(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記演算制御部は、前記非補給期間毎に、前記第1演算部で算出される前記被供給物の前記搬送量の積算値と前記第2演算部で算出される前記被供給物の搬送量の積算値との差を、前記演算誤差として算出する、
請求項2に記載の定量供給装置。
前記演算制御部は、前記第1演算部で算出される前記被供給物の前記搬送量又は前記第2演算部で算出される前記被供給物の前記搬送量が、目標搬送量となるように前記搬送部の搬送速度を制御する、
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の定量供給装置。
【背景技術】
【0002】
後掲の特許文献1には、上記定量供給装置の一例が開示されている。
図6に示されるように、特許文献1の
図2に図示された定量供給装置は、計量ホッパ20と、計量装置24と、排出コンベアスケール23と、計量装置25と、サーボモータ26と、スイッチ30と、制御器28と、制御器33と、モータ制御器29とを有する。
【0003】
計量ホッパ20は、供給フィーダ22を介して貯槽21から供給された被供給物(物品)を貯留する。計量装置24は、計量ホッパ20の重量を計量する。
【0004】
排出コンベアスケール23は、計量ホッパ20内の被供給物を排出する。計量装置25は、排出コンベアスケール23の重量を計量する。
【0005】
制御器28は、計量装置24による計量結果に基づいて、被供給物の流量を演算する。制御器33は、計量装置25による計量結果に基づいて、被供給物の流量を演算する。
【0006】
スイッチ30は、貯槽21から計量ホッパ20に被供給物が供給されていない間、制御器
28側の接点
31に接続される。また、スイッチ30は、貯槽21から計量ホッパ20に被供給物が供給されている間、制御器
33側の接点
32に接続される。
【0007】
モータ制御器29は、排出コンベアスケール23に設けられているサーボモータ26を制御する。
【0008】
以上の構成により、貯槽21から計量ホッパ20に被供給物が供給されていない間、被供給物の排出流量は、制御器
28により制御される。また、貯槽21から計量ホッパ20に被供給物が供給されている間、被供給物の排出流量は、制御器
33により制御される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、一般に、コンベヤスケールは、コンベヤベルト上の物品重量を検出するため、コンベヤベルトの張力変動やコンベヤベルトに対する被供給物の付着などに起因した計量誤差を生じる場合がある。
【0011】
このため、特許文献1の定量供給装置では、コンベヤスケールに計量誤差が生じた場合、予め設定された被供給物の設定流量とコンベヤスケールから排出される被供給物の実際の排出流量とに誤差が生じて、計量精度が低下するおそれがある。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するため、計量精度の低下を抑制することが可能な定量供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0014】
(1)本発明の定量供給装置は、被供給物を貯留する貯留部と、前記貯留部から送出される前記被供給物を搬送する搬送部とを備え、前記被供給物の定量供給を行う定量供給装置において、前記搬送部の搬送路上に送出される前記被供給物の荷重を検出する第1荷重検出部と、前記貯留部および前記搬送部の荷重を検出する第2荷重検出部と、前記搬送部の搬送速度を検出する速度検出部と、前記第1荷重検出部における検出結果と前記速度検出部における検出結果とに基づいて前記被供給物の搬送量を算出する第1演算部と、前記第2荷重検出部における検出結果に基づいて前記被供給物の搬送量を算出する第2演算部と、前記第1演算部における演算結果と前記第2演算部における演算結果とに基づいて当該第1演算部に生じる演算誤差を算出すると共に、前記第1演算部の演算結果又は前記第2演算部の演算結果に基づいて、前記搬送部の搬送速度を制御する演算制御部とを備え、前記第1演算部は、前記演算制御部で算出される前記演算誤差に基づいて、
