特許第6273825号(P6273825)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6273825
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】シャッタボックスの取付構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20180129BHJP
【FI】
   E06B9/17 W
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-263343(P2013-263343)
(22)【出願日】2013年12月20日
(65)【公開番号】特開2015-117556(P2015-117556A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2016年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
(72)【発明者】
【氏名】大場 亜星
(72)【発明者】
【氏名】久保田 修平
【審査官】 小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭49−054938(JP,U)
【文献】 実開昭49−054936(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第01655446(EP,A1)
【文献】 独国実用新案第202011001958(DE,U1)
【文献】 西独国特許出願公開第02262249(DE,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物壁に設けられた壁ブラケットに、シャッタカーテンを内部に巻き取り可能なシャッタボックスを取り付ける構造であって、
前記壁ブラケットは、上面が前記建物壁から離れるにつれて高くなる案内側傾斜部を有し、
前記シャッタボックスは、前記案内側傾斜部に案内される係止部として、前記案内側傾斜部に面接触可能な係止側傾斜部、および、前記係止側傾斜部の上端に連なって上向きに窪み前記案内側傾斜部の上端が係入可能な凹部を有し、
前記係止部が前記案内側傾斜部に案内されつつ移動すると、前記シャッタボックスが前記建物壁の方向へ引き寄せられて前記壁ブラケットに係止されるシャッタボックスの取付構造。
【請求項2】
前記壁ブラケットは、前記案内側傾斜部の下端から前記建物壁の方向に水平に延在して前記係止側傾斜部の下端を支承可能な案内側水平部を有する請求項1に記載のシャッタボックスの取付構造。
【請求項3】
前記シャッタボックスは、前記係止側傾斜部の下端から前記建物壁の方向に水平に延在して前記案内側水平部に当接可能な係止側水平部を有する請求項2に記載のシャッタボックスの取付構造。
【請求項4】
建物壁に設けられた壁ブラケットに、シャッタカーテンを内部に巻き取り可能なシャッタボックスを取り付ける構造であって、
前記壁ブラケットおよび前記シャッタボックスの一方は、前記建物壁から離れるにつれて高くなる案内側傾斜部を有し、
前記壁ブラケットおよび前記シャッタボックスの他方は、前記案内側傾斜部に案内される係止部を有し、
前記係止部が前記案内側傾斜部に案内されつつ相対移動すると、前記シャッタボックスが前記建物壁の方向へ引き寄せられて前記壁ブラケットに係止され、
前記壁ブラケットは被係合部を有し、前記シャッタボックスは係合部を有し、
前記係止部が前記案内側傾斜部に案内されるときに、前記被係合部と前記係合部とが前記建物壁と直交する方向に相対変位可能に係合して前記シャッタボックスの前記壁ブラケットからの離脱を規制するシャッタボックスの取付構造。
【請求項5】
前記被係合部および前記係合部の一方は、前記建物壁と直交する方向に長くかつ上下方向に開口する長孔をもつ孔形成部であり、前記被係合部および前記係合部の他方は、前記長孔に遊動可能に係入する凸部である請求項4に記載のシャッタボックスの取付構造。
【請求項6】
前記壁ブラケットは前記建物壁から離れる方向に延在する腕部を有し、前記腕部は前記被係合部をもちかつ前記シャッタボックスの荷重の少なくとも一部を支承する請求項4または5に記載のシャッタボックスの取付構造。
【請求項7】
前記シャッタボックスを構成するアングル部材が前記係合部を兼ねており、
前記被係合部は、前記建物壁から離れる方向に延在して前記アングル部材の下側に配置可能であるとともに、その先端が屈曲されて前記アングル部材の離脱を防止する離脱防止部になっている請求項4に記載のシャッタボックスの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物壁に設けられた壁ブラケットに、シャッタカーテンを内部に巻き取り可能なシャッタボックスを取り付ける構造に関する。
【背景技術】
【0002】
シャッタカーテンを内部に巻き取り可能なシャッタボックスを備えたシャッタ装置が従来から知られている。この種のシャッタ装置では、取付箇所となる建物壁に壁ブラケットを設け、壁ブラケットにシャッタボックスを取り付ける作業を行うのが一般的になっている。シャッタボックスは重量物であるので、取付作業は複数の作業者で行う場合が多く、さらにクレーンを利用する場合も多い。取付作業における作業者の負担を軽減しつつ取付所要時間を短縮し、かつ作業安全性を確保するために、各種のシャッタボックスの取付構造の発明が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されたシャッタボックスの取付構造は、取り付け対象部位に設けられる支持部材(壁ブラケット)と、シャッタが巻き取られて収納されるボックス本体(シャッタボックス)とを備える。さらに、支持部材は仮付け部を備え、ボックス本体はフック部を備えたことを特徴としている。