特許第6274051号(P6274051)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6274051配線モジュールおよび配線モジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6274051
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】配線モジュールおよび配線モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/20 20060101AFI20180129BHJP
   H01M 2/34 20060101ALI20180129BHJP
   H01G 11/10 20130101ALN20180129BHJP
【FI】
   H01M2/20 A
   H01M2/34 B
   !H01G11/10
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-177104(P2014-177104)
(22)【出願日】2014年9月1日
(65)【公開番号】特開2016-51641(P2016-51641A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2017年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 直樹
(72)【発明者】
【氏名】森田 光俊
(72)【発明者】
【氏名】中山 治
(72)【発明者】
【氏名】藤田 哲也
【審査官】 小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−210710(JP,A)
【文献】 特開2012−243648(JP,A)
【文献】 特開2013−017332(JP,A)
【文献】 特開2013−161749(JP,A)
【文献】 特開2014−233160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/20
H01M 2/34
H01G 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電素子を複数個並べてなる蓄電素子群に取り付けられる配線モジュールであって、
前記蓄電素子の状態を検知する電線を保持する電線保持部を有する絶縁プロテクタと、
前記電線保持部と連なる位置に設けられ、前記電線保持部に対して交差する方向であって前記電線保持部に保持されている前記電線の配索方向を変える方向に折り曲げられる折り曲げ部を有するとともに前記電線が固定される折り曲げ部材と、を備え、
前記折り曲げ部材は、前記折り曲げ部により折り曲げられた状態で前記絶縁プロテクタに係止される被係止部を有する配線モジュール。
【請求項2】
蓄電素子を複数個並べてなる蓄電素子群に取り付けられる配線モジュールであって、
前記蓄電素子の状態を検知する電線を保持する電線保持部を有する絶縁プロテクタと、
前記電線保持部と連なる位置に設けられ、前記電線保持部に対して交差する方向に折り曲げられる折り曲げ部を有するとともに前記電線が固定される折り曲げ部材と、を備え、
前記折り曲げ部材は、前記折り曲げ部により折り曲げられた状態で前記絶縁プロテクタに係止される被係止部を有し、
前記折り曲げ部が折り曲げられた状態で、前記折り曲げ部材に固定された前記電線の配索方向は、前記電線保持部に保持された前記電線の配索方向と交差している配線モジュール。
【請求項3】
前記折り曲げ部材と前記絶縁プロテクタとが一体である請求項1または請求項2に記載の配線モジュール。
【請求項4】
前記折り曲げ部材は、前記電線を前記折り曲げ部材に固定する固定部を備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の配線モジュール。
【請求項5】
蓄電素子を複数個並べてなる蓄電素子群に取り付けられ、
前記蓄電素子の状態を検知する電線を保持する電線保持部を有する絶縁プロテクタと、前記電線保持部と連なる位置に設けられ、前記電線保持部に対して交差する方向に折り曲げられる折り曲げ部を有する折り曲げ部材と、を備える配線モジュールの製造方法であって、
前記電線保持部に保持させた電線を前記折り曲げ部材に固定する固定工程を実行したのち、
前記折り曲げ部を折り曲げる折り曲げ工程を実行し、
