特許第6273604号(P6273604)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6273604
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】バラスト水の浄化方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/28 20060101AFI20180129BHJP
   B63B 13/00 20060101ALI20180129BHJP
   B63B 11/04 20060101ALI20180129BHJP
   B63B 35/44 20060101ALI20180129BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20180129BHJP
   C02F 1/40 20060101ALI20180129BHJP
   D04H 1/4382 20120101ALI20180129BHJP
   D04H 1/728 20120101ALI20180129BHJP
【FI】
   C02F1/28 A
   B63B13/00 Z
   B63B11/04 Z
   B63B35/44 F
   B01J20/26 H
   B01J20/26 J
   C02F1/28 N
   C02F1/40 E
   D04H1/4382
   D04H1/728
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-267897(P2013-267897)
(22)【出願日】2013年12月9日
(65)【公開番号】特開2015-112594(P2015-112594A)
(43)【公開日】2015年6月22日
【審査請求日】2016年12月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】510336819
【氏名又は名称】高橋 光弘
(72)【発明者】
【氏名】高橋 光弘
【審査官】 河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−184095(JP,A)
【文献】 特開昭49−061074(JP,A)
【文献】 特開昭52−006165(JP,A)
【文献】 特開2013−230453(JP,A)
【文献】 特開2013−227688(JP,A)
【文献】 特開2007−321246(JP,A)
【文献】 実開昭49−139670(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/28
C02F 1/40
B01J 20/00 − 20/34
B63B 1/00 − 69/00
B63J 1/00 − 99/00
D04H 1/00 − 18/04
D01D 1/00 − 13/02
E02B 15/00 − 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶のバラストタンク内のバラスト水面上に敷き詰められた親油撥水性ナノファイバーシートによって、バラスト水面上に漂着している油分やバクテリヤ類を吸着除去するようにしたバラスト水の浄化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶のバラストタンク内のバラスト水の浄化方法において、安価な親油撥水性ナノファイバーシートで且つ簡単な構成でバラスト水面上に漂着した油分とバクテリヤ類を吸着除去しょうとしたものである。
【背景技術】
【0002】
バラスト水とは、船舶のバラスト(重し)として用いられる水のことである。荷物を搭載しない状態で出港するとき、その出港地で海水などをバラストタンクに積み込み、荷を積み込む港で船外へ排出する。その際、そこに含まれている水生生物が外来種として生態系にダメージを与えることが大きな問題となっている。
船舶、特に貨物船は積載貨物などの重量を含めて設計されているため、空荷だと船の重心が上がり、復元性が低下し、喫水が下がるため、横波や横風に対して転覆しやすくなる。また、外力に対する応力強度が低下し、喫水が下がることで船橋視界が妨げられ、自船周囲の死角域が拡大し小型船と衝突する危険性が高くなる心配があった。
【0003】
また、プロペラが水面近くなるので、軸動力が推進力に変換される効率が下がり、最悪では空中に露出してしまうだけでなく、同様に舵も効きにくくなる。これらを防ぐため、船内に設けたバラストタンクに海水などを積んで、船体を安定させるようにしている。
