特許第6274480号(P6274480)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6274480
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】防煙設備
(51)【国際特許分類】
   A62C 2/06 20060101AFI20180129BHJP
   A62C 2/08 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
   A62C2/06 510
   A62C2/08
   A62C2/06 508
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-57957(P2013-57957)
(22)【出願日】2013年3月21日
(65)【公開番号】特開2014-180497(P2014-180497A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2016年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岩井 淳
【審査官】 今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−313753(JP,A)
【文献】 特開平04−256458(JP,A)
【文献】 実開昭52−166396(JP,U)
【文献】 特開2014−054475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災発生時、建物内の空間を仕切って、火災発生箇所のある火災区画と火災発生箇所のない非火災区画とに区分し、火災区画から非火災区画に煙が拡散することを防止する防煙設備であって、
垂れ壁と、
水を噴霧して水膜を形成し、該水膜を形成すると周囲の空気を巻き込んで下降気流を生じる下降気流発生手段としても作用する水幕形成手段と、
該水膜形成手段によって生じる下降気流を、翼断面形状を有するフラップによるコアンダ効果に基づいて火災区画側へ偏向させて煙を押し戻す気流偏向手段と
を備えることを特徴とする防煙設備。
【請求項2】
火災発生時、建物内の空間を仕切って、火災発生箇所のある火災区画と火災発生箇所のない非火災区画とに区分し、火災区画から非火災区画に煙が拡散することを防止する防煙設備であって、
垂れ壁と、水幕形成手段と、該水幕形成手段によって生ずる気流を翼断面形状を有するフラップによるコアンダ効果に基づいて火災区画側へ偏向させて煙を押し戻す気流偏向手段と、を備え、
前記気流偏向手段は、前記垂れ壁に沿ってその両側に設けられた翼断面形状を有するフラップであって、前記翼断面形状の前縁部と天井面との間に吸込用の隙間を有し、前記翼断面形状の後縁部である下端側に向かって前記垂れ壁から離間する方向に湾曲して設けられる2枚のフラップであることを特徴とする防煙設備。
【請求項3】
前記フラップは、平常時は天井面に格納され、火災発生時に下方へ向けて展開するように制御されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の防煙設備。
【請求項4】
火災発生時、建物内の空間を仕切って、火災発生箇所のある火災区画と火災発生箇所のない非火災区画とに区分し、火災区画から非火災区画に煙が拡散することを防止する防煙設備であって、
垂れ壁と、水幕形成手段と、該水幕形成手段によって生ずる気流を翼断面形状を有するフラップによるコアンダ効果に基づいて火災区画側へ偏向させて煙を押し戻す気流偏向手段と、を備え、
前記水幕形成手段は、火災発生時に、天井面側から床面に向けて略鉛直方向に扇状の噴霧パターンで水を噴霧し、該噴霧パターンが互いに重なり合って水幕を形成するように所定間隔で設けられ、前記垂れ壁の内部に1列だけ設けられることを特徴とする防煙設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、火災発生時に建物等の内部空間を仕切って、火災発生箇所のある火災区画と火災発生箇所のない非火災区画とに区分し、火災区画から非火災区画に煙が拡散することを防止する防煙設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物等の内部で発生した火災に対し、火災の拡大や煙の拡散を防止するために、火災発生箇所の空間を防火戸等で仕切って、火災発生箇所のある火災区画と火災発生箇所のない非火災区画(避難区画)とに区分することが一般に行われている。
【0003】
そして、防火戸に代えて、人が避難する際に通過し易く、煙の拡散を防止する防煙カーテン(防煙スクリーンとも称される)を用いることが提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、防火戸や防煙カーテンの場合、閉鎖位置に障害物が置かれていたりすると、完全には閉鎖させることができず、煙が床面や障害物との間にできる隙間から漏れ出てしまい、非火災区画側に拡散してしまう。
