特許第6273763号(P6273763)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6273763
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 9/18 20060101AFI20180129BHJP
   B60C 11/00 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
   B60C9/18 D
   B60C11/00 F
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-218921(P2013-218921)
(22)【出願日】2013年10月22日
(65)【公開番号】特開2015-80985(P2015-80985A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年10月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】丹野 篤
(72)【発明者】
【氏名】松田 淳
(72)【発明者】
【氏名】坂本 隼人
【審査官】 岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−148763(JP,A)
【文献】 特開2013−001193(JP,A)
【文献】 特開2005−219537(JP,A)
【文献】 特開平05−016612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00−19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の周囲に配置される円筒形状の金属の板により形成され、前記回転軸に対する放射方向に関して外側を向く外面と前記外面の反対方向を向く内面とを有する環状構造体と、
少なくとも一部が前記回転軸と平行な方向に関して前記環状構造体の外側に配置され、ゴムで覆われたコードを有するカーカス部と、
少なくとも一部が前記回転軸に対する放射方向に関して前記環状構造体の外側に配置され、トレッド面を有するゴム層と、を備え、
タイヤ幅をSW、
前記トレッド面の接地幅をCW、
前記回転軸と平行な方向に関する前記環状構造体の寸法をBW、としたとき、
0.45≦CW/SW≦0.70、
0.85≦BW/CW≦1.10、
の条件を満たす空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記回転軸を含む平面と平行な断面において、前記回転軸と平行な方向に関する前記環状構造体の端部の外形は、曲線を含む請求項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
回転軸の周囲に配置される円筒形状の環状構造体と、
少なくとも一部が前記回転軸と平行な方向に関して前記環状構造体の外側に配置され、ゴムで覆われたコードを有するカーカス部と、
少なくとも一部が前記回転軸に対する放射方向に関して前記環状構造体の外側に配置され、トレッド面を有するゴム層と、を備え、
タイヤ幅をSW、
前記トレッド面の接地幅をCW、としたとき、
0.45≦CW/SW≦0.70、
の条件を満たし、
前記回転軸を含む平面と平行な断面において、前記回転軸と平行な方向に関する前記環状構造体の端部の外形は、曲線を含む、
空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記回転軸と平行な方向に関する前記環状構造体の寸法をBW、としたとき、
0.85≦BW/CW≦1.10、
の条件を満たす請求項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記ゴム層は、前記回転軸を囲むように前記トレッド面に形成された主溝と、前記トレッド面の反対方向を向く内面と、を有し、
前記トレッド面と前記内面との距離である前記ゴム層の第1厚みをT1、
前記主溝の底面と前記内面との距離である前記ゴム層の第2厚みをTu、としたとき、
4mm≦T1≦20mm、且つ、0.2mm≦Tu≦1.5mm、
の条件を満たす請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記環状構造体は、複数の貫通孔を有する請求項1から請求項のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記環状構造体は、前記回転軸と平行な方向に関する端部の少なくとも一部に凹凸部を有する請求項1から請求項のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記環状構造体は、帯状の金属の板の端部同士を溶接することにより形成され、
