【実施例1】
【0015】
まず、本発明である寝台について説明する。
図1は、寝台の斜視図である。なお、寝台100に患者等を仰向けで寝かせたとき、患者等の頭側を前、患者等の足側を後、患者等の右手側を右、患者等の左手側を左、患者等の正面側を上、患者等の背面側を下とする。
図1においては、右側が前、上側が右となる。また、寝台100の長手方向を縦方向(長さ方向)、それに水平に直交する方向を横方向(幅方向)、それに垂直に直交する方向を高さ方向とする。
【0016】
図1に示すように、寝台100は、少なくとも、患者等を載せる天板200と、天板200を各板が水平に配列されるように支える枠体330と、を有する。その他に、枠体330の前部から上方に突出するように設けたヘッドボード300、枠体330の後部から上方に突出するように設けたフットボード310、患者等の転落を防止するために枠体330の側部から上方に突出するように取付け可能なサイドガード320、寝台100を移動可能にするために枠体330の下部に設けたキャスター340などを有する。
【0017】
天板200は、複数の板を水平に配列させ、各板が隣接する板と回動可能に連結されることで、全体で1枚の板として患者等を載せる。各板は、矩形状であり、全て同じサイズの板である必要はないが、縦方向に並ぶ板は全て同じ幅であり、横方向に並ぶ板は全て同じ長さである。
【0018】
天板200は、軸を横にして縦方向に折れ曲がることから縦に2枚以上、また、軸を縦にして横方向に折れ曲がることから横に2枚以上、計4枚以上の板が配置される。
図1の例では、前部に患者等の上体を載せるための長い板を横に3列、その後に患者等の腰を載せるための板を横に3列、その後に患者等の膝(上腿)を載せるための短い板を横に3列、その後に患者等の脚(下腿)を載せるための板を横に3列で、計12枚の板を配置している。また別の見方をすると、左部に患者等の左体を載せるための板を縦に4列、その右に患者等の中央を載せるための板を縦に4列、その右に患者等の右体を載せるための板を縦に4列で、計12枚の板を配置している。
【0019】
図2は、寝台を上面から見た図である。
図2に示すように、天板200について、縦方向の配置を、前側から上体用板210、腰用板220、膝用板230、及び脚用板240とし、横方向の配置を、左側から左用板250、中用板260、及び右用板270とする。上体用板210の後に腰用板220が連結され、腰用板220の後に膝用板230が連結され、膝用板230の後に脚用板240が連結される。また、中用板260の左に左用板250が連結され、中用板260の右に右用板270が連結される。
【0020】
そうすると、上体用板210は、左上体用板210a、中上体用板210b、及び右上体用板210cからなる。腰用板220は、左腰用板220a、中腰用板220b、及び右腰用板220cからなる。膝用板230は、左膝用板230a、中膝用板230b、及び右膝用板230cからなる。脚用板240は、左脚用板240a、中脚用板240b、及び右脚用板240cからなる。
【0021】
同様に、左用板250は、左上体用板210a、左腰用板220a、左膝用板230a、及び左脚用板240aからなる。中用板260は、中上体用板210b、中腰用板220b、中膝用板230b、及び中脚用板240bからなる。右用板270は、右上体用板210c、右腰用板220c、右膝用板230c、及び右脚用板240cからなる。
【0022】
天板200の各板は、軽量化のために複数の孔を空けても良い。また、患者等の腰の位置に当たる板には、患者等が寝たまま排泄できるように排泄孔290を空けても良い。例えば、中腰用板220bに排泄孔290を空け、それ以外の各板には複数の孔を貫通させれば良い。
【0023】
天板200の各板は、隣接する板に向かって、隣接する板との間隔未満で突片を設け、お互いの突片を重ねて軸状の連結具280を通すことにより回動可能に連結される。なお、隣接する各方向にそれぞれ2つの突片を設けることで、連結を安定させると共に、縦方向又は横方向でまとめて回動させる。例えば、患者等の上体を起こしたい場合は、水平状態から左上体用板210a、中上体用板210b、及び右上体用板210cをまとめて回動させれば良い。また、患者等を右に向かせたい場合は、水平状態から左上体用板210a、左腰用板220a、左膝用板230a、及び左脚用板240aをまとめて回動させれば良い。
