特許第6273712号(P6273712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6273712
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】自動取引装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20180129BHJP
   G07B 1/00 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
   G07D9/00 401A
   G07D9/00 401B
   G07B1/00 A
   G07B1/00 E
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-158564(P2013-158564)
(22)【出願日】2013年7月31日
(65)【公開番号】特開2015-31964(P2015-31964A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年2月16日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069615
【弁理士】
【氏名又は名称】金倉 喬二
(72)【発明者】
【氏名】西村 明洋
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−208946(JP,A)
【文献】 特開2012−234501(JP,A)
【文献】 特開2002−367004(JP,A)
【文献】 特開平11−025317(JP,A)
【文献】 特開2013−088860(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0012351(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00
G07B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に回動可能に設けられ、前記装置本体に対して開閉可能なパネルを有する自動取引装置において、
前記装置本体は、
回転可能な錠と、
前記錠の回転により移動する移動部材とを有し、
前記パネルは、
閉塞状態で、移動した前記移動部材が嵌入する係合部材を有し、
前記錠の回転により移動部材が移動した状態では、前記パネルを開放状態から閉塞する方向へ回動させると、前記係合部材が前記移動部材に当接して前記パネルと装置本体との間に視認可能な間隙が形成され、
前記移動部材および前記係合部材は、前記装置本体に向かって左右両側に設けられていることを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動取引装置において、
前記移動部材は、前記パネルの回転支点とを結ぶ方向に移動することを特徴とする自動取引装置。
【請求項3】
請求項2に記載の自動取引装置において、
前記装置本体は、前記移動部材を移動可能に支持する支持部材を有し、
前記移動部材は、摺動して前記支持部材から突出し、または前記支持部材に引き込まれることを特徴とする自動取引装置。
【請求項4】
請求項2に記載の自動取引装置において、
前記装置本体は、前記移動部材を移動可能に支持する支持部材を有し、
前記移動部材は、回動して前記支持部材から突出し、または前記支持部材に引き込まれることを特徴とする自動取引装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の自動取引装置において、
前記錠から鍵が抜かれた状態では、前記移動部材が前記支持部材から突出することを特徴とする自動取引装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の自動取引装置において、
前記係合部材が、突出した前記移動部材の当接部に当接したとき、前記係合部材の装置本体側の先端部が描く軌道と、前記移動部材の前記当接部側の端部との交点を仮想交点とすると、
前記仮想交点と前記支持部材の前記移動部材の支持部との距離は、前記仮想交点と前記移動部材の当接部との距離より小さいことを特徴とする自動取引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉可能なパネルを有する自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動取引装置は、カード挿入口およびレシート受取口等の媒体の挿入受取口を備えたパネルを有し、そのパネルを装置本体に対して開閉自在に設けているものがある(例えば、特許文献1参照)。
