(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スイッチングレギュレータは暗電流が大きく、バッテリ上がりの原因になるおそれがあった。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、動作状態時においては所要の電流を供給でき、省電力状態においては電流を供給しつつ無駄な消費電力を削減することができる車載機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車載機は、動作状態及び該動作状態より消費電力が小さい省電力状態を有する制御装置と、該制御装置に電流を供給する電源回路とを備える車載機において、前記電源回路は、出力可能な最大電流が前記動作状態で必要な電流よりも大きい大電流電源回路と、該大電流電源回路よりも暗電流が小さく、出力可能な最大電流が前記省電力状態で必要な電流よりも大きい小電流電源回路と
、前記大電流電源回路の出力部の電圧を検出する第1電圧検出部と、該第1電圧検出部にて検出した電圧が所定電圧以上であるか否かを判定する第1判定部と、前記小電流電源回路の出力部の電圧を検出する第2電圧検出部と、該第2電圧検出部にて検出した電圧が所定電圧以上であるか否かを判定する第2判定部とを備え、前記制御装置は、前記動作状態から前記省電力状態へ遷移する場合、前記小電流電源回路を動作させて前記第2判定部が所定電圧以上であると判定したとき、前記大電流電源回路の動作を停止させ、前記省電力状態から前記動作状態へ遷移する場合、前記大電流電源回路を動作させて前記第1判定部が所定電圧以上であると判定したとき、前記小電流電源回路の動作を停止させるように構成してある。
【0007】
車載機は大電流電源回路を備えている。該大電流電源回路が出力できる最大電流は、通常の動作状態で必要な電流よりも大きい。従って、通常の動作状態で必要な電流を制御装置へ供給することができる。
一方、車載機は小電流電源回路を備えている。小電流電源回路は前記動作状態で必要な電流を供給することができないが、省電力状態で必要な電流を制御装置へ供給することができる。小電流電源回路の暗電流は、大電流電源回路よりも小さいため、無駄な消費電力を削減することができる。
【0009】
動作状態から省電力状態へ遷移する場合、第2判定部は、小電流電源回路を動作させて、小電流電源回路の出力部の電圧が所定電圧以上であるか否かを判定する。制御装置は、動作状態から省電力状態へ遷移する場合、第2判定部が所定電圧以上であると判定したとき、大電流電源回路の動作を停止させる。従って、動作状態から省電力状態へ遷移する際、小電流電源回路から正常な電圧が出力されていることを確認した上で、動作させる電源回路を大電流電源回路から小電流電源回路に切り替えることができる。よって、省電力状態への遷移時においても制御装置へ安定的に電流を供給することができる。
省電力状態から動作状態へ遷移する場合、第1判定部は、大電流電源回路を動作させて、大電流電源回路の出力部の電圧が所定電圧以上であるか否かを判定する。制御装置は、省電力状態から動作状態へ遷移する場合、第1判定部が所定電圧以上であると判定したとき、小電流電源回路の動作を停止させる。
従って、省電力状態から動作状態へ遷移する際、大電流電源回路から正常な電圧が出力されていることを確認した上で、動作させる電源回路を小電流電源回路から大電力電源回路に切り替えることができる。よって、動作状態への遷移時においても制御装置へ安定的に電流を供給することができる。
【0010】
本発明に係る車載機は、前記制御装置は、前記動作状態から前記省電力状態へ遷移する場合、前記第2判定部が所定電圧未満であると判定したとき、前記大電流電源回路の動作を継続させる。
【0011】
動作状態から省電力状態へ遷移する場合、第2判定部は、小電流電源回路の出力部の電圧が所定電圧以上であるか否かを判定する。制御装置は、動作状態から省電力状態へ遷移する場合、第2判定部が所定電圧未満であると判定したとき、大電流電源回路の動作を継続させる。従って、省電力状態への遷移時において、小電流電源回路が故障していても制御装置へ安定的に電流を供給することができる。
【0012】
本発明に係る車載機は、前記制御装置は、前記省電力状態から前記動作状態へ遷移する場合、前記第1判定部が所定電圧未満であると判定したとき、前記小電流電源回路の動作を継続させる。
