(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
圧縮機(11)を有する熱源ユニット(10)、及び利用側熱交換器(32)を有し互いに並列に配置される複数の利用ユニット(30)を含む冷媒回路(RC、RC1、RC2)と、
閉状態となることで供給される冷媒の流れを遮断する複数の入口弁(36、31a)と、
状況に応じて所定の制御モードに遷移し、前記制御モードに応じて前記圧縮機及び各前記入口弁の動作を制御する制御部(60)と、
を備え、
各前記入口弁は、いずれかの前記利用側熱交換器の冷媒の入口側に配置され、
前記制御部は、
各前記利用ユニット内における冷媒漏洩を検知する冷媒漏洩センサ(40)と電気的に接続され、
前記冷媒漏洩センサがいずれかの前記利用ユニットの冷媒漏洩を検知した場合には冷媒漏洩制御モードに遷移し、
前記冷媒漏洩制御モードにおいては、冷媒漏洩を検知された前記利用ユニットの前記利用側熱交換器の前記入口側に配置される前記入口弁を前記閉状態に制御するとともに吸入圧力(LP)が大気圧を下回らないように前記圧縮機を所定の回転数で運転させることで、冷媒漏洩を検知された前記利用ユニット内の冷媒を前記熱源ユニットに回収するための冷媒回収運転を行わせ、前記冷媒回収運転完了後、前記冷媒回路内の冷媒の圧力又は温度に基づき前記冷媒回路内に残存する冷媒量を判定する、
冷凍装置(100、100a、100b)。
前記制御部は、前記冷媒漏洩制御モードにおいては、冷媒漏洩を検知されていない前記利用ユニットの前記利用側熱交換器の前記入口側に配置される前記入口弁を、冷媒回収運転用の所定開度に制御する、
請求項1に記載の冷凍装置(100、100a、100b)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る冷凍装置100について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0024】
(1)冷凍装置100
図1は、本発明の一実施形態に係る冷凍装置100の概略構成図である。冷凍装置100は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルによって、冷蔵倉庫や店舗のショーケースの庫内等の利用側空間の冷却を行う装置である。冷凍装置100は、主として、熱源ユニット10と、複数(ここでは3台)の利用ユニット30(30a、30b、30c)と、熱源ユニット10と利用ユニット30とを接続する液冷媒連絡管L1及びガス冷媒連絡管G1と、各利用ユニット30内の冷媒漏洩を検出する冷媒漏洩センサ40(40a、40b、40c)と、入力装置及び表示装置としての複数のリモコン50(50a、50b、50c)と、冷凍装置100の動作を制御するコントローラ60と、を有している。
【0025】
冷凍装置100では、1台の熱源ユニット10と複数(ここでは3台)の利用ユニット30とが、液冷媒連絡管L1及びガス冷媒連絡管G1を介して接続されることで、冷媒回路RCが構成されている。冷凍装置100では、冷媒回路RC内に封入された冷媒が、圧縮され、冷却又は凝縮され、減圧され、加熱又は蒸発された後に、再び圧縮される、という冷凍サイクルが行われる。本実施形態では、冷媒回路RCには、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うための冷媒としてR32が充填されている。
【0026】
(1−1)熱源ユニット10
熱源ユニット10は、液冷媒連絡管L1及びガス冷媒連絡管G1を介して利用ユニット30と接続されており、冷媒回路RCの一部を構成している。熱源ユニット10は、主として、圧縮機11と、熱源側熱交換器12と、レシーバ13と、過冷却器14と、熱源側膨張弁15(膨張機構)と、インジェクション弁16と、液側閉鎖弁17と、ガス側閉鎖弁18と、を有している。
【0027】
また、熱源ユニット10は、圧縮機11の吐出側と熱源側熱交換器12のガス側端とを接続する第1熱源側ガス冷媒管P1と、熱源側熱交換器12の液側端と液冷媒連絡管L1とを接続する熱源側液冷媒管P2と、圧縮機11の吸入側とガス冷媒連絡管G1とを接続する第2熱源側ガス冷媒管P3と、を有している。
【0028】
また、熱源ユニット10は、熱源側液冷媒管P2を流れる冷媒の一部を分岐して圧縮機11に戻すインジェクション管P4を有している。インジェクション管P4は、熱源側液冷媒管P2の過冷却器14の下流側の部分から分岐して、過冷却器14を通過してから圧縮機11の圧縮行程の途中に接続されている。
【0029】
圧縮機11は、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を高圧になるまで圧縮する機器である。ここでは、圧縮機11として、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素(図示省略)が圧縮機モータM11によって回転駆動される密閉式構造の圧縮機が使用されている。また、ここでは、圧縮機モータM11は、インバータにより運転周波数の制御が可能であり、これにより、圧縮機11の容量制御が可能になっている。
【0030】
熱源側熱交換器12は、冷凍サイクルにおける高圧の冷媒の放熱器又は凝縮器として機能する熱交換器である。ここで、熱源ユニット10は、熱源ユニット10内に庫外空気(熱源側空気)を吸入して、熱源側熱交換器12において冷媒と熱交換させた後に、外部に排出するための熱源側ファン19を有している。熱源側ファン19は、熱源側熱交換器12を流れる冷媒の冷却源としての熱源側空気を熱源側熱交換器12に供給するためのファンである。熱源側ファン19は、熱源側ファンモータM19によって回転駆動される。
【0031】
レシーバ13は、熱源側熱交換器12において凝縮した冷媒を一時的に溜める容器であり、熱源側液冷媒管P2に配置されている。
【0032】
過冷却器14は、レシーバ13において一時的に溜められた冷媒をさらに冷却する熱交換器であり、熱源側液冷媒管P2に(より詳細にはレシーバ13よりも下流側の部分に)配置されている。
【0033】
熱源側膨張弁15は、開度制御が可能な電動膨張弁であり、熱源側液冷媒管P2に(より詳細には過冷却器14の下流側の部分に)配置されている。
【0034】
インジェクション弁16は、インジェクション管P4に(より詳細には過冷却器14の入口に至るまでの部分に)配置されている。インジェクション弁16は、開度制御が可能な電動膨張弁である。インジェクション弁16は、その開度に応じて、インジェクション管P4を流れる冷媒を過冷却器14に流入させる前に減圧する。
【0035】
液側閉鎖弁17は、熱源側液冷媒管P2の液冷媒連絡管L1との接続部分に配置された手動弁である。
【0036】
ガス側閉鎖弁18は、第2熱源側ガス冷媒管P3のガス冷媒連絡管G1との接続部分に配置された手動弁である。
【0037】
熱源ユニット10には、各種センサが配置されている。具体的には、熱源ユニット10の圧縮機11周辺には、圧縮機11の吸入側における冷媒の圧力である吸入圧力LPを検出する吸入圧力センサ20と、圧縮機11の吐出側における冷媒の圧力である吐出圧力HPを検出する吐出圧力センサ21と、が配置されている。また、熱源側液冷媒管P2のうちレシーバ13の出口と過冷却器14の入口との間の部分には、レシーバ13の出口における冷媒の温度であるレシーバ出口温度を検出するレシーバ出口温度センサ22が配置されている。さらに、熱源側熱交換器12又は熱源側ファン19の周辺には、熱源ユニット10内に吸入される熱源側空気の温度を検出する熱源側空気温センサ23が配置されている。
