(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、背景技術の課題を解決するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、流体経路の無菌状態を維持し、薬剤容器に組み込まれる容器接続部、そのような無菌流体経路接続部が薬剤容器に組み込まれた薬剤送達ポンプ、そのような装置の動作方法、及びそのような装置の組み立て方法を提供する。本発明の流体経路接続部は、薬剤送達前、薬剤送達中、及び薬剤送達後における流体経路の無菌状態を確実にする、統合的な安全機能を提供する。第1の態様では、流体経路は、ユーザによって装置が起動されるまで、薬剤容器に接続されない状態が続く。第2の態様では、流体経路は、ユーザによる起動の前に、無菌空洞内の薬剤容器との接続の前に、穴あけ部材の無菌状態を維持する。ユーザによって起動されると、ただちに、ユーザの体内への薬剤送達のために流体が流体経路を通って流れるのを可能にするべく、穴あけ可能な摺動封止材に穴があけられて、流体経路が接続又は開けられるように、例えば空圧又は薬剤流体内の力によって、穴あけ可能な摺動封止材は、実質的に固定されている穴あけ部材側に移動される。従って、本発明の新規な装置は、上述において参照されたような従来の装置に関連する1つ以上の問題を緩和する。
【0010】
例えば輸液ポンプ又はボーラス注入装置のような薬剤ポンプは、ある期間中に特有の量の薬剤流体を送達することを必要とされてもよい。皮下に流体を送達する時、患者に送達される流体の流れを制御すること、及び、薬剤送達装置の起動又は作動前に、薬剤容器及び流体経路の無菌状態を維持することは、重要である。容器インテグリティ、無菌状態、及び他の目的のために、ユーザが装置を起動して、薬剤容器から患者への薬剤の流れを開始するまで、流体経路接続部は、接続されない状態が続くことが、望ましい場合もある。幾つかの薬剤ポンプシステムは、早すぎる流体経路の接続及び/又は薬剤の送達を防止するために、1つ以上のアクティブ流体経路制御機構を利用してもよい。他の薬剤ポンプシステムは、流体経路接続部が製造と同時に作られて、ユーザによって望まれるまでは薬剤送達がブロックされるように構成される。そのようなデザインは、容器インテグリティの維持及び薬剤送達装置の内部の構成要素の無菌状態に関連する有益な利点を提供しない。本発明は、薬剤送達ポンプのための一体化された無菌流体経路接続部機構を提供する。 本発明の新規な実施形態は、同時に、薬剤容器及び流体導管の間における無菌流体経路を、ユーザのための利用の不要なステップを加えることなく、開いたり、又は、接続したりする接続機構を提供する。これは、穴あけ可能な摺動封止材の移動に力を付与するために、駆動機構の起動及びプランジャ封止材の移動を利用すること、及び、薬剤流体における空圧の結果を利用することにより、可能になる。穴あけ可能な摺動封止材の移動により、薬剤容器及び流体導管の間の流体経路を開くために、最初に実質的に静止しているか又は固定されている穴あけ部材に衝撃を与えることが可能になる。
【0011】
従って、本発明の実施形態は、薬剤容器に組み込まれており、装置及び駆動機構の動作によって、開かれ、接続され、又は他の方法で有効にされる無菌流体経路接続部を提供する。駆動機構の起動、そして、駆動機構からプランジャ封止材に伝達される力は、それ自身、薬剤容器及び流体導管の間の無菌流体経路を開くのに利用される。従って、薬剤容器の容器インテグリティと無菌状態は、装置の作動前及び作動中において維持されることができる。この新規な構成要素は、無菌流体経路を接続するステップの自動化も行い、ユーザ又は装置によって行われる必要がある操作のステップ及び装置の複雑さを大きく減少させる。本発明の新規な実施形態は、薬剤容器のキャップ側において、個別無菌流体経路接続部機構を要しないので、より多くの装置の構成要素も可能にし、装置のレイアウト又は全体のフットプリントの減少も可能にする。本発明は、真空の排気を要するプロセスを含む、標準の薬剤の充填終了プロセスにおいて充分に組み込まれるか、又は、利用されてもよい。追加的に、本発明は、幾つかの異なる状態表示機構が装置に組み込まれてもよく、用量終了の状態表示機構のパーツとして、穴あけ部材及びプランジャ封止材を利用することを含んでもよい。そのような構成要素及び装置は、プランジャ封止材の薬剤送達の状態及び実際上の移動に連関する真の用量終了の表示を提供する。
【0012】
第1の実施形態では、本発明は、穴あけ部材、接続ハブ、及び穴あけ可能な摺動封止材を含む流体経路接続部を提供する。穴あけ部材は、最初、接続ハブ及び穴あけ可能な摺動封止材の間の無菌空洞の内部の第1位置に保持される。ユーザによって起動されると、ただちに、穴あけ可能な摺動封止材が穴あけ部材によって貫通される第2位置へ、穴あけ可能な摺動封止材が移動させられる。穴あけ可能な摺動封止材における無菌空洞とは反対側に付与される、例えば空気力のような力によって、穴あけ部材側への穴あけ可能な摺動封止材の移動が可能になる。穴あけ可能な摺動封止材の移動により、摺動穴あけ部材を通して流体経路を開くために、最初に実質的に静止しているか又は固定されている穴あけ部材に衝撃を与えることが可能になる。従って、穴あけ可能な摺動封止材は、穴あけ可能な摺動封止材における薬剤流体によって付与される力によって第1位置から第2位置に移動するように構成される。穴あけ可能な摺動封止材の第1位置から第2位置への移動にあたり、穴あけ可能な摺動封止材の穴あけ部材による貫通は、穴あけ可能な摺動封止材及び穴あけ部材を通って流体導管への流体経路を開く。
【0013】
少なくとも1つの実施形態では、穴あけ可能な摺動封止材は、穴あけ部材によって貫通されることができる封止障壁を有する。穴あけ部材は、最初、封止障壁に接触又は近接してもよい。流体経路接続部は、穴あけ可能な摺動封止材に取り付けられる封止マウント、を更に含んでもよく、封止マウントは、接続ハブと係合して移動可能であり、穴あけ部材は、最初に、封止障壁に接触又は近接する。穴あけ部材は、接続ハブを通って流体導管に接続するように構成されてもよい。別の実施形態では、接続ハブは、穴あけ部材を流体導管に接続してもよく、流体導管は、接続ハブの一部に少なくとも部分的になってもよい。
【0014】
本発明の流体経路接続部は、ユーザに信号を送信するために、1つ以上の相互接続部と、任意選択的に、1つ以上の対応する接触部、を更に含んでもよい。例えば、ユーザに信号を送信するために、穴あけ部材がプランジャ封止材を貫通することができ、且つ、相互接続部のための接触部として機能することができるように、相互接続部は、薬剤容器の内部に移動可能なプランジャ封止材内にあってもよいし、又は少なくとも部分的にプランジャ封止材の近位側にあってもよい。追加的に、又は、代替的に、相互接続部及び/又は接触部の一方は、薬剤容器内で移動可能なプランジャ封止材の内部にあるか又は少なくとも部分的に近位側にあり、相互接続部及び/又は接触部の他方は、プランジャ封止材及び穴あけ可能な摺動封止材が実質的に接触している時に、ユーザに対して信号を送信するために穴あけ可能な摺動封止材の内部にあるか又は少なくとも部分的に遠位側にある。幾つかの既知の相互接続部及び接触部は、本発明の実施形態内で利用されて良く、これについては、当業者であれば容易に理解されるであろう。例えば、一連の、ホール効果センサ;巨大磁気抵抗(GMR)又は磁界センサ;光センサ;容量性又は静電容量変化センサ;超音波センサ;及びリニアトラベル、LVDT、線形抵抗性、又は放射測定線形抵抗性センサ;及びこれらの組合せは、ユーザに信号を送信するために機能することが可能であり、そのような目的のために利用されてもよい。追加的に、流体経路接続部は、1つ以上の流量制御器を含んでもよい。少なくとも1つの実施形態では、接続ハブは、流体導管及び/又は流量制御器として少なくとも部分的に機能してもよい。少なくとも1つの実施形態では、流体経路接続部は、フィルタ、を更に含んでもよい。幾つかの既知のフィルタは、本発明の実施形態において利用されてよく、これについては、当業者であれば容易に理解されるであろう。例えば、フィルタは、透過性のメンブレン、半透過性のメンブレン、及び/又は多孔質のメンブレンであってもよく、外部環境から無菌空洞を取り囲んでいる。
【0015】
別の実施形態では、本発明は、一体化された流体経路接続部及び薬剤容器を提供し、これらは、穴あけ部材、接続ハブ、及び穴あけ可能な摺動封止材であってバレル及びプランジャ封止材を有する薬剤容器の中に少なくとも一部が組み込まれる穴あけ可能な摺動封止材を有する。穴あけ可能な摺動封止材は、接続ハブの接続ポストにおいて移動可能であり、接続ハブ及び穴あけ可能な摺動封止材の間の無菌空洞の内部に穴あけ部材が最初に保持される第1位置から、穴あけ可能な摺動封止材が穴あけ部材によって貫通される第2位置に移動するように構成されている。薬剤容器は、最初に薬剤流体を保持するために、穴あけ可能な摺動封止材及びプランジャ封止材の間の薬剤チャンバを含み、穴あけ可能な摺動封止材は、穴あけ可能な摺動封止材における薬剤流体によって付与される力によって第1位置から第2位置に移動するように構成されている。少なくとも1つの実施形態では、穴あけ可能な摺動封止材は、封止障壁を有しており、当該封止障壁は、穴あけ部材によって貫通されることができ、そして、穴あけ部材は、最初に、封止障壁に接触又は近接する。
【0016】
一体化された流体経路接続部は、穴あけ可能な摺動封止材に取り付けられる封止マウントを更に含んでよく、封止マウントは、近位方向における穴あけ可能な摺動封止材の移動を防止するが、遠位方向における穴あけ可能な摺動封止材の移動を可能にするために、接続ハブに摺動可能に係合する。そのような構成は、無菌流体経路接続部の機能を汚損することなく薬剤流体で満たす前に、薬剤容器の薬剤チャンバが真空等によって空にされるのを可能にするために利用されてもよい。少なくとも1つの実施形態では、接続ハブは、コンジットポートを有するヘッダーと、チャンバと、無菌空洞がチャネルを介して空にされることができるように、チャンバに至るチャネルを有するバキュームポートと、を有する。コンジットポートは、チャンバの外へ流体が流れるのを可能にするメンブレン又は封止を有してもよい。同様に、バキュームポートは、例えばポリメリックプラグによって、ふさがれることが可能であってもよい。そのような構成は、例えば、無菌状態、無菌空洞と穴あけ可能な摺動封止材の反対側との間の圧力平衡の持続、及び/又はユーザによる装置の作動の前の、構成要素の相対位置の維持の支援を維持するために、無菌空洞が空にされるのを可能にする。