前記折り曲げ工程を実行することにより折り曲げられた状態に至った前記折り曲げ部材を、前記絶縁プロテクタに係止させる係止工程を実行する配線モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線モジュールおよび配線モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車両等に搭載される電池モジュールは、一般に、多数の単電池を接続部材を介して直列接続することにより構成されている。この種の電池モジュールでは、単電池群の状態(電圧や温度等)を検知するための電線を配索する必要がある。
【0003】
このような電池モジュールの一例として、単電池を複数個並べてなる単電池群に、接続部材および電線を備えた配線モジュールを取り付けて、組み立てるものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−8955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された電池接続アセンブリ(配線モジュール)は、接続ユニットの所定の位置に保持された複数の接続部材と、複数の電線を備え、電線は接続ユニットに設けられた電線収容溝にまとめて収容されている。
【0006】
ところで、単電池群の状態を検出するための電線は電池コントロールユニット等の外部機器に接続されることがあるが、単電池群と外部機器との位置関係によっては電線を折り曲げて配索方向を変える必要がある。このような場合においても組立作業の作業性の向上が求められている。
【0007】
本発明は、組立作業の作業性を向上した配線モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、蓄電素子を複数個並べてなる蓄電素子群に取り付けられる配線モジュールであって、前記蓄電素子の状態を検知する電線を保持する電線保持部を有する絶縁プロテクタと、前記電線保持部と連なる位置に設けられ、前記電線保持部に対して交差する方向であって前記電線保持部に保持されている前記電線の配索方向を変える方向に折り曲げられる折り曲げ部を有するとともに前記電線が固定される折り曲げ部材と、を備え、前記折り曲げ部材は、前記折り曲げ部により折り曲げられた状態で前記絶縁プロテクタに係止される被係止部を有する配線モジュールである。
また、本発明は、蓄電素子を複数個並べてなる蓄電素子群に取り付けられる配線モジュールであって、前記蓄電素子の状態を検知する電線を保持する電線保持部を有する絶縁プロテクタと、前記電線保持部と連なる位置に設けられ、前記電線保持部に対して交差する方向に折り曲げられる折り曲げ部を有するとともに前記電線が固定される折り曲げ部材と、を備え、前記折り曲げ部材は、前記折り曲げ部により折り曲げられた状態で前記絶縁プロテクタに係止される被係止部を有し、前記折り曲げ部が折り曲げられた状態で、前記折り曲げ部材に固定された前記電線の配索方向は、前記電線保持部に保持された前記電線の配索方向と交差している配線モジュールである。
【0009】
また、本発明は、蓄電素子を複数個並べてなる蓄電素子群に取り付けられ、前記蓄電素子の状態を検知する電線を保持する電線保持部を有する絶縁プロテクタと、前記電線保持部と連なる位置に設けられ、前記電線保持部に対して交差する方向に折り曲げられる折り曲げ部を有する折り曲げ部材と、を備える配線モジュールの製造方法であって、前記電線保持部に保持させた電線を前記折り曲げ部材に固定する固定工程を実行したのち、前記折り曲げ部を折り曲げる折り曲げ工程を実行し、前記折り曲げ工程を実行することにより折り曲げられた状態に至った前記折り曲げ部材を、前記絶縁プロテクタに係止させる係止工程を実行する配線モジュールの製造方法である。
【0010】
本発明において、配線モジュールは、電線保持部を有する絶縁プロテクタと、電線保持部と連なる位置に設けられる折り曲げ部材とを備える。本発明において、電線保持部に保持された電線は折り曲げ部材に固定され、電線の固定された折り曲げ部材は、折り曲げ部で折り曲げることにより折り曲げ状態とされて絶縁プロテクタに係止される。
【0011】
つまり、本発明においては、電線保持部に保持されている電線を折り曲げ部材に固定し折り曲げ部材の折り曲げ部を折り曲げるだけで電線の配索方向を電線保持部に配索されている方向と交差する方向に変えることができるので、電線の配索方向を変える必要がある場合であっても組立作業を円滑に行うことができる。その結果、本発明によれば、組立作業の作業性を向上した配線モジュールを提供することができる。
【0012】
本発明は以下の構成であってもよい。
前記折り曲げ部材と前記絶縁プロテクタとが一体であってもよい。このような構成とすると折り曲げ部材と絶縁プロテクタを一度に成形することが可能となり製造工程を簡素化することができる。
【0013】
