(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6273402
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】液晶表示パネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1337 20060101AFI20180122BHJP
【FI】
G02F1/1337 520
【請求項の数】17
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-519289(P2017-519289)
(86)(22)【出願日】2014年10月14日
(65)【公表番号】特表2017-530421(P2017-530421A)
(43)【公表日】2017年10月12日
(86)【国際出願番号】CN2014088551
(87)【国際公開番号】WO2016054831
(87)【国際公開日】20160414
【審査請求日】2017年4月10日
(31)【優先権主張番号】201410532505.2
(32)【優先日】2014年10月11日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516010618
【氏名又は名称】深▲せん▼市華星光電技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN CHINA STAR OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】韓 丙
(72)【発明者】
【氏名】陳 彩琴
【審査官】
横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/010730(WO,A1)
【文献】
特開2003−149647(JP,A)
【文献】
特開平11−038417(JP,A)
【文献】
特開平08−334786(JP,A)
【文献】
特開2003−279946(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0087620(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0335655(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第103293771(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1333,1/1337
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイ基板、カラーフィルム基板、及び前記アレイ基板と前記カラーフィルム基板との間に設けられた液晶層を含み、前記アレイ基板の内表面と前記カラーフィルム基板の内表面に、前記液晶層における液晶分子のプレチルト角を保持するためのポリマー配向膜が設けられた液晶表示パネルの製造方法であって、
前記アレイ基板と前記カラーフィルム基板とからなる液晶ボックスを作成し、前記液晶ボックスにモノマーを含有する液晶分子を注入するステップと、
前記アレイ基板の透明電極に共通電圧を印加し、それぞれに各接続領域における前記カラーフィルム基板の透明電極と交流偏向電圧の入力源との間にスイッチ管を設け、前記スイッチ管により、前記液晶分子にプレチルト角を形成させるように、対応する接続領域における前記カラーフィルム基板の透明電極に交流偏向電圧を印加するか否かを制御するステップと、
前記液晶表示パネルに紫外線を照射して、前記モノマーからポリマーを合成することにより、前記アレイ基板の内表面と前記カラーフィルム基板の内表面にポリマー配向膜を形成するステップと、
を含み、
前記の交流偏向電圧を印加するステップは、
前記液晶表示パネルの各接続領域における前記アレイ基板の透明電極と、対応する前記カラーフィルム基板の透明電極との間の交流偏向電圧を検出するステップと、
すべての前記交流偏向電圧の電圧値がいずれも設定値と等しい場合に、前記アレイ基板の透明電極と前記カラーフィルム基板の透明電極との間に前記交流偏向電圧を印加するステップと、
を含み、
前記交流偏向電圧は交流矩形波信号である液晶表示パネルの製造方法。