【0017】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、穴あけ可能な摺動封止材は、接続ハブの接続ポストにおいて移動可能であり、穴あけ可能な摺動封止材が穴あけ部材によって貫通される第2位置から、1つ以上の相互接続部及び1つ以上の対応する接触部がユーザに対して信号を送信するのを可能にする第3位置に移動するように構成されている。そのような1つの実施形態では、相互接続部及び接触部の一方は、駆動機構の側にあり、相互接続部及び接触部の他方は、プランジャ封止材及び穴あけ可能な摺動封止材が実質的に接触している時に、ユーザに対して信号を送信するためにプランジャ封止材の内部にあるか又は少なくとも部分的に近位側にある。代替的に、相互接続部及び接触部の一方は、穴あけ可能な摺動封止材の内部にあるか又は少なくとも部分的に遠位側にあり、相互接続部及び接触部の他方は、プランジャ封止材及び穴あけ可能な摺動封止材が実質的に接触している時に、ユーザに対して信号を送信するために接続ハブの近位側にある。幾つかの既知の相互接続部及び接触部は、本発明の実施形態において利用されており、これについては、当業者であれば容易に理解されるであろう。例えば、一連の、ホール効果センサ;巨大磁気抵抗(GMR)又は磁界センサ;光センサ;容量性又は静電容量変化センサ;超音波センサ;及びリニアトラベル、LVDT、線形抵抗性、又は放射測定線形抵抗性センサ;及びこれらの組合せは、ユーザに信号を送信するために機能することが可能であり、そのような目的のために利用されてもよい。追加的に、流体経路接続部は、1つ以上の流量制御器を含んでもよい。少なくとも1つの実施形態では、接続ハブは、流体導管及び/又は流量制御器として少なくとも部分的に機能してもよい。少なくとも1つの実施形態では、流体経路接続部は、フィルタ、を更に含んでもよい。幾つかの既知のフィルタは、本発明の実施形態において利用されてよく、これについては、当業者であれば容易に理解されるであろう。例えば、フィルタは、透過性のメンブレン、半透過性のメンブレン、及び/又は多孔質のメンブレンであってもよく、外部環境から無菌空洞を取り囲んでいる。
【0018】
更に別の実施形態では、本発明は、起動機構と、挿入機構と、プランジャ封止材を有する薬剤容器とが内部にマウントされることが可能なハウジングを備える、無菌状態を維持する一体化された機能を有する薬剤送達ポンプを提供する。薬剤容器は、一端において駆動機構に接続され、他端において流体経路接続部に接続される。流体経路接続部は、穴あけ部材と、接続ハブと、穴あけ可能な摺動封止材と、を含み、穴あけ可能な摺動封止材は、接続ハブ及び穴あけ可能な摺動封止材の間の無菌空洞の内部に穴あけ部材が最初に保持される第1位置から、穴あけ可能な摺動封止材が穴あけ部材によって貫通される第2位置に移動するように構成されている。薬剤容器は、最初に薬剤流体を保持するために、穴あけ可能な摺動封止材及びプランジャ封止材の間の薬剤チャンバを含み、穴あけ可能な摺動封止材は、穴あけ可能な摺動封止材における薬剤流体によって付与される力によって第1位置から第2位置に移動するように構成されている。少なくとも1つの実施形態では、穴あけ可能な摺動封止材は、封止障壁を有しており、封止障壁は、穴あけ部材によって貫通されることができ、そして、穴あけ部材は、最初に、封止障壁に接触又は近接する。
【0019】
薬剤ポンプは、穴あけ可能な摺動封止材に取り付けられる封止マウントを更に備えてよく、封止マウントは、近位方向における移動を抑制するが、遠位方向における穴あけ可能な摺動封止材の移動を可能にするために、接続ハブに摺動可能に係合する。そのような構成は、無菌流体経路接続部の機能を汚損することなく薬剤流体で満たす前に、薬剤容器の薬剤チャンバが真空等によって空にされるのを可能にするために利用されてもよい。少なくとも1つの実施形態では、接続ハブは、コンジットポートを有するヘッダーと、チャンバと、無菌空洞がチャネルを介して空にされることができるように、チャンバに至るチャネルを有するバキュームポートと、を有する。コンジットポートは、チャンバの外へ流体が流れるのを可能にするメンブレン又は封止を有してもよい。同様に、バキュームポートは、例えばポリメリックプラグによって、ふさがれることが可能であってもよい。そのような構成は、例えば、無菌状態、無菌空洞と穴あけ可能な摺動封止材の反対側との間の圧力平衡の持続、及び/又はユーザによる装置の作動の前の、構成要素の相対位置の維持の支援を維持するために、無菌空洞が空にされるのを可能にする。
【0020】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、穴あけ可能な摺動封止材は、接続ハブの接続ポストにおいて移動可能であり、穴あけ可能な摺動封止材が穴あけ部材によって貫通される第2位置から、1つ以上の相互接続部及び1つ以上の対応する接触部がユーザに対して信号を送信するのを可能にする第3位置に移動するように更に構成されている。1つ以上の相互接続部及び1つ以上の対応する接触部は、(a.)相互接続部及び接触部の一方が、駆動機構の側にあり、相互接続部及び接触部の他方が、プランジャ封止材及び穴あけ可能な摺動封止材が実質的に接触している時に、ユーザに対して信号を送信するためにプランジャ封止材の内部にあるか又は少なくとも部分的に近位側にあり、又は、(b.)相互接続部及び接触部の一方が、穴あけ可能な摺動封止材の内部にあるか又は少なくとも一部が部分的に遠位側にあり、相互接続部及び接触部の他方が、プランジャ封止材及び穴あけ可能な摺動封止材が実質的に接触している時に、ユーザに対して信号を送信するために接続ハブの近位側にある、の何れかのように構成されている。幾つかの既知の相互接続部及び接触部は、本発明の実施形態において利用されてよく、これについては、当業者であれば容易に理解されるであろう。例えば、一連の、ホール効果センサ;巨大磁気抵抗(GMR)又は磁界センサ;光センサ;容量性又は静電容量変化センサ;超音波センサ;及びリニアトラベル、LVDT、線形抵抗性、又は放射測定線形抵抗性センサ;及びこれらの組合せは、ユーザに信号を送信するために機能することが可能であり、そのような目的のために利用されてもよい。追加的に、流体経路接続部は、1つ以上の流量制御器を含んでもよい。少なくとも1つの実施形態では、接続ハブは、流体導管及び/又は流量制御器として少なくとも部分的に機能してもよい。少なくとも1つの実施形態では、流体経路接続部は、フィルタ、を更に含んでもよい。幾つかの既知のフィルタは、本発明の実施形態において利用されてよく、これについては、当業者であれば容易に理解されるであろう。例えば、フィルタは、透過性のメンブレン、半透過性のメンブレン、及び/又は多孔質のメンブレンであってもよく、外部環境から無菌空洞を取り囲んでいる。
【0021】
本発明の新規な装置は、流体経路の無菌状態を維持し、薬剤容器に組み込まれる容器接続部、並びに、そのような一体化された無菌流体経路接続部が薬剤容器に組み込まれた薬剤送達ポンプを提供する。流体経路は、ユーザによって薬剤送達が望まれるまでは接続されないので、流体経路接続部、薬剤容器、薬剤流体、及び全体としての装置の無菌状態は維持される。更に、本発明の流体経路接続部及び薬剤ポンプの新規な構成要素は、装置の動作を通して、流体経路の無菌状態を維持する。装置内を薬剤流体が移動する経路が全体的に無菌状態に維持されているので、製造プロセスにおいて、これらの構成要素を滅菌する必要があるのみである。そのような構成要素は、駆動機構の薬剤容器、流体経路接続部、無菌流体導管、及び挿入機構を含む。本発明の少なくとも1つの実施形態では、電源/制御系、アセンブリプラットフォーム、制御アーム、起動機構、ハウジング、及び薬剤ポンプの他の構成要素は、滅菌が必要でない。これは、装置の製造性の多大な改善であり、そして、組み立てに関するコストを減少させる。従って、本発明の装置は、組み立て完了の最終滅菌が不要である。本発明の更なる利点は、本明細書に記述されている構成要素が、モジュール式に設計されており、例えば、流体経路接続部及び装置の他の構成要素が、ハウジングに組み込まれることができ、そして、薬剤ポンプのような機能に容易にインタフェースすることができることである。
【0022】
更なる実施形態では、本発明は、一体化された無菌流体経路接続部及び薬剤容器の組み立て方法を提供する。無菌流体経路接続部は、最初に組み立てられてよく、そしてそれから、穴あけ可能な摺動封止材の少なくとも一部が薬剤容器内に含まれるように、薬剤容器に取り付けられてもよく、マウントされてもよく、接続されてもよく、又は他の方法で一体化されてもよい。薬剤容器は、それから、ユーザへの送達のための流体によって満たされて、穴あけ可能な摺動封止材の反対側の端部においてプランジャ封止材によってふさがれてもよい。バレルは、バレルの近位端からプランジャ封止材の挿入の前に、開放近位端を通して薬剤流体によって満たされてもよい。駆動機構は、それから、駆動機構の構成要素がプランジャ封止材と接触可能となるように、薬剤容器の近位端に取り付けられてもよい。挿入機構は、組み立てられて、流体導管の他端に取り付けられてもよい。駆動機構、薬剤容器、流体経路接続部、流体導管、及び 挿入機構を含む、この全てのサブアセンブリは、上述のように、薬剤ポンプに組み立てられる前に、滅菌されてもよい。このサブアセンブリの特定の構成要素は、ハウジング内でアセンブリプラットフォームにマウントされてもよいし、又は、ハウジング内に直接組み立てられてもよく、一方、他の構成要素は、ガイド、チャネル、又はユーザによる起動のための他の構成要素又は態様にマウントされてもよい。薬剤ポンプの製造方法は、流体経路接続部及び薬剤容器の両方を、別々に、又は一体型構成要素として、薬剤ポンプのアセンブリプラットフォーム又はハウジングに取り付けるステップを含む。本製造方法は更に、駆動機構、薬剤容器、及び挿入機構をアセンブリプラットフォーム又はハウジングに取り付けるステップを含む。本明細書に記載のように、電源/制御系、起動機構、及び制御アームを含む、薬剤ポンプの更なる構成要素も、アセンブリプラットフォーム又はハウジングに取り付けられるか、事前形成されているか、事前組み付けされていてよい。本装置の動作時にユーザに接触する薬剤ポンプのハウジング面には、粘着パッチ及びパッチライナが取り付けられてよい。
【0023】
薬剤ポンプを動作させる方法は、ユーザが起動機構を起動するステップと、制御アームを変位させて挿入機構を作動させるステップと、プランジャ封止材を押すために駆動機構を起動して、無菌流体経路接続部を接続して、薬剤容器を通して薬剤流体の流れを駆動するステップとを含み、流体経路接続部の移動により、薬剤容器から流体導管への流体経路を開くために、穴あけ部材が穴あけ可能な摺動封止材を貫通する。駆動制御機構は、電源/制御系によって作動されてもよい。方法は、起動機構を起動する前に、任意選択的な体表センサを作動させるステップを含んでもよい。更に、動作させる方法は、薬剤容器、流体経路接続部、無菌流体導管、及び挿入機構を通って、ユーザの身体への薬剤流体の送達のために、薬剤流体を流すために、駆動制御機構及び薬剤容器内でプランジャ封止材を移動させるステップを含んでもよい。
