけ上記の基材へ浸透するよう適合されている、項目1〜47のいずれか1項の物品または方法。
【0122】
項目49。上記の物品が、ASTM E96に従って21℃で試験した場合に、45%平均RHにおいて約2.5パーム(perm)以下の透湿度を有する、項目1〜48のいずれか1項の物品または方法。
【0123】
項目50。上記の物品が、ASTM E96に従って21℃で試験した場合に、75%平均RHにおいて6〜12パーム(perm)の透湿度を有する、項目1〜49のいずれか1項の物品または方法。
【0124】
項目51。上記の物品が、EIN 12310−1に従って測定した場合、約10N/5cm以上の釘引裂き抵抗性を有する、項目1〜50のいずれか1項の物品または方法。
【0125】
項目52。上記の物品が、EIN 12311−2に従って測定した場合、約30N/5cm以上の引張り強さを有する、項目1〜51のいずれか1項の物品または方法。
【0126】
項目53。上記の物品が、EIN 12317−2に従って測定した場合、約25N/5cm以上のテープ接着力を有する、項目1〜52のいずれか1項の物品または方法。
【0127】
上の一般的な記載または実施例において記載される行動が全て必要とされるわけではなく、特定の行動の一部は必要とされなくてもよく、1つ以上のさらなる行動が記載の行動に加えて行われてもよいことに留意されたい。さらに、行動の列挙順序は、必ずしも行われる順序であるわけではない。
【0128】
特定の実施形態に関して、利益、他の利点、及び問題の解決法を上に記載している。しかしながら、利益、利点、問題の解決法、及び特徴は、任意の利益、利点または解決法を生じさせてより顕著なものを生じさせるかまたはより顕著になってもよく、それらはいずれかまたは全ての特許請求の範囲の不可欠な特徴、必須な特徴または本質的な特徴として解釈されるべきではない。
【0129】
本明細書において記載される実施形態の詳細及び説明は、様々な実施形態の構成の一般的な理解を提供することを意図するものである。詳細及び説明は、本明細書において記載される構成物または方法を使用する装置及びシステムの全要素及び全特徴を完全且つ包括的に記載するものとして役割を果たすことを意図していない。別個の実施形態は、1つの実施形態において組合せで提供されてもよく、反対に、簡潔のため1つの実施形態の文脈に記載された様々な特徴は、別個で提供されるかまたは任意の部分組合せで提供されてもよい。さらに、範囲で言及された値の参照は、その範囲内の全ての値を含む。単に本明細書を読了すれば、他の多くの実施形態が当業者に明らかとなってもよい。本開示の範囲から逸脱することなく構造的置換、論理的置換または別の変化がなされてもよいように、他の実施形態が使用されてもよく、他の実施形態が本開示から派生してもよい。したがって本開示は、限定するものというよりもむしろ説明するものであるとみなされるべきである。
【実施例】
【0130】
実施例1−パーミアンス
試料を調製し、ASTM E96に従って、21℃かつ相対湿度25%RH、45%RH、75%RH及び95%RHで、水蒸気パーミアンス値について試験した。
【0131】
水蒸気パーミアンス試験用試料は、空気動力源のコールズブレードもしくはホモジナイザーを用いるか、または手で、室温で5分間成分を混合することによって調製した。コーティングは、厚さ約75ミクロンで、巻かれた線材(メイヤーロッド)またはスロットダイ押出し加工によって塗布した。
【0132】
疎水性成分及び親水性成分について示されている重量%値は、固体膜中の疎水性成分及び親水性成分の合計重量に基づいている。充填剤についての重量%値は、コーティング組成物の合計重量に基づいている。
【0133】
成分
A−Styron DL−226は、Styronより入手した。これは、低程度のカルボキシル化と−14℃のガラス転移温度を有するスチレン−ブタジエンラテックスである。
B−Styron DL−490は、Styronより入手した。これは、9℃のガラス転移温度を有する、高カルボキシル化スチレンブタジエンラテックスである。
C−PVOH Selvol 9−325はSekisuiから入手した。これは、高分子量を有し、98.4%加水分解である8.5%固体で予め溶解されているPVOHである。
D−PAA Acumer 1510はDowから入手した。これは、25%固体のポリアクリル酸である。
E−カオリン粘土はSigma Aldrichから入手した。
NW−商品名EliteでHanesから入手した不織布基材。
SD−スロットダイコーティング加工
MR−メイヤーロッドコーティング加工
【0134】
【表1】
【0135】
上に示されたとおり、複数でコーティングした基材は、比較用ナイロン2ミル膜(試料16)と匹敵する望ましいパーミアンス値を示し、さらにはナイロン2ミル膜よりも良好である。より詳細には、試料9は試料16とほぼ同じような性能を示したが、試料9は25%湿度ではより閉じていて、95%湿度ではより開いており、それらは両方ともに好ましく、ナイロン2ミル膜よりも改善している。