前記金属のヤング率をE、
前記板の厚みをTb、としたとき、
100GPa≦E≦230GPa、且つ、0.1mm≦Tb≦0.5mm、
の条件を満たす請求項1から請求項のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤにおいて、例えば特許文献1に開示されているような、円筒形状の環状構造体と、環状構造体に隣接するゴム層と、環状構造体に隣接するカーカス部とを備える空気入りタイヤが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−001193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タイヤには、要求に適った動的特性が求められる。例えば、タイヤには、低燃費化のために転がり抵抗の増大が抑制されるとともに、高い操縦安定性を得られることが求められる。
【0005】
本発明は、要求に適った動的特性を得られる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る空気入りタイヤは、回転軸の周囲に配置される円筒形状の環状構造体と、少なくとも一部が前記回転軸と平行な方向に関して前記環状構造体の外側に配置され、ゴムで覆われたコードを有するカーカス部と、少なくとも一部が前記回転軸に対する放射方向に関して前記環状構造体の外側に配置され、トレッド面を有するゴム層と、を備え、タイヤ幅をSW、前記トレッド面の接地幅をCW、としたとき、0.45≦CW/SW≦0.70、の条件を満たす。
【0007】
本発明によれば、環状構造体を備えるタイヤにおいて、上述の条件を満たすように接地幅CWとタイヤ幅SWとの関係を規定することにより、例えば、転がり抵抗の増大を抑制しつつ、所期の操縦安定性を得ることができる。したがって、要求に適った動的特性を得ることができる。
【0008】
前記ゴム層は、前記回転軸を囲むように前記トレッド面に形成された主溝と、前記トレッド面の反対方向を向く内面と、を有し、前記トレッド面と前記内面との距離である前記ゴム層の第1厚みをT1、前記主溝の底面と前記内面との距離である前記ゴム層の第2厚みをTu、としたとき、4mm≦T1≦20mm、且つ、0.2mm≦Tu≦1.5mm、の条件を満たしてもよい。
【0009】
前記回転軸と平行な方向に関する前記環状構造体の寸法をBW、としたとき、0.85≦BW/CW≦1.10、の条件を満たしてもよい。
【0010】
前記環状構造体は、複数の貫通孔を有してもよい。
【0011】
前記環状構造体は、前記回転軸と平行な方向に関する端部の少なくとも一部に凹凸部を有してもよい。
【0012】
前記回転軸を含む平面と平行な断面において、前記回転軸と平行な方向に関する前記環状構造体の端部の外形は、曲線を含んでもよい。
【0013】
前記環状構造体は、帯状の金属の板の端部同士を溶接することにより形成され、前記金属のヤング率をE、前記板の厚みをTb、としたとき、100GPa≦E≦230GPa、且つ、0.1mm≦Tb≦0.5mm、の条件を満たしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、要求に適った動的特性を得られる空気入りタイヤを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第1実施形態に係るタイヤの一部を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係るカーカス部の一部を拡大した図である。
図3図3は、第1実施形態に係る環状構造体の製造方法の一例を説明するための図である。
図4図4は、第1実施形態に係る環状構造体の製造方法の一例を説明するための図である。
図5図5は、第1実施形態に係る環状構造体の製造方法の一例を説明するための図である。
図6図6は、第1実施形態に係る環状構造体の溶接部の近傍の一例を示す図である。
図7図7は、本発明に係る実施例及び比較例の評価結果の一例を示す図である。
図8図8は、第2実施形態に係る環状構造体の一例を模式的に示す図である。
図9図9は、第3実施形態に係る環状構造体の一例を模式的に示す図である。
図10図10は、第4実施形態に係る環状構造体の一例を模式的に示す図である。
図11図11は、第5実施形態に係る環状構造体の一例を模式的に示す図である。
図12図12は、第6実施形態に係る環状構造体の一例を模式的に示す図である。
図13図13は、第7実施形態に係る環状構造体の端部の形状の一例を模式的に示す断面図である。
