(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6274405
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】燃料フィルタの保持装置
(51)【国際特許分類】
F02M 37/22 20060101AFI20180129BHJP
B60K 15/077 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
F02M37/22 H
F02M37/22 Z
B60K15/077 D
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-265662(P2013-265662)
(22)【出願日】2013年12月24日
(65)【公開番号】特開2015-121157(P2015-121157A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2016年9月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176811
【氏名又は名称】三菱自動車エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(72)【発明者】
【氏名】板屋 大輔
(72)【発明者】
【氏名】中山 和俊
(72)【発明者】
【氏名】及川 聡
【審査官】
中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−132362(JP,A)
【文献】
特開平06−280710(JP,A)
【文献】
特開2008−037300(JP,A)
【文献】
実開昭60−161622(JP,U)
【文献】
実公平01−022936(JP,Y2)
【文献】
実開平01−082926(JP,U)
【文献】
特開平09−300992(JP,A)
【文献】
特開平10−141166(JP,A)
【文献】
特開平11−287128(JP,A)
【文献】
特開2004−224154(JP,A)
【文献】
特開2005−247027(JP,A)
【文献】
特開2006−199102(JP,A)
【文献】
特開2012−180744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/00−15/10
B62D 17/00−25/08
B62D 25/14−29/04
F02M 37/00−37/22
F02M 39/00−71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のパワーユニットルームの前後方向の後側の壁をなす後壁部材と前記パワーユニットルームの下部側の壁をなす底壁部材とが交差する箇所に配置される燃料フィルタと、
前記燃料フィルタを前記後壁部材と前記底壁部材とに保持するブラケットとを有し、
前記ブラケットは、
前記後壁部材と対向して上下方向に延びて配置された、前記燃料フィルタが取り付くフィルタ取付板部と、
前記フィルタ取付板部の下端部から車両前方に延びて形成され、前記底壁部材と固定される第1固定座と、
前記フィルタ取付板部の上端部から車両後方に延びる連結部を介して、上方向に延び前記後壁部材と固定される第2固定座とを有し、
前記連結部は、前記第2固定座と前記フィルタ取付板部の上端部との間に当該間で離間距離を保つように連結される共に、脆弱部を有している
ことを特徴とする燃料フィルタの保持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料フィルタの保持装置において、
前記連結部の脆弱部は、車両前後方向を曲成した曲成板部を有して形成される
ことを特徴とする燃料フィルタの保持装置。
【請求項3】
請求項2に記載の燃料フィルタの保持装置において、
前記連結部の脆弱部は、更に曲成板部の一部に開口部を有して形成される
ことを特徴とする燃料フィルタの保持装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の燃料フィルタの保持装置において、
前記フィルタ取付板部と前記第1固定座との間には補強部材を有し、
前記補強部材は、前記パワーユニットルームの車幅方向の側面の壁に臨む前記フィルタ取付板部の側部と前記第1固定座の側部間に所定姿勢を保持するように固定されている
