特許第6274179号(P6274179)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6274179
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/54 20180101AFI20180129BHJP
   F24F 11/57 20180101ALI20180129BHJP
   F24F 11/58 20180101ALI20180129BHJP
   F24F 11/56 20180101ALI20180129BHJP
   F24F 11/30 20180101ALI20180129BHJP
   F24F 11/62 20180101ALI20180129BHJP
   F24F 11/52 20180101ALI20180129BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
   F24F11/02 103C
   F24F11/02 104A
   F24F11/02 Z
   F24F11/02 105Z
   H04Q9/00 311W
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-208964(P2015-208964)
(22)【出願日】2015年10月23日
(65)【公開番号】特開2017-83033(P2017-83033A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2016年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100176463
【弁理士】
【氏名又は名称】磯江 悦子
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(72)【発明者】
【氏名】山田 栄輔
(72)【発明者】
【氏名】鍋島 規宏
(72)【発明者】
【氏名】橋口 公平
(72)【発明者】
【氏名】柳本 和真
【審査官】 石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−011168(JP,A)
【文献】 特開2014−228259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/02
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調本体(201)と、
上記空調本体(201)と通信を行うリモコン(2,102)と
を備え、
上記空調本体(201)とリモコン(2,102)の少なくとも一方は、
ケーシング(10)と、
故障診断用信号を生成する信号生成部(22a,212a)と、
上記故障診断用信号を上記ケーシング(10)外に無線で送信する送信部(23,213)と、
受信部(14,24)と、
状態判定部(22b,212b)と
を有し、
上記状態判定部(22b,212b)は、上記送信部(23,213)が、上記信号生成部(22a,212a)によって生成された上記故障診断用信号を上記ケーシング(10)外に無線で送信したとき、上記受信部(14,24)が上記故障診断用信号と一致する信号を受信すると、上記信号生成部(22a,212a)、送信部(23,213)および受信部(14,24)の状態を正常と判定する一方、上記受信部(14,24)が上記故障診断用信号と一致する信号を受信しないと、上記信号生成部(22a,212a)、送信部(23,213)および受信部(14,24)の状態を異常と判定することを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
請求項1に記載の空気調和機において、
上記故障診断用信号は、上記空調本体(201)またはリモコン(2,102)の故障を診断するための専用信号であることを特徴とする空気調和機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の空気調和機において、
上記送信部(23,213)は、上記信号生成部(22a,212a)によって生成された上記故障診断用信号を、予め設定された時間間隔で複数回送信する連続送信モードを有し、
上記空調本体(201)と上記リモコン(2,102)の少なくとも一方は、
上記送信部(23,213)が連続送信モードになっているとき、上記受信部(14,24)が、上記信号生成部(22a,212a)によって生成された上記故障診断用信号と一致する信号を受信すると、この信号の受信をユーザに報知する第1報知部(15,25)と、
