特許第6273747号(P6273747)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6273747
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】酸素燃焼用の再生回転式予熱器
(51)【国際特許分類】
   F23L 15/02 20060101AFI20180129BHJP
【FI】
   F23L15/02
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-208121(P2013-208121)
(22)【出願日】2013年10月3日
(65)【公開番号】特開2015-72092(P2015-72092A)
(43)【公開日】2015年4月16日
【審査請求日】2016年8月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】特許業務法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 輝俊
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特表平09−508697(JP,A)
【文献】 特表2012−526964(JP,A)
【文献】 特開2011−220667(JP,A)
【文献】 特開平11−183071(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0090469(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23L 15/00
F23L 15/02
F28D 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸を中心に回転するロータと、
該ロータの軸方向両端部に接近して配置され、ロータの軸方向に負圧の燃焼排ガスを導通させる燃焼排ガス流路と、再循環排ガスからなる所定圧力の一次支燃流体を導通させる一次支燃流体流路と、再循環排ガスに酸素が混合されて前記燃焼排ガスよりは高圧で前記一次支燃流体よりは低圧の二次支燃流体を導通させる二次支燃流体流路とを区画するセクタープレート部を備えたセクタープレートと、
前記ロータの径方向に延びる仕切板に固定されて前記セクタープレートとの間のガスシールを行うシール板と、
を有して酸素燃焼装置の下流に設置される酸素燃焼用の再生回転式予熱器であって、
前記二次支燃流体流路と燃焼排ガス流路を区画するセクタープレート部の長手方向に沿って配置され、前記ロータの軸方向両端部に向けてシールガスを噴射することにより二次支燃流体流路の二次支燃流体が燃焼排ガス流路へ漏洩するのを防止するシールノズルを備えたことを特徴とする酸素燃焼用の再生回転式予熱器。
【請求項2】
前記シールノズルには、再生回転式予熱器の下流の昇圧した燃焼排ガスをシールガスとして供給する請求項1に記載の酸素燃焼用の再生回転式予熱器。
【請求項3】
前記酸素燃焼装置は、酸素燃焼ボイラである請求項1又は2に記載の酸素燃焼用の再生回転式予熱器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素燃焼装置に供給する支燃流体を予熱するための酸素燃焼用の再生回転式予熱器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
石炭焚ボイラには、微粉炭を石炭焚ボイラに供給するための一次空気(一次支燃流体)と、石炭焚ボイラを安定して燃焼させるための二次空気(二次支燃流体)を、ボイラからの燃焼排ガスと熱交換して予熱するようにした再生回転式予熱器を備えたものがある。
【0003】
又、近年では、空気に代えて微粉炭を酸素燃焼するようにした酸素燃焼ボイラが提案されている。酸素燃焼ボイラでは、酸素燃焼ボイラの下流の燃焼排ガス(CO)を一次再循環ガス(一次支燃流体)及び二次再循環ガス(二次支燃流体)として取り出し、取り出した一次支燃流体及び二次支燃流体を再生回転式予熱器に導いて燃焼排ガスと熱交換することにより予熱し、再生回転式予熱器よりも上流の二次支燃流体に、酸素製造装置(ASU)によって製造した酸素を混合している。酸素燃焼ボイラで微粉炭を酸素燃焼する場合には、酸素と混合する二次支燃流体の流量を調節することにより、酸素燃焼ボイラの燃焼温度を任意に調節することができる。
【0004】