【0024】
本発明の新規な装置は、流体経路の無菌状態を維持し、薬剤容器に組み込まれる容器接続部、そのような一体化された無菌流体経路接続部が薬剤容器に組み込まれた薬剤送達ポンプを提供する。そのような装置は、安全で使いやすく、見た目や使い勝手の点でも自己投与患者に対する訴求力がある。本明細書全体において、特に断らない限り、「備える(comprise、comprises、及びcomprising)」、或いは、「含む(includes)」又は「からなる(consists of)」などの関連表現は、排他的ではなく包括的に使用されており、従って、記述された整数又は整数群は、1つ以上の他の記述されていない整数又は整数群を含んでよい。後で詳述するように、本発明の実施形態は、医療機器業界において標準的な構成要素と見なされうる1つ以上の追加構成要素を含んでよい。それらの構成要素、及びそのような構成要素を含む実施形態は、本発明の企図の範囲内にあり、本発明の広さ及び範囲に収まるものとして理解されたい。
【0025】
本明細書では、以下の図面を参照しながら、本発明の以下の非限定的な実施形態を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
一体化された無菌流体経路接続部、薬剤容器、薬剤送達ポンプ、又は、本発明の構成要素の任意の相対位置を説明する為に本明細書で使用されている、「軸方向の」又は「軸方向に」という用語は、駆動機構が好ましくはその周りに位置する長手軸「A」を大まかに指すが、その駆動機構は、必ずしもその周りに対称に位置するわけではない。「半径方向の」という用語は、軸Aに垂直な方向を大まかに指す。「近位の」、「後方の」、「後方へ」、「後ろの」、又は「後ろへ」という用語は、方向「P」の軸方向を大まかに指す。「遠位の」、「前方の」、「前方へ」、「押下された」、又は「前へ」という用語は、方向「D」の軸方向を大まかに指す。本明細書で使用されている、「ガラス」という用語は、通常であればガラスを必要とするであろう医薬品グレードの用途での使用に好適な、他の同様に非反応性である材料を含むものと理解されたい。このような材料として、環状オレフィンコポリマー(COC)及び環状オレフィンポリマー(COP)などの特定の非反応性ポリマーがあり、これらに限定されない。「プラスチック」という用語は、熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマーの両方を包含してよい。熱可塑性ポリマーは、加熱により再軟化させて元の状態に戻すことができるが、熱硬化性ポリマーは、元の状態に戻すことができない。本明細書で使用されている、「プラスチック」という用語は、主に、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、又はアクリル樹脂などの成形用熱可塑性ポリマーを指し、これらは、典型的には、硬化剤、充填剤、補強剤、着色剤、及び/又は可塑剤等のような他の成分も含み、加熱及び加圧による形成又は成形が可能である。本明細書で使用されている、「プラスチック」という用語は、プラスチックと相互作用する可能性がある治療液、或いは、相互作用以外でプラスチックから入り込む可能性がある置換基によって劣化する可能性がある治療液と直接接触する用途での使用が是認されているガラスも非反応性ポリマーもエラストマも含まないものとする。「エラストマ」、「エラストマの」、又は「エラストマ材料」という用語は、主に、プラスチックより容易に変形可能でありながら、医薬品グレードの流体との使用が是認されていて、周囲温度及び圧力下では浸出又はガス移行の影響を受けにくい架橋熱硬化性ゴム状ポリマーを指す。「流体」は、主に液体を指すが、液体内に固体が分散している懸濁液、及び、薬剤ポンプの流体収容部分内で、液体に溶けているか、他の形態で液体内に一緒に存在するガスも包含してよい。本明細書に記載の様々な態様及び実施形態によれば、「付勢部材」への参照が、エネルギの蓄積及び放出が可能な任意の部材であってよいことを理解されたい。非限定的な例として、ばねがあり、例えば、コイルばね、圧縮又は伸張ばね、トーションばね、或いは板ばねなどがあり、或いは、弾性圧縮可能な、及び伸縮性のバンドがあり、或いは、他の任意の、同様の機能を有する部材がある。本発明の少なくとも1つの実施形態では、付勢部材はばねであり、好ましくは圧縮ばねである。
【0028】
本発明の新規な装置は、流体経路の無菌状態を維持し、薬剤容器に組み込まれる容器接続部、並びに、そのような一体化された無菌流体経路接続部が薬剤容器に組み込まれた薬剤送達ポンプを提供する。そのような装置は、安全で使いやすく、見た目や使い勝手の点でも自己投与患者に対する訴求力がある。本明細書に記載の装置には、訓練を積んでいないユーザであっても本装置の起動、操作、及びロックアウトを簡単に行えるようにする機能が組み込まれている。本発明の新規な装置は、これらの望ましい機能を、従来技術による既知の装置に付随していた問題が全くない状態で提供する。以下では、これらの新規な薬剤送達ポンプ、流体経路接続部、及びそれらのそれぞれの構成要素の特定の非限定的な実施形態について、添付図面を参照しながら詳述する。
【0029】
本明細書では、「ポンプ」という用語は、起動直後からユーザに流体を定量供給することが可能なあらゆる薬剤送達システムを包含するものとする。そのような薬剤送達システムとして、例えば、注射システム、輸液ポンプ、ボーラス注入装置などがある。
図1A乃至
図1Cは、本発明の少なくとも1つの実施形態による一例示的な薬剤送達装置を示す。この薬剤送達装置は、ユーザの体内への治療用薬剤の送達を管理することに利用されてよい。
図1A乃至
図1Cに示されるように、薬剤ポンプ10は、ポンプハウジング12を含む。ポンプハウジング12は、薬剤ポンプの製造、組み立て、及び操作をより容易にする為に固定的に係合可能なハウジング副構成要素を1つ以上含んでよい。例えば、薬剤ポンプ10に含まれるポンプハウジング12は、上部ハウジング12A及び下部ハウジング12Bを含む。薬剤ポンプは更に、起動機構14、状態表示器16、及び窓18を含んでよい。窓18は、薬剤ポンプの動作を目視できる、何らかの半透明又は透光性の面を有してよい。
図1Bに示されるように、薬剤ポンプは更に、無菌流体導管(不図示)、薬剤容器50を有する駆動機構100、挿入機構200、無菌流体経路接続部300、及び電源/制御系400を含む。そのような薬剤ポンプの構成要素の1つ以上は、モジュール式であってよく、例えば、個別構成要素としてあらかじめ組み立てられていて、製造時に薬剤ポンプ10のハウジング内の所定位置に配置されるモジュール式であってよい。
【0030】
ポンプハウジング12A、12Bは、本装置の全ての構成要素を収容し、装置10をユーザの皮膚に取り外し可能に装着する手段を備える。ポンプハウジング12A、12Bは又、装置10の内部構成要素を環境の影響から保護する。ポンプハウジング12A、12Bは、訓練を積んでいないユーザ、及び/又は、身体に障害があるユーザでも梱包、保管、運搬、及び使用が容易であるように、サイズ、形状、及び関連機能の点で使い勝手や見た目がよい設計がなされている。更に、ポンプハウジング12A、12Bの外側表面は、製品ラベル、安全上の注意書きなどの為に利用されてよい。更に、上述のように、ハウジング12A、12Bは、動作のフィードバックをユーザに与えることが可能な、状態表示器16や窓18などの特定の構成要素を含んでよい。
【0031】
少なくとも1つの実施形態では、薬剤ポンプ10は、起動機構14を備え、ユーザは、起動機構14の位置を動かすことにより、電源/制御系400に対する開始コマンドをトリガする。好ましい一実施形態では、起動機構は開始ボタン14であり、開始ボタン14は、ポンプハウジング12A、12Bを貫通して配置されており、例えば、上部ハウジング12Aと下部ハウジング12Bとの間の開口を貫通して配置されており、開始ボタン14は、電源/制御系400の制御アーム40と接している。少なくとも1つの実施形態では、開始ボタン14は、押しボタンであってよく、別の実施形態では、オン/オフスイッチ、トグル、又は任意の同様の、当該技術分野において既知である起動機能であってよい。ポンプハウジング12A、12Bは又、状態表示器16及び窓18を備える。別の実施形態では、起動機構14、状態表示器16、窓18、及びこれらの組み合わせのうちの1つ以上が、上部ハウジング12A上又は下部ハウジング12B上に設けられてよく、例えば、薬剤ポンプ10がユーザの身体に装着されたときにユーザが目視できる側面に設けられてよい。以下では、本発明の他の構成要素及び実施形態を参照して、ハウジング12A、12Bをより詳細に説明する。
【0032】
薬剤ポンプは、次のように構成される。即ち、ユーザが起動機構を(例えば、押下すること)によって起動されると、薬剤ポンプは、ただちに始動して、流体経路(例えば、針又はカニューレ)をユーザに挿入し、薬剤容器、流体経路、及び無菌流体導管の間の必要な流体経路接続を有効化するか、接続するか、開き、薬剤容器に貯蔵されている薬剤流体を、流体経路及び流体導管に押し出してユーザ内に送達する。1つ以上の任意選択の安全機構は、例えば、薬剤ポンプの早すぎる起動を防止するために利用されてよい。例えば、少なくとも一実施形態では、薬剤ポンプ10がユーザの身体に接触しない限り、電源/制御系400、及び/又は起動機構が関与できないように確実にする安全機能として、任意選択の(
図1B及び
図1Cに示された)体表センサ24が設けられてよい。そのような一実施形態では、体表センサ24は、下部ハウジング12Bの底部に配置され、ここで、ユーザの身体に接触することが可能である。体表センサ24が変位すると、ただちに、起動機構の押下が可能になる。従って、少なくとも1つの実施形態では、体表センサ24は、起動機構14によって薬剤ポンプ10がトリガされないようにする、例えば機械式ロックアウトなどの機械式安全機構である。別の実施形態では、体表センサは、電気機械式センサであってよく、例えば、起動を可能にする信号を電源/制御系400に送信する機械式ロックアウトであってよい。更に別の実施形態では、体表センサは、電気式であってよく、例えば、組織を検出しないと、電源/制御系400の起動を可能にしない、容量式又はインピーダンス式のセンサなどであってよい。これらの概念は、相互に排他的ではなく、1つ以上の組み合わせが本発明の広さの範囲内で利用されてよく、例えば、薬剤ポンプ10の早すぎる起動を防止する為に利用されてよい。好ましい一実施形態では、薬剤ポンプ10は、1つ以上の機械式体表センサを利用する。本明細書では、更なる統合的な安全機構が、新規な薬剤ポンプの他の構成要素に関して説明されている。
【0033】
電源/制御系