【0038】
熱源ユニット10は、熱源ユニット10を構成する各部の動作を制御する熱源ユニット制御部25を有している。熱源ユニット制御部25は、CPUやメモリ等を含むマイクロコンピュータを有している。熱源ユニット制御部25は、各利用ユニット30の利用ユニット制御部38と通信線cb1を介して接続されており、制御信号等の送受信を行う。
【0039】
(1−2)利用ユニット30
利用ユニット30は、液冷媒連絡管L1及びガス冷媒連絡管G1を介して熱源ユニット10と接続されており、冷媒回路RCの一部を構成している。本実施形態においては、1台の熱源ユニット10に対して3台の利用ユニット30(30a、30b、及び30c)が接続されている。各利用ユニット30は、互いに並列に配置されている。
【0040】
各利用ユニット30は、利用側膨張弁31と、利用側熱交換器32(蒸発器)と、を有している。また、各利用ユニット30は、利用側熱交換器32の液側端と液冷媒連絡管L1とを接続する利用側液冷媒管P5と、利用側熱交換器32のガス側端とガス冷媒連絡管G1とを接続する利用側ガス冷媒管P6と、を有している。
【0041】
利用側膨張弁31は、熱源ユニット10から送られる高圧冷媒の減圧手段(膨張手段)として機能する絞り機構である。本実施形態において、利用側膨張弁31は、感温筒を含む感温式膨張弁であり、感温筒の温度変化に応じて作動する(開度が自動的に決まる)。
【0042】
利用側熱交換器32は、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒の蒸発器として機能して庫内空気(利用側空気)を冷却する熱交換器である。ここで、利用ユニット30は、利用ユニット30内に利用側空気を吸入して、利用側熱交換器32において冷媒と熱交換させた後に、利用側空間に供給するための利用側ファン35を有している。利用側ファン35は、利用側熱交換器32を流れる冷媒の加熱源としての利用側空気を利用側熱交換器32に供給するためのファンである。利用側ファン35は、利用側ファンモータM35によって回転駆動される。
【0043】
また、各利用ユニット30は、利用ユニット30に流入する冷媒の流れを遮断可能な開閉弁36(入口弁)を有している。開閉弁36は、利用ユニット30の液冷媒の入口側(液冷媒連絡管L1側)に配置されている。具体的には、開閉弁36は、利用側熱交換器32よりも入口側に配置されている。より詳細には、開閉弁36は、利用側膨張弁31よりも入口側に配置されている。本実施形態において、開閉弁36は、開状態と閉状態とを切換えられる電磁弁である。具体的に、開閉弁36は、通電されることで開状態から閉状態に切換えられる。開閉弁36は閉状態に切り換えられると、利用ユニット30(より詳細には利用側熱交換器32)に流入する冷媒の流れを遮断する。開閉弁36は、通常、開状態に制御される。
【0044】
また、各利用ユニット30は、利用ユニット30に出口側から流入(逆流)する冷媒の流れを遮断可能な逆止弁37(出口弁)を有している。逆止弁37は、利用ユニット30の液冷媒の出口側(ガス冷媒連絡管G1側)に配置されている。具体的には、開閉弁36は、利用側熱交換器32よりも出口側に配置されている。逆止弁37は、利用側ガス冷媒管P6からガス冷媒連絡管G1に向かう冷媒の流れを許容し、ガス冷媒連絡管G1から利用側ガス冷媒管P6(より詳細には逆止弁37よりも利用側熱交換器32側)に向かう冷媒の流れを遮断する。
【0045】
また、各利用ユニット30は、利用ユニット30を構成する各部の動作を制御する利用ユニット制御部38を有している。利用ユニット制御部38は、CPUやメモリ等を含むマイクロコンピュータを有している。利用ユニット制御部38は、熱源ユニット制御部25と通信線cb1を介して接続されており、制御信号等の送受信を行う。利用ユニット制御部38は、冷媒漏洩センサ40と電気的に接続されており、冷媒漏洩センサ40からの信号を出力される。
【0046】
(1−3)冷媒漏洩センサ40
冷媒漏洩センサ40は、利用ユニット30が配置される庫内(より詳細には、利用ユニット30の空間内)における冷媒漏洩を検知するためのセンサである。本実施形態では、冷媒漏洩センサ40は、公知の汎用品が用いられる。
【0047】
冷媒漏洩センサ40は、対応する利用ユニット30のケーシング内に配置されている。すなわち、冷凍装置100では、各利用ユニット30内に冷媒漏洩センサ40が配置されており、利用ユニット30と同数の冷媒漏洩センサ40を有している。
【0048】
各冷媒漏洩センサ40は、対応する利用ユニット30の利用ユニット制御部38と電気的に接続されている。具体的に、冷媒漏洩センサ40aは利用ユニット30aの、冷媒漏洩センサ40bは利用ユニット30bの、冷媒漏洩センサ40cは利用ユニット30cの、利用ユニット制御部38とそれぞれ接続されている。冷媒漏洩センサ40は、冷媒漏洩を検出すると、冷媒漏洩が生じている旨を示す電気信号(以下、「冷媒漏洩信号」と記載)を、接続されている利用ユニット制御部38に対して出力する。
【0049】
(1−4)リモコン50(情報出力部)
リモコン50は、ユーザが冷凍装置100の運転状態を切り換えるための各種指示を入力するための入力装置である。また、リモコン50は、冷凍装置100の運転状態や所定の報知情報を表示するための表示装置としても機能する。リモコン50は、利用ユニット制御部38と通信線cb2を介して接続されており、相互に信号の送受信を行っている。具体的に、リモコン50aは利用ユニット30aの、リモコン50bは利用ユニット30bの、リモコン50cは利用ユニット30cの、利用ユニット制御部38とそれぞれ接続されている。
【0050】
(1−5)コントローラ60(制御部)
冷凍装置100では、熱源ユニット制御部25と、各利用ユニット制御部38と、が通信線cb1を介して接続されることで、冷凍装置100の動作を制御するコントローラ60が構成されている。コントローラ60の詳細については、後述の「(3)コントローラ60の詳細」において説明する。
【0051】
(2)冷却運転における冷媒回路RCにおける冷媒の流れ
以下、各運転モードにおける冷媒回路RCにおける冷媒の流れについて説明する。冷凍装置100では、運転時に、冷媒回路RCに充填された冷媒が、主として、圧縮機11、熱源側熱交換器12(放熱器)、レシーバ13、過冷却器14、熱源側膨張弁15(膨張機構)、利用側膨張弁31、利用側熱交換器32(蒸発器)の順に循環する冷却運転(冷凍サイクル運転)が行われる。
【0052】
冷却運転が開始されると、冷媒回路RC内において、冷媒が圧縮機11に吸入されて圧縮された後に吐出される。ここで、冷凍サイクルにおける低圧は、吸入圧力センサ20によって検出される吸入圧力LPであり、冷凍サイクルにおける高圧は、吐出圧力センサ21によって検出される吐出圧力HPである。
【0053】
圧縮機11では、利用ユニット30で要求される冷却負荷に応じた容量制御が行われる。具体的には、吸入圧力LPの目標値が利用ユニット30で要求される冷却負荷に応じて設定され、吸入圧力LPが目標値になるように圧縮機11の運転周波数が制御される。圧縮機11から吐出されたガス冷媒は、第1熱源側ガス冷媒管P1を経て、熱源側熱交換器12のガス側端に流入する。
【0054】