ことを特徴とする燃料フィルタの保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料フィルタの保持装置に係り、詳しくは車両のパワーユニットルームを構成する後壁部材と底壁部材との交差する箇所で燃料フィルタを保持する燃料フィルタの保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の多くは、車両前部に形成されたエンジンルーム(パワーユニットルーム)内に燃料フィルタ(エンジンへ供給される燃料中の異物を除去する機器)が配置されている。
この燃料フィルタの保持には、特許文献1,2などで開示されているようにブラケットを用いて、エンジンルームを構成する部材に固定する構造が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平 1− 22936号公報
【特許文献2】特開2005−247027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、エンジンルーム内に配置される補機類は多いため、エンジンルーム内では、エンジンや補機類が密な状態で収められる。燃料フィルタの多くは、特許文献1,2のようにエンジンルームと車室内とを仕切るダッシュパネル部(含むカウルトップ)やサイドメンバに固定されるが、エンジンルームの大きさや補機の収容具合などから、燃料フィルタの前方に他機器が接近して配置されることが多くなる。
【0005】
ところが、燃料フィルタは、他機器と接近して配置されると、例えば車両が前突した場合、衝撃で車両後方に移動する他機器が燃料フィルタと干渉するおそれがある。
従来、こうした燃料フィルタの干渉を防ぐ技術は見られない。このため、燃料フィルタを他機器の干渉から避ける技術が要望されている。
そこで、本発明の目的は、車両の衝突時、燃料フィルタが、当該燃料フィルタ前方の他機器と干渉するのを抑えられる燃料フィルタの保持装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、車両のパワーユニットルームの前後方向の後側の壁をなす後壁部材とパワーユニットルームの下部側の壁をなす底壁部材とが交差する箇所に配置される燃料フィルタと、燃料フィルタを後壁部材と底壁部材とに保持するブラケットとを有し、ブラケットは、後壁部材と対向して上下方向に
延びて配置された、燃料フィルタが取り付くフィルタ取付板部と、フィルタ取付板部の下端部
から車両前方に延びて形成され、底壁部材と固定される第1固定座と、フィルタ取付板部の上端部
から車両後方に延びる連結部を介して、上方向に延び後壁部材と固定される第2固定座と
を有し、連結部は、第2固定座とフィルタ取付板部の上端部との間に当該間で離間距離を保つように連結され
る共に、脆弱部を有
しているものとした。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の燃料フィルタの保持装置において、連結部の脆弱部は、車両前後方向を曲成した曲成板部を有して形成されるものとした。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の燃料フィルタの保持装置において、連結部の脆弱部は、更に曲成板部の一部に開口部を有して形成されるものとした。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の燃料フィルタの保持装置において、フィルタ取付板部と第1固定座との間には補強部材を有
し、補強部材は、パワーユニットルームの車幅方向の側面の壁に臨むフィルタ取付板部の側部と第1固定座の側部間に所定姿勢を保持するように固定されているものとした。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、燃料フィルタは、ブラケットの第1固定座でパワーユニットルームの底壁部材に固定されているだけでなく、第2固定座により後壁部材にも固定されているから、連結部の剛性により、後壁部材から離れた位置で保持され続ける。このとき例えば車両が前突し、衝撃力が加わると、連結部が脆弱部から変形し、衝撃を吸収しながら燃料フィルタは後退する。
【0009】