【0004】
一方、特開2004−313753号公報(特許文献2)には、トンネル形状の構築物等を対象に設けられる設備についてのものではあるが、噴霧ヘッドから水を噴霧して形成した水幕によって煙を洗い流すと共に対象の空間を複数の区画に区分し、それにより防火と防煙をする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭60−071234号公報
【特許文献2】特開2004−313753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
防火戸や防煙カーテンに代えて、前記特許文献2に記載の水幕の技術を利用すれば、水幕の形成位置に障害物が置かれていたりしても隙間ができないようにしつつ、水幕を形成することが可能である。
【0007】
しかしながら、前記の水幕の技術を利用しても、水粒子よりも遙かに小粒径であるサブミクロン単位の粒径である煙粒子は水幕を容易に通り抜けてしまうことから、水幕による煙の洗い流しの効果は実際には低い。又、噴霧ヘッドから放出される水は煙を引き込みながら噴霧されることになるので、噴霧により煙を拡散させてしまい、水幕を形成しても、煙が水幕を越えて非火災区画側に拡散してしまう。
【0008】
つまり、従来の技術である防煙カーテンや水幕では、火災区画と非火災区画とに区分しようとしても、何れも、煙が非火災区画側に拡散してしまうという課題がある。
【0009】
この発明は、前記の事情に鑑み、人が避難する際に通過し易く、閉鎖位置に障害物があったとして影響を受けることがない、火災区画と非火災区画とを区分し、煙が非火災区画側に拡散することを防止できる防煙設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)この発明の防煙設備は、火災発生時、建物内の空間を仕切って、火災発生箇所のある火災区画と火災発生箇所のない非火災区画とに区分し、火災区画から非火災区画に煙が拡散することを防止する防煙設備であって、垂れ壁と、水を噴霧して水膜を形成し、該水膜を形成すると周囲の空気を巻き込んで下降気流を生じる下降気流発生手段としても作用する水幕形成手段と、該水膜形成手段によって生じる下降気流を、翼断面形状を有するフラップによるコアンダ効果に基づいて火災区画側へ偏向させて煙を押し戻す気流偏向手段とを備えることを特徴とする。
(2)また、この発明の防煙設備は、火災発生時、建物内の空間を仕切って、火災発生箇所のある火災区画と火災発生箇所のない非火災区画とに区分し、火災区画から非火災区画に煙が拡散することを防止する防煙設備であって、垂れ壁と、水幕形成手段と、該水幕形成手段によって生ずる気流を翼断面形状を有するフラップによるコアンダ効果に基づいて火災区画側へ偏向させて煙を押し戻す気流偏向手段と、を備え、前記気流偏向手段は、前記垂れ壁に沿ってその両側に設けられた翼断面形状を有するフラップであって、前記翼断面形状の前縁部と天井面との間に吸込用の隙間を有し、前記翼断面形状の後縁部である下端側に向かって前記垂れ壁から離間する方向に湾曲して設けられる2枚のフラップであることを特徴とする。
(3)また、この発明の防煙設備は、(1)〜(2)において、前記フラップは、平常時は天井面に格納され、火災発生時に下方へ向けて展開するように制御されることを特徴とする。
(4)また、この発明の防煙設備は、火災発生時、建物内の空間を仕切って、火災発生箇所のある火災区画と火災発生箇所のない非火災区画とに区分し、火災区画から非火災区画に煙が拡散することを防止する防煙設備であって、垂れ壁と、水幕形成手段と、該水幕形成手段によって生ずる気流を翼断面形状を有するフラップによるコアンダ効果に基づいて火災区画側へ偏向させて煙を押し戻す気流偏向手段と、を備え、前記水幕形成手段は、火災発生時に、天井面側から床面に向けて略鉛直方向に扇状の噴霧パターンで水を噴霧し、該噴霧パターンが互いに重なり合って水幕を形成するように所定間隔で設けられ、前記垂れ壁の内部に1列だけ設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記(1)に記載の構成によると、火災発生時、天井面に沿って流入する煙層は垂れ壁で堰き止められ、水幕形成手段による下降気流発生手段からの下降気流は、フラップによるコアンダ効果に基づく気流偏向手段によって煙を火災区画側へ押し戻すように偏向するので、非火災区画に煙が拡散することを防止できる。
【0012】
また、上記(2)に記載の構成によると、前記下降気流は、フラップと天井面との間の隙間から煙層を吸い込み、フラップ表面に沿って流れて水幕形成手段から離間する方向へ偏向されるので、煙を火災区画側へ押し戻すことができる。
【0013】
また、上記(3)に記載の構成によると、平常時はフラップを天井面に格納するので通行
の障害とならないとともに美観を損なわない。
【0016】