熱源側熱交換器12のガス側端に流入したガス冷媒は、熱源側熱交換器12において、熱源側ファン19によって供給される熱源側空気と熱交換を行って放熱して凝縮し、液冷媒となって熱源側熱交換器12の液側端から流出する。
【0055】
熱源側熱交換器12の液側端から流出した液冷媒は、熱源側液冷媒管P2の熱源側熱交換器12からレシーバ13までの間の部分を経て、レシーバ13の入口に流入する。レシーバ13に流入した液冷媒は、レシーバ13において飽和状態の液冷媒として一時的に溜められた後に、レシーバ13の出口から流出する。
【0056】
レシーバ13の出口から流出した液冷媒は、熱源側液冷媒管P2のレシーバ13から過冷却器14までの間の部分を経て、過冷却器14の熱源側液冷媒管P2側の入口に流入する。
【0057】
過冷却器14に流入した液冷媒は、過冷却器14において、インジェクション管P4を流れる冷媒と熱交換を行ってさらに冷却されて過冷却状態の液冷媒になり、過冷却器14の熱源側液冷媒管P2側の出口から流出する。
【0058】
過冷却器14の熱源側液冷媒管P2側の出口から流出した液冷媒は、熱源側液冷媒管P2の過冷却器14と熱源側膨張弁15との間の部分を経て、熱源側膨張弁15に流入する。このとき、過冷却器14の熱源側液冷媒管P2側の出口から流出した液冷媒の一部は、熱源側液冷媒管P2の過冷却器14と熱源側膨張弁15との間の部分からインジェクション管P4に分岐されるようになっている。
【0059】
インジェクション管P4を流れる冷媒は、インジェクション弁16によって冷凍サイクルにおける中間圧になるまで減圧される。インジェクション弁16によって減圧された後のインジェクション管P4を流れる冷媒は、過冷却器14のインジェクション管P4側の入口に流入する。過冷却器14のインジェクション管P4側の入口に流入した冷媒は、過冷却器14において、熱源側液冷媒管P2を流れる冷媒と熱交換を行って加熱されてガス冷媒になる。そして、過冷却器14において加熱された冷媒は、過冷却器14のインジェクション管P4側の出口から流出して、圧縮機11の圧縮行程の途中に戻される。
【0060】
熱源側液冷媒管P2から熱源側膨張弁15に流入した液冷媒は、熱源側膨張弁15によって減圧された後に、液側閉鎖弁17、及び液冷媒連絡管L1を経て、運転中の利用ユニット30に流入する。
【0061】
利用ユニット30に流入した冷媒は、開閉弁36及び利用側液冷媒管P5の一部を経て、利用側膨張弁31に流入する。利用側膨張弁31に流入した冷媒は、利用側膨張弁31によって冷凍サイクルにおける低圧になるまで減圧されて、利用側液冷媒管P5を経て利用側熱交換器32の液側端に流入する。
【0062】
利用側熱交換器32の液側端に流入した冷媒は、利用側熱交換器32において、利用側ファン35によって供給される利用側空気と熱交換を行って蒸発し、ガス冷媒となって利用側熱交換器32のガス側端から流出する。
【0063】
利用側熱交換器32のガス側端から流出したガス冷媒は、逆止弁37、利用側ガス冷媒管P6、ガス冷媒連絡管G1、ガス側閉鎖弁18及び第2熱源側ガス冷媒管P3を経て、再び、圧縮機11に吸入される。
【0064】
(3)コントローラ60の詳細
冷凍装置100では、熱源ユニット制御部25、及び利用ユニット制御部38が通信線cb1で接続されることで、コントローラ60が構成されている。
図2は、コントローラ60の概略構成と、コントローラ60に接続される各部と、模式的に示したブロック図である。
【0065】
コントローラ60は、複数の制御モードを有し、遷移している制御モードに応じて冷凍装置100の運転を制御する。例えば、コントローラ60は、制御モードとして、平常時に遷移する通常運転モードと、冷媒漏洩が生じた場合に遷移する冷媒漏洩制御モードと、を有している。
【0066】
コントローラ60は、熱源ユニット10に含まれる各アクチュエータ(具体的には、圧縮機11(圧縮機モータM11)、熱源側膨張弁15、インジェクション弁16、及び熱源側ファン19(熱源側ファンモータM19))と、各種センサ(吸入圧力センサ20、吐出圧力センサ21、レシーバ出口温度センサ22、及び熱源側空気温センサ23等)と、電気的に接続されている。また、コントローラ60は、各利用ユニット30(30a、30b、及び30c)に含まれるアクチュエータ(具体的には、利用側ファン35(利用側ファンモータM35及び開閉弁36))と電気的に接続されている。また、コントローラ60は、各冷媒漏洩センサ40(40a、40b及び40c)と、各リモコン50(50a、50b、及び50c)と、電気的に接続されている。
【0067】
コントローラ60は、主として、記憶部61と、通信部62と、モード制御部63と、アクチュエータ制御部64と、表示制御部65と、を有している。なお、コントローラ60内におけるこれらの各部は、熱源ユニット制御部25及び/又は利用ユニット制御部38に含まれる各部が一体的に機能することによって実現されている。
【0068】
(3−1)記憶部61
記憶部61は、例えば、ROM、RAM、及びフラッシュメモリ等で構成されており、揮発性の記憶領域と不揮発性の記憶領域を含む。記憶部61には、コントローラ60の各部における処理を定義した制御プログラムが格納されている。また、記憶部61は、コントローラ60の各部によって、所定の情報(例えば、各センサの検出値、各リモコン50に入力されたコマンド等)を、所定の記憶領域に適宜格納される。
【0069】
また、記憶部61には、所定のビット数を有する複数のフラグが設けられている。例えば、記憶部61には、各利用ユニット30内において冷媒漏洩が生じているか否かを判別するための冷媒漏洩判別フラグF1、F2及びF3が設けられている。なお、冷媒漏洩判別フラグF1は冷媒漏洩センサ40aに、冷媒漏洩判別フラグF2は冷媒漏洩センサ40bに、冷媒漏洩判別フラグF3は冷媒漏洩センサ40cに、それぞれ対応している。
【0070】
また、記憶部61には、コントローラ60が遷移している制御モードを判別可能な制御モード判別フラグF4が設けられている。制御モード判別フラグF4は、冷媒漏洩制御モードに遷移した場合に立てられる。
【0071】
(3−2)通信部62
通信部62は、コントローラ60に接続される各機器と、信号の送受信を行うための通信インターフェースとしての役割を果たす機能部である。通信部62は、アクチュエータ制御部64からの依頼を受けて、指定されたアクチュエータに所定の信号を送信する。また、通信部62は、各種センサ(20〜23)、各冷媒漏洩センサ40及び各リモコン50から出力された信号を受けて、記憶部61の所定の記憶領域に格納する。
【0072】
また、通信部62は、冷媒漏洩センサ40から冷媒漏洩信号を受信すると、冷媒漏洩判別フラグ(F1、F2又はF3)を立てる。具体的に、通信部62は、冷媒漏洩センサ40aから冷媒漏洩信号を受信した場合には冷媒漏洩判別フラグF1を立て、冷媒漏洩センサ40bから冷媒漏洩信号を受信した場合には冷媒漏洩判別フラグF2を立て、冷媒漏洩センサ40cから冷媒漏洩信号を受信した場合には冷媒漏洩判別フラグF3を立てる。すなわち、利用ユニット30aにおいて冷媒漏洩が生じた場合には冷媒漏洩判別フラグF1が立てられ、利用ユニット30bにおいて冷媒漏洩が生じた場合には冷媒漏洩判別フラグF2が立てられ、利用ユニット30cにおいて冷媒漏洩が生じた場合には冷媒漏洩判別フラグF3が立てられるようになっている。
【0073】
(3−3)モード制御部63
