特許第6273485号(P6273485)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6273485
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】塗膜転写具
(51)【国際特許分類】
   B43L 19/00 20060101AFI20180129BHJP
   B43M 11/06 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
   B43L19/00 H
   B43M11/06
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-106145(P2013-106145)
(22)【出願日】2013年5月20日
(65)【公開番号】特開2014-226807(P2014-226807A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2016年5月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237237
【氏名又は名称】フジコピアン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 一也
(72)【発明者】
【氏名】藤井 圭介
(72)【発明者】
【氏名】峰岸 慶一郎
(72)【発明者】
【氏名】小崎 博史
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−157175(JP,A)
【文献】 特開2003−094887(JP,A)
【文献】 実開平05−031963(JP,U)
【文献】 特開2003−054191(JP,A)
【文献】 特開2004−009323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43L 19/00
B43M 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、基材テープに塗膜を設けた転写テープを繰出す繰出しリール、前記塗膜を被転写体に押圧して転写する転写ヘッド、転写後の基材テープを巻取る巻取りリール、及び両リールを連動させる連動手段を備えた塗膜転写具であって、
前記連動手段が前記繰出しリールに支持された繰出し側板、前記巻取りリールに支持された巻取り側板、及び両側板とそれぞれ接触するスリップローラを有する連動機構からなり、前記繰出し側板と前記巻取り側板の厚みが0.10mm〜1.0mmであり、前記スリップローラと対向する位置に、前記繰出し側板、前記巻取り側板とそれぞれ接触するように摩擦低減手段を設け、前記繰出し側板と前記巻取り側板は、前記摩擦低減手段と前記スリップローラにより挟み込まれた状態で配置されることを特徴とする塗膜転写具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材テープに修正用塗膜、接着用粘着剤、装飾用塗膜等の転写塗膜を設けた転写テープを被転写体に転写するために用いる塗膜転写具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の塗膜転写具では、転写テープの走行時に転写テープを繰出す繰出しリールと、転写後の基材テープを巻取る巻取りリールを連動させる連動手段として、繰出しリール、巻取りリールとそれぞれ同軸に配設した繰出しギア、巻取りギアを相互に噛合させる連動機構を備えた塗膜転写具(特許文献1)や、転写テープを繰出す繰出しリールと、転写後の基材テープを巻取る巻取りリールを連動回転させるベルト式連動機構を備えた塗膜転写具(特許文献2)などが一般的に用いられている。
【0003】
また、近年ユーザーによる塗膜転写具の小型化への要求に伴い、転写テープの薄膜化が進み、使用される基材もグラシン紙などの紙基材(40μm)から、離型処理をした薄膜(6〜12μm)の樹脂フィルムへと移行が進んでいる。その結果、転写テープを巻いている繰出しリールなどが小さくなり、塗膜転写具全体の小型化が進んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−54191
【特許文献2】特開2004−9323
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、繰出しギア、巻取りギアを相互に噛合させる連動機構を備えた塗膜転写具は、繰出しリールと巻取りリールを連動させるため一定厚み以上のギアが必要であり、また、繰出しリールと巻取りリールを連動回転させるベルト式連動機構を備えた塗膜転写具は、各リールを連動回転させるベルトとベルトの走行を案内するガイド部材の厚みが必要であるため、塗膜転写具の小型化のうち、薄型化への要求に対して未だ満足するものとは言い難かった。
【0006】
