【実施例】
【0038】
以下に本発明の実施例1から7についての説明を記載する。また、比較参考のため、比較例1から3についても説明を記載する。また、実施例及び比較例をまとめた表を表1として示す。表1の縦の上段の列の項目は、液晶セルの上面及び下面に積層したものを表す。例えば、表1の縦の上段の列に示される、「保護層」、「第2接着剤層」、「視認側偏光子」、「第1の接着剤層」、「位相差フィルム」、「第1の粘着剤層」、「第2の粘着剤層」、「保護層」、「第3の接着剤層」、「バックライト側偏光子」は、それぞれ、
図2に示す本発明の一実施形態では、「保護フィルム209」、「接着剤層208」、「偏光子207」、「接着剤層206」、「位相差フィルム204」、「粘着剤層202」、「粘着剤層213」、「保護フィルム214」、「接着剤層215」、「偏光子216」に対応する。
【0039】
(位相差フィルム1の製造例)
攪拌装置を備えた反応容器中、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)-4−メチルペンタン2.70kg、テトラブチルアンモニウムクロライド0.06kgを1M水酸化ナトリウム溶液25Lに溶解させた。この溶液に、テレフタル酸クロライド1.22kgとイソフタル酸クロライド0.81kgを30Lのトルエンに溶解させた溶液を攪拌しながら加え、室温で90分間攪拌した。その後、重合溶液を静置分離してポリマーを含んだトルエン溶液を分離し、ついで酢酸水で洗浄し、イオン交換水で洗浄した後、メタノールに投入してポリマーを析出させた。析出したポリマーを濾過し、減圧下で乾燥することで、白色のポリマー3.41kg(収率92%)を得た。
【0040】
得られたポリマーをトルエンに溶解させ、ニ軸延伸ポリプロピレン上に塗布し、80℃で5分乾燥させた後に、110℃で5分間乾燥させ、塗布膜が15μmである積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムを同時二軸延伸機を用いて、搬送させながら、145℃で幅方向に1.2倍延伸し、かつ、MDに0.75倍になるよう収縮させることでロール状の位相差フィルム1を得た。得られた位相差フィルム1は厚み15.0μmで、Re=275nm、Rth=138nm、Nz係数=0.5であった。
【0041】
(位相差フィルム2の製造例)
上記、得られたポリマーをトルエンに溶解させ、ニ軸延伸ポリプロピレン上に塗布し、80℃で5分乾燥させた後に、110℃で5分間乾燥させ、塗布膜が15μmである積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムを同時二軸延伸機を用いて、搬送させながら、145℃で幅方向に1.25倍延伸し、かつ、MDに0.80倍になるよう収縮させることでロール状の位相差フィルム2を得た。得られた位相差フィルム2は厚み15.0μmで、Re=275nm、Rth=206nm、Nz係数=0.75であった。
【表1】
【0042】
(位相差フィルム3の製造例)
上記、得られたポリマーをトルエンに溶解させ、ニ軸延伸ポリプロピレン上に塗布し、80℃で5分乾燥させた後に、110℃で5分間乾燥させ、塗布膜が15μmである積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムを、同時二軸延伸機を用いて、搬送させながら、145℃で幅方向に1.15倍延伸し、かつ、MDに0.7倍になるよう収縮させることでロール状の位相差フィルム3を得た。得られた複屈折性フィルムは厚み15.0μmで、Re=275nm、Rth=96nm、Nz係数=0.35であった。
【0043】
(位相差フィルム4の製造例)
上記、得られたポリマーをトルエンに溶解させ、ニ軸延伸ポリプロピレン上に塗布し、80℃で5分乾燥させた後に、110℃で5分間乾燥させ、塗布膜が20μmである積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムを同時二軸延伸機を用いて、搬送させながら、145℃で幅方向に1.18倍延伸し、かつ、MDに0.78倍になるよう収縮させることでロール状の位相差フィルム4を得た。得られた位相差フィルム4は厚み20.0μmで、Re=275nm、Rth=138nm、Nz係数=0.50であった。
【0044】
(位相差フィルム5の製造例)