モード制御部63は、制御モードを切り換える機能部である。モード制御部63は、いずれの冷媒漏洩センサ40も立てられていない状態にある場合には、制御モードを通常運転モードに切り換える。具体的に、モード制御部63は、いずれの冷媒漏洩センサ40も立てられていない状態にある場合、制御モード判別フラグF4を解除する。
【0074】
一方、モード制御部63は、いずれかの冷媒漏洩センサ40が立てられると、制御モードを冷媒漏洩制御モードに切り換える。具体的に、モード制御部63は、いずれかの冷媒漏洩センサ40が立てられると、制御モード判別フラグF4を立てる。
【0075】
(3−4)アクチュエータ制御部64
アクチュエータ制御部64は、制御プログラムに沿って、状況に応じて、冷凍装置100(熱源ユニット10及び利用ユニット30)に含まれる各アクチュエータ(例えば圧縮機11や開閉弁36等)の動作を制御する。アクチュエータ制御部64は、制御モード判別フラグF4を参照することで遷移している制御モードを判別し、制御モードに基づき各アクチュエータの動作を制御する。
【0076】
例えば、アクチュエータ制御部64は、通常運転モード時には、設定温度や各種センサの検出値等に応じて、圧縮機11の回転数、熱源側ファン19及び利用側ファン35の回転数、及び熱源側膨張弁15やインジェクション弁16の開度等をリアルタイムに制御する。
【0077】
また、アクチュエータ制御部64は、冷媒漏洩制御モード時には、所定の運転が行われるように各アクチュエータの動作を制御する。具体的に冷媒漏洩制御モード時に行われる運転には、冷媒回収運転、残存冷媒量判定運転及び縮退運転が含まれる。
【0078】
冷媒回収運転は、冷媒漏洩が生じた利用ユニット30(以下、「冷媒漏洩利用ユニット30」と称する)、及び冷媒漏洩が生じていない利用ユニット30(以下、「運転可能利用ユニット30」と称する)内の冷媒を、熱源ユニット10(特に熱源側熱交換器12やレシーバ13)に回収する運転である。残存冷媒量判定運転は、冷媒回収運転完了後、冷媒回路RCにおいて冷媒を循環させて冷媒回路RCに残存している(すなわち、漏洩していない)冷媒量(残存冷媒量)を判定するための運転である。縮退運転は、残存冷媒量に応じて圧縮機11を運転させて、運転可能利用ユニット30において冷凍サイクルを継続させる運転である。
【0079】
アクチュエータ制御部64は、制御モード判別フラグF4が立てられると(すなわち冷媒漏洩制御モードに遷移すると)、冷媒漏洩判別フラグF1、F2、及びF3を参照し、冷媒漏洩利用ユニット30を特定する。そして、アクチュエータ制御部64は、冷媒漏洩利用ユニット30(冷媒漏洩を検知された利用ユニット30)に対応する開閉弁36を閉状態に制御する。その結果、冷媒漏洩が生じている利用ユニット30において、流入する冷媒の流れが遮断され、冷媒が供給されなくなる。このため、更なる冷媒漏洩が抑制される。
【0080】
また、アクチュエータ制御部64は、アクチュエータ制御部64は、各運転可能利用ユニット30(冷媒漏洩を検知されていない利用ユニット30)に対応する開閉弁36についても閉状態に制御する。そして、アクチュエータ制御部64は、圧縮機11を冷媒回収運転用の所定の回転数で駆動させる。これにより、冷媒回収運転が開始され、各利用ユニット30内の冷媒が熱源ユニット10へ回収される。なお、本実施形態では、冷媒回収が最短時間で完了するように、冷媒回収運転時における圧縮機11の回転数は、最大回転数に設定されている。
【0081】
アクチュエータ制御部64は、冷媒回収運転開始後、冷媒回収が完了したと想定される状態(具体的には、吸入圧力LPが所定の閾値ΔTh未満の状態)となったことを契機として冷媒回収運転を完了する。なお、閾値ΔThは、冷媒回路RC内に封入されている冷媒量、及び圧縮機11の特性から定まる冷媒循環量等に基づいて、大気圧を下回らない程度の値に設定される。本実施形態において、閾値ΔThは、0.1MPaに設定されている。
【0082】
次に、アクチュエータ制御部64は、運転可能利用ユニット30(冷媒漏洩が生じていない利用ユニット30)に対応する開閉弁36を開状態に切り換える。その後、圧縮機11を、残存冷媒量判定運転用の所定の回転数で運転させる。これにより、残存冷媒量判定運転が開始される。具体的には、熱源ユニット10から運転可能利用ユニット30に冷媒が送られ、冷媒回路RCにおいて冷媒が循環する。
【0083】
なお、本実施形態では、アクチュエータ制御部64は、冷媒回収運転完了後、残存冷媒量判定運転を開始させる前に圧縮機11を一旦停止させる。これは、圧縮機11が運転している状態で開閉弁36を閉状態から開状態に切り換えた場合における冷媒回路RC内の圧力の急激な変化によって、冷媒配管の接合部分や機器の破損が生じることを抑制するためである。
【0084】
また、アクチュエータ制御部64は、残存冷媒量判定運転において冷媒漏洩利用ユニット30に対応する開閉弁36については開状態に切り換えず、閉状態を維持させる。これにより、冷媒漏洩利用ユニット30には冷媒が供給されないため、冷媒漏洩利用ユニット30からの更なる冷媒漏洩が抑制されている。
【0085】
アクチュエータ制御部64は、残存冷媒量判定運転においては、所定のタイミングで、吸入圧力センサ20の検出値(吸入圧力LP)と所定の圧力基準値SPとを比較することで残存冷媒量を判定する。本実施形態では、残存冷媒量判定運転開始後、所定時間t1の経過時に残存冷媒量を判定するように構成されている。係る所定時間t1は設計仕様や設置環境に応じて適宜設定され、例えば3分に設定される。
【0086】
ここで、圧力基準値SPは、レシーバ出口温度センサ22及び熱源側空気温センサ23の検出値、圧縮機11の特性から定まる冷媒循環量、熱源側膨張弁15のCv値、及び各種冷媒配管の配管長等に応じて決定され、状況別の圧力基準値SPを定義した圧力基準値テーブル(図示省略)が、記憶部61に格納されている。アクチュエータ制御部64は、係る圧力基準値テーブルに基づき圧力基準値SPを決定する。そして、アクチュエータ制御部64は、決定した圧力基準値SPと吸入圧力LPとを比較することで残存冷媒量の不足(ガス欠)の程度を判定する。
【0087】
その後、アクチュエータ制御部64は、判定結果に応じた回転数(縮退運転用の回転数)で圧縮機11を運転させる。これにより、縮退運転が開始される。その結果、熱源ユニット10及び運転可能利用ユニット30間において残存冷媒を用いた冷凍サイクルが行われる。このため、運転可能利用ユニット30が設置される庫内の被冷却物品(特に温度管理が必要な食品等)の冷却が継続され、劣化が抑制される。また、この際、冷媒漏洩利用ユニット30の開閉弁36については開状態に切り換えられずに閉状態を維持されているため、運転可能利用ユニット30が縮退運転を行いつつ、冷媒漏洩利用ユニット30の修復作業を行うことも可能である。
【0088】
また、縮退運転においては、圧縮機11が残存冷媒量に応じて適正に定められた所定の回転数で運転される。これにより、圧縮機11の故障が抑制されるようになっている。なお、縮退運転における圧縮機11の回転数を定義した縮退運転テーブル(図示省略)が記憶部61に格納されており、アクチュエータ制御部64は、係る縮退運転テーブルを参照することで縮退運転における圧縮機11の回転数を決定する。
【0089】
(3−5)表示制御部65
