(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
[A]重合体が、下記(ii)〜(iv)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む構造単位をさらに有する請求項1又は請求項2に記載のレジストパターン形成方法。
(ii)アルカリ可溶性基
(iii)アルカリ解離性基
(iv)酸解離性基
上記(ii)アルカリ可溶性基が、フェノール性水酸基、β−ジケトン構造を有する基、β−ケトエステル構造を有する基、β−ジカルボン酸エステル構造を有する基、β−チオキソケトン構造を有する基、及びスルホンアミド構造を有する基からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項3又は請求項4に記載のレジストパターン形成方法。
[B]有機溶媒が、エーテル系溶媒及びアルコール系溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のレジストパターン形成方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<レジストパターン形成方法>
当該レジストパターン形成方法は、
感放射線性樹脂組成物でレジスト膜を形成する工程(以下、「レジスト膜形成工程」ともいう)、
保護膜形成用組成物で上記レジスト膜上に保護膜を積層する工程(以下、「保護膜積層工程」ともいう)、
上記保護膜が積層されたレジスト膜を露光する工程(以下、「露光工程」ともいう)、及び
上記露光されたレジスト膜を現像する工程(以下、「現像工程」ともいう)
を有し、
上記保護膜形成用組成物が、
[A]重合体、及び
[B]有機溶媒
を含有する。
【0012】
本発明のレジストパターン形成方法においては、レジスト膜上に、上記構造単位(I)を有する[A]重合体及び[B]有機溶媒を含有する保護膜形成用組成物から形成される保護膜を積層し、レジスト膜表面を被覆する。このような保護膜でレジスト膜表面を被覆すると、露光の際に発生するOOBを上記保護膜が吸収することから、OOBが原因となって起こるとされているナノエッジラフネスの悪化を抑制し、改善することができる。また、上記保護膜は、ガラス転移温度の高い[A]重合体で形成されていることから、レジスト膜から発生する揮発成分の透過を抑えることができ、アウトガスを低減することができる。
以下、各工程について説明する。
【0013】
[レジスト膜形成工程]
本工程では、レジスト膜を形成する。このレジスト膜は、通常、感放射線性樹脂組成物を用いて基板上への塗布により形成される。基板としては、例えばシリコンウエハ、アルミニウムで被覆されたウエハ等の従来公知の基板を使用できる。また、例えば特公平6−12452号公報や特開昭59−93448号公報等に開示されている有機系又は無機系の下層反射防止膜を基板上に形成してもよい。なお、上記感放射線性樹脂組成物については後述する。
【0014】
塗布方法としては、例えば回転塗布(スピンコーティング)、流延塗布、ロール塗布等が挙げられる。なお、形成されるレジスト膜の膜厚としては、通常10nm〜1,000nmであり、10nm〜500nmが好ましい。
【0015】
上記感放射線性樹脂組成物を塗布した後、必要に応じてプレベーク(PB)によって塗膜中の溶媒を揮発させてもよい。PB温度としては、上記感放射線性樹脂組成物の配合組成によって適宜選択されるが、通常30℃〜200℃であり、50℃〜150℃が好ましい。PB時間としては、通常5秒〜600秒であり、10秒〜300秒が好ましい。
【0016】
また、環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するために、例えば、特開平5−188598号公報等に開示されている保護膜をレジスト膜上に設けることもできる。
【0017】
[保護膜積層工程]
本工程では、後述の保護膜形成用組成物を用い、上記レジスト膜上に保護膜を積層する。この保護膜形成用組成物は、通常、レジスト膜の表面を被覆するように塗布される。上記レジスト膜の表面に上記保護膜を積層させることにより、露光時に発生するOOBの影響を低減することができ、得られるパターンにおけるナノエッジラフネスを改善することができる。また、上記保護膜はガラス転移温度の高い重合体で形成されているので、レジスト膜が発生する揮発成分の透過を抑えることができ、アウトガスを低減することができる。
【0018】
塗布方法としては、上記保護膜形成用組成物が上記レジスト膜の表面を被覆するように塗布される方法であれば特に限定されないが、例えば回転塗布(スピンコーティング)、流延塗布、ロール塗布等が挙げられる。なお、形成される保護膜の膜厚としては、通常10nm〜1,000nmであり、10nm〜500nmが好ましい。
【0019】
上記保護膜形成用組成物を塗布した後、必要に応じてPBによって塗膜中の溶媒を揮発させてもよい。PB温度としては、上記保護膜形成用組成物の配合組成によって適宜選択されるが、通常30℃〜200℃であり、50℃〜150℃が好ましい。PB時間としては、通常5秒〜600秒であり、10秒〜300秒が好ましい。
【0020】
なお、上記保護膜形成用組成物から形成される保護膜は、波長150nm以上350nm以下の光を吸収することが好ましい。このような保護膜としては、例えば、分光エリプソメーター等を用いて上記保護膜の波長150nm以上350nm以下の範囲における光学定数(消衰係数)を測定した場合に、この範囲における消衰係数の最大値が0.3以上であることが好ましく、最大値が0.5以上であることがより好ましい。この消衰係数の最大値は、ピークの極大値であってもピークの極大値でなくてもよく、例えば、上記波長範囲外にピークの極大を有し、このピークの裾野における消衰係数の値が上記波長範囲において上記条件を満たしている場合であってもよい。上記保護膜が波長150nm以上350nm以下の光を吸収することができると、当該レジストパターン形成方法において保護膜形成用組成物から形成される保護膜は、EUV光が発生するOOBの影響をより低減することができる。
【0021】
[露光工程]
本工程では、上記保護膜が積層されたレジスト膜を露光する。露光量等の露光条件は、用いる感放射線性樹脂組成物の配合組成や添加剤の種類等に応じて適宜選択することができる。露光に用いる放射線としては、例えば、ArFエキシマレーザー光(193nm)、KrFエキシマレーザー光(248nm)等の遠紫外線、EUV、X線、γ線等の電磁波;電子線、α線等の荷電粒子線等が挙げられる。露光に用いる放射線としては、これらの中で、EUV、電子線が好ましい。当該レジストパターン形成方法においては、OOB及びOGの影響を低減することができるので、これらの放射線を用いる場合に特に利益が大きい。
【0022】
上記露光工程では、例えば、所望の領域にアイソラインパターンを有するマスクを介して縮小投影露光を行うことにより、アイソスペースパターンを形成できる。同様にして、ドットパターンを有するマスクを介して縮小投影露光を行うことによりホールパターンを形成することができる。また、露光は所望のパターンのマスクパターンによって2回以上行ってもよい。2回以上露光を行う場合、露光は連続して行うことが好ましい。複数回露光する場合、例えば所望の領域にラインアンドスペースパターンマスクを介して第1の縮小投影露光を行い、続けて第1の露光を行った露光部に対してラインが交差するように第2の縮小投影露光を行う。第1の露光部と第2の露光部とは直交することが好ましい。直交することにより、露光部で囲まれた未露光部においてコンタクトホールパターンを形成することができる。電子線を照射する場合、例えば、照射する電子線を走査することにより露光を行う。
【0023】
当該レジストパターン形成方法においては、上述のように露光工程を複数回有してもよく、これらの複数回の露光においては、同じ放射線を用いても異なる放射線を用いてもよい。
【0024】
また、露光後にポストエクスポージャーベーク(PEB)を行なうことが好ましい。PEBを行なうことにより、上記感放射線性樹脂組成物中の酸解離性基の解離反応を円滑に進行させることができる。PEB温度としては、通常30℃〜200℃であり、50℃〜170℃が好ましい。PEB時間としては、通常5秒〜600秒であり、10秒〜300秒が好ましい。
【0025】
[現像工程]
本工程では、上記露光されたレジスト膜を現像する。現像に使用される現像液としては、例えば、アルカリ性の水溶液を用いることもできるし、有機溶媒を含有する液を用いることもできる。現像液は形成するパターン形状に応じて選択することができる。マスクパターンを露光によりレジスト膜上に投影した時に、光照射強度の強い領域をアルカリ性の水溶液で現像することにより、所定の閾値以上の露光部が溶解・除去されることによってポジ型のレジストパターンを形成することができる。一方、マスクパターンを露光によりレジスト膜上に投影した時に光照射強度の弱い領域を、有機溶媒を含有する液で現像することにより、所定の閾値以下の露光部が溶解・除去されることによってネガ型のレジストパターンを形成することができる。所望する解像性やパターン形状に応じてこれらの現像液を組み合わせて現像することもできる。アルカリ性の水溶液に用いられるアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア等の無機アルカリ;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。また、このようなアルカリ水溶液には、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。アルカリ水溶液におけるアルカリの濃度は、適切な現像性を得る観点から、0.1質量%以上5質量%以下が好ましい。
【0026】
現像液には、必要に応じて界面活性剤を適当量添加することができる。界面活性剤としては例えば、イオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができる。
【0027】
現像方法としては、例えば現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。現像時間は、用いる感放射線性樹脂組成物の組成によって異なるが、好ましくは10秒〜180秒である。
【0028】
当該レジストパターン形成方法では、上記現像工程の後にレジスト膜をリンス液により洗浄するリンス工程を有することが好ましい。リンス工程を有することで、発生したスカムを効率よく洗浄することができる。上記リンス工程におけるリンス液としては、上記現像液がアルカリ性水溶液の場合、例えば、水を使用することができる。
【0029】
<保護膜形成用組成物>
当該レジストパターン形成方法に用いられる保護膜形成用組成物は、[A]重合体及び[B]有機溶媒を含有する。なお、当該保護膜形成用組成物は、本発明の効果を損なわない限り、[A]重合体及び[B]有機溶媒以外に任意成分を含有してもよい。
【0030】
当該保護膜形成用組成物は、当該レジストパターン形成方法において、レジスト膜の表面被覆に用いられ、レジスト膜上に保護膜を形成するのに用いられる。この保護膜は、[A]重合体を含んでいる。[A]重合体は、構造単位(I)を有しているので、露光の際に発生するOOBを吸収することができ、また、ガラス転移温度が比較的高くなっている。その結果、当該保護膜形成用組成物によれば、OOBが原因となって起こるとされている得られるパターンのナノエッジラフネスを改善することができ、またレジスト膜が発生するOGを抑制することができる。
以下、各成分について説明する。
【0031】
<[A]重合体>
[A]重合体は、構造単位(I)を有する重合体である。[A]重合体は、構造単位(I)を有することで、露光の際に発生するOOBを吸収することができ、かつガラス転移温度が比較的高い。その結果、当該保護膜形成用組成物から形成される保護膜は、OOBを吸収することにより得られるレジストパターンのナノエッジラフネスを改善することができると共に、レジスト膜が発生するOGを抑制することができる。
【0032】
[A]重合体は、構造単位(I)以外にも、(ii)アルカリ可溶性基、(iii)アルカリ解離性基及び(iv)酸解離性基からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む構造単位(以下、「構造単位(II)」ともいう)、並びに構造単位(I)及び(II)以外のその他の構造単位を有していてもよい。以下、各構造単位について説明する。
【0033】
[構造単位(I)]
構造単位(I)は、下記式(i−1)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−1)」ともいう)及び下記式(i−2)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−2)」ともいう)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0035】