【0013】
省電力状態から動作状態へ遷移する場合、第1判定部は、大電流電源回路の出力部の電圧が所定電圧以上であるか否かを判定する。制御装置は、省電力状態から動作状態へ遷移する場合、第1判定部が所定電圧未満であると判定したとき、小電流電源回路の動作を継続させる。従って、動作状態への遷移時において、大電流電源回路が故障していても制御装置へ電流を供給することができる。
【0014】
本発明に係る車載機は、前記制御装置は、前記省電力状態から前記動作状態へ遷移する場合、前記第1判定部が所定電圧未満であると判定したとき、所定処理の実行を制限する。
【0015】
制御装置は、省電力状態から動作状態へ遷移する際、大電流電源回路の出力部の電圧が所定電圧未満であると判定したとき、所定処理の実行を制限する。つまり、制御装置に必要な電流を減少させる。従って、小電流電源回路は制限された動作状態で必要な電流を供給することができる。
【0016】
本発明に係る車載機は、前記大電流電源回路から前記制御装置への電流の供給経路を開閉させる第1スイッチと、前記小電流電源回路から前記制御装置への電流の供給経路を開閉させる第2スイッチとを備え、前記制御装置は、前記動作状態から前記省電力状態へ遷移する場合、前記第2判定部が所定電圧以上であると判定したとき、前記大電流電源回路の動作を停止させる前に前記第2スイッチを閉状態、前記第1スイッチを開状態に制御し、前記省電力状態から前記動作状態へ遷移する場合、前記第1判定部が所定電圧以上であると判定したとき、前記小電流電源回路の動作を停止させる前に前記第1スイッチを閉状態、前記第2スイッチを開状態に制御する。
【0017】
第1スイッチは大電流電源回路から制御装置への電流の供給経路を開閉させ、第2スイッチは小電流電源回路から制御装置への電流の供給経路を開閉させることができる。制御装置は、大電流電源回路及び小電流電源回路から制御装置への電流の供給が中断されないように、供給経路を切り替えることができる。
【0018】
本発明に係る車載機は、前記大電流電源回路はスイッチングレギュレータであり、前記小電流電源回路はリニアレギュレータである。
【0019】
大電流電源回路はスイッチングレギュレータ、小電流電源回路はリニアレギュレータであるため、動作状態において大電流電源回路は小電流電源回路よりも大電流を供給することができる。また小電流電源回路は大電流電源回路よりも暗電流が小さいため、省電力状態において無駄な消費電力を削減することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、動作状態時においては所要の電流を供給でき、省電力状態においては電流を供給しつつ無駄な消費電力を削減することができる。車載機の暗電流を低減することによって、車両のバッテリ上がりを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施形態1)
図1は本実施形態1に係る車載機の一構成例を示すブロック図である。車載機は、例えばボディECUであり、制御装置1、大電流電源回路21、小電流電源回路22、第1スイッチ31、第2スイッチ32、及び複数の負荷4を備える。ボディECUは、ボディ系の車載機器を制御する装置である。負荷4は、車両に搭載されたヘッドライト、ターンハザード、ワイパー、ドアロック機構等を構成する光源、アクチュエータ等である。ボディECUの制御装置1は、ユーザの操作を受け付けて、ヘッドライト及びターンハザードの点灯及び消灯、ワイパーのオンオフ又は間欠動作等を制御し、さらにドアロック機構の施錠/解錠を制御する。また、制御装置1はウェイクアップモード(動作状態)と、ウェイクアップモードより消費電力が小さいスリープモード(省電力状態)を有し、適宜各モードを切り替えて動作している。なお、ボディECUは車載機の一例であり、車両に搭載することができ、バッテリで駆動する任意の機器に本発明を適用することができる。
【0023】
大電流電源回路21は車両に搭載されたバッテリから出力される電圧を所定電圧に変換し、電圧変動が少ない直流電圧を制御装置1へ出力する。例えば、大電流電源回路21はバッテリ電圧12Vを、制御装置1の動作電圧5Vに変換する。所定電圧は制御装置1を動作させるために必要な電圧である。大電流電源回路21が出力可能な最大電流はウェイクアップモードの制御装置1に必要な電流よりも大きい。大電流電源回路21は、例えばスイッチングレギュレータである。