上記したように、微粉炭を酸素燃焼すると、酸素燃焼ボイラからはCO(二酸化炭素)が主体の燃焼排ガスが排出されるため、酸素燃焼ボイラはCOを回収して処分するための有効な方法として注目されている。
【0005】
酸素燃焼ボイラでは、燃焼排ガスは誘引ファンにより誘引されるため負圧(低圧)となっており、これに対して、二次支燃流体は酸素燃焼ボイラに供給するために押込通風機で昇圧することにより所定の圧力(中圧)となっており、又、一次支燃流体はミルを経て微粉炭を搬送して酸素燃焼ボイラに供給するために、昇圧ファン及び一次通風機により昇圧された最も高い圧力(高圧)となっている。即ち、夫々の圧力の関係は、燃焼排ガス<二次支燃流体<一次支燃流体となっている。
【0006】
前記再生回転式予熱器は、回転するロータの軸方向両端部に接近してロータの軸方向両端部の開口を区画するセクタープレートを有している。セクタープレートは、ロータの軸方向に低圧(負圧)の燃焼排ガスが導通する燃焼排ガス流路と、再循環排ガスからなる所定圧力に昇圧された高圧の一次支燃流体が導通する一次支燃流体流路と、再循環排ガスに酸素を混合し前記燃焼排ガスよりは高い圧力で前記一次支燃流体よりは低い圧力の中圧の二次支燃流体が導通する二次支燃流体流路とを、互いに隣接させた状態に区画している。前記再生回転式予熱器には、例えば上方から下方へ向けて燃焼排ガスが導通されるのに対し、一次支燃流体及び二次支燃流体は下方から上方へ向けて導通されることで相互に対向流となっている。
【0007】
そして、前記ロータの軸方向両端部には、前記セクタープレートとの間のガスシールを行うためのシール板が備えられている。
【0008】
従って、前記燃焼排ガス流路と一次支燃流体流路と二次支燃流体流路との間は、セクタープレートとシール板とによってガスシールした状態に区画されている。しかし、再生回転式予熱器を流動する燃焼排ガスと一次支燃流体と二次支燃流体は、セクタープレートとシール板との間を通して、圧力が高い側から低い側へと比較的多量に漏洩するダイレクトリークを発生する。又、ロータの回転に伴って、ガスが隣接した流路へ持ち込まれるように漏洩するエントレインドリークを発生する。
【0009】
前記二次支燃流体流路の中圧の二次支燃流体は、低圧の燃焼排ガスが流動する隣接した燃焼排ガス流路に対して比較的多量のダイレクトリークを生じることになる。酸素が混合された二次支燃流体が燃焼排ガス流路に漏洩すると、漏洩した酸素は燃料の燃焼に使用されずに燃焼排ガスに無駄に排出されることになるため、漏洩による燃焼排ガスへの酸素の排出量が多くなると、その分だけ酸素製造装置(ASU)の容量を大きくする必要が生じ、設備コストが増加するという問題がある。
【0010】
二次支燃流体流路の二次支燃流体が燃焼排ガス流路にダイレクトリークする問題を防止するために、燃焼排ガス流路と二次支燃流体流路との間に位置するように、二つの一次支燃流体流路を設けたものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2011−220667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1においては、低圧の燃焼排ガスが流動する燃焼排ガス流路と中圧の二次支燃流体が流動する二次支燃流体流路との間に位置するように、二つに分割した高圧の一次支燃流体が流動する一次支燃流体流路を設けているので、一次支燃流体流路の高圧の一次支燃流体が二次支燃流体流路に対してはダイレクトリークすることになるが、二次支燃流体流路の二次支燃流体が燃焼排ガス流路にダイレクトリークすることは防止される。従って、二次支燃流体に混合した酸素が燃焼排ガス側へ漏洩するのが防止されて、酸素が燃料の燃焼に使用されずに無駄に排出される問題を低減することができる。
【0013】
しかし、特許文献1においては、高圧の一次支燃流体が流動する二つの一次支燃流体流路が低圧の燃焼排ガス流路と隣接することになるために、一次支燃流体が燃焼排ガス流路に多量にダイレクトリークする問題があり、このために、昇圧ファン及び一次通風機の動力が増加する、又は、昇圧ファン及び一次通風機の容量を増加する必要が生じて設備コストが増加するという問題がある。
【0014】
又、燃焼排ガス流路と二次支燃流体流路との間に位置するように二つの一次支燃流体流路を設ける構成とした場合には、四つの流路を形成する必要があるために、セクタープレートの構成及び各流路に接続するダクトの構成が複雑になるという問題がある。更に、ロータの軸方向両端部の開口をセクタープレートによって四つの流路に区画する必要があるため、セクタープレートが追加される分だけ一次支燃流体流路及び二次支燃流体流路の断面積が絞られることになり、このために、再生回転式予熱器での圧力損失が大きくなり、よって、一次支燃流体及び二次支燃流体を送給するためのファン動力が増加するという問題がある。