上記、得られたポリマーをトルエンに溶解させ、ニ軸延伸ポリプロピレン上に塗布し、80℃で5分乾燥させた後に、110℃で5分間乾燥させ、塗布膜が10μmである積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムを同時二軸延伸機を用いて、搬送させながら、145℃で幅方向に1.22倍延伸し、かつ、MDに0.73倍になるよう収縮させることでロール状の位相差フィルム5を得た。得られた位相差フィルム5は厚み10μmで、Re=275nm、Rth=138nm、Nz係数=0.50であった。
【0045】
(偏光子の製造例)
A−PET(アモルファス‐ポリエチレンテレフタレート)フィルム、(三菱樹脂(株)製 商品名:ノバクリア SH046 200μm)を基材として用意し、表面にコロナ処理(58W/m
2/min)を施した。一方、アセトアセチル変性PVA(日本合成化学工業(株)製 商品名:ゴーセファイマー Z200(重合度1200、ケン化度99.0%以上、アセトアセチル変性度4.6%))を1wt%添加したPVA(重合度4200、ケン化度99.2%)を用意して、乾燥後の膜厚が12μmになるように塗布し、60℃の雰囲気下において熱風乾燥により10分間乾燥して、基材上にPVA系樹脂の層を設けた積層体を作製した。
【0046】
次いで、この積層体を、まず空気中130℃でMD方向を2.0倍に延伸して、延伸積層体を生成した。次に、延伸積層体を液温30℃のホウ酸不溶化水溶液に30秒間浸漬することによって、延伸積層体に含まれるPVA分子が配向されたPVA層を不溶化する工程を行った。この工程における不溶化用ホウ酸水溶液は、ホウ酸含有量を、水100重量部に対して3重量部含むものとした。不溶化工程を経たこの延伸積層体を染色することによって、着色積層体を生成した。この着色積層体は、延伸積層体を染色液に、浸漬することによって、延伸積層体に含まれるPVA層にヨウ素を吸着させたものである。染色液は、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含んでおり、染色液の液温は30℃とし、水を溶媒として、ヨウ素濃度を0.08〜0.25重量%の範囲内とし、ヨウ化カリウム濃度を0.56〜1.75重量%の範囲内とした。ヨウ素とヨウ化カリウムの濃度の比は、1対7とした。染色条件として、偏光子を構成するPVA系樹脂層の単体透過率が40.9%になるように、ヨウ素濃度及び浸漬時間を設定した。
【0047】
次に、着色積層体を30℃の架橋用ホウ酸水溶液に60秒間浸漬することによって、ヨウ素を吸着させたPVA層のPVA分子同士に架橋処理を施す工程を行った。この架橋工程に使用する架橋用ホウ酸水溶液は、ホウ酸含有量を、水100重量部に対して3重量部とし、ヨウ化カリウム含有量を、水100重量部に対して3重量部としたものである。さらに、得られた着色積層体を、ホウ酸水溶液中において、延伸温度70℃で、先の空気中での延伸と同様の方向に2.7倍に延伸することにより、最終的な延伸倍率が5.4倍となる延伸を行って、供試用偏光子を含む光学フィルム積層体を得た。この延伸工程において使用されるホウ酸水溶液は、ホウ酸含有量を水100重量部に対して4.0重量部とし、ヨウ化カリウム含有量を水100重量部に対して5重量部としたものである。得られた光学フィルム積層体をホウ酸水溶液から取り出し、PVA層の表面に付着したホウ酸を、ヨウ化カリウム含有量が水100重量部に対して4重量部含む水溶液で洗浄した。洗浄された光学フィルム積層体を60℃の温風による乾燥工程によって乾燥し、PETフィルムに積層された厚みが5μmの偏光子を得た。
【0048】
(第1の位相差板付偏光板の製造)
上述の偏光子製造例により作製した、PETフィルムに積層された厚みが5μmの偏光子に対し、PETとは反対側の面に、UV硬化型接着剤を介して、上述の方法により作成された位相差フィルム1をロールtoロールで貼り合せた。さらに、この積層体からPETフィルムを剥離した後、UV硬化型接着剤を介して、アクリル系保護フィルムを貼り合せ位相差板付偏光板を作製した。
【0049】
(第2の位相差板付偏光板の製造)
上述の偏光子製造例により作製した、PETフィルムに積層された厚みが5μmの偏光子に対し、PETとは反対側の面に、UV硬化型接着剤を介して、上述の方法により作成された位相差フィルム1をロールtoロールで貼り合せた。さらに、この積層体からPETフィルムを剥離した後、アクリル系粘着剤を用いて、輝度向上フィルムを貼り合せ、位相差板付偏光板を作製した。