電源/制御系400は、薬剤ポンプ内の様々な電気的構成要素にエネルギを供給する電源と、1つ以上のフィードバック機構と、マイクロコントローラと、回路基板と、1つ以上の導電パッドと、1つ以上の相互接続と、を含んでもよい。そのような複数の電気的システムにおいて共通に使用される他の構成要素も含まれてよく、これについては、当業者であれば理解されるであろう。1つ以上のフィードバック機構は、例えば、圧電アラームなどの可聴アラーム、及び/又は、発光ダイオード(LED)などの光表示器を含んでよい。マイクロコントローラは、例えば、マイクロプロセッサであってよい。電源/制御系400は、装置とユーザとの幾つかの相互作用を制御し、駆動機構100のような、薬剤ポンプ10の1つ以上の他の構成要素とインタフェースしてもよい。一実施形態では、電源/制御系400は、制御アーム40とインタフェースして、体表センサ24及び/又は起動機構14がいつ起動されたかを識別する。電源/制御系400は又、ポンプハウジング12A、12Bの状態表示器16とインタフェースしてよく、状態表示器16は、可視フィードバックをユーザに与える為に、光の伝達を可能にする透光性又は半透明の材料であってよい。電源/制御系400は、1つ以上の相互接続を通して駆動機構100、及び/又は、一体化された無菌流体経路接続部300及び薬剤容器50とインタフェースすることにより、起動、薬剤送達、用量終了などの状態表示をユーザに中継してもよい。そのような状態表示は、振動させるなどして触覚的なフィードバックでユーザに提示されてよく、可聴アラームによるなどして可聴音でユーザに提示されてよく、且つ/又は、LEDによるなどして可視表示器でユーザに提示されてよい。好ましい一実施形態では、電源/制御系と、薬剤ポンプの他の構成要素との間の制御インタフェースは、ユーザによって起動されない限り、関与又は接続されない。これは、薬剤ポンプの偶発的動作を防ぐ望ましい安全機能であり、更に、貯蔵、輸送などが行われている間、電源に蓄積されるエネルギを温存することも可能である。
【0034】
電源/制御系400は、幾つかの異なる状態表示器をユーザに提供するように構成されてよい。例えば、電源/制御系400は、体表センサ及び/又はトリガ機構が押された後に、装置のスタートアップチェックにおいてエラーがなかった場合には、電源/制御系400が状態表示器16を介して開始準備完了状態信号を出力するように構成されてよい。開始準備完了状態信号が出力され、且つ、任意選択の体表センサを有する一実施形態において体表センサがユーザの身体に接触したままであれば、電源/制御系400は、駆動機構100に給電して、一体化された無菌流体経路接続部300及び無菌流体導管30経由での治療用薬剤の送達を開始させる。本発明の好ましい一実施形態では、挿入機構200及び駆動機構100は、ユーザによる起動機構14の操作によって直接起動されてよい。一体化された無菌流体経路接続部は、本明細書において詳述されているように、駆動機構100の起動によって生成される、薬剤容器50内の薬剤流体の空気力によって、接続される(例えば、流体経路が開けられる)。薬剤送達プロセスの間、電源/制御系400は、状態表示器16から定量供給状態信号を出力するように構成されている。薬剤がユーザの体内に投与された後、いくらかの追加ドウェル時間を経て、ほぼ全用量がユーザに送達されたことが確認されたら、電源/制御系400は、状態表示器16から取り外しOK状態信号を出力してよい。これは、ユーザがポンプハウジング12A、12Bの窓18を通して薬剤容器内の薬剤用量送達及び駆動機構を目視することにより、ユーザによって単独で検証されてよい。更に、電源/制御系400は、状態表示器16から1つ以上のアラート信号を出力するように構成されてよく、例えば、故障状態や動作不良状態を表すアラートを出力するように構成されてよい。
【0035】
他の構成の電源/制御系も、本発明の新規な薬剤ポンプとともに利用されてよい。例えば、薬剤送達中に、何らかの起動遅延が利用されてよい。上述のように、システム構成に任意選択で含まれるそのような遅延の1つが、ほぼ全薬剤用量が送達されたことを確認してから、薬剤用量の終了を信号でユーザに通知するドウェル時間である。同様に、本装置の起動は、薬剤ポンプの起動の前に薬剤ポンプ10の起動機構14の遅延押下(即ち、長押し)を必要とする場合がある。更に、本システムは、ユーザが用量終了信号に応答したり薬剤ポンプを非アクティブ又は電源オフにしたりすることを可能にする機能を含んでよい。そのような機能は、本装置が偶発的に非アクティブになることを防ぐ為に、同様に起動機構の遅延押下を必要としてよい。そのような機能は、望ましい安全統合及び使いやすさのパラメータを薬剤ポンプに与える。不完全な押下、従って、薬剤ポンプの不完全な起動を防ぐ為に、更なる安全機能が起動機構に組み込まれてよい。例えば、起動機構及び/又は電源/制御系は、本装置が完全にオフになるか、完全にオンになることによって不完全な起動を防ぐように構成されてよい。そのような機能については、後で、新規な薬剤ポンプの他の態様に関して詳述する。
【0036】
挿入機構
幾つかの挿入機構は、本発明の薬剤ポンプ内で利用されてもよい。少なくとも1つの実施形態では、挿入機構200は、1つ以上のロックアウト窓を有する挿入機構ハウジングと、(
図1B及び
図1Cに示されるように)アセンブリプラットフォーム及び/又はポンプハウジングとつながる為の基部と、を含む。基部をポンプハウジング12A、12Bの内部に接続することは、例えば、基部の底部が下部ハウジング12B内の穴を貫通することを可能にして、基部がユーザの身体に直接接触することを可能にするように、行われてよい。そのような構成では、基部252の底部は、薬剤ポンプ10を使用する前に取り外すことが可能な封止メンブレン254を含んでよい。挿入機構は更に、1つ以上の挿入付勢部材、針、引き込み付勢部材、カニューレ、及びマニホールドを含んでよい。マニホールドは、薬剤送達時に流体がマニホールド、針及び/又はカニューレを通ってユーザの体内へ流れることを可能にするように、無菌流体導管30に接続されてよい。
【0037】
本明細書で使用されている「針」は、様々な針を意味するものとし、そのような針として、従来の中空針、例えば、剛直な中空鋼針や、「トロカール」という呼称が一般的な非中空コア針があり、これらに限定されない。好ましい一実施形態では、針は、27ゲージの非中空コアトロカールであり、別の実施形態では、針は、意図されたタイプの薬剤及び薬剤投与(例えば、皮下、筋肉内、皮内など)の為のカニューレを挿入することに好適な任意のサイズの針であってよい。針挿入機構内では、無菌ブーツが利用されてよい。無菌ブーツは、折りたたみ式無菌メンブレンであって、これは、近位端においてマニホールドと固定係合し、遠位端において基部と固定係合する。少なくとも1つの実施形態では、無菌ブーツは、基部と挿入機構ハウジングとの間で、遠位端の固定係合が保持される。基部は、挿入機構の動作中に針及びカニューレが貫通できる基部開口を含み、これについては後で詳述する。カニューレ及び針の無菌状態は、それらが最初に挿入機構の無菌部分内で位置決めされることによって保持される。具体的には、上述のように、針及びカニューレは、マニホールド及び無菌ブーツの無菌環境内で保持される。基部252の基部開口は、非無菌環境に対しては閉じられていてもよく、これは、例えば、(
図1Cに示される)封止メンブレン254などによって行われてよい。
【0038】
本発明の少なくとも1つの実施形態によれば、挿入機構は、国際特許出願第PCT/US2012/53174号に記載されているものと略同様であり、この記載されているものは、おおむね、あらゆる目的のために参照により全体が本明細書に含まれている。挿入機構は、最初は、ロックアウトピンによって使用準備完了段階にロックされており、ロックアウトピンは、最初は、挿入機構ハウジングのロックアウト窓内に配置される。この最初の構成では、挿入付勢部材及び引き込み付勢部材は、それぞれが、圧縮されてエネルギが蓄積された状態で保持されている。
図1Bに示されるように、ロックアウトピン208は、ユーザが起動機構14を押下することによって直接変位させられてよい。ユーザがいずれかの安全機構、例えば、任意選択の体表センサ24の係合を解除すると、起動機構14を押下して薬剤ポンプを始動させることが可能になる。起動機構14の押下により、制御アーム40を直接平行移動又は変位させることが可能であり、且つ、ロックアウトピン208を、挿入機構200の対応するロック窓内のそれぞれの最初の位置から直接又は間接的に変位させることが可能である。ロックアウトピン208の変位により、挿入付勢部材は、その最初に圧縮されてエネルギが蓄積された状態から減圧されることが可能になる。この、挿入付勢部材の減圧によって、針及びカニューレがユーザの体内に向かって駆動される。挿入段階の最後には、引き込み付勢部材は、その最初のエネルギ蓄積状態から近位方向に伸張することが可能になる。この、引き込み付勢部材の近位方向の軸方向伸張によって、針は引き込まれるが、カニューレは、ユーザの身体と流体連通している状態が維持される。従って、挿入機構は、針及びカニューレをユーザに挿入し、その後、針を引き込み、カニューレを、ユーザの身体に薬剤を送達する為の定位置に保持する為に、使用されてよい。代替の実施形態では、針は、可撓性カニューレの存在とともに、又は、可撓性カニューレの存在無しで、身体に流体連通して保持されてもよい。幾つかの挿入機構は利用されてよく、これについては、当業者であれば容易に理解されるであろう。
【0039】
駆動機構
幾つかの駆動機構は、ユーザの身体への送達のために、薬剤容器から流体を押し出すために利用されてよい。そのような一実施形態では、駆動機構100は、国際特許出願第PCT/US2012/053241号に記載されているものと略同様であってもよく、この記載されているものは、おおむね、あらゆる目的のために参照により全体が本明細書に含まれている。
図2Aに示されるように、薬剤容器は、穴あけ可能な摺動封止材56及びプランジャ封止材60の間におけるバレル58内の薬剤チャンバ21を有してよい。薬剤チャンバ21は、一体化された無菌流体経路接続部、挿入機構及び薬剤ポンプを通してユーザの身体に送達するための、薬剤流体を含んでもよい。本明細書に記載の封止材は、幾つかの材料からなるものであってよいが、好ましい一実施形態では、1つ以上のエラストマ又はゴムからなる。駆動機構100は更に、プランジャ封止材60を駆動するために、1つ以上の駆動付勢部材を含んでもよい。駆動機構の各構成要素は、流体を、流体経路接続部300、無菌流体導管30、及び挿入機構200を介してユーザの体内へ送達すべく、流体を、薬剤チャンバ21から、穴あけ可能封止材を通して、又は好ましくは流体経路接続部300の穴あけ部材330を通して押し出すように機能する。明確にするためには、穴あけ部材330は、流体導管30の態様であってもよいし、又は、流体導管30から分離している構成要素であってもよく、これについては、当業者であれば容易に理解されるであろう。
【0040】