【0004】
一般にバラスト水は大型船ほど大量に必要で、例えば17万トンクラスの貨物船の場合、空船時には約5万トンのバラスト水を積載する。また、船種によっても異なり、載貨重量トン数に対するバラスタンク容量は概ね、コンテナ船で30%、原油タンカーは40%、LPG船では80%に達する。
【0005】
国際海事機関(IMO)によると、年間約120億トンのバラスト水が世界中を移動していると推定されている。日本は、推定1700万トンのバラスト水が海外から持ち込まれ、逆に3億トンのバラスト水を海外に排出している。
【0006】
そこで、バラスト水内の外来種やバクテリヤ類を除去するために殺菌剤を使用しているが、バラスト水と共に海に廃棄している。これは殺菌剤を含んだバラスト水の海への廃棄は深刻な海の汚染となり得る。外洋でバラスト水を廃棄しても海流により乗り湾内に流れる可能性は否めない。
【0007】
また、従来フィルタの濾過により水中生物を除去する方法が考えられているが、比較的大型の水中生物はフィルタで除去できるものの、微生物を効率的に除去することが、困難である上、短期間の使用でフィルタの目詰まりが生じて圧力損失が高くなってしまいバラスト水の処理能力が低下してしまった。そこで、フィルタの目詰まりを解消するためフィルタの洗浄を所定の頻度で行う必要があるためその手間と費用が相当かかることから、一般には使用されなかった。
【0008】
さらに、バラスト水として汲み込まれる海水を加熱してバクテリヤ類を死滅させる方法などが考えられているが、加熱エネルギーの調達手段によっては経済的ではなく、またバクテリア類を完全に死滅させるのが困難である。また、海水に紫外線を照射する方法は、全てのバクテリア類を死滅または不活性させるために要する電力が膨大であり、また装置の設置コストを高騰させる。
【0009】
このように、海水中のバクテリア類を死滅させる方法は、前述の如く、バクテリア類の死滅に完全を期し難く、また、屍骸による汚染が生態系に与える影響も懸念されている。更に、死滅せずに残留した少量のバクテリヤ類が輸送中に増殖することから、これらのバクテリヤ類を完全に除去するにはいたらなかった。
【0010】
また、放水するバラスト水の中には油分も含まれているため、回転する円筒状プリーツフィルタを配置し、この円筒状プリーツフィルタを通過させて、油分を除去して放水するような試みが行われているが、この場合もフィルタ濾過表面に油分がこびりついて、たちまち機能を果たさなくなってしまうことから、実用化にはならなかった。
【0011】
このようなことから、バラスト水中のバクテリア類や油分を除去できる開発が切望されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のことから、本発明者は、バラスト水中の油分やバクテリア類を従来のような複数の生物的、物理的手段を用いることなく、1つの手段で除去できることに着目したものである。
【0013】
そのため、まずバラスト水の特性について考えてみる。
1.バラスト水に存在する油分やバクテリヤ類は毛細現象により除去が可能であること。
2.バラスト水の主は海水であること。
【0014】
これらのことを考慮すると、
1.バラスト水の浄化方法はバラスト水表面に親油撥水性ナノファイバーシートを敷き詰めることで、親油撥水性ナノファイバーシートに、バラスト水中の油分やバクテリヤ類を毛細現象により吸着除去するには最適であること。
2.親油撥水性ナノファイバーシートは、エマルジョン状態の油分を取り除くこと。
3.親油撥水性ナノファイバーシートは、微生物、バクテリヤ類なども除菌できる。
4.親油撥水性ナノファイバーシートは、目詰まりがないこと。
5.親油撥水性ナノファイバーシートは、圧力損失が少ないこと。
【0015】
次に、親油撥水性ナノファイバーシートの特性について述べる。
まず、親油撥水性ナノファイバーシートの特性としては、
1.ポリプロピレン,ポリエチレンなど親油撥水性ポリマーをナノファイバーシート化することで親油撥水性となる。
2.親油撥水性ナノファイバーシートは、端部同志を重ねて一体に延長しロール状に巻き 取ることができる。
3.非常に軽く、1kgで30mの広さにすることができる。
つまり、1.5m幅×100mのシートで重さが5kg程度である・
4.ペットボトルなど廃材から作ることができるため安価である。
【0016】
そこで、親油撥水性ナノファイバーシートを使用する理由について以下に示す。
1.親油撥水性ナノファイバーシートが安価であること。
(1)ペットボトルをリサイクルしてナノファイバー化することでペットボトルのゴミの処理を兼ねて安価な方式になる。
