(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
恒温槽と、該恒温槽の内壁を介して前記恒温槽内を設定温度に維持する加温手段と、前記恒温槽の内部に設けられ細胞の培養を行う培養槽と、前記恒温槽の外部に設けられ前記培養槽に供給される培地を冷蔵保存する培地タンクと、前記内壁に取付けられ、前記培地タンクと前記培養槽の経路途中で前記内壁の熱により前記培地を加温する予加温手段とを具備することを特徴とする細胞培養装置。
前記予加温手段は前記内壁に取付けられ、前記培地タンクの前記培地は培地供給管を介して前記培養槽に供給され、前記培地供給管の中途部が前記予加温手段に挾持される請求項1の細胞培養装置。
前記予加温手段はバッファタンクであり、該バッファタンクは前記内壁に接触する様前記恒温槽内に配設され、前記培地タンクと前記培養槽の経路途中で前記培地を一時的に貯溜する請求項1の細胞培養装置。
前記予加温手段は加温容器と、該加温容器内に貯溜された加温媒体であり、前記加温容器は前記内壁に接触する様前記恒温槽内に配設され、前記培地タンクと前記培養槽とを接続する培地供給管が前記加温媒体に浸漬された請求項1の細胞培養装置。
請求項1〜請求項4のうちいずれか1項に記載の細胞培養装置を用いた細胞培養システムであって、細胞導入装置と、前記細胞培養装置と、細胞剥離装置と、細胞回収装置とを具備し、前記細胞導入装置が前記細胞培養装置に担体と細胞と培地とを導入し、前記細胞培養装置が前記担体を予加温手段により事前に加温された前記培地に浮遊させて細胞を前記担体上で培養し、前記細胞剥離装置が前記細胞培養装置から供給された前記培地に含まれる前記担体から細胞を剥離させ、前記細胞回収装置が前記細胞剥離装置に剥離させた細胞を回収することを特徴とする細胞培養システム。
【背景技術】
【0002】
動物細胞、植物細胞等の細胞には、それぞれ培養の際に増殖用の足場を必要とする付着性の細胞と、増殖用の足場を必要としない浮遊性の細胞とがあり、培養した細胞は有用物質の生産等に広く使用されている。
【0003】
付着性の動物細胞の培養方法の1つとして、浮遊培養法がある。浮遊培養法は、マイクロキャリア等の微小な担体に細胞を付着させ、ボトル等の容器(培養槽)に導入された培地中に担体を浮遊させ、細胞の培養を行なうものである。
【0004】
通常、細胞の培養は約37℃の培地で行う必要がある為、約4℃で冷蔵保存された培地を所定の温度迄昇温させ、保持する必要があり、温度管理が重要となる。又、1ロット毎に培養槽中の培地を新しい培地と交換する必要がある為、煩雑な作業となる。近年、培地交換の煩雑さや培養作業の個人差を低減する為、培地交換を自動で行う自動培養装置が開発されている。
【0005】
自動培養装置としては、例えば特許文献1に示されるものがあり、特許文献1では、細胞バッグと培養容器との流路途中にタンクが設けられ、タンクの周辺部にヒータが取付けられており、4℃で冷蔵保存されている培地をタンクに収容し、ヒータにより事前に37℃に温めてから培地を培養容器に移送する様になっている。
【0006】
然し乍ら、タンクにヒータを設置する場合、加温部を複数設けることとなり、加温部の制御も複数行う必要がある為、装置構成が複雑になると共に、コストが増大するという問題がある。
【0007】
又、培地は非常に高価である為、自動培養装置に於いては配管長等を極力短くすることが求められている。更に、近年主流となってきたシングルユース(ディスポーザブル)の培養方式を自動培養装置にて行う場合には、シングルユースの培養ユニット一式を1ロット毎に付替える必要がある為、取外しが容易な構造が求められている。
【0008】
尚、特許文献2には、加温バックを培養槽内又は培養槽に連通された閉鎖空間内に設置し、薬品容器の薬品を培養器に供給する前に、前記培養槽内と同じ環境に設けられた前記加温バックに一旦保持することで、薬品が加温されて前記培養器内の培養液と同じ環境条件に近づけることができ、培地交換を行う際の培養条件の変化を抑制する構成が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0020】
先ず、
図1に於いて、本発明の実施例に係る細胞培養システムについて説明する。
【0021】
細胞培養システム1は、主に細胞導入装置2、細胞培養装置3、細胞剥離装置4、細胞回収装置5によって構成され、細胞の導入から培養、剥離、回収迄の一連の処理を行う。尚、
図1中、実線の矢印は各構成同士が常時接続されている状態を示し、破線の矢印は各構成同士が必要に応じてその都度接続される状態を示している。