従来の自動取引装置のパネルの開閉について、図10の従来の自動取引装置の斜視図および図11の従来の自動取引装置のパネルおよび装置本体の側面図を用いて説明する。図10に示すように、自動取引装置100に設けられたパネル102は、装置本体101に対して垂直方向に開閉自在に設けられ、フロントカバー103に設けられた錠104により、その開閉動作がロックされるようになっている。
【0003】
また、図11に示すように、矢印Aが示す方向のパネル102の開閉動作をロックするロック機構は、嵌合する鍵により回転自在な錠104と、装置本体101に固定されたロック台105と、ロック台105の回転支点106に回動自在に設けられ、矢印Cが示す方向に付勢されたロックレバー107と、錠104の回転とともに回転し、先端がロックレバー107を矢印Bが示す方向に押し上げる錠リンク108と、パネル102に取り付けられロックレバー107と係合することによりパネル102の回転を規制するロック受け110とにより構成され、ロックレバー107の先端部とロック受け110の先端部とが係合することにより、装置本体101に対してパネル102が閉塞状態となるようにロックし、一方錠104を回転することにより錠リンク108の先端部がロックレバー107を押し上げ、ロックレバー107の先端部とロック受け110の先端部との係合を解除し、装置本体101に対してパネル102が解放状態となるようにロックを解除する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−56430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術においては、鍵が錠から抜かれた状態でパネルが閉じられるとき、ロックレバーが回転し、ロック受けと係合する動作となるが、ロックレバーの縁部とロック受けの縁部とが引っ掛かり、ロックレバーとロック受けとの係合が不十分になり、パネルが完全に閉塞していないハーフロック状態となる可能性があり、ハーフロック状態になった場合、そのパネルの不十分な閉塞状態を視認することが困難であるため、自動取引装置の誤運用等を招き、セキュリティ等の安全性の確保が不十分となるという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、パネルの不十分な閉塞状態を容易に視認できるようにし、自動取引装置の安全性を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため、本発明は、装置本体に回動可能に設けられ、前記装置本体に対して開閉可能なパネルを有する自動取引装置において、前記装置本体は、回転可能な錠と、前記錠の回転により移動する移動部材とを有し、前記パネルは、閉塞状態で、移動した前記移動部材が嵌入する係合部材を有し、前記錠の回転により移動部材が移動した状態では、前記パネルを開放状態から閉塞する方向へ回動させると、前記係合部材が前記移動部材に当接して前記パネルと装置本体との間に視認可能な間隙が形成され、前記移動部材および前記係合部材は、前記装置本体に向かって左右両側に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このようにした本発明は、パネルの不十分な閉塞状態を容易に視認でき、自動取引装置の安全性を確保することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例におけるロック機構部の側面説明図
図2】実施例における自動取引装置の斜視図
図3】実施例におけるロック機構部の正面説明図
図4】実施例における左側ロック機構部の斜視図
図5】実施例における鍵を抜いた状態のロック機構部を示す説明図
図6】実施例におけるロック前のロック機構部を示す説明図
図7】実施例におけるロック後のロック機構部を示す説明図
図8】実施例におけるロックシャフトとロック受けの位置関係を示す説明図
図9】実施例におけるロックシャフトの変形例を示す説明図
図10】従来の自動取引装置の斜視図
図11】従来の自動取引装置のパネルおよび装置本体の側面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明による自動取引装置の実施例を説明する。
【実施例】
【0010】
図2は実施例における自動取引装置の斜視図である。
図2において、自動取引装置1は、例えば紙幣や硬貨の入出金を行う現金自動預払機、乗車券、航空券、チケット等を発券する自動発券機、または商業施設や店舗等に設置される多機能端末装置等であり、装置本体2に回動可能に設けられ、装置本体2に対して開閉可能なパネル3を有するものである。
【0011】
自動取引装置1は、装置本体2と、回転支点2aを中心として装置本体2に対して垂直方向に回動可能に配置され、顧客操作表示部や現金の投入受取口が形成されたパネル3と、装置本体2の前面に配設されたフロントカバー4と、フロントカバー4に設けられ、装置本体2とパネル3との閉塞状態を保持して施錠する錠10と、装置本体2とパネル3との閉塞状態を保持するロック機構部20とを有している。
【0012】