図14図14は、第7実施形態に係る環状構造体の端部の形状の一例を模式的に示す断面図である。
図15図15は、第7実施形態に係る環状構造体の端部の形状の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、以下で説明する実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0017】
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内の一方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。本実施形態において、タイヤ1の回転軸(中心軸)とY軸とが平行である。Y軸方向は、車幅方向又はタイヤ1の幅方向である。タイヤ1(タイヤ1の回転軸)の回転方向(θY方向に相当)を、周方向と称してもよい。X軸方向及びZ軸方向は、回転軸(中心軸)に対する放射方向である。回転軸(中心軸)に対する放射方向を、径方向と称してもよい。タイヤ1が転がる(走行する)地面は、XY平面とほぼ平行である。
【0018】
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るタイヤ1の一例を示す図である。図1は、タイヤ1の回転軸Jを通る子午断面を示す。回転軸Jは、Y軸と平行である。タイヤ1は、環状である。回転軸Jは、タイヤ1の中心軸である。タイヤ1の使用時において、タイヤ1の内部に気体が充填される。本実施形態において、タイヤ1に充填される気体は、空気である。すなわち、タイヤ1は、空気入りタイヤである。
【0019】
図1において、タイヤ1は、回転軸(中心軸)Jの周囲に配置される円筒形状の環状構造体10と、少なくとも一部がY軸方向に関して環状構造体10の外側に配置されるカーカス部12と、少なくとも一部が回転軸Jに対する放射方向に関して環状構造体10の外側に配置されるトレッドゴム層11と、カーカス部12を保護するサイドウォールゴム層7と、を備えている。
【0020】
環状構造体10は、円筒形状の部材である。環状構造体10は、タイヤ1の形状を保持する部材(強度部材)である。環状構造体10は、外面10A及び内面10Bを有する。外面10Aは、回転軸Jに対する放射方向に関して外側を向く。内面10Bは、外面10Aの反対方向を向く。外面10A及び内面10Bはそれぞれ、Y軸(回転軸J)と平行である。
【0021】
カーカス部12は、タイヤ1の骨格を形成する部材(強度部材)である。カーカス部12は、コード(補強材)を含む。カーカス部12のコードを、カーカスコードと称してもよい。カーカス部12は、コードを含むコード層(補強材層)である。カーカス部12は、タイヤ1に気体(空気)が充填されたときの圧力容器として機能する。
【0022】
図2は、カーカス部12の一部を拡大した図である。図2に示すように、カーカス部12は、ゴム12Rと、ゴム12Rで覆われたコード12Fとを有する。コード12Fは、有機繊維を含む。コード12Fを覆うゴム12Rを、コートゴムと称してもよいし、トッピングゴムと称してもよい。なお、カーカス部12は、ポリエステルのコード12Fを含んでもよいし、脂肪族骨格を含むポリアミドのコード12Fを含んでもよいし、芳香族骨格のみのポリアミドのコード12Fを含んでもよいし、レーヨンのコード12Fを含んでもよい。
【0023】
図1に示すように、カーカス部12の少なくとも一部は、Y軸方向に関して環状構造体10の外側に配置される。本実施形態において、カーカス部12の少なくとも一部は、環状構造体10の内面10B側に配置される。カーカス部12の少なくとも一部は、回転軸Jに対する放射方向に関して環状構造体10の内側に配置される。カーカス部12の少なくとも一部は、環状構造体10の内面10Bと対向するように配置される。カーカス部12は、環状構造体10の内面10Bと対向する外面12Aを有する。環状構造体10の内面10Bとカーカス部12の外面12Aの少なくとも一部とは接触する。環状構造体10とカーカス部12とは結合される。
【0024】
カーカス部12は、ビードコア13に支持される。ビードコア13は、Y軸方向に関してカーカス部12の一側及び他側のそれぞれに配置される。カーカス部12は、ビードコア13において折り返される。ビードコア13は、Y軸方向に関するカーカス部12の一端部及び他端部を固定する部材(強度部材)である。ビードコア13は、タイヤ1をホイールのリムに固定させる。ビードコア13は、スチールワイヤの束である。なお、ビードコア13が、炭素鋼の束でもよい。本実施形態において、カーカス部12は、内側にインナーライナー14を有する。インナーライナー14によって、タイヤ1の内部に充填された気体の漏洩が抑制される。
【0025】