上記式(i−1)中、L
1は、それぞれ独立して、単結合、メチレン基、炭素数2〜5のアルキレン基、炭素数3〜15のシクロアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、又はこれらの基と−O−及び−CO−からなる群より選ばれる少なくとも1種とを組み合わせた2価の基である。R
7は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜5の1価の鎖状炭化水素基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、又は−OR
A基を末端に有しこの基が結合する炭素原子が少なくとも1つのフッ素原子若しくはフッ素化アルキル基を有する基(a)である。
上記式(i−2)中、L
2は、炭素数1〜5のアルカン、炭素数3〜15のシクロアルカン又は炭素数6〜20のアレーンに由来する(n+1)価の基である。R
7’は、水素原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜5の1価の鎖状炭化水素基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、又は上記基(a)である。nは、1〜3の整数である。nが2又は3の場合、複数のR
7’は同一でも異なっていてもよい。
【0036】
(構造単位(I−1))
上記L
1で表される炭素数2〜5のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、直鎖状又は分岐状のプロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基等が挙げられる。
【0037】
上記L
1で表される炭素数3〜15のシクロアルキレン基としては、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロデシレン基、ノルボルニレン基、アダマンチレン基等が挙げられる。
【0038】
上記L
1で表される炭素数6〜20のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ナフチレン基、アントリレン基等が挙げられる。
【0039】
上記L
1で表される単結合、メチレン基、アルキレン基、シクロアルキレン基及びアリーレン基と−O−及び−CO−からなる群より選ばれる少なくとも1種とを組み合わせた2価の基としては、例えば、−O−、−CO−、−COO−、メチレンオキシ基、メチレンカルボニル基、メチレンカルボニルオキシ基、メチレンオキシカルボニル基、アルキレンオキシ基、アルキレンカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、シクロアルキレンオキシ基、シクロアルキレンカルボニル基、シクロアルキレンカルボニルオキシ基、シクロアルキレンオキシカルボニル基、アリーレンオキシ基、アリーレンカルボニル基、アリーレンカルボニルオキシ基、アリーレンオキシカルボニル基、メチレンオキシメチレン基、メチレンカルボニルメチレン基、メチレンオキシカルボニルメチレン基、アルキレンオキシアルキレン基、アルキレンカルボニルアルキレン基、アルキレンオキシカルボニルアルキレン基、シクロアルキレンオキシシクロアルキレン基、シクロアルキレンカルボニルシクロアルキレン基、シクロアルキレンオキシカルボニルシクロアルキレン基、アリーレンオキシアリーレン基、アリーレンカルボニルアリーレン基、アリーレンオキシカルボニルアリーレン基、アルキレンオキシアリーレン基等が挙げられる。
【0040】
上記L
1としては、[A]重合体のガラス転移温度がより高くなる観点から、単結合、メチレン基が好ましく、単結合がより好ましい。
【0041】
上記R
7で表される炭素数1〜5の1価の鎖状炭化水素基としては、例えば、
メチル基、エチル基、直鎖状又は分岐状のプロピル基、ブチル基、ペンチル基等のアルキル基;
エテニル基、直鎖状又は分岐状のプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、直鎖状又は分岐状のブチニル基、ペンチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
【0042】
上記R
7で表される炭素数1〜5のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、直鎖状又は分岐状のプロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基等が挙げられる。
【0043】
上記R
7で表される炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、直鎖状又は分岐状のプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等が挙げられる。
【0044】
上記R
7で表される−OR
A基を末端に有しこの基が結合する炭素原子が少なくとも1つのフッ素原子若しくはフッ素化アルキル基を有する基(a)としては、この構造を有する限り特に限定されないが、下記式(a’)で表される基が好ましい。
【0046】
上記式(a’)中、R
1〜R
6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基である。但し、R
1〜R
6のうちの少なくとも1つはフッ素原子又は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基である。R
Aは、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。
【0047】
上記R
1〜R
6で表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0048】
上記R
1〜R
6で表される炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、直鎖状又は分岐状のヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、ウンデカフルオロペンチル基等が挙げられる。
【0049】
上記R
1〜R
6としては、フッ素原子、パーフルオロアルキル基が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
【0050】
上記R
Aで表される炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、この炭化水素基の炭素−炭素間にヘテロ原子を有する基を含むヘテロ原子含有基、このヘテロ原子含有基が有する水素原子の一部又は全部を置換基で置換した基等が挙げられる。
【0051】
上記炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
【0052】
上記ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子等が挙げられる。
【0053】
上記ヘテロ原子を有する基としては、例えば、−O−、−CO−、−NH−、−S−、これらを組み合わせた基等が挙げられる。
【0054】
上記置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基等が挙げられる。
【0055】
上記R
Aとしては、上記保護膜の現像除去性がより良好となる観点から、水素原子が好ましい。
【0056】
上記基(a)としては、例えば、メチルフルオロメチルヒドロキシメチル基、メチルジフルオロメチルヒドロキシメチル基、メチルトリフルオロメチルヒドロキシメチル基、ジ(フルオロメチル)ヒドロキシメチル基、ジ(トリフルオロメチル)ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチルペンタフルオロエチルヒドロキシメチル基、ジ(ペンタフルオロエチル)ヒドロキシメチル基等が挙げられる。これらの中で、ジ(トリフルオロメチル)ヒドロキシメチル基が好ましい。
【0057】
R
7としては、上記保護膜を積層させたレジスト膜の感度をより高くする観点からは水素原子が、また、上記保護膜の現像除去性がより良好となる観点からはヒドロキシ基、基(a)が好ましく、水素原子、ヒドロキシ基、ジ(トリフルオロメチル)ヒドロキシメチル基がより好ましい。
【0058】
L
1とR
7とを組み合せた基としては、上記保護膜を積層させたレジスト膜の感度をより高くする観点からは水素原子が、また、上記保護膜の現像除去性がより良好となる観点からはヒドロキシ基、基(a)が好ましく、水素原子、ヒドロキシ基、ジ(トリフルオロメチル)ヒドロキシメチル基がより好ましい。
【0059】
構造単位(I−1)としては、例えば、下記式(1−1−1)〜(1−1−12)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−1−1)〜(I−1−12)」ともいう)等が挙げられる。
【0061】
これらの中で、構造単位(I−1−1)〜(I−1−3)が好ましい。
【0062】
(構造単位(I−2))
上記L
2で表される炭素数1〜5のアルカンに由来する(n+1)価の基としては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン等のアルカンから(n+1)個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
【0063】
上記L
2で表される炭素数3〜15のシクロアルカンに由来する(n+1)価の基としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロデカン、ノルボルナン、アダマンタン等のシクロアルカンから(n+1)個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
【0064】
上記L
2で表される炭素数6〜20のアレーンに由来する(n+1)価の基としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン等のアレーンから(n+1)個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
【0065】
上記R
7’で表されるそれぞれの基としては、例えば、上記式(i−1)のR
7で表されるそれぞれの基として例示した基と同様の基等が挙げられる。
【0066】
上記nとしては、1又2が好ましく、1がより好ましい。
【0067】
構造単位(I−2)としては、例えば、下記式(1−2−1)〜(1−2−8)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−2−1)〜(I−2−8)」ともいう)等が挙げられる。
【0069】
これらの中で、構造単位(I−2−1)、構造単位(I−2−2)が好ましい。
【0070】
構造単位(I)の含有割合の下限としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、10モル%が好ましく、25モル%がより好ましく、40モル%がさらに好ましい。構造単位(I)の含有割合の上限としては、100モル%が好ましく、80モル%がより好ましく、70モル%がさらに好ましい。構造単位(I)の含有割合を上記範囲とすることで、当該レジストパターン形成方法により得られるレジストパターンのナノエッジラフネスを向上させることができ、また、感度及びアウトガス抑制性も向上させることができる。
【0071】
構造単位(I)を与える単量体としては、例えば下記式(1−1−1m)〜(1−2−8m)で表される化合物(以下、「化合物(1−1−1m)〜(1−2−8m)」ともいう)等が挙げられる。
【0073】
これらの中で、化合物(1−1−1m)〜(1−1−3m)、化合物(1−2−1m)、化合物(1−2−2m)が好ましい。
【0074】
[構造単位(II)]
構造単位(II)は、(ii)アルカリ可溶性基、(iii)アルカリ解離性基、及び(iv)酸解離性基からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む構造単位である。
(iii)アルカリ解離性基とは、ヒドロキシ基、カルボキシ基等の水素原子を置換する基であって、アルカリの作用により解離する基をいう。[A]重合体は、(iii)アルカリ解離性基を含む構造単位(II)を有することで、アルカリ現像液の作用により、溶解度が増大する。(iv)酸解離性基とは、ヒドロキシ基、カルボキシ基等の水素原子を置換する基であって、酸の作用により解離する基をいう。
