特許第6274647号(P6274647)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6274647
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】ゴルフクラブ用ヘッドカバー
(51)【国際特許分類】
   A63B 60/62 20150101AFI20180129BHJP
【FI】
   A63B60/62
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-267028(P2013-267028)
(22)【出願日】2013年12月25日
(65)【公開番号】特開2015-123081(P2015-123081A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】504017809
【氏名又は名称】ダンロップスポーツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107940
【弁理士】
【氏名又は名称】岡 憲吾
(74)【代理人】
【識別番号】100120938
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 教郎
(74)【代理人】
【識別番号】100122806
【弁理士】
【氏名又は名称】室橋 克義
(74)【代理人】
【識別番号】100168192
【弁理士】
【氏名又は名称】笠川 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100174311
【弁理士】
【氏名又は名称】染矢 啓
(74)【代理人】
【識別番号】100182523
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 由賀里
(72)【発明者】
【氏名】甲野 賢
【審査官】 谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06085814(US,A)
【文献】 米国特許第07686047(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 60/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブのヘッドのソール部分を覆うソール部と、ヘッドのフェイス部分及びこのフェイス部分に対向するヘッドの背面を覆う一対のサイド部と、このソール部のトウ側の端から下方向に延び伸縮自在な素材からなるクラウン部とを備えており、
上記ソール部がヒール側の端から上記クラウン部まで延在する第一軟質帯を備えており、
上記サイド部がサイドシートを備えており、
上記第一軟質帯の素材が上記サイドシートの素材よりも軟質であるゴルフクラブ用のヘッドカバー。
【請求項2】
上記ソール部が上記第一軟質帯を中心として折り曲げ可能である請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項3】
上記ソール部がソールシートをさらに備えており、
上記ソールシートの素材が上記第一軟質帯の素材よりも硬質である請求項1又は2に記載のヘッドカバー。
【請求項4】
上記第一軟質帯の10%伸張時の引張り荷重F1の、上記サイドシートの10%伸張時の引張り荷重F2に対する比(F1/F2)が、0.05以上0.5以下である請求項1から3のいずれかに記載のヘッドカバー。
【請求項5】
上記第一軟質帯が伸縮自在な素材でできている請求項1から4のいずれかに記載のヘッドカバー。
【請求項6】
ゴルフクラブのヘッドのソール部分を覆うソール部と、ヘッドのフェイス部分及びこのフェイス部分に対向するヘッドの背面を覆う一対のサイド部とを備えており、
上記ソール部が、トウ側の端からからヒール側の端まで延在する第一軟質帯と、この第一軟質帯を挟んで左右に位置しこの第一軟質帯の素材よりも硬質な素材からなるソールシートとを備えており、
上記第一軟質帯の素材が上記サイドシートの素材よりも軟質であり、
上記第一軟質帯の幅が7.0mm以上30.0mm以下であるゴルフクラブ用のヘッドカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブのヘッドカバーに関する。詳細には、本発明は、運搬や保管が容易なゴルフクラブのヘッドカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフクラブを運ぶ際は、通常複数本のゴルフクラブが、一つのキャディバックに収納される。これが輸送される際に、ゴルフクラブのヘッド同士が衝突して損傷することがある。損傷防止のために、通常、各々のゴルフクラブについて、ヘッドからシャフトにかけて、ヘッドカバーが被せられる。
