【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のことから、本発明者は、バラスト水中の油分やバクテリア類を従来のような複数の生物的、物理的手段を用いることなく、1つの手段で除去できることに着目したものである。
【0013】
そのため、まずバラスト水の特性について考えてみる。
1.バラスト水に存在する油分やバクテリヤ類は毛細現象により除去が可能であること。
2.バラスト水の主は海水であること。
【0014】
これらのことを考慮すると、
1.バラスト水の浄化方法はバラスト水表面に親油撥水性ナノファイバーシートを敷き詰めることで、親油撥水性ナノファイバーシートに、バラスト水中の油分やバクテリヤ類を毛細現象により吸着除去するには最適であること。
2.親油撥水性ナノファイバーシートは、エマルジョン状態の油分を取り除くこと。
3.親油撥水性ナノファイバーシートは、微生物、バクテリヤ類なども除菌できる。
4.親油撥水性ナノファイバーシートは、目詰まりがないこと。
5.親油撥水性ナノファイバーシートは、圧力損失が少ないこと。
【0015】
次に、親油撥水性ナノファイバーシートの特性について述べる。
まず、親油撥水性ナノファイバーシートの特性としては、
1.ポリプロピレン,ポリエチレンなど親油撥水性ポリマーをナノファイバーシート化することで親油撥水性となる。
2.親油撥水性ナノファイバーシートは、端部同志を重ねて一体に延長しロール状に巻き 取ることができる。
3.非常に軽く、1kgで30m
2の広さにすることができる。
つまり、1.5m幅×100mのシートで重さが5kg程度である・
4.ペットボトルなど廃材から作ることができるため安価である。
【0016】
そこで、親油撥水性ナノファイバーシートを使用する理由について以下に示す。
1.親油撥水性ナノファイバーシートが安価であること。
(1)ペットボトルをリサイクルしてナノファイバー化することでペットボトルのゴミの処理を兼ねて安価な方式になる。
(2)1kgの親油撥水性ナノファイバーシートで30m
2の広さに使用することがで きる。
2.施工が簡単である。
(1)各親油撥水性ナノファイバーシートの端部を15〜30cm程度重ね合わせるだ けで一体に延長できること。
(2)親油撥水性ナノファイバーシートの毛管現象を利用して油分やバクテリヤ類の吸 着ができること。
(3)親油撥水性ナノファイバーシート水に毛管現象にて吸着した油分やバクテリヤ類 は飛散しなくなる。
(4)軽いこと。3m幅のナノファイバーシート100mで10kgである。
(5)重機を用いることなく、人力で操作可能であること。
3・複数の生物的、物理的手段を用いることなく、親油撥水性ナノファイバーシートを設置できること。
4.親油撥水性ナノファイバーシートを使用したバラスト水の浄化費用を算出すると、
材料代については、ペットボトルの廃材を利用する。現在、日本でリサイクルペットの価格が1kgあたり約40円である。また、ナノファイバーシートの作成には電気が必要であるが、太陽光を利用して対応するため無料となる。
バラストタンクの面積が1ha(100m×100m)と、1kgのペットボトルで約30平方メートルの領域が対応できるため、(10000/30)×40=333kgあれば対応可能である。費用は、333kg×40円=13,320円となる。
【0017】
そこで、本発明の第1の目的は親油撥水性ナノファイバーを活用してバラスト水の浄化を可能ならしめたことである。
【0018】
本発明のもう一つの目的は、重機が不要で人力だけといった簡単な方法で施工可能にしたことである。
【0019】
本発明のもう一つの目的は、安価な費用で且つランニング費用も安価にしたものである。
【0020】
本発明のもう一つの目的は、ペットボトルなどの産業廃棄物を利用し、環境保全に貢献しょうとしたことである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
そこで、本発明の第1の解決手段は、バラスト水の表面に親油撥水性ナノファイバーシートを敷き詰めることである。
【0022】
本発明の第2の解決手段は、親油撥水性ナノファイバーシートを巻取りロールで順次巻き取るように駆動させ、親油撥水性ナノファイバーシートがたるむことなく一定の張力を掛けた状態で張り付けるようにしたことである。
【0023】
本発明の第3の解決手段は、巻取りロールで油分やバクテリヤ類を含んだバラスト水を圧縮して絞り取り、さらに再び親油撥水性ナノファイバーシートを圧縮して絞り取った状態から繰り出された際に性能上必要となる親油撥水性ナノファイバーシートの厚みにまで回復させるようにしたことである。