支持部材は、ボックス本体を一時的に引っ掛けて支持するとともに、支持したボックス本体のほぼ水平方向の移動を許容する。フック部は、仮付け部に引っ掛かってボックス本体を支持するとともに、ほぼ水平方向に移動できる。これにより、ボックス本体は、支持部材に引っ掛けて水平方向に押し込むことで取り付けられるため、取付作業性が大幅に向上する、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−1203574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の取付構造は、ボックス本体の左右にそれぞれフック部を備え、仮付け部を備えた支持部材が取り付け対象部位の左右2箇所に設けられている。このため、左右で押し込むタイミングが崩れるとボックス本体が斜行し、フック部と仮付け部との間がこじれて変形してしまう。したがって、左右で押し込むタイミングを揃えてボックス本体を真っ直ぐに押し込むようにしないと、以降の位置合わせ作業や締結固定作業が行えない。
【0006】
また、特許文献1の実施形態の説明によれば、押し込んだボックス本体が抜け出ないように、フック部に嵌合孔が設けられ、仮付け部に係止爪が設けられている。この実施形態では、支持部材にボックス本体を押し込む途中で、フック部が係止爪を乗り越えることにより嵌合孔と係止爪とが嵌合する。したがって、ボックス本体を押し込みながら押し上げるために大きな力が必要となる。このように取付作業が煩わしく、取付所要時間が長引きがちであるので、ボックス本体を誤って落下させてしまうおそれが増大する。
【0007】
本発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、シャッタボックスの取付作業が容易で、取付所要時間を短縮できて、作業安全性の良好なシャッタボックスの取付構造を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のシャッタボックスの取付構造は、建物壁に設けられた壁ブラケットに、シャッタカーテンを内部に巻き取り可能なシャッタボックスを取り付ける構造であって、前記壁ブラケットは、上面が前記建物壁から離れるにつれて高くなる案内側傾斜部を有し、前記シャッタボックスは、前記案内側傾斜部に案内される係止部として、前記案内側傾斜部に面接触可能な係止側傾斜部、および、前記係止側傾斜部の上端に連なって上向きに窪み前記案内側傾斜部の上端が係入可能な凹部を有し、前記係止部が前記案内側傾斜部に案内されつつ移動すると、前記シャッタボックスが前記建物壁の方向へ引き寄せられて前記壁ブラケットに係止される。
【0009】
これによれば、係止部が案内側傾斜部に案内されると、シャッタボックスは、自重により斜め下方に案内されて建物壁の方向へ引き寄せられる。そして、シャッタボックスは、壁ブラケット上の所定の取付位置に係止される。それゆえ、シャッタボックスを壁ブラケットに取り付ける途中で、シャッタボックスを押し上げる必要がない。また、シャッタボックスの左右で、取り付けのタイミングが多少ずれても支障は生じない。したがって、シャッタボックスのサイズや取付位置の高さに関係なく、取付作業が容易であり、取付所要時間が短縮される。また、取付位置が高所であっても、シャッタボックスが壁ブラケットに係止された状態で固定作業を行えるので、作業安全性が良好である。
【0011】
また、係止側傾斜部が案内側傾斜部に面接触して滑りながら案内されるので、シャッタボックスが所定の取付位置へとスムーズに案内される。したがって、取付作業がさらに一層容易になり、かつ取付所要時間がさらに一層短縮される。
【0012】
また、係止側傾斜部と案内側傾斜部とが面接触するときに、案内側傾斜部が凹部に入り込む余地が生じて、寸法上の余裕が拡がる。したがって、シャッタボックスを取付位置へ案内する際に、部材寸法の製造誤差の影響を受けない。さらには、部材の寸法精度を緩和できる。また、案内側傾斜部の上端が凹部に係入した状態でシャッタボックスが保持されるので、シャッタボックスと建物壁との間に隙間を確保できる。したがって、シャッタボックスは建物壁に横向きの押圧力を及ぼさず、建物壁を損傷するおそれが殆ど無くなる。
【0014】
また、前記壁ブラケットは、前記案内側傾斜部の下端から前記建物壁の方向に水平に延在して前記係止側傾斜部の下端を支承可能な案内側水平部を有してもよい。
【0015】
これによれば、壁ブラケットにシャッタボックスを取り付けた後に、シャッタボックスの荷重の一部は、係止側傾斜部と案内側水平部との接触によって上下方向に支承され、建物壁に作用する横向きの押圧力が低減される。したがって、建物壁を損傷するおそれが低減される。
【0016】
また、前記シャッタボックスは、前記係止側傾斜部の下端から前記建物壁の方向に水平に延在して前記案内側水平部に当接可能な係止側水平部を有してもよい。
【0017】
これによれば、壁ブラケットにシャッタボックスを取り付けた後に、シャッタボックスの荷重の一部は、係止側水平部と案内側水平部との面接触によって上下方向に支承され、建物壁に作用する横向きの押圧力がさらに低減される。したがって、建物壁を損傷するおそれがさらに低減される。
【0022】
また、本発明のシャッタボックスの取付構造は、建物壁に設けられた壁ブラケットに、シャッタカーテンを内部に巻き取り可能なシャッタボックスを取り付ける構造であって、前記壁ブラケットおよび前記シャッタボックスの一方は、前記建物壁から離れるにつれて高くなる案内側傾斜部を有し、前記壁ブラケットおよび前記シャッタボックスの他方は、前記案内側傾斜部に案内される係止部を有し、前記係止部が前記案内側傾斜部に案内されつつ相対移動すると、前記シャッタボックスが前記建物壁の方向へ引き寄せられて前記壁ブラケットに係止され、前記壁ブラケットは被係合部を有し、前記シャッタボックスは係合部を有し、前記係止部が前記案内側傾斜部に案内されるときに、前記被係合部と前記係合部とが前記建物壁と直交する方向に相対変位可能に係合して前記シャッタボックスの前記壁ブラケットからの離脱を規制する。