(2)1kgの親油撥水性ナノファイバーシートで30mの広さに使用することがで きる。
2.施工が簡単である。
(1)各親油撥水性ナノファイバーシートの端部を15〜30cm程度重ね合わせるだ けで一体に延長できること。
(2)親油撥水性ナノファイバーシートの毛管現象を利用して油分やバクテリヤ類の吸 着ができること。
(3)親油撥水性ナノファイバーシート水に毛管現象にて吸着した油分やバクテリヤ類 は飛散しなくなる。
(4)軽いこと。3m幅のナノファイバーシート100mで10kgである。
(5)重機を用いることなく、人力で操作可能であること。
3・複数の生物的、物理的手段を用いることなく、親油撥水性ナノファイバーシートを設置できること。
4.親油撥水性ナノファイバーシートを使用したバラスト水の浄化費用を算出すると、
材料代については、ペットボトルの廃材を利用する。現在、日本でリサイクルペットの価格が1kgあたり約40円である。また、ナノファイバーシートの作成には電気が必要であるが、太陽光を利用して対応するため無料となる。
バラストタンクの面積が1ha(100m×100m)と、1kgのペットボトルで約30平方メートルの領域が対応できるため、(10000/30)×40=333kgあれば対応可能である。費用は、333kg×40円=13,320円となる。
【0017】
そこで、本発明の第1の目的は親油撥水性ナノファイバーを活用してバラスト水の浄化を可能ならしめたことである。
【0018】
本発明のもう一つの目的は、重機が不要で人力だけといった簡単な方法で施工可能にしたことである。
【0019】
本発明のもう一つの目的は、安価な費用で且つランニング費用も安価にしたものである。
【0020】
本発明のもう一つの目的は、ペットボトルなどの産業廃棄物を利用し、環境保全に貢献しょうとしたことである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
そこで、本発明の第1の解決手段は、バラスト水の表面に親油撥水性ナノファイバーシートを敷き詰めることである。
【0022】
本発明の第2の解決手段は、親油撥水性ナノファイバーシートを巻取りロールで順次巻き取るように駆動させ、親油撥水性ナノファイバーシートがたるむことなく一定の張力を掛けた状態で張り付けるようにしたことである。
【0023】
本発明の第3の解決手段は、巻取りロールで油分やバクテリヤ類を含んだバラスト水を圧縮して絞り取り、さらに再び親油撥水性ナノファイバーシートを圧縮して絞り取った状態から繰り出された際に性能上必要となる親油撥水性ナノファイバーシートの厚みにまで回復させるようにしたことである。
【0024】
本発明の第4の解決手段は、再びバラスト水の表面に親油撥水性ナノファイバーシートを敷き詰めたことである。
【0025】
ここで、親油撥水性ナノファイバーシートはエアーブロー方式の電界紡糸法あるいは溶融電界紡糸法で繊維径が10nm〜1μmのナノファイバーからなる薄い層を積層して製作する。この場合、エアーブロー方式の電界紡糸法あるいは溶融電界紡糸法で製造すると、均一の層厚の親油撥水性ナノファイバーシートを大量生産でき好ましい。
【0026】
そして、エアーブロー方式の電界紡糸法あるいは溶融電界紡糸法に使用する親油撥水性ナノファイバーシートの素材は、ポリプロピレンやポリエチレンあるいはポリエステルなどの熱可塑性ポリマー性ペットボトルがそのまま利用される。特にペットボトルについては、イラク、アフガニスタン、サウジアラビアなどの国では、飲料水などの水の供給にペットボトルが使用されていることから、産業廃棄物の処理で大変な問題となっており、これを使用することにより産業廃棄物の減少につなげられ環境保全に大いに貢献できるものである。
【0027】
また、親油撥水性ナノファイバーシートの機能は、下記のような特徴を有している。
(1)エマルジョン状態の油を回収できること。
(2)微生物、バクテリヤなども除菌できること。
(3)目詰まりが少ないこと。
(4)圧損が少ないこと。
【0028】
上記課題解決手段による作用は次の通りである。バラスト水の表面に親油撥水性ナノファイバーシートを敷き詰めることにより、バラスト水面上に漂着した油分やバクテリヤ類は親油撥水性ナノファイバーシートに吸着される。このとき、親油撥水性ナノファイバーシートは比表面積が大きいため大量に吸着される。
親油撥水性ナノファイバーシートは親油性でありながら撥水性であることから、バラスト水を殆ど吸着せず、比重が水よりも軽いため、油分やバクテリヤ類を吸着後もバラスト水面に浮遊し続けるものである。
【0029】