上記送信部(213)が連続送信モードになっているとき、上記受信部(14)が、上記信号生成部(212a)によって生成された上記故障診断用信号と一致しない信号を受信すると、この信号の受信をユーザに報知する第2報知部(15,25)と
を有することを特徴とする空気調和機。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の空気調和機において、
上記空調本体(201)と上記リモコン(102)の少なくとも一方は、少なくとも一部が送信部(23,213)と受信部(14,24)の間に配置された着脱可能な遮蔽部(61)を有することを特徴とする空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機としては、室内機と、この室内機と通信を行うリモコンとを備えたものがある(例えば特開2000−324565号公報(特許文献1)参照)。
【0003】
上記室内機は、リモコンから自己診断開始信号を受信すると、自己診断を行った後、診断の結果を示す信号をリモコンに返信する。これにより、上記室内機の自己診断の結果がリモコンの表示部に表示されて、室内機の状態を確認できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−324565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の空気調和機では、例えばリモコンが故障のために自己診断開始信号を適切に送信できない場合、室内機から診断の結果を示す信号が送信されなかったり、その信号が不正確になったりする。こうなると、上記室内機とリモコンのどちらが故障しているのかを判別するのは、困難になってしまうという問題がある。
【0006】
そこで、この発明の課題は、故障が発生したとき、室内機とリモコンのどちら側に故障の原因があるのかを容易に判別できる空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の空気調和機は、
空調本体と、
上記空調本体と通信を行うリモコンと
を備え、
上記空調本体とリモコンの少なくとも一方は、
ケーシングと、
故障診断用信号を生成する信号生成部と、
上記故障診断用信号を上記ケーシング外に無線で送信する送信部と、
受信部と、
状態判定部と
を有し、
上記状態判定部は、上記送信部が、上記信号生成部によって生成された上記故障診断用信号を上記ケーシング外に無線で送信したとき、上記受信部が上記故障診断用信号と一致する信号を受信すると、上記信号生成部、送信部および受信部の状態を正常と判定する一方、上記受信部が上記故障診断用信号と一致する信号を受信しないと、上記信号生成部、送信部および受信部の状態を異常と判定することを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、上記故障診断用信号を反射可能な例えば反射部に向けて、故障診断用信号を送信する。このとき、上記信号生成部、送信部および受信部の状態が、正常であれば、受信部は故障診断用信号と一致する信号を受信できる。一方、上記信号生成部、送信部および受信部の状態が、異常であれば、受信部は故障診断用信号と一致する信号を受信できない。
【0009】
したがって、上記空調本体とリモコンの少なくとも一方が状態判定部を有するので、空調本体とリモコンの少なくとも一方の故障を検出できる。
【0010】
すなわち、この発明の空気調和機は、故障したとき、空調本体とリモコンのどちら側に故障の原因があるのかを容易に判別できる。
【0011】
一実施形態の空気調和機では、
上記故障診断用信号は、上記空調本体またはリモコンの故障を診断するための専用信号である。
【0012】
上記実施形態によれば、仮に、上記空調本体とリモコンの一方から、空調本体とリモコンの他方へ、故障診断用信号が送信されたとしても、故障診断用信号は専用信号であるから、空調本体とリモコンの他方の他方が誤動作するのを防ぐことができる。
【0013】
また、仮に、上記故障診断用信号が他の装置に送信されても、故障診断用信号は専用信号であるから、他の装置が誤動作するのを防ぐことができる。
【0014】
一実施形態の空気調和機では、
上記送信部は、上記信号生成部によって生成された上記故障診断用信号を、予め設定された時間間隔で複数回送信する連続送信モードを有し、
上記空調本体と上記リモコンの少なくとも一方は、
上記送信部が連続送信モードになっているとき、上記受信部が、上記信号生成部によって生成された上記故障診断用信号と一致する信号を受信すると、この信号の受信をユーザに報知する第1報知部と、
上記送信部が連続送信モードになっているとき、上記受信部が、上記信号生成部によって生成された上記故障診断用信号と一致しない信号を受信すると、この信号の受信をユーザに報知する第2報知部と
を有する。
【0015】