【0050】
(第1の偏光板の製造)
上述の偏光子製造例により作製した、PETフィルムに積層された厚みが5μmの偏光子に対し、PETとは反対側の面に、UV硬化型接着剤を介して、アクリル系保護フィルムをロールtoロールで貼り合せた。さらに、この積層体からPETフィルムを剥離した後、アクリル系粘着剤を用いて、輝度向上フィルムを貼り合せ、偏光板を作製した。
【0051】
(第2の偏光板の製造)
上述の偏光子製造例により作製した、PETフィルムに積層された厚みが5μmの偏光子に対し、PETとは反対側の面に、UV硬化型接着剤を介して、アクリル系保護フィルムをロールtoロールで貼り合せた。さらに、この積層体からPETフィルムを剥離した後、UV硬化型接着剤を介して、アクリル系保護フィルムを貼り合せ、偏光板を作製した。
【0052】
(実施例1)
IPS方式の液晶セルを備えるスマートフォン(米国アップル社製iPhone5)から液晶パネルを取り出し、液晶セルの上下に配置されていた偏光板を取り除いて、該液晶セルの両側のガラス面を洗浄した。続いて、上記液晶セルの視認側の表面に、上述の方法で作製した第1の位相差板付偏光板を、偏光子の吸収軸が該液晶セルの初期配向方向に対して直交するように、アクリル系粘着剤(厚み20μm)を介して積層した。次いで、上記液晶セルの光源側の表面に、上記の方法で作製した第1の偏光板を、偏光子の吸収軸方向と、該液晶セルの初期配向方向とが平行となるように、アクリル系粘着剤(厚み20μm)を介して積層し、液晶パネルを得た。
【0053】
(加熱反り試験)
偏光板が積層された液晶パネルを85℃、24時間加熱した後のパネルの反りを目視で確認を行った。反りが発生していないものを〇、液晶パネルが反っているものを×をした。
【0054】
(加熱輝度ムラ試験)
85℃で48時間加熱処理した後の影響パネルとバックライト上の置き、輝度ムラについて確認を行った。ムラが発生していないものを〇とし、ムラが発生しているものを×とした。
【0055】
(実施例2〜5)
実施例1と同様に位相差フィルム1の代わりに位相差フィルム2−5を用いることで偏光板が積層された液晶パネルを作製した。同様に加熱による反り、輝度ムラについて確認を行った。
【0056】
(実施例6)
平均重合度2400、ケン化度99.9モル%の厚み30μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の温水中に60秒間浸漬し膨潤させた。次いで、ヨウ素/ヨウ化カリウム(重量比=0.5/8)の濃度0.3%の水溶液に浸漬し、3.5倍まで延伸させながらフィルムを染色した。その後、65℃のホウ酸エステル水溶液中で、トータルの延伸倍率が6倍となるように延伸を行った。延伸後に、40℃のオーブンにて3分間乾燥を行い、偏光子を得た。得られた12μmの偏光子の片側にハードコート処理されたTAC25μmを、もう一方の面に位相差フィルム1を、水系の接着剤を用いて貼り合せた。実施例1と同様に視認側に上記作製した偏光板を貼り合せることで液晶パネルを得た。得られた液晶パネルについて加熱による反り、輝度ムラについて確認を行った。
【0057】
(実施例7)
実施例1と同様に、上記液晶セルの視認側の表面に、上述の方法で作製した第2の偏光板を、偏光子の吸収軸が該液晶セルの初期配向方向に対して平行となるように、アクリル系粘着剤(厚み20μm)を介して積層した。次いで、上記液晶セルの光源側の表面に、上記の方法で作製した第2の位相差板付偏光板を、偏光子の吸収軸方向と、該液晶セルの初期配向方向とが直交となるように、アクリル系粘着剤(厚み20μm)を介して積層し、液晶パネルを得た。得られた液晶パネルについて加熱による反り、輝度ムラについて確認を行った。
【0058】
(比較例1)
厚み100μmのノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン(株)製商品名「ゼオノアZF14−100」)の両側に、二軸延伸ポリプロピレンフィルム〔東レ製商品名「トレファン」(厚み60μm)〕を、アクリル系粘着剤層(厚み15μm)を介して貼り合せた。その後、ロール延伸機でフィルムの長手方向を保持して、146℃の空気循環式恒温オーブン内で1.38倍に延伸して位相差フィルム6を作製した。得られた位相差フィルム6は厚み100μmで、Re=270nm、Rth=135nm、Nz係数=0.50であった。