【0023】
これによれば、被係合部と係合部との係合によりシャッタボックスの落下を防止できるので、作業安全性が良好である。また、被係合部と係合部との係合により、壁ブラケットに対するシャッタボックスの位置決めも容易になる。さらに、係止部が案内側傾斜部に案内されるときに、被係合部と係合部とが遊動して相対変位可能に係合する。したがって、シャッタボックスの姿勢に自由度を残しつつ落下を防止できて、取付作業が楽になる。
【0024】
さらに、前記被係合部および前記係合部の一方は、前記建物壁と直交する方向に長くかつ上下方向に開口する長孔をもつ孔形成部であり、前記被係合部および前記係合部の他方は、前記長孔に遊動可能に係入する凸部であってもよい。
【0025】
これによれば、長孔に凸部が係入するという確実な方法でシャッタボックスの落下を防止できるので、作業安全性がさらに一層向上する。
さらに、前記壁ブラケットは前記建物壁から離れる方向に延在する腕部を有し、前記腕部は前記被係合部をもちかつ前記シャッタボックスの荷重の少なくとも一部を支承するようにしてもよい。
これによれば、腕部は、被係合部と荷重支承部とを兼ねることができる。したがって、壁ブラケットの構造が簡素化される。
【0026】
あるいは、前記シャッタボックスを構成するアングル部材が前記係合部を兼ねており、前記被係合部は、前記建物壁から離れる方向に延在して前記アングル部材の下側に配置可能であるとともに、その先端が屈曲されて前記アングル部材の離脱を防止する離脱防止部になっていてもよい。
【0027】
これによれば、アングル部材は被係合部の上側に配置され、離脱防止部によって離脱が防止される。したがって、シャッタボックスの落下を確実に防止でき、作業安全性がさらに一層向上する。また、シャッタボックスが有する係合部として専用の部材が不要となるので、シャッタボックスの構造が簡素化される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1実施形態を実施するシャッタ装置の全体構成の概要を示す斜視図である。
図2】第1実施形態のシャッタボックスの取付構造の取り付け前の状態を示す左側面図である。
図3図2と同じ状態を示す部分平面図である。
図4】シャッタボックスを壁ブラケットに載せた状態を示す左側面図である。
図5図4と同じ状態を示す部分平面図である。
図6】シャッタボックスが所定の取付位置に案内された状態を示す左側面図である。
図7図6と同じ状態を示す部分平面図である。
図8】第2実施形態で、シャッタボックスを壁ブラケットに載せた状態を示す左側面図である。
図9】第2実施形態で、シャッタボックスが所定の取付位置に案内された状態を示す左側面図である。
図10】第3実施形態のシャッタボックスの取付構造で、シャッタボックスを壁ブラケットに載せた状態を示す左側面図である。
図11】第4実施形態のシャッタボックスの取付構造で、シャッタボックスを壁ブラケットに載せた状態を示す左側面図である。
図12】第5実施形態のシャッタボックスの取付構造を模式的に示す左側面図である。
図13】第6実施形態のシャッタボックスの取付構造を模式的に示す左側面図である。
図14】第7実施形態のシャッタボックスの取付構造を模式的に示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明を実施するための第1実施形態のシャッタボックスの取り付け構造について、図1図7を参考にして説明する。まず、シャッタ装置9の全体構成の概要について説明する。図1は、第1実施形態を実施するシャッタ装置9の全体構成の概要を示す斜視図である。シャッタ装置1は、建物の外壁である建物壁99に形成された出入口などを開閉する目的で設けられる。シャッタ装置9は、シャッタカーテン91、シャッタボックス2、および一対のガイドレール92、93などで構成されている。図1には、シャッタカーテン91の大部分がシャッタボックス2から下方に引き出された状態が例示されている。
【0030】
シャッタボックス2は、左右一対のサイドブラケット21、22、第1〜第3アングル部材26〜28(図2以降に示す)、正面カバー23、巻取軸24、および電動駆動装置25などで構成されている。左右一対のサイドブラケット21、22は、略板状の部材であり、シャッタカーテン91の幅寸法よりも広めの間隔で離隔平行配置される。図1には見えない3本の第1〜第3アングル部材26〜28は、左右方向に延在して左右のサイドブラケット21、22を結合している。
【0031】
正面カバー23は、シャッタボックス2の上面、正面、および底面の前側の一部を構成するように薄板材が折り曲げられて形成されている。正面カバー23は、左右のサイドブラケット21、22の間に架け渡され、かつ第1〜第3アングル部材26〜28の外側に配置される。左右のサイドブラケット21、22、正面カバー23、および裏面側の建物壁99などにより、シャッタボックス2の内部空間が区画される。
【0032】
巻取軸24は、左右方向に延在する筒状の回転軸であり、シャッタボックス2の内部空間に配置されている。巻取軸24は、左右のサイドブラケット21、22によって回動可能に支承されている。電動駆動装置25は、巻取軸24の筒状の内部に配置され、図1の左側のサイドブラケット21に固設されている。電動駆動装置25は、正転および逆転の切り替えが可能なモータを有し、巻取軸24の内周面を正転駆動および逆転駆動する。
【0033】
シャッタカーテン91は、展開状態で略矩形となる巻き取り可能な部材である。シャッタカーテン91は、上側の一辺が巻取軸24の外周面に係止されている。これにより、電動駆動装置25が巻取軸24を正転駆動すると、シャッタカーテン91が巻取軸24の外周に巻き取られる。逆に、電動駆動装置25が巻取軸24を逆転駆動すると、シャッタカーテン91がシャッタボックス2から下方に引き出されて展開される。