【0075】
(ii)アルカリ可溶性基としては、例えば、カルボキシ基、スルホ基、フェノール性水酸基、スルホンアミド基、β−ジケトン構造を有する基、β−ケトエステル構造を有する基、β−ジカルボン酸エステル構造を有する基、β−チオキソケトン構造を有する基、上記基(a)等が挙げられる。
【0076】
アルカリ可溶性基としてのフェノール性水酸基を含む構造単位としては、例えば、下記式(ii−1)〜(ii−3)で表される構造単位(以下、「構造単位(II−1)〜(II−3)」ともいう)等が挙げられる。
アルカリ可溶性基としてのスルホンアミド基を含む構造単位としては、例えば、下記式(ii−6)で表される構造単位(以下、「構造単位(II−6)」ともいう)等が挙げられる。
アルカリ可溶性基としてのβ−ジケトン構造を有する基、β−ケトエステル構造を有する基、β−ジカルボン酸エステル構造を有する基又はβ−チオキソケトン構造を有する基を含む構造単位としては、下記式(ii−5)で表される構造単位(以下、「構造単位(II−5)」ともいう)等が挙げられる。
アルカリ可溶性基としての上記基(a)を含む構造単位としては、下記式(ii−4)で表される構造単位(以下、「構造単位(II−4)」ともいう)等が挙げられる。
[A]重合体が構造単位(II)を有することで、当該保護膜形成用組成物は感度を向上させることができ、特に、EUV又は電子線に対する感度を向上させることができる。(以下、構造単位(II−1)〜(II−6)からなる群より選ばれる少なくとも1種を有する[A]重合体を「[A’]重合体」ともいう。)
【0078】
上記式(ii−1)〜(ii−6)中、R
Cは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
上記式(ii−1)〜(ii−3)中、aは、それぞれ独立して、1〜3の整数である。R
Bは、それぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキル基である。bは、それぞれ独立して、0〜4の整数である。R
Bが複数の場合、複数のR
Bはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。但し、1≦a+b≦5を満たす。
上記式(ii−4)中、L
3及びL
4は、それぞれ独立して、単結合、メチレン基、炭素数2〜5のアルキレン基、炭素数3〜15のシクロアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、又はこれらの基と−O−及び−CO−からなる群より選ばれる少なくとも1種とを組み合わせた2価の基である。R
8は、水素原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜5の1価の鎖状炭化水素基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、又は上記基(a)である。cは、1〜5の整数である。L
4及びR
8がそれぞれ複数の場合、複数のL
4及びR
8はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。但し、R
8のうちの少なくとも1つは上記基(a)である。
上記式(ii−5)中、R
Xは、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、1価の脂環式炭化水素基、アルコキシ基、アシル基、アラルキル基又はアリール基である。上記アルキル基、脂環式炭化水素基、アルコキシ基、アシル基、アラルキル基及びアリール基が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。R
Yは、−C(=O)−R
a、または−S(=O)
2−R
bである。R
a及びR
bは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フッ素化アルキル基、1価の脂環式炭化水素基、アルコキシ基、シアノ基、シアノメチル基、アラルキル基又はアリール基である。但し、R
a又はR
bとR
Xとが互いに結合して環構造を形成していてもよい。dは、1〜3の整数である。R
X及びR
Yがそれぞれ複数の場合、複数のR
X及びR
Yはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。L
5は、(d+1)価の連結基である。
上記式(ii−6)中、R
Zは、2価の連結基である。R
Wは、炭素数1〜20のフッ素化アルキル基である。)
【0079】
上記R
B及びR
Cで表される炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、直鎖状又は分岐状のプロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。
【0080】
上記R
Cとしては、構造単位(II)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子、メチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
上記R
Bとしては、水素原子が好ましい。
【0081】
上記L
3及びL
4で表される炭素数2〜5のアルキレン基、炭素数3〜15のシクロアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、又はこれらの基と−O−及び−CO−からなる群より選ばれる少なくとも1種とを組み合わせた2価の基としては、例えば、上記式(i−1)のL
1として例示したそれぞれの基と同様の基等が挙げられる。
【0082】
上記R
8で表される炭素数1〜5の1価の鎖状炭化水素基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルコキシカルボニル基、及び上記基(a)としては、例えば、上記式(i−1)のR
7として例示したそれぞれの基と同様の基等が挙げられる。
【0083】
上記L
5で表される(d+1)価の連結基としては、例えば、上記式(i−2)のL
2として例示した(n+1)価の基と同様の基等が挙げられる。
【0084】
上記L
5としては、dが2の場合、2価の鎖状炭化水素基が好ましく、アルカンジイル基がより好ましく、エタンジイル基がさらに好ましい。
【0085】
上記R
Xで表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0086】
上記R
Xで表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0087】
上記R
Xで表される1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基等の単環の脂環式炭化水素基、ノルボルニル基、アダマンチル基、ノルボルネニル基等の多環の脂環式炭化水素基等が挙げられる。
【0088】
上記R
Xで表されるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
【0089】
上記R
Xで表されるアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基等が挙げられる。
【0090】
上記R
Xで表されるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0091】
上記R
Xで表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
【0092】
上記R
Xとしては、水素原子、アルキル基、アシル基が好ましく、アシル基がより好ましく、アセチル基がさらに好ましい。
【0093】
上記R
Yとしては、−C(=O)−R
aが好ましく、アシル基がより好ましく、アセチル基がさらに好ましい。
【0094】
上記R
Zで表される2価の連結基としては、例えば、上記式(i−2)のL
2として例示した(n+1)価の基においてnが1の場合のものと同様の基等が挙げられる。これらの中で、2価の鎖状炭化水素基が好ましく、アルカンジイル基がより好ましく、エタンジイル基がさらに好ましい。
【0095】
上記R
Wで表される炭素数1〜20のフッ素化アルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘキサフルオロプロピル基、ペプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。これらの中で、トリフルオロメチル基、ヘプタフルオロメチル基、ノナフルオロブチル基が好ましく、トリフルオロメチル基がより好ましい。
【0096】
構造単位(II)としては、例えば、下記式(2−1−1)〜(2−4−2)で表される構造単位(以下、「構造単位(II−1−1)〜(II−4−2)」ともいう)等が挙げられる。
【0098】
上記式(2−1−1)〜(2−4−2)中、R
Cは、上記式(ii−1)〜(ii−6)と同義である。
【0099】
また、構造単位(II)としては、上記構造単位の他、下記式で表される構造単位も挙げることができる。
【0102】
上記式中、R
Cは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。Z
1及びZ
2は、それぞれ独立して、メチル基又はエチル基である。
【0103】
上記(iii)アルカリ解離性基を含む構造単位(II)としては、例えば、下記式(c2−1−1)〜(c2−2−2)で表される構造単位等が挙げられる。
【0105】
上記式(c2−1−1)及び(c2−1−2)中、R
Cは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。R
9は、−COR
9がアルカリ解離性基となる基である。n1は、それぞれ独立して、0〜4の整数である。Rfは、それぞれ独立して、フッ素原子又は炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基である。Rfが複数の場合、複数のRfは同一でも異なっていてもよい。R
31、R
33及びR
34は、それぞれ独立して、単結合、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状の2価の鎖状炭化水素基又は炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基である。R
32は、炭素数1〜10の3価の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基又は炭素数4〜20の3価の脂環式炭化水素基であり、R
33又はR
34側の末端に酸素原子、硫黄原子、カルボニル基又はイミノ基を有していてもよい。
上記式(c2−2−1)及び式(c2−2−2)中、R
Cは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。R
10は、アルカリ解離性基である。n1は、それぞれ独立して、0〜4の整数である。Rfは、それぞれ独立して、フッ素原子又は炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基である。Rfが複数の場合、複数のRfは同一でも異なっていてもよい。R
21、R
23及びR
24は、それぞれ独立して、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状の2価の鎖状炭化水素基又は炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基である。R
22は、炭素数1〜10の3価の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基又は炭素数4〜20の3価の脂環式炭化水素基であり、R
23又はR
24側の末端に酸素原子、硫黄原子、カルボニル基又はイミノ基を有していてもよい。
【0106】
上記Rfとしては、フッ素原子、トリフルオロメチル基が好ましい。
【0107】
上記式(c2−1−1)及び(c2−1−2)において、n1が1以上のものは、アルカリ水溶液との反応により、隣接する炭素原子がフッ素原子又はパーフルオロアルキル基を有するOH基を生じる。このようなOH基は通常のアルコール性OH基と比較して低いpKa値を有するため、親水性の向上の観点から好ましい。
【0108】
上記式(c2−2−1)及び(c2−2−2)において、n1が1以上のものは、カルボニル基に隣接する炭素原子がフッ素原子又はパーフルオロアルキル基を有しており、アルカリ水溶液に対する反応性が高くなると考えられる。また、アルカリ解離性基が加水分解して生じるCOOH基のpKaが低いものとなり、親水性の向上の観点から好ましい。