上記実施形態によれば、上記反射部が故障診断用信号を受信へ反射しても、例えば外乱光の影響により、受信部が故障診断用信号と一致する信号を受信部できない場合がある。この場合、上記送信部を連続送信モードにして、予め設定された時間間隔で、故障診断用信号を送信部に複数回送信させる。これにより、外乱光の影響を受ける状態での第1,第2報知部の報知と、外乱光の影響を受けない状態での第1,第2報知部の報知とを比較して、外乱光の影響を確認できる。
【0016】
一実施形態の空気調和機では、
上記空調本体と上記リモコンの少なくとも一方は、少なくとも一部が送信部と受信部の間に配置された着脱可能な遮蔽部を有する。
【0017】
上記実施形態によれば、上記故障診断用信号以外の信号を送信部に送信させたとき、故障診断用信号以外の信号が受信部で受信されるのを遮蔽部で防ぐことができる。
【0018】
また、上記遮蔽部を取り外すと、上記反射部を使わなくても、送信部から受信部に故障診断用信号を送信できる。
【発明の効果】
【0019】
以上から明かなように、この発明は、故障が発生したとき、空調本体とリモコンのどちら側に故障の原因があるのかを容易に判別できる空気調和機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この発明の第1実施形態の空気調和機の室内機およびリモコンの斜視図である。
図2】上記空気調和機のリモコンのブロック図である。
図3】上記リモコンの故障を診断するときの制御を説明するためのフローチャートである。
図4】上記リモコンの一変形例のブロック図である。
図5】この発明の第2実施形態の空気調和機の室内機のブロック図である。
図6】上記室内機の故障を診断するときの制御を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の空気調和機を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0022】
〔第1実施形態〕
図1は、この発明の第1実施形態の空気調和機の室内機1およびリモコン2の斜視図である。
【0023】
上記空気調和機は、室内の壁面に取り付けられる室内機1と、この室内機1と無線通信を行うリモコン2とを備える。なお、室内機1は空調本体の一例である。
【0024】
上記室内機1の前面には、ケーシング10と、運転スイッチ11と、受信部14と、第1,第2報知部の一例としての運転LED(発光ダイオード)15とが設けられている。この受信部14は例えば赤外線受光素子を有し、室内機1とリモコン2の間で赤外線通信が行われる。また、受信部14近傍には、運転スイッチ11および運転LED15が位置する。この運転スイッチ11を押下すれば、リモコン2を操作しなくても、室内機1が運転したり、停止したりする。また、運転LED15は、室内機1の運転中、点灯する。
【0025】
上記リモコン2の上面には、複数の操作ボタンからなる操作ボタン群21と、運転の種類や設定温度などを表示する表示部25とが設けられている。ユーザは操作ボタン群21を操作することにより、例えば冷房運転や暖房運転の温度や時間を設定できるようになっている。また、操作ボタン群21の操作により、リモコン2の故障診断も行えるようになっている。
【0026】
図2は、上記リモコン2の構成を説明するためのブロック図である。
【0027】
上記リモコン2は、操作ボタン群21と、制御装置22と、例えば赤外線発光素子を有する送信部23と、例えば赤外線受光素子を有する受信部24と、表示部25とを備えている。
【0028】
上記制御装置22は、マイクロコンピュータ、入出力回路などで構成されており、操作ボタン群21からの信号などに基づいて、送信部23,受信部24,表示部25などを制御する。
【0029】
また、上記制御装置22は、それぞれがソフトウェアからなる故障診断用信号生成部22aおよび故障診断部22bを有している。なお、故障診断用信号生成部22aは信号生成部の一例である。また、故障診断部22bは状態判定部の一例である。
上記故障診断用信号生成部22aは、操作ボタン群21のうちの特定の操作ボタンが長押しされたとき、リモコン2の故障を診断するための故障診断用信号を生成する。このとき、上記故障診断用信号が室内機1に送信されても、室内機1が運転したり、停止したりすることはない。また、上記故障診断用信号が他の機器(例えばテレビ)に送信されても、他の機器は反応しない。すなわち、上記故障診断用信号は、リモコン2の故障を診断するための専用信号である。
【0030】
上記故障診断部22bは、送信部23が上記故障診断用信号を送信したとき、受信部24が上記故障診断用信号と一致する信号を受信すると、故障診断用信号生成部22a、送信部23および受信部24の状態を正常と判定する。一方、故障診断部22bは、送信部23が上記故障診断用信号を送信したとき、受信部24が上記故障診断用信号と一致する信号を受信しないと、故障診断用信号生成部22a、送信部23および受信部24の状態を異常と判定する。