該演算誤差が生じないように前記第1荷重検出部の零点補正を行うことによって、当該第1演算部における演算を補正する。
【0015】
被供給物を搬送する搬送路上の被供給物の荷重を検出する第1荷重検出部では、例えば、被供給物の搬送に伴う振動や搬送路への被供給物の付着等が生じ易く、この第1荷重検出部の検出結果に基づいて被供給物の搬送量を算出する第1演算部では、計量誤差である演算誤差が生じる場合がある。
【0016】
本発明によれば、第1演算部の演算結果と第2演算部の演算結果とに基づいて、第1演算部で生じる演算誤差を算出し、当該第1演算部における演算を補正するので、被供給物を搬送する際に生じる、例えば被供給物の搬送に伴う振動や搬送路への被供給物の付着等による計量誤差を補正して計量精度を向上させることができる。
【0017】
更に、演算制御部は、第1演算部の演算結果又は第2演算部の演算結果に基づいて、搬送部の搬送速度を制御するので、計量精度の高い側の演算部の演算結果を選択し、選択した演算結果に基づいて、搬送部の搬送速度を制御することができる。
【0018】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記貯留部には、貯留される前記被供給物が所定の重量範囲内を維持するように、補給期間毎に前記被供給物が繰返し補給されるものであり、
前記演算制御部は、前記貯留部に被供給物が補給されている前記補給期間は、前記第1演算部の演算結果に基づいて、前記搬送部の搬送速度を制御する一方、前記貯留部に被供給物が補給されていない非補給期間は、前記第2演算部の演算結果に基づいて、前記搬送部の搬送速度を制御するものであって、かつ、前記非補給期間における、前記第1演算部の演算結果と前記第2演算部の演算結果とに基づいて前記演算誤差を算出する。
【0019】
貯留部へ被供給物が補給される補給期間では、貯留部への被供給物の供給に伴う衝撃等によって、貯留部および搬送部の荷重を検出する第2荷重検出部の荷重信号が変動し、このため、第2演算部では、被供給物の搬送量を正確に算出することができない。
【0020】
この実施態様によると、貯留部に被供給物が補給されていない非補給期間では、被供給物の供給に伴う衝撃等が生じないので、第2荷重検出部の検出結果を用いる第2演算部による被供給物の搬送量に基づいて、搬送部の搬送速度を制御する一方、補給期間では、被供給物の供給に伴う衝撃等が生じるので、第2検出部の検出結果ではなく、第1荷重検出部の検出結果を用いる第1演算部による被供給物の搬送量に基づいて、搬送部の搬送速度を制御する。これによって、非補給期間及び補給期間のいずれの期間においても、第2荷重検出部又は第1荷重検出部の検出結果に基づいて、搬送部の搬送速度を制御することができる。
【0021】
また、貯留部への被供給物の補給による衝撃等の影響がない非補給期間における、第1演算部の演算結果と第2演算部の演算結果とに基づいて、第1演算部の演算誤差を算出するので、演算誤差を正確に算出することができる。
【0022】
(3)上記(2)の実施態様では、前記演算制御部は、前記非補給期間毎に、前記第1演算部で算出される前記被供給物の前記搬送量の積算値と前記第2演算部で算出される前記被供給物の搬送量の積算値との差を、前記演算誤差として算出する。
【0023】
この実施態様によると、非補給期間毎に、第1演算部で算出される被供給物の搬送量の積算値と第2演算部で算出される被供給物の搬送量の積算値との差を、第1演算部の演算誤差として算出するので、非補給期間毎に最新の演算誤差を算出することができる。
【0024】
(4)前記第1演算部は、前記演算誤差が算出された非補給期間の次の補給期間で前記演算誤差が生じないように補正する。
【0025】
この実施態様によると、非補給期間で第1演算部の演算誤差が算出されると、次の補給期間では、その演算誤差が生じないように補正されるので、演算制御部では、補給期間毎に、補正された第1演算部の演算結果に基づいて、搬送部の搬送速度を制御することができる。
【0026】