【0109】
上記式(c2−1−1)で表される構造単位としては、下記式(c2−1−1a)〜(c2−1−1d)で表される構造単位等が挙げられる。また、上記式(c2−1−2)で表される構造単位としては、下記式(c2−1−2a)又は(c2−1−2b)で表される構造単位等が挙げられる。
【0111】
上記式(c2−2−1)で表される構造単位としては、例えば、下記式(c2−2−1a)〜(c2−2−1d)で表される構造単位等が挙げられる。
【0113】
上記式(c2−2−1a)で表される構造単位としては、例えば、下記式で表される構造単位等が挙げられる。
【0115】
上記式中、R
Cは、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
【0116】
また、上記(iii)アルカリ解離性基を含む構造単位(II)としては、例えば、下記式で表される構造単位等も挙げられる。
【0118】
上記(iv)酸解離性基を含む構造単位としては、例えば後述する式(p−1)で表される構造単位(P−I)と同様の構造単位、下記式で表される構造単位等が挙げられる。
【0120】
構造単位(II)としては、上記保護膜の現像除去性の観点から、構造単位(II−1)、構造単位(II−4)が好ましく、構造単位(II−4)がより好ましい。
また、上記式で表される構造単位の中では、構造単位(II−1−1)、構造単位(II−2−1)、構造単位(II−3−1)、構造単位(II−4−1)が好ましく、構造単位(II−1−1)、構造単位(II−4−1)がより好ましい。
【0121】
構造単位(II)の含有割合としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、5モル%〜80モル%が好ましく、10モル%〜70モル%がより好ましく、20モル%〜60モル%がさらに好ましい。構造単位(II)の含有割合を上記範囲とすることで、当該保護膜形成用組成物は、感度、特にEUV及び電子線への感度をより高めることができる。
【0122】
構造単位(II)を与える単量体としては、例えば下記式(2−1−1m)〜(2−4−2m)で表される化合物(以下、「化合物(2−1−1m)〜(2−4−2m)」ともいう)等が挙げられる。なお、構造単位(II−1−1)は、下記式(2−1−1m)で表される化合物を用いて重合する代わりに、例えばアセトキシスチレンを用いて重合を行い、得られた重合体のアセトキシ基を加水分解してヒドロキシ基に変換して得てもよい。
【0124】
上記式(2−1−1m)〜(2−4−2m)中、R
Cは、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
【0125】
<その他の構造単位>
[A]重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、構造単位(I)及び(II)以外のその他の構造単位を有していてもよい。その他の構造単位としては、下記式(3)で表される構造単位(III)、後述の[C]重合体における式(c−6−1)〜(c−6−3)で表される構造単位等が挙げられる。
【0127】
上記式(3)中、R
12は、水素原子、メチル基、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。R
13は、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のフッ素化炭化水素基又は炭素数3〜10のフッ素化脂環式炭化水素基である。
【0128】
上記R
13で表されるフッ素化炭化水素及びフッ素化脂環式炭化水素基としては、炭素数2〜8の直鎖状又は分岐状のフッ素化炭化水素及び炭素数4〜8のフッ素化脂環式炭化水素基が好ましい。
【0129】
構造単位(III)としては、例えば、下記式(3−1)〜(3−6)で表される構造単位等が挙げられる。
【0131】
上記式(3−1)〜(3−6)中、R
12は、上記式(3)と同義である。
【0132】
上記その他の構造単位の含有割合としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、30モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましい。
【0133】
<[A]重合体の合成方法>
[A]重合体は、例えば所定の各構造単位に対応する単量体を、ラジカル重合開始剤を使用し、適当な溶媒中で重合することにより製造できる。例えば、単量体及びラジカル開始剤を含有する溶液を、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法、単量体を含有する溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法、各々の単量体を含有する複数種の溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法等の方法で合成することが好ましい。
【0134】
上記重合に使用される溶媒としては、例えば
n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;アセトン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル類;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール等のアルコール類等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0135】
上記重合における反応温度は、ラジカル開始剤の種類に応じて適宜決定すればよいが、通常40℃〜150℃であり、50℃〜120℃が好ましい。反応時間としては、通常1時間〜48時間であり、1時間〜24時間が好ましい。
【0136】
上記重合に使用されるラジカル開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)等が挙げられる。これらの開始剤は2種以上を混合して使用してもよい。
【0137】
重合反応により得られた重合体は、再沈殿法により回収することが好ましい。すなわち、重合反応終了後、重合液を再沈溶媒に投入することにより、目的の重合体を粉体として回収する。再沈溶媒としては、アルコール類やアルカン類等を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。再沈殿法の他に、分液操作やカラム操作、限外ろ過操作等により、単量体、オリゴマー等の低分子成分を除去して、重合体を回収することもできる。
【0138】
[A]重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量(Mw)としては、1,000〜100,000が好ましく、1,000〜50,000がより好ましく、1,000〜30,000がさらに好ましい。[A]重合体のMwを上記範囲とすることにより、OOB及びOGの抑制能にさらに優れる保護膜を形成することができる。
【0139】
[A]重合体のMwと数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)としては、通常1〜5であり、1〜3が好ましい。[A]重合体のMw/Mnをこのような特定範囲とすることで、OOB及びOGの抑制能にさらに優れる保護膜を形成することができる。
【0140】
なお、本明細書においてMw及びMnは、GPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本、以上東ソー製)を用い、流量1.0mL/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、試料濃度1.0質量%、試料注入量100μL、カラム温度40℃の分析条件で、検出器として示差屈折計を使用し、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した値をいう。
【0141】
<[B]有機溶媒>
[B]有機溶媒としては、[A]重合体及び任意成分を溶解できるものであり、かつレジスト膜成分を溶出させ難いものであれば特に限定されないが、例えばアルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系有機溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒等が挙げられる。
【0142】
アルコール系溶媒としては、例えば
メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、iso−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のモノアルコール系溶媒;
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の多価アルコール系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール部分エーテル系溶媒等が挙げられる。これらのうち、4−メチル−2−ペンタノールが好ましい。
【0143】
エーテル系溶媒としては、例えばジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、ブチルエチルエーテル、ブチルプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、tert−ブチル−メチルエーテル、tert−ブチルエチルエーテル、tert−ブチルプロピルエーテル、ジ−tert−ブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジイソアミルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、シクロヘキシルエチルエーテル、シクロペンチルプロピルエーテル、シクロペンチル−2−プロピルエーテル、シクロヘキシルプロピルエーテル、シクロヘキシル−2−プロピルエーテル、シクロペンチルブチルエーテル、シクロペンチル−tert−ブチルエーテル、シクロヘキシルブチルエーテル、シクロヘキシル−tert−ブチルエーテル、アニソール、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル等が挙げられる。環状エーテル類としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン等を挙げることができる。これらのうち、ジイソアミルエーテルが好ましい。
【0144】
ケトン系溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン等のケトン系溶媒が挙げられる。
【0145】
アミド系溶媒としては、例えばN,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
【0146】
エステル系溶媒としては、例えばジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸iso−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等が挙げられる。
【0147】
炭化水素系溶媒としては、例えば
n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、iso−ヘキサン、n−ヘプタン、iso−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、iso−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;
ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、iso−プロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、iso−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−iso−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
【0148】