【0031】
上記表示部25は、例えばモノクロ液晶表示部からなり、故障診断部22bによる判定の結果(正常または異常)を数字や文字で表示する。
【0032】
上記構成の空気調和機において、リモコン2の故障を診断する場合、上記故障診断用信号を反射可能な反射板(例えば鏡)51に送信部23を向けつつ、操作ボタン群21のうちの特定の操作ボタンを長押する。このとき、故障診断用信号生成部22a、送信部23および受信部24の状態が、正常であれば、上記故障診断用信号が反射板51で反射されて、受信部24は上記故障診断用信号と一致する信号を受信できる。一方、故障診断用信号生成部22a、送信部23および受信部24の状態が、異常であれば、受信部24は上記故障診断用信号と一致する信号を受信できない。
【0033】
したがって、上記空気調和機が故障したとき、故障診断部22bの判定に基づいて、その故障の原因がリモコン2にあるのか否かを確認できる。
また、上記故障の原因がリモコン2にないと確認できた場合、その故障の原因が室内機1にあると推定できる。
【0034】
また、上記故障診断用信号はリモコン2の故障診断のための専用信号であるので、室内機1や他の機器が意図しない動きをするのを防ぐことができる。
【0035】
以下、図3のフローチャートを用いて、リモコン2の故障を診断するときの制御について説明する。
【0036】
上記制御が開始されると、まず、ステップS1で、操作ボタン群21のうちの特定の操作ボタンが長押しされたか否かを判定する。このステップS1は、このステップS1は、操作ボタン群21のうちの特定の操作ボタンが長押しされたと判定されるまで、繰り返される。すなわち、ステップS1で、操作ボタン群21のうちの特定の操作ボタンが長押しされたと判定されなければ、次のステップS2に進めない。
【0037】
次に、ステップS2で、リモコン2の故障を診断するための故障診断用信号を送信部23に送信させる。
【0038】
次に、ステップS3で、受信部24が上記故障診断用信号と一致する信号を受信したか否かを判定する。このステップS3で、受信部24が上記故障診断用信号と一致する信号を受信したと判定されると、ステップS4を経て、上記制御が終了する。一方、ステップS3で、受信部24が上記故障診断用信号と一致する信号を受信していないと判定されると、ステップS5を経て、上記制御が終了する。
【0039】
上記ステップS4では、例えば、リモコン4の表示部25に「送受信OK」の文字を表示させる。
【0040】
上記ステップS5では、例えば、リモコン4の表示部25に「送受信NG」の文字を表示させる。
【0041】
このように、上記受信部24が上記故障診断用信号と一致する信号を受信したか否かは、リモコン4の表示で容易に確認できる。
【0042】
上記第1実施形態では、上記故障診断用信号は赤外線からなっていたが、例えば、赤外線以外の光からなるようにしてもよい。
【0043】
上記第1実施形態では、上記故障診断用信号を反射板51で反射させていたが、手で反射させてもよい。すなわち、故障診断用信号を反射可能なものであれば、反射板51の換わりに用いてもよい。
【0044】
上記第1実施形態では、送信部23から反射板51に向けて故障診断用信号を送信していたが、送信部23から室内機1の受信部14に向けて故障診断用信号を送信してもよい。このようにする場合、室内機1の受信部14が故障診断用信号を受信したとき、室内機1の送信部(図示せず)から故障診断用信号が送信されるようにしてもよい。そして、リモコン2の受信部24が上記故障診断用信号と一致する信号を受信すると、室内機1およびリモコン2の信号の生成および送受信に関する箇所の状態は、正常と判定してもよい。一方、リモコン2の受信部24が上記故障診断用信号と一致する信号を受信しないと、室内機1およびリモコン2の信号の生成および送受信に関する箇所の少なくとも一部の状態は、異常と判定してもよい。
【0045】
上記第1実施形態では、受信部24が上記故障診断用信号と一致する信号を受信すると、リモコン4の表示部25に「送受信OK」の文字が表示されていたが、例えば「送受信OK」の音声がリモコン2のスピーカから出力されるようにしてもよい。
【0046】
上記第1実施形態では、受信部24が上記故障診断用信号と一致しない信号を受信すると、リモコン4の表示部25に「送受信NG」の文字が表示されていたが、例えば「送受信NG」の音声がリモコン2のスピーカから出力されるようにしてもよい。
【0047】
上記第1実施形態において、リモコン2が、送信部23と受信部24の間に配置された着脱可能な遮蔽部を備えてもよい。
【0048】