【0003】
ヘッドカバーは、全体を伸縮自在なニットで構成されることがある。伸縮自在なニットでできたヘッドカバーは、ゴルフクラブのヘッドの形状にフィットする。しかし、このヘッドカバーは耐久性に劣る。このヘッドカバーはキャディバッグの中で、他のクラブとの衝突により破損し易い。
【0004】
ヘッドカバーの耐久性を向上させるために、近年は、ヘッドカバーの素材として、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル等を基材とする樹脂シートや、天然皮革、合成皮革、人工皮革等の皮革シートが用いられている。これらのシートは、ニットよりも硬質である。これらのシートからなるヘッドカバーは耐久性に優れる。
【0005】
硬質のシートと軟質のニットとから構成されたヘッドカバーが、特許3806705号公報に開示されている。特許3806705号公報のヘッドカバーでは、クラウン部とシャフト部をニットで構成し、それ以外の部分を硬質のシートで構成することで、ヘッドカバーの形状をゴルフクラブにフィットさせつつ、ヘッドカバーの耐久性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許3806705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
硬質のシートからなるヘッドカバーは、形状保持性能が高い。このヘッドカバーは、ゴルフクラブのヘッドを覆っていない時でも、ヘッドを覆っている時の形状をほぼそのまま保持している。特に近年、ゴルフクラブのヘッドが大きくなり、体積が300ccや400ccを超える大きさのヘッドを持つゴルフクラブも商品化されている。このため、ヘッドカバーの体積も大きくなっている。このヘッドカバーはかさばる。ゴルフクラブとヘッドカバーは、通常別々の商品であるため、別々に流通する。かさばるヘッドカバーは、運送時の高コストを招く。かさばるヘッドカバーの保管には、広いスペースが必要である。ヘッドカバーの体積を小さくするため、硬質のシートからなるヘッドカバーを無理に折りたたむと、ヘッドカバーに皺ができる。これは、ヘッドカバーの外観を損ねる。これは、ヘッドカバーの商品価値を損ねる。
【0008】
本発明の目的は、運搬及び保管が容易なゴルフクラブ用ヘッドカバーの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るゴルフクラブ用ヘッドカバーは、ゴルフクラブのヘッドのソール部分を覆うソール部と、ヘッドのフェイス部分及びこのフェイス部分に対向するヘッドの背面を覆う一対のサイド部とを備えている。上記ソール部は、トウ側の端からからヒール側の端まで延在する第一軟質帯を備えている。上記サイド部はサイドシートを備えている。上記第一軟質帯の素材は上記サイドシートの素材よりも軟質である。
【0010】
好ましくは、上記ソール部は上記第一軟質帯を中心として折り曲げ可能である。
【0011】
好ましくは、上記ソール部はソールシートをさらに備えている。上記ソールシートの素材は上記第一軟質帯の素材よりも硬質である。
【0012】
好ましくは、上記第一軟質帯の10%伸張時の引張り荷重F1の、上記サイドシートの10%伸張時の引張り荷重F2に対する比(F1/F2)は、0.05以上0.5以下である。
【0013】
好ましくは、上記第一軟質帯は伸縮自在な素材でできている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るゴルフクラブ用ヘッドカバーは、そのソール部が、トウ側の端からからヒール側の端まで延在する第一軟質帯を備えている。これにより、ヘッドカバーの体積が小さくされうる。このヘッドカバーは、輸送時にかさばらない。このヘッドカバーは、小さいスペースで保管ができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るヘッドカバーの正面図である。
図2図2は、図1のヘッドカバーの側面図である。
図3図3は、図1のヘッドカバーの背面図である。
図4図4は、図1のヘッドカバーの平面図である。
図5図5は、図1のヘッドカバーの収納時の形態が示された背面図である。
図6図6は、本発明の他の実施形態に係るヘッドカバーの背面図である。
図7図7は、図6のヘッドカバーの側面図である。
図8図8は、図6のヘッドカバーの平面図である。
図9図9は、図6のヘッドカバーの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0017】