【0034】
一対のガイドレール92、93は、左右のサイドブラケット21、22の下方に配置されている。一対のガイドレール92、93は、建物壁99の出入口などの開口の左右両側に離隔平行して立設される。一対のガイドレール92、93は、シャッタカーテン91の左右2辺の上下動を案内する。一対のガイドレール92、93の下端を連結するように、下枠94が設けられている。
【0035】
上述したシャッタ装置9を建物壁99に設置するために、第1実施形態のシャッタボックスの取付構造1を用いる。図2は、第1実施形態のシャッタボックスの取付構造1の取り付け前の状態を示す左側面図である。また、図3は、図2と同じ状態を示す部分平面図である。第1実施形態において、左右一対の壁ブラケット3を建物壁99に設ける。そして、シャッタボックス2の左右のサイドブラケット21、22を、左右の壁ブラケット3にそれぞれ取り付ける。左右のサイドブラケット21、22および壁ブラケット3は、相互に鏡面対称形状(勝手違いの同一形状)であるので、主に図1の左側のサイドブラケット21および壁ブラケット3について説明する。
【0036】
壁ブラケット3は、鉄やアルミニウムなどの金属製板材に切削加工や曲げ加工が施されて構成されている。壁ブラケット3は、取付板部31、被係止部32、および腕部33からなる。取付板部31は、平板状の部位である。取付板部31は、建物壁99に面接触するように図略の固定部材を用いて固設される。
【0037】
被係止部32は、取付板部31の下側に連なる金属製板材の幅方向の長さL1(図3示)の部位が曲げ加工されて形成されている。被係止部32は、案内側水平部321、案内側傾斜部322、および垂直下降部323からなる。案内側水平部321は、取付板部31の下端に連なり、建物壁99から離れる前方に水平に折り曲げられた形状に形成されている。案内側水平部321の前端に連なって案内側傾斜部322が形成されている。案内側傾斜部322は、建物壁99から離れる前方に向かって次第に上面が高く傾斜している。案内側傾斜部322の前上端に連なって垂直下降部323が形成されている。垂直下降部323は、垂直下方に向かって延在している。
【0038】
腕部33は、金属製板材の一部が取付板部31に対して90°曲げ加工されて形成されている。腕部33は、取付板部31の上部寄りに連なり、建物壁99から離れる前方に向かって延在している。図3の部分平面図でわかるように、腕部33は、シャッタ装置9の幅方向において被係止部32よりも外側に配置される。腕部33の垂直方向の幅W1(図2示)は、取付板部31に近い基部側で大きく、前方に向かう途中で徐減し、前方側で小さくなっている。
【0039】
腕部33の上面331の前寄りには、上方に突出する凸部332が設けられている。凸部332の形状は、隅に丸みを有する矩形とされており、これに限定されない。凸部332は、本発明の被係合部に相当する。腕部33の前端は、シャッタ装置9の幅方向の外側に屈曲されて被固定部333となっている。被固定部333には、前後方向に貫通する固定用雌ねじ334が穿設されている。
【0040】
図2に示されるように、シャッタボックス2のサイドブラケット21は、鉄やアルミニウムなどの金属製板材に切削加工や曲げ加工が施されて構成されている。サイドブラケット21の略中央の内側(図2の紙面奥側)には、巻取軸24を支承しかつ電動駆動装置25を固設する支持座211が設けられている。サイドブラケット21の上縁212は、若干傾斜して前側で低く、後側で高くなっている。サイドブラケット21の下縁213は、段差を有して前側で低く、後側で高くなっている。サイドブラケット21の後縁214および前縁215は鉛直方向に延びている。サイドブラケット21の上縁212の後方および前方、ならびに下縁213の前方寄りの段差の低い位置に、それぞれ2個ずつアングル固定孔216、217、218が設けられている。各アングル固定孔216、217、218を用いて、第1〜第3アングル部材26〜28がサイドブラケット21に結合されている。
【0041】
サイドブラケット21の下縁213の段差の高い位置の後方寄りに、係止部4が形成されている。係止部4は、前方から後方に並んで形成された凹部41、係止側傾斜部42、および係止側水平部43からなる。凹部41は、サイドブラケット21の下縁213が上向きに窪んで形成されている。凹部41の窪みの形状は、隅に丸みを有する矩形とされているが、これに限定されない。凹部41の後端に連なって係止側傾斜部42が形成されている。係止側傾斜部42は、建物壁99に近づく後方に向かって次第に下縁213が低く傾斜している。係止側傾斜部42の傾斜角度は、壁ブラケット3の案内側傾斜部322の傾斜角度に一致している。
【0042】
係止側傾斜部42の後下端に連なって係止側水平部43が形成されている。係止側水平部43は、建物壁99に近づく後方に向かって下縁213が水平になっている。係止側水平部43の前後方向の長さは、壁ブラケット3の案内側水平部321の前後方向の長さよりも小とされている。係止側水平部43の後端は、後縁214の下端に連なっている。
【0043】
サイドブラケット21の上部後方寄りの位置、換言するとアングル固定孔216の下側位置に、孔形成部5が形成されている。孔形成部5は、サイドブラケット21を構成する金属製板材に切り起こし加工を施して形成される。切り起こし加工で、金属製板材にコ字状の3辺の切り込みが入れられ、切り込まれた部位が90°だけ曲げ加工されて起立する。孔形成部5は、図2および図3に示されるように、概ね水平方向に延在する。孔形成部5には、建物壁99と直交する前後方向に長くかつ上下方向に開口する長孔51が穿設されている。孔形成部5は、本発明の係合部に相当する。
【0044】