また、上記(4)に記載の構成によると、噴霧ヘッドが垂れ壁内に設けられるので美観を損なわないとともに、噴霧ヘッドが1列に配置されるので火災発生時に水を噴霧するヘッドの列を選択する制御が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態1に係る防煙設備の構成を側面視で示した図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る防煙設備の構成を正面視で示した図である。
図3】本発明の実施の形態2に係る防煙設備の構成を側面視で示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[実施の形態1]
図1、2に基づいて本実施の形態に係る防煙設備について説明する。 防煙設備1−1は、建物等の内部に設けられ、水幕形成手段によって水幕WCを形成して、防煙対象の空間を仕切り、火災発生側である火災区画R1と火災発生が無く人が避難する側となる非火災区画(避難区画)R2とに区分して、水幕WCにより火災区画R1から非火災区画R2への煙の流れを遮断し、煙が非火災区画R2側に拡散するのを防止するものである。
【0019】
建物等の天井面Cには、天井面Cから垂下して垂れ壁2が設けられる。垂れ壁2は、上端部が天井面Cに、両側面が壁面Wに、それぞれ接して閉塞され、下端部が所定高さまで垂下した板状体である。一般に、建物等の天井には、このような垂れ壁2が防煙用に設けられており、火災による熱気流によって、天井面Cに沿って流れる煙層A1を堰き止める作用があり、本実施の形態においても同様に作用する。後述するフラップ3−1、3−2の上方には煙を吸い込む為の隙間5が設けられるが、この垂れ壁2があることによって、煙が隙間5を通って非火災区画R2側に流れ込むことを防止できるようになっている。この垂れ壁2は、天井面Cに収納して設けるようにし、火災発生時に垂下するように制御してもよい。
【0020】
ところで、火災が拡大して煙層A1の厚みが増した場合、あるいは、火災発生源からの距離が遠くて煙層A1が熱を失って天井面Cから離間した場合は、煙層A1は垂れ壁2の下端よりも低い高さで垂れ壁2を越えて非火災区画A2へ流れ込む。
【0021】
そこで、防煙設備1−1は、水幕WCを形成する水幕形成手段と、煙の流れを偏向させる気流偏向手段とを備え、火災区画R1側から非火災区画R2側へ流入しようとする煙層A1の流れを偏向させ、火災区画R1側へ押し返すようにした。
【0022】
まず、水幕WCを形成する水幕形成手段について説明する。
【0023】
防煙設備1−1は、火災発生時に水幕WCを形成する水幕形成手段として、天井面C側から床面Fに向けて略鉛直方向に扇状の噴霧パターンで水を噴霧する複数の噴霧ヘッド4−1、4−2を備える。そして、該噴霧パターンが互いに重なり合って水幕WCを形成するように、複数の噴霧ヘッド4−1、4−2が所定間隔で設けられる。これらの複数の噴霧ヘッド4−1、4−2は、垂れ壁2と、垂れ壁2の両側に設けられる後述する2枚のフラップ3−1、3−2との間の2列に設けられる。
【0024】
ここでは説明の便宜のため、防煙設備1−1を中心として一方の側を火災区画R1(図1左方)、他方の側を非火災区画R2(図1右方)と定める。更に、火災区画R1側のフラップ3−1と垂れ壁2との間に所定間隔で直線上に複数設けられる噴霧ヘッド列を噴霧ヘッド4−1、非火災区画R2側のフラップ3−2と垂れ壁2との間に所定間隔で直線上に複数設けられる噴霧ヘッド列を噴霧ヘッド4−2、と呼称する。
【0025】
そして、火災発生時は、垂れ壁2よりも火災方向側、すなわち火災区画R1側の噴霧ヘッド4−1より、天井面C側から床面Fに向けて略鉛直方向に水を噴霧する。そして、隣接する他の噴霧ヘッドの方向に拡がった扇状の噴霧パターンで水を噴霧し、これら複数の噴霧ヘッド4−1からの噴霧パターンが互いに重なり合って水幕WCを形成する。なお、火災発生が逆の区画側であった場合は、区画R2側の噴霧ヘッド4−2より同様に水を噴霧すれば良い。この場合、図1において左右が入れ替わるだけなので、その説明は省略する。また、水源の容量を問題としない場合は、噴霧ヘッド4−1、4−2の両方から水を噴霧しても良い。
【0026】
なお、火災区画R1側の噴霧ヘッド4−1だけから水を噴霧するように制御するには、後述するフラップ3−1、3−2の直近にあって垂れ壁2から離間する側の天井面Cに、2つの煙感知器D1、D2を設け、煙感知器D1、D2のうち煙を感知した側の噴霧ヘッドの列だけ水を噴霧するように制御すれば良い。
【0027】
このように形成される水幕WC自体にも、煙粒子を吸着して洗い流す多少の効果はある。しかしながら、解決しようとする課題で述べたように、水幕WCの水粒子よりも遙かに小粒径であるサブミクロン単位の粒径である煙粒子は水幕WCを容易に通り抜けてしまうことから、水幕WCによる煙の洗い流しの効果は極めて限定的である。さらに、水噴霧により煙を拡散させてしまうので、水幕WCのみによって煙が非火災区画R2側へ拡散することを防ぐことはできない。
【0028】
次に、火災区画R1側へ煙を押し戻す気流偏向手段について説明する。