一特定実施形態では、駆動機構100は、1つ以上の圧縮ばねを付勢部材として使用する。薬剤ポンプがユーザによって起動されると、ただちに、電源/制御系400は、圧縮ばねをエネルギ蓄積状態から直接又は間接的に解放するように作動してよい。圧縮ばねは、解放後ただちに、流体薬剤を薬剤容器の薬剤チャンバ21から押し出すようにプランジャ封止材60に当たって作用してよい。プランジャ封止材60が薬剤流体に力を行使したとき、薬剤流体の圧縮によって空圧が高まり、この力が、穴あけ可能な摺動封止材56に伝わる。穴あけ可能な摺動封止材56は、キャップ52に向かって摺動して、一体化された無菌流体経路接続部300内に保持されている穴あけ部材によって、穴があけられるのが可能になる。従って、一体化された無菌流体経路接続部300は、本明細書において更に詳述されているように、駆動機構100の起動によって生成される、薬剤チャンバ21内の薬剤流体の空気力によって接続される(即ち、流体経路が開かれる)。一体化された無菌流体経路接続部300が接続されると、即ち、流体経路が開くと、薬剤流体が、薬剤容器から流れ出て、一体化された無菌流体経路接続部、無菌流体導管、及び挿入機構を通って、薬剤送達の為にユーザの体内に入ることが可能になる。少なくとも1つの実施形態では、流体は、挿入機構のマニホールド並びにカニューレ及び/又は針のみを通って流れ、これによって、薬剤送達前及び薬剤送達中の流体経路の無菌状態が維持される。そのような構成要素及び機能については、更に以下の詳細において記述される。
【0041】
駆動機構100の各構成要素は、起動されると、薬剤容器のプランジャ封止材の遠位方向における軸方向平行移動を駆動するのに用いられてもよい。任意選択的に、駆動機構100は、プランジャ封止材の更なる軸方向平行移動を可能にするコンプライアンス機能を1つ以上含んでよく、これは、例えば、実質的に全薬剤用量がユーザに送達されたことを確認する為、そして、フィードバックコンタクト機構が接続していることを確かめる為である。追加的に、又は、代替的に、プランジャ封止材及び/又は穴あけ可能な摺動封止材は、薬剤容器からの薬剤流体のコンプライアンス押しが可能となる、ある程度の圧縮性があってよい。駆動機構100は、同様に、駆動機構及び装置の動作前、動作中、及び動作後に駆動機構の状態を測定してユーザに伝達するために、相互接続部及び接触部のような、状態表示機構を1つ以上含んでもよい。そのような構成要素及び機能については、更に以下の詳細において記述される。更に、駆動機構100は、機構及び装置の安全性及び使いやすさを向上させるために、早すぎる起動の防止機構のような、 安全機構を1つ以上含んでもよい。
【0042】
一体化された無菌流体経路接続部:
本発明の新規な実施形態は、一体化された無菌流体経路接続部及び薬剤容器、そして、そのような接続部を利用する薬剤ポンプを提供し、接続部は、装置の動作前、動作中、及び動作後において流体経路の無菌状態を維持することを可能にし、装置のための事故防止制御を可能にする。薬剤容器の一部への流体経路接続部の一体化は、流体経路の無菌状態及び容器インテグリティを確実にするのを支援する。更に、薬剤容器の一部へ無菌流体経路接続部を組み込むことにより、流体輸送のための接続部は、ユーザによって制御されること(例えば、ユーザによる起動)ができ、駆動機構の機能によって有効にされる。従って、ユーザによる起動ステップ及び薬剤ポンプの内部動作は、本発明の新規な一体化された無菌流体経路接続部によって、大幅に簡略化することができる。
【0043】
一実施形態では、流体経路接続部300は、無菌流体導管30、穴あけ部材330、接続ハブ310、及び穴あけ可能な摺動封止材56を含む。
図2A及び
図2Bに示されるように、流体経路接続部300は、封止マウント340を任意選択的に含んでも良く、封止マウント340には、接続ハブ310にインタフェースするために、穴あけ可能な摺動封止材56が設けられる。フィルタ309のような、透過性のメンブレン、半透過性のメンブレン、又は多孔質のメンブレンが、装置の動作中に、流体経路接続部300内からの空気を放出することを可能にするために利用されてもよい。フィルタ309は、接続ハブ310内で無菌空洞311を取り囲むために、取り付けられたり、マウントされたり、接着されたり、オーバーモールドされたり、コモールドされたり、事前に成形されたり、又は他の方法で接続されたりしてもよい。「取り囲む」又は「囲い」という用語は、少なくとも半透過性の又は多孔質の密閉区域であって、滅菌され、真空によって空にされ、そして、放出されことが可能であるが、微生物、汚損物質、又は他の好ましくない環境要因については通過できない、密閉区域を定義するために、本明細書で使用されている。例えば、フィルタ309は、外部環境から無菌空洞311を分離するために、少なくとも部分的に接続ハブ310内でオーバーモールドされてもよい。フィルタは、メンブレン、好ましくは、半透過性のメンブレンであり、穴あけ可能な摺動封止材56、流体経路接続部300、及び装置10の作動中に空気を放出するのを可能にする。フィルタは、滅菌の手段には透過性であってもよく、これについては、当業者であれば容易に理解されるであろう、一方、フィルタは、穴あけ部材330の、微生物、汚損物質、又は他の好ましくない環境要因への露出を防止するために、無菌障壁を維持するために利用されてもよい。
【0044】
更に、流体経路接続部300は、バレル58、接続ハブ310、及びキャップ52の間において封止するために圧縮されたガスケット320のような、ガスケット、オーリング、又は他の封止部材を、任意選択的に1つ以上含んでもよい。 キャップ52は、バレル58へのマウントを可能にする接続ハブ310の態様であってもよいし、又は、個別構成要素であってもよい。
図1Cに示されるように、流体経路接続部300は、幾つかの既知の方法にて、薬剤容器50に取り付けられ(例えば、組み込まれ)てもよく、マウントされてもよく、薬剤ポンプのハウジング又はアセンブリプラットフォームに着脱可能であってもよい。アセンブリプラットフォームは、ハウジングから分離している構成要素であってもよいし、又は、ハウジングの内面への予め形成されている取付態様のように、ハウジングの一体化されている構成要素であってもよい。どちらかの構成では、流体経路の無菌状態は維持され、流体の流れのための経路は、ユーザによって望まれるまでは接続されず、そして、ユーザによる初期の起動により、薬剤チャンバ及び流体経路接続部の接続が可能である。流体経路接続部は、任意選択的に、1つ以上の個別流量制御器、及び/又は、1つ以上の穴あけ部材330を更に含んでよく、流体導管30は、流量制御器として追加的に機能してもよい。
【0045】
ユーザによって装置10の適切な起動が行われると、ただちに、流体経路接続部300は、薬剤容器50に接続されて、それによって、(駆動機構100によって押し出すことができるので)薬剤チャンバ21から、流体経路接続部300、流体導管30、挿入機構200を介して、ユーザの体内へ流体が流れるのが可能になる。流体経路接続部300及び薬剤チャンバ21の間のそのような接続は、(
図4A及び
図4Bの間における推移において示されている)穴あけ可能な摺動封止材56を貫通する針などの、穴あけ部材330によって、容易にされることができる。プランジャ封止材60が薬剤流体に力を行使したとき、薬剤流体の圧縮によって空圧が高まり、この力が、穴あけ可能な摺動封止材56に伝わる。穴あけ可能な摺動封止材56は、キャップ52に向かって摺動して、一体化された無菌流体経路接続部300内に保持されている穴あけ部材によって、穴があけられるのが可能になる。従って、一体化された無菌流体経路接続部300は、本明細書において更に詳述されているように、駆動機構100の起動によって生成される、薬剤チャンバ21内の薬剤流体の空気力によって接続される(即ち、流体経路が開かれる)。
【0046】
流体経路接続部の無菌状態は、接続ハブ310、穴あけ可能な摺動封止材56、及び任意選択的に封止マウント340の間の無菌空洞311内で接続を行うことにより、最初は維持される。少なくとも1つの実施形態では、空洞311の無菌状態は、接続ハブ310に、又は、接続ハブ310の一部に接続されるフィルタ309によって維持される。フィルタ309は、例えば、穴あけ可能な摺動封止材56の移動及び作動の間に、空気の放出を可能にする半透過性のメンブレンであってもよい。フィルタは、滅菌の手段には透過性であってもよく、これについては、当業者であれば容易に理解されるであろう、一方、フィルタは、穴あけ部材330の、微生物、汚損物質、又は他の好ましくない環境要因への露出を防止するために、無菌障壁を維持するために利用されてもよい。挿入機構200の実質的に同時の起動がおこなわれると、ただちに、薬剤チャンバ21及び挿入機構200の間の流体経路は完成する、これは、ユーザの体内への薬剤送達を可能にする為である。流体経路接続部は、起動機構及び薬剤ポンプの起動までは、薬剤チャンバと流体接続又は流体連通しないので、薬剤容器からの流体の流れは、ユーザによって望まれるまでは防止される。これは、流体経路の無菌状態及び薬剤容器の容器インテグリティを維持している間も、ユーザへの重要な安全機能を提供する。
【0047】
図2A及び
図2Bは、薬剤チャンバ21及びプランジャ封止材60を有する薬剤容器50に組み込まれている一体化された無菌流体経路接続部300の最初の構成を示す。流体経路接続部300は、薬剤容器50におけるプランジャ封止材60とは反対側の端部に、マウントされたり、接続されたり、又は他の方法により取り付けられたりしてもよい。少なくとも最初の構成では、穴あけ部材330は、流体経路接続部300の穴あけ可能な摺動封止材56と接触又は近接している近位端が無菌空洞311内に維持されている。好ましくは、空洞311及び穴あけ部材330の無菌状態は、無菌空洞311及び外部環境の間にあってよいフィルタ309によって維持される。少なくとも1つの実施形態では、フィルタ309は、外部環境から無菌空洞311を取り囲むために、接続ハブ310に、又は、接続ハブ310の一部に接続される。従って、本発明の流体経路接続部300は、少なくとも1つの実施形態では、薬剤容器50にマウントされて組み込まれる。穴あけ部材330は、スチールのような幾つかの材料によって構成されてもよい、剛直な針のような、幾つかのカニューレ又はコンジットであってもよい。少なくとも1つの実施形態では、穴あけ部材330は、剛直な鋼針である。穴あけ可能な摺動封止材56は、接続ハブ310の接続ポスト310Aに直接マウントされて、移動可能となってもよい。そのような構成は、穴あけ可能な摺動封止材56を、プランジャ封止材60に向かってではなく、キャップ52に向かって移動することを可能にする。これは、無菌流体経路接続部300の機能を汚損することなく薬剤流体で満たす前に、薬剤容器50の薬剤チャンバ21が真空等によって空にされるのを可能にする、好ましい機能である。
【0048】