【0022】
前記細胞導入装置2は、主に薬液タンク6、担体供給容器7、細胞供給部8、冷蔵庫9、該冷蔵庫9の内部に設けられた培地タンク10及び培地供給ポンプ11から構成されている。前記担体供給容器7、前記細胞供給部8、前記培地タンク10には、それぞれ担体12、細胞、培地13が貯溜されており、前記細胞導入装置2は、前記細胞培養装置3の培養槽14に前記担体12、細胞、及び例えば4℃の低温な前記培地13を供給する様になっている。
【0023】
前記細胞培養装置3は、主に内部を恒温状態に維持する恒温槽15、該恒温槽15内に配設された前記培養槽14、前記恒温槽15の壁面に取付けられた昇温部16、培地循環ポンプ17、廃液タンク18、排液ポンプ19から構成されている。前記細胞培養装置3は、前記培地循環ポンプ17により前記培地13を循環させることで、前記細胞導入装置2から供給された前記担体12を前記培地13中に浮遊させ、細胞を培養する。
【0024】
前記細胞剥離装置4は、主に剥離槽20、緩衝液や剥離液等の各種薬液が貯溜された薬液タンク21から構成され、該薬液タンク21から供給された薬液と、剪断応力付与手段(図示せず)により与えられる剪断応力により、前記剥離槽20内で前記担体12から細胞を剥離させる。更に、前記細胞回収装置5は、前記細胞剥離装置4により剥離された細胞のみを回収する様になっている。
【0025】
次に、
図2に於いて、前記恒温槽15について説明する。
【0026】
該恒温槽15は、内壁22と外壁23との間に空間24が形成される二重構造の壁面を有する箱状となっている。尚、図示はしないが、
図2中紙面に対して手前側は前記恒温槽15の入口となっている。
【0027】
前記恒温槽15内には、前記培養槽14が配設されると共に、前記内壁22に予加温手段である前記昇温部16が取付けられ、培地供給管25が前記恒温槽15の内部に延出している。前記培地供給管25は、例えばシリコンゴム等軟質の素材からなるチューブであり、上流側で前記培地タンク10に接続され、下流側で前記培養槽14に接続されており、中途部は所要長さに亘って前記昇温部16内に収納されている。
【0028】
尚、前記培養槽14には、例えば100mlの前記培地13が導入可能となっている。又、前記培地供給管25の長さは、前記恒温槽15内に収納される部分の容積が、好ましくは前記培養槽14内の前記培地13を全量交換可能な容積、即ち100mlとなる長さとなっている。
【0029】
又、前記恒温槽15内には、該恒温槽15内の温度を検出する温度センサ26が設けられ、前記空間24には前記内壁22を介して前記恒温槽15内を加温する加温部であるヒータ27が設けられている。前記温度センサ26と前記ヒータ27は、それぞれ温度制御部28に電気的に接続されており、該温度制御部28は前記温度センサ26の検出結果に基づき、前記恒温槽15内が所定の温度、例えば37℃に維持される様前記ヒータ27の加温状態を制御する様になっている。
【0030】
次に、
図3(A)(B)に於いて、前記昇温部16の詳細について説明する。尚、
図3(B)では、該昇温部16を簡略化して示している。
【0031】
該昇温部16は、板状の台座部31と、該台座部31に着脱可能に固着された土台部32と、蓋部33から構成され、前記台座部31がボルト等の固着具により前記内壁22に固着されている。又、前記台座部31、前記土台部32、前記蓋部33は、それぞれアルミや銅等の熱伝導率の高い金属製、或は表面が熱伝導率の高いグラファイトシート等で覆われた構造となっている。
【0032】
前記土台部32と前記蓋部33の長辺側端部は、ヒンジ34で連結されており、該ヒンジ34を介して前記蓋部33が前記土台部32に対して開閉が可能となっている。
【0033】
又、前記蓋部33の非連結端側には、例えば2箇所に係合部材35が設けられている。該係合部材35の一部は前記蓋部33より突出しており、該蓋部33の突出部分には係合孔36が形成されている。
【0034】
前記土台部32の前記係合部材35と対応する箇所には係合突起37が設けられており、前記蓋部33を閉じ、該蓋部33を前記土台部32と重合させた際には、前記係合突起37が前記係合孔36に係合し、係合した状態では前記蓋部33と前記土台部32とが重合し密着する様になっている。尚、前記係合部材35と前記係合突起37とにより係合手段が構成される。
【0035】