前記折り曲げ部材は、前記電線を前記折り曲げ部材に固定する固定部を備えていてもよい。このような構成とすると、固定部により電線を折り曲げ部材に固定でき、作業効率に優れる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、組立作業の作業性を向上した配線モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態1の配線モジュールを備える蓄電モジュールの一部平面図
図2】配線モジュールの一部正面図
図3】配線モジュールの一部側面図
図4図3のA−A線における断面図
図5】固定工程を実行する前の配線モジュールの一部平面図
図6】固定工程を実行する前の配線モジュールの一部側面図
図7】固定工程実行後、折り曲げ工程実行前の配線モジュールの一部平面図
図8】固定工程実行後、折り曲げ工程実行前の配線モジュールの一部側面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図8によって説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る配線モジュール10は、複数の蓄電素子11を並べてなる蓄電素子群12に取り付けられて蓄電モジュールMを構成する。蓄電モジュールMは、電気自動車又はハイブリッド自動車等の車両(図示せず)に搭載されて、車両を駆動するための動力源として使用される。
【0017】
以下の説明においては、図1おける下方を前方とし、上方を後方とする。また、図2および図3における上方を上方とし、下方を下方とする。また、以下の説明において、複数の同一部材については、一の部材に符号を付し、他の部材については符号を省略することがある。
【0018】
(蓄電素子11)
本実施形態に係る蓄電素子11は二次電池である。蓄電素子11の内部には図示しない蓄電要素が収容されている。蓄電素子11は略直方体形状をなしている。蓄電素子11の上面には前後方向の両端部寄りの位置に、一対の電極端子が形成されている。電極端子の一方は正極端子であり、他方は負極端子である。蓄電素子11は、隣り合う電極端子が異なる極性となるように配置されている。複数の蓄電素子11は図1における左右方向に並べられて蓄電素子群12を構成している。
【0019】
(配線モジュール10)
蓄電素子群12の上面には配線モジュール10が取り付けられている。配線モジュール10は、左右方向に細長い形状をなしている。
【0020】
配線モジュール10は、図1に示すように、絶縁プロテクタ20と、絶縁プロテクタ20に収容された複数のバスバー15と、蓄電素子11の状態を検知する検知端子17と、検知端子17に接続された電線38(蓄電素子11の状態を検知する電線38の一例)と、を備える。
【0021】
(絶縁プロテクタ20)
絶縁プロテクタ20は、絶縁性材料(絶縁性の合成樹脂)からなる。絶縁プロテクタ20には、複数のバスバー15をそれぞれ収容する複数のバスバー収容部21が、図1における左右方向に2列に並んで形成されている。絶縁プロテクタ20は、2列に並んだバスバー収容部21の間に、電線38を保持する電線保持部26を有する。2列に並んだバスバー収容部21と電線保持部26との間には、検知端子17と電線38との接続部が保持される端子保持部22がそれぞれ設けられている。
【0022】
図1に示すように、バスバー収容部21は上方から見て左右方向に細長い概ね長方形状をなしており、バスバー15よりもやや大きな形状とされている。バスバー収容部21にはバスバー15の周囲を囲う周壁21Aが形成されている。バスバー収容部21の上方は開口しており、上方からバスバー15および検知端子17をバスバー収容部21内に収容可能とされる。
【0023】
バスバー収容部21の周壁21Aのうち端子保持部22側の周壁21Aの一部は開口しており、この開口部分が端子保持部22に連なっている。
【0024】
端子保持部22は溝状をなしており検知端子17を上から押さえて抜け止めする一対の端子抜け止め片23が設けられている。また端子保持部22には、電線38を抜け止めする一対の電線抜け止め片24が設けられている。端子保持部22の電線保持部26側の壁部は開口しており、この開口部分は電線38を電線保持部26に導出する電線導出部25である。
【0025】
(バスバー15)
バスバー15は、金属板材を所定形状にプレス加工してなる。金属板材としては、銅、銅合金、鉄、鉄合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。バスバー15は上方から見て左右方向に細長く延びた形状をなしている。バスバー15には、図示しないボルトが挿通される貫通孔16がバスバー15を貫通して形成されている。貫通孔16内にボルトが貫通された状態で、ねじ孔が形成された電極端子にボルト(図示せず)が螺合されることにより、電極端子とバスバー15とが電気的に接続される。