図1から4に、本発明の一実施形態に係るヘッドカバー2が示されている。図1は、ヘッドカバー2の正面図であり、図2はその側面図であり、図3はその背面図であり、図4はその平面図である。図1において、矢印Xは上下方向を表し、矢印Yは左右方向を表す。図に示されるとおり、このヘッドカバー2は、ソール部4、一対のサイド部6、クラウン部8、バック部10、シャフト部12及びストラップ14を備えている。
【0018】
ソール部4は、ゴルフクラブのヘッドのソール部分を覆う。ソール部4は、ヘッドのソール部分を保護する。ソール部4はヘッドカバー2の上端側に位置する。図に示されるように、ソール部4は、第一軟質帯16と一対のソールシート18とを備えている。
【0019】
第一軟質帯16は、ソール部4のトウ側の端20からヒール側の端22まで延在している。第一軟質帯16の素材は、ソールシート18の素材より軟質である。第一軟質帯16の素材は、後述するサイド部6のサイドシートの素材より軟質である。第一軟質帯16は、折り曲げが自在である。第一軟質帯16は、典型的にはニットでできている。
【0020】
一対のソールシート18は、第一軟質帯16を挟んで左右側に位置している。ソールシート18は、第一軟質帯16より硬質である。硬質であるソールシート18は、強い衝撃からもヘッドのソール部分を保護する。硬質であるソールシート18は、耐久性に優れる。ソールシート18を有するソール部4は、他のクラブとの衝突による破損が抑えられている。ソールシート18の素材としては、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル等を基材とする樹脂シートが例示される。ソールシート18の素材が、天然皮革、合成皮革、人工皮革等の皮革シートであってもよい。
【0021】
第一軟質帯16とソールシート18とは、接合されている。接合は、第一軟質帯16とソールシート18とが縫合されることで達成されている。
【0022】
一対のサイド部6は、ゴルフクラブのヘッドのフェイス部分及びこのフェイス部分に対向するヘッドの背面を覆う。一対のサイド部6は、クラブのシャフトの一部も覆う。一対のサイド部6は、ソール部4の左右端24から下方向に延びている。
【0023】
図2に示されるように、それぞれのサイド部6は、2枚のサイドシート26から構成されている。サイドシート26は、2枚のサイドシート26が縫い合わされて構成されている。サイドシート26は、第一軟質帯16より硬質である。硬質であるサイドシート26は、強い衝撃からもヘッドのフェイス部分及びこのフェイス部分に対向するヘッドの背面を保護する。硬質であるサイドシート26は、耐久性に優れる。サイドシート26を有するサイド部6は、他のクラブとの衝突による破損が抑えられている。サイドシート26の素材としては、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル等を基材とする樹脂シートが例示される。サイドシート26の素材が、天然皮革、合成皮革、人工皮革等の皮革シートであってもよい。このヘッドカバー2では、サイドシート26の素材は、ソールシート18の素材と同じである。サイドシート26の素材が、ソールシート18の素材と異なってもよい。
【0024】
サイド部6が1枚のサイドシート26からなってもよい。サイド部6が3枚以上のサイドシート26を備えていてもよい。サイド部6が、二種以上の硬質なシートを備えていてもよい。サイド部6が硬質なシート及び軟質な素材から構成されていてもよい。
【0025】
クラウン部8は、ゴルフクラブのヘッドのクラウン部分を覆う。クラウン部8は、シャフトの一部も覆う。クラウン部8は、ソール部4のトウ側の端20から下方向に延びている。クラウン部8の左右端は、一対のサイド部6と接合している。
【0026】
クラウン部8は伸縮自在な素材からなる。伸縮自在な素材からなるクラウン部8は、ヘッドカバー2をゴルフクラブのヘッドに被せる際に、幅が左右方向に広がりうる。これは、ヘッドカバー2のヘッドへの取り付けを容易にする。ヘッドカバー2をヘッドに被せた後、このクラウン部8の幅は、もとに戻る。これにより、ヘッドカバー2の形状がゴルフクラブにフィットする。クラウン部8の典型的な素材はニットである。
【0027】
バック部10は、ゴルフクラブのヘッドのヒール部分からシャフトの一部までを覆う。バック部10は、ソール部4のヒール側の端から下方向に延びている。バック部10の左右端は、一対のサイド部6と接合している。
【0028】
図3に示されるように、バック部10は、第二軟質帯28及び一対のバックシート30を備えている。第二軟質帯28は、バック部10の上側端の中央32から右上及び左上に延びている。この第二軟質帯28は、ソール部4と接合されている。さらに第二軟質帯28は、バック部10の上側端の中央32から下側端34まで延びている。換言すれば、この第二軟質帯28はY字形状を呈している。第二軟質帯28の素材は典型的にはニットである。図3のヘッドカバー2では、第二軟質帯28の素材は、第一軟質帯16の素材と同じである。第二軟質帯28の素材が、第一軟質帯16の素材と異なっていてもよい。