表示制御部65は、表示装置としてのリモコン50の動作を制御する機能部である。表示制御部65は、運転状態や状況に係る情報を管理者に対して表示すべく、リモコン50に所定の情報を出力させる。例えば、表示制御部65は、通常モードで冷却運転中には、設定温度等の各種情報をリモコン50に表示させる。また、表示制御部65は、冷媒漏洩制御モード時には、冷媒漏洩が生じていること及び冷媒漏洩利用ユニット30を具体的に表す情報(報知情報)を、リモコン50に表示させる。また、表示制御部65は、冷媒漏洩制御モードにおける冷媒回収運転時には、冷媒回収運転を行っていることを表す報知情報を、リモコン50に表示させる。また、表示制御部65は、冷媒漏洩制御モードにおける縮退運転時には、運転可能利用ユニット30において縮退運転中であることを表す報知情報、及びサービスマンへの通知を促す情報を、リモコン50に表示させる。
【0090】
(4)コントローラ60の処理の流れ
以下、コントローラ60の処理の流れの一例について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、コントローラ60の処理の流れの一例を示したフローチャートである。
【0091】
コントローラ60は、電源を投入されると、
図3のステップS101からS117に示すような流れで処理を行う。
図3では、ステップS102からS104において通常運転モードに係る処理が示されており、ステップS105からS116において冷媒漏洩制御モードに係る処理が示されている。より詳細には、ステップS104において冷却運転が行われ、ステップS106からS110において冷媒回収運転が行われ、ステップS112からS114において残存冷媒量判定運転が行われ、ステップS115において縮退運転が行われる様子が示されている。
【0092】
なお、
図3に示す処理の流れは、一例であり、適宜変更可能である。例えば、矛盾のない範囲でステップの順序が変更されてもよいし、一部のステップが他のステップと並列的に実行されてもよい。
【0093】
ステップS101において、コントローラ60は、いずれかの冷媒漏洩センサ40から冷媒漏洩信号を受信している場合(すなわち、いずれかの利用ユニット30において冷媒漏洩が生じていると想定される場合)には、ステップS105へ進む。一方、いずれの冷媒漏洩センサ40からも冷媒漏洩信号を受信していない場合(すなわち、いずれの利用ユニット30においても冷媒漏洩が生じていないと想定される場合)には、ステップS102へ進む。
【0094】
ステップS102において、コントローラ60は、通常運転モードに遷移する。その後ステップS103へ進む。
【0095】
ステップS103において、コントローラ60は、運転コマンド(運転開始指示)が入力されていない場合には、ステップS101に戻る。一方、運転コマンドが入力されている場合には、ステップS104へ進む。
【0096】
ステップS104において、コントローラ60は、設定されている設定温度及び各種センサ(20〜23)の検出値等に応じて、各アクチュエータの状態をリアルタイムに制御し、冷却運転を行わせる。また、コントローラ60は、設定温度等の各種情報をリモコン50に表示させる。その後、ステップS101に戻る。
【0097】
ステップS105において、コントローラ60は、冷媒漏洩信号を受信したことに応じて冷媒漏洩制御モードに遷移する。その後、ステップS106へ進む。
【0098】
ステップS106において、コントローラ60は、冷媒漏洩判別フラグF1、F2、及びF3の状態に応じて、冷媒漏洩利用ユニット30を特定する。そして、コントローラ60は、特定した冷媒漏洩利用ユニット30の開閉弁36を閉状態に制御する。これにより、冷媒漏洩利用ユニット30への冷媒の流入が停止する。また、コントローラ60は、冷媒漏洩が生じていること及び冷媒漏洩利用ユニット30を具体的に表す情報をリモコン50に表示させる。その後、ステップS107へ進む。
【0099】
ステップS107において、コントローラ60は、運転可能利用ユニット30の開閉弁36を閉状態に制御する。その後、ステップS108へ進む。
【0100】
ステップS108において、コントローラ60は、圧縮機11を冷媒回収運転用の回転数(最大回転数)で運転させる。これにより、冷媒回収運転が開始され、冷媒漏洩利用ユニット30及び運転可能利用ユニット30内の冷媒が、熱源ユニット10へと回収される。その後、ステップS109へ進む。
【0101】
ステップS109において、コントローラ60は、吸入圧力LPが閾値ΔTh未満であるか否かを判定する。当該判定の結果、吸入圧力LPが閾値ΔTh以上である場合には、ステップS109において当該判定を繰り返す。一方、吸入圧力LPが閾値ΔTh未満である場合には、ステップS110へ進む。
【0102】
ステップS110において、コントローラ60は、吸入圧力LPが閾値ΔTh未満となって熱源ユニット10への冷媒回収が完了したと想定される状況になったことを受けて、圧縮機11を停止して冷媒回収運転を完了させる。その後、ステップS111へ進む。
【0103】
ステップS111において、コントローラ60は、運転可能利用ユニット30に関して運転コマンド(運転開始指示)が入力されていない場合には、ステップS111において待機する。一方、運転コマンドが入力されている場合には、ステップS112へ進む。
【0104】
ステップS112において、コントローラ60は、運転可能利用ユニット30の開閉弁36を開状態に制御する。その後、ステップS113へ進む。
【0105】
ステップS113において、コントローラ60は、圧縮機11を残存冷媒量判定運転用の回転数で運転させる。これにより、残存冷媒量判定運転が開始され、熱源ユニット10及び運転可能利用ユニット30間を冷媒が循環する。その後、ステップS114へ進む。
【0106】
ステップS114において、コントローラ60は、残存冷媒量判定を行う。具体的には、コントローラ60は、圧力基準値テーブルに基づき圧力基準値SPを決定し、決定した圧力基準値SPと吸入圧力LPとを比較することで残存冷媒量の不足(ガス欠)の程度を判定する。その後、ステップS115へ進む。
【0107】
ステップS115において、コントローラ60は、残存冷媒量判定の結果に応じた回転数(縮退運転用の回転数)で圧縮機11を運転させる。これにより、縮退運転が開始され、熱源ユニット10及び運転可能利用ユニット30間において残存冷媒を用いた冷凍サイクルが行われる。また、係る情報をリモコン50において表示させる。その後、ステップS116へ進む。
【0108】
ステップS116において、コントローラ60は、運転可能利用ユニット30に関して運転停止コマンド(運転停止指示)が入力されていない場合には、ステップS115に戻る。一方、運転可能利用ユニット30に関して運転停止コマンドが入力されている場合には、ステップS117へ進む。
【0109】
ステップS117において、コントローラ60は、圧縮機11を停止して縮退運転を完了させる。その後、ステップS111に戻る。
【0110】
(5)各開閉弁36及び圧縮機11の状態の変化について
以下、各開閉弁36及び圧縮機11の状況に応じた状態の変化について説明する。
図4は、運転時における各開閉弁36及び圧縮機11の状態変化の一例を示すタイミングチャートである。
図4では、各部が、期間Aにおいて通常運転モードで制御され、期間BからFにおいて冷媒漏洩制御モードで制御される様子が示されている。
【0111】