【0026】
(検知端子17)
バスバー15の上には蓄電素子11の電圧を検知する検知端子17が重ねられている。検知端子17は、金属板材を所定形状にプレス加工してなる。金属板材としては銅、銅合金、鉄、鉄合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。検知端子17は、板状をなす電極接続部18と、電極接続部18から延出されたバレル部19と、を備える。
【0027】
電極接続部18には、ボルトが挿通される貫通孔18Aが形成されている。検知端子17は、バスバー15によって接続される隣り合う電極端子の一方において、ボルトの頭部とバスバー15との間に挟まれることにより、電極端子に電気的に接続されるようになっている。
【0028】
バレル部19には、電圧を検知する電線38の一方の端部が圧着されている。電線38の他方の端部は、例えばECUのような外部接続機器(図示せず)に接続されている。バレル部19は電極接続部18の側方から延出されている。
【0029】
なお、ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、蓄電素子11の電圧・電流・温度等の検知、各蓄電素子11の充放電コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0030】
(電線保持部26)
電線保持部26は蓄電素子11の並び方向(図1の左右方向)に沿って配される一対の側壁部26A,26Bと一対の側壁部26A,26Bをつなげる底壁部26Cとを備える。底壁部26Cには電線38が載置される。一対の側壁部26A,26B間には、電線38の配索方向に対して交差する方向に電線押さえ片27が配されており、電線38の飛び出しを防止している。
【0031】
電線押さえ片27は、一方の側壁部26A(図1における上側に配されている側壁部26A)の上端からはヒンジ27Aを介して延出されており、他方の側壁部26B(図1における下側に配されている側壁部26B)に設けた押さえ片係止部28により係止されるようになっている。
【0032】
電線保持部26の底壁部26Cの端部(底壁部26Cの右端部)はヒンジ31(折り曲げ部の一例)を介して折り曲げ部材30に連なっている。
【0033】
絶縁プロテクタ20の電線保持部26の下方には、図3に示すように、下方に突出し折り曲げられた状態の折り曲げ部材30を支持する支持部29が設けられている。支持部29には折り曲げ部材30を係止する一対の係止片29Aが右側方向に突出して設けられている。各係止片29Aの先端には係止爪29Bが設けられている。
【0034】
(折り曲げ部材30)
折り曲げ部材30と絶縁プロテクタ20とは一体であり、折り曲げ部材30も絶縁性の合成樹脂材料からなる。折り曲げ部材30は、電線保持部26と連なる位置に設けられ、電線保持部26に対して交差する方向に折り曲げられるヒンジ31(折り曲げ部の一例)を有するとともに電線38が固定される。
【0035】
折り曲げ部材30は、電線保持部26の底壁部26Cから連なり電線38が載置される載置部32と、載置部32の両側縁にそれぞれ設けられ、折り曲げられた状態で絶縁プロテクタ20に係止される被係止部33と、を有する。被係止部33は載置部32の両側縁から外側方向へ張り出し形成されており、絶縁プロテクタ20の係止爪29Bを受け入れ可能な長円形の係止孔33Aを備える。
【0036】
また、折り曲げ部材30は、電線38を折り曲げ部材30に固定する固定部材35(固定部の一例)を備えている。固定部材35は、折り曲げ部材30とは別体の帯状の部材である。固定部材35は、合成樹脂、金属等、必要に応じて任意の材料から構成される。固定部材35は、図5における下側に配されている被係止部33と隣接する位置に設けられた固定部材挿通孔34に挿通されるようになっている。固定部材挿通孔34に挿通された固定部材35により複数の電線38を一つにまとめることにより電線38が折り曲げ部材30に固定されるようになっている。
【0037】
(配線モジュール10の製造方法)
次に、本実施形態の配線モジュール10の製造方法について説明する。検知端子17のバレル部19に端末において導体を露出した電線38を圧着しておく。
【0038】
絶縁プロテクタ20のバスバー収容部21にバスバー15を挿入して保持させた後、検知端子17を所定箇所に取り付ける。検知端子17の電極接続部18の貫通孔18Aとバスバー15の貫通孔16を重なるように配するとともに、検知端子17のバレル部19を端子保持部22に配して検知端子17をはめ込む。すると、検知端子17が端子保持部22に設けられた端子抜け止め片23および電線抜け止め片24により抜け止めされ、電線38が電線導出部25から電線保持部26に導出される。