装置が起動されて、薬剤送達が開始するために駆動機構がプランジャ封止材60を押した時、薬剤チャンバ21内の薬剤流体における空圧が高まる。空圧は穴あけ可能な摺動封止材56に力を付与し、穴あけ可能な摺動封止材56は、接続ポスト310Aにおけるキャップ52に向かう移動が可能になる。この穴あけ可能な摺動封止材56の移動及び穴あけ部材330の実質的に固定された位置により、穴あけ部材330が封止障壁56Cにおいて穴あけ可能な摺動封止材56に穴をあけるのが可能になり、それによって、薬剤チャンバ21、穴あけ部材330、及び流体導管30の間における流体経路を開いたり又はさもなければ接続したりする。最初の位置において、穴あけ部材330の遠位端は、例えば、貫通された状態になり流体経路に薬剤容器を開くべき、穴あけ可能な摺動封止材56の移動距離、を最小にするために、穴あけ可能な摺動封止材56の封止障壁56Cに接触又は近接して存在してもよい。一特定実施形態では、穴あけ部材330の遠位端は、穴あけ可能な摺動封止材56の封止障壁56C内に少なくとも部分的に存在してもよく、ユーザによる装置の起動までは穴あけ可能な摺動封止材56の封止障壁56Cを、そこを通してはまだ完全には通らない状態であってもよい。
【0049】
少なくとも1つの実施形態では、
図2A、
図2B、
図5A及び
図5Bに示されるように、中でも、封止マウント340は、穴あけ可能な摺動封止材56を接続ハブ310の接続ポスト310Aにマウントするために、及び、穴あけ可能な摺動封止材56を接続ハブ310の接続ポスト310Aに摺動可能に係合するために利用されてもよい。穴あけ可能な摺動封止材56は、例えば、封止棚56B及び対応する封止マウントリム340Bの間の取り外し可能なスナップフィット係合のような、技術分野において既知の幾つかの手法によって封止マウント340に対して取り外し可能に取り付けられてもよい。同様に、封止マウント340は、接続ポスト310Aにおいて接続ハブ310に摺動可能に取り付けられてもよい。技術分野で既知の幾つかの手法は、例えば、接続ハブ310の接続突起310Aと封止マウント340の対応する接続リム340Aとの間の係合のような、摺動的な取り付けを容易にするために利用されてもよい。これらの構成要素は、
図3A、
図3B及び
図5Bにおいて更に明確に視認可能になっている。そのような構成は、穴あけ可能な摺動封止材56及び封止マウント340を、プランジャ封止材60に向かってではなく、キャップ52に向かって移動することを可能にする。これは、無菌流体経路接続部300の機能を汚損することなく薬剤流体で満たす前に、薬剤容器50の薬剤チャンバ21が真空等によって空にされるのを可能にする、好ましい機能である。
【0050】
図2A、
図2B、
図5A、及び
図5Bに示されている実施形態において視認可能であるように、中でも、流体導管30は、穴あけ部材330に直接的に接続されてよい。代替的に、
図5C及び
図5Dに示されているように、流体導管30は、コンジットポート312において接続ハブ310のヘッダー310Cに接続されてもよい。穴あけ部材330は、チャンバ313内のような、ヘッダー310C内に存在してもよい。ヘッダー310Cは又、チャンバ313内に至るチャネル310Eを有するバキュームポート310Dを有してもよい。コンジットポート312及びバキュームポート310Dは、各ポートを介してチャンバ313の外への流体の流れを可能にするが、各ポートを介してチャンバ313の内への流体の流れを可能にしない、1方向の封止手段のような、封止又はメンブレンを含んでもよい。追加的に、又は、代替的に、コンジットポート312及びバキュームポート310Dは、組み立て又は作動のあるポイントでふさがれてもよい。例えば、バキュームポート310Dは、装置の作動の前の幾つかのポイント、組み立て、又は製造の間に、チャンバ313、穴あけ部材330、及び無菌空洞311を空にするのに利用されてもよく、そして、それから、バキュームポート310Dは、空にするのが完了した後にふさがれてもよい。
【0051】
図3Aは、本発明の少なくとも1つの実施形態による、長手軸「A」に沿って分解された、一体化された無菌流体経路接続部及び薬剤容器の分解された状態を示す。
図3Bは、幾つかの実施形態の分解された断面を示す。本明細書において詳述するように、無菌流体経路接続部300は、薬剤容器50におけるプランジャ封止材60とは反対側の端部において、組み込まれてもよい。一例示的な駆動機構100は、上述のように、これらの図中において、本発明の少なくとも1つの実施形態におけるこれらの構成要素を明確にするために示されている。新規な無菌流体経路接続部300の構成要素は、
図5Aに示されているように予め組み立てられていてもよく、そして、薬剤容器50に取り付けられたり、マウントされたり、接続されたり、又は他の方法を用いてつながれたりしてもよい。代替的に、無菌流体経路接続部300の構成要素は、薬剤容器50内に直接組み立てられてもよい。当業者であれば容易に理解されるように、いくつかの、接着剤又は粘着材、又は、他の接続手段(例えば、スナップフィット、干渉嵌合、ねじ嵌合接続、融着接合、溶接、超音波溶接、レーザ溶接、及び機械式締結など)が、本明細書に記載されている1つ以上の構成要素の係合のために、任意選択的に利用されてよい。例えば、接着剤は、バレル58の遠位端及び接続ハブ310及び/又は任意選択のガスケット320の間において利用されてもよい。追加的に、又は、代替的に、無菌流体経路接続部300の構成要素は、バレル58にマウントされて、定位置において、バレル58のフランジ付きの態様のような、バレル58の遠位面にキャップ52をクリンピングすることにより、保持されてもよい。
【0052】
図4A乃至
図4Cは、使用段階を通して進行する時の、一体化された無菌流体経路接続部及び薬剤容器の断面を示す。
図4Aは、ユーザによる装置のユーザ起動前の、無菌流体経路接続部300を示す。穴あけ部材330は、最初、近位端が流体経路接続部300の穴あけ可能な摺動封止材56に接触又は近接している状態で、無菌空洞311内に維持されている。穴あけ可能な摺動封止材56は、例えば、封止棚56B 及び対応する封止マウントリム340Bの間の取り外し可能なスナップフィット係合のような、技術分野において既知の幾つかの手法によって、封止マウント340に取り外し可能に取り付けられてもよい。同様に、封止マウント340は、接続ポスト310A において接続ハブ310に摺動可能に取り付けられてもよい。少なくとも1つの実施形態では、無菌空洞311の無菌状態はフィルタ309によって維持される。フィルタ309は、穴あけ可能な摺動封止材56の移動中及び作動中、そして、装置の動作中に、流体経路接続部300内から空気を放出することを可能にするために、透過性のメンブレン、半透過性のメンブレン、又は多孔質のメンブレンであってもよい。フィルタ309は、接続ハブ310内の無菌空洞311を取り囲むために、取り付けられたり、マウントされたり、接着されたり、オーバーモールドされたり、コモールドされたり、事前に成形されたり、又は他の方法で接続されてもよい。例えば、フィルタ309は、外部環境から無菌空洞311を分離するために、接続ハブ310内に少なくとも部分的にオーバーモールドされてもよい。フィルタは、滅菌の手段には透過性であってもよく、これについては、当業者であれば容易に理解されるであろう、一方、フィルタは、穴あけ部材330の、微生物、汚損物質、又は他の好ましくない環境要因への露出を防止するために、無菌障壁を維持するために利用されてもよい。
【0053】
追加選択的な封止マウント340が無菌流体接続部300において利用されていようといまいと、
図4Aに示されているように、距離D1は、接続ハブ310と穴あけ可能な摺動封止材56及び/又は封止マウント340の間に最初に存在する。技術分野で既知の幾つかの手法は、例えば、接続ハブ310の接続突起310Aと封止マウント340の対応する接続リム340Aとの間の係合のような、摺動可能な取り付けを容易にするために利用されてもよい。そのような構成は、穴あけ可能な摺動封止材56及び封止マウント340を、プランジャ封止材60に向かってではなく、キャップ52に向かって移動可能することを可能にする。これは、無菌流体経路接続部300の機能を汚損することなく薬剤流体で満たす前に、薬剤容器50の薬剤チャンバ21が真空等によって、近位端において空にされるのを可能にする、好ましい機能である。薬剤流体で薬剤チャンバを満たした後、プランジャ封止材60は、近位端を封止するために、薬剤容器50に挿入されてもよい。駆動機構100は、それから、薬剤容器50の近位端に取り付けられてもよく、又は、代替的に、これらの構成は、薬剤ポンプ内に入ってアセンブリに接触することを可能にしてもよい。装置が起動されて、薬剤送達が開始するために駆動機構100がプランジャ封止材60を押した時、薬剤チャンバ21内の薬剤流体における空圧が高まる。空圧は穴あけ可能な摺動封止材56に力を付与し、穴あけ可能な摺動封止材56は、(利用されている場合には封止マウント340と共に)接続ポスト310Aにおける、キャップ52(例えば、遠位端)に向かう移動が可能になる。
図4Bに示されているように、(ハッチングの矢印が示す方向における)穴あけ可能な摺動封止材56の移動、及び穴あけ部材330の実質的な固定された位置が、距離D1をつめて、そして、穴あけ部材330がメンブレン56Aにおいて穴あけ可能な摺動封止材56を貫通することを可能にし、それによって、薬剤チャンバ21、穴あけ部材330、及び流体導管30の間における流体経路を開いたり又はさもなければ接続したりする。流体経路が開かれると又は接続されると、即ち、駆動機構100によって遠位方向におけるプランジャ封止材60の移動は、薬剤チャンバ21内の薬剤流体が、ユーザへの薬剤送達のために穴あけ部材330及び流体導管30を通して押し出されるのを可能にする。針挿入機構は、本明細書おいて述べられているように、ユーザへの流体の移動を容易にするべく、ユーザの体内に針を挿入するために、流体導管30の他端に接続されてもよい。
図4Cは、実質的に薬剤流体の全てが薬剤容器50の外に押し出された後の、駆動機構100、薬剤容器50、及び無菌流体経路接続部300の構成要素を示す。本発明の新規な流体経路接続部300及び薬剤容器50内への流体経路接続部300の組み込みによって、輸送、貯蔵、装置の作動を通して流体経路の無菌状態が維持され、装置のユーザによる起動が単純化され、そして、ユーザによって望まれる時にのみ、流体経路が接続される。
【0054】
本発明の新規な一体化された無菌流体経路接続部は、薬剤用量送達の状態表示を追加的に取り込んでもよい。そのような状態表示の機能は、駆動機構100に取り込まれてもよく、国際特許出願第PCT/US2012/053241号に示されており、参照により本明細書に含まれている。追加的に、又は、代替的に、そのような状態表示の機能は、無菌流体経路接続部自身の構成要素に取り込まれてもよい。1つの実施形態では、1つ以上の相互接続部61が、プランジャ封止材60内又はプランジャ封止材60の近位側に含まれる。薬剤送達の最後において、