トレッドゴム層11は、カーカス部12を保護する。トレッドゴム層11は、円筒形状の部材である。トレッドゴム層11の少なくとも一部は、カーカス部12の周囲に配置される。トレッドゴム層11は、外面11A及び内面11Bを有する。外面11Aは、回転軸Jに対する放射方向に関して外側を向く。内面11Bは、外面11Aの反対方向を向く。外面11A及び内面11Bはそれぞれ、Y軸(回転軸J)と平行である。
【0026】
外面11Aは、地面と接触するトレッド面である。トレッドゴム層11は、地面と接触するトレッド面(外面)11Aと、回転軸Jを囲むようにトレッド面11Aの少なくとも一部に形成された溝部(主溝)2と、トレッド面11Aの反対方向を向く内面11Bとを有する。雨天時など、タイヤ1が濡れた地面を転がる際、溝部2は、タイヤ1と地面との間から水を排除可能である。
【0027】
トレッドゴム層11は、天然ゴム、合成ゴム、カーボンブラック、硫黄、亜鉛華、亀裂防止材、加硫促進剤、及び老化防止剤を含む。
【0028】
トレッドゴム層11の少なくとも一部は、環状構造体10の外面10A側に配置される。トレッドゴム層11の少なくとも一部は、回転軸Jに対する放射方向に関して環状構造体10の外側に配置される。トレッドゴム層11の少なくとも一部は、環状構造体10の外面10Aと対向するように配置される。トレッドゴム層11の内面11Bの少なくとも一部は、環状構造体10の外面10Aと対向する。環状構造体10の外面10Aとトレッドゴム層11の内面11Bの少なくとも一部とは接触する。環状構造体10とトレッドゴム層11とは結合される。
【0029】
本実施形態において、回転軸Jと、環状構造体10の外面10Aと、環状構造体10の内面10Bと、トレッドゴム層11のトレッド面11Aと、トレッドゴム層11の内面11Bとは、実質的に平行である。
【0030】
なお、本実施形態において、トレッド面11Aと外面10Aとが平行とは、タイヤ1の周方向及び幅方向の両方において、トレッド面11Aと外面10Aとの距離が均一であることを含む。また、トレッド面11Aと外面10Aとが平行とは、タイヤ1の周方向及び幅方向の両方において、トレッド面11Aと外面10Aとの距離の最大値と最小値との差が0.3mm以下であることを含む。トレッド面11Aと内面11Bとの関係、トレッド面11Aと内面10Bとの関係、内面11Bと外面10Aとの関係、内面11Bと内面10Bとの関係、及び内面10Aと内面10Bとの関係も同様である。
【0031】
サイドウォールゴム層7は、カーカス部12を保護する。サイドウォールゴム層7は、Y軸方向に関してトレッドゴム層11の一側及び他側のそれぞれに配置される。サイドウォールゴム層7は、サイドウォール部7Aを有する。
【0032】
本実施形態において、タイヤ幅をSW、トレッド面11Aの接地幅をCWとしたとき、
0.45≦CW/SW≦0.70 …(1A)
の条件が満たされている。
【0033】
なお、好ましくは、
0.48≦CW/SW≦0.68 …(1B)
の条件が満たされていることが好ましい。
【0034】
さらに、好ましくは、
0.50≦CW/SW≦0.65 …(1C)
の条件が満たされていることが好ましい。
【0035】
タイヤ幅SWとは、タイヤ1の総幅を意味し、回転軸Jと平行なY軸方向に関するタイヤ1の最大の寸法をいう。本実施形態において、タイヤ幅SWは、トレッドゴム層11の+Y側に配置されたサイドウォールゴム層7の最も+Y側の部位(表面)と、−Y側に配置されたサイドウォールゴム層7の最も−Y側の部位(表面)との距離をいう。例えば、トレッドゴム層11の+Y側に配置されたサイドウォールゴム層7の表面にそのサイドウォールゴム層7の表面から+Y側に突出するようにデザイン(マーク、構造物)が設けられている場合、サイドウォールゴム層7の最も+Y側の部位は、そのデザインの先端部を含む。同様に、トレッドゴム層11の−Y側に配置されたサイドウォールゴム層7の表面にそのサイドウォールゴム層7の表面から−Y側に突出するようにデザインが設けられている場合、サイドウォールゴム層7の最も−Y側の部位は、そのデザインの先端部を含む。具体的には、タイヤ幅SWとは、タイヤ1をリム組みし、タイヤ1の寸法を規定するために230kPaでタイヤ1の内部に空気を充填したときの無負荷状態における、サイドウォールゴム層7上のデザインを含んだサイドウォールゴム層7間の間隔である。
【0036】
接地幅CWとは、トレッド面11Aの接地領域の幅を意味し、回転軸Jと平行なY軸方向に関する接地領域の最大の寸法(最大幅)をいう。トレッド面11Aの接地領域とは、タイヤ1をリム組みし、タイヤ1の寸法を規定するために230kPaでタイヤ1の内部に空気を充填し、負荷能力の80%に相当する荷重をかけて平面に接地させたときの接地面の領域である。