図1は実施例におけるロック機構部の側面説明図であり、図2に示す自動取引装置1のロック機構部20を図中矢印Aが示す方向から見た側面説明図である。また、図3は実施例におけるロック機構部の正面説明図であり、図2に示す自動取引装置1のロック機構部20をフロントカバー4方向から見た正面説明図である。図4は実施例における左側ロック機構部の斜視図である。
【0013】
図1および図3図4において、ロック機構部20は、左側ロック機構部20aおよび右側ロック機構部20bからなり、錠10と、錠シャフト11と、リンク12と、回動部材13と、ロック台14と、ロックブラケット15と、ロックシャフト16と、ロック受け17と、連結シャフト18と、回動部材23と、ロック台24と、ロックブラケット25と、ロックシャフト26と、ロック受け27とにより構成されている。
錠10と、錠シャフト11と、リンク12と、回動部材13、23と、ロック台14、24と、ロックブラケット15、25と、ロックシャフト16、26と、連結シャフト18とは装置本体2に設けられ、またロック受け17、27は、パネル3に設けられている。
【0014】
なお、図1は、左側ロック機構部20aを示している。また、パネル3は図1中矢印Fが示す垂直方向に回動可能に配設され、装置本体2に対する開閉が可能になっている。
錠10は、挿入された鍵30により回転可能なものであり、フロントカバー4に設けられたものである。この錠10は、鍵30が嵌合する嵌合穴10aを有し、嵌合する鍵30を回転させることにより、フロントカバー4と略直交する方向を回転軸として図3中矢印Cが示す方向に回転可能になっている。なお、本実施例では、錠10は、挿入された鍵30により回転するものとして説明するが、レバー等の取っ手により回転するようにしても良い。
【0015】
錠シャフト11は、錠10に取り付けられ、錠10の回転軸方向に延びる棒状部材であり、錠10の回転とともに軸方向を回転中心として回転するものである。この錠シャフト11の端部には、錠シャフト11の回転とともに回転する回転板11aが取り付けられ、その回転板11aに突起部11bが形成されている。
リンク12は、錠10の回転とともに回転する錠シャフト11の回転に伴って図中矢印Dが示す略鉛直方向に移動する部材であり、装置本体2のリンク支持部に摺動可能に支持されている。
【0016】
このリンク12の一方の端部には、錠10の突起部11bと係合し、突起部11bを摺動可能にする係合孔12aが略水平方向に延びるように形成されている。
したがって、錠10の回転により錠シャフト11および回転板11aとともに回転する突起部11bが、係合孔12aの壁面を押し上げまたは押し下げ、リンク12は略鉛直方向に移動する。
また、リンク12の他方の端部には、回動部材13を回動可能に連結する連結部12bが形成されている。
【0017】
回動部材13は、連結シャフト18に取り付けられ、連結シャフト18を回転支点として回動可能に支持され、一端部にリンク12の連結部12bに回動可能に連結され、他端部にはロックシャフト16の係合部16aと係合する長尺状の係合孔13bが形成されている。この回動部材13は、リンク12の移動に伴って回転支点を中心として回動し、その回転運動を連結シャフト18に伝達する。
ロック台14は、ねじ等の固定部材により装置本体2に固定された部材である。このロック台14は、側面が台形状に形成され、自動取引装置の前面に向けて傾斜面14aが形成されている。
【0018】
支持部材としてのロックブラケット15は、ねじ等の固定部材によりロック台14の傾斜面14aに固定され、側面がコ字状の部材であり、対向する2つの貫通孔15a、15bを支持部としてロックシャフト16を移動(摺動)可能に支持するものである。
移動部材としてのロックシャフト16は、ロック台14の傾斜面14aと略平行するようにロックブラケット15に摺動可能に支持された棒状の部材であり、その側部には回動部材13の係合孔13bと係合する係合部16aが形成されている。
【0019】
ロックシャフト16は、回動部材13の回動に伴って係合孔13bにより係合部16aが押し上げまたは押し下げられてパネルの回転支点(図2に示す回転支点2a)とを結ぶ方向である図中矢印Eが示す方向に摺動(移動)し、ロックブラケット15から突出し、またはロックブラケット15に引き込まれてロックシャフト16の先端部16bがパネル3に対して接近または離間する方向へ移動することができるようになっている。
したがって、錠10の回転により、リンク12が上下動し、そのリンク12により回動する回動部材13により、ロックシャフト16は摺動し、先端部16bがパネル3に対して接近または離間する。
【0020】
係合部材としてのロック受け17は、パネル3が装置本体2に対して閉塞した状態でロックブラケット15から突出したロックシャフト16が嵌入するものであり、ねじ等の固定部材によりパネル3の装置本体2側に固定された部材である。このロック受け17は、パネル3の開閉とともに、図2に示す回転支点2aを中心とした図1中矢印Fが示す円弧方向に回動する。