【0024】
図1に示すように、枠体330は、天板200を所定の高さで支持する。枠体330は、天板200を支持するための上枠、上枠の四隅から下方に延びて高さを確保するための4本の脚枠、各脚枠の下部を繋いで安定させるための下枠、その他補強等するための補助枠などを有する。枠体330の上枠と下枠の間には空間が存在するので、天板200を縦方向又は横方向に折り曲げるための機構や、排泄孔290を介して患者等の排泄を補助する機構を設置可能である。
【0025】
また、枠体330には、ヘッドボード300、フットボード310、サイドガード320、キャスター340などが取り付けられる。ヘッドボード300は、寝台100の前側から枠体330の前部に差し込むように前後位置が調整可能に取り付けられる。また、フットボード310は、寝台100の後側から枠体330の後部に差し込むように前後位置が調整可能に取り付けられる。サイドガード320は、寝台100の上側から枠体330の側部(左右の一方又は両方)に任意の長さで着脱可能に取り付けられる。キャスター340は、枠体330の下部四隅に前後左右に方向変換可能な車輪が設置される。
【0026】
次に、天板を縦方向に折り曲げる仕組みについて説明する。
図3は、寝台の上体用板を傾斜させた状態を示す図である。
図3に示すように、縦傾斜機構400は、上方に向かって伸縮可能なジャッキ等であり、ジャッキ等の上端は天板200の下面に取り付けられ、ジャッキ等の下端は枠体330の下枠に対して前後方向に回動可能に支持される。縦傾斜機構400のジャッキ等を伸ばして上体用板210を下側から上方に突き上げることで、上体用板210と腰用板220の間の連結具280を軸として、上体用板210が回動して傾斜状態になる。
【0027】
図4は、寝台の上体傾斜機構を示す図である。
図4に示すように、縦傾斜機構400において、上体用板210の昇降は、上体用ジャッキ400aで行う。上体用ジャッキ400aは、中間部のシャフトにおいて枠体330から延びた支持材410aで支えられる。支持材410aには支持孔411aが空けられ、中間部で伸縮する軸体が通される。支持孔411aは、軸体の可動範囲で空けられるので、軸径よりも前後方向に長い孔となる。支持材410aでシャフトを支えることで上体用ジャッキ400aのブレを防止し、天板200の位置もズレないように保持する。
【0028】
また、上体用ジャッキ400aは、上端において連携板420aを介して上体用板210に連結される。連携板420aは、左上体用板210aの右側から右上体用板210cの左側まで左右方向に渡した板であり、連携板420aの位置を保持するために上体用板210の下面又は枠体330に形成した収容溝430aに収められる。
【0029】
図5は、寝台の膝用板を傾斜させた状態を示す図である。
図5に示すように、縦傾斜機構400のジャッキ等で膝用板230を下側から上方に突き上げることで、腰用板220と膝用板230の間の連結具280を軸として、膝用板230を回動させても良い。なお、膝用板230が傾斜状態になることで、膝用板230と脚用板240の間が山状に持ち上がり、患者等の膝曲げが可能となる。
【0030】
なお、上体用板210又は膝用板230を傾斜状態にした場合や、ヘッドボード300又はフットボード310を引いて寝台100の長さを延ばした場合に、枠体330と天板200との間に隙間が生じる場合がある。そのため、天板200の下側に隙間を埋めるための台板350を位置調整可能に敷いておいても良い。患者等を天板200に載せたときに、患者等の足など一部が隙間に落ちないように支えられれば良い。
【0031】
図6は、寝台の膝曲げ機構を示す図である。
図6に示すように、縦傾斜機構400において、膝用板230の昇降は、膝用ジャッキ400bで行う。膝用ジャッキ400bは、中間部のシャフトにおいて枠体330から延びた支持材410bで支えられる。支持材410bには支持孔411bが空けられ、中間部で伸縮する軸体が通される。支持孔411bは、軸体の可動範囲で空けられるので、軸径よりも前後方向に長い孔となる。支持材410bでシャフトを支えることで膝用ジャッキ400bのブレを防止し、天板200の位置もズレないように保持する。