【0037】
なお、負荷能力は、ISO4000−1:1994に基づいて決定される。しかし、当該ISO規格において負荷能力指数が設定されていないサイズについては、個別で算出して諸外国の規格との整合を考慮して決定するとの記載がある。この場合、負荷能力については各国の規格に基づいて算出される。したがって、JIS規格で採用している負荷能力算出式を利用したJIS D4202−1994解説の「負荷能力の算定」に記載されている、下記の算定式から各タイヤサイズの負荷能力が算出される。
X=K×2.735×10−5×P0.585×Sd1.39×(D−12.7+Sd)
但し、X=負荷能力[kg]、
K=1.36、
P=空気圧[kPa]=230kPa、
Sd=0.93×S.75−0.637d、
.75=S×((180°−Sin−1((Rm/S))/131.4°)、
S=設計断面幅[mm]、
Rm=設計断面幅に対応したリム幅[mm]、
d=(0.9−偏平比[−])×S.75−6.35、
DR=リム径の基準値[mm]、
である。
【0038】
上記(1A)式の条件を満たすことにより、タイヤ1の転がり抵抗を低減しつつ、良好な操縦安定性を得ることができる。例えば、CW/SWが0.70よりも大きい場合、タイヤ1の転がり抵抗が十分に低減されない。一方、CW/SWが0.45よりも小さい場合、操縦安定性の悪化が顕著になる。
【0039】
また、本実施形態において、トレッド面11Aと内面11Bとの距離であるトレッドゴム層11の厚みをT1としたとき、
4mm≦T1≦20mm …(2A)
の条件が満たされている。
【0040】
なお、好ましくは、
5mm≦T1≦14mm …(2B)
の条件が満たされていることが好ましい。
【0041】
また、本実施形態において、溝部2の底面2Bと内面11Bとの距離であるトレッドゴム層11の厚みをTuとしたとき、
0.2mm≦Tu≦1.5mm …(3A)
の条件が満たされている。
【0042】
なお、好ましくは、
0.5mm≦Tu≦1.0mm …(3B)
の条件が満たされていることが好ましい。
【0043】
厚みT1及び厚みTuは、回転軸Jと直交するZ軸方向に関する寸法である。換言すれば、厚みT1及び厚みTuは、所謂、垂直厚みである。
【0044】
本実施形態においては、環状構造体10により、タイヤ1の剛性が高められている。そのため、上記(2A)式及び上記(3B)式のようにトレッドゴム層11の厚みT1及び厚みTuを薄くしても、トレッドゴム層11に亀裂が生じることが抑制される。また、上記(2A)式及び上記(3B)式のようにトレッドゴム層11の厚みT1及び厚みTuを規定することにより、コーナーリング特性のようなタイヤ1の動的特性を要求に適った特性にすることができる。
【0045】
なお、本実施形態においては、環状構造体10は、トレッドゴム層11及びサイドウォールゴム層7を含むゴム層、表面処理剤、及び接着剤の少なくとも一つで覆われている。換言すれば、本実施形態に係るタイヤ1において、環状構造体10は露出してない。
【0046】
また、本実施形態において、回転軸Jと平行なY軸方向に関する環状構造体10の寸法(幅)をBWとしたとき、
0.85≦BW/CW≦1.10 …(4A)
の条件が満たされている。
【0047】
なお、好ましくは、
0.95≦BW/CW≦1.05 …(4B)
の条件が満たされていることが好ましい。
【0048】
上記(4A)式の条件を満たすことにより、タイヤ1の転がり抵抗を低減しつつ、良好な操縦安定性を得ることができる。
【0049】
次に、本実施形態に係る環状構造体10の製造方法の一例について説明する。図3図4、及び図5は、環状構造体10の製造方法の一例を示す図である。図3に示すように、帯状(長方形形状)の金属の板20が用意される。板20は、長手方向(矢印C参照)における一方の端部21TL及び他方の端部21TLのそれぞれに、短手方向(矢印S参照)に関して両側に突出する凸部22を有する。
【0050】
次に、図4に示すように、板20の長手方向の端部20TL同士が突き合わされ、その端部20TL同士が溶接により接合される。端部20TLは、板20の長手方向と直交することが好ましい。溶接は、ガス溶接(酸素アセチレン溶接)、アーク溶接、TIG(Tungsten Inert Gas)溶接、プラズマ溶接、MIG(Metal Inert Gas)溶接、エレクトロスラグ溶接、電子ビーム溶接、レーザービーム溶接、超音波溶接等を用いることができる。このように、板20の端部20TL同士を溶接することにより、簡単に環状構造体10を製造することができる。なお、溶接後の板20に、熱処理及び圧延の少なくとも一方が施されてもよい。これにより、環状構造体10の強度が向上する。熱処理は、例えば、析出硬化系ステンレス鋼を用いる場合、一例として、500℃で60分保持する。熱処理の条件は、要求される特性によって適宜変更することができるので、前述の条件に限定されるものではない。