これらのうち、当該保護膜形成用組成物を塗布した際に、後の露光でOGの原因となるようなレジスト膜からの成分の溶出を起こし難いという観点から、[B]有機溶媒としては、エーテル系溶媒及びアルコール系溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒を含むことが好ましく、エーテル系溶媒及びアルコール系溶媒を含むことがより好ましい。エーテル系溶媒としては、炭素数6〜14のエーテル系溶媒が好ましく、炭素数8〜12のエーテル系溶媒がより好ましく、炭素数8〜12のジ脂肪族エーテル系溶媒がさらに好ましく、ジイソアミルエーテルが特に好ましい。アルコール系溶媒としては、炭素数3〜9のアルコール系溶媒が好ましく、炭素数5〜7のアルコール系溶媒がより好ましく、炭素数5〜7のモノアルコール系溶媒がさらに好ましく、4−メチル−2−ペンタノールが特に好ましい。
また、[B]有機溶媒がエーテル系溶媒を含み、このエーテル系溶媒の含有率が10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。
なお、これらの有機溶媒は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0149】
<任意成分>
当該保護膜形成用組成物は、[A]重合体及び[B]有機溶媒以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分を含有してもよい。任意成分としては、酸拡散制御剤、酸発生剤等が挙げられる。
【0150】
[酸拡散制御剤]
酸拡散制御剤は、レジスト膜中で発生した酸が保護膜を介して未露光部に拡散することを抑制したり、濃度勾配によってレジスト膜中の酸拡散制御剤が保護膜中に拡散してしまうのを抑制する効果を有する。酸拡散制御剤としては、後述する感放射線性樹脂組成物で使用することができる酸拡散制御剤と同様のものを使用することができる。
【0151】
[酸発生剤]
酸発生剤は、レジスト膜において脱保護反応に寄与すべき酸が保護膜に拡散することにより生ずるレジスト膜中の酸の不足を補う効果を有する。
【0152】
<保護膜形成用組成物の調製方法>
当該保護膜形成用組成物は、例えば[B]有機溶媒中で、[A]重合体及び任意成分を所定の割合で混合することにより調製される。また、当該保護膜形成用組成物は、適当な[B]有機溶媒に溶解又は分散させた状態に調製され使用され得る。得られた混合液は、必要に応じて、孔径0.2μmのメンブランフィルター等でろ過してもよい。
【0153】
当該保護膜形成用組成物の好適な実施態様としては、以下のものが挙げられる。
(1)EUV又は電子線を用いるレジストパターン形成方法におけるレジスト膜の表面被覆に用いられ、[A]重合体、及び[B]有機溶媒を含有する保護膜形成用組成物。
(2)レジストパターン形成方法におけるレジスト膜の表面被覆に用いられ、[A’]重合体、及び[B]有機溶媒を含有する保護膜形成用組成物。
上記構成を有する保護膜形成用組成物を、上記レジストパターン形成方法に用いることで、レジストの感度をより十分に満足させつつ、保護膜がOOBを吸収すること及び/又はガラス転移温度が比較的高いことによりPEB等の際のレジスト膜から保護膜への酸拡散を抑制することによってナノエッジラフネスをより改善することができ、また、保護膜のガラス転移温度を比較的高くすることでレジスト膜からのOGの発生をより抑制することができる。
【0154】
<感放射線性樹脂組成物>
本発明のレジストパターン形成方法に用いられる感放射線性樹脂組成物としては、従来既知の感放射線性樹脂組成物を用いることができる。中でも、酸解離性基を含む構造単位を有する重合体(以下、「[C]重合体」ともいう)、及び酸発生体を含有する化学増幅型の感放射線性樹脂組成物が好ましい。また、上記感放射線性樹脂組成物としては、酸拡散制御剤、溶媒を含有することがより好ましい。さらに本発明の効果を損なわない限り、上記感放射線性樹脂組成物は、その他の成分を含有してもよい。以下、各成分について詳述する。
【0155】
<[C]重合体>
[C]重合体が有する酸解離性基を含む構造単位としては、酸の作用により解離する基を有するものである限り特に限定されないが、下記式(p−1)で表される構造単位(P−I)、下記式(p−2)で表される構造単位(P−II)及びアセタール化されたヒドロキシスチレン類に由来する構造単位(P−III)からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。また、[C]重合体は、上記構造単位(P−I)〜構造単位(P−III)以外のその他の酸解離性基を有する構造単位を有していてもよい。当該感放射線性樹脂組成物は、[C]重合体がこのような構造単位を有することで、良好な感度が得られる。さらに、[C]重合体は、酸解離性基を有する構造単位以外に、その他の構造単位としての下記式(c−1−1)〜(c−1−4)で表される構造単位、下記式(c−2−1)〜(c−2−2)で表される構造単位、下記式(c−3−1)〜(c−3−2)で表される構造単位、下記式(c−4−1)〜(c−4−2)で表される構造単位、下記式(c−5−1)〜(c−5−2)で表される構造単位、下記式(c−6−1)〜(c−6−3)で表される構造単位、下記式(c−7−1)〜(c−7−2)で表される構造単位、及び[A]重合体における構造単位(I)のうちの少なくとも1種を有することが好ましい。以下、各構造単位について詳述する。なお[C]重合体は、各構造単位を1種のみ有してもよいし、2種以上有してもよい。
【0156】
[構造単位(P−I)]
構造単位(P−I)は下記式(p−1)で表される。
【0158】
上記式(p−1)中、R
14は、水素原子、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基である。R
15〜R
17は、それぞれ独立して、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数6〜22のアリール基又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基である。但し、R
15〜R
17のいずれか2つが互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に2価の脂環式炭化水素基又はそれから誘導される基を形成してもよい。
【0159】
上記R
15〜R
17で表される炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−ブチル基等が挙げられる。
【0160】
上記R
15〜R
17で表される炭素数6〜22のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0161】
上記R
15〜R
17で表される炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。また、これらから誘導される基としては、上記脂環式炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部が置換基で置換されている基が挙げられる。
【0162】
上記R
15〜R
17のいずれか2つが互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に形成してもよい2価の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロブタンジイル基、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基等が挙げられる。また、これらから誘導される基としては、上記脂環式炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部が置換基で置換されている基が挙げられる。
【0163】
上記構造単位(P−I)のうち、下記式(p−1−1)〜(p−1−7)で表される構造単位が好ましく、下記式(p−1−2)、(p−1−3)又は(p−1−6)で表される構造単位がさらに好ましい。[C]重合体がこれらの構造単位を含む場合、ナノエッジラフネスにより優れたレジストパターンを形成することができる。
【0165】
上記式(p−1−1)〜(p−1−7)中、R
14は、上記式(p−1)と同義である。R
15は、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数6〜22のアリール基である。
【0166】
上記R
14としては、構造単位(P−I)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子、メチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
上記R
15としては、酸解離性基の解離容易性の観点から、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、i−プロピル基がより好ましく、メチル基、エチル基がさらに好ましい。
【0167】
[構造単位(P−II)]
構造単位(P−II)は、下記式(p−2)で表される。
【0169】
上記式(p−2)中、R
18は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基である。R
19〜R
21は、それぞれ独立して、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数6〜22のアリール基、又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基である。但し、R
19〜R
21のいずれか2つが互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に2価の脂環式炭化水素基又はそれから誘導される基を形成してもよい。
【0170】
R
19〜R
21で表される炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基及びR
19〜R
21のいずれか2つが互いに結合して、それらが結合している炭素原子とともに形成してもよい2価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基については、それぞれ、上記式(p−1)におけるR
15〜R
17で表される同様の基の説明を適用することができる。
【0171】
構造単位(P−II)のうち、下記式(p−2−1)で表される構造単位が好ましい。[C]重合体がこれらの構造単位を含むことで、ナノエッジラフネスにさらに優れたレジストパターンを形成することができる。
【0173】
上記式(p−2−1)中、R
18は、上記式(p−2)と同義である。R
19は、それぞれ独立して、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基である。
【0174】
[構造単位(P−III)]
構造単位(P−III)は、アセタール化されたヒドロキシスチレン類に由来する構造単位である。上記アセタール化されたヒドロキシスチレン類は、ヒドロキシスチレン類のフェノール性水酸基、ヒドロキシ基及びカルボニル基からアセタール構造が形成された構造を有する。構造単位(P−III)としては、例えば、下記式(p−3−1)〜(p−3−4)で表される構造単位等が挙げられる。
【0176】
上記式(p−3−1)〜(p−3−4)中、Rは、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基である。
【0177】
これらの中で、上記式(p−3−3)で表される構造単位が好ましい。
【0178】
[その他の構造単位]
[C]重合体は、下記式(c−1−1)〜(c−1−4)、(c−2−1)〜(c−2−2)、(c−3−1)〜(c−3−2)、(c−4−1)〜(c−4−2)、(c−5−1)〜(c−5−2)、(c−6−1)〜(c−6−3)、(c−7−1)〜(c−7−2)で表される構造単位、上記[A]重合体における構造単位(I)のうちの少なくとも1種の構造単位をさらに有することが好ましい。その他の構造単位としては、これらの構造単位のうち、下記式(c−5−1)〜(c−5−2)、(c−6−1)〜(c−6−3)、(c−7−1)〜(c−7−2)で表される構造単位及び上記構造単位(I)が好ましく、上記構造単位(I)がより好ましい。
【0186】
なお、[C]重合体において、酸解離性基を含む構造単位(P−I)、(P−II)及び(P−III)の含有割合の合計としては、[C]重合体を構成する全構造単位に対して、10モル%〜80モル%が好ましく、15モル%〜80モル%がより好ましく、20モル%〜70モル%がさらに好ましい。酸解離性基を含む構造単位の含有割合を上記範囲とすることで、上記感放射線性樹脂組成物は感度等の基本特性を満足することができる。
【0187】
<[C]重合体の合成方法>
[C]重合体は、例えば所定の各構造単位に対応する単量体を、ラジカル重合開始剤を使用し、適当な溶媒中で重合することにより製造できる。なお、[C]重合体の合成に使用される重合開始剤、溶媒等としては、上記[A]重合体の合成方法において例示したものと同様のものを挙げることができる。