大電流電源回路21の動作をオンオフさせるための端子は制御装置1に接続されている。制御装置1はオン信号を大電流電源回路21へ出力することによって、大電流電源回路21を動作させることができ、オフ信号を大電流電源回路21へ出力することによって大電流電源回路21の動作を停止させることができる。
【0024】
小電流電源回路22はバッテリから出力される電圧を所定電圧に変換し、電圧変動が少ない直流電圧を制御装置1へ出力する。所定電圧は例えば5Vである。所定電圧は制御装置1を動作させるために必要な電圧である。小電流電源回路22が出力可能な最小電流はスリープモードの制御装置1に必要な電流よりも大きい。小電流電源回路22は、例えばリニアレギュレータである。
小電流電源回路22の暗電流は大電流電源回路21よりも小さい。小電流電源回路22の動作をオンオフさせるための端子は制御装置1に接続されている。制御装置1はオン信号を小電流電源回路22へ出力することによって、小電流電源回路22を動作させることができ、オフ信号を小電流電源回路22へ出力することによって小電流電源回路22を停止させることができる。
【0025】
第1スイッチ31は、大電流電源回路21から制御装置1への電流の供給経路を開閉させる素子である。供給経路は、例えば大電流電源回路21の電圧出力端子及び制御装置1の電源入力端子を接続する給電線である。第1スイッチ31は、例えば該給電線を開閉させるFET等の半導体スイッチ、リレー、機械的スイッチ等である。第1スイッチ31は、制御装置1に接続されており、該第1スイッチ31の開閉は制御装置1によって制御される。
【0026】
第2スイッチ32は、小電流電源回路22から制御装置1への電流の供給経路を開閉させる素子である。第2スイッチ32は、例えば供給経路である給電線を開閉させるFET等の半導体スイッチ、リレー、機械的スイッチ等である。第2スイッチ32は、制御装置1に接続されており、該第2スイッチ32の開閉は制御装置1によって制御される。
【0027】
図2は制御装置1の一構成例を示すブロック図である。制御装置1は、該制御装置1の各構成部の動作を制御する制御部11を備える。制御部11は、例えば一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、マルチコアCPU等を有する。制御部11には、バスを介して記憶部12、第1電圧検出部13、第2電圧検出部14、出力部15、駆動部16及び通信部17が接続されている。制御部11は、記憶部12に記憶されている制御プログラムを実行し、各構成部の動作を制御する。
【0028】
記憶部12は、例えばSRAM(Static RAM)、DRAM(Dynamic RAM)等の揮発性メモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。揮発性メモリは、制御部11の演算処理を実行する際に不揮発性メモリから読み出された制御プログラム、演算処理によって生ずる各種データを一時記憶する。不揮発性メモリは、制御部11が制御装置1の各構成部の動作を制御するために必要な制御プログラムを記憶している。
【0029】
第1電圧検出部13は、大電流電源回路21の電圧出力端子の電圧を検出する。第1電圧検出部13は、例えば大電流電源回路21から出力される電圧をデジタルの電圧値にAD変換するAD変換回路であり、制御部11はAD変換回路によってAD変換された大電流電源回路21の電圧値は取得する。以下、大電流電源回路21の電圧を第1電圧と呼ぶ。
【0030】
第2電圧検出部14は、小電流電源回路22の電圧出力端子の電圧を検出する。第2電圧検出部14は、例えば小電流電源回路22から出力される電圧をデジタルの電圧値にAD変換するAD変換回路であり、制御部11はAD変換回路によってAD変換された小電流電源回路22の電圧値は取得する。以下、小電流電源回路22の電圧を第2電圧と呼ぶ。
【0031】