本発明は、このような従来例の欠点に着目して発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明は、少なくとも、基材テープに塗膜を設けた転写テープを繰出す繰出しリール、前記塗膜を被転写体に押圧して転写する転写ヘッド、転写後の基材テープを巻取る巻取りリール、及び両リールを連動させる連動手段を備えた塗膜転写具であって、
前記連動手段が前記繰出しリールに支持された繰出し側板、前記巻取りリールに支持された巻取り側板、及び両側板とそれぞれ接触するスリップローラを有する連動機構からなり、前記繰出し側板と前記巻取り側板の厚みが0.10mm〜1.0mmであり、前記スリップローラと対向する位置に、前記繰出し側板、前記巻取り側板とそれぞれ接触するように摩擦低減手段を設け、前記繰出し側板と前記巻取り側板は、前記摩擦低減手段と前記スリップローラにより挟み込まれた状態で配置されることを特徴とする塗膜転写具である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ギアを相互に噛合させる連動機構やベルト式連動機構と比較して、連動機構に用いる繰出し側板および巻取り側板の厚みを薄くすることが可能となり、従来の塗膜転写具より薄型の塗膜転写具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第一実施形態の塗膜転写具A。(ア)塗膜転写具のカバーを外した平面図。(イ)E−E断面のスリップローラ部の拡大図。
図2】本発明の第二実施形態の塗膜転写具B。(ア)塗膜転写具のカバーを外した平面図。(イ)F−F断面のスリップローラ部の拡大図。(ウ)G−G断面図。
図3】本発明の第三実施形態の塗膜転写具C。(ア)塗膜転写具のカバーを外した平面図。(イ)H−H断面のスリップローラ部の拡大図。
図4】本発明の第四実施形態の塗膜転写具D。(ア)塗膜転写具のカバーを外した平面図。(イ)J−J断面のスリップローラ部の拡大図。(ウ)K−K断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の第一実施形態の塗膜転写具を示し、(ア)はカバーを外した平面図、(イ)は図1(ア)で指示されたE−E断面のスリップローラ部の拡大図である。図1(ア)に示すように、本発明の塗膜転写具Aは、ケース1、基材テープに塗膜を設けた転写テープT1を繰出す繰出しリール2、前記塗膜を被転写体に押圧して転写する転写ヘッド3、転写後の基材テープT2を巻取る巻取りリール4、前記繰出しリールに支持された繰出し側板5と前記巻取りリールに支持された巻取り側板6、前記繰出し側板および前記巻取り側板とそれぞれ接触するスリップローラ7、およびカバー8(図示せず)から構成される。なお、前記転写ヘッドには図1(ア)に示したヘラ状の転写ヘッド以外に、ローラ状の転写ヘッドを用いても構わない。
【0011】
前記スリップローラ7は、図1(イ)に示すように、繰出し側板5および巻取り側板6と接触する弾性変形可能かつ摩擦力の高い弾性ローラ9、前記弾性ローラを固定する軸部10で構成される。前記スリップローラは、前記軸部を介してスリップローラ保持部材11に、回転可能な状態で保持される。
【0012】
なお、繰出し側板5と巻取り側板6は、厚みが薄くても強度が確保でき、かつスリップローラ7との接触により、前記スリップローラに回転力を伝達することが可能な任意の樹脂または金属により成形されたものが使用される。例えば、ABS、POM、ステンレスなどが挙げられる。
【0013】
前記繰出し側板5と前記巻取り側板6の厚みは、側板に金属を使用する場合、0.10mm〜1.0mmの範囲が好ましく、0.10mm〜0.30mmの範囲がより好ましい。側板の厚みが0.10mm未満であると打ち抜き成形時の加工性が悪く、側板の変形などによりスリップローラとの接触状態が不良となり、回転力の伝達不足が発生する。又、側板に樹脂を使用する場合、0.20mm〜1.0mmの範囲が好ましく、0.20mm〜0.50mmの範囲がより好ましい。側板の厚みが0.20mm未満であると射出成形時の加工性が悪く、側板の変形などによりスリップローラとの接触状態が不良となり、回転力の伝達不足が発生する。なお、側板の厚みが1.0mmを超えるとギアを相互に噛合させる連動機構やベルト式連動機構と比較して、薄型の優位性が保てない。
【0014】
図2は、本発明の第二実施形態の塗膜転写具を示し、(ア)はカバーを外した平面図、(イ)は図2(ア)で指示されたF−F断面のスリップローラ部の拡大図、(ウ)は図2(ア)で指示されたG−G断面図である。本発明の塗膜転写具Bのスリップローラ7は、図2(イ)に示すように、繰出し側板5および巻取り側板6と接触する弾性変形可能かつ摩擦力の高い弾性ローラ9、前記弾性ローラを固定する軸部10で構成される。前記スリップローラは、前記軸部を介してスリップローラ保持部材11に、回転可能な状態で保持される。また、前記繰出し側板と前記巻取り側板は、ケース1に設けられた突起部12と前記スリップローラにより挟み込まれた状態で配置される。
【0015】