すなわち、上記第1実施形態の一変形例は、図4に示すようなリモコン102であってもよい。このリモコン102では、送信部23と受信部24の間に、遮蔽部の一例としての遮蔽板61があるので、故障診断用信号以外の信号が受信部24で受信されるのを遮蔽板61で防ぐことができる。
【0049】
また、上記リモコン102から遮蔽板61を取り外すと、遮蔽板61を使わなくても、送信部23から受信部24に故障診断用信号を送信できる。
【0050】
〔第2実施形態〕
図5は、この発明の第2実施形態の空気調和機が備える室内機201の構成を説明するためのブロック図である。なお、図4では、図1,図4の構成部と同一構成部に、図1,図4の構成部の参照番号と同一参照番号を付している。
【0051】
上記室内機201は、運転スイッチ11と、制御装置212と、例えば赤外線発光素子を有する送信部213と、受信部14と、運転LED15とを備えている。
【0052】
上記制御装置212は、マイクロコンピュータ、入出力回路などで構成されており、運転スイッチ11からの信号などに基づいて、送信部213,受信部14,運転LED15などを制御する。
【0053】
また、上記制御装置212は、それぞれがソフトウェアからなる故障診断用信号生成部212aおよび故障診断部212bを有している。なお、故障診断用信号生成部212aは信号生成部の一例である。また、故障診断部212bは状態判定部の一例である。
【0054】
上記故障診断用信号生成部212aは、運転スイッチ11が予め設定された複数回連打されたとき、室内機201の故障を診断するための故障診断用信号を生成する。この故障診断用信号が室内機201に送信されても、室内機201が運転したり、停止したりすることはない。また、上記故障診断用信号が他の機器(例えばテレビ)に送信されても、他の機器は反応しない。すなわち、上記故障診断用信号は、室内機201の故障を診断するための専用信号である。
【0055】
上記故障診断部212bは、送信部213が上記故障診断用信号を送信したとき、受信部14が上記故障診断用信号と一致する信号を受信すると、故障診断用信号生成部212a、送信部213および受信部14の状態を正常と判定する。一方、故障診断部212bは、送信部213が上記故障診断用信号を送信したとき、受信部14が上記故障診断用信号と一致する信号を受信しないと、故障診断用信号生成部212a、送信部213および受信部14の状態を異常と判定する。
【0056】
上記送信部213は受信部14近傍に設けられている。この送信部213は、故障診断用信号生成部212aによって生成された故障診断用信号を、予め設定された時間間隔で複数回送信する連続送信モードを有する。
【0057】
上記運転LED15は、送信部213が連続送信モードになっているとき、受信部14が受信した信号に応じて、発光色が変化するようになっている。より詳しくは、受信部14が上記故障診断用信号と一致する信号を受信したとき、運転LED15が緑色に点灯する。一方、受信部14が上記故障診断用信号と一致しない信号を受信したとき、運転LED15が赤色に点灯する。
【0058】
上記構成の空気調和機において、室内機201の故障を診断する場合、上記故障診断用信号を反射可能な例えば反射板51を送信部213に対向させた状態で、運転スイッチ11を複数回連打する。このとき、故障診断用信号生成部212a、送信部213および受信部14の状態が、正常であれば、上記故障診断用信号が反射板51で反射されて、受信部14は上記故障診断用信号と一致する信号を受信できる。一方、故障診断用信号生成部212a、送信部213および受信部14の状態が、異常であれば、受信部14は上記故障診断用信号と一致する信号を受信できない。
【0059】
したがって、上記空気調和機が故障したとき、故障診断部212bの判定に基づいて、その故障の原因が室内機201にあるのか否かを確認できる。
【0060】
また、上記故障の原因が室内機201にないと確認できた場合、その故障の原因がリモコン2にあると推定できる。
【0061】
また、上記故障診断用信号は室内機201の故障診断の専用信号であるので、リモコン2や他の機器が意図しない動きをするのを防ぐことができる。
【0062】
ところで、上記反射板51が送信部213から離れた位置にあると、送信部213が上記故障診断用信号を正確に送信しても、上記故障診断用信号が例えば外乱光の影響を受けることがある。この場合、受信部14は上記故障診断用信号と一致する信号を受信できず、運転LED15が赤色に点灯する。
【0063】
そこで、上記運転LED15が赤色に点灯した場合、上記故障診断用信号が外乱光の影響を受けないように、送信部213および受信部14を手で覆う。これにより、運転LED15が緑色に点灯すれば、前の運転LED15の赤色の点灯は外乱光が原因で起きたものだったと判定できる。一方、運転LED15が再び赤色に点灯すれば、前の運転LED15の赤色の点灯は外乱光が原因で起きたものではなかったと判定できる。すなわち、故障診断用信号生成部212a、送信部213および受信部14の状態が、異常であると判定できる。