出力部15は複数のポートを有しており、各ポートには大電流電源回路21、小電流電源回路22、第1スイッチ31及び第2スイッチ32が接続されている。制御部11は出力部15を介してオン信号又はオフ信号を大電流電源回路21及び小電流電源回路22へ出力することによって、大電流電源回路21及び小電流電源回路22の動作をオンオフさせることができる。また制御部11は、出力部15を介して開信号又は閉信号を第1スイッチ31及び第2スイッチ32へ出力することによって、第1スイッチ31及び第2スイッチ32を開閉させることができる。
【0032】
駆動部16には複数の負荷4が接続されている。制御部11は駆動部16に制御信号を与えることによって駆動部16の動作を制御し、駆動部16は制御信号に従って負荷4への給電を行う。
【0033】
通信部17は、図示しない車内の通信線を介して他のECUに接続されており、CAN(Controller Area Network)プロトコルに従って該ECUと通信する。他のECUは、例えばカーナビゲーション装置等である。なお、CANプロトコルは一例であり、CAN通信に加え、LINプロトコルに従った通信も行うように構成しても良い。
【0034】
図3は電源回路の切り替えに係る処理を示すタイミングチャートである。横軸は時間を示している。
「大電流電源回路の出力電圧」は、大電流電源回路21から出力される電圧レベルを示している。
「大電流電源回路のオン/オフ」は、大電流電源回路21が動作しているか否かを示している。
「大電流電源回路の検出電圧」は、第1電圧、即ち制御装置1が検出した大電流電源回路21の出力電圧レベルを示している。
「第1スイッチ」は、第1スイッチ31の開閉状態を示している。「ON」は第1スイッチ31の開状態を示し、「OFF」は第1スイッチ31の閉状態を示している。
【0035】
「小電流電源回路の出力電圧」は、小電流電源回路22から出力される電圧レベルを示している。
「小電流電源回路のオン/オフ」は、小電流電源回路22が動作しているか否かを示している。
「小電流電源回路の検出電圧」は、第2電圧、即ち制御装置1が検出した小電流電源回路22の出力電圧レベルを示している。
「第2スイッチ」は、第2スイッチ32の開閉状態を示している。
【0036】
「制御装置への給電電圧」は、大電流電源回路21又は小電流電源回路22から出力され、実際に制御装置1に給電されている電圧の電圧レベルを示している。
「制御装置のモード」は、制御装置1がウェイクアップモード又はスリープモードのいずれのモードにあるかを示している。
【0037】
図4はウェイクアップモードからスリープモードへの遷移に伴う電源回路の切り替えに係る処理手順を示すフローチャートである。制御部11は、スリープモードへの遷移条件が成立したか否かを判定する(ステップS11)。スリープモードへの遷移条件は、例えば、図示しない外部の機器、スイッチ等から入力する信号が所定時間以上途絶えた場合、他のECU、ゲートウェイ等からスリープモードへの遷移指示を通信部17にて受信したような場合、スリープモードへの遷移条件が成立したと判定する。これらのスリープモードへの遷移条件は一例であり、特にこれらに限定するものでは無い。
【0038】
スリープモードへの遷移条件が成立したと判定していない場合(ステップS11:NO)、制御部11は、処理を終える。スリープモードへの遷移条件が成立したと判定した場合(ステップS11:YES)、制御部11は、小電流電源回路22へオン信号を出力することにより、小電流電源回路22をオン状態にする(ステップS12)。ステップS12の処理によって、
図3中「スリープモード遷移条件成立」の時点において、「小電流電源回路オン/オフ」で示すように、小電流電源回路22がオン状態になる。その直後、「小電流電源回路の出力電圧」で示すように、小電流電源回路22は5Vの電圧出力を開始する。そして、制御部11は、第2電圧検出部14にて第2電圧を検出する(ステップS13)。つまり、制御部11は、第2電圧検出部14にて小電流電源回路22の電圧出力端子の電圧を検出する。
図3中「小電流電源回路出力確認」の時点において、「小電流電源回路の検出電圧」で示すように、5Vの電圧が検出されている。
【0039】
次いで、制御部11は、第2電圧が所定電圧以上であるか否かを判定する(ステップS14)。つまり、制御部11は小電流電源回路22から出力されている電圧が制御装置1の動作に必要な電圧レベルに達しているか否かを判定する。要するに制御部11は小電流電源回路22の故障の有無を判定する。