【請求項2】
すべての前記交流偏向電圧の電圧値がいずれも設定値と等しい場合に、前記スイッチ管をオンにして、前記カラーフィルム基板の透明電極に交流偏向電圧を印加し、
少なくとも1つの前記交流偏向電圧の電圧値が前記設定値と等しくない場合に、前記スイッチ管をオフにして、前記カラーフィルム基板の透明電極に交流偏向電圧を印加しない請求項1に記載の液晶表示パネルの製造方法。
【請求項3】
前記交流偏向電圧の電圧値が正である場合において、
すべての前記交流偏向電圧の電圧値がいずれも第1の設定値と等しい場合に、前記スイッチ管をオンにし、
少なくとも1つの前記交流偏向電圧の電圧値が前記第1の設定値と等しくない場合に、前記スイッチ管をオフにする請求項2に記載の液晶表示パネルの製造方法。
【請求項4】
前記交流偏向電圧の電圧値が負である場合において、
すべての前記交流偏向電圧の電圧値がいずれも第2の設定値と等しい場合に、前記スイッチ管をオンにし、
少なくとも1つの前記交流偏向電圧の電圧値が前記第2の設定値と等しくない場合に、前記スイッチ管をオフにする請求項2に記載の液晶表示パネルの製造方法。
【請求項5】
前記スイッチ管の入力端が前記交流偏向電圧の入力源に接続され、前記スイッチ管の出力端が前記カラーフィルム基板の透明電極に接続され、前記スイッチ管の制御端が制御信号に接続されている請求項1に記載の液晶表示パネルの製造方法。
【請求項6】
各前記接続領域の交流偏向電圧の損失がすべて異なっており、前記制御信号は、前記交流偏向電圧の損失が最大の接続領域の電圧値に基づいて生成される請求項5に記載の液晶表示パネルの製造方法。
【請求項7】
前記モノマーの材料はアルケニル化合物である請求項1に記載の液晶表示パネルの製造方法。
【請求項8】
アレイ基板、カラーフィルム基板、及び前記アレイ基板と前記カラーフィルム基板との間に設けられた液晶層を含み、前記アレイ基板の内表面と前記カラーフィルム基板の内表面に前記液晶層における液晶分子のプレチルト角を保持するためのポリマー配向膜が設けられた液晶表示パネルの製造方法であって、
前記アレイ基板と前記カラーフィルム基板とからなる液晶ボックスを作成し、前記液晶ボックスにモノマーを含有する液晶分子を注入するステップと、
前記アレイ基板の透明電極と前記カラーフィルム基板の透明電極との間に交流偏向電圧を印加することにより、前記液晶分子にプレチルト角を形成させるステップと、
前記液晶表示パネルに紫外線を照射し、前記モノマーからポリマーを合成することにより、前記アレイ基板の内表面と前記カラーフィルム基板の内表面にポリマー配向膜を形成するステップと、
を含み、
前記交流偏向電圧を印加するステップは、
前記液晶表示パネルの各接続領域における前記アレイ基板の透明電極と、対応する前記カラーフィルム基板の透明電極との間の交流偏向電圧を検出するステップと、
すべての前記交流偏向電圧の電圧値がいずれも設定値と等しい場合に、前記アレイ基板の透明電極と前記カラーフィルム基板の透明電極との間に前記交流偏向電圧を印加するステップと、
を含む液晶表示パネルの製造方法。
【請求項9】
前記アレイ基板の透明電極と前記カラーフィルム基板の透明電極との間に交流偏向電圧を印加するステップは、
前記アレイ基板の透明電極に共通電圧を印加し、前記カラーフィルム基板の透明電極に交流偏向電圧を印加するステップを含む請求項8に記載の液晶表示パネルの製造方法。
【請求項10】
前記カラーフィルム基板の透明電極に交流偏向電圧を印加するステップは、
それぞれに各接続領域における前記カラーフィルム基板の透明電極と前記交流偏向電圧の入力源との間にスイッチ管を設け、前記スイッチ管により、対応する接続領域における前記カラーフィルム基板の透明電極に交流偏向電圧を印加するか否かを制御するステップを含む請求項9に記載の液晶表示パネルの製造方法。
【請求項11】
すべての前記交流偏向電圧の電圧値がいずれも設定値と等しい場合に、前記スイッチ管をオンにして、前記カラーフィルム基板の透明電極に交流偏向電圧を印加し、
少なくとも1つの前記交流偏向電圧の電圧値が前記設定値と等しくない場合に、前記スイッチ管をオフにして、前記カラーフィルム基板の透明電極に交流偏向電圧を印加しない請求項10に記載の液晶表示パネルの製造方法。
【請求項12】
前記交流偏向電圧の電圧値が正である場合において、
すべての前記交流偏向電圧の電圧値がいずれも第1の設定値と等しい場合に、前記スイッチ管をオンにし、