【0051】
次に、図5に示すように、溶接後の凸部22が除去される。これにより、環状構造体10が形成される。なお、環状構造体10に熱処理を施す場合、凸部22を切断した後に熱処理を施すことが好ましい。熱処理によって環状構造体10の強度が向上するため、熱処理等を施す前に凸部22を切断することにより、凸部22の切断が容易になる。環状構造体10が形成された後、環状構造体10の外側に未加硫のトレッドゴム層が配置される。また、カーカス部12が環状構造体10に取り付けられる。これにより、グリーンタイヤが作成される。その後、グリーンタイヤが加硫され、トレッドゴム層11と環状構造体10とが結合することにより、タイヤ1が完成する。
【0052】
図6は、溶接により接合された環状構造体10の溶接部201の近傍を示す側面図である。図6に示すように、溶接部201の厚みは、溶接部201の周辺の部分の厚みTbよりも厚い。周辺の部分の厚みTbは、板20の厚みTbである。厚みTbは、溶接部201を除いた部分における環状構造体10の厚みである。厚みTbは、外面10Aと内面10Bとの距離を含む。
【0053】
上述のように、環状構造体10は、金属材料で製造される。環状構造体10(板20)を形成する金属材料のヤング率をEとしたとき、
100GPa≦E≦230GPa …(5A)
の条件が満たされている。
【0054】
なお、好ましくは、
150GPa≦E≦230GPa …(5B)
の条件が満たされていることが好ましい。
【0055】
さらに、好ましくは、
180GPa≦E≦220GPa …(5C)
の条件が満たされていることが好ましい。
【0056】
より好ましくは、
190GPa≦E≦210GPa …(5D)
の条件が満たされていることが好ましい。
【0057】
また、板20の厚みをTbとしたとき、
0.1mm≦Tb≦0.5mm …(6A)
の条件が満たされている。
【0058】
なお、好ましくは、
0.2mm≦Tb≦0.4mm …(6B)
の条件が満たされていることが好ましい。
【0059】
また、本実施形態において、環状構造体10の金属材料の引張強度は、900MPa以上1800MPa以下でもよい。
【0060】
上記(5A)式及び上記(6A)式の条件を満たすことにより、タイヤ1の転がり抵抗が低減され、タイヤ1の耐久性が確保される。
【0061】
環状構造体10は、ばね鋼、高張力鋼、ステンレス鋼、及びチタンの少なくとも一つを含んでもよい。チタンは、チタン合金を含んでもよい。本実施形態において、環状構造体10は、ステンレス鋼を含む。ステンレス鋼の耐食性は高い。ステンレス鋼は、上述の数値のヤング率及び引張強度を得ることができる。
【0062】
環状構造体10をステンレス鋼で製造する場合、JIS G4303の分類における、マルテンサイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、オーステナイト・フェライト二相ステンレス鋼、及び析出硬化系ステンレス鋼の少なくとも一つを用いてもよい。ステンレス鋼を用いることにより、引張強度及び靱性が高い環状構造体10を製造可能である。
【0063】
次に、本発明に係る実施例について説明する。本発明者は、上述の実施形態に従ってタイヤ1を作成し、本実施形態に係るタイヤ1の操縦安定性の評価試験、及び転がり抵抗(RRC)の評価試験を行った。また、比較例に係るタイヤを作成し、比較例に係るタイヤの操縦安定性の評価試験、及び転がり抵抗の評価試験も行った。
【0064】
本実施形態に係るタイヤ1及び比較例に係るタイヤのサイズは、195/65R15とした。
【0065】
図7は、本発明の実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5、及び実施例6に係るタイヤ1についての評価試験結果と、比較例1及び比較例2に係るタイヤについての評価試験結果とを示す。
【0066】
操縦安定性の評価試験は、重量1400kgの車両にタイヤを装着し、時速80km/hでレーンチェンジを行った際の安定性を、5人のドライバーの官能評価により行った。具体的には、5人のドライバーが安定性について5段階で採点し、その平均点を評価値とした。また、比較例1を基準点3として相対比較した。
【0067】
転がり抵抗の評価試験は、ISO28580(=JIS D 4234)にしたがって測定(フォース法による)し、指数化した。
【0068】