又、前記土台部32の重合面には、長手方向の全長に亘って半円柱状或は略半円柱状の管保持溝38が平行に複数刻設されている。該管保持溝38の溝の深さは、前記培地供給管25の径よりも僅かに小さくなっており、前記管保持溝38には前記培地供給管25が嵌合可能となっている。前記管保持溝38に前記培地供給管25を嵌合させた状態では、該培地供給管25は圧縮された状態となっており、該培地供給管25が位置決めされた状態で前記土台部32に仮止めされる様になっている。
【0036】
又、前記蓋部33の重合面の前記管保持溝38と対応する箇所には、長手方向の全長に亘って半円柱状の管挾持溝39が平行に複数刻設されている。前記係合孔36と前記係合突起37が係合し、前記土台部32と前記蓋部33が重合し密着した際には、前記培地供給管25が圧縮された状態で前記管保持溝38と前記管挾持溝39に挾持される様になっている。
【0037】
前記培地供給管25を前記昇温部16に取付ける際には、前記土台部32を前記台座部31から取外した状態とし、前記蓋部33を開いて前記管保持溝38を露出させた状態とする。次に、
図3(A)に示される様に、前記培地供給管25を交互に屈曲させながら前記管保持溝38に嵌合させた後、前記蓋部33を閉じて前記係合部材35と前記係合突起37とを係合させることで、前記培地供給管25が前記管保持溝38と前記管挾持溝39に挾持された状態で前記昇温部16に取付けられる。この時、前記培地供給管25の屈曲部は前記昇温部16から露出している。最後に、前記土台部32を前記台座部31に固着する。尚、前記土台部32を前記台座部31に固着させた状態で、前記培地供給管25を前記昇温部16に収納させてもよい。
【0038】
尚、
図3(A)では、前記昇温部16が前記内壁22の内の一面の一部にのみ設けられているが、前記昇温部16は前記内壁22の全面、或は複数の面に設けられてもよい。前記昇温部16が複数設けられる場合は、前記培地供給管25の複数箇所が前記昇温部16に収納される状態となる。又、前記昇温部16から露出する前記培地供給管25の屈曲部は、露出量が少ないのが望ましい。
【0039】
次に、前記培地タンク10から新たに前記培地13を供給し、前記培養槽14内の前記培地13を交換する場合について説明する。
【0040】
細胞の培養を行なう際には、前記培養槽14に前記担体12及び細胞を供給すると共に、前記培地供給ポンプ11を駆動させ、前記培養槽14に前記培地13を供給する。前記担体12、細胞、前記培地13の供給後は、前記培地循環ポンプ17を駆動させ、前記培地13を循環させることで前記担体12を前記培地13中に浮遊させ、前記担体12上で細胞を培養させている。
【0041】
培養処理を継続すると、細胞の代謝や増殖により前記培養槽14中の前記培地13の成分が変化する為、一定周期毎に、例えば最短で1日毎に前記培養槽14中の前記培地13を交換する必要がある。
【0042】
該培地13の交換の為、先ず前記培地供給ポンプ11を駆動させ、前記冷蔵庫9にて冷蔵保存された前記培地タンク10から低温、例えば4℃の前記培地13を前記培地供給管25に流通させる。
【0043】
該培地供給管25は、前記恒温槽15内で前記昇温部16に挾持されており、該昇温部16は前記恒温槽15の前記内壁22に取付けられている。前記昇温部16は熱伝導率の高い材質により構成されており、前記培地13は前記昇温部16及び前記培地供給管25を介して伝わった前記内壁22の熱により加温される。
【0044】
この時、前記恒温槽15を加温する前記ヒータ27は、前記内壁22と前記外壁23との間の前記空間24に設けられている。従って、前記恒温槽15内の雰囲気は前記内壁22を介して加温される様になっているので、該内壁22の温度は前記恒温槽15の設定温度、例えば37℃よりも高くなっている。
【0045】
前記培地供給管25内の前記培地13は、該培地13の交換時期迄前記内壁22からの熱により加温されている状態が維持される。該培地13の交換周期は最短で1日であるので、充分に加温時間が確保され、該培地13は確実に37℃迄加温される。
【0046】
該培地13の交換時期となり、前記培養槽14内の前記培地13を交換する際には、前記排液ポンプ19を駆動させ、前記培養槽14内の前記培地13を前記廃液タンク18に排出する。尚、この時の前記培地13の排出量は、前記培養槽14内の前記培地13の一部であってもよいし、全量であってもよい。
【0047】
次に、前記培地供給ポンプ11が駆動され、前記昇温部16により加温された前記培地13が、前記培養槽14から排出された量だけ該培養槽14に供給されることで、前記培地13の交換が完了する。
【0048】
この時、前記培養槽14に供給される加温された前記培地13は、前記培地タンク10からの低温の前記培地13による押出し流れとなるので、前記培養槽14に供給される前記培地13に低温の該培地13が混入することはない。