少なくとも1つの前記交流偏向電圧の電圧値が前記第1の設定値と等しくない場合に、前記スイッチ管をオフにする請求項11に記載の液晶表示パネルの製造方法。
【請求項13】
前記交流偏向電圧の電圧値が負である場合において、
すべての前記交流偏向電圧の電圧値がいずれも第2の設定値と等しい場合に、前記スイッチ管をオンにし、
少なくとも1つの前記交流偏向電圧の電圧値が前記第2の設定値と等しくない場合に、前記スイッチ管をオフにする請求項11に記載の液晶表示パネルの製造方法。
【請求項14】
前記スイッチ管の入力端が前記交流偏向電圧の入力源に接続され、前記スイッチ管の出力端が前記カラーフィルム基板の透明電極に接続され、前記スイッチ管の制御端が制御信号に接続されている請求項10に記載の液晶表示パネルの製造方法。
【請求項15】
各前記接続領域の交流偏向電圧の損失がすべて異なっており、前記制御信号は、前記交流偏向電圧の損失が最大の接続領域の電圧値に基づいて生成される請求項14に記載の液晶表示パネルの製造方法。
【請求項16】
前記交流偏向電圧は交流矩形波信号である請求項9に記載の液晶表示パネルの製造方法。
【請求項17】
前記モノマーの材料はアルケニル化合物である請求項8に記載の液晶表示パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ分野、特に液晶表示パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の垂直配向技術は、アレイ基板、カラーフィルム基板、及びアレイ基板とカラーフィルム基板との間にシールされた液晶に電圧を印加してモノマーを含有する液晶分子にプレチルト角を形成するとともに、前記液晶表示パネルに紫外線を照射することにより、アレイ基板とカラーフィルム基板にそれぞれポリマー配向膜を形成するものである。
【0003】
しかしながら、電圧を印加する過程においては、1つの接続領域のみに電圧を印加する電圧源を設置し、他の接続領域は回線によりその電圧源に接続されている。電圧源から遠い接続領域のカラーフィルム基板に入力される電圧の損失が大きくなることで、液晶ディスプレイが表示を行う際に暗縞、色ズレ等の表示不良が発生し、液晶ディスプレイの表示効果に影響を与える。
【0004】
そのため、従来技術の問題を解決するために、液晶表示パネルの製造方法を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、液晶表示パネルの製造方法を提供することにより、表示不良の問題を解決し、表示効果を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例は、アレイ基板、カラーフィルム基板、及び前記アレイ基板と前記カラーフィルム基板との間に設けられた液晶層を含み、前記アレイ基板の内表面と前記カラーフィルム基板の内表面に前記液晶層における液晶分子のプレチルト角を保持するためのポリマー配向膜が設けられた液晶表示パネルの製造方法であって、
前記アレイ基板と前記カラーフィルム基板とからなる液晶ボックスを作成し、前記液晶ボックスにモノマーを含有する液晶分子を注入するステップと、
前記アレイ基板の透明電極に共通電圧を印加し、それぞれに各接続領域における前記カラーフィルム基板の透明電極と前記交流偏向電圧の入力源との間にスイッチ管を設け、前記スイッチ管により、前記液晶分子にプレチルト角を形成させるように、対応する接続領域における前記カラーフィルム基板の透明電極に交流偏向電圧を印加するか否かを制御するステップと、
前記液晶表示パネルに紫外線を照射して、前記モノマーからポリマーを合成することにより、前記アレイ基板の内表面と前記カラーフィルム基板の内表面にポリマー配向膜を形成させるステップと、
を含み、
前記交流偏向電圧を印加するステップは、
前記液晶表示パネルの各接続領域における前記アレイ基板の透明電極と、対応する前記カラーフィルム基板の透明電極との間の交流偏向電圧を検出するステップと、
すべての前記交流偏向電圧の電圧値がいずれも設定値と等しい場合に、前記アレイ基板の透明電極と前記カラーフィルム基板の透明電極との間に前記交流偏向電圧を印加するステップと、
を含み、
前記交流偏向電圧は交流矩形波信号である液晶表示パネルの製造方法を提供する。
【0007】