【0029】
上記のように、煙は水幕WCを容易に通り抜けてしまうので、本実施の形態の防煙設備1−1は、火災区画R1側から天井面Cに沿って押し寄せる煙層A1を火災区画R1側に押し返す気流偏向手段を備える。
【0030】
前記気流偏向手段は、垂れ壁2に沿ってその両側に設けられた翼断面形状の板状体であるフラップ3−1、3−2であり、これらは噴霧ヘッド4−1、4−2に対して垂れ壁2から離間する側に設けられる。ここでは説明の便宜のため、噴霧ヘッド4−1側をフラップ3−1、噴霧ヘッド4−2側をフラップ3−2と定める。
【0031】
フラップ3−1、3−2は、翼断面形状の前縁部である一端が上方の天井面C側を向き、翼断面形状の後縁部である他端が下方の床面F側を向くように、また、翼断面形状の前縁部から後縁部に向かって、垂れ壁2から離間する方向へ湾曲するように設けられる。そして、その上端部(翼断面形状の前縁部)は、天井面Cとの間に吸込用の隙間5を有するように天井面Cから離間して設けられ、少なくともその両端の2箇所において、上端側(翼断面形状の前縁部側)に突設された支柱を有し、該支柱が天井面Cに貫入して固定される。
【0032】
一方、前記水幕形成手段が水を噴霧して水幕WCを形成すると、周囲の空気を巻き込んで下降気流を生ずる。換言すれば、水幕形成手段によって下降気流が生じる。
【0033】
火災発生時、火災区画R1側の噴霧ヘッド4−1から水が噴霧されて水幕WCが形成されると、この下降気流は、フラップ3−1の翼断面形状の前縁部である上端と天井面Cとの間の吸込用の隙間5から煙層A1を吸い込み、コアンダ効果によって、フラップ3−1の垂れ壁2側の面に沿って流れる。そして、翼断面形状のフラップ3−1の垂れ壁2側の表面に沿って流れる煙は、翼断面形状の後縁部が垂れ壁2から離間する方向に湾曲するので、火災区画R1側に偏向される。つまり、煙層A1は気流偏向手段であるフラップ3−1によって火災区画R1側へ偏向された気流A2により、火災区画R1側へ押し戻される。
【0034】
ここで煙層A1が天井面Cから離間して、隙間5から吸い込まれなかったとしても、隙間5から吸い込まれて火災区画R1側に偏向した気流A2によって、煙は火災区画R1側へ押し戻されることになる。
[実施の形態2]
図3に基づいて本実施の形態について説明する。なお、実施の形態1と同じ構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0035】
本実施の形態は、実施の形態1と同じ原理で動作する防煙設備であり、その変形例を示したものである。
【0036】
本実施の形態では、実施の形態1で説明した固定式のフラップ3−1、3−2に代えて、平常時は天井面Cに格納され、火災発生時に天井面Cから垂下して展開する可動式のフラップ30−1、30−2を設ける。天井面Cには、フラップ30−1、30−2を埋込設置可能な収納スペースを設けておくと、格納時にフラップ30−1、30−2が天井面Cから出っ張らずにフラットな天井面Cを形成することができる。このようにすることにより、天井面Cの美観を損なわないようにできる。また、長尺な物体を持って移動する際に、これがフラップ30−1、30−2に衝突することを防ぐことができ、通行の障害となることを防ぐことができる。また、このような衝突を防ぐことによって、フラップ30−1、30−2の破損を防止することもできる。
【0037】
フラップ30−1、30−2は、火災発生時、建物に設置された自動火災報知設備の火災発報に連動して、同時に展開するようにしても良いし、実施の形態1で用いた煙感知器D1、D2を用い、これら2つの煙感知器のうち、煙を感知した側だけを展開するようにしても良い。そして、展開後のフラップ30−1、30−2は、実施の形態1に示したフラップ3−1、3−2と同様に作用するので、その説明は省略する。
【0038】
また、本実施の形態の水幕形成手段は、2層の板材で形成された垂れ壁20の内部に1列だけ設けられる複数の噴霧ヘッド4から成る。この噴霧ヘッド4は、実施の形態1と同様に、火災発生時に、天井面C側から床面Fに向けて略鉛直方向に扇状の噴霧パターンで水を噴霧し、該噴霧パターンが互いに重なり合って水幕を形成するように所定間隔で設けられる。
【0039】
このように構成することにより、噴霧ヘッド4が垂れ壁20内に隠れて設けられるので美観を損なわない。また、噴霧ヘッド4が1列に配置されるので、火災発生時に水を噴霧するヘッドの列を選択する制御が不要となる。
【0040】
なお、上記の格納式フラップによる気流偏向手段と、垂れ壁内に1列に配設された水幕形成手段は、それぞれ個別に、実施の形態1に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
1−1、1−2 防煙設備、 2、20 垂れ壁、
3−1、3−2、30−1,30−2 フラップ、
4、4−1、4−2 噴霧ヘッド、 5 隙間、
D1、D2 煙感知器、 C 天井面、 F 床面、 W 壁面、 WC 水幕、
R1 火災区画、 R2 非火災区画
図1
図2
図3