(5)本発明の好ましい実施態様では、前記演算制御部は、前記第1演算部で算出される前記被供給物の前記搬送量又は前記第2演算部で算出される前記被供給物の前記搬送量が、目標搬送量となるように前記搬送部の搬送速度を制御する。
【0027】
この実施態様によると、第1演算部で算出される被供給物の搬送量又は第2演算部で算出される被供給物の搬送量が、目標搬送量となるように搬送部の搬送速度を制御するので、被供給物の搬送量が目標搬送量となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、第1演算部の演算結果と第2演算部の演算結果とに基づいて、第1演算部で生じる演算誤差を算出し、当該第1演算部における演算を補正するので、被供給物を搬送する際に生じる、例えば被供給物の搬送に伴う振動や搬送路への被供給物の付着等による計量誤差を補正して計量精度を向上させることができる。
【0029】
更に、演算制御部は、第1演算部の演算結果又は第2演算部の演算結果に基づいて、搬送部の搬送速度を制御するので、計量精度の高い側の演算部の演算結果を選択して搬送部の搬送速度を制御することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0032】
図1は、本発明の一実施形態に係る定量供給装置の概略構成図である。
【0033】
この実施形態の定量供給装置1は、被供給物、例えば、粉粒体2を、貯留部である貯槽3からコンベヤスケール4によって連続的に定量供給するものであり、例えば、粉粒体2である粉炭などの石炭を、火力発電所の燃焼炉に定量供給するものである。
【0034】
コンベヤスケール4は、粉粒体2を矢符A方向へ搬送する搬送部としてのベルトコンベヤ5の搬送方向の下流寄りに配置された計量キャリア(計量ローラ)11と、計量キャリア11を支持するロードセル等の第1荷重センサ12とを備えており、ベルトコンベヤ5の一定長さに亘る荷重検出領域上における粉粒体2の重量を検出する。
【0035】
また、コンベヤスケール4には、ベルトコンベヤ5の速度を検出して速度に応じたパルス信号を出力する速度検出器13が設けられている。
【0036】
第1荷重センサ12の検出出力及び速度検出器13のパルス信号は、制御装置9の第1演算部14に与えられる。
【0037】
この定量供給装置1では、粉粒体2を貯留する貯槽3及びコンベヤスケール4を構成するベルトコンベヤ5の全体が、架台6を介してロードセル等の第2荷重センサ7によって支持されており、粉粒体2を貯留する貯槽3及び粉粒体2を搬送するベルトコンベヤ5を含む全体の重量を検出するように構成されている。第2荷重センサ7の検出出力は、制御装置9の第2演算部10に与えられる。
【0038】
貯槽3の下部の排出口には、搬送路であるベルトコンベヤ5上に排出する粉粒体2の層厚を規制する層厚設定ゲート3aが設けられている。この層厚設定ゲート3aは、粉粒体2が予め所定の層厚で排出されるように設定されている。
【0039】
貯槽3の上方には、粉粒体2を補給する供給コンベヤからなる補給装置8が配置されている。この補給装置8は、貯槽3内の粉粒体2の重量が下限値になると、貯槽3への粉粒体2の補給を開始し、貯槽3内の粉粒体2の重量が上限値に達すると、粉粒体2の補給を停止する。したがって、補給装置8からの粉粒体2の補給は、貯槽3内の粉粒体2の重量が下限値になる度に、繰返し行われ、貯槽3内の粉粒体2は、下限値から上限値までの所定の重量範囲に維持される。
【0040】
この補給装置8は、制御装置9によってその駆動が制御される。すなわち、制御装置9は、貯槽3及びベルトコンベヤ5の全体の重量を検出する第2荷重センサ7の検出出力に基づいて、貯槽3内の粉粒体2の重量が下限値になると、補給装置8を駆動して貯槽3への粉粒体2の補給を開始し、貯槽3内の粉粒体2の重量が上限値に達すると、補給装置8の駆動を停止して粉粒体2の補給を停止する。
【0041】
なお、貯槽3に、粉粒体2の上限及び下限のレベルをそれぞれ検出する上限及び下限スイッチを設置して貯槽3内の粉粒体2の上下限をそれぞれ検出するようにしてもよい。
【0042】