本発明に記載の液晶表示パネルの製造方法において、すべての前記交流偏向電圧の電圧値がいずれも設定値と等しい場合に、前記スイッチ管をオンにして、前記カラーフィルム基板の透明電極に交流偏向電圧を印加し、
少なくとも1つの前記交流偏向電圧の電圧値が前記設定値と等しくない場合に、前記スイッチ管をオフにして、前記カラーフィルム基板の透明電極に交流偏向電圧を印加しない。
【0008】
本発明に記載の液晶表示パネルの製造方法において、前記交流偏向電圧の電圧値が正である場合において、
すべての前記交流偏向電圧の電圧値がいずれも第1の設定値と等しい場合に、前記スイッチ管をオンにし、
少なくとも1つの前記交流偏向電圧の電圧値が前記第1の設定値と等しくない場合に、前記スイッチ管をオフにする。
本発明に記載の液晶表示パネルの製造方法において、前記交流偏向電圧の電圧値が負である場合において、
すべての前記交流偏向電圧の電圧値がいずれも第2の設定値と等しい場合に、前記スイッチ管をオンにし、
少なくとも1つの前記交流偏向電圧の電圧値が前記第2の設定値と等しくない場合に、前記スイッチ管をオフにする。
【0009】
本発明に記載の液晶表示パネルの製造方法において、前記スイッチ管の入力端が前記交流偏向電圧の入力源に接続され、前記スイッチ管の出力端が前記カラーフィルム基板の透明電極に接続され、前記スイッチ管の制御端が制御信号に接続されている。
【0010】
本発明に記載の液晶表示パネルの製造方法において、各前記接続領域の交流偏向電圧の損失はすべて異なり、前記制御信号は前記交流偏向電圧の損失が最大の接続領域の電圧値に基づいて生成される。
【0011】
本発明に記載の液晶表示パネルの製造方法において、前記モノマーの材料はアルケニル化合物である。
【0012】
本発明の実施例は、アレイ基板、カラーフィルム基板、及び前記アレイ基板と前記カラーフィルム基板との間に設けられた液晶層を含み、前記アレイ基板の内表面と前記カラーフィルム基板の内表面に、前記液晶層における液晶分子のプレチルト角を保持するためのポリマー配向膜が設けられた液晶表示パネルの製造方法であって、
前記アレイ基板と前記カラーフィルム基板とからなる液晶ボックスを作成し、前記液晶ボックスにモノマーを含有する液晶分子を注入するステップと、
前記アレイ基板の透明電極と前記カラーフィルム基板の透明電極との間に交流偏向電圧を印加することにより、前記液晶分子にプレチルト角を形成させるステップと、
前記液晶表示パネルに紫外線を照射して、前記モノマーからポリマーを合成することにより、前記アレイ基板の内表面と前記カラーフィルム基板の内表面にポリマー配向膜を形成するステップと、
を含み、
前記交流偏向電圧を印加するステップは、
前記液晶表示パネルの各接続領域における前記アレイ基板の透明電極と、対応する前記カラーフィルム基板の透明電極との間の交流偏向電圧を検出するステップと、
すべての前記交流偏向電圧の電圧値がいずれも設定値と等しい場合に、前記アレイ基板の透明電極と前記カラーフィルム基板の透明電極との間に前記交流偏向電圧を印加するステップと、
を含む液晶表示パネルの製造方法を提供する。
本発明に記載の液晶表示パネルの製造方法において、前記アレイ基板の透明電極と前記カラーフィルム基板の透明電極との間に交流偏向電圧を印加するステップは、
前記アレイ基板の透明電極に共通電圧を印加し、前記カラーフィルム基板の透明電極に交流偏向電圧を印加するステップを含む。
【0013】
本発明に記載の液晶表示パネルの製造方法において、前記カラーフィルム基板の透明電極に交流偏向電圧を印加するステップは、
それぞれに各接続領域における前記カラーフィルム基板の透明電極と前記交流偏向電圧の入力源との間にスイッチ管を設け、前記スイッチ管により、対応する接続領域における前記カラーフィルム基板の透明電極に交流偏向電圧を印加するか否かを制御するステップを含む。
【0014】
本発明に記載の液晶表示パネルの製造方法において、すべての前記交流偏向電圧の電圧値がいずれも設定値と等しい場合に、前記スイッチ管をオンにして、前記カラーフィルム基板の透明電極に交流偏向電圧を印加し、
少なくとも1つの前記交流偏向電圧の電圧値が前記設定値と等しくない場合に、前記スイッチ管をオフにして、前記カラーフィルム基板の透明電極に交流偏向電圧を印加しない。
本発明に記載の液晶表示パネルの製造方法において、前記交流偏向電圧の電圧値が正である場合において、