サイドブラケット21の孔形成部5の前側位置に、固定部6が形成されている。固定部6も、孔形成部5と同様の切り起こし加工により形成される。固定部6は、図2および図3に示されるように、概ね鉛直方向に延在する。固定部6には、前後方向に貫通して固定ねじ62(図7示)の挿通を許容する固定孔61が穿設されている。なお、孔形成部5および固定部6を形成することにより、金属製板材に切り起こし孔59、69が残るが、サイドブラケット21の機械的な強度は十分に保たれる。
【0045】
次に、壁ブラケット3にシャッタボックス2を取り付ける手順について説明する。図4は、シャッタボックス2を壁ブラケット3に載せた状態を示す左側面図であり、図5は、図4と同じ状態を示す部分平面図である。また、図6は、シャッタボックス2が所定の取付位置に案内された状態を示す左側面図であり、図7は、図6と同じ状態を示す部分平面図である。シャッタボックス2の取り付けに先立ち、建物壁99に左右一対の壁ブラケット3をあらかじめ設けておく。壁ブラケット3は、建物壁99の表面に直接的に固設されてもよく、建物壁99の内部の高い剛性を有する鉄骨などの下地に固設されてもよい。
【0046】
作業者は、人力でまたはクレーンを利用して、シャッタボックス2を概ね水平姿勢に保ちつつ、左右の壁ブラケット3の間に前側の斜め上方から接近させる(図2の矢印P1示および図3の矢印P2示)。これにより、図4に示されるように、壁ブラケット3の案内側傾斜部322にシャッタボックス2のサイドブラケット21の係止側傾斜部42を載せることができる。同時に、壁ブラケット3の腕部33の凸部332を、サイドブラケット21の孔形成部5の長孔51に下側から係入させることができる。係止側傾斜部42が載るタイミングと凸部332が係入するタイミングとの間に、時間的な前後関係の厳密性は必要でない。
【0047】
ここで、凸部332は、長孔51の内部で建物壁99と直交する前後方向に遊動して相対変位可能であるので、シャッタボックス2の姿勢には自由度がある。なおかつ、凸部332が長孔51から抜け出すことは無いので、シャッタボックス2の落下を防止できる。そして、図4の状態でシャッタボックス2の荷重は、係止側傾斜部42から案内側傾斜部322に作用する。これにより、係止側傾斜部42は、案内側傾斜部322の上面を斜め下方に滑動する。したがって、シャッタボックス2は、自重により斜め下方に案内されて建物壁99の方向へ引き寄せられる。このとき、係止側傾斜部42の滑動のタイミングが左右のサイドブラケット21、21でずれても、支障は生じない。
【0048】
この結果、図6および図7に示されるように、シャッタボックス2は、所定の取付位置まで案内される。所定の取付位置で、係止側傾斜部42と案内側傾斜部322とは広い面積で接触し、係止側水平部43と案内側水平部321とは面接触する。また、案内側傾斜部322の上端が凹部41に係入するので、シャッタボックス2は、取付位置に保持されて建物壁99に向かう移動が規制される。これにより、シャッタボックス2と壁ブラケット3との間に間隙Gが確保される。
【0049】
一方、凸部332は、長孔51内を前側寄りへと相対移動する。そして、壁ブラケット3の腕部33の上面331に、シャッタボックス2のサイドブラケット21の孔形成部5の下面が載置される。また、腕部33の被固定部333と、サイドブラケット21の固定部6とが前後方向に当接して取付位置が定まる。この後、図7に矢印Qで示されるように、固定ねじ62を固定部6の固定孔61から挿入して、被固定部333の固定雌ねじ334に締結する固定作業を行う。これにより、シャッタボックス2は、最終的に取付位置に固定される。
【0050】
最終的な取り付け状態において、シャッタボックス2の荷重は、壁ブラケット3の案内側傾斜部322および案内側水平部321と、腕部33の上面331および固定雌ねじ334とに分担されて支承される。この荷重分担の比率は、特に限定されない。また、前述したようにシャッタボックス2と壁ブラケット3との間に間隙Gが確保されており、換言すればシャッタボックス2と建物壁99との間に隙間があり、シャッタボックス2は建物壁99に横向きの押圧力を及ぼさない。
【0051】
第1実施形態のシャッタボックスの取付構造1は、建物壁99に設けられた壁ブラケット3に、シャッタカーテン91を内部に巻き取り可能なシャッタボックス2を取り付ける構造であって、壁ブラケット3は、建物壁99から離れるにつれて高くなる案内側傾斜部322を有し、シャッタボックス2のサイドブラケット21は、案内側傾斜部322に案内される係止側傾斜部42を有し、係止側傾斜部42が案内側傾斜部322に案内されつつ相対移動すると、シャッタボックス2が建物壁99の方向へ引き寄せられて壁ブラケット3に係止される。
【0052】
これによれば、係止側傾斜部42が案内側傾斜部322に案内されると、シャッタボックス2は、自重により斜め下方に案内されて建物壁99の方向へ引き寄せられる。そして、シャッタボックス2は、壁ブラケット3上の所定の取付位置に係止される。それゆえ、シャッタボックス2を壁ブラケット3に取り付ける途中で、シャッタボックス2を押し上げる必要がない。また、シャッタボックス2の左右で、取り付けのタイミングが多少ずれても支障は生じない。したがって、シャッタボックス2のサイズや取付位置の高さに関係なく、取付作業が容易であり、取付所要時間が短縮される。また、取付位置が高所であっても、シャッタボックス2が壁ブラケット3に係止された状態で固定作業を行えるので、作業安全性が良好である。
【0053】
さらに、壁ブラケット3は、上面が建物壁99から離れるにつれて高くなる案内側傾斜部322を有し、シャッタボックス2のサイドブラケット21は、係止部として案内側傾斜部322に面接触可能な係止側傾斜部42を有する。
【0054】
これによれば、係止側傾斜部42が案内側傾斜部322に面接触して滑りながら案内されるので、シャッタボックス2が所定の取付位置へとスムーズに案内される。したがって、取付作業がさらに一層容易になり、かつ取付所要時間がさらに一層短縮される。