制御装置9は、コンベヤスケール4を構成する第1荷重センサ12の検出出力及び速度検出器13からのパルス信号が入力される前記第1演算部14と、貯槽3及びベルトコンベヤ5を含む全体の重量を検出する第2荷重センサ7からの荷重信号が入力される前記第2演算部10と、両演算部10,14の演算結果に基づいて、モータ制御器15を介してベルトコンベヤ5を駆動するサーボモータ16を制御する演算制御部17と、設定用の操作キー及び表示部を有する設定表示部18とを備える。
【0043】
第1,第2演算部10,14及び演算制御部17は、例えば、マイクロコンピュータによって構成される。
【0044】
第1演算部14は、第1荷重センサ12の検出出力によるベルトコンベヤ5の荷重検出領域の粉粒体2の重量と、速度検出器13からのパルス信号によるベルトコンベヤ5の速度とに基づいて、粉粒体2の搬送量である瞬間輸送量及びその積算値である積算輸送量を算出する。
【0045】
第2演算部10は、第2荷重センサ7の検出出力による重量の減少変化に基づいて、粉粒体2の搬送量である瞬間輸送量及びその積算値である積算輸送量を算出する。
【0046】
演算制御部17は、第1演算部14からの瞬間輸送量又は第2演算部10からの瞬間輸送量に基づいて、粉粒体2の瞬間輸送量が、設定表示部18から設定された目標瞬間輸送量となるように、モータ制御器15を介してサーボモータ16の駆動を制御してベルトコンベヤ5の搬送速度を制御する。第1,第2演算部14,10で算出される積算輸送量は、演算制御部17で算出するようにしてもよい。この演算制御部17は、その機能によって、演算部と制御部とに分けて把握することもできる。
【0047】
上記のように、貯槽3内の粉粒体2の重量が、下限値に達すると、上方の補給装置8から粉粒体2の補給が開始され、粉粒体2の重量が上限値になるまで補給が行われる。粉粒体2が貯槽3へ補給される補給期間では、貯槽3への粉粒体2の落下衝撃等によって、貯槽3及びベルトコンベヤ5を含む全体の重量を検出する第2荷重センサ7からの荷重信号は変動する。このため、補給期間においては、第2荷重センサ7からの荷重信号に基づいて、粉粒体2の瞬間輸送量を算出すると、正確な瞬間輸送量を算出することができない。
【0048】
一方、コンベヤスケール4の第1荷重センサ12は、ベルトコンベヤ5の荷重検出領域上における粉粒体2の重量を検出するので、貯槽3への粉粒体2の落下衝撃の影響を受けない。
【0049】
そこで、演算制御部17では、貯槽3へ補給装置8から粉粒体2の補給が行われている補給期間は、第1荷重センサ12及び速度検出器13の出力に基づく第1演算部14からの瞬間輸送量が、目標瞬間輸送量になるようにベルトコンベヤ5の速度を制御する一方、貯槽3へ補給装置8から粉粒体2の補給が行われていない非補給期間は、第2荷重センサ7からの検出出力に基づく第2演算部10からの瞬間輸送量が、目標瞬間輸送量になるようにベルトコンベヤ5の速度を制御する。
【0050】
図2は、貯槽3内の粉粒体2の重量値の変化を示す図である。
【0051】
先ず、初期投入期間T0において、空の貯槽3へ補給装置8から粉粒体2が投入され、上限値(H)に達すると、その時点t0で粉粒体2の投入を停止し、粉粒体2の定量供給を開始する。定量供給を開始した第1制御期間T1は、粉粒体2の補給を行わない非補給期間であるので、第2荷重センサ7からの検出出力に基づく第2演算部10からの瞬間輸送量に基づいて、ベルトコンベヤ5の速度が制御され、粉粒体2の搬送量が制御される。
【0052】
貯槽3内の粉粒体2が減少し、その重量が下限値(L)になると、その時点t1で補給装置8から貯槽3への粉粒体2の補給が開始され、粉粒体2の重量が、上限値(H)に達するまで継続される。
【0053】
この補給期間である第2制御期間T2では、上記のように、第1荷重センサ12及び速度検出器13の出力に基づく第1演算部14からの瞬間輸送量に基づいて、ベルトコンベヤ5の速度が制御され、粉粒体2の搬送量が制御される。
【0054】
貯槽3内の粉粒体2の重量が上限値(H)になると、その時点t2で粉粒体2の補給を終了し、非補給期間である第3制御期間T3では、第2荷重センサ7からの検出出力に基づく第2演算部10からの瞬間輸送量に基づいて、ベルトコンベヤ5の速度が制御され、粉粒体2の搬送量の制御が行われる。