【0024】
本発明の第4の解決手段は、再びバラスト水の表面に親油撥水性ナノファイバーシートを敷き詰めたことである。
【0025】
ここで、親油撥水性ナノファイバーシートはエアーブロー方式の電界紡糸法あるいは溶融電界紡糸法で繊維径が10nm〜1μmのナノファイバーからなる薄い層を積層して製作する。この場合、エアーブロー方式の電界紡糸法あるいは溶融電界紡糸法で製造すると、均一の層厚の親油撥水性ナノファイバーシートを大量生産でき好ましい。
【0026】
そして、エアーブロー方式の電界紡糸法あるいは溶融電界紡糸法に使用する親油撥水性ナノファイバーシートの素材は、ポリプロピレンやポリエチレンあるいはポリエステルなどの熱可塑性ポリマー性ペットボトルがそのまま利用される。特にペットボトルについては、イラク、アフガニスタン、サウジアラビアなどの国では、飲料水などの水の供給にペットボトルが使用されていることから、産業廃棄物の処理で大変な問題となっており、これを使用することにより産業廃棄物の減少につなげられ環境保全に大いに貢献できるものである。
【0027】
また、親油撥水性ナノファイバーシートの機能は、下記のような特徴を有している。
(1)エマルジョン状態の油を回収できること。
(2)微生物、バクテリヤなども除菌できること。
(3)目詰まりが少ないこと。
(4)圧損が少ないこと。
【0028】
上記課題解決手段による作用は次の通りである。バラスト水の表面に親油撥水性ナノファイバーシートを敷き詰めることにより、
バラスト水面上に漂着した油分やバクテリヤ類は親油撥水性ナノファイバーシートに吸着される。このとき、親油撥水性ナノファイバーシートは比表面積が大きいため大量に吸着される。
親油撥水性ナノファイバーシートは親油性でありながら撥水性であることから、
バラスト水を殆ど吸着せず、比重が水よりも軽いため、油分やバクテリヤ類を吸着後もバラスト水面に浮遊し続けるものである。
【0029】
この時、油分やバクテリヤ類を吸着した親油撥水性ナノファイバーシートは絞り機能を有する巻取りロールで順次巻き取られる。次に、順次巻き取られた油分やバクテリヤ類が吸着された親油撥水性ナノファイバーシートは絞り取られ初期の親油撥水性ナノファイバーシートの厚みにまで回復させられ、そして、ローラーを介して親油撥水性ナノファイバーシートがたるむことなく一定の張力を掛けた状態で張り付けるようにバラスト水面上に再び敷き詰められ、油分やバクテリヤ類が吸着される。
【0030】
また、巻取りロールにより絞り取られた油分やバクテリヤ類は回収タンクに回収される。
【0031】
このように簡単な手段により、また低コストで
バラスト水面上の油分やバクテリヤ類を除去しょうとしたものである。
【発明の効果】
【0032】
(1)バラスト水放出域における油分やバクテリヤ類などの汚濁物による汚染を抑えることができる。
(2)
バラスト水面上の油分やバクテリア類の除去を行う場合、従来はそれぞれ油分除去手段、バクテリヤ類の除去手段が別々にとられているため、設備費用が相当がかかる上、設置場所も相当の広さを要した。これに対し本発明はバラスト水面に親油撥水性ナノファイバーシートを敷き詰めるだけといった1つの手段で油分やバクテリヤ類などの除去を可能にしたことである。
(3)上甲板上への取り付けに大幅な設計変更作業が必要とならず、簡易な設計変更で足るので、新造船舶および既造船舶への取り付けが非常に容易である。
(4)運転費用を節減することができるという利点がある。
(5)船舶に貯留されたバラスト水を排出するときには、バラスト水に含まれる微生物や細菌が基準値を満たすことができるようなバラスト水の浄化を実現することができる。
(6)石油タンカーについて考えると油分の流出のため、現在はバラスト水専用のタンクを用意している。これをポリプロピレン、ポリエチレンの親油撥水性ナノファイバーシートによって油水分離をすることによって、バラスト水タンクにも油が積めるようになり、更に従来のバラスト水タンクを持たないタンカーも使用可能となる。
現在の石油の輸送量を必要な量であると考えた場合、この手法を用いることで、
1.輸送コストが40%下がる。
2.バラスト水量が40%減る。
3.従来のバラストタンクを持たないタンカーが使用できる。
4.タンカーの製造コストが大幅に削減できる。
などの効果が期待できる。
(7)単純な構成で大量生産を可能にしたので、生産コストも低減できる上、消費電力やメンテナンスコストもかからずコストの面で多大な効果があること。
(8)単純な装置であるので、扱い易く、保守に手間がかからないといった効果があること。