比較例1のCW/SWは、0.75、比較例2のCW/SWは、0.40である。実施例1のCW/SWは、0.70、実施例2のCW/SWは、0.65、実施例3のCW/SWは、0.60、実施例4のCW/SWは、0.55、実施例5のCW/SWは、0.50、実施例6のCW/SWは、0.45である。
【0069】
図7に示すように、操縦安定性の評価値は、実施例1が3.2、実施例2が3.4、実施例3が3.5、実施例4が3.6、実施例5が3.4、実施例6が3.1である。一方、比較例1は3、比較例2は2.8である。このように、実施例1から実施例6のそれぞれに係る操縦安定性は、比較例1及び比較例2に係る操縦安定性よりも高い評価値を示すことが分かる。
【0070】
また、図7に示すように、転がり抵抗は、実施例1が98.5、実施例2が97.5、実施例3が96、実施例4が95.5、実施例5が97、実施例6が98である。一方、比較例1は100、比較例2は99である。このように、実施例1から実施例6のそれぞれに係る転がり抵抗(RRC)は、比較例1及び比較例2に係る転がり抵抗よりも小さい値であることが分かる。
【0071】
このように、CW/SWを最適にすることによって、転がり抵抗を抑制しつつ、高い操縦安定性を得られることが分かる。また、本実施形態に係るタイヤ1においては、環状構造体10によりタイヤ1の剛性が高められているため、CW/SWを小さくしても、操縦安定性が損なわれない。
【0072】
以上説明したように、本実施形態によれば、環状構造体10を備えるタイヤ1において、タイヤ幅SWと接地幅CWとの比率を上記(1A)式の条件を満たすように規定しているので、タイヤ1の転がり抵抗の増大を抑制しつつ、優れた操縦安定性を得ることができる。このように、本実施形態によれば、要求に適ったタイヤ1の動的特性を得ることができる。
【0073】
また、本実施形態によれば、トレッドゴム層11の厚みT1及び厚みTuを上記(2A)式及び上記(3A)式の条件を満たすように規定しているので、トレッドゴム層11の厚みが抑制された状態で、トレッドゴム層11の亀裂の発生を抑制しつつ、タイヤ1の動的特性を要求に適った特性にすることができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、接地幅CWと環状構造体10の幅BWとの比率を上記(4A)式の条件を満たすように規定しているので、タイヤ1の転がり抵抗を低減しつつ、良好な操縦安定性を得ることができる。
【0075】
また、本実施形態によれば、環状構造体10のヤング率E及び厚みTbを上記(5A)式及び上記(6A)式の条件を満たすように規定しているので、タイヤ1の転がり抵抗が低減され、タイヤ1の耐久性が確保される。
【0076】
<第2実施形態>
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。以下の実施形態においては、環状構造体の例について説明する。
【0077】
図8は、本実施形態に係る環状構造体101の一例を示す斜視図である。図8において、環状構造体101は、環状構造体101の幅方向(回転軸Jと平行な方向)に関する端部の少なくとも一部に凹凸部3を有する。凹凸部3は、環状構造体101の幅方向の両側のそれぞれに設けられる。凹凸部3の凸部は、尖っている。凹凸部3は、所謂、鋸刃状である。本実施形態において、幅方向に関する凹凸部3の寸法Wは、5mm以上40mm以下である。
【0078】
環状構造体101の幅方向の両側にトレッドゴム層11の少なくとも一部が配置される場合、凹凸部3は、トレッドゴム層11に食い込むことができる。これにより、環状構造体101とトレッドゴム層11との結合が強化される。
【0079】
また、凹凸部3が設けられることにより、タイヤ1の幅方向の端部において剛性が急激に変化することが抑制される。特に、環状構造体101の幅を小さくした場合に有効である。
【0080】
また、環状構造体101は円筒形状であり、回転軸Jに対する放射方向に関しては変形し易い(Z軸方向に撓み易い)が、回転軸Jと平行な方向に関しては変形し難い(剛性が高い)。そのため、回転軸Jと平行な方向に関して剛性のバランスが偏る可能性がある。本実施形態においては、凹凸部3が設けられているため、環状構造体101は、回転軸Jと平行な方向に関して変形し易い。そのため、剛性のバランスが偏ることが抑制される。
【0081】
<第3実施形態>
第3実施形態について説明する。図9は、本実施形態に係る環状構造体102の一例を示す斜視図である。図9において、環状構造体102は、外面102Aと、内面102Bと、外面102Aと内面102Bとを貫通する複数の貫通孔4とを有する。
【0082】
本実施形態において、環状構造体102の幅方向に関して、貫通孔4は、等間隔で複数配置される。また、環状構造体102の周方向に関して、貫通孔4は、等間隔で複数配置される。環状構造体102の幅方向及び周方向のそれぞれに関して、貫通孔4は、等しい密度で複数形成される。