つまり、車両の衝突時、加わる衝撃で、燃料フィルタの前方近くに配置された他機器が後退しても、燃料フィルタは、他機器と共に同方向へ逃げる。
したがって、燃料フィルタと燃料フィルタ前方の他機器とが接近して配置されていても、燃料フィルタが、燃料フィルタ前方の他機器と干渉するのを抑えることができる。
請求項2の発明によれば、曲成板部は、衝突時、衝撃力で底壁部材が上側へ変形するにしたがい開く方向へ変位し、燃料フィルタを、前傾させながら後退させる。それ故、簡単な構造で、他機器との干渉を抑えることができる。
【0010】
請求項3の発明によれば、曲成板部の開口部は、衝突時、衝撃力でつぶれ変形する。この変形により、更に燃料フィルタの後退変位量を稼ぐことができ、効果的に他機器との干渉を防げる。
請求項4の発明によれば、補強部材の剛性により、衝突時、燃料フィルタと固定座とが干渉するのを抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る燃料フィルタの保持装置を、同装置を適用した車両と共に示す車両前部の平面図。
【
図2】同燃料フィルタの保持された状態を拡大して示す斜視図。
【
図5】燃料フィルタをブラケットに支持させる構造を示す斜視図。
【
図6】車両が衝突する前における当初の燃料フィルタの状態を概略的に示す断面図。
【
図7】衝突時の中途段階における燃料フィルタの状態を概略的に示す断面図。
【
図8】最大の衝撃力が加わったときの燃料フィルタの状態を概略的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を
図1から
図8に示す一実施形態にもとづいて説明する。
図1は、本発明を適用した車両、例えば自動車の車体1aの前部に形成されたエンジンルーム1(本願のパワーユニットルームに相当)の平面図(一部)を示している。
エンジンルーム1内の中央には、エンジン3が収容され、その周囲にはエンジン3の各種補機類(いずれもパワーユニットを構成)が収容されている。
図1中には、補機類として、エンジンルーム1の前部中央に配置されたラジエータ5、エンジン3を挟んだエンジンルーム1の車幅方向片側に配置されたバッテリ7、エンジン3を挟んだエンジンルーム1の最片側に配置されたリレーボックス9、同じく燃料フィルタ11などが示されている(この他、図示はしないが補機は多数有る)。
【0013】
具体的には燃料フィルタ11は、エンジンルーム1の前後方向の後側の壁をなすダッシュパネル15、カウルトップ17(いずれも本願の後壁部材に相当)と、エンジンルーム1の下側の車幅方向両側から張り出してエンジンルーム1の下部の壁をなす、アーチ形のフェンダシールド部材19(本願の
底壁部材に相当)の端部とが平面的に見て交差する箇所のうち、例えば車幅方向片側(ここでは左側)の箇所Xに配置される。リレーボックス9(他機器)は、この燃料フィルタ11の前方の近くの地点に配置される。
【0014】
燃料フィルタ11は、
図2および
図3に示されるように車両の前突時、ダッシュパネル15、カウルトップ17、車両後方へ変位するリレーボックス9などと干渉しないよう、ブラケット21を用いて、箇所Xをなすカウルトップ17の側壁17aやフェンダシールド部材19の上壁19aに保持される。
図4には、このブラケット21の各部の構造が示されている(燃料フィルタ11を取り外した状態)。
【0015】
ここで、燃料フィルタ11は、例えば、大径部や小径部を有した縦形の円筒形のケーシング11a内に、フィルタユニット(図示しない)が収められ、ケーシング11aの上下部に、それぞれ燃料ホース(図示しない)と接続される出・入用のニップル部11b(本実施形態では二組)が設けられている。またケーシング11aの下段側の外周部分には、
図5に示されるような両側に一対の溝部12aや入出用の切欠き部12bを有した平板形の固定具12が設けられている。
【0016】
ブラケット21は、
図2〜