このロック受け17は、側面が三角形状に形成され、その一辺を含む面がパネル3に固定され、他の一辺を含む面(当接面17b)がロック台14の傾斜面14aに当接するように形成され、さらに他の一辺を含む面にロックシャフト16が嵌入可能な係合部としての嵌入穴17aが形成されている。
【0021】
ロック受け17の当接面17bは、ロックブラケット15よりパネル3側のロック台14の傾斜面14aに形成され、パネル3を閉塞状態にしたとき、傾斜面14aの全面に当接するように形成されている。
このように、左側ロック機構部20aは、錠10と、錠シャフト11と、リンク12と、回動部材13と、ロック台14と、ロックブラケット15と、ロックシャフト16と、ロック受け17とにより構成されている。
回動部材23は、連結シャフト18に取り付けられて回動可能に支持され、連結シャフト18の回転とともに回動する。
【0022】
ロック台24は、ロックブラケット25、ロックシャフト26、およびロック受け27は、ロック台14、ロックブラケット15、ロックシャフト16、およびロック受け17と同様の構成であるのでその説明を省略する。
このように、右側ロック機構部20bは、回動部材23と、ロック台24と、ロックブラケット25と、ロックシャフト26と、ロック受け27とにより構成されている。
連結シャフト18は、左側ロック機構部20aの回動部材13と、右側ロック機構部20bの回動部材23とを連結し、左側ロック機構部20aの回動部材13の回動を右側ロック機構部20bの回動部材23に伝達する。
【0023】
したがって、錠10を回転させることにより、左側ロック機構部20aのロックシャフト16、および左側ロック機構部20aのロックシャフト26を図中矢印Eが示す方向へ移動させることができるようになっている。
このように構成されたロック機構部20のロックシャフト16、26の先端部16b、26bは、錠10の一方向の回転(正回転)に伴って移動するリンク12および回動する回動部材13、23によりロックブラケット15から突出するように移動し、ロック受け17、27の嵌入穴17a、27aに嵌入することにより、パネル3の装置本体2に対する回動が規制されて閉塞状態が保持され、ロックされる。
【0024】
また、ロックシャフト16、26の先端部16b、26bは、錠10の他方向の回転(逆回転)に伴って移動する12および回動する回動部材13、23によりロックブラケット15、25内へ引き込むように移動し、ロック受け17、27の嵌入穴17a、27aから抜け出ることにより、パネル3の装置本体2に対する回動の規制が解除され解放可能な状態になり、ロックが解除される。
鍵30は、錠10を回転させて、ロックシャフト16、26の先端部16b、26bをロックブラケット15から突出するように移動させた状態のときに、錠10から抜くことが可能になっている。
【0025】
したがって、ロックシャフト16、26の先端部16b、26bをロックブラケット15、25から突出するように移動させた状態で鍵30を錠10から抜き、パネル3を閉塞させる方向へ回動させると、パネル3のロック受け17、27の当接面(17b、27b)はロックシャフト16、26に当接してパネル3とフロントカバー4との間に、間隙が形成される。
つまり、鍵30が錠10から抜かれた状態では、ロックシャフト16、26がロックブラケット15、25から突出し、パネル3を開放状態から閉塞する方向へ回動させると、パネル3のロック受け17、27がロックシャフト16、26に当接してパネル3と装置本体2との間に間隙が形成される。
【0026】
なお、本実施例では、ロックシャフト16、26は、棒状の部材として説明したが、それに限られることなく、板状部材としても良い。
また、ロックシャフト16、26は、棒状の部材で図2に示すパネル3の回転支点2aに向けて摺動可能なものとして説明したが、それに限られることなく、図9に示すように、回動可能な板状部材116として図2に示すパネル3の回転支点2aに向けてロックブラケット15から突出し、または引き込むようにしても良い。
【0027】
上述した構成の作用について説明する。
図5は実施例における鍵を抜いた状態のロック機構部を示す説明図、図6は実施例におけるロック前のロック機構部を示す説明図、図7は実施例におけるロック後のロック機構部を示す説明図である。
ロック機構部の作用を図5図6図7に基づき、図3を参照しながら説明する。
図5において、鍵30を錠10から抜いた状態では、ロックシャフト16、26の先端部16b、26bをロックブラケット15、25から突出した状態となっており、この状態でパネル3を閉塞させるように回動させると、パネル3のロック受け17、27はロックシャフト16、26の先端部16b、26bに当接してパネル3の回動が規制されて停止する。
【0028】
したがって、パネル3と装置本体2(フロントカバー4)との間に、間隙32が形成されるため、明らかにパネル3が完全に閉塞されていない解放状態であることが、外観目視で容易に判別可能になる。