【0055】
さらに、壁ブラケット3は被係合部となる凸部332を有し、シャッタボックス2のサイドブラケット21は係合部となる孔形成部5を有し、係止側傾斜部42が案内側傾斜部322に案内されるときに、凸部332と孔形成部5の長孔51とが係合してシャッタボックス2の壁ブラケット3からの離脱を規制する。
【0056】
これによれば、凸部332と孔形成部5の長孔51との係合によりシャッタボックス2の落下を防止できるので、作業安全性が向上する。また、凸部332と孔形成部5の長孔51との係合により、壁ブラケット3に対するシャッタボックス2の位置決めも容易になる。
【0057】
また、壁ブラケット3は、案内側傾斜部322の下端から建物壁99の方向に水平に延在して係止側傾斜部42の下端を支承可能な案内側水平部321を有する。また、シャッタボックス2のサイドブラケット21は、係止側傾斜部42の下端から建物壁99の方向に水平に延在して案内側水平部321に当接可能な係止側水平部43を有する。
【0058】
これによれば、壁ブラケット3にシャッタボックス2を取り付けた後に、シャッタボックス2の荷重の一部は、係止側水平部43と案内側水平部321との面接触によって上下方向に支承され、建物壁99に作用する横向きの押圧力が低減される。したがって、建物壁99を損傷するおそれが低減される。
【0059】
また、シャッタボックス2のサイドブラケット21は、係止側傾斜部42の上端に連なって上向きに窪み、案内側傾斜部322の上端が係入可能な凹部41を有する。
【0060】
これによれば、係止側傾斜部42と案内側傾斜部322とが面接触するときに、案内側傾斜部322が凹部41に入り込む余地が生じて、寸法上の余裕が拡がる。したがって、シャッタボックス2を取付位置へ案内する際に、部材寸法の製造誤差の影響を受けない。さらには、部材の寸法精度を緩和できる。また、案内側傾斜部322の上端が凹部41に係入した状態でシャッタボックス2が保持されるので、シャッタボックス2と建物壁99との間に隙間を確保できる。したがって、シャッタボックス2は建物壁99に横向きの押圧力を及ぼさず、建物壁99を損傷するおそれが殆ど無くなる。
【0061】
さらに、壁ブラケット3は建物壁99から離れる方向に延在する腕部33を有し、腕部33は凸部332をもちかつシャッタボックス2の荷重の少なくとも一部を支承する。
【0062】
これによれば、腕部33は、被係合部と荷重支承部とを兼ねることができる。したがって、壁ブラケット3の構造が簡素化される。
【0063】
また、凸部332と孔形成部5の長孔51とは、建物壁99と直交する前後方向に相対変位可能に係合する。
【0064】
これによれば、係止側傾斜部42が案内側傾斜部322に案内されるときに、凸部332と孔形成部5の長孔51とが遊動して相対変位可能に係合する。したがって、シャッタボックス2の姿勢に自由度を残しつつ落下を防止できて、取付作業が楽になる。さらには、長孔51に凸部332が係入するという確実な方法でシャッタボックス2の落下を防止できるので、作業安全性がさらに一層向上する。
【0065】
次に、第2実施形態のシャッタボックスの取付構造1Aについて、第1実施形態と異なる点を主に説明する。第2実施形態において、シャッタ装置9の全体構成は第1実施形態に類似し、壁ブラケット3Aおよびシャッタボックス2Aの形状が異なる。図8は、第2実施形態で、シャッタボックス2Aを壁ブラケット3Aに載せた状態を示す左側面図である。また、図9は、第2実施形態で、シャッタボックス2Aが所定の取付位置に案内された状態を示す左側面図である。
【0066】
第2実施形態の壁ブラケット3Aは、取付板部31、被係止部32、被係合部34、および図略の被固定部からなる。取付板部31および被係止部32の形状は、第1実施形態と同様であるので、説明は省略する。被係合部34は、取付板部31の上側に連なる金属製板材の部位が曲げ加工されて形成されている。被係合部34は、水平部341および離脱防止部342からなる。水平部341は、取付板部31の上端に連なり、建物壁99から離れる前方に向かい水平に延在している。水平部341の前端が上方に屈曲されて離脱防止部342となっている。また、図略の被固定部は、第1実施形態の固定用雌ねじ334が穿設された被固定部333に類似している。
【0067】
シャッタボックス2Aの構成に関して、第1〜第3アングル部材26〜28、正面カバー23、巻取軸24、および電動駆動装置25は第1実施形態と同様であり、サイドブラケット21Aの形状の一部が第1実施形態と異なる。第2実施形態のサイドブラケット21Aは、第1実施形態と同様に、アングル固定孔216、217、218をもつとともに、下縁213の後方寄りに係止部4が形成されている。
【0068】
しかしながら、サイドブラケット21Aは、係合部に相当する孔形成部5を有さない。代わりに、第1アングル部材26が係合部を兼ねる。また、サイドブラケット21Aは、図略の固定部を有する。固定部の形状は、第1実施形態の固定孔61が穿設された固定部6に類似している。さらに、固定ねじ62を用いて壁ブラケット3Aにシャッタボックス2Aを固定する点も、第1実施形態と同様である。
【0069】
次に、第2実施形態で、壁ブラケット3Aにシャッタボックス2Aを取り付ける手順について説明する。シャッタボックス2Aを概ね水平姿勢に保ちつつ、左右の壁ブラケット3Aの間に斜め上方から接近させると、図8に示される状態になる。これにより、壁ブラケット3Aの案内側傾斜部322にシャッタボックス2Aのサイドブラケット21Aの係止側傾斜部42を載せることができる。同時に、シャッタボックス2Aの第1アングル部材26を、壁ブラケット3Aの被係合部34の水平部341の上方に配置できる。
【0070】