図2(ウ)に示すように、スリップローラ保持部材11は、ケース1の嵌合部13で固定されており、スリップローラ7は繰出し側板5および巻取り側板6の方向に、前記スリップローラ保持部材の支持部14により、一定の圧力が掛かった状態で各側板側へ押付けられている。また、前記スリップローラと対向する前記ケースの位置には、前記繰出し側板および前記巻取り側板を介して突起部12が設けられている。この突起部12は、前記スリップローラにて前記ケース側へ押付けられる前記繰出し側板および前記巻取り側板の回転時におけるケースとの摩擦負荷を低減するための摩擦低減手段である。なお、この突起部はシボなどの微小な凸凹でもよく、又、ケースに固定されたものだけでなく、ケースに回転可能に設置されたものであってもよい。
【0016】
本発明では、繰出し側板5および巻取り側板6と接触する弾性ローラ9を、弾性変形可能かつ摩擦力の高い材料で構成することにより、転写操作による繰出し側板の回転力を確実に受け止め、その回転力を巻取り側板に伝達することができる。さらに、繰出しリールと巻取りリールの回転差をスリップして吸収することができる。
【0017】
前記弾性ローラ9に用いる弾性変形可能かつ摩擦力の高い材料としては、ポリウレタンエラストマー、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリアミドエラストマー、ナイロン12系エラストマー、ポリエステルエラストマー、アクリルゴム、NBR、イソプレンゴム、SBR、ブタジエンゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム等のエラストマーや各種ゴム材料が使用可能であり、中でも前記側板の材料に使用されるABSやPOM、ステンレス等との摩擦力が高いポリウレタンエラストマー、NBRを使用することが好ましい。
【0018】
図3は、本発明の第三実施形態の塗膜転写具を示し、(ア)はカバーを外した平面図、(イ)は図3(ア)で指示されたH−H断面のスリップローラ部の拡大図である。図3(イ)に示すように、本発明の塗膜転写具Cでは、スリップローラ7と対向する位置に、繰出し側板5、巻取り側板6を介して、スリップシート15を設ける。前記スリップシートは任意の方法によりケース1上に固定されており、前記繰出し側板および前記巻取り側板と接触するように設けられる。これにより、前記繰出し側板と前記巻取り側板は、ケース1に設けられたスリップシート15と前記スリップローラにより挟み込まれた状態で配置される。また、前記スリップシートはシート自体もしくはシート表面に易滑処理したものであり、前記繰出し側板および前記巻取り側板の回転時における摩擦負荷を低減するための摩擦低減手段である。易滑処理の方法としては、例えばシリコーン処理やフッ素処理の他に、シート中へのオイル添加や粒子添加、シートのブラスト処理などによる摩擦力低減の方法が挙げられる。なお、前記スリップシートに用いる基材としては、プラスチックフィルムやプラスチック板、紙などが挙げられる。
【0019】
図4は、本発明の第四実施形態の塗膜転写具を示し、(ア)はカバーを外した平面図、(イ)は図4(ア)で指示されたJ−J断面のスリップローラ部の拡大図、(ウ)は図4(ア)で指示されたK−K断面図である。図4(ア)に示すように、本発明の塗膜転写具Dは、ケース1、基材テープに塗膜を設けた転写テープT1を繰出す繰出しリール2、前記塗膜を被転写体に押圧して転写する転写ヘッド3、転写後の基材テープT2を巻取る巻取りリール4、前記繰出しリールに支持された繰出し側板5と前記巻取りリールに支持された巻取り側板6、前記繰出し側板および前記巻取り側板とそれぞれ接触するスリップローラ7、およびカバー8(図示せず)から構成される。
【0020】
前記スリップローラ7は、図4(イ)および(ウ)に示すように、繰出し側板5および巻取り側板6と接触する弾性変形可能かつ摩擦力の高い弾性ローラ9、前記弾性ローラを固定する軸部10で構成される。前記スリップローラは、前記軸部を介してケース1のスリップローラ固定軸16に回転可能な状態で、前記弾性ローラの幅方向側面が、繰出し側板および巻取り側板の外径端部と接する位置関係で配置される。
【0021】
前記スリップローラ7の前記各側板との対向面(図中カバー8側)には、一定の圧力が掛かった状態で各側板と接触するための固定部材17を有する。又、前記繰出し側板と前記巻取り側板は、ケース1に設けられた突起部12とスリップローラ7により挟み込まれた状態で配置されており、これにより前記ケースとの摩擦を抑え、スリップローラ回転力の低下を防止することができる。
【符号の説明】
【0022】
T1 転写テープ
T2 基材テープ
A,B,C,D 塗膜転写具
1 ケース
2 繰出しリール
3 転写ヘッド
4 巻取りリール
5 繰出し側板
6 巻取り側板
7 スリップローラ
8 カバー
9 弾性ローラ
10 軸部
11 スリップローラ保持部材
12 突起部
13 嵌合部
14 支持部
15 スリップシート
16 スリップローラ固定軸
17 固定部材
図1
図2
図3
図4