第2電圧が所定電圧以上であると判定した場合(ステップS14:YES)、制御部11は、第2スイッチ32に閉信号を出力することによって、第2スイッチ32を閉状態にする(ステップS15)。次いで、制御部11は、第1スイッチ31に開信号を出力することによって、第1スイッチ31を開状態にする(ステップS16)。そして、制御部11は大電流電源回路21へオフ信号を出力することによって大電流電源回路21の動作を停止させる(ステップS17)。
図3に示すように、小電流電源回路22の電圧が所定電圧以上であることが確認された場合、先に第2スイッチ32が「ON」(閉状態)になり、次いで第1スイッチ31が「OFF」(開状態)になる。従って、「制御装置への給電電圧」で示すように、使用する電源回路が大電流電源回路21から小電流電源回路22に切り替わっても、5Vの所定電圧が制御装置1へ供給される。
【0040】
次いで、制御部11はウェイクアップモードからスリープモードへ遷移し(ステップS18)、処理を終える。
【0041】
ステップS14で第2電圧が所定電圧未満であると判定した場合(ステップS14:NO)、制御部11は、故障通知を行う(ステップS19)。例えば、制御部11は通信部17を介して故障通知信号を、表示又は音声出力可能な機器へ出力し、該機器を通じて車載機の故障を通知する。次いで、制御部11は、小電流電源回路22へオフ信号を出力することによって、小電流電源回路22の動作を停止させ(ステップS20)、ウェイクアップモードからスリープモードへ遷移し(ステップS18)、処理を終える。
なお、ステップS14の処理で小電流電源回路22の故障が確認された後は、本実施形態に係る大電流電源回路21及び小電流電源回路22の切り替え処理を実行せず、大電流電源回路21を用いた制御装置1への給電を継続するように構成すれば良い。
【0042】
なお、
図4では、ステップS12〜ステップS14を1回実行する例を説明しているが、何らかの原因で小電流電源回路22の起動及び給電に失敗している可能性があるため、第2電圧が所定電圧未満であると判定した場合、ステップS12〜ステップS14の処理を複数回繰り返すように構成しても良い。
【0043】
図5はスリープモードからウェイクアップモードへの遷移に伴う電源回路の切り替えに係る処理手順を示すフローチャートである。制御部11は、ウェイクアップモードへの遷移条件が成立したか否かを判定する(ステップS31)。ウェイクアップモードへの遷移条件は、例えば、図示しない外部の機器、スイッチ等から信号が入力した場合、他のECU、ゲートウェイ等からウェイクアップモードへの遷移指示を通信部17にて受信したような場合、ウェイクアップモードへの遷移条件が成立したと判定する。これらのウェイクアップモードへの遷移条件は一例であり、特にこれらに限定するものでは無い。
【0044】
ウェイクアップモードへの遷移条件が成立したと判定していない場合(ステップS31:NO)、制御部11は、処理を終える。ウェイクアップモードへの遷移条件が成立したと判定した場合(ステップS31:YES)、制御部11は、大電流電源回路21へオン信号を出力することにより、大電流電源回路21をオン状態にする(ステップS32)。ステップS32の処理によって、
図3中「ウェイクアップモード遷移条件成立」の時点において、「大電流電源回路オン/オフ」で示すように、大電流電源回路21がオン状態になる。その直後、「大電流電源回路の出力電圧」で示すように、大電流電源回路21は5Vの電圧出力を開始する。
そして、制御部11は、第1電圧検出部13にて第1電圧を検出する(ステップS33)。つまり、制御部11は、第1電圧検出部13にて大電流電源回路21の電圧出力端子の電圧を検出する。
図3中「大電流電源回路出力確認」の時点において、「大電流電源回路の検出電圧」で示すように、5Vの電圧が検出される。
【0045】
次いで、制御部11は、第1電圧が所定電圧以上であるか否かを判定する(ステップS34)。つまり、制御部11は大電流電源回路21から出力されている電圧が制御装置1の動作に必要な電圧レベルに達しているか否かを判定する。要するに制御部11は大電流電源回路21の故障の有無を判定する。