図4Cに示されており、穴あけ部材330は、それ自身、開いたり、閉じたり、さもなければ、ユーザにフィードバックを提供するための電源/制御系への信号を生成したりするために、相互接続部61に接触するために利用されたり、及び/又は相互接続部61のための接触部として利用されたりしてもよい。別の実施形態では、相互接続部61又は接触部62のうちの一方は、プランジャ封止材60内に又はプランジャ封止材60の近位側に含まれており、一方、相互接続部61又は接触部62のうちの他方は、穴あけ可能な摺動封止材56内に又は穴あけ可能な摺動封止材56の遠位側に含まれている。薬剤送達の最後において、相互接続部及び対応する接触部は十分に近づいて、ユーザにフィードバックを提供するために、電源/制御系に信号が送られるのを可能にする。幾つかの既知の相互接続部及び対応する接触部、又は同様な構成要素は、技術分野において知られており、本明細書において示されている新規な実施形態において利用されてもよい。当業者であれば容易に理解されるように、広範囲なマグネット、センサ、コイルなどが、ユーザフィードバックのための信号を、接続したり、送信したり、又は中継したりするために利用されてもよい。一般に、抵抗、インダクタ、及びキャパシタを有しており、これらが直列又は並列に接続されている、幾つかのRLC回路システムは、この目的のために利用されてもよい。例えば、ホール効果センサ;巨大磁気抵抗(GMR)又は磁界センサ;光センサ;容量性又は静電容量変化センサ;超音波センサ;及び/又はリニアトラベル、LVDT、線形抵抗性、又は放射測定線形抵抗性センサは、ユーザにフィードバックを提供するために、電源/制御系に信号が送られるのを可能にするために用いられる、相互接続部及び対応する接触部として、利用されてもよい。相互接続部及び対応する接触部の位置は、電気回路の完成を可能にし、又は、さもなければ、構成要素間の伝送を可能にする、他の幾つかの構成要素の中であってもよく、又は置き換えられてもよい。
【0055】
1つ以上の状態スイッチ相互接続部及び1つ以上の対応する電気接触部の使用によって、動作前、動作中及び動作後の駆動機構の状態が、ユーザにフィードバックを提供するために、電源/制御系に中継されることができる。そのようなフィードバックは、触覚的、視覚的、及び/又は聴覚的であってもよく、上述のように、1つ以上のフィードバックの信号又はフィードバックの種類が、装置の使用中にユーザに提供されるように、冗長的であってもよい。上述のように、少なくとも1つの実施形態では、薬剤容器50のバレル58内のプランジャ封止材60の軸方向の移動の最後において、状態スイッチ相互接続部132の電気接触部134への接触が行われると、用量終了の状態表示がユーザに提供されてもよい。
【0056】
追加的に、本発明の実施形態は、ユーザへの正確なフィードバックを提供するべく、ユーザへの全薬剤用量の送達が実質的に行われたこと、及び、状態表示の機能が適切に接触したことを確認するために、用量終了のコンプライアンスを提供する。これらの機構を通して、薬剤用量送達の確認は、ユーザ又は管理者に確実に提供される。従って、本発明の新規な装置は、上述において参照されたような従来の装置に関連する1つ以上の問題を緩和する。任意選択的に、駆動機構100は、プランジャ封止材60の更なる軸方向平行移動を可能にするコンプライアンス機能を1つ以上含んでよく、これは、例えば、実質的に全薬剤用量がユーザに送達されたことを確認するため、そして、フィードバックコンタクト機構が接続していることを確認するためである。例えば、本発明の実施形態では、以下において更に詳しく述べられるように、駆動機構100は、薬剤容器からのプランジャ封止材、及び/又は薬剤流体のコンプライアンス押しのための、少なくともプランジャ封止材60の一部の軸方向の更なる移動を駆動するように構成されてもよい。追加的に、又は、代替的に、プランジャ封止材60は、それ自身、コンプライアンス押しが可能となる、ある程度の圧縮性があってよい。例えば、ポップアウトプランジャ封止材が採用される場合、例えば、プランジャ封止部材は最初の状態から変形可能であり、プランジャ封止部材はコンプライアンス押しを提供するために変形又は「ポップアウト」されてもよい。同様に、プランジャ封止材は、コンプライアンス押しを提供することをそれ自身で可能にするために、多孔性、圧縮性、又は変形可能などであってもよい。
【0057】
図6A乃至
図6Dは、動作の各ステージにおいて進行する時の、本発明の別の実施形態による、一体化された無菌流体経路接続部及び薬剤容器の断面を示す。
図6A乃至
図6Dに示されている実施形態は、用量終了の表示、及び/又は、追加のコンプライアンス移動を提供する。
図6Aは、ユーザによる起動の前の構成を示し、一方、
図6Bは、流体経路が接続された状態の構成を示す。
図6Cは、実質的に薬剤送達の終了における構成を示し、
図6Dは、追加のコンプライアンス移動及び/又は用量終了の表示後の構成を示す。
図6A乃至
図6Dに示されているように、少なくとも1つの実施形態では、相互接続部102及び電気接触部104は、駆動機構100及びプランジャ封止材60の間に設けられてもよい。変更されたプランジャ封止材60は、動作終了近辺でのコンプライアンス押し又はコンプライアンス移動を提供するために、駆動機構100の構成であるピストン101及びピストンの先端101Aとのインタフェースを行うために利用されてもよい。
【0058】
最初に、
図6Aに示されているように、薬剤流体は、ユーザへの送達のために薬剤チャンバ21内に含まれてもよい。最初の構成では、無菌流体経路接続部300は、上述のように、閉じられている。装置が起動されて、薬剤送達を開始するために駆動機構がプランジャ封止材60を押した時、薬剤チャンバ21内の薬剤流体における空圧が高まる。空圧は穴あけ可能な摺動封止材56に力を付与し、穴あけ可能な摺動封止材56は、接続ポスト310Aにおけるキャップ52に向かう(
図6Bのハッチングの矢印が示す方向への)移動が可能になる。この穴あけ可能な摺動封止材56の移動及び穴あけ部材330の実質的に固定された位置により、穴あけ部材330が封止障壁56Cにおいて穴あけ可能な摺動封止材56に穴をあけるのが可能になり、それによって、薬剤チャンバ21、穴あけ部材330、及び流体導管30の間における流体経路を開いたり又はさもなければ接続したりする。最初の位置において、穴あけ部材330の遠位端は、例えば、貫通された状態になり流体経路に薬剤容器を開くべき、穴あけ可能な摺動封止材56の移動距離、を最小にするために、穴あけ可能な摺動封止材56の封止障壁56Cに接触又は近接して存在してもよい。一特定実施形態では、穴あけ部材330の遠位端は、穴あけ可能な摺動封止材56の封止障壁56C内に少なくとも部分的に存在してもよく、ユーザによる装置の起動までは穴あけ可能な摺動封止材56の封止障壁56Cを、そこを通してはまだ完全には通らない状態であってもよい。駆動機構100が、プランジャ封止材60に力を付与し続け、プランジャ封止材60をキャップ52に向かって移動し続けた場合、薬剤流体は、ユーザへの送達のために穴あけ部材330を介して薬剤チャンバ21の外へ押し出される(
図6Bに示されている)。動作のこのステージでは、距離D3は、相互接続部102及び接触部104の間において維持される。
図6Cは、薬剤送達の実質的な終了のときの構成を示す。薬剤流体が送達されたことを確認するために、プランジャ封止材60は、更なる軸方向の移動を提供するために、圧縮できもてもよく及び/又は変形可能であってもよい。この更なる軸方向の移動は、例えばメンブレン60Aにおけるプランジャ封止材60の変形として、
図6C及び
図6Dの間の移動において示されている。よって、プランジャ封止材60の軸方向の移動は又、距離D3をつめて、そして、相互接続部102及び電気接触部104の接触を可能にし、又はさもなければ、ユーザにフィードバックを提供するために電源/制御系に信号が送られるのを可能にする。従って、本発明の実施形態は、コンプライアンス移動及び/又は用量終了の表示を提供するために利用されてもよい。
【0059】
図7A乃至
図7Dは、動作の各ステージにおいて進行する時の、本発明の更に別の実施形態による、一体化された無菌流体経路接続部及び薬剤容器の断面を示す。
図7A乃至
図7Dに示されている実施形態は、用量終了の表示、及び/又は、追加のコンプライアンス移動を提供する。
図7A乃至
図7Dに示されているように、少なくとも1つの実施形態では、相互接続部102及び電気接触部104は、任意選択の封止マウント340及び接続ハブ310の間のような、穴あけ可能な摺動封止材56及び接続ハブ310の間に設けられてもよい。最初に、
図7Aに示されているように、薬剤流体は、ユーザへの送達のために薬剤チャンバ21内に含まれていてもよい。最初の構成では、無菌流体経路接続部300は、上述のように、閉じられている。装置が起動されて、薬剤送達を開始するために駆動機構がプランジャ封止材60を押した時、薬剤チャンバ21内の薬剤流体における空圧が高まる。空圧は穴あけ可能な摺動封止材56に力を付与し、穴あけ可能な摺動封止材56は、接続ポスト310Aにおけるキャップ52に向かう(
図7Bのハッチングの矢印が示す方向への)移動が可能になる。この穴あけ可能な摺動封止材56の移動及び穴あけ部材330の最初に固定された位置により、穴あけ部材330が封止障壁56Cにおいて穴あけ可能な摺動封止材56に穴をあけるのが可能になり、それによって、薬剤チャンバ21、穴あけ部材330、及び流体導管30の間における流体経路を開いたり又はさもなければ接続したりする。穴あけ可能な摺動封止材56及び無菌流体経路接続部300の他の構成要素は、接続ハブ310から離れた距離(
図7Bに示されている距離D5)を維持している間、流体経路を開いたり又は接続したりするために、最初の距離だけ移動するように構成されてもよい。
【0060】
駆動機構100が、プランジャ封止材60に力を付与し続け、プランジャ封止材60をキャップ52に向かって移動し続けた場合、薬剤流体は、ユーザへの送達のために穴あけ部材330を介して薬剤チャンバ21の外へ押し出される(
図7Bに示されている)。
図7Cは、薬剤送達の実質的な終了のときの構成を示す。薬剤流体が送達されたことを確認するために、プランジャ封止材60は、更なる軸方向の移動を提供するために、圧縮できもてもよく及び/又は変形可能であってもよい。この更なる軸方向の移動は、
図7C及び
図7Dの間の移動であって、前に
図7Bにおいて示されている距離D5をつめる移動において示されている。よって、プランジャ封止材60及び穴あけ可能な摺動封止材56の軸方向の移動は又、相互接続部102及び電気接触部104の接触を可能にし、又はさもなければ、ユーザにフィードバックを提供するために電源/制御系に信号が送られるのを可能にする。従って、本発明の実施形態は、コンプライアンス移動及び/又は用量終了の表示を提供するために利用されてもよい。