ロックシャフト16、26は、パネル3の回転方向に対して略直交する方向に摺動するように配置されているため、強めの操作でパネル3を閉塞させた場合であっても、ロックシャフト16、26が移動して誤ってロックされることはない。
【0029】
また、パネル3を閉塞させる場合は、図6に示すように、鍵30を錠10に差し込み、図3における時計方向に回転させると、リンク12は図6中矢印D1が示す上方向に移動し、リンク12に連結された回動部材13が回動することにより回動部材23も回動し、ロックシャフト16、26は図6中矢印E1が示す方向に移動してロックブラケット15、25内へ引き込む。
【0030】
このように、ロックシャフト16、26がロックブラケット15、25内へ引き込むように移動した状態では、パネル3のロック受け17、27はロックシャフト16、26と当接しないため、パネル3のロック受け17、27の一面をロック台14、24の傾斜面14a、24aに接触させて閉塞させることができる。なお、ロックシャフト16、26がロックブラケット15、25内へ引き込むように移動した状態では、鍵30を錠10から抜取ることはできない。
【0031】
パネル3が閉塞した状態を保持するようにロックする場合は、図7に示すように、鍵30を錠10に差し込んだ状態で図3における反時計方向へ回転させると、リンク12は図7中矢印D2が示す下方向に移動し、リンク12に連結された回動部材13が回動することにより回動部材23も回動し、ロックシャフト16、26は図7中矢印E2が示す方向に移動してロックブラケット15、25から突出し、パネル3のロック受け17、27の嵌入穴17a、27aに嵌入するように移動する。
【0032】
このように、ロックシャフト16、26がパネル3のロック受け17、27の嵌入穴17a、27aに嵌入した状態では、パネル3の閉塞状態が保持され、ロックされる。このロックシャフト16、26がパネル3のロック受け17、27の嵌入穴17a、27aに嵌入した状態では、鍵30を錠10から抜取ることができるようになり、自動取引装置は運用を開始できる状態になる。
ここで、ロックシャフト16、26とロック受け17、27の位置関係を図8に基づいて説明する。なお、図8はロックシャフト16とロック受け17の位置関係を示す説明図であり、ロックシャフト26とロック受け27の位置関係も同様である。
【0033】
図8は、ロックシャフト16がロック受け17と当接している状態を示している。この状態において、ロック受け17と当接するロックシャフト16の部位を当接部16c、ロック受け17のロック台14側の先端部17aが描く軌道を円弧81、その円弧81とロックシャフト16の当接部16c側の端部との交点を仮想交点81aとすると、仮想交点81aとロックブラケット15のロックシャフト支持部15aとの距離Dbは、仮想交点81aとロックシャフト16の当接部16cとの距離Daより小さくなるように、ロックブラケット15、ロックシャフト16、およびロック受け17が配置されている。本実施例では、例えば距離Daを5〜10mm、距離Dbを3〜5mmとしている。
【0034】
このように、ロックブラケット15、ロックシャフト16、およびロック受け17を配置したことにより、図3に示すパネル3を閉塞させてロック受け17がロックシャフト16に当接してもロックシャフト16が曲がってしまうようなことがなく、ロックシャフト16の強度を十分に確保することができる。
【0035】
以上説明したように、本実施例では、鍵が錠から抜かれた状態では、ロックシャフトの先端部をロックブラケットから突出させるようにしたことにより、鍵を抜いた状態でパネルを閉塞回動させたとき、パネルのロック受けがロックシャフトの先端部に当接してパネルの閉塞回動を規制し、パネルは解放した位置のままとなり、パネルとフロントカバーとの間に、間隙が形成されるため、明らかにパネルが完全に閉塞されていない解放状態であることが、外観目視で容易に判別可能になるという効果が得られる。
【0036】
これにより、パネルの不十分な閉塞状態を容易に視認でき、自動取引装置の安全性を確保することができるという効果が得られる。
なお、本実施例では、本発明を自動取引装置に適用する例で説明したが、それに限られることなく、鍵および錠で開閉可能にするパネルを有する装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 自動取引装置
2 装置本体
3 パネル
4 フロントカバー
10 錠
11 錠シャフト
12 リンク
13、23 回動部材
14、24 ロック台
15、25 ロックブラケット
16、26 ロックシャフト
17、27 ロック受け
18 連結シャフト
20 ロック機構部
20a 左側ロック機構部
20b 右側ロック機構部
30 鍵
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11