第1電圧が所定電圧以上であると判定した場合(ステップS34:YES)、制御部11は、第1スイッチ31に閉信号を出力することによって、第1スイッチ31を閉状態にする(ステップS35)。次いで、制御部11は、第2スイッチ32に開信号を出力することによって、第2スイッチ32を開状態にする(ステップS36)。そして、制御部11は小電流電源回路22へオフ信号を出力することによって小電流電源回路22の動作を停止させる(ステップS37)。
図3に示すように、大電流電源回路21の電圧が所定電圧以上であることが確認された場合、先に第1スイッチ31が「ON」(閉状態)になり、次いで第2スイッチ32が「OFF」(開状態)になる。従って、「制御装置1への給電電圧」で示すように、使用する電源回路が大電流電源回路21から小電流電源回路22に切り替わっても、5Vの所定電圧が制御装置1へ供給される。
【0046】
次いで、制御部11はスリープモードからウェイクアップモードへ遷移し(ステップS38)、処理を終える。
【0047】
ステップS34で第1電圧が所定電圧未満であると判定した場合(ステップS34:NO)、制御部11は、故障通知を行う(ステップS39)。次いで、制御部11は、小電流電源回路22へオフ信号を出力することによって、大電流電源回路21の動作を停止させる(ステップS40)。そして、ウェイクアップモードにおいて制御部11が実行可能な処理の内、所定処理の実行を制限することにより、制御装置1の機能を制限し(ステップS41)、スリープモードからウェイクアップモードへ遷移し(ステップS38)、処理を終える。
制御装置1が有する機能には、車両の走行及びセキュリティに関わる第1機能と、走行及びセキュリティには直接関係が無い第2機能とがあり、ステップS41において制御部11は第2機能を制限する。第1機能としては、例えばドアの施錠機能、車内通信機能等が挙げられる。第2機能としては、例えば車内灯の点灯制御機能、車両のウィンドウ開閉制御、運転席以外のドアを解錠させる機能等が挙げられる。
なお、ステップS34の処理で大電流電源回路21の故障が確認された後は、本実施形態に係る大電流電源回路21及び小電流電源回路22の切り替え処理を実行せず、小電流電源回路22を用いた制御装置1への給電を継続するように構成すれば良い。
【0048】
なお、
図5では、ステップS32〜ステップS34を1回実行する例を説明しているが、何らかの原因で大電流電源回路21の起動及び給電に失敗している可能性があるため、第1電圧が所定電圧未満であると判定した場合、ステップS32〜ステップS34の処理を複数回繰り返すように構成しても良い。
【0049】
図6は大電流電源回路21の故障時における処理を示すタイミングチャートである。横軸及び各信号の内容は
図3と同様である。また、
図3と同様、ウェイクアップモードからスリープモードへの遷移は正常に行われている。しかし、スリープモードからウェイクアップモードへの遷移条件が成立した際、
図6に示すように大電流電源回路21がオン状態になったにも拘わらず、大電流電源回路21からの出力電圧が0Vのまま変化していない。つまり、大電流電源回路21が故障したと考えられる。この場合、ステップS40の処理によって、大電流電源回路21はオフ状態になり、制御装置1は
図6に示すように小電流電源回路22からの動作状態を継続させたまま、ウェイクアップモードへ遷移する。ただし、制御装置1のウェイクアップモードは通常のウェイクアップモードでは無く、小電流電源回路22を用いても動作できるように一部の機能が制限されたものである。
このように、スリープモードからウェイクアップモードへ遷移する際、大電流電源回路21が故障していても小電流電源回路22を用いて制御装置1を動作させることができる。
【0050】
図7は小電流電源回路22の故障時における処理を示すタイミングチャートである。横軸及び各信号の内容は
図3と同様である。
図7に示す例では、ウェイクアップモードからスリープモードへの遷移条件が成立した際、小電流電源回路22がオン状態になったにも拘わらず、小電流電源回路22からの出力電圧が0Vのまま変化していない。つまり、小電流電源回路22が故障したと考えられる。この場合、ステップS20の処理によって、小電流電源回路22はオフ状態になり、制御装置1は
図7に示すように大電流電源回路21からの動作状態を継続させたまま、スリープモードへ遷移する。
このように、ウェイクアップモードからスリープモードへ遷移する際、小電流電源回路22が故障していても大電流電源回路21を用いて制御装置1を動作させることができる。