【0032】
また、膝用ジャッキ400bは、上端において連携板420bを介して膝用板230に連結される。連携板420bは、左膝用板230aの右側から右膝用板230cの左側まで左右方向に渡した板であり、連携板420bの位置を保持するために膝用板230の下面又は枠体330に形成した収容溝430bに収められる。なお、
図6では脚用板240を上げた状態を示しているが、脚用板240を支える手段がなければ後側(手前側)が下がった状態となる。
【0033】
図7は、寝台の縦傾斜機構を説明するための図であり、(a)は初期状態、(b)は上体傾斜状態、(c)は膝曲げ状態を示す。寝台100は、天板200を縦方向に折り曲げる縦傾斜機構(上体傾斜機構及び膝曲げ機構)と、天板200を横方向に折り曲げる横傾斜機構を備える。
【0034】
図7(a)に示すように、縦傾斜機構400を作動させていない初期状態では、天板200の各板が水平に枠体330上に支持される。なお、枠体330には、天板200の下側に台板350が敷かれ、前側及び後側にヘッドボード300とフットボード310が差し込まれた状態である。縦傾斜機構400として、上体用ジャッキ400aと膝用ジャッキ400bを、天板200と枠体330の下枠との間に垂直に設置する。
【0035】
また、腰用板220には上から下に貫通する排泄孔290があり、その下側に排泄物が通過する排泄管291を介して、排泄物を収納する排泄箱292と、患者等を洗浄するための洗浄水を貯留するタンク293とが設置される。なお、排泄管291には、センサー等により排泄物の通過を検知して、排泄箱292の蓋を開閉させる機構を設けても良い。
排泄箱292及びタンク293は、上体用ジャッキ400aと膝用ジャッキ400bの間において枠体330に載置すれば良い。
【0036】
図7(b)に示すように、上体用ジャッキ400aを伸長させて上体用板210を上方に突き上げると、上体用板210は、腰用板220との連結具280を軸として回動するので、それに伴い、上体用ジャッキ400aも後方に傾斜する。
【0037】
また、
図7(c)に示すように、膝用ジャッキ400bを伸長させて膝用板230を上方に突き上げると、膝用板230は、腰用板220との連結具280を軸として回動するので、それに伴い、膝用ジャッキ400bも前方に傾斜する。なお、上体用ジャッキ400aと膝用ジャッキ400bとは、独立に作動させても良い。
【0038】
続いて、天板を横方向に折り曲げる仕組みについて説明する。
図8は、寝台の右用板を傾斜させた状態を示す図である。
図8に示すように、横傾斜機構500は、上方に向かって伸縮可能なジャッキ等であり、ジャッキ等の上端は天板200の下面に位置し、ジャッキ等の下端は枠体330に対して左右方向に揺動可能に支持される。横傾斜機構500のジャッキ等を伸ばして左用板250を下側から上方に突き上げることで、中用板260と右用板270の間の連結具280を軸として、左用板250及び中用板260が回動して傾斜状態になる。なお、左用板250のみ傾斜状態にしても患者等を寝返り(体位変換)させるには不十分である。
【0039】
図9は、寝台の横傾斜機構を示す図である。
図9に示すように、横傾斜機構500において、左用板250(右側に連結する中用板260を含む)の昇降は、左用ジャッキ500aで行い、右用板270(左側に連結する中用板260を含む)の昇降は、右用ジャッキ500bで行う。左用ジャッキ500a及び右用ジャッキ500bの下端は、支持フレーム510で支持され、左用ジャッキ500a及び右用ジャッキ500bの上端は、左用板250及び右用板270の下に配置された支持板520に連結される。
【0040】
図4に示すように、支持フレーム510としては、枠体330の上枠から下方に逆台形状に、各頂部が左右方向に回動可能に取り付ける。左用ジャッキ500a及び右用ジャッキ500bは、共に支持フレーム510の下辺に左右方向に回動可能に取り付けられる。また、左用ジャッキ500a及び右用ジャッキ500bは、共に支持板520の下面に左右方向に回動可能に取り付けられる。
【0041】