このとき、第1アングル部材26は、水平部341の上方で建物壁99と直交する前後方向に相対変位可能となっているので、シャッタボックス2Aの姿勢には自由度がある。なおかつ、第1アングル部材26は、離脱防止部342によって離脱が防止されるので、シャッタボックス2Aの落下を防止できる。そして、図8の状態でシャッタボックス2Aの荷重は、係止側傾斜部42から案内側傾斜部322に作用する。これにより、係止側傾斜部42は、案内側傾斜部322を斜め下方に滑動する。したがって、シャッタボックス2Aは、自重により斜め下方に案内されて建物壁99の方向へ引き寄せられる。
【0071】
この結果、図9に示されるように、シャッタボックス2Aは、所定の取付位置まで案内される。所定の取付位置で、係止側傾斜部42と案内側傾斜部322とは広い面積で接触し、係止側水平部43と案内側水平部321とは面接触する。また、第1アングル部材26は、水平部341の上面に当接して支承される。そして、固定ねじ62を用いて図略の被固定部および固定部を締結する固定作業により、シャッタボックス2Aは、最終的に取付位置に固定される。
【0072】
第2実施形態のシャッタボックスの取付構造1Aでも、シャッタボックス2Aを壁ブラケット3Aに取り付ける途中で、シャッタボックス2Aを押し上げる必要がない。また、シャッタボックス2Aの左右で、取り付けのタイミングを合わせる必要がない。したがって、シャッタボックス2Aのサイズや取付位置の高さに関係なく、取付作業が容易であり、取付所要時間が短縮される。また、取付位置が高所であっても、シャッタボックス2Aが壁ブラケット3Aに係止された状態で固定作業を行えるので作業安全性が良好である。加えて、シャッタボックス2と建物壁99との間に隙間を確保でき、建物壁99を損傷するおそれが殆ど無くなる。
【0073】
さらに、シャッタボックス2を構成する第1アングル部材26が係合部を兼ねており、被係合部34は、建物壁99から離れる前方に延在して第1アングル部材26の下側に配置可能である水平部341を有するとともに、被係合部34の先端が屈曲されて第1アングル部材26の離脱を防止する離脱防止部342になっている。
【0074】
これによれば、第1アングル部材26は、被係合部34の上側に配置され、離脱防止部342によって離脱が防止される。したがって、シャッタボックス2Aの落下を確実に防止でき、作業安全性がさらに一層向上する。また、シャッタボックス2Aが有する係合部として専用の部材が不要となるので、シャッタボックス2Aの構造が簡素化される。
【0075】
次に、第1実施形態のシャッタボックスの取付構造を変形した第3および第4実施形態について、第1実施形態と異なる点を主に説明する。図10は、第3実施形態のシャッタボックスの取付構造1Bで、シャッタボックス2Bを壁ブラケット3に載せた状態を示す左側面図である。第3実施形態では、シャッタボックス2Bのサイドブラケット21Bの係止部4Bの形状が第1実施形態と異なり、その他は第1実施形態と同様である。
【0076】
第3実施形態のサイドブラケット21Bの係止部4Bは、凹部41、係止側水平部44、および係止側垂直部45からなる。凹部41は、サイドブラケット21Bの下縁213が上向きに窪んで形成されている。凹部41の後端に連なって、下縁213が水平な係止側水平部44が形成されている。係止側水平部44の後端に連なって、係止側垂直部45が形成されている。係止側垂直部45は、下方に突出している。係止側垂直部45の後端は、後縁214の下端に連なっている。係止側垂直部45の下方突出端は、壁ブラケット3の案内側傾斜部322に摺動して、斜め下方に案内される。
【0077】
第3実施形態のシャッタボックスの取付構造1Bでは、係止側垂直部45が案内側傾斜部322に案内されることで、シャッタボックス2Bが建物壁99の方向へ引き寄せられて壁ブラケット3に係止される。したがって、第3実施形態でも、第1実施形態と同様に、取付作業が容易であり、取付所要時間が短縮され、さらには、作業安全性が良好である。
【0078】
また、図11は、第4実施形態のシャッタボックスの取付構造1Cで、シャッタボックス2Cを壁ブラケット3Cに載せた状態を示す左側面図である。第4実施形態で、シャッタボックス2は第1実施形態と同じ形状であり、サイドブラケット21Cの一部の部位の機能および名称が異なる。第4実施形態のサイドブラケット21Cは、下縁213の段差の高い側の後方寄りに被係止部7が形成されている。被係止部7は、前方から後方に並んで形成された凹部71、案内側傾斜部72、および案内側水平部73からなる。凹部71、案内側傾斜部72、および案内側水平部73の形状は、第1実施形態の凹部41、係止側傾斜部42、および係止側水平部43の形状にそれぞれ等しい。
【0079】
一方、第4実施形態の壁ブラケット3Cは、取付板部31、係止部35、および腕部33からなる。取付板部31および腕部33の形状は、第1実施形態と同様であるので、説明は省略する。係止部35は、取付板部31の下側に連なる金属製板材の部位が曲げ加工されて形成されている。係止部35は、係止側水平部351および係止側垂直部352からなる。係止側水平部351は、取付板部31の下端に連なり、建物壁99から離れる前方に水平に折り曲げられた形状に形成されている。係止側水平部351の前端に連なって係止側垂直部352が形成されている。係止側垂直部352は、垂直上方に向かって突出している。係止側垂直部352の上方突出端は、壁ブラケット3Cの案内側傾斜部72に摺動して、案内側傾斜部72を斜め下方に案内する。
【0080】
第4実施形態のシャッタボックスの取付構造1Cでは、係止側垂直部352が案内側傾斜部72に摺動することで、シャッタボックス2Cが建物壁99の方向へ引き寄せられて壁ブラケット3Cに係止される。したがって、第4実施形態でも、第1実施形態と同様に、取付作業が容易であり、取付所要時間が短縮され、さらには、作業安全性が良好である。
【0081】