【0059】
得られた位相差フィルム6の遅相軸と偏光板の吸収軸が直交となるようにアクリル系粘着剤で用いては貼り合せた。
実施例1と同様に視認側に上記作製した偏光板を貼り合せることで液晶パネルを得た。得られた液晶パネルについて加熱による反り、輝度ムラについて確認を行った。
【0060】
(比較例2)
カーボネート前駆物質としてホスゲン、芳香族2価フェノール成分として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを用いて、常法に従い重量比が4:6であって、重量平均分子量(Mw)60,000であるポリカーボネート系樹脂〔数平均分子量(Mn)=33,000、Mw/Mn=1.78〕を得た。上記ポリカーボネート系樹脂70重量部と、重量平均分子量(Mw)1,300のスチレン系樹脂〔数平均分子量(Mn)=716、Mw/Mn=1.78〕(三洋化成製ハイマーSB75)30重量部とをジクロロメタン300重量部に加え、室温下で4時間攪拌混合して透明な溶液を得た。この溶液をガラス板上にキャストし、室温で15分間放置した後、ガラス板から剥離して、80℃のオーブンで10分、120℃で20分乾燥して、厚み55μm、ガラス転移温度(Tg)が140℃の高分子フィルムを得た。
【0061】
上記高分子フィルム(厚み55μm)の両側に、二軸延伸ポリプロピレンフィルム〔東レ製 商品名「トレファン」(厚み60μm)〕を、アクリル系粘着剤層(厚み15μm)を介して貼り合せた。その後、ロール延伸機でフィルムの長手方向を保持して、147℃の空気循環式恒温オーブン内で1.27倍に延伸して位相差フィルム8を作製した。得られた位相差フィルム7は厚み55μmで、Re=270nm、Rth=135nm、Nz係数=0.50であった。
【0062】
得られた位相差フィルム7の遅相軸と偏光板の吸収軸が直交となるようにアクリル系粘着剤で用いては貼り合せた。実施例1と同様に視認側に上記作製した偏光板を貼り合せることで液晶パネルを得た。得られた液晶パネルについて加熱による反り、輝度ムラについて確認を行った。
【0063】
(比較例3)
厚みが16μmの偏光子の片側にハードコート処理されたTAC25μmを、もう一方の面に位相差フィルム1を、水系の接着剤を用いて貼り合せた。実施例1と同様に視認側に上記作製した偏光板を貼り合せることで液晶パネルを得た。得られた液晶パネルについて加熱による反り、輝度ムラについて確認を行った。
【0064】
(偏光子の透過率及び偏光度の測定)
偏光子の単体透過率T、平行透過率Tp、直交透過率Tcは、紫外可視分光光度計(日本分光社製V7100)を用いて測定した。ここに「平行透過率」とは、同一の構成を有する2枚の偏光子を、吸収軸が互いに平行になるように重ねた状態で測定した透過率であり、「直交透過率」とは、同一の構成を有する2枚の偏光子を、吸収軸が互いに直交するように重ねた状態で測定した透過率である。これに対して、「単体透過率」は、1枚の偏光子の透過率である。これらのT、Tp、Tcの値は、JIS Z 8701の2度視野(C光源)により測定して視感度補正を行なったY値である。測定において、偏光子の取り扱いを容易にするため、偏光子に保護層(アクリル系樹脂フィルム、またはシクロオレフィン系樹脂フィルム)を貼合せた状態で測定が行われた。保護層の吸光は、偏光子の吸光と比べて無視できる程小さいため、偏光子に保護層を積層した積層体の透過率を、偏光子の透過率とした。
【0065】
偏光度Pは、上記の平行透過率と直交透過率を用いて、次式により求めた。
偏光度P(%)={(Tp−Tc)/(Tp+Tc)}×(1/2)×100
【0066】
(PVAの配向関数の評価方法)
測定装置は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)(Perkin Elmer社製、商品名:「SPECTRUM2000」)を用いた。偏光を測定光として、全反射減衰分光(ATR:attenuated total reflection)測定により、PVA樹脂層表面の評価を行った。配向関数の算出は以下の手順で行った。測定偏光を延伸方向に対して0°と90°にした状態で測定を実施した。得られたスペクトルの2941cm