図10は、寝台の横傾斜機構を説明するための図であり、(a)は初期状態、(b)は左傾斜状態、(c)は右傾斜状態を示す。
図10(a)に示すように、横傾斜機構500を作動させていない初期状態では、天板200の各板が水平に枠体330上に支持される。横傾斜機構500として、左用ジャッキ500aと右用ジャッキ500bを、天板200と支持フレーム510の間に垂直に設置する。なお、支持フレーム510は、枠体330の上枠左から上枠右まで渡すように上枠の下方に吊るされたフレームである。
【0042】
図10(b)に示すように、左用ジャッキ500aを伸長させて左用板250を上方に突き上げると、支持板520が左上がりになり、支持板520に支えられている中用板260も左用板250と共に左上がりに傾斜する。支持板520が回動するように傾斜するので、左用ジャッキ500aが右方に傾斜し、支持フレーム510を左方に押すようになる。支持フレーム510は、右頂部が延びて、左頂部が折れる形状になる。
【0043】
また、
図10(c)に示すように、右用ジャッキ500bを伸長させて右用板270を上方に突き上げると、支持板520が右上がりになり、支持板520に支えられている中用板260も右用板270と共に右上がりに傾斜する。支持板520が回動するように傾斜するので、右用ジャッキ500bが左方に傾斜し、支持フレーム510を右方に押すようになる。支持フレーム510は、左頂部が延びて、右頂部が折れる形状になる。
【0044】
ここで、天板200のうち、上体用ジャッキ400aが取り付けられた板は、縦傾斜機構400が作動していないときは水平であるが、横傾斜機構500が作動したときは左又は右に傾斜させる必要がある。なお、膝用ジャッキ400bも同様なので、上体用ジャッキ400aで説明する。
【0045】
図11は、寝台の縦傾斜と横傾斜の連携機構を説明するための図であり、(a)は初期状態、(b)は左傾斜状態、(c)は右傾斜状態を示す。
図11(a)に示すように、上体用ジャッキ400aを中上体用板210bに連結するために使用する連携板420aは、上板421と下板422とで構成する。上板421と下板422とを上下に重ね、上板421は、中上体用板210bの下側に沿って配置し、下板422は上板用ジャッキ400aと連結する。そして、一端において上板421と下板422とを回動可能に連結し、他端において上板421と中上体用板210bとを回動可能に連結する。
【0046】
例えば、上板421の右端と下板422の右端を連結し、上板421の左端と中上体用板210bの左端を連結する。中上体用板210bと上板421と下板422とがジグザグ状に連結されるので、上板用ジャッキ400aが伸長しなくても連携板420aで伸縮可能となる。
【0047】
図11(b)に示すように、左ジャッキ500aを伸長させて左上体用板210a及び中上体用板210bが左上方に傾斜したとき、上体用ジャッキ400aは伸縮せずに、上板421は中上体用板210bに沿ったまま傾斜し、上板421と下板422との間、すなわち傾斜した左側が開く。
【0048】
また、
図11(c)に示すように、右ジャッキ500bを伸長させて右上体用板210c及び中上体用板210bが右上方に傾斜したとき、上体用ジャッキ400aは伸縮せずに、中上体用板210bと上板421との間、すなわち傾斜した右側が開く。
【0049】
図12は、寝台の連携機構の配置を説明するための図であり、(a)は天板を下面から見た図であり、(b)は天板を側面から見た図である。
図12(a)に示すように、上体用ジャッキ400aは、上体用板210を持ち上げるので、上体用板210の下面に取り付ければ良い。なお、左上体用板210a、中上体用板210b及び右上体用板210cは、連結具280により連結されているが、各板がフラットに安定して傾斜されるように、連携板420aは、左上体用板210aから右上体用板210cに至るように配置される。
【0050】
また、膝用ジャッキ400bは、膝用板230を持ち上げるので、膝用板230の下面に取り付ければ良い。なお、左膝用板230a、中膝用板230b及び右膝用板230cは、連結具280により連結されているが、各板がフラットに安定して傾斜されるように、連携板420bは、左膝用板230aから右膝用板230cに至るように配置される。