【0051】
本実施形態1に係る車載機によれば、ウェイクアップモード時においては所要の電流を供給でき、スリープモードにおいては電流を供給しつつ無駄な消費電力を削減することができる。車載機の暗電流を低減することによって、車両のバッテリ上がりを抑制することができる。
【0052】
また、ウェイクアップモードからスリープモードへ遷移する際、小電流電源回路22から正常な所定電圧が出力されていることを確認した上で、動作させる電源回路を大電流電源回路21から小電流電源回路22に切り替えることができる。よって、スリープモードへの遷移時においても制御装置1へ安定的に電流を供給することができる。
同様に、スリープモードからウェイクアップモードへ遷移する際、大電流電源回路21から正常な電圧が出力されていることを確認した上で、動作させる電源回路を小電流電源回路22から大電力電源回路に切り替えることができる。よって、ウェイクアップモードへの遷移時においても制御装置1へ安定的に電流を供給することができる。
【0053】
更に、スリープモードへの遷移時において、小電流電源回路22が故障していても大電流電源回路21を用いて制御装置1へ安定的に電流を供給することができる。
【0054】
更にまた、ウェイクアップモードへの遷移時において、大電流電源回路21が故障していても小電流電源回路22を用いて制御装置1へ電流を供給することができる。
その際、ウェイクアップモードにおける機能を一部制限することによって、制御装置1の動作に必要な電力を低減させ、小電流電源回路22は制限されたウェイクアップモードで必要な電流を供給することができる。
【0055】
更にまた、制御装置1は、大電流電源回路21及び小電流電源回路22を切り替える際、一旦、第1スイッチ31及び第2スイッチ32の双方を閉状態にし、その後、一方のスイッチを閉状態に制御するため、大電流電源回路21及び小電流電源回路22から制御装置1への電流の供給が中断されないように、供給経路を切り替えることができる。
【0056】
更にまた、大電流電源回路21はスイッチングレギュレータ、小電流電源回路22はリニアレギュレータであるため、ウェイクアップモードにおいて大電流電源回路21は小電流電源回路22よりも大電流を供給することができる。また小電流電源回路22は大電流電源回路21よりも暗電流が小さいため、スリープモードにおいて無駄な消費電力を削減することができる。
【0057】
(実施形態2)
本実施形態2に係る車載機は、第1スイッチ31及び第2スイッチ32に代えて、第1整流ダイオード51及び第2整流ダイオード52を備える点が実施形態1と異なるため、以下、主にかかる相違点を説明する。その他の構成及び作用効果は実施形態1と同様であるため、対応する箇所には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0058】
図8は本実施形態2に係る車載機の一構成例を示すブロック図である。実施形態2に係る車載機は、実施形態1と同様、大電流電源回路21、小電流電源回路22及び複数の負荷4を備える。また車載機は、第1スイッチ31及び第2スイッチ32に代えて、第1整流ダイオード51及び第2整流ダイオード52を備える。第1整流ダイオード51のアノードは大電流電源回路21の電圧出力端子に接続され、第1整流ダイオード51のカソードは、制御装置1の電源入力端子に接続されている。同様に、第2整流ダイオード52のアノードは小電流電源回路22の電圧出力端子に接続され、カソードは電源入力端子に接続されている。
【0059】
本実施形態2に係る車載機によれば、大電流電源回路21又は小電流電源回路22から供給される電流は、順接続された第1整流ダイオード51又は第2整流ダイオード52を介して制御装置1に入力するように構成されているため、動作している大電流電源回路21及び小電流電源回路22のいずれかの電源回路から供給された電力が制御装置1に供給されることになる。
従って、第1スイッチ31及び第2スイッチ32並びに各スイッチの開閉制御を行うこと無く、実施形態1と同様の作用効果を得ることができ、コストの削減及び処理負荷4の低減を図ることができる。
【0060】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。