【0083】
本実施形態においては、環状構造体102の外面102Aに接合されるトレッドゴム層11の少なくとも一部と、環状構造体102の内面102Bに接合されるカーカス部12とが、貫通孔4を介して接触可能である。トレッドゴム層11の内面11B及びカーカス部12の外面12Aの少なくとも一方に接着剤(接着剤層)が設けられている場合、トレッドゴム層11の内面11Bの少なくとも一部と、カーカス部12の外面12Aとは、貫通孔4を介して、接着剤(接着剤層)により接合される。これにより、トレッドゴム層11と環状構造体102との結合、及び環状構造体102とカーカス部12との結合のそれぞれが強化される。
【0084】
<第4実施形態>
第4実施形態について説明する。図10は、本実施形態に係る環状構造体103の一例を示す斜視図である。図10において、環状構造体103は、凹凸部3と、複数の貫通孔4とを有する。このように、図8を参照して説明した構成要素と、図9を参照して説明した構成要素とを組み合わせてもよい。
【0085】
<第5実施形態>
第5実施形態について説明する。図11は、本実施形態に係る環状構造体104の一例を示す斜視図である。図11において、環状構造体104は、複数の貫通孔4を有する。また、環状構造体104は、凹部5を有する。凹部5を、切欠部5、と称してもよい。凹部5は、環状構造体104の幅方向の両側のそれぞれに設けられる。凹部5は、環状構造体104の周方向に関して、間隔をあけて複数配置される。環状構造体104の幅方向の両側にトレッドゴム層11の少なくとも一部が配置される場合、トレッドゴム層11の少なくとも一部が、凹部5に食い込むことができる。これにより、環状構造体104とトレッドゴム層11との結合が強化される。
【0086】
<第6実施形態>
第6実施形態について説明する。図12は、本実施形態に係る環状構造体105の一例を示す斜視図である。図12において、環状構造体105は、複数の貫通孔4を有する。環状構造体105の周方向に関して、貫通孔4は、等間隔で複数配置される。環状構造体105の幅方向に関して、貫通孔4は、間隔をあけて配置される。環状構造体105の幅方向に関して、貫通孔4は、不等間隔で複数配置される。本実施形態において、環状構造体105の幅方向に関して、環状構造体105のエッジの近傍に配置される貫通孔4の間隔は、環状構造体105の中央に配置される貫通孔4の間隔よりも小さい。なお、環状構造体105の幅方向に関して、環状構造体105のエッジの近傍に配置される貫通孔4の間隔が、環状構造体105の中央に配置される貫通孔4の間隔よりも大きくてもよい。
【0087】
本実施形態においても、貫通孔4により、トレッドゴム層11と環状構造体105との結合、及び環状構造体105とカーカス部12との結合のそれぞれが強化される。
【0088】
<第7実施形態>
第7実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。以下の実施形態においては、環状構造体の幅方向の端部の形状の例について説明する。
【0089】
図13図14、及び図15のそれぞれは、環状構造体10の端部10Cの一例を示す断面図である。図13図14、及び図15に示すように、例えば、回転軸Jを含むYZ平面と平行な断面において、Y軸方向に関する環状構造体10の端部10Cの外形は、曲線を含んでもよい。図13及び図14に示す例では、断面における端部10Cの外形は、円弧状である。図14に示す例では、端部10Cの外端部が、環状構造体10の外面10Aよりも外側に突出し、端部10Cの内端部が、環状構造体10の内面10Bよりも内側に突出している。図15に示す例では、端部10Cは、外面10Aとなす角度が鈍角である斜面10Caと、内面10Bとなす角度が鈍角である斜面10Cbとを含む。斜面10Caと斜面10Cbとは、曲線(曲面)で結ばれる。
【0090】
端部10Cは、例えば面取り加工、又はR加工により形成される。環状構造体10の剛性が高く、幅が狭いと、環状構造体10の端部において、環状構造体10とゴム層(トレッドゴム層11、サイドウォールゴム層7など)とが剥離する可能性が高くなる。図13から図15に示したように、環状構造体10の端部10Cが丸みを帯びることによって、環状構造体10の端部10Cとゴム層との剥離を抑制することができる。
【符号の説明】
【0091】
1 タイヤ
2 溝部(主溝)
3 凹凸部
4 貫通孔
10 環状構造体
10A 外面
10B 内面
11 トレッドゴム層
11A トレッド面
11B 内面
12 カーカス部
J 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15