【0051】
左用ジャッキ500aは、左用板250及び中用板260を持ち上げるので、左用板250と中用板260の間に配置されれば良い。なお、左上体用板210a、左腰用板220a、左膝用板230a及び左脚用板240aは、連結具280により連結されているが、各板がフラットに安定して傾斜されるように、支持板520、連携板420a、及び連携板420bが左用板250に至るように配置される。
【0052】
また、右用ジャッキ500bは、右用板270及び中用板260を持ち上げるので、右用板270と中用板260の間に配置されれば良い。なお、右上体用板210c、右腰用板220c、右膝用板230c及び右脚用板240cは、連結具280により連結されているが、各板がフラットに安定して傾斜されるように、支持板520、連携板420a、及び連携板420bが右用板270に至るように配置される。
【0053】
なお、中上体用板210b、中腰用板220b、中膝用板230b及び中脚用板240bも、連結具280により連結されているが、各板がフラットに安定して左傾斜されるように、支持板520、連携板420a、及び連携板420bが中用板260から左用板250に至るように配置され、各板がフラットに安定して右傾斜されるように、支持板520、連携板420a、及び連携板420bが中用板260から右用板270に至るように配置される。
【0054】
図12(b)に示すように、左用ジャッキ500a及び右用ジャッキ500bから上方に連設された支持板520は、上体用板210の下側で折曲して、腰用板220に至るように延設される。支持板520は、天板200と接していても連結はしていないので、縦傾斜機構400の作動に対して影響はない。
【0055】
次に、天板を縦方向及び横方向に折り曲げる制御について説明する。
図13は、寝台の装置構成を説明するための図である。
図13に示すように、寝台100は、制御装置(CPU)600、操作部610、縦傾斜機構400、横傾斜機構500、監視部620、検知部630、ポンプ294、ファン295、及び記憶部640等を有する。その他、停電時に電気を供給するために充電可能なバッテリや、これらのシステムをバックアップするための仕組みなどを備えても良い。
【0056】
制御装置600は、コンピュータのプロセッサ等であり、操作部610など他の装置から入力された信号を使用して、プログラム化された演算処理を実行し、縦傾斜機構400や横傾斜機構500を動作させるモータを駆動するなど他の装置を制御するための信号を出力する。
【0057】
操作部610は、患者や介護者などが天板200を操作するためのリモコン等である。制御装置600は、操作部610を介して指示された操作信号を受け取り、縦傾斜機構400又は横傾斜機構500等に対して動作するように命令信号を出す。
【0058】
監視部620は、天板200が水平なのか傾斜しているのかを確認するセンサー等である。制御装置600は、天板200を傾斜させる際に、現時点における天板200の傾斜状態を取得した上で、縦傾斜機構400又は横傾斜機構500等に対して動作させる。
【0059】
検知部630は、排泄孔290から落下した排泄物の通過を確認するセンサー等である。制御装置600は、排泄物が通過したことを示す信号を受けたら、ポンプ294を起動させて、タンク293に貯留された洗浄水を排泄孔290に向けて噴射させる。また、患者等を洗浄した後は、制御装置600は、ファン295を起動させて、排泄孔290に向けて送風することにより、洗浄により濡れた箇所を乾燥させ、さらに消臭のために換気しても良い。
【0060】
記憶部640は、制御装置600が演算を行う際の作業領域となるメモリと、演算に使用する情報又は演算の結果を一時的又は長期的に記憶する記録媒体とを有する。記憶部640には、システムの履歴を記憶するようにしても良い。
【0061】
図14は、寝台の連携機構を制御するための流れを示す図である。
図14に示すように、制御装置600が実行する縦傾斜機構400及び横傾斜機構500を動作させるための制御方法は、操作受付S01、傾斜確認S02、同操作確認S03、戻し動作S04、動作中確認S05、傾斜動作S06、動作中確認S07のステップを有する。