【0188】
上記重合における反応温度としては、通常40℃〜150℃、50℃〜120℃が好ましい。反応時間としては、通常1時間〜48時間、1時間〜24時間が好ましい。
【0189】
[C]重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)としては、1,000〜50,000が好ましく、1,000〜30,000がより好ましく、1,000〜10,000がさらに好ましい。
【0190】
[C]重合体のMwとGPC法によるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)としては、通常1〜3であり、1〜2が好ましい。
【0191】
<酸発生体>
上記感放射線性樹脂組成物は、[C]重合体と共に酸発生体を含有することが好ましい。酸発生体は、当該レジストパターン形成方法における露光工程において、放射線の照射により酸を発生する化合物である。その酸の作用により[C]重合体中に存在する酸解離性基が解離し、カルボキシ基、フェノール性水酸基等の極性基が発生する。その結果、[C]重合体の現像液に対する溶解性が変化し、アルカリ現像液には易溶性となる。当該レジストパターン形成方法における酸発生体の含有形態としては、後述するような化合物の形態(以下、適宜「酸発生剤」と称する)でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
【0192】
上記酸発生剤としては、例えばオニウム塩化合物、N−スルホニルオキシイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物等が挙げられる。これらのうち、オニウム塩化合物が好ましい。
【0193】
オニウム塩化合物としては、例えばスルホニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等が挙げられる。これらのうち、スルホニウム塩が好ましい。
【0194】
スルホニウム塩としては、例えばトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(1−アダマンチル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム6−(1−アダマンチルカルボニルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロヘキサン−1−スルホネート、トリフェニルスルホニウム6−(1−アダマンチルカルボニルオキシ)−1,1,2−トリフルオロブタン−1−スルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(4−オキソ−1−アダマンチルカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1−ジフルオロエタンスルホネート等が挙げられる。
【0195】
これらのうち、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(1−アダマンチル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム6−(1−アダマンチルカルボニルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロヘキサン−1−スルホネート、トリフェニルスルホニウム6−(1−アダマンチルカルボニルオキシ)−1,1,2−トリフルオロブタン−1−スルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(4−オキソ−1−アダマンチルカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1−ジフルオロエタンスルホネートが好ましい。
【0196】
テトラヒドロチオフェニウム塩としては、例えば1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等が挙げられる。これらのうち、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート及び1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネートが好ましい。
【0197】
なお、上記酸発生体が重合体の一部として組み込まれた形態としては、例えば、[C]重合体中に、上記式(c−7−1)、(c−7−2)で表される構造単位を有するもの等が挙げられる。
【0198】
上記感放射線性樹脂組成物における上記酸発生体の含有量としては、上記酸発生体が酸発生剤である場合、レジストとしての感度及び現像性を確保する観点から、[C]重合体100質量部に対して、通常、0.1質量部以上40質量部以下であり、0.5質量部以上30質量部以下が好ましい。酸発生剤の含有量が0.1質量部未満では、上記感放射線性樹脂組成物の感度が低下する傾向があり、一方40質量部を超えると、放射線に対する透明性が低下して、所望のレジストパターンを得られ難くなる傾向がある。上記酸発生体が重合体の一部として組み込まれた形態である場合の含有割合としては、[C]重合体を構成する全構造単位に対して、0.5モル%以上30モル%以下が好ましく、1モル%以上20モル%以下がより好ましい。
【0199】
<酸拡散制御体>
酸拡散制御体は、露光により酸発生体から生じる酸のレジスト膜中における拡散現象を制御し、未露光部における好ましくない化学反応を抑制する効果を奏する成分である。感放射線性樹脂組成物が酸拡散制御体を含有することで、得られる感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性がさらに向上し、またレジストとしての解像度がさらに向上する。また、露光から現像処理までの引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れた組成物が得られる。なお、酸拡散制御体の本発明における感放射線性樹脂組成物における含有形態としては、遊離の化合物の形態(以下、適宜「酸拡散制御剤」と称する)でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
【0200】
酸拡散制御剤としては、例えばアミン化合物、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられる。
【0201】
アミン化合物としては、例えばn−ブチルアミン等のモノ(シクロ)アルキルアミン類;ジn−ブチルアミン等のジ(シクロ)アルキルアミン類;トリn−ブチルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類;置換アルキルアニリン又はその誘導体;エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリジノン、2−キノキサリノール、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’’N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。これらのうち、トリ(シクロ)アルキルアミン類が好ましく、トリn−ブチルアミンがより好ましい。
【0202】
アミド基含有化合物としては、例えばN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−アセチル−1−アダマンチルアミン、イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)等が挙げられる。
【0203】
ウレア化合物としては、例えば尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等が挙げられる。
【0204】
含窒素複素環化合物としては、例えばイミダゾール類;ピリジン類;ピペラジン類;ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、N−(t−アミロキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン、ピペリジンエタノール、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、N−(t−ブトキシカルボニル)−2−ヒドロキシメチルピロリジン、4−メチルモルホリン、1−(4−モルホリニル)エタノール、4−アセチルモルホリン、3−(N−モルホリノ)−1,2−プロパンジオール、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N−(t−ブトキシカルボニル)−2−フェニルベンゾイミダゾール等が挙げられる。これらのうち、N−(t−アミロキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン、N−(t−ブトキシカルボニル)−2−ヒドロキシメチルピロリジン、N−(t−ブトキシカルボニル)−2−フェニルベンゾイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾールが好ましい。
【0205】
また、酸拡散制御剤として、露光により感光し弱酸を発生する光崩壊性塩基を用いることもできる。光崩壊性塩基は、露光部においては酸を発生して[A]重合体の当該現像液に対する不溶性を高めることができる。一方、未露光部ではアニオンによる高い酸捕捉機能が発揮されクエンチャーとして機能し、露光部から拡散する酸を捕捉する。すなわち、未露光部のみにおいてクエンチャーとして機能するため、脱保護反応のコントラストが向上し、結果として解像度をより向上させることができる。光崩壊性塩基の一例として、露光により分解して酸拡散制御性を失うオニウム塩化合物がある。オニウム塩化合物としては、例えば下記式(4)で表されるスルホニウム塩化合物、下記式(5)で表されるヨードニウム塩化合物等が挙げられる。
【0207】
上記式(4)及び式(5)中、R
22〜R
26はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子又は−SO
2−R
Dである。R
Dは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はアリール基である。Z
−は、OH
−、R
27−COO
−、R
E−SO
2−N
−―R
27、R
27−SO
3−又は下記式(7)で示されるアニオンである。R
27は炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアルカリール基である。上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアルカリール基の水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。R
Eは、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有してもいてもよい炭素数3〜20のシクロアルキル基である。上記アルキル基及びシクロアルキル基の水素原子の一部又は全部はフッ素原子で置換されていてもよい。但し、Z
−がR
27−SO
3−の場合、SO
3−が結合する炭素原子にフッ素原子が結合する場合はない。
【0209】
上記式(6)中、R
28は、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基である。uは、0〜2の整数である。
【0210】
上記光崩壊性塩基としては、例えば下記式で表される化合物等が挙げられる。
【0212】
当該レジストパターン形成方法に用いられる感放射線性樹脂組成物における酸拡散制御体の含有量としては、酸拡散制御体が酸拡散制御剤の場合、[C]重合体100質量部に対して、10質量部以下が好ましい。上記含有量が10質量部を超えると、レジストとしての感度が低下する傾向にある。これらの酸拡散抑制体は、1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0213】
<溶媒>
当該レジストパターン形成方法に用いられる感放射線性樹脂組成物は通常溶媒を含有する。上記溶媒は少なくとも[C]重合体、酸発生体、酸拡散制御体、及び後述するその他の成分を溶解できれば特に限定されない。上記溶媒としては、例えばアルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒及びその混合溶媒等が挙げられる。
【0214】