【0055】
貯槽3内の粉粒体2が減少し、その重量が下限値(L)になると、その時点t3で、再び補給装置8から貯槽3への粉粒体2の補給が開始され、粉粒体2の重量が、上限値(H)に達する時点t4まで継続される。
【0056】
この補給期間である第4制御期間T4では、第1荷重センサ12及び速度検出器13の出力に基づく第1演算部14からの瞬間輸送量に基づいて、ベルトコンベヤ5の速度が制御され、粉粒体2の搬送量の制御が行われる。以下、同様の制御が繰り返される。
【0057】
演算制御部17は、第1演算部14及び第2演算部10でそれぞれ算出される瞬間輸送量及びその積算値である積算輸送量を、設定表示部18に表示する。
【0058】
図3(a)は設定表示部18に表示される瞬間輸送量の変化を、
図3(b)は設定表示部18に表示される積算輸送量の変化をそれぞれ示しており、初期投入期間T0及び各制御期間T1〜T4…は、上記
図2に対応する。
【0059】
図3(a)に示すように、初期投入期間T0が経過した後、定量供給が開始され、第1,第3制御期間T1,T3では、上記のように第2荷重センサ7からの検出出力に基づく第2演算部10からの瞬間輸送量に基づいて、粉粒体2の搬送量の制御が行われる。貯槽3へ補給装置8から粉粒体2が供給される第2,第4制御期間T2,T4では、上記のように第1荷重センサ12及び速度検出器13の出力に基づく第1演算部14からの瞬間輸送量に基づいて、粉粒体2の搬送量の制御が行われる。
【0060】
これによって、定量供給を開始した時点t0から瞬間輸送量は、ラインL1で示されるように、略一定に制御される。
【0061】
また、粉粒体2の輸送量の累積値は、
図3(b)のラインL2で示されるように、略一定の割合で増加する。
【0062】
粉粒体2を搬送するベルトコンベヤ5では、コンベヤベルトへの粉粒体2の付着、コンベヤベルトの偏りや張力変化等が生じるので、ベルトコンベヤ5の荷重検出領域上の粉粒体2の重量を検出する第1荷重センサ12の検出出力に基づいて、瞬間輸送量を算出する第1演算部14では、計量誤差、すなわち、演算誤差を生じる。この場合、第1演算部14で算出される瞬間輸送量に基づいてベルトコンベヤ5の速度を制御する補給期間では、粉粒体2の瞬間輸送量と目標瞬間輸送量とに差が生じることになる。
【0063】
そこで、この実施形態では、第1演算部14で生じる演算誤差を補正して計量精度を向上させ、粉粒体2の瞬間輸送量と目標瞬間輸送量との差をなくすように、次のように構成している。
【0064】
すなわち、コンベヤベルトの偏り、張力変化、あるいは、振動等が生じるコンベヤスケール4に比べて、貯槽3及びベルトコンベヤ5の全体の重量を検出する第2荷重センサ7の方が、計量精度が高い。そこで、粉粒体2の貯槽3への補給が行われていない非補給期間において、第2荷重センサ7の検出出力を用いる第2演算部10によって算出される積算輸送量を基準とし、この積算輸送量と、第1演算部14で算出される粉粒体2の積算輸送量とに基づいて、第1演算部14で生じる演算誤差を算出し、次の補給期間では、演算誤差が生じないように、第1演算部14における演算を補正するものである。
【0065】
具体的には、演算制御部17では、非補給期間において、第2演算部10で算出される積算輸送量と、第1演算部14で算出される積算輸送量との差を、第1演算部14の演算誤差として算出し、第1演算部14では、算出された演算誤差を生じないように、すなわち、前記差が生じないように校正を行なうものである。
【0066】
この校正は、本実施形態では、前記積算輸送量の差が生じないように、第1演算部14に検出出力を与える第1荷重センサ12の零点補正を少なくとも行なうものである。零点補正に加えてスパン補正等を併せて行ってもよい。
【0067】
そして、この校正された第1演算部14によって、次の補給期間では、瞬間輸送量が算出され、演算制御部17は、この算出された瞬間輸送量に基づいて、ベルトコンベヤ5の速度を制御して粉粒体32の輸送量を制御するものである。
【0068】