期間Aにおいては、コントローラ60が通常運転モードで制御を行っており、各利用ユニット30の開閉弁36は、開状態に制御されている。また、圧縮機11が冷却運転用の所定の回転数(設定温度や負荷等に応じた回転数)で運転する状態に制御され、冷却運転が行われている。
【0112】
期間Bにおいては、冷媒漏洩センサ40aからの冷媒漏洩信号を受信した(すなわち、利用ユニット30aにおいて冷媒漏洩が生じた)ことを受けてコントローラ60が、冷媒漏洩制御モードに遷移している。その結果、利用ユニット(冷媒漏洩利用ユニット)30aの開閉弁36が閉状態に制御されている。これにより、利用ユニット30aに流入する冷媒の流れが遮断されて冷媒が供給されなくなり、更なる冷媒漏洩が抑制されている。
【0113】
また、利用ユニット(運転可能利用ユニット)30b及び30cの各開閉弁36についても閉状態に制御されるとともに、圧縮機11が冷媒回収運転用の所定の回転数(ここでは最大回転数)で運転する状態に制御され、冷媒回収運転が行われている。
【0114】
期間Cにおいては、冷媒回収運転開始後、吸入圧力LPが閾値ΔTh未満となった(すなわち、冷媒回収が完了したと想定される状況となった)ことを受けて、圧縮機11が停止状態に制御され、冷媒回収運転が完了している。
【0115】
期間Dにおいては、利用ユニット(運転可能利用ユニット)30b及び30cの各開閉弁36が開状態に制御される。このように、圧縮機11が停止した状態において、各開閉弁36が開状態に制御されることで、冷媒回路RC内の急激な圧力変動による冷媒配管や機器の損傷が抑制される。なお、利用ユニット(冷媒漏洩利用ユニット)30aの開閉弁36については閉状態に制御されたままである。
【0116】
期間Eにおいては、利用ユニット(運転可能利用ユニット)30b及び30cの各開閉弁36が開状態に制御された状態において、圧縮機11が残存冷媒量判定運転用の所定の回転数で運転する状態に制御され、残存冷媒量判定運転が行われている。すなわち、熱源ユニット10及び運転可能利用ユニット30間を冷媒が循環する状態となっている。
【0117】
期間Fにおいては、利用ユニット(運転可能利用ユニット)30b及び30cの各開閉弁36が開状態に制御された状態で、圧縮機11が縮退運転用の所定の回転数で運転する状態に制御され、縮退運転が行われている。その結果、熱源ユニット10及び運転可能利用ユニット30間で冷凍サイクルが行われ、運転可能利用ユニット30が設置される庫内の被冷却物品の冷却が継続されて係る物品の劣化が抑制されている。
【0118】
(6)冷凍装置100の特徴
(6−1)
上記実施形態に係る冷凍装置100では、コントローラ60は、冷媒漏洩センサ40がいずれかの利用ユニット30の冷媒漏洩を検知した場合には冷媒漏洩制御モードに遷移し、冷媒漏洩を検知された利用ユニット30の利用側熱交換器32の入口側に配置される開閉弁36を閉状態に制御するとともに、圧縮機11を所定の回転数で運転させている。これにより、冷媒漏洩利用ユニット30への冷媒の供給が停止されるようになっている。その結果、いずれかの利用ユニット30において冷媒漏洩が生じた場合でも、漏洩冷媒量の増大が抑制されるようになっている。
【0119】
また、冷媒漏洩利用ユニット30の利用側熱交換器32の入口側に配置される開閉弁36が閉じられた状態で、圧縮機11が運転されるように構成されている。このため、冷媒漏洩利用ユニット30内に残されている冷媒が熱源ユニット10へ回収されるようになっており、漏洩冷媒量の増大が抑制されるようになっている。
【0120】
よって、冷媒漏洩利用ユニット30が設置されている庫内において、漏洩冷媒の濃度が大きくなることが抑制されており、保安性に優れている。
【0121】
(6−2)
上記実施形態に係る冷凍装置100では、コントローラ60は、冷媒漏洩制御モードにおいて、冷媒漏洩を検知されていない運転可能利用ユニット30の利用側熱交換器32の入口側に配置される開閉弁36を、冷媒回収運転用の所定開度に制御している。
【0122】
これにより、冷媒漏洩利用ユニット30を含む各利用ユニット30内の冷媒が熱源ユニット10へ回収されるようになっている。その結果、冷媒漏洩利用ユニット30へ、運転可能利用ユニット30から冷媒が流入して漏洩冷媒量が増大することが抑制されており、保安性に優れている。
【0123】
(6−3)
上記実施形態に係る冷凍装置100では、各利用ユニット30の利用側熱交換器32の冷媒の出口側に、出口側から入口側へ向かう冷媒の流れを遮断する逆止弁37が配置されている。そして、コントローラ60は、冷媒漏洩制御モードにおいて、各利用側熱交換器32から熱源ユニット10への冷媒の回収が完了したと想定される時には、圧縮機11の縮退運転を行わせ、運転可能利用ユニット30の利用側熱交換器32の入口側に配置される開閉弁36を縮退運転用の所定開度に制御している。
【0124】
これにより、いずれかの利用ユニット30において冷媒漏洩が生じた場合でも、圧縮機11が縮退運転され、運転可能利用ユニット30においては冷凍サイクルが行われるようになっている。よって、運転可能利用ユニット30が設置される庫内において、温度管理が必要な物品の劣化が抑制されている。
【0125】
(6−4)
上記実施形態に係る冷凍装置100では、コントローラ60によって動作を制御されて情報を出力するリモコン50を備え、コントローラ60は、冷媒漏洩制御モードにおいては、リモコン50において所定の報知情報を出力させている。
【0126】
これにより、利用ユニット30において冷媒漏洩が生じた場合には、冷媒漏洩が生じたこと、及び冷媒漏洩が生じている利用ユニット30、を特定する報知情報が出力されるようになっている。その結果、いずれかの利用ユニット30において冷媒漏洩が生じた場合、管理者が係る事態を認識しやすく対処を促されるようになっており、保安性にさらに優れている。
【0127】
(7)変形例
上記実施形態は、以下の変形例に示すように適宜変形が可能である。なお、各変形例は、矛盾が生じない範囲で他の変形例と組み合わせて適用されてもよい。
【0128】
(7−1)変形例A
上記実施形態では、利用ユニット30において利用側熱交換器32の冷媒の入口側に、利用ユニット30に流入する冷媒の流れを遮断する「入口弁」として開閉弁36が配置されていた。しかし、開閉弁36の配置態様(位置)は、必ずしもこれに限定されず、設計仕様や設置環境に応じて適宜変更が可能である。
【0129】
例えば、開閉弁36は、
図5に示すように配置されてもよい。
図5においては、開閉弁36の配置態様(位置)が冷媒回路RCとは異なる冷媒回路RC1を有する冷凍装置100aの概略構成が示されている。
【0130】
冷媒回路RC1においては、開閉弁36は、利用ユニット30内ではなく利用ユニット30外に配置されている。より詳細には、冷媒回路RC1においては、開閉弁36は、利用側液冷媒管P5の利用ユニット30外において延びる部分に配置されている(つまり、利用ユニット30と液冷媒連絡管L1の間に配置されている)。すなわち、冷凍装置100では開閉弁36は利用ユニット30の構成要素に含まれていたが、冷凍装置100aにおける開閉弁36は、冷媒回路RC1において利用ユニット30とは独立した要素として配置されている。
【0131】
係る冷媒回路RC1を冷媒回路RC1に代えて有する冷凍装置100aでも、開閉弁36は、利用側熱交換器32の冷媒の入口側において配置されており、利用ユニット30に流入する冷媒の流れを遮断することが可能である。このため、冷凍装置100と同様の効果を達成することが可能である。
【0132】
(7−2)変形例B