図4に示されるように例えば上下方向に延びる板金部材で形成された取付板部25(本願のフィルタ取付板部に相当)と、この取付板部25の下端部から前方向にL形に延びる平板形の下部取付座27(本願の第1固定座に相当)と、取付板部25の上端部から、後方向に延びる連結部29を介して、上方向へ延びる平板形の上部取付座31(本願の第2固定座に相当)とを有している。取付板部25には、固定座として、燃料フィルタ11の固定具12と着脱可能に嵌り合う嵌挿開口25aが設けられている。このうちの取付板部25は、板面がダッシュパネル15やカウルトップ17の側壁17aと対向する向き(横姿勢)で配置される。これに伴い下部取付座27は、車両前方へ突き出す姿勢となって、フェンダシールド部材19の上壁19a上に配置され、上部取付座31は、ダッシュパネル15、カウルトップ17側(下部取付座27とは反対側)へ突き出す姿勢となって、カウルトップ17の側壁17a上に配置される。そして、上部部取付座31が、固定具、例えば一組のボルト・ナット部材35にて、中央の地点から側壁17aに固定され、下部取付座27が、固定具、例えば一組のボルト・ナット部材41により固定される。
【0017】
また取付板部25と下部取付座27との間は、補強部材、例えば角形の平板部材28によって補強されている。この平板部材28は、エンジンルーム1の側方(車幅方向両側)を形成する壁部、具体的にはフロントフェンダインナ部材20の壁面に臨む取付板部25の側部と下部取付座27の側部間に、所定姿勢を保持、例えば90度を保持するように取着され、同間の変形を抑える。この平板部材28の固定構造としては、平板部材28の側部は、溶接により、取付板部25の側部に固定される。平板部材28の下部は、固定具、例えば一組のボルト・ナット部材42により、下部取付座27と共に、フェンダシールド部材19の上壁19aに固定されている。この一組のボルト・ナット部材42により、上から平板部材28、下部取付座27、フェンダシールド19の順で、各部材を固定している。特に一組のボルト・ナット部材42の固定点については、フェンダシールド部材19をかさ上げしてあり、かさ上げした部分42aを用い、三点で下部取付座27や平板部材28を固定している。なお、一組のボルト・ナット部材42で3点固定するうえで、平板部材28を一番上にしているのは、可能な限り下部取付座27と燃料フィルタ11(特に下部に配置されたニップル部11b)との間の距離を稼ぐためである。
【0018】
ちなみに取付板部25の幅方向一側端には、平板部材28と沿うように折り曲げられたフランジ部25xが設けられ、また幅方向他側端には板面と起立する方向に折り曲げられたフランジ部25bが設けられていて、嵌挿開口25aで低下する剛性を補っている。
燃料フィルタ11は、固定具12の溝部12aを嵌挿開口25aの開口縁部で形成されるレール部26へ挿入して、嵌挿開口25aを覆い隠すよう固定具12を装着することによって、取付板部25の前方側に取り付けられている(
図2,
図3)。つまり、燃料フィルタ11は、ブラケット21で車体1aに保持される。
【0019】
また連結部29は、上部取付座31と取付板部25の上端部との間を連結している。連結部29は、
図3および
図4に示されるように車両前後方向で曲げた板部、例えば下側を凸とした三角形状に曲げた、つまり側面視で下向きに凸になるように折り曲げた曲成板部29aから形成されている。この連結部29にて、上部取付座31と取付板部25の上端部との間を所定の離間距離に保つ。と共に曲成板部29aの折り曲げを利用して、離間距離内で、連結部29の変形が誘起されやすくしている。さらに曲成板部29aの一部、例えば三角形状に曲げた位置でなる後方側の二つの稜線部分には、それぞれ幅方向に延びる細長の開口(本願の開口部)37が形成されている。こうした曲成板部29aの折り曲げ部や開口37がそれぞれ脆弱部分となって、連結部29の一部に、他部分よりも剛性強度が顕著に低く折れやすくなる部分、すなわち脆弱部39を形成している(
図4)。なお、開口37の他に、曲成板部29aの稜線部分に幅方向に延びる細長のビードを設けることでも同様の効果を得ることが可能である。つまり、脆弱部39により、連結部29は、前突時、衝撃力が加わるまでは、剛性により、ダッシュパネル15と取付板部25との間を所定の離間距離に保ち続ける。そして、衝撃力が加わると、連結部29が変形し、同変形にて、衝撃を吸収しながら燃料フィルタ11を後退(ダッシュパネル15側)させ、前方から接近してくるリレーボックス9が燃料フィルタ11と干渉するのを抑えられるようにしている。
【0020】
図6〜
図8には、この前突時における燃料フィルタ11、ブラケット21の挙動が示されている。
すなわち、
図6に示されるように当初、燃料フィルタ11は、ブラケット21の下部取付座27および上部取付座31での固定(上下二点の固定)、連結部29の剛性により、ダッシュパネル15、カウルトップ17から離反した位置で、所要の姿勢(縦向き姿勢)で保持される。