【0136】
本開示の特定の実施形態の特定の利点の具体例としては、すなわち特定の成分比としては、表の試料1、2及び3のパーミアンス特性を比較すると、親水性成分を増加させるにつれて、傾きが劇的に増加することが明らかである。
【0137】
本開示の特定の実施形態の特定の利点の具体例としては、すなわち選択した特定の材料としては、表の試料2及び4のパーミアンス特性を比較すると、疎水性材料の選択が、パーミアンス特性に有意な影響を及ぼし得ることが明らかである。
【0138】
本開示の特定の実施形態の特定の利点の具体例としては、すなわち選択した特定の材料としては、表の試料5及び6のパーミアンス特性を比較すると、親水性成分Cは、パーミアンス特性を適合させることにおいて親水性成分Dよりもはるかに効果的であることが明らかである。
【0139】
本開示の特定の実施形態の特定の利点の具体例としては、すなわち充填剤の選択としては、表の試料3、7、9、10及び11のパーミアンス特性を比較すると、カオリン充填剤の組込みが低湿度におけるバリア特性を有意に向上させ、高湿度における蒸気パーミアンスを向上させたことが明らかである。
【0140】
本開示の特定の実施形態の特定の利点の具体例としては、試料16のパーミアンス特性を表の個別成分(すなわち、試料12、13、14及び15)のパーミアンス特性と比較すると、別個でナイロンの特性に匹敵し得る成分は無いことが明らかである。
【0141】
本開示の特定の実施形態の特定の利点の具体例としては、試料9のパーミアンス特性を表の個別成分(試料12及び14)のパーミアンス特性と比較すると、別個で試料9の特性に匹敵し得る成分は無いことが明らかである。したがって試料9は、個別成分と個々に比較すると、パーミアンス特性における相乗効果的な改良を示している。この相乗効果は全く予期しないものであった。
【0142】
本開示の特定の実施形態の特定の利点の具体例としては、高カルボキシル化ラテックスは、パーミアンスのRHへの強い依存性を示すのに実際に十分親水性であり得るが;このような材料の45%湿度でのパーミアンス値は高すぎて、試料16の特性を達成できないことが、試料15のパーミアンス特性より明らかである。
【0143】
本開示の特定の実施形態の特定の利点の具体例としては、すなわちコーティングの強固さとしては、表の試料2及び8のパーミアンス特性を比較すると、基材がコーティングよりも蒸気に対して開いているならば、基材の選択はパーミアンスに小さな影響のみしか及ぼさないことが明らかである。
【0144】
本開示の特定の実施形態の特定の利点の具体例としては、すなわちコーティングの強固さとしては、表の試料2及び6のパーミアンス特性を比較すると、コーティングの加工法は特性にほとんど影響を及ぼさないことが明らかである。
【0145】
実施例2:物理的データ
以下の試料は、以下のように調製した。
【0146】
試料2A:2成分の合計重量に基づき、94重量%のStyron DL−226と、6重量%のPVOH−325。試料は、組成物の合計重量に基づき、33重量%のカオリン充填剤をさらに含んだ。これを、Hanes Elite 100布上に、長さ方向でコーティングした。
【0147】
試料2B:2成分の合計重量に基づき、94重量%のStyron DL−226と、6重量%のPVOH−325。試料は、組成物の合計重量に基づき、33重量%のカオリン充填剤をさらに含んだ。これを、Hanes Elite 200布上に、横断方向でコーティングした。
【0148】
試料2C:試料2Cは比較例であり、厚さ50ミクロンのVario KM膜を含む。Vario KM膜は、Saint−Gobain Corporationから入手し、受け取ったままで使用した。
【0149】
次いで試料を、初期引張り強さ、0.8W/mで180時間のUV老化後の引張り強さ、及び釘抵抗性について、上記の試験方法に従って試験し、以下の結果を得た。
【0150】
【表2】
【0151】
実施例3:粘度測定
3つの試料を以下のように調製し、本明細書において記載される方法に従って、硬化前の粘度について測定した。
試料3A:試料3Aは、2成分の合計重量に基づき、95重量%のStyron DL−226と、5重量%のPVOH−325を含んだ。
試料3B:試料3Bは、2成分の合計重量に基づき、94重量%のStyron DL−226と、6重量%のPVOH−325を含んだ。試料は、組成物の合計重量に基づき、33重量%のカオリン充填剤をさらに含んだ。
試料3Cは比較用試料であり、100重量%のDL 226を含んだ。
試料3Dは比較用試料であり、100重量%のSelvol 9−325を含んだ。
【0152】
結果は図3に報告されており、s−1単位で測定した異なるせん断速度における、(Pa×s)単位で測定した粘度のグラフを示している。示されるように、試料3A及び試料3Bの粘度は、比較用試料3C及び3Dよりも有意に高かった。
図1
図2
図3