すなわち、非補給期間における第1演算部14の積算輸送量と第2演算部10の積算輸送量との差を、第1演算部14の演算誤差として算出し、この演算誤差をなくすように第1演算部14の校正を直ちに行い、次の補給期間では、校正された第1演算部14によって、瞬間輸送量を算出し、演算制御部17は、この算出された瞬間輸送量に基づいて、粉粒体32の輸送量を制御するものである。
【0069】
したがって、非補給期間毎に第1演算部14の演算誤差が算出されると共に、第1演算部14が校正され、補給期間毎に校正された第1演算部14によって瞬間輸送量が算出されることになり、各補給期間における計量精度が向上する。
【0070】
しかも、第1演算部14の演算誤差を補正するための基準となる第2演算部10は、第2荷重センサ7によって粉粒体2を貯留する貯槽3及び粉粒体2を搬送するベルトコンベヤ5を含む全体の重量を検出するので、この全体の重量を基準として補正することができる。このための、一部の重量、例えば貯層槽3のみの重量を検出する場合のように、ベルトコンベヤ5及びその上の粉粒体2の重量を無視して補正するのに比べて、補正の基準が安定し、高精度に補正することかできる。
【0071】
図4及び
図5は、この実施形態の動作説明に供するフローチャートである。
【0072】
図4に示すように、先ず、貯槽3に粉粒体2が上限値まで貯留されているか否かを判断し(ステップn1)、貯留されていないときには、上限値に達するまで、補給装置8によって粉粒体2を貯槽3へ補給する補給運転を行う(ステップn2)。
【0073】
貯槽3に粉粒体2が上限値まで貯留されると、補給装置8による補給を停止させ(ステップn3)、ベルトコンベヤ5を駆動して定量供給運転を開始し(ステップn4)、ベルトコンベヤ5上に粉粒体2が満たされると(ステップn5)、各演算部10,14及び演算制御部17は、それぞれ演算を開始すると共に、制御を開始する。
【0074】
すなわち、第1演算部14では、第1荷重センサ12の検出出力に基づく粉粒体2の重量と、速度検出器13からのパルス信号に基づくベルトコンベヤ5の速度とを掛け合わせて、瞬間輸送量を算出すると共に、積算輸送量を算出する(ステップn6)。
【0075】
一方、第2演算部10では、第2荷重センサ7の検出出力に基づいて、瞬間輸送量を算出する(ステップn7)。同時に、演算制御部17では、非補給期間であるので、第2演算部10で算出される瞬間輸送量が、目標瞬間流量となるように流量制御を開始する(ステップn8)。
【0076】
また、第2演算部10では、積算輸送量を算出するために、流量制御開始時の重量値W2s=Whを取り込む(ステップn9)。次に、貯槽3の粉粒体2の重量が減少して下限値(L)になったか否かを判断し(ステップn10)、下限値になったときには、積算輸送量を算出すたるために、その時の重量値W2f=WLを取り込む(ステップn11)。同時に、第1演算部14では、それまでの積算重量値Wacを取り込む(ステップn12)。
【0077】
図5に示すように、ステップn13では、演算制御部17において、第2演算部10で取り込んだ流量制御開始時の重量値W2s=Whと、貯槽3の粉粒体2が下限値に達した時の重量値W2f=WLとによって、基準とする基準積算重量値Wref=Wh−WLを算出し、第2演算部10の瞬間輸送量に基づく流量制御の終了へ移行する(ステップn14)。
【0078】
同時に、演算制御部17では、基準積算重量値Wref及び第1演算部14による積算重量値Wacとに基づいて、第1演算部14の演算誤差E=Wac−Wref及び誤差率E´=E/Wrefを算出し(ステップn15)、演算誤差Eをなくすように、第1演算部14に対して補正指令を出力する(ステップn16)。第1演算部14は、演算誤差Eをなくすように、補正する。具体的には、第1演算部14は、演算誤差である、第1演算部14による積算重量値Wacと第2演算部10による基準積算重量値Wrefとの差が生じないように、すなわち、「0」となるように、校正を行う。本実施形態では、第1演算部14では、積算重量値Wacと基準積算重量値Wrefとの差が「0」になるように、第1荷重センサ12の零点補正を行う。
【0079】
このようにして非補給期間における第1演算部14の積算重量値Wacと第2演算部10の基準積算重量値Wrefとの差である演算誤差Eを算出し、この演算誤差が生じないように第1演算部14の零点補正を行う。