【0061】
上述のように、相互接続部及び接触部の位置は、電気回路の完成を可能にし、又は、さもなければ、構成要素間の伝送を可能にする、他の幾つかの構成要素の中であってもよく、又は置き換えられてもよい。例えば、
図7A乃至
図7Dに示されている実施形態は、穴あけ部材330が用量終了の表示をトリガするためのコンプライアンス移動の後、キャップ52の方向において、穴あけ部材330が離れたり、離脱したり、又はさもなければ移動したりするのが可能なように変更されてもよい。無菌流体経路接続部の他の構成要素は、多くの機能のために同様に利用されてもよい。代替的に、他の任意選択的な構成要素は、本発明の新規な実施形態内で利用されてもよい。例えば、1つ以上の任意選択の流量制御器は、本明細書において記載されている流体経路接続部の構成要素内で利用されてもよい。少なくとも1つの実施形態では、流量制御器は、穴あけ部材330及び流体導管30の間の接続において利用されてもよい。薬剤ポンプは、異なる粘度及び量の一連の薬剤の送達が可能である。薬剤ポンプは、制御された流量(流速)及び/又は特定の量にて薬剤の送達が可能である。1つの実施形態では、薬剤送達プロセスは、流体経路接続部及び/又は無菌流体導管内の1つ以上の流量制御器によって制御される。別の実施形態では、他の流量は、流体流れ経路又は送達コンジットのジオメトリの変化、薬剤を内に分注するために薬剤容器内に駆動機構の構成要素が進出するスピードの変化、又はこれらの組合せによって提供されてもよい。本発明の少なくとも1つの実施形態では、接続ハブはそれ自身が、流体経路の一部として利用されてもよいし、任意選択的に、流量制御器として機能してもよい。
【0062】
無菌経路接続部300又は薬剤ポンプ10の特定の任意選択の標準的な構成要素又は変形形態も、本発明の広さ及び範囲に収まる中で企図されている。例えば、上部又は下部ハウジングは、ユーザが薬剤ポンプ10の動作を視認するために、又は、薬剤用量が終了したのを確かめるために、
図1Aに示されるように、1つ以上の透明又は半透明の窓18を任意選択的に含んでもよい。追加的に、薬剤ポンプ10は、ハウジング12の底面に粘着パッチ26及びパッチライナ28を含んでもよい。粘着パッチ26は、薬剤用量の送達のためにユーザの身体に薬剤ポンプ10を粘着するのに利用されてもよい。当業者であれば理解されるように、粘着パッチ26は、ユーザの身体への薬剤ポンプの粘着のための粘着面を有してもよい。粘着パッチ26の粘着面は、ユーザの身体に接触させて薬剤ポンプ10を取り付ける前に粘着パッチ26から剥がされる非粘着性のパッチライナ28によって、最初覆われてもよい。パッチライナ28を剥がすことは、挿入機構200の封止メンブレン254も剥がしてもよく、これによって、(
図1Cに示されているように)薬剤送達のためのユーザの身体への挿入機構をあけることになる。更に、上述のように、幾つかの流量制御器は、任意選択的に、流体経路接続部内の流体の流れを調整するために利用されてもよい。
【0063】
同様に、機能性を本発明の広さ及び範囲に収めながら、流体経路接続部300及び薬剤ポンプ10の構成要素の1つ以上を修正してよい。例えば、上述のように、薬剤ポンプ10のハウジングは2つの個別構成要素である上部ハウジング12A及び下部ハウジング12Bとして示されているが、これらの構成要素は、1つの一体化されている構成要素であってもよい。上述のように、接着剤、粘着剤、又は他の既知の材料又は手法は、流体経路接続部及び/又は薬剤ポンプの互いの1つ以上の構成要素を貼り合わせるのに利用されてもよい。例えば、上部ハウジング及び下部ハウジングは、接着剤又は粘着材、ねじ嵌合接続、干渉嵌合、融着接合、溶接、超音波溶接、レーザ溶接、及び機械式締結などによって一緒に貼り合わされる個別構成要素であってもよく、又は、上部ハウジング及び下部ハウジングは、1つの一体化されている構成要素であってもよい。そのような標準的な構成要素や機能的改変は、当業者であれば明らかであると考えられ、従って、本発明の広さ及び範囲に収まる。
【0064】
上述の説明から明らかなように、本明細書おいて開示されている流体経路接続部及び薬剤ポンプは、薬剤容器からの自動化された薬剤送達の、効果的で容易な操作のシステムを提供する。本発明の新規な装置は、流体経路の無菌状態を維持し、薬剤容器に組み込まれる容器接続部、並びに、そのような一体化された無菌流体経路接続部が薬剤容器に組み込まれた薬剤送達ポンプを提供する。そのような装置は、安全で使いやすく、見た目や使い勝手の点でも自己投与患者に対する訴求力がある。本明細書に記載の装置には、訓練を積んでいないユーザであっても本装置の起動、操作、及びロックアウトを簡単に行えるようにする機能が組み込まれている。本発明の新規な装置は、これらの望ましい機能を、従来技術による既知の装置に付随していた問題が全くない状態で提供する。流体経路は、ユーザによって薬剤送達が望まれるまでは接続されないので、流体経路接続部、薬剤容器、薬剤流体、及び全体としての装置の無菌状態は維持される。本発明のこれらの態様は、高度に望ましい貯蔵、輸送、及び安全性のユーザへの利点を提供する。更に、本発明の流体経路接続部及び薬剤ポンプの新規な構成要素は、装置の動作を通して、流体経路の無菌状態を維持する。装置内を薬剤流体が移動する経路が全体的に無菌状態に維持されているので、製造プロセスにおいて、これらの構成要素を滅菌する必要があるのみである。そのような構成要素は、駆動機構の薬剤容器、流体経路接続部、無菌流体導管、及び挿入機構を含む。本発明の少なくとも1つの実施形態では、電源/制御系、アセンブリプラットフォーム、制御アーム、起動機構、ハウジング、及び薬剤ポンプの他の構成要素は、滅菌が必要でない。これは、装置の製造性の多大な改善であり、そして、組み立てに関するコストを減少させる。従って、本発明の装置は、組み立て完了の最終滅菌が不要である。本発明の更なる利点は、本明細書に記述されている構成要素が、モジュール式に設計されており、例えば、流体経路接続部及び装置の他の構成要素が、ハウジングに組み込まれることができ、そして、薬剤ポンプのような機能に容易にインタフェースすることができることである。
【0065】
流体経路接続部300、薬剤送達ポンプ10、又は個別の構成要素の幾つかの組み立て及び/又は製造は、技術分野において既知の幾つかの材料及び方法論を利用することができる。例えば、イソプロピルアルコール及びヘキサンのような幾つかの既知のクリーニング流体が、構成要素及び/又は装置の清掃のために用いられてもよい。幾つかの既知の粘着剤又は接着剤は、製造プロセスにおいて同様に採用されてもよい。追加的に、既知のシリコン処理及び/又は潤滑流体及びプロセスは、新規な構成要素及び装置の製造の間に、用いられてもよい。更に、既知の滅菌プロセスが、最終製品の無菌状態を確実にするために、1つ以上の製造又は組み立てのステージにおいて用いられてもよい。
【0066】
流体経路接続部は、幾つかの方法論において組み立てられてもよい。1つの組み立て方法では、無菌流体経路接続部は、
図5A及び
図5Bに示されるように組み立てられてよく、そしてそれから、穴あけ可能な摺動封止材56の少なくとも一部が薬剤容器50内に含まれるように、薬剤容器50に取り付けられてもよく、マウントされてもよく、接続されてもよく、又は他の方法で一体化されてもよい。薬剤容器50は、それから、ユーザへの送達のための流体によって満たされて、穴あけ可能な摺動封止材56の反対側の端部において、プランジャ封止材60によってふさがれてもよい。バレル58は、バレル58の近位端からプランジャ封止材60の挿入の前に、開放近位端を通して薬剤流体によって満たされてもよい。駆動機構100は、それから、駆動機構100の構成要素がプランジャ封止材60と接触可能となるように、薬剤容器50の近位端に取り付けられてもよい。挿入機構200は、組み立てられて、流体導管30の他端に取り付けられてもよい。駆動機構100、薬剤容器50、流体経路接続部300、流体導管30、及び 挿入機構200を含む、この全てのサブアセンブリは、上述のように、薬剤ポンプ10に組み立てられる前に、滅菌されてもよい。このサブアセンブリの特定の構成要素は、ハウジング12A、12B内でアセンブリプラットフォームにマウントされてもよいし、又は、ハウジング12A、12B内に直接組み立てられてもよく、一方、他の構成要素は、ガイド、チャネル、又はユーザによる起動のための他の構成要素又は態様にマウントされてもよい。
【0067】
薬剤ポンプの製造方法は、流体経路接続部及び薬剤容器の両方を、別々に、又は一体型構成要素として、薬剤ポンプのアセンブリプラットフォーム又はハウジングに取り付けるステップを含む。本製造方法は更に、駆動機構、薬剤容器、及び挿入機構をアセンブリプラットフォーム又はハウジングに取り付けるステップを含む。上述のように、電源/制御系、起動機構、及び制御アームを含む、薬剤ポンプの更なる構成要素も、アセンブリプラットフォーム又はハウジングに取り付けられるか、事前形成されているか、事前組み付けされていてよい。本装置の動作時にユーザに接触する薬剤ポンプのハウジング面には、粘着パッチ及びパッチライナが取り付けられてよい。
【0068】
薬剤ポンプを動作させる方法は、ユーザが起動機構を起動するステップと、制御アームを変位させて挿入機構を作動させるステップと、プランジャ封止材を押すために駆動機構を起動して、無菌流体経路接続部を接続して、薬剤容器を通して薬剤流体の流れを駆動するステップとを含み、流体経路接続部の移動により、穴あけ部材が穴あけ可能な封止材を貫通することによって、薬剤容器から流体経路接続部への流体経路を開く。駆動制御機構は、電源/制御系によって作動されてもよい。方法は、起動機構を起動する前に、任意選択的な体表センサを作動させるステップを含んでもよい。更に、動作させる方法は、薬剤容器、流体経路接続部、無菌流体導管、及び挿入機構を通って、ユーザの身体への薬剤流体の送達のために、薬剤流体を流すために、駆動制御機構及び薬剤容器内でプランジャ封止材を移動させるステップを含んでもよい。挿入機構及び薬剤ポンプを動作させる方法は、上述のように、
図4A乃至
図4C、
図6A乃至
図6D、及び/又は
図7A乃至
図7Dを参照することによって、一層よく理解されるであろう。
【0069】
明細書全体での意図は、本発明をいかなる1つの実施形態又は具体的な機能集合体にも限定することなく、本発明の好ましい実施形態を説明することであった。本発明から逸脱しない限り、説明及び図解された実施形態に対して、様々な変更及び修正が行われてよい。本明細書中で参照された特許文献、科学文献、コンピュータプログラム、及びアルゴリズムのそれぞれの開示は、参照によってその全体が組み込まれている。