-1の強度を用いて、以下に記した(式1)に従い算出した。また、下記強度Iは3330cm
-1を参照ピークとして、2941cm
-1/3330cm
-1の値を用いた。なお、f=1のとき完全配向、f=0のときランダムとなる。また、2941cm
-1のピークは、PVAの主鎖(−CH2−)の振動起因の吸収といわれている。
(式1)f=(3<cos
2θ>−1)/2
=(1−D)/[c(2D+1)]
但し
c=(3cos
2β−1)/2
β=90deg⇒f=−2×(1−D)/(2D+1)
θ:分子鎖・延伸方向
β:分子鎖・遷移双極子モーメント
D=(I⊥)/(I//)
(PVAが配向するほどDの値が大きくなる。)
I⊥:偏光を延伸方向と垂直方向に入射して測定したときの強度
I//:偏光を延伸方向と平行方向に入射して測定したときの強度
【0067】
(位相差測定)
位相差フィルムの位相差測定は、王子計測機器(株)製の商品名「KOBRA−WPR」を用いて測定した。なお、フィルム面内屈折率差Δnxyは、Re=(nx−ny)×dで定義されるReを厚みdで割ることで算出された。また、厚み方向位相差Rthは、Rth=(nx−nz)×dで定義される。
【0068】
(厚み測定)
偏光子及び保護層の厚みは、デジタルマイクロメーター(アンリツ社製KC−351C)を用いて測定した。また、位相差フィルムの厚みは、大塚電子(株)製の薄膜用分光光度計(商品名:MCPD2000)を用いて測定した。
【0069】
(光弾性係数の測定)
分光エリプソメーター[日本分光(株)製 製品名「M−220」]を用いて、サンプル(サイズ2cm×10cm)の両端を挟持して応力(5〜15N)をかけながら、サンプル中央の位相差値(23℃)を測定し、応力と位相差値の関数の傾きから算出した。
【0070】
以上の実施例及び比較例の結果に基づいて、IPS液晶表示パネルに、偏光子、位相差フィルム等の光学フィルムを貼り合わせた構成において、反りが生じないようにするために、
図1に示す本発明の一実施形態における偏光子103を、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂に対するヨウ素の濃度を3重量%以上、PVA分子の配向性を0.38以上で、偏光度を99.8%以上となるように構成することができ、また、位相差フィルム101を、例えば、x軸、y軸及びz軸方向の屈折率nx、ny、nzがnx>nz>nyの関係となる屈折率分布を有する、厚みdが20μm以下の単層フィルムとして構成し、フィルム面内屈折率差Δnxyを5.5×10
-3以上、Re=(nx−ny)×dと定義されるReを100から300nm、好ましくは130から300nm、特に好ましくは250から290nmとし、Nz=(nx−nz)/(nx−ny)と定義されるNzを0.3から0.8、より好ましくは0.35から0.75、特に好ましくは0.4から0.6とし、光弾性係数を5×10
-11以上、より好ましくは1×10
-10以上であり、長手方向に直角な幅方向に遅相軸を有するように構成することができる。
【0071】
また、以上の実施例及び比較例の結果を考慮して、IPS液晶表示パネルに、上記のような特徴を有する偏光子、位相差フィルム等からなる光学フィルム積層体を用いて、例えば、
図2に示す本発明の一実施形態に係るIPS液晶表示装置200を構成する際に、液晶表示パネルである液晶セル(T/P)201の反りを防止するために、例えば、IPS液晶表示パネルのバックライト側において、IPS液晶表示パネルのバックライト側表面から偏光子のバックライト側表面までの距離を50μm以下とし、IPS液晶表示パネルの視認側表面から偏光子の保護層側表面までの距離と、IPS液晶表示パネルのバックライト側表面から前記偏光子のバックライト側表面までの距離の差を10μm以下となるように構成することができる。
【0072】
さらに、
図3から5に示すその他の実施形態に係るIPS液晶表示装置についても、上記と同様の特徴を有するように構成することができる。
【0073】
以上、本発明を特定の実施形態について図示し、詳細に説明したが、本発明の保護範囲は、図示した実施形態の細部に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載により定められる範囲によって定まるものである。