【0062】
まず、制御装置600は、操作部610から送信された操作指示を受け付ける(操作受付S01)。そして、制御装置600は、監視部620から天板200の状態を示す信号を受け取り、天板200が縦傾斜又は横傾斜の状態にあるか否かを確認する(傾斜確認S02)。
【0063】
続いて、制御装置600は、天板200が縦傾斜又は横傾斜の状態にある場合(傾斜確認S02;Yes)、操作部610から受け付けた操作信号が、天板200の傾斜方向と同じ方向に傾斜させる操作か否かを確認する(同操作確認S03)。そうでなければ(傾斜確認S02;No)、傾斜動作S06までスキップする。
【0064】
続いて、制御装置600は、天板200の傾斜方向と異なる方向に傾斜させる場合(同操作確認S03;No)、一旦、天板200の傾斜を水平に戻すように縦傾斜機構400又は横傾斜機構500に動作命令を出す(戻し動作S04)。そうでなければ(傾斜確認S02;No)、傾斜動作S06までスキップする。なお、戻し動作S04は、天板200の傾斜を水平に戻す動作が完了するまで継続し(動作中確認S05;Yes)、天板200が水平になったら傾斜動作S06に進む(動作中確認S05;No)。
【0065】
続いて、制御装置600は、操作部610から受け付けた操作信号が指示する方向に傾斜するように、縦傾斜機構400又は横傾斜機構500に傾動命令を出す(傾斜動作S06)。なお、傾斜動作S06は、1回の傾動命令で傾斜する範囲(角度)で動作が完了するまで継続し(動作中確認S07;Yes)、動作が完了したら終了する(動作中確認S07;No)。
【0066】
例えば、初期状態の寝台100において、制御装置600が上体用板210を上げる操作を受け付けた場合(操作受付S01)、天板200が傾斜していないので(傾斜確認S02;No)、上体用ジャッキ400aに上体用板210を上げるように傾動命令を出す(傾斜動作S06)。
【0067】
その後、制御装置600が左用板250を上げる操作を受け付けた場合(操作受付S01)、上体用板210が上がっており(傾斜確認S02;Yes)、上体用板210を上げる操作ではないので(同操作確認S03;No)、上体用ジャッキ400aに上体用板210を下げるように戻動命令を出した上で(戻し動作S04)、左用ジャッキ500aに左用板250を上げるように傾動命令を出す(傾斜動作S06)。
【0068】
その後、制御装置600が右用板270を上げる操作を受け付けた場合(操作受付S01)、左用板250が上がっており(傾斜確認S02;Yes)、右用板270を上げる操作ではないので(同操作確認S03;No)、左用ジャッキ500aに左用板250を下げるように戻動命令を出した上で(戻し動作S04)、右用ジャッキ500bに右用板270を上げるように傾動命令を出す(傾斜動作S06)。
【0069】
その後、制御装置600が膝用板230を上げる操作を受け付けた場合(操作受付S01)、右用板270が上がっており(傾斜確認S02;Yes)、膝用板230を上げる操作ではないので(同操作確認S03;No)、右用ジャッキ500bに右用板270を下げるように戻動命令を出した上で(戻し動作S04)、膝用ジャッキ400bに膝用板230を上げるように傾動命令を出す(傾斜動作S06)。
【0070】
なお、その後、制御装置600が上体用板210を上げる操作を受け付けた場合(操作受付S01)、膝用板230が上がっているが(傾斜確認S02;Yes)、上体用板210と膝用板230とは独立して縦傾斜するので、同じ操作とみなし(同操作確認S03;Yes)、上体用ジャッキ400aに上体用板210を上げるように傾動命令を出す(傾斜動作S06)ようにしても良い。
【0071】
このように、寝台100に縦方向の傾斜と横方向の傾斜を連携した機構を設けることにより、自力で身体を動かすことが困難な患者等の体位変換を支援することができる。患者等の上体を起こすことや、左方向又は右方向を向かせることが容易になり、介護者の負担も軽減される。
【0072】
以上、本発明の実施例を述べたが、これらに限定されるものではない。例えば、天板200として配置される板の枚数は変動するので、縦傾斜機構400及び横傾斜機構500の配置もそれに応じて適した位置となる。