上記実施形態では、利用ユニット30において利用側熱交換器32の冷媒の入口側に、利用ユニット30に流入する冷媒の流れを遮断する「入口弁」として開閉弁36が配置されていた。しかし、開閉弁36については設計仕様や設置環境に応じて適宜省略が可能である。
【0133】
例えば、冷媒回路RCにおいて開閉弁36を省略し、
図6に示す冷媒回路RC2のように配置されてもよい。
図6においては、開閉弁36が省略された冷媒回路RC2を有する冷凍装置100bの概略構成が示されている。
【0134】
冷媒回路RC2においては、感温式の利用側膨張弁31に代えて、利用側電子膨張弁31aが配置されている。利用側電子膨張弁31aは、所定の駆動電圧を供給されることで開度が変化する開度調整が可能な電動弁である。コントローラ60が係る利用側電子膨張弁31aの開度を適宜調整することで、冷凍装置100と同様の効果を達成することが可能である。
【0135】
すなわち、
図4におけるタイミングチャートにおける各開閉弁36の閉状態を、利用側電子膨張弁31aの最小開度(全閉状態)と置き換えることで、利用側電子膨張弁31aが開閉弁36と同様に「入口弁」として機能し、冷媒漏洩利用ユニット30に流入する冷媒の流れを遮断することが可能である。また、冷凍装置100bでも、冷却運転、冷媒回収運転、残存冷媒量判定運転、及び縮退運転について冷凍装置100と同様に行うことが可能である。
【0136】
なお、冷凍装置100bにおいては、冷媒回収運転完了後、運転可能利用ユニット30の利用側電子膨張弁31aを最小開度から開状態に切り換える前に、必ずしも圧縮機11を停止させる必要はない。これは、利用側電子膨張弁31aは開度調整が可能な電動弁であることから、圧縮機11を停止させなくとも、開度を徐々に大きくしていくことで、冷媒回路RC2内の急激な圧力変動を抑制することが可能であり、冷媒配管や機器の損傷が抑制されるためである。
【0137】
また、冷凍装置100では冷媒回収運転時に運転可能利用ユニット30の開閉弁が閉状態に制御されたが、冷凍装置100bにおいては、冷媒回収運転時に、運転可能利用ユニット30の利用側電子膨張弁31aが必ずしも最小開度に制御される必要はない。すなわち、利用側電子膨張弁31aの開度は、各利用ユニット30から熱源ユニット10への冷媒回収が可能な開度(例えば微小開度)に設定されればよい。
【0138】
(7−3)変形例C
上記実施形態では、利用側熱交換器32の冷媒の出口側において出口側から入口側への冷媒の流入を抑制する「出口弁」として逆止弁37が配置されていた。しかし、逆止弁37に代えて、電磁弁又は電動弁を配置してもよい。係る電磁弁又は電動弁が、冷媒回収運転、残存冷媒量判定運転、及び縮退運転時において、閉状態又は最小開度(全閉状態)に制御されることで、冷媒漏洩利用ユニット30における更なる冷媒漏洩を抑制しつつ、運転可能利用ユニット30において縮退運転を行うことが可能となる。すなわち、係る場合、逆止弁37に代えて配置される電磁弁又は電動弁が「出口弁」として機能する。
【0139】
(7−4)変形例D
上記実施形態では、冷媒回収運転完了後、運転可能利用ユニット30の開閉弁36を閉状態から開状態に切り換える前に、圧縮機11を停止させていた。この点、冷媒回路RC内の急激な圧力変動によって冷媒配管や機器の損傷を抑制するという観点によれば、係るタイミングにおいて、圧縮機11を一旦停止させることが好ましい。しかし、圧縮機11を停止させなくても保安性が担保される状況においては、係るタイミングにおいて必ずしも圧縮機11を停止させる必要はない。例えば、係るタイミングにおいて圧縮機11の回転数を小さく設定することで冷媒配管や機器の損傷のおそれがない場合には、圧縮機11を停止させなくてもよい。
【0140】
(7−5)変形例E
上記実施形態では、冷媒回収運転完了後、残存冷媒量判定運転を行っていた。この点、いずれかの利用ユニット30において冷媒漏洩が生じた場合において、運転可能利用ユニット30において縮退運転を行う時には、冷媒回路RCに残存している冷媒量に応じた回転数で圧縮機11を運転させるのが、保安性の観点からは好ましい。しかし、残存冷媒量判定を行わなくても保安性が担保される状況にある場合には、係るタイミングにおいて必ずしも残存冷媒量判定運転を行う必要はなく、適宜省略が可能である。
【0141】
また、残存冷媒量判定運転を独立して行うのではなく、縮退運転中に残存冷媒量判定が行われるように構成してもよい。
【0142】
(7−6)変形例F
上記実施形態では、熱源ユニット制御部25と各利用ユニット制御部38とが通信線cb1を介して接続されることで、冷凍装置100の動作を制御するコントローラ60が構成されていた。しかし、コントローラ60の構成態様については必ずしもこれに限定されず、設計仕様や設置環境に応じて適宜変更が可能である。例えば、コントローラ60に含まれる要素(記憶部61、通信部62、モード制御部63、アクチュエータ制御部64、及び表示制御部65)の一部又は全部は、必ずしも、熱源ユニット10及び利用ユニット30のいずれかに配置される必要はなく、通信ネットワークで接続された遠隔地において、別装置内に配置されてもよいし独立に配置されてもよい。すなわち、コントローラ60に含まれる要素(記憶部61、通信部62、モード制御部63、アクチュエータ制御部64、及び表示制御部65)を構築可能であれば、コントローラ60の構成態様については特に限定されない。
【0143】
(7−7)変形例G
上記実施形態では、吸入圧力センサ20の検出値(吸入圧力LP)が所定の閾値ΔTh未満となることで、冷媒回収が完了したものとして冷媒回収運転が完了するように構成されていた(
図3のステップS109及びステップS110参照)。しかし、冷媒回収運転が完了する契機については、設計仕様や設置環境に応じて適宜変更が可能である。
【0144】
例えば、吸入圧力センサ20の検出値(吐出圧力HP)が所定値未満となることで冷媒回収が完了したものとして冷媒回収運転を完了するように構成されてもよい。
【0145】
また、例えば、冷媒回収運転開始後、予め設定した所定時間が経過したことを契機として冷媒回収が完了したものとして冷媒回収運転を完了するように構成されてもよい。
【0146】
(7−8)変形例H
上記実施形態では、閾値ΔThは、冷媒回路RC内に封入されている冷媒量、及び圧縮機11の特性から定まる冷媒循環量等に基づいて、大気圧を下回らない程度の値に設定され、0.1MPaに設定されていた。しかし、閾値ΔThは、必ずしも0.1MPaに限定されず、設計仕様や設置環境に応じて適当な値が設定されればよい。
【0147】
(7−9)変形例I
上記実施形態では、コントローラ60は、残存冷媒量判定運転において、吸入圧力センサ20の検出値(吸入圧力LP)と所定の圧力基準値SPとを比較することで残存冷媒量を判定していた。しかし、残存冷媒量を判定する方法については、必ずしもこれに限定されず、適宜変更が可能である。例えば、コントローラ60は、吐出圧力センサ21の検出値(吐出圧力HP)と所定の圧力基準値SPとを比較することで残存冷媒量を判定するように構成してもよい。
【0148】
(7−10)変形例J
上記実施形態では、冷媒回収が最短時間で完了するように、冷媒回収運転時における圧縮機11の回転数は、最大回転数に設定されていた。しかし、冷媒回収運転における圧縮機11の回転数は必ずしもこれに限定されず、設計仕様や設置環境に応じて適宜変更が可能である。
【0149】
(7−11)変形例K