【0015】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなしたもので、簡単な構成でセクタープレートとシール板の間を通して二次支燃流体が燃焼排ガス流路へ漏洩するのを防止でき、且つ、支燃流体を供給するためのファン動力を低減できるようにした酸素燃焼用の再生回転式予熱器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、軸を中心に回転するロータと、
該ロータの軸方向両端部に接近して配置され、ロータの軸方向に負圧の燃焼排ガスを導通させる燃焼排ガス流路と、再循環排ガスからなる所定圧力の一次支燃流体を導通させる一次支燃流体流路と、再循環排ガスに酸素が混合されて前記燃焼排ガスよりは高圧で前記一次支燃流体よりは低圧の二次支燃流体を導通させる二次支燃流体流路とを区画するセクタープレート部を備えたセクタープレートと、
前記ロータの径方向に延びる仕切板に固定されて前記セクタープレートとの間のガスシールを行うシール板と、
を有して酸素燃焼装置の下流に設置される酸素燃焼用の再生回転式予熱器であって、
前記二次支燃流体流路と燃焼排ガス流路を区画するセクタープレート部の長手方向に沿って配置され、前記ロータの軸方向両端部に向けてシールガスを噴射することにより二次支燃流体流路の二次支燃流体が燃焼排ガス流路へ漏洩するのを防止するシールノズルを備えたことを特徴とする酸素燃焼用の再生回転式予熱器、に係るものである。
【0017】
上記酸素燃焼用の再生回転式予熱器において、前記シールノズルには、再生回転式予熱器の下流の昇圧した燃焼排ガスをシールガスとして供給することが好ましい。
【0018】
又、上記酸素燃焼用の再生回転式予熱器において、前記酸素燃焼装置は、酸素燃焼ボイラであってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、簡単な構成でセクタープレートとシール板との間を通して二次支燃流体が漏洩するのを防止し、且つ、支燃流体を供給するためのファン動力を低減できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の酸素燃焼用の再生回転式予熱器の実施例を示す平面図である。
図2図1をII−II方向から見た構成を示す一部拡大正面図である。
図3】(a)は本発明を適用する酸素燃焼ボイラシステムの一例を示す概略構成図、(b)は(a)の再生回転式予熱器の一例を示す上面斜視図である。
図4】(a)は一般的な再生回転式予熱器のリークを説明するための平面図、(b)は燃焼排ガス流路と二次支燃流体流路との間に位置するように、二つの一次支燃流体流路を設けた場合の再生回転式予熱器の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0022】
図3(a)は本発明を適用する再生回転式予熱器を備えた酸素燃焼ボイラシステムの一例を示すもので、図3(a)中、1は酸素燃焼装置100としての酸素燃焼ボイラ、2は再生回転式予熱器である。
【0023】
酸素燃焼ボイラ1から排出される燃焼排ガス3(CO)は、再生回転式予熱器2を経て排ガスクーラ4に導かれて冷却され、誘引通風機5(IDF)により誘引され脱水装置6に導かれて脱水され、続いて昇圧ファン7(BUF)により昇圧されて煙突8に導かれる。又、煙突8の入口には液化装置10が接続されている。液化装置10は、煙突8の入口から分岐した燃焼排ガス3(CO)を導入して圧縮と冷却を行うことにより液化二酸化炭素9を製造している。
【0024】
前記誘引通風機5の入口の燃焼排ガス3の一部を再循環排ガスとして取り出し、更に押込通風機11(FDF)で昇圧することにより二次支燃流体12を得、この二次支燃流体12を、前記再生回転式予熱器2に導入して前記燃焼排ガス3と熱交換した後、前記酸素燃焼ボイラ1に供給している。
【0025】
又、前記昇圧ファン7の出口における昇圧された燃焼排ガス3の一部を再循環排ガスとして取り出し、一次通風機13によって更に昇圧することにより一次支燃流体14を得、この一次支燃流体14を、一部14aは前記再生回転式予熱器2に導入して前記燃焼排ガス3と熱交換し、他の一部14bは再生回転式予熱器2をバイパスした後、熱交換した前記一部14aと混合することにより温度調整を行い、温度調整した一次支燃流体14は、ミル15に供給して石炭の乾燥と微粉炭の搬送を行って前記酸素燃焼ボイラ1に供給される。