すべての前記交流偏向電圧の電圧値がいずれも第1の設定値と等しい場合に、前記スイッチ管をオンにし、
少なくとも1つの前記交流偏向電圧の電圧値が前記第1の設定値と等しくない場合に、前記スイッチ管をオフにする。
本発明に記載の液晶表示パネルの製造方法において、前記交流偏向電圧の電圧値が負である場合において、
すべての前記交流偏向電圧の電圧値がいずれも第2の設定値と等しい場合に、前記スイッチ管をオンにし、
少なくとも1つの前記交流偏向電圧の電圧値が前記第2の設定値と等しくない場合に、前記スイッチ管をオフにする。
本発明に記載の液晶表示パネルの製造方法において、前記スイッチ管の入力端が前記交流偏向電圧の入力源に接続され、前記スイッチ管の出力端が前記カラーフィルム基板の透明電極に接続され、前記スイッチ管の制御端が制御信号に接続されている。
【0015】
本発明に記載の液晶表示パネルの製造方法において、各前記接続領域の交流偏向電圧の損失はすべて異なり、前記制御信号は、前記交流偏向電圧の損失が最大の接続領域の電圧値に基づいて生成される。
【0016】
本発明に記載の液晶表示パネルの製造方法において、前記交流偏向電圧は交流矩形波信号である。
【0017】
本発明に記載の液晶表示パネルの製造方法において、前記モノマーの材料はアルケニル化合物である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の液晶表示パネルの製造方法は、電圧を印加する前に、カラーフィルム基板の透明電極の入力電圧の大きさを検出し、各接続領域の入力電圧がすべて等しい場合に電圧を印加することにより、表示不良の問題を解消することができ、表示効果を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は従来の液晶表示パネルの構造模式図である。
【
図2】
図2は従来技術の、各接続領域に入力される交流偏向電圧の波形図である。
【
図3】
図3は本発明の液晶表示パネルの構造模式図である。
【
図4】
図4は本発明の液晶表示パネルの製造方法のフローチャートである。
【
図5】
図5は本発明の、各接続領域に入力される交流偏向電圧の波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の各実施例は、図面を参照して説明され、本発明の実施可能な特定の実施例を例示するものである。本発明でいう方向用語、例えば「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「内」、「外」、「側面」等は、図面における方向に過ぎない。よって、用いられる方向用語は、本発明を説明及び理解するためのもので、本発明を制限しない。
【0021】
図面において、構造が類似する単位を同一の符号で表示する。
図1は従来技術の液晶表示パネルの構造模式図である。
【0022】
従来の前記液晶表示パネルは、アレイ基板10、カラーフィルム基板11、及び前記アレイ基板10と前記カラーフィルム基板11との間に設けられた液晶層を含み、前記アレイ基板10の内表面と前記カラーフィルム基板11の内表面に前記液晶層における液晶分子15のプレチルト角を保持するためのポリマー配向膜14が設けられている。従来の液晶表示パネルの製造方法は、
前記アレイ基板10と前記カラーフィルム基板11とからなる液晶ボックスを作成し、前記液晶ボックスにモノマーを含有する液晶分子を注入するステップと、
前記アレイ基板10の透明電極12と前記カラーフィルム基板11の透明電極13との間に交流偏向電圧を印加することにより、前記液晶分子15にプレチルト角を形成させるステップと、
前記液晶表示パネルに紫外線を照射して、前記モノマーからポリマーを合成させることにより、前記アレイ基板10の内表面と前記カラーフィルム基板11の内表面にポリマー配向膜14を形成するステップと、
を含む。
【0023】
前記カラーフィルム基板11の透明電極13を複数の接続領域101-104に区画する。
通常は、前記液晶表示パネルのアレイ基板10のみに交流電圧源が設置され、例えば、金ボールによりアレイ基板10での交流電圧源の電源を前記カラーフィルム基板11に伝送し、且つ、前記交流電圧源の出力点は通常前記カラーフィルム基板11での1つの接続領域(例えば101)にあり、他の接続領域102-104の金ボールは、接続領域101での入力交流電圧源に接続回線により電気的に接続されており、入力交流電圧源から遠ければ遠いほど、回路が長く設置されるため、入力交流電圧源の極性変化の時に、入力交流電圧源から遠い接続領域の入力される交流電圧の損失が大きくなる。