【0039】
このようにして全てのバスバー15と検知端子17を絶縁プロテクタ20に取り付け、電線38を電線保持部26に載置して図5および図6に示すような配線モジュール10を組み立てた後、電線保持部26に保持させた電線38を折り曲げ部材30に固定する固定工程を実行する。具体的には固定部材35を固定部材挿通孔34に挿通させ、所定数の電線38を束ねて一つにまとめると、図7および図8に示すように、電線38が折り曲げ部材30に固定される。
【0040】
次に折り曲げ部材30をヒンジ31のところで、電線保持部26の底壁部26Cに対して約90°下方へ折り曲げることで(電線保持部26と交差する方向へ折り曲げることで)折り曲げ工程を実行する。このとき電線38は折り曲げ部材30に固定されているので折り曲げ部材30とともに約90°下方へ折り曲げられる。次いで、折り曲げ工程を実行することにより折り曲げられた状態に至った折り曲げ部材30を、絶縁プロテクタ20に係止させる係止工程を実行する。折り曲げ部材30の係止孔33Aに絶縁プロテクタ20に設けた係止爪29Bをはめ込むことで、折り曲げ部材30を絶縁プロテクタ20に係止させる。すると、図2図4に示すように、電線38が折り曲げ部材30とともに電線保持部26の底壁部26Cに対し約90°下方に折り曲げられた状態で絶縁プロテクタ20に係止され、これにより、本実施形態の配線モジュール10が得られる。
【0041】
(蓄電モジュールMの組み立て方法)
複数個の蓄電素子11を、隣り合う蓄電素子11の電極端子が逆極性となるように並べて蓄電素子群12を作製しておく。上述のようにして作製した配線モジュール10を蓄電素子群12の上に取り付けて、蓄電素子11の電極端子とバスバー15とをボルト締めすることにより電気的に接続すると蓄電モジュールMが得られる。
【0042】
(本実施形態の作用および効果)
次に、本実施形態の作用および効果について説明する。
本実施形態において、電線保持部26に保持された電線38は折り曲げ部材30に固定され、電線38の固定された折り曲げ部材30は、ヒンジ31で折り曲げることにより折り曲げ状態とされて絶縁プロテクタ20に係止される。つまり、本実施形態においては、電線保持部26に保持されている電線38を折り曲げ部材30に固定し、ヒンジ31のところで折り曲げるだけで電線38の配索方向を電線保持部26において配索されている方向と交差する方向に変えることができるので、電線38の配索方向を変える必要がある場合であっても組立作業を円滑に行うことができる。その結果、本実施形態によれば、組立作業の作業性を向上した配線モジュール10を提供することができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、折り曲げ部材30と絶縁プロテクタ20とが一体であるから、折り曲げ部材30と絶縁プロテクタ20を一度に成形することが可能となり製造工程を簡素化することができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、折り曲げ部材30は、電線38を折り曲げ部材30に固定する固定部材35を備えているから、電線38の配索方向を変更する作業を円滑に行え、作業効率に優れる。
【0045】
<他の実施形態>
本明細書で開示の技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態であってもよい。
(1)上記実施形態においては、折り曲げ部材30と絶縁プロテクタ20とが一体である例を示したが、別体であってもよい。
(2)上記実施形態では、電線38を折り曲げ部材30に固定する帯状の固定部材35を別体として備える例を示したが、折り曲げ部材と一体に設けられたベルト等を固定部として備えていてもよい。
(3)上記実施形態ではヒンジ31のところで折り曲げ部材30を、電線保持部26の底壁部26Cに対して約90°下方に折り曲げる例を示したが、角度および方向はこれに限定されない。例えば、電線保持部の底壁部に対して約90°上方に折り曲げるような構成であってもよい。
(4)上記実施形態では、蓄電素子11として二次電池の例を示したが、蓄電素子はキャパシタ、またはコンデンサであってもよい。
【符号の説明】
【0046】
10…配線モジュール
11…蓄電素子
12…蓄電素子群
17…検知端子
20…絶縁プロテクタ
26…電線保持部
26A,26B…側壁部
26C…底壁部
27…電線押さえ片
29…支持部
29B…係止爪(係止部)
30…折り曲げ部材
31…ヒンジ(折り曲げ部)
32…載置部
33…被係止部
33A…係止孔
34…固定部材挿通孔
35…固定部材(固定部)
38…電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8