次に、図12は、第5実施形態のシャッタボックスの取付構造1Dを模式的に示す左側面図である。第5実施形態のシャッタボックスの取付構造1Dは、左右一対の壁ブラケット3Dおよびシャッタボックス2Dからなる。壁ブラケット3Dは、前側の上方寄りに被係止部81を有し、前側の下方寄りに被固定部82を有している。一方、シャッタボックス2Dは、後側の上方寄りに係止部83を有し、後側の下方寄りに固定部84を有している。
【0082】
被係止部81および係止部83の形状は、第1実施形態の被係止部32および係止部4に一致させることができる。また、被固定部82および固定部84の形状は、第1実施形態の被固定部333および固定部6に一致させることができる。このように構成すれば、係止部83は被係止部81の上面を斜め下方に滑動するので、シャッタボックス2Dは、建物壁99の方向へ引き寄せられて壁ブラケット3Dに係止される。また、被固定部82および固定部84での固定作業により、最終的にシャッタボックス2Dを取付位置に固定できる。
【0083】
第5実施形態でも、第1実施形態と同様に、取付作業が容易であり、取付所要時間が短縮され、さらには、作業安全性が良好である。なおかつ、第1実施形態と異なり、凸部332に例示された被係合部および孔形成部5に例示された係合部を有さずとも、取付作業の途中でシャッタボックス2Dが落下するおそれは生じない。
【0084】
次に、図13は、第6実施形態のシャッタボックスの取付構造1Eを模式的に示す左側面図である。第6実施形態のシャッタボックスの取付構造1Eは、左右一対の壁ブラケット3Eおよびシャッタボックス2Eからなる。壁ブラケット3Eは、前側の上方寄り及び下方寄りに被係止部81を有し、かつ図略の被固定部を有している。一方、シャッタボックス2Eは、後側の上方寄り及び下方寄りに係止部83を有し、かつ図略の固定部を有している。
【0085】
2組の被係止部81および係止部83の形状は、第1実施形態の被係止部32および係止部4に一致させることができる。このように構成すれば、2組の係止部83はそれぞれ被係止部81の上面を斜め下方に滑動するので、シャッタボックス2Eは、建物壁99の方向へ引き寄せられ壁ブラケット3Eに係止される。また、図略の被固定部および固定部での固定作業により、最終的にシャッタボックス2Eを取付位置に固定できる。
【0086】
第6実施形態でも、第1実施形態と同様に、取付作業が容易であり、取付所要時間が短縮され、さらには、作業安全性が良好である。なおかつ、第5実施形態と同様に、被係合部および係合部を有さずとも、取付作業の途中でシャッタボックス2Eが落下するおそれは生じない。
【0087】
次に、図14は、第7実施形態のシャッタボックスの取付構造1Fを模式的に示す左側面図である。第7実施形態のシャッタボックスの取付構造1Fは、左右一対の壁ブラケット3Fおよびシャッタボックス2Fからなる。壁ブラケット3Fは、前側の下方寄りに被係止部81を有し、前側の上方寄りに被係合部85を有し、かつ図略の被固定部を有している。一方、シャッタボックス2Fは、後側の下方寄りに係止部83を有し、後側の上方寄りに係合部86を有し、かつ図略の固定部を有している。
【0088】
被係止部81および係止部83の形状は、第1実施形態の被係止部32および係止部4に一致させることができる。被係合部85は、壁ブラケット3Fの上部が前方に折れ曲がり、さらに下方に折れ曲がって、下向きに開口するように形成できる。また、係合部86は、シャッタボックス2Fの後側の下方寄りから後方に突出し、さらに上方に折れ曲がるように形成できる。このように構成すれば、図14に示されるように、シャッタボックス2Fの上側を先に壁ブラケット3Fに近づけて、係合部86を被係合部85に下方から係入できる。
【0089】
その後、シャッタボックス2Fを下げることにより、係止部83の下端を被係止部81の上端に載せることができる。すると、係止部83は被係止部81の上面を斜め下方に滑動するので、シャッタボックス2Fは、建物壁99の方向へ引き寄せられて壁ブラケット3Dに係止される。また、図略の被固定部および固定部での固定作業により、最終的にシャッタボックス2Fを取付位置に固定できる。
【0090】
第7実施形態でも、取付作業が容易であり、取付所要時間が短縮され、さらには、作業安全性が良好である。
【0091】
なお、本発明は、上述した第1〜第7実施形態の構成に限定されない。例えば、第1、第3、および第4実施形態で、孔形成部を壁ブラケット3、3Cに設け、下方に突出する凸部をサイドブラケット21、21Bに設けてもよい。この態様では、サイドブラケット21、21Bの凸部が壁ブラケット3、3Cの孔形成部の長孔に上側から係入して、シャッタボックス2、2Bの落下が防止される。本発明は、その他にも様々な応用や変形が可能である。
【符号の説明】
【0092】
1、1A〜1F:シャッタボックスの取付構造
2、2A、2B、2D〜2F:シャッタボックス
21、21A、21B、22:サイドブラケット 23:正面カバー
24:巻取軸 25:電動駆動装置 26〜28:第1〜第3アングル部材
3、3A、3C〜3F:壁ブラケット 31:取付板部 32:被係止部
321:案内側水平部 322:案内側傾斜部 33:腕部
332:凸部(被係合部) 333:被固定部 34:被係合部
341:水平部 342:離脱防止部 35:係止部
351:係止側水平部 352:係止側垂直部
4、4B:係止部 41:凹部 42:係止側傾斜部 43:係止側水平部
44:係止側水平部 45:係止側垂直部
5:孔形成部(係合部) 51:長孔
6:固定部 62:固定ねじ
7:被係止部 71:凹部 72:案内側傾斜部 73:案内側水平部
81:被係止部 82:被固定部 83:係止部 84:固定部
85:被係合部 86:係合部
9:シャッタ装置 91:シャッタカーテン 99:建物壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14