【0049】
上述の様に、本発明の第1の実施例では、熱伝導率の高い材質からなる前記昇温部16を前記内壁22に取付け、前記昇温部16に前記培地供給管25を収納することで、前記冷蔵庫9で冷蔵保存されていた低温の前記培地13を、前記内壁22の熱により事前に設定温度迄加温することができる。
【0050】
従って、前記培地13の交換時に、低温の前記培地13が供給されることによる前記培養槽14内の環境の変化を防止できるので、該培養槽14内の細胞に与えるストレスを抑制でき、細胞の培養効率を向上させることができる。
【0051】
又、前記培地13は、前記内壁22の熱により加温しているので、前記培地供給管25を流通する前記培地13を加温する為の加温機構を別途設ける必要がなく、装置構成が簡易になると共に、制作コストの低減を図ることができる。
【0052】
又、前記昇温部16は、前記係合部材35及び前記係合突起37を介して、前記土台部32と前記蓋部33とを容易に開閉可能であるので、前記昇温部16に対する前記培地供給管25の着脱を容易に行うことができ、1ロット毎に各部品を交換するシングルユースの培養方式にも容易に適用することができる。
【0053】
又、前記土台部32に刻設された前記管保持溝38の溝の深さが、前記培地供給管25の径よりも僅かに小さく、前記管保持溝38に前記培地供給管25を圧縮した状態で嵌合している。従って、前記土台部32、前記蓋部33と前記培地供給管25との密着性を高め、熱交換が効率よく行われ、又該培地供給管25を前記管保持溝38に容易に仮止めすることができ、前記培地供給管25を前記昇温部16に取付ける際の作業性を向上させることができる。
【0054】
又、前記内壁22の温度が前記恒温槽15の設定温度以上であり、前記昇温部16により加温される前記培地13の温度を設定温度以上とすることができるので、低温の前記培地13が混ざった場合でも設定温度の該培地13を前記培養槽14に供給することができる。従って、前記恒温槽15内に延出する前記培地供給管25の容積を最大交換量未満とすることができるので、該培地供給管25の配管長を短くでき、前記培地13の使用量の低減を図ることができる。
【0055】
更に、前記培地供給管25を扁平な形状とし前記昇温部16との接触面積を増大させる、或は該培地供給管25の径を小さくして前記昇温部16に収納される長さを増やす等し、前記培地供給管25と前記昇温部16との接触面積を増大させることで、前記培地13の加温効率を向上させることができる。
【0056】
尚、第1の実施例では、前記昇温部16は前記台座部31をボルト等の固着具で固着することで前記内壁22に取付けているが、前記台座部31がヒンジを介して前記内壁22に取付けられ、前記台座部31が前記恒温槽15の入口に向って起上がる構造としてもよい。前記台座部31が前記恒温槽15の入口に向って起上がる構造とすることで、前記培地供給管25を前記昇温部16に取付ける際に、前記恒温槽15内で作業を行う必要がなく、取付け時の作業性をより向上させることができる。
【0057】
又、第1の実施例では、前記蓋部33と前記土台部32との係合手段として、前記係合部材35と前記係合突起37とを用いているが、前記係合手段は前記係合部材35と前記係合突起37に限定されるものではない。例えば以下のクランプ部材がある。該クランプ部材は、基端部にフランジが形成された円柱状のフランジピンと、該フランジピンの内部に該フランジピンと同心に摺動自在に嵌合されたスライドピンとを有し、該スライドピンを押込むと前記フランジピンの先端部が縮径し、前記スライドピンを引抜くと前記フランジピンの先端部が拡径する。該先端部の拡縮により被装着物が係合離脱される様構成されている。
【0058】
又、前記土台部32の長手方向端部に突片を設け、前記蓋部33の長手方向端面に入出可能な突起を設け、前記蓋部33を閉じた際に前記突片と前記突起とが重なって係合する様にしてもよい。更に、前記土台部32と前記蓋部33にマグネットを設け、該マグネットにより前記土台部32と前記蓋部33とを係合させる様にしてもよい。
【0059】
次に、
図4に於いて、本発明の第2の実施例について説明する。尚、
図4中、
図2中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0060】
第2の実施例では、恒温槽15内に、予加熱手段であるバッファタンク41が前記恒温槽15の内壁22に接触する様配設され、前記バッファタンク41は上端部に接続された加温培地供給管42を介して培養槽14と接続されている。又、前記バッファタンク41の容量は、培地13(