【0080】
演算制御部17は、零点補正を行なった後の第1演算部1014によって算出される瞬間輸送量に基づいて、補給期間における流量制御を開始する(ステップn17)。
【0081】
また、上記ステップn14で第2演算部10の瞬間輸送量に基づく流量制御を終了した後は、補給装置8によって粉粒体2を貯槽3へ補給し(ステップn18)、貯槽3の粉粒体2の重量が上限値に達したか否かを判断し(ステップn19)、上限値に達したときには、補給装置8による粉粒体2の補給を停止する(ステップn21)。同時に、第1演算部1014による瞬間輸送量に基づく流量制御を終了し(ステップn22)、ステップn22に移る。
【0082】
ステップn22では、制御運転の終了であるか否かを判断し、終了でないときには、上記ステップn6,n7に戻る。制御運転の終了であるときには、定量供給を停止する。
【0083】
上記実施形態では、毎回の非補給期間について、第1演算部14の演算誤差を算出して補正したけれども、必ずしも毎回の非補給期間で第1演算部14の演算誤差を算出して補正する必要はなく、例えば、予め定めた回数毎に、第1演算部14の演算誤差を算出して補正するようにしてもよい。
【0084】
上記実施形態では、被供給物を搬送する搬送部は、ベルトコンベヤ式であったけれども、スクリューコンベヤ式やループコンベヤ式やその他であってもよい。
【0085】
(実施形態の記載に基づく付記事項)
上記実施形態に記載の事項を上位概念化した事項を以下に記載する。
【0086】
(付記事項1)
被供給物の定量供給を行う定量供給装置であって、
前記被供給物の供給量を制御する制御部と、
前記被供給物を貯留する貯留部と、
前記貯留部から送出される前記被供給物を搬送する搬送部と、
前記搬送部の搬送路上に送出される前記被供給物の荷重を検出する第1荷重検出部と、
前記貯留部および前記搬送部の荷重を検出する第2荷重検出部と、
前記搬送部の搬送速度を検出する速度検出部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第1荷重検出部における検出結果と前記速度検出部における検出結果とに基づいて、前記被供給物の搬送量を算出する第1の演算と、
前記第2荷重検出部における検出結果に基づいて、前記被供給物の搬送量を算出する第2の演算と、
前記第1の演算による前記被供給物の第1搬送結果と、前記第2の演算による前記被供給物の第2搬送結果とに基づいて、前記被供給物の搬送誤差を算出する第3の演算と、
前記第1搬送結果または前記第2搬送結果に基づいて、前記搬送部の搬送速度を調整する搬送速度調整と、
前記搬送誤差に基づいて、前記第1荷重検出部の検出基準値を補正する検出基準値補正と、
を行う定量供給装置。
【0087】
(付記事項2)
前記貯留部に前記被供給物が補給される補給期間のとき、
前記制御部は、前記第1搬送結果に基づく前記搬送速度調整を行い、
前記貯留部に前記被供給物が補給されない非補給期間のとき、
前記制御部は、前記第2搬送結果に基づく前記搬送速度調整を行うとともに、
前記搬送誤差を算出する、
付記事項1に記載の定量供給装置。
【0088】
(付記事項3)
前記制御部は、
前記第1の演算により、前記被供給物の搬送量の積算値である第1積算搬送量を算出し、
前記第2の演算により、前記被供給物の搬送量の積算値である第2積算搬送量を算出し、
前記第1積算搬送量と前記第2積算搬送量とに基づいて、前記搬送誤差を算出する
付記事項2に記載の定量供給装置。
【0089】
(付記事項4)
前記非補給期間において前記搬送誤差が算出されたとき、
前記制御部は、当該非補給期間から前記補給期間に切り替わる前に、当該搬送誤差に基づく前記検出基準値補正を行う
付記事項3に記載の定量供給装置。
【0090】
(付記事項5)
前記制御部は、予め設定された前記被供給物の目標搬送量と前記第1搬送結果に基づく前記搬送速度調整、および、前記目標搬送量と前記第2搬送結果に基づく前記搬送速度調整の内、いずれか一方の前記搬送速度調整を行う、
付記事項1〜4のいずれか一項に記載の定量供給装置。