【0026】
そして、前記押込通風機11の入口又は出口の二次支燃流体12に対しては、酸素製造装置16(ASU)により製造されて所定の圧力で供給される酸素17を混合している。
【0027】
図3(b)は前記再生回転式予熱器2の一例を示すもので、再生回転式予熱器2は、鉛直な軸18を中心に回転Rするロータ19を有しており、該ロータ19の軸方向両端部にはセクタープレート20が接近して配置されている。セクタープレート20は、ロータ19の軸方向に負圧の燃焼排ガス3を導通させる燃焼排ガス流路21と、再循環排ガスからなる所定圧力の一次支燃流体14を導通させる一次支燃流体流路22と、再循環排ガスに酸素17が混合されて前記燃焼排ガス3よりは高圧で前記一次支燃流体14よりは低圧の二次支燃流体12を導通させる二次支燃流体流路23とを区画する三つのセクタープレート部20a,20b,20cを有している。図3(b)中、21'、22'及び23'は、前記燃焼排ガス流路21、一次支燃流体流路22及び二次支燃流体流路23に夫々連通するダクトであり、24はロータ19のケーシングである。前記燃焼排ガス3は上方から下方へ向けて導通されるのに対し、一次支燃流体14及び二次支燃流体12は下方から上方へ向けて導通されることで対向流となっている。
【0028】
図1は本発明を適用した再生回転式予熱器2の実施例を示す平面図、図2図1をII−II方向から見た構成を示す一部拡大正面図であり、前記ロータ19は径方向に延びる多数の仕切板25を有しており、該仕切板25におけるロータ19の軸方向両端部には、前記セクタープレート部20a,20b,20cとの間のガスシールを行うためのシール板26が固定されている。
【0029】
図1図2の実施例においては、前記二次支燃流体流路23と燃焼排ガス流路21を区画するセクタープレート部20cの長手方向に沿って配置して、前記ロータ19の軸方向両端部に向けてシールガス27を噴射するようにしたシールノズル28を設けている。シールノズル28には、該シールノズル28の長手方向に沿って、円形の噴射口又はスリット状の噴射口を所定の間隔で多数備えたものを用いることができる。
【0030】
図1図2においては、実線で示すように、前記セクタープレート部20cにおけるロータ19の回転Rによりシール板26が接近してくる前側端面30に前記シールノズル28を設置している。ここで、図1のロータ19の回転Rは、仕切板25に固定したシール板26が、燃焼排ガス流路21、二次支燃流体流路23、一次支燃流体流路22の順に移動する反時計方向の回転とした場合を示している。
【0031】
又、図1図2に二点鎖線で示すように、前記セクタープレート部20cにおけるロータ19の回転Rによりシール板26が接近してくる前側端面30に対して後側端面30'にシールノズル28'を設置してもよい。前記シールノズル28,28'は、その一方を備えるようにしてもよく、又は、その両方を備えてもよい。
【0032】
前記シールノズル28,28'に供給するシールガス27としては、前記二次支燃流体12よりも高い圧力を有していれば種々のものを用いることができるが、COの濃度を低下させないためには、再生回転式予熱器2の下流のCOを主体とする燃焼排ガス3をシールガス27として用いることが好ましい。このとき、シールガス27は、前記二次支燃流体12の圧力よりも高い圧力を有している必要があるため、一次通風機13の下流の昇圧された一次支燃流体(CO)を取出部31aで取り出してシールガス27として用いることができ、又、一次通風機13の上流側においても取出部31bで取り出してシールガス27として用いることができ、更に又、前記液化装置10において加圧した燃焼排ガス(CO)を取出部31cで取り出してシールガス27として用いることができ、或いは、液化二酸化炭素を気化させた高純度COを取出部31dで取り出してシールガス27として用いることができる。
【0033】
次に、上記実施例の作動を説明する。
【0034】
図4(a)に示すように、燃焼排ガス流路21と一次支燃流体流路22と二次支燃流体流路23が隣接して設けられた一般的な再生回転式予熱器2においては、前記二次支燃流体流路23の二次支燃流体12は、隣接した圧力が低い燃焼排ガス流路21に対して多量のダイレクトリークL1を生じる。又、ロータ19の回転Rに伴い、ロータ19の回転方向に応じて二次支燃流体流路23の二次支燃流体12は、燃焼排ガス流路21又は一次支燃流体流路22にエントレインドリークL2を生じる。