上記実施形態では、残存冷媒量判定運転後、縮退運転が行われ、縮退運転においては残存冷媒量に見合った回転数で圧縮機11が運転するように制御されていた。この点、例えば、冷媒回路RCにおいて圧縮機11が複数配置される場合には、縮退運転時に運転させる圧縮機11の台数を制限することで能力をセーブしてもよい。
【0150】
また、例えば、補充用の冷媒を充填されたタンクを冷媒回路RCに予め接続しておき、縮退運転前に或いは縮退運転中に、冷媒回路RC内に不足分の冷媒が適宜補充されるように構成してもよい。
【0151】
(7−12)変形例L
上記実施形態では、残存冷媒量判定運転開始後、所定時間t1の経過時に残存冷媒量を判定するように構成され、所定時間t1は3分に設定されていた。しかし、所定時間t1は必ずしも3分には限定されず、適宜変更が可能である。例えば所定時間t1は、1分に設定されてもよいし、5分に設定されてもよい。また、残存冷媒量判定運転の開始後、所定時間t1の経過時に残存冷媒量を判定するのではなく、他のイベントを契機として残存冷媒量が判定されるように変更してもよい。
【0152】
(7−13)変形例M
上記実施形態では、冷媒漏洩センサ40は、利用ユニット30内に配置されていた。しかし、冷媒漏洩センサ40は、対応する利用ユニット30内の冷媒漏洩を検知可能な態様で配置される限り、必ずしも利用ユニと30内に配置される必要はない。例えば、冷媒漏洩センサ40は、対応する利用ユニット30が設置される空間(庫内)に配置されてもよい。
【0153】
(7−14)変形例N
上記実施形態では、各利用ユニット30の冷媒漏洩を検出するために冷媒漏洩センサ40が配置されていた。しかし、冷媒漏洩センサ40によらずとも各利用ユニット30の冷媒漏洩を検出可能な場合には、冷凍装置100において冷媒漏洩センサ40は必ずしも必要ない。例えば、各利用ユニット30内に冷媒圧力センサや冷媒温度センサ等のセンサを配置し、係るセンサの検出値の変化に基づき、各利用ユニット30における冷媒漏洩を個別に検出可能な場合には冷媒漏洩センサ40を省略してもよい。
【0154】
(7−15)変形例O
上記実施形態では、コントローラ60は、運転状況に応じて所定の情報を、「情報出力部」としてのリモコン50に出力させていた。特に、コントローラ60は、冷媒回収運転、残存冷媒量判定運転、及び縮退運転時には、所定の報知情報をリモコン50に出力させていた。この点、冷媒漏洩が生じた場合に、管理者に対して報知を行えるものであれば、リモコン50以外の機器を「情報出力部」として機能させてもよい。
【0155】
例えば、音声を出力可能なスピーカを配置して、当該スピーカに所定の警告音やメッセージ音声を出力させることで、報知情報を出力させて「情報出力部」として機能させてもよい。また、LEDランプ等の光源を配置して、当該光源を点滅又は点灯させることで報知情報を出力させて「情報出力部」として機能させてもよい。また、冷凍装置100が適用される施設や現場から離れた遠隔地に設置される集中管理機器等の装置において報知情報を出力させて「情報出力部」として機能させてもよい。
【0156】
(7−16)変形例P
上記実施形態では、本発明が冷蔵倉庫や店舗のショーケースの庫内の冷却を行う冷凍装置100に適用されていた。しかし、これに限定されず、本発明は、利用ユニットを複数有する冷媒回路を有する他の冷凍装置に適用可能である。例えば、本発明は、輸送コンテナ内の冷却を行う冷凍装置に適用されてもよい。また、例えば、本発明は、建物内の冷房等を行うことで空気調和を実現する空調システム(エアコン)に適用されてもよい。
【0157】
また、例えば、
図1における冷媒回路RCにおいて、四路切換弁を配置する等して利用側熱交換器32を冷媒の放熱器又は凝縮器として機能させ、利用ユニット30が設置される空間の加熱運転又は暖房運転を行うように構成してもよい。
【0158】
(7−17)変形例Q
上記実施形態では、1台の熱源ユニット10と、3台の利用ユニット30と、を有していた。しかし、冷凍装置100に配置される熱源ユニット10の台数については特に限定されず、2台以上であってもよい。また、冷凍装置100が有する利用ユニット30の台数については特に限定されず、2台であってもよいし、4台以上であってもよい。
【0159】
また、冷媒回路RCに配置される圧縮機11の台数は1台であったが、圧縮機11の台数についても特に限定されず、設計仕様や設置環境に応じて2台以上の圧縮機11が配置されてもよい。
【0160】
また、上記実施形態では、利用ユニット30aが冷媒漏洩利用ユニットであり、利用ユニット30b及び30cが運転可能利用ユニットである場合について説明した。しかし、利用ユニット30a以外の利用ユニット30が冷媒漏洩利用ユニットであっても上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0161】
(7−18)変形例R
上記実施形態では、R32が冷媒回路RCを循環する冷媒として用いられていた。しかし、冷媒回路RCで用いられる冷媒は、特に限定されない。例えば、冷媒回路RCでは、HFO1234yf、HFO1234ze(E)やこれらの冷媒の混合冷媒などが、R32に代えて用いられてもよい。また、冷媒回路RCでは、R407CやR410A等のHFC系冷媒が用いられてもよい。また、冷媒回路RCでは、プロパンのような燃焼性を有する冷媒、又は、アンモニアのような毒性を有する冷媒が用いられてもよい。
【0162】
(7−19)変形例S
上記実施形態では、冷媒回収運転を行ううえで運転可能利用ユニット30の開閉弁36を閉状態に制御していた(
図3のステップS107)。しかし、係る制御については、必ずしも必要なく、省略可能である。係る場合でも、上記(6−1)において記載した作用効果については実現されうる。すなわち、運転可能利用ユニット30の開閉弁36が開状態に制御された状態で冷媒回収運転が行われる場合でも、冷媒漏洩利用ユニット30の開閉弁36が閉状態に制御されていれば、冷媒漏洩利用ユニット30への冷媒の流入が停止され、冷媒漏洩利用ユニット30内の冷媒が熱源ユニット10へ回収される。よって、漏洩冷媒量の増大が抑制される。
【0163】
(7−20)変形例T
上記実施形態では、冷媒漏洩制御モード時に行われる運転には、冷媒回収運転、残存冷媒量判定運転及び縮退運転が含まれていた。しかし、冷媒漏洩制御モード時に行われる運転には、これらの運転のいずれかに代えて/これらの運転とともに、他の運転が含まれていてもよい。
【0164】
例えば、冷媒漏洩制御モード時には、冷媒回収運転、残存冷媒量判定運転及び縮退運転に代えて、圧縮機11の回転数を通常運転モード時から特に変更することなく圧縮機11を継続的に運転させる継続運転が行われるように構成してもよい。係る継続運転においては、圧縮機11は、通常運転モード時と同様、冷却負荷等に応じた成り行きの回転数で運転される。
【0165】
係る場合にも、上記(6−1)等に記載した作用効果について実現されうる。すなわち、上記継続運転においても、冷媒漏洩利用ユニット30の開閉弁36が閉状態に制御されていれば、冷媒漏洩利用ユニット30への冷媒の流入が停止され、漏洩冷媒量の増大が抑制される。また、運転可能利用ユニット30の開閉弁36が開状態に制御された状態で圧縮機11の運転が継続されることで、運転可能利用ユニット30においては冷凍サイクルが行われ、運転可能利用ユニット30が設置される庫内において温度管理が必要な物品の劣化が抑制される。