図1参照)の最大交換量、例えば培養槽14と同等の100mlとなっている。
【0061】
前記培地13の交換を行なう際には、培地供給ポンプ11(
図1参照)を駆動させ、低温の前記培地13を交換量だけ前記バッファタンク41に供給し、該バッファタンク41内で前記培地13を一時的に貯溜する。
【0062】
該バッファタンク41は、前記内壁22に接触する様配設されているので、前記バッファタンク41内の前記培地13が、前記内壁22の熱により前記恒温槽15の設定温度迄加温される。
【0063】
前記培養槽14内の前記培地13を交換する際には、排液ポンプ19(
図1参照)が駆動され、前記培養槽14内の前記培地13を排出する。その後、前記培地供給ポンプ11を駆動させ、低温の前記培地13を前記バッファタンク41の下端部に供給することで、加温された前記培地13が前記加温培地供給管42を介して押出され、前記培養槽14に供給され、前記培地13の交換が完了する。
【0064】
第2の実施例に於いても、前記内壁22の熱により、前記バッファタンク41内の低温の前記培地13を事前に設定温度迄加温することができるので、低温の前記培地13を事前に加温する為の加温機構を別途設ける必要がなく、装置構成が簡易となると共に制作コストの低減を図ることができる。
【0065】
尚、前記バッファタンク41は、前記内壁22との接触面積が大きいことが望ましく、例えば該内壁22全面と接触する板状とすることで、前記培地13の加温効率を向上させることができる。
【0066】
又、第1の実施例と第2の実施例とを組合わせ、前記恒温槽15内に前記バッファタンク41を設けると共に、昇温部16(
図2参照)を設け、前記培地供給管25、或は前記加温培地供給管42を前記昇温部16により加温してもよいのは言う迄もない。
【0067】
次に、
図5(A)に於いて、本発明の第3の実施例について説明する。尚、
図5(A)中、
図2中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0068】
第3の実施例では、恒温槽15内に、加温容器43が前記恒温槽15の内壁22に接触する様配設され、前記加温容器43内には比熱の高い液状の加温媒体44、例えば水が貯溜されている。尚、前記加温容器43と前記加温媒体44とで予加温手段が構成される。
【0069】
又、培地供給管25が前記恒温槽15の下方より内部に延出し、前記培地供給管25の一部が、前記恒温槽15内で前記加温媒体44に浸漬されている。前記培地供給管25は、例えば螺旋状に前記加温媒体44に浸漬されており、前記培地供給管25の浸漬部分の容積は、培地13(
図1参照)の最大交換量、例えば培養槽14と同等の100mlとなっている。
【0070】
前記加温媒体44は、前記加温容器43を介して前記内壁22の熱により設定温度以上迄加温されており、前記培地供給管25の浸漬部分を流通する前記培地13が前記加温媒体44により設定温度迄加温される。
【0071】
前記培養槽14内の前記培地13を交換する際には、排液ポンプ19(
図1参照)を駆動させ、前記培養槽14内の前記培地13を排出する。その後、前記培地供給ポンプ11を駆動させ、低温の前記培地13により加温された該培地13を押出すことで、前記培養槽14に加温された前記培地13が供給され、該培地13の交換が完了する。
【0072】
第3の実施例に於いても、前記内壁22の熱により、前記加温媒体44を加温し、該加温媒体44により前記培地供給管25内の前記培地13を事前に設定温度迄加温することができるので、低温の前記培地13を事前に加温する為の加温機構を別途設ける必要がなく、装置構成が簡易となると共に制作コストの低減を図ることができる。
【0073】
尚、第3の実施例では、前記培地供給管25が螺旋状に前記加温媒体44に浸漬されているが、前記培地13の最大交換量分の浸漬量が確保できればどの様な形状であってもよい。
【0074】
図5(B)は、第3の実施例の変形例を示している。該変形例では、前記培地供給管25を前記加温容器43の壁面に沿ってつづら折り状に屈曲させた状態で前記加温媒体44に浸漬させている。従って、前記培地供給管25を前記加温媒体44だけでなく、前記加温容器43を介して前記内壁22の熱によっても加温することができ、前記培地13の加温効率を向上させることができる。
【0075】
尚、前記加温媒体44が設定温度以上に加温されている場合は、前記浸漬量は最大交換量よりも少なくてもよいことは言う迄もない。