この時、油分やバクテリヤ類を吸着した親油撥水性ナノファイバーシートは絞り機能を有する巻取りロールで順次巻き取られる。次に、順次巻き取られた油分やバクテリヤ類が吸着された親油撥水性ナノファイバーシートは絞り取られ初期の親油撥水性ナノファイバーシートの厚みにまで回復させられ、そして、ローラーを介して親油撥水性ナノファイバーシートがたるむことなく一定の張力を掛けた状態で張り付けるようにバラスト水面上に再び敷き詰められ、油分やバクテリヤ類が吸着される。
【0030】
また、巻取りロールにより絞り取られた油分やバクテリヤ類は回収タンクに回収される。
【0031】
このように簡単な手段により、また低コストでバラスト水面上の油分やバクテリヤ類を除去しょうとしたものである。
【発明の効果】
【0032】
(1)バラスト水放出域における油分やバクテリヤ類などの汚濁物による汚染を抑えることができる。
(2)バラスト水面上の油分やバクテリア類の除去を行う場合、従来はそれぞれ油分除去手段、バクテリヤ類の除去手段が別々にとられているため、設備費用が相当がかかる上、設置場所も相当の広さを要した。これに対し本発明はバラスト水面に親油撥水性ナノファイバーシートを敷き詰めるだけといった1つの手段で油分やバクテリヤ類などの除去を可能にしたことである。
(3)上甲板上への取り付けに大幅な設計変更作業が必要とならず、簡易な設計変更で足るので、新造船舶および既造船舶への取り付けが非常に容易である。
(4)運転費用を節減することができるという利点がある。
(5)船舶に貯留されたバラスト水を排出するときには、バラスト水に含まれる微生物や細菌が基準値を満たすことができるようなバラスト水の浄化を実現することができる。
(6)石油タンカーについて考えると油分の流出のため、現在はバラスト水専用のタンクを用意している。これをポリプロピレン、ポリエチレンの親油撥水性ナノファイバーシートによって油水分離をすることによって、バラスト水タンクにも油が積めるようになり、更に従来のバラスト水タンクを持たないタンカーも使用可能となる。
現在の石油の輸送量を必要な量であると考えた場合、この手法を用いることで、
1.輸送コストが40%下がる。
2.バラスト水量が40%減る。
3.従来のバラストタンクを持たないタンカーが使用できる。
4.タンカーの製造コストが大幅に削減できる。
などの効果が期待できる。
(7)単純な構成で大量生産を可能にしたので、生産コストも低減できる上、消費電力やメンテナンスコストもかからずコストの面で多大な効果があること。
(8)単純な装置であるので、扱い易く、保守に手間がかからないといった効果があること。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の実施形態を示す概念図。
図2】本発明に使用する親油撥水性ナノファイバーシートを示す図。
図3】油タンクの一例を示す図。
図4】油タンクのバラスト水面上に油が残留した状態を示す図。
図5図4の状態で親油撥水性ナノファイバーシートを敷き詰めた状態を示す図。
図6】親油撥水性ナノファイバーシートに油が含浸した状態を示す図。
図7】バランス水面上から親油撥水性ナノファイバーシートを取り除いた状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0034】
(実施例)
以下、バラスト水面上に漂着している油分やバクテリヤ類などを吸着除去する実施例を図に基づいて説明する。
【0035】
まず、図1について、1は船舶の上甲板の一角に取り付けた送り出しローラで、相対するドラム2、2‘から構成されている。そして、いずれかの片方のドラムの末端は動力伝達機構(図示せず)に接続され、送り出しローラ1が回転稼働できるようになっている。また、2本のドラム2、2‘の間隙は親油撥水性ナノファイバーシート3の所定厚みに相当する間隙が設けられ、親油撥水性ナノファイバーシート3を送り出す機能が形成されている。したがって、2本のドラム2、2‘の間隙は任意に設定できるようになっている。
【0036】
4は回転自在のガイドローラーで、バラスト水5面上に敷き詰められた親油撥水性ナノファイバーシート3を送り出しローラ1へ搬送する機能を有している。6も回転自在のガイドローラーで、送り出しローラ1から送り出された親油撥水性ナノファイバーシート3を案内し、他方に取り付けた回転自在のガイドローラー7に案内するようになっている。
【0037】
さらに、ガイドローラー7に案内された親油撥水性ナノファイバーシート3はバラスト水5面上に導かれ、バラスト水5面上を這うように敷き詰められた状態で走行するように送り出しロール1に引っ張られるように構成されている。このことから、親油撥水性ナノファイバーシート3はバラスト水5面上を移動するようになっている。