図2に示すように、同一の時刻(t1)に交流電圧源から電圧値が同じである電圧を入力する場合の前記接続領域101の電圧の出力波形はC1、前記接続領域102の電圧の入力波形はC2、前記接続領域103の電圧の入力波形はC3、前記接続領域104の電圧の入力波形はC4である。
図2から明らかなように、C2、C3、C4の電圧が入力電圧の電圧値までゆっくり上昇し、時刻t2に、前記接続領域の入力交流電圧の電圧値が等しくなる。よって、入力電圧源のある接続領域(接続領域101)から遠ければ遠いほど、その対応する入力交流電圧の損失が大きく、その結果、各接続領域における液晶分子の偏向角が不一致となる。
【0024】
図3は本発明の液晶表示パネルの構造模式図である。
図3に示すように、本発明の前記液晶表示パネルは、アレイ基板20、カラーフィルム基板21、及び前記アレイ基板20と前記カラーフィルム基板21との間に設けられた液晶層を含み、前記アレイ基板20の内表面と前記カラーフィルム基板21の内表面に前記液晶層における液晶分子のプレチルト角を保持するためのポリマー配向膜24が設けられている。
【0025】
より良好な表示効果を発揮するため、前記カラーフィルム基板21の透明電極23を複数の接続領域201-204に区画する。
各前記接続領域と前記アレイ基板の透明電極23との間にいずれも金ボールが設けられており、且つ、前記交流電圧源の出力点は通常前記カラーフィルム基板21での1つの接続領域(例えば201)にあり、他の接続領域202-204の金ボールは、接続領域201での入力交流電圧源に接続回線により電気的に接続されている。
【0026】
図4に示すように、本発明の液晶表示パネルの製造方法は以下のステップを含む。
S201:前記アレイ基板と前記カラーフィルム基板からなる液晶ボックスを作成し、前記液晶ボックスにモノマーを含有する液晶分子を注入する。
ここで、前記モノマーの材料はアルケニル化合物である。前記液晶ボックスには、液晶配向剤をさらに注入してもよい。前記液晶配向剤は、ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリイミド及びポリオルガノシロキサンからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーである。
【0027】
S202:前記液晶表示パネルの各接続領域における前記アレイ基板の透明電極と、対応する前記カラーフィルム基板の透明電極との間の交流偏向電圧を検出する。
前記アレイ基板20の透明電極22と前記カラーフィルム基板21の透明電極23との間に交流偏向電圧を印加することにより、前記液晶分子25にプレチルト角を形成させる
好ましくは、前記アレイ基板20の透明電極22に共通電圧を印加し、前記カラーフィルム基板21の透明電極23に交流偏向電圧を印加する。前記交流偏向電圧は、例えば交流矩形波信号である。
【0028】
S203:すべての前記交流偏向電圧の電圧値がいずれも設定値と等しい場合に、前記アレイ基板の透明電極と前記カラーフィルム基板の透明電極との間に前記交流偏向電圧を印加する。
【0029】
S202の検出結果に基づいて、前記アレイ基板の透明電極22と前記カラーフィルム基板の透明電極23との間に前記交流偏向電圧を印加するか否かを確定する。前記設定値は前記交流偏向電圧の入力源の電圧値である。
【0030】
S204:前記液晶表示パネルに紫外線を照射して、前記モノマーからポリマーを合成することにより、前記アレイ基板20の内表面と前記カラーフィルム基板21の内表面にポリマー配向膜を形成する。
【0031】
前記S203は、以下のステップをさらに含む。
好ましくは、それぞれに各接続領域における前記カラーフィルム基板21の透明電極23と前記交流偏向電圧の入力源との間にスイッチ管を設け、前記スイッチ管により、対応する接続領域における前記カラーフィルム基板の透明電極23に交流偏向電圧を印加するか否かを制御する。
【0032】
すべての接続領域201-204の前記交流偏向電圧の電圧値がいずれも設定値(前記交流偏向電圧の入力源によって入力される電圧値)と等しい場合に、前記スイッチ管をオンにして、前記カラーフィルム基板の透明電極23に交流偏向電圧を印加する一方、少なくとも1つの前記交流偏向電圧の電圧値が前記設定値と等しくない場合に、前記スイッチ管をオフにして、前記カラーフィルム基板の透明電極23に交流偏向電圧を印加しない。