【0035】
一方、図4(b)に示すように、燃焼排ガス流路21と二次支燃流体流路23との間に、最も高圧の一次支燃流体14が導通する二つの一次支燃流体流路22a,22bを設けた場合には、二次支燃流体流路23には高圧の一次支燃流体流路22a,22bからの一次支燃流体14がダイレクトリークL1するのみであり、二次支燃流体流路23の二次支燃流体12が燃焼排ガス流路21にダイレクトリークL1する問題は防止される。
【0036】
しかし、図4(b)の構成では、高圧の一次支燃流体14が流動する二つの一次支燃流体流路22a,22bが低圧の燃焼排ガス流路21と隣接することになるために、一次支燃流体14が燃焼排ガス流路21に多量にダイレクトリークする問題があり、このために、昇圧ファン7及び一次通風機13の動力が増加する、又は、昇圧ファン7及び一次通風機13の容量を増加する必要が生じて設備コストが増加するという問題がある。
【0037】
更に、図4(b)に示すように、燃焼排ガス流路21と二次支燃流体流路23との間に位置するように二つの一次支燃流体流路22a,22bを設けた場合には、ロータ19の軸方向両端部の開口をセクタープレート部20a,20b,20c,20dによって四つの流路に区画することになるため、セクタープレート部が追加される分だけ一次支燃流体流路22a,22b及び二次支燃流体流路23の断面積が絞られることになり、このために、再生回転式予熱器2での圧力損失が大きくなり、よって、一次支燃流体14及び二次支燃流体12を送給するためのファン動力が増加する問題がある。
【0038】
このような問題に対して、図1図2に示す実施例では、前記二次支燃流体流路23と燃焼排ガス流路21を区画するセクタープレート部20cの長手方向に沿って設けたシールノズル28により、前記ロータ19の軸方向両端部に向けてシールガス27を噴射する。
【0039】
シールノズル28からは二次支燃流体12よりも高い圧力のシールガス27が噴射されるので、中圧の二次支燃流体12が、セクタープレート部20cとシール板26との間を通して、低圧の燃焼排ガス流路21へ漏洩する問題は効果的に防止される。このとき、前記セクタープレート部20cにおけるロータ19の回転Rによりシール板26が接近してくる前側端面30と、後方の後側端面30'の両方にシールノズル28,28'を設置すると、二次支燃流体12が燃焼排ガス流路21へ漏洩する問題を更に効果的に防止することができる。
【0040】
従って、図1図2の実施例によれば、シールノズル28を設けた簡単な構成により、セクタープレート部20cとシール板26との間を通して二次支燃流体12が燃焼排ガス流路21へ漏洩するダイレクトリークL1の問題を効果的に防止することができる。又、前記シールノズル28を備えた構成においては、再生回転式予熱器2の圧力損失が増加する問題を生じることもない。更に、二次支燃流体12の漏洩が低減されることにより、二次支燃流体12に混合した酸素17(図3(a))が微粉炭の燃焼に使用されずに燃焼排ガス3に無駄に排出されることが低減されるので、酸素製造装置16(ASU)の容量を小型化することができる。
【0041】
又、シールノズル28に、再生回転式予熱器2の下流の昇圧した燃焼排ガス3をシールガス27として供給するようにしたので、COからなる燃焼排ガス3が他のガスによって希釈される問題を防止することができる。
【0042】
又、酸素燃焼装置100としては、COの回収を行うようにした酸素燃焼ボイラ1が挙げられ、このような酸素燃焼ボイラ1に備えられる再生回転式予熱器2における酸素の漏洩防止に効果的に適用することができる。
【0043】
尚、本発明の酸素燃焼用の再生回転式予熱器は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、酸素燃焼ボイラ以外の酸素燃焼装置に備えられる再生回転式予熱器にも適用できること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0044】
1 酸素燃焼ボイラ(酸素燃焼装置)
2 再生回転式予熱器
3 燃焼排ガス
12 二次支燃流体
14 一次支燃流体
16 酸素製造装置
17 酸素
18 軸
19 ロータ
20 セクタープレート
20b セクタープレート部
20c セクタープレート部
21 燃焼排ガス流路
22 一次支燃流体流路
23 二次支燃流体流路
25 仕切板
26 シール板
27 シールガス
28 シールノズル
28' シールノズル
100 酸素燃焼装置
R 回転
図1
図2
図3
図4