【0038】
また、図2は電界紡糸法あるいは溶融電界紡糸法により生成した親油撥水性ナノファイバーシート3を示すもので各親油撥水性ナノファイバーシート3‘の接合部を熱溶着あるいは縫合あるいは接着材により一体に接合され無端ベルト形状に形成されている。
【0039】
次に、本発明のバラスト水の浄化方法の作動について説明する。
まず、バラスト水5面上に敷き詰められた親油撥水性ナノファイバーシート3によって、バラスト水5面上に漂着している油分やバクテリヤ類が吸着除去される。このとき、親油撥水性ナノファイバーシート3はナノファイバーよりなる緻密な高密度捕捉機能を備えた超微細孔が形成されたナノファイバー層から構成されていることと、撥水性であることからバラスト水面上に漂着した油とバクテリヤ類を海水と分離して大量に吸着除去される。
【0040】
次に、油とバクテリヤ類を吸着した親油撥水性ナノファイバーシート3は、動力伝達機構(図示せず)に接続されて回転稼働している送り出しロール1により、ガイドローラー4を経由しバラスト水5面上を走行してドラム2、2‘の間隙に引っ張られるように移動する。
【0041】
そして、移動した油とバクテリヤ類を吸着した親油撥水性ナノファイバーシート3はドラム2、2‘間に挿入し、親油撥水性ナノファイバーシート3に吸着した油とバクテリヤ類は送り出しロール1で絞り取られ、再び当初のようなフレッシュな親油撥水性ナノファイバーシート3となって送り出されてガイドローラー6、7を経由してバラスト水5面上に導かれ、バラスト水5面上を這うように敷き詰められ再びバラスト水5面上に漂着した油とバクテリヤ類を吸着するようになっている。このように親油撥水性ナノファイバーシート3は循環サイクルとして構成されており、親油撥水性ナノファイバーシート3を使用することにより低コストでバラスト水5面上に漂着した油分とバクテリヤ類を吸着除去できるものである。
【0042】
また、送り出しロール1で絞り取られた油分とバクテリヤ類は、回収タンク8に溜まるように構成されている。さらに、絞り取られた油分とバクテリヤ類は、親油撥水性ナノファイバーシート3から構成したプリーツ形状のフィルタでろ過し油分のみを分離して回収することができる。回収後は再処理をして再利用することができる。
【0043】
図3は、バラストタンク量が全搭載量の約40%に相当する2重船殻構造のバラストタンク9を示し、このバラストタンク9の空間に無駄なくバラスト水5を充填した状態を示したものである。
【0044】
図4は、油を搭載するタンクにバラスト水5を入れた際、残留した油10がバラスト水5表面上を浮遊している状態を示すものである。
【0045】
図5は、残留した油10面に、ポリプロピレンとポリエチレンから製作した親油撥水性ナノファイバーシート3を敷き詰めた状態を示すものである。
【0046】
図6は、残留した油10が親油撥水性ナノファイバーシート3に吸着した状態を示すものである。
【0047】
図7は、残留した油10を吸着した親油撥水性ナノファイバーシート3を除去した状態を示すものである。
【0048】
なお、本発明は前記実施形態そのままに限定されるものでなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化でき、また前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の変更が可能である。例えば、上記実施例では油撥水性ナノファイバーシートで油分とバクテリヤ類を吸着除去できるようにしたが、油撥水性ナノファイバーシートでプリーツ形状のフィルタを形成し、このフィルタで油分とバクテリヤ類を吸着除去しても本発明の範囲を逸脱するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0049】
バラスト水の海への廃棄は深刻な海への汚染となるため種々の工夫がなされ処理されて海へ廃棄されているが、設置コストや運転コストに相当の費用がかかり、安価な処理方法が望まれていた。そこで本発明は安価な油撥水性ナノファイバーシートで且つ簡単な構成でバラスト水面上に漂着した油分とバクテリヤ類を吸着除去しょうとしたもので、本発明は産業上極めて利用価値の高いものである。
【符号の説明】
【0050】
1・・・送り出しローラ 2、2‘・・・ドラム
3・・・親油撥水性ナノファイバーシート
4、6,7・・・ガイドローラー
5・・・バラスト水 8・・・回収タンク
9・・・バラストタンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7