上記溶媒の具体例としては、上述の保護膜形成用組成物が含有する[B]有機溶媒として列挙した有機溶媒と同様のものが挙げられる。これらのうち酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチルが好ましい。これらの溶媒は単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0215】
<その他の成分>
当該レジストパターン形成方法に用いられる感放射線性樹脂組成物は、その他の成分として、界面活性剤、脂環式骨格含有化合物、増感剤等を含有できる。なお、上記感放射線性樹脂組成物は、上記その他の成分をそれぞれ1種のみ含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。
【0216】
[界面活性剤]
界面活性剤は、当該レジストパターン形成方法に用いられる感放射線性樹脂組成物の塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する効果を奏する。
【0217】
[脂環式骨格含有化合物]
脂環式骨格含有化合物は、感放射線性樹脂組成物から形成されるレジストパターンのドライエッチング耐性、パターン形状、基板との密着性等を改善する効果を奏する。
【0218】
[増感剤]
増感剤は、酸発生体からの酸の生成量を増加する作用を示すものであり、当該レジストパターン形成方法に用いられる感放射線性樹脂組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を奏する。
【0219】
<感放射線性樹脂組成物の調製方法>
当該レジストパターン形成方法に用いられる感放射線性樹脂組成物は、例えば上記溶媒中で[C]重合体、酸発生体、酸拡散制御体及びその他の成分を所定の割合で混合することにより調製できる。また、上記感放射線性樹脂組成物は、適当な溶媒に溶解又は分散させた状態に調製され使用され得る。
【実施例】
【0220】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本実施例における物性値の測定方法を以下に示す。
【0221】
[重合体のMw及びMn]
重合体のMw及びMnは、GPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本、以上東ソー製)を用い、流量1.0mL/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、試料濃度1.0質量%、試料注入量100μL、カラム温度40℃の分析条件で、検出器として示差屈折計を使用し、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
【0222】
[
13C−NMR分析]
重合体の構造単位の含有割合を求めるための
13C−NMR分析は、核磁気共鳴装置(JNM−ECX400、日本電子製)を使用し、測定溶媒としてCDCl
3を用い、テトラメチルシラン(TMS)を内部標準として行った。
【0223】
<重合体の合成>
[A]重合体及び[C]重合体の合成に用いた単量体を下記に示す。
【0224】
【化36】
【0225】
なお、化合物(M−12)〜(M−16)は構造単位(I)を、化合物(M−1)、(M−2)、(M−17)及び(M−18)は構造単位(II)をそれぞれ与える。
【0226】
[合成例1]
上記化合物(M−1)100g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)2.4g、及びt−ドデシルメルカプタン0.4gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル200gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、6時間重合させた。重合後、プロピレングリコールモノメチルエーテルを減圧留去し、得られた重合体を100gのプロピレングリコールモノメチルエーテルに溶解した後、2,000gのn−ヘキサン中に滴下して、重合体を凝固精製した。次いで、この重合体に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル150gを加えた後、更に、メタノール150g、トリエチルアミン41g、及び水8gを加えて、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行った。赤外分光法により、脱アセチル化が定量的に進行しp−ヒドロキシスチレンに由来する構造単位が生成していることを確認した後、溶媒及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた重合体をアセトン150gに溶解した後、2,000gの水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥し、重合体(A−1)を得た。重合体(A−1)は、Mwが15,000、Mw/Mnが2.6であった。また、
13C−NMR分析の結果、p−ヒドロキシスチレンに由来する構造単位の含有割合は、100モル%であった。
【0227】
[合成例2]
上記化合物(M−2)100g及びAIBN6gを、メチルエチルケトン300gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を78℃に保持して、6時間重合させた。重合後、メチルエチルケトンを減圧留去し、得られた重合体を100gのメチルエチルケトンに溶解した後、2,000gのヘキサン中に滴下して、重合体を凝固させた。次いで、この重合体を300gのヘキサンで2回洗浄し、得られた白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥し、重合体(A−2)を得た。重合体(A−2)は、Mwが8,000、Mw/Mnが2.3であった。また、
13C−NMR分析の結果、化合物(M−2)に由来する構造単位の含有割合は、100モル%であった。
【0228】
[合成例3]
上記化合物(M−2)64g(50モル%)、化合物(M−12)36g(50モル%)及びAIBN7.7gを、メチルエチルケトン200gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を78℃に保持して、6時間重合させた。重合後、メチルエチルケトンを減圧留去し、得られた重合体を100gのメチルエチルケトンに溶解した後、2,000gのn−ヘキサン中に滴下して、重合体を凝固精製した。次いで、この重合体を300gのヘキサンで2回洗浄し、得られた白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥し、重合体(A−3)を得た。重合体(A−3)は、Mwが6,000、Mw/Mnが1.8であった。また、
13C−NMR分析の結果、化合物(M−2)及び化合物(M−12)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ50モル%及び50モル%であった。
【0229】
[合成例4]
上記化合物(M−2)62g(50モル%)、化合物(M−13)38g(50モル%)及びAIBN7.5gを、メチルエチルケトン200gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を78℃に保持して、6時間重合させた。重合後、メチルエチルケトンを減圧留去し、得られた重合体を100gのメチルエチルケトンに溶解した後、2,000gのn−ヘキサン中に滴下して、重合体を凝固精製した。次いで、この重合体を300gのヘキサンで2回洗浄し、得られた白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥し、重合体(A−4)を得た。重合体(A−4)は、Mwが6,500、Mw/Mnが1.9であった。また、
13C−NMR分析の結果、化合物(M−2)及び化合物(M−13)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ50モル%及び50モル%であった。
【0230】
[合成例5]
上記化合物(M−1)34g(50モル%)、化合物(M−14)66g(50モル%)、AIBN6.8g、及びt−ドデシルメルカプタン2.6gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル200gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、6時間重合させた。重合後、プロピレングリコールモノメチルエーテルを減圧留去し、得られた重合体を100gのプロピレングリコールモノメチルエーテルに溶解した後、2,000gのn−ヘキサン中に滴下して、重合体を凝固精製した。次いで、この重合体に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル150gを加えた後、更に、メタノール150g、トリエチルアミン30g、及び水6gを加えて、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行った。赤外分光法により、脱アセチル化が定量的に進行しp−ヒドロキシスチレンに由来する構造単位が生成していることを確認した後、溶媒及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた重合体をアセトン150gに溶解した後、2,000gの水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥し、重合体(A−5)を得た。重合体(A−5)は、Mwが10,000、Mw/Mnが2.1であった。また
13C−NMR分析の結果、p−ヒドロキシスチレンに由来する構造単位及び化合物(M−14)に由来する構造単位の含有割合は、それぞれ50モル%及び50モル%であった。
【0231】
[合成例6]
上記化合物(M−2)48g(50モル%)、化合物(M−15)52g(50モル%)及びAIBN9.8gを、メチルエチルケトン200gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を78℃に保持して、6時間重合させた。重合後、メチルエチルケトンを減圧留去し、得られた重合体を100gのメチルエチルケトンに溶解した後、2,000gのn−ヘキサン中に滴下して、重合体を凝固精製した。次いで、この重合体を300gのヘキサンで2回洗浄し、得られた白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥し、重合体(A−6)を得た。重合体(A−6)は、Mwが9,000、Mw/Mnが2.2であった。また、
13C−NMR分析の結果、化合物(M−2)及び化合物(M−15)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ50モル%及び50モル%であった。
【0232】
[合成例7]
上記化合物(M−1)46g(50モル%)、化合物(M−16)54g(50モル%)、AIBN9.4g、及びt−ドデシルメルカプタン3.5gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル200gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、6時間重合させた。重合後、プロピレングリコールモノメチルエーテルを減圧留去し、得られた重合体を100gのプロピレングリコールモノメチルエーテルに溶解した後、2,000gのn−ヘキサン中に滴下して、重合体を凝固精製した。次いで、この重合体に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル150gを加えた後、更に、メタノール150g、トリエチルアミン36g、及び水6gを加えて、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行った。赤外分光法により、脱アセチル化が定量的に進行しp−ヒドロキシスチレンに由来する構造単位が生成していることを確認した後、溶媒及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた重合体をアセトン150gに溶解した後、2,000gの水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥し、重合体(A−7)を得た。重合体(A−7)は、Mwが10,000、Mw/Mnが2.0であった。また
13C−NMR分析の結果、p−ヒドロキシスチレンに由来する構造単位及び化合物(M−16)に由来する構造単位の含有割合は、それぞれ50モル%及び50モル%であった。
【0233】