【0033】
前記交流偏向電圧の電圧値が正である場合において、前記交流偏向電圧の正の振幅値を第1の設定値と呼び、すべての前記交流偏向電圧の電圧値がいずれも前記第1の設定値と等しい場合に、前記スイッチ管をオンにする一方、少なくとも1つの前記交流偏向電圧の電圧値が前記第1の設定値と等しくない場合に、前記スイッチ管をオフにする。
【0034】
前記交流偏向電圧の電圧値が負である場合において、前記交流偏向電圧の負の振幅値を第2の設定値と呼び、すべての前記交流偏向電圧の電圧値がいずれも前記第2の設定値と等しい場合に、前記スイッチ管をオンにする一方、少なくとも1つの前記交流偏向電圧の電圧値が前記第2の設定値と等しくない場合に、前記スイッチ管をオフにする。
【0035】
前記スイッチ管の入力端が前記交流偏向電圧の入力源に接続され、前記スイッチ管の出力端が例えば金ボールにより前記カラーフィルム基板の透明電極に接続され、前記スイッチ管の制御端が制御信号に接続されている。
【0036】
各前記接続領域の交流偏向電圧の損失はすべて異なり、前記制御信号は、前記交流偏向電圧の損失が最大の接続領域の電圧値に基づいて生成される。例えば、交流偏向電圧の損失が最大の接続領域は204であり、前記接続領域204の交流偏向電圧の電圧値が前記交流偏向電圧の入力源によって入力される電圧値と等しい場合に、すべての前記接続領域のスイッチ管をオンにする。
【0037】
各前記スイッチ管の出力端と各前記接続領域における透明電極との間の接続回線の長さは等しいが、前記交流偏向電圧の入力源との間の回線の長さは等しくないため、各前記スイッチ管の入力端の電圧源の電圧値が等しい場合に、すべての前記スイッチ管をオンにするだけで、各前記接続領域の電圧損失の問題を回避することができる。
【0038】
具体的には、すべての前記スイッチ管の入力端の前記交流偏向電圧の電圧値が等しいかを検出し、電圧値が等しい場合に、すべての前記スイッチ管をオンにする。各接続領域における前記カラーフィルム基板の透明電極に出力する前に、前記交流偏向電圧の入力源から前記スイッチ管の入力端に交流偏向電圧を入力しているので、一定時間の入力後に、各前記スイッチ管の入力端の交流偏向電圧の電圧値が等しいか否かを検出する。
電圧を検出する際に、まず、各前記接続領域におけるスイッチ管をオンにし、各接続領域の入力される電圧値が前記設定値に到達するのに必要な時間(即ち、遅延時間、例えば、
図2におけるt2-t1の差)を取得してもよい。この場合には、各前記接続領域の前記スイッチ管をオフにし、交流偏向電圧の入力時間が前記遅延時間に達すると、各前記スイッチ管を再びオンにする。
【0039】
前記スイッチ管の制御により、まず、前記交流偏向電圧を前記スイッチ管の入力端に入力し、すべての前記スイッチ管の入力端に入力される交流偏向電圧の電圧値が等しい場合に、前記交流偏向電圧を各前記接続領域の透明電極に入力することにより、回線の長さが等しくないことによる電圧損失の問題が良好に回避され、液晶分子の偏向角の一致が確保される。
図5に示すように、前記接続領域201の電圧の出力波形はd1、前記接続領域202の電圧の入力波形はd2、前記接続領域203の電圧の入力波形はd3、前記接続領域204の電圧の入力波形はd4であり、
図5から明らかなように、d1-d4の出力波形が一致し、入力交流偏向電圧の損失の問題が存在しないことで、前記液晶表示パネルにおける液晶分子の偏向角が一致する。
【0040】
本発明の液晶表示パネルの製造方法は、電圧を印加する前に、カラーフィルム基板での透明電極の入力電圧の大きさを検出し、各接続領域の入力電圧がすべて等しい場合に、電圧を印加することにより、表示不良の問題を解消でき、表示効果を向上させる。
【0041】
上記より、本発明は好ましい実施例により開示されたが、上記の好ましい実施例は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨及び範囲を脱出しない限り、当業者であれば、様々な変更及び修飾を加えることができるため、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に基づくものである。