【0021】
このとき、例えば車両が前突し、車体1aの前部から衝撃力Fが加わるとする。この衝撃力Fにて、車体1aの各部が変形したり、リレーボックス9が後退したりする。
すなわち、加わる衝撃力Fにより、
図7に示されるようにアーチ形のフェンダシールド部材19は、変形し、上方へ張り出しながら後退する。リレーボックス9は、この変形するフェンダシールド部材19と追従して後退する。
【0022】
このときブラケット21は、上部取付座31がカウルトップ17(剛性の高い部材)に固定されているので、下部取付座27の自由端側が上方へ押し上げられる。このため、取付板部25は、衝撃力Fが加わるにしたがい、強度の劣る取付板部25の上端部25cや三角形状部の頂部29bを支点に前方へ傾く。つまり、曲成板部29aは開く方向に変位する。燃料フィルタ11は、このブラケット21の変形により、衝撃力Fを吸収しながら、当初位置から、前傾しながら後退する。
【0023】
図8に示されるように衝撃力Fが高まり、フェンダシールド部材19の上方の変形量や車体後方への変形量が増大すると、連結部29の開口37が衝撃力Fに耐えられなくなり、開口37のつぶれを起こす。これにより、加わる衝撃力Fを吸収しながら、燃料フィルタ11が後退できる距離を稼ぐ。また補強している平板部材28は、当初は取付板部25と下部取付座27の角度を維持するように支え、その後、衝撃力Fに耐えられなくなり、U形の変形を起こしながら、衝撃力Fを吸収する。こうした変形が衝撃力Fの動的エネルギーが高まるにしたがい進む。最終的には、
図8に示されるように平板部材28により取付板部25と下部取付座27の角度を維持しようとしつつ曲成板部29aのU字状の変形が極限まで進み、燃料フィルタ11を、カウルトップ17の上端に形成されているフランジ部20aの直前位置まで後方へ逃がす。
【0024】
したがって、車両の衝突時、加わる衝撃で、燃料フィルタ11前方のリレーボックス9(他機器)が後退しても、燃料フィルタ11は、フェンダシールド部材19と共に後退方向へ逃げるから、たとえ燃料フィルタ11とリレーボックス9とが接近して配置されていても、
図8中の隙間αのように燃料フィルタ11とリレーボックス9との間に干渉を避ける空間の確保が可能となり、リレーボックス9との干渉は抑えられる。特に取付板部25と下部取付座27との間は平板部材28(補強部材)にて補強しているので、たとえブラケット21が大きく変形しても、取付板部25と下部取付座27間の狭まりは、平板部材28により所定の地点までに抑えられる。このため、
図8に示されるように燃料フィルタ11の下端部と下部取付座27との間で、求められる隙間βの確保が可能となり、燃料フィルタ11と下部取付座27とが干渉するのが抑えられる。
【0025】
しかも、脆弱部39には、曲成板部29aや開口37が用いられているため、簡単な構造で、連結部29が変形してできた空間へブラケット21や燃料フィルタ11を後退させることができる。特に開口37は、つぶれを利用して、燃料フィルタ11の後退変位量が稼げるので、燃料フィルタ11とダッシュパネル15との間の距離が確保できない場合に有効である。
【0026】
なお、上述した一実施形態における各構成およびそれの組合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能であること。また本発明の実施形態によって限定されることはなく、「特許請求の範囲」によってのみ限定されることはいうまでもない。例えば一実施形態では、三角形状の板部や開口などから脆弱部を形成したが、これに限らず、他の構造で脆弱部を形成してもよい。むろん本発明は、エンジンを収めるエンジンルームでなく、エンジンとモータとで形成されるパワーユニットを収めるルームを備える車両にも適用してもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0027】
1 エンジンルーム(パワーユニットルーム)
9 リレーボックス(他機器)
11 燃料フィルタ
15、17 ダッシュパネル、カウルトップ(後壁部材)
19 アーチ形のフェンダシールド部材(底壁部材)
21 ブラケット
25 取付板部(フィルタ取付板部)
27 下部取付座(第1固定座)
29 連結部
31 上部取付座(第2固定座)
39 脆弱部
X 交差する箇所