【0064】
したがって、上記室内機201が外乱光の影響でリモコン2と正常に無線通信できないことを確認することができる。
【0065】
以下、図6のフローチャートを用いて、室内機201の故障を診断するときの制御について説明する。なお、上記制御は室内機201へ電源の投入に応じて開始される。ここで、室内機201へ電源の投入とは、室内機201の電源プラグ(図示せず)をコンセントに挿すことを意味する。
【0066】
上記制御が開始されると、まず、ステップS11で、室内機201の電源の投入から、予め設定された時間(例えば15分)が経過したか否かを判定する。このステップS11で、室内機201の電源の投入から、予め設定された時間経過した時間が経過していないと判定されると、次のステップS12に進む。一方、ステップS11で、室内機201の電源の投入から、予め設定された時間経過した時間が経過したと判定されると、上記制御を終了する。このとき、送信部213が連続送信モードになっていれば、連続送信モードは解除される。
【0067】
次に、ステップS12で、運転スイッチ11が複数回(例えば5回)連打されたか否かを判定する。このステップS12は、運転スイッチ11が複数回連打されたと判定されると、次のステップS13に進む。一方、ステップS12は、運転スイッチ11が複数回連打されていないと判定されると、ステップS11に戻る。
【0068】
次に、ステップS13で、故障診断用信号生成部212aによって生成された故障診断用信号の送信を間隔(例えば1.5秒間隔)で繰り返す。すなわち、送信部213を連続送信モードにする。
【0069】
次に、ステップS14で、受信部14が上記故障診断用信号と一致する信号を受信したか否かを判定する。このステップS14で、受信部14が上記故障診断用信号と一致する信号を受信したと判定されると、ステップS15で、運転LED15を緑色で点灯させた後、ステップS12に戻る。一方、ステップS14で、受信部14が上記故障診断用信号と一致しない信号を受信したと判定されると、ステップS16で、運転LED15を赤色で点灯させた後、ステップS12に戻る。
【0070】
このように、上記室内機201の故障の診断は、室内機201の電源の投入から、予め設定された時間しか行えないようになっているので、送信部213が不用意に連続送信モードにされてしまうのを防ぐことができる。
【0071】
上記第2実施形態では、受信部14が受信した信号は、運転LED15の発光色に基づいて確認できるようになっていたが、運転LED15の点滅パターンに基づいて確認できるようにしてもよい。
【0072】
上記第2実施形態では、室外機1は、運転LED15とは別に、受信部14が受信した信号を確認するための1つまたは2つLEDを有してもよい。
【0073】
上記第2実施形態では、受信部14が受信した信号は、視覚的に確認できるようにしていたが、聴覚的に確認できるようにしてもよい。具体的には、受信部14が受信した信号を報知するための音声がスピーカから出力されるようにしてもよい。
【0074】
この発明の具体的な実施形態について説明したが、この発明は上記第1,第2実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、上記第1実施形態の一変形例を上記第2実施形態に適用してもよい。すなわち、第2実施形態の室内機201が遮蔽板61を備えるようにしてもよい。
【0075】
また、上記第1実施形態の送信部23が、第2実施形態の連続送信モードを有するようにしてもよい。より詳しくは、第1実施形態のリモコン2の送信部23が、故障診断用信号生成部22aによって生成された故障診断用信号を、予め設定された時間間隔で複数回送信する連続送信モードを有するようにしてもよい。このようにする場合、リモコン2の受信部24が上記故障診断用信号と一致する信号を受信したか否かに基づいて、リモコン2の表示部25が制御されるようにしてもよい。すなわち、リモコン2の表示部25を第1,第2報知部の一例として用いてもよい。
【0076】
また、この発明は、空調本体の一例としての空気清浄機本体と、この空気清浄機本体と通信を行うリモコンとを備える空気清浄機に適用してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1,201 室内機
2,102 リモコン
10 ケーシング
11 運転スイッチ
14,24 受信部
15 運転LED
22,212 制御装置
22a,212a 故障診断用信号生成部
22b,212b 故障診断部
25 表示部
61 遮蔽板
図1
図2
図3
図4
図5
図6