[合成例8]
上記化合物(M−2)48g(30モル%)、化合物(M−14)52g(50モル%)、化合物(M−17)52g(20モル%)及びAIBN9.8gを、メチルエチルケトン200gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を78℃に保持して、6時間重合させた。重合後、メチルエチルケトンを減圧留去し、得られた重合体を100gのメチルエチルケトンに溶解した後、2,000gのn−ヘキサン中に滴下して、重合体を凝固精製した。次いで、この重合体を300gのヘキサンで2回洗浄し、得られた白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥し、重合体(A−8)を得た。重合体(A−8)は、Mwが10,000、Mw/Mnが2.1であった。また、
13C−NMR分析の結果、化合物(M−2)、化合物(M−14)、及び化合物(M−17)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ30モル%、50モル%及び20モル%であった。
【0234】
[合成例9]
上記化合物(M−2)48g(40モル%)、化合物(M−15)52g(50モル%)、化合物(M−18)52g(10モル%)及びAIBN8.8gを、メチルエチルケトン200gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を78℃に保持して、6時間重合させた。重合後、メチルエチルケトンを減圧留去し、得られた重合体を100gのメチルエチルケトンに溶解した後、2,000gのn−ヘキサン中に滴下して、重合体を凝固精製した。次いで、この重合体を300gのヘキサンで2回洗浄し、得られた白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥し、重合体(A−9)を得た。重合体(A−9)は、Mwが7,000、Mw/Mnが2.0であった。また、
13C−NMR分析の結果、化合物(M−2)、化合物(M−15)、及び化合物(M−18)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ40モル%、50モル%及び10モル%であった。
【0235】
<保護膜形成用組成物の調製>
保護膜形成用組成物の調製に用いた[B]有機溶媒について以下に示す。
【0236】
[[B]有機溶媒]
B−1:4−メチル−2−ペンタノール
B−2:ジイソアミルエーテル
【0237】
[実施例1]
合成例3で合成した重合体(A−3)100質量部、及び有機溶媒(B−2)10,000質量部を混合し、得られた混合液を孔径0.20μmのメンブランフィルターを用いてろ過することにより、保護膜形成用組成物(T−1)を調製した。
【0238】
[実施例2〜7並びに比較例1及び2]
表1に示す種類及び配合量の各成分を使用した以外は実施例1と同様に操作して保護膜形成用組成物(T−2)〜(T−7)並びに(CT−1)及び(CT−2)を調製した。
【0239】
【表1】
【0240】
<感放射線性樹脂組成物に用いる[C]重合体の合成>
[合成例10]
上記化合物(M−3)55g(50モル%)、上記化合物(M−4)45g(50モル%)、及びAIBN3gを、メチルエチルケトン300gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を78℃に保持して、6時間重合させた。重合後、反応溶液を2,000gのメタノール中に滴下して、重合体を凝固させた。次いで、この重合体を300gのメタノールで2回洗浄し、得られた白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥し、重合体(C−1)を得た。重合体(C−1)は、Mwが7,000、Mw/Mnが2.10であった。また、
13C−NMR分析の結果、化合物(M−3)及び化合物(M−4)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ52モル%及び48モル%であった。
【0241】
[合成例11]
上記化合物(M−1)55g(42モル%)、上記化合物(M−4)45g(58モル%)、AIBN3g、及びt−ドデシルメルカプタン1gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル150gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、16時間重合させた。重合後、反応溶液を1,000gのn−ヘキサン中に滴下して、重合体を凝固精製した。次いで、この重合体に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル150gを加えた後、さらに、メタノール150g、トリエチルアミン37g、及び水7gを加えて、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行って、(M−1)に由来する構造単位の脱アセチル化を行った。反応後、溶媒及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた重合体をアセトン150gに溶解した後、2,000gの水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥し、重合体(C−2)を得た。重合体(C−2)は、Mwが6,000、Mw/Mnが1.90であった。また、
13C−NMR分析の結果、p−ヒドロキシスチレンに由来する構造単位及び化合物(M−4)に由来する構造単位の含有割合は、それぞれ50モル%及び50モル%であった。
【0242】
[合成例12〜18]
表2に示す種類及び使用量の単量体を用いた以外は合成例10と同様に操作して重合体(C−3)〜(C−9)を合成した。表2中の「−」は、該当する単量体を使用しなかったことを示す。表2に、得られた各重合体のMw、Mw/Mn及び各構造単位含有割合について合わせて示す。
【0243】
【表2】
【0244】
<感放射線性樹脂組成物の調製>
感放射線性樹脂組成物の調製に用いた酸発生剤、酸拡散制御剤、溶媒について以下に示す。
【0245】
[酸発生剤]
P−1:トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート(下記式(P−1)で表される化合物)
P−2:トリフェニルスルホニウム2−(4−オキソ−アダマンタン−1−イルカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート(下記式(P−2)で表される化合物)
【0246】
【化37】
【0247】
[酸拡散制御剤]
Q−1:トリフェニルスルホニウムサリチレート(下記式(Q−1)で表される化合物)
Q−2:2,4,5−トリフェニルイミダゾール(下記式(Q−2)で表される化合物)
Q−3:トリn−ブチルアミン(下記式(Q−3)で表される化合物)
【0248】
【化38】
【0249】
[溶媒]
S−1:酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル
S−2:乳酸エチル
【0250】
[合成例19]
[C]重合体としての重合体(C−1)100質量部、酸発生剤としての(P−1)27質量部、酸拡散制御剤としての(Q−1)2.6質量部、並びに溶媒としての(S−1)4,300質量部及び(S−2)1,900質量部を混合し、得られた混合液を孔径0.20μmのメンブランフィルターでろ過し、感放射線性樹脂組成物(R−1)を調製した。
【0251】
[合成例20〜27]
表3に示す種類及び配合量の各成分を用いた以外は合成例19と同様に操作して感放射線性樹脂組成物(R−2)〜(R−9)を調製した。
【0252】
【表3】
【0253】
<レジストパターンの形成>
[実施例8〜32及び比較例3〜20]
クリーントラックACT−8(東京エレクトロン製)内で、シリコンウエハ上に、下記表4に示す感放射線性樹脂組成物をスピンコートした後、110℃で60秒間PBを行い、膜厚50nmのレジスト膜を形成した。次に、形成したレジスト膜上に表4に示す保護膜形成用組成物をスピンコートし、110℃で60秒間PBを行い、膜厚30nmの保護膜を形成した。続いて、簡易型の電子線描画装置(型式HL800D、日立製作所製、出力;50keV、電流密度;5.0アンペア/cm
2)を用いて電子線を照射し、パターニングを行った。電子線の照射後、上記クリーントラックACT−8内で、100℃で60秒間PEBを行った後、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、23℃で1分間、パドル法により現像し、次いで、純水で水洗し、乾燥して、レジストパターンを形成した。
【0254】
<評価>
上記形成したレジストパターンについて、下記に示す評価を行った。
【0255】
[感度]
線幅150nmのライン部と、隣り合うライン部によって形成される間隔が150nmのスペース部とからなるライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を1対1の線幅に形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量を感度(μC/cm
2)とした。感度は、同じ感放射線性樹脂組成物を含有する組成物についての比較例(実施例8〜12については比較例3、実施例13〜16については比較例4、実施例17及び18については比較例5、実施例19及び20については比較例6、実施例21及び22については比較例7、実施例23及び24については比較例8、実施例25及び26については比較例9、実施例27及び28については比較例10、実施例29〜32については比較例11)に対して高感度の場合は「A(良好)」と、同等以下の感度の場合は「B(不良)」と評価できる。
【0256】
[ナノエッジラフネス]
上記ライン・アンド・スペースパターン(1L1S)のラインパターンを、半導体用走査電子顕微鏡(高分解能FEB測長装置S−9220、日立製作所製)を用いて観察した。上記パターンの任意の50点を観察し、観察された形状について、
図1及び
図2に示すように、シリコンウエハ1上に形成したレジスト膜のライン部2の横側面2aに沿って生じた凹凸の最も著しい箇所における線幅と、設計線幅150nmとの差「ΔCD」を、CD−SEM(S−9220、日立ハイテクノロジーズ社製)にて測定し、ナノエッジラフネス(nm)とした。ナノエッジラフネス(nm)は、15(nm)以下である場合は「AA(極めて良好)」と、15.0(nm)を超え16.5(nm)以下である場合は「A(良好)」と、16.5(nm)を超える場合は「B(不良)」と評価できる。なお、
図1及び
図2で示す凹凸は、実際より誇張して記載している。
【0257】
【表4】
【0258】
[実施例33〜37並びに比較例21及び22]
[アウトガス]
クリーントラックACT−8(東京エレクトロン製)内で、シリコンウエハ上に下記表5に示す感放射線性樹脂組成物をスピンコートした後、110℃で60秒間PBを行い、膜厚50nmのレジスト膜を形成した。次いで、形成したレジスト膜上に表5に示す保護膜形成用組成物をスピンコートし、110℃で60秒間PBを行い、膜厚30nmの保護膜を形成した。次に、KrF投影露光装置(S203B、ニコン製)を用い、NA:0.68、シグマ:0.75、Conventionalの光学条件にて、マスクパターンを介さずに露光量15mJ/cm
2で上記保護膜が積層されたレジスト膜に対し全面露光を行った。この露光したレジスト膜を、加熱脱離型ガスクロマトグラフィー質量分析計(SWA−256、ジーエルサイエンス製)を用いてアウトガス分析を行った。
アウトガス分析は、25℃で60分間、レジスト膜表面から有機物の脱離させ、脱離したアウトガス成分は一旦、捕集カラムに集めた後、捕集カラムを200℃で加熱して、捕集カラムから有機物を再脱離させ、サーマルデソープションコールドトラップインジェクターで、液体窒素を用いて冷却して体積収縮させ、その後、230℃に急速加熱することで捕集したガス成分を一気にガスクロマトグラフィー(JNS−GCMATE GCMS SYSTEM、JEOL製)に導入して行った。
アウトガス分析は下記式(G−1)、(G−2)及び(G−3)で表される化合物について行い、それぞれの市販品で予め検量線を作成しておき、定量を行った。なお、表5中の値は比較例21の各化合物のアウトガス量を100とした場合の相対値である。
【0259】
【化39】
【0260】
【表5】
【0261】
表4及び表5の結果から、実施例のレジストパターン形成方法によれば、比較例に比べて、感度を維持しつつ、ナノエッジラフネスが大きく改善され、また、アウトガスの発生も顕著に抑制されることが分かる。