【0029】
一対のバックシート30は、上下に延在する第二軟質帯28を挟んで左右に位置する。それぞれのバックシート30は、第二軟質帯28より硬質である。硬質であるバックシート30は、耐久性に優れる。バックシート30を有するバック部10は、他のクラブとの衝突による破損が抑えられている。バックシート30の素材としては、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル等を基材とする樹脂シートが例示される。バックシート30の素材が、天然皮革、合成皮革、人工皮革等の皮革シートであってもよい。このヘッドカバー2では、バックシート30の素材は、ソールシート18及びサイドシート26の素材と同じである。バックシート30の素材が、ソールシート18及びサイドシート26の素材と異なってもよい。
【0030】
バック部10がバックシート30のみからなってもよい。バック部10が、2枚以上のバックシート30が縫合されたものを備えていてもよい。バック部10が、二種以上の硬質なシートを備えていてもよい。
【0031】
シャフト部12は、ゴルフクラブのシャフト部分を覆う。シャフト部12は筒状である。シャフト部12は、クラウン部8、サイド部6及びバック部10の下側の端から下方向に延びている。シャフト部12は、クラウン部8、サイド部6及びバック部10の下側の端と接合している。
【0032】
シャフト部12は伸縮自在な素材からなる。伸縮自在な素材からなるシャフト部12は、ヘッドカバー2をゴルフクラブのヘッドに被せる際に、ヘッドが通過できる程度にその内径が大きくなりうる。このシャフト部12の内径は、ヘッドカバー2をヘッドに被せた後、もとの大きさに戻る。これにより、ヘッドカバー2の形状がゴルフクラブにフィットする。シャフト部12の典型的な素材はニットである。
【0033】
ストラップ14は、ソール部4のトウ側の端に取り付けられている。使用者は、ゴルフクラブからヘッドカバー2を抜き取る際に、このストラップ14に指をかけることができる。ストラップ14は、ゴルフクラブからヘッドカバー2を抜き取るのを容易にする。
【0034】
以後、本発明の作用効果が説明される。
【0035】
本発明に係るゴルフクラブ用ヘッドカバー2では、ソール部4はトウ側の端20からからヒール側の端22まで延在する第一軟質帯16及び第一軟質帯16を挟んで両側に位置するソールシート18を備えている。この第一軟質帯16は、ソールシート18より軟質である。この第一軟質帯16は、折り曲げ自在である。図5には、第一軟質帯16を中心にしてソール部4を折り曲げた状態でのヘッドカバー2が示されている。ヘッドカバー2は、図5に示された状態で収納される。図に示されるとおり、このヘッドカバー2の体積は、ソール部4が折り曲げられていないヘッドカバー2の体積に比べて、大幅に小さくされている。このヘッドカバー2は、かさばらない。このヘッドカバー2は、折り曲げられた状態で輸送されるため、このヘッドカバー2の輸送時のコストは小さい。このヘッドカバー2は、折り曲げられた状態で保管されるため、このヘッドカバー2の保管に必要なスペースは小さい。また、軟質な第一軟質帯16を折り曲げているので、ヘッドカバー2に皺は生じない。このヘッドカバー2は、外観が保たれている。
【0036】
本発明に係るゴルフクラブ用ヘッドカバー2は、ソール部4にソールシート18を備えている。図4に示されるように、ソール部4の多くの部分がソールシート18で構成されている。また、このヘッドカバー2は、サイド部6がサイドシート26で構成されている。これらのシートは、硬質である。このシートを有するヘッドカバー2は、他のクラブとの衝突による破損が抑えられている。このヘッドカバー2は、ソール部4及びサイド部6全体が硬質のシートで構成されたヘッドカバーとほぼ同等の耐久性を有する。
【0037】
第一軟質帯16の10%伸張時の引張り荷重がF1とされ、サイドシート26の10%伸張時の引張り荷重がF2とされたとき、比(F1/F2)は、0.05以上0.5以下が好ましい。比(F1/F2)が、0.05以上0.5以下のヘッドカバー2では、ソール部4の折り曲げによる体積の減少と、高い耐久性が両立しうる。この観点から、比(F1/F2)は、0.1以上0.3以下がより好ましい。
【0038】
ソールシート18の10%伸張時の引張り荷重がF3とされたとき、比(F1/F3)は、0.05以上1.0以下が好ましい。比(F1/F3)が、0.05以上1.0以下のヘッドカバー2では、ソール部4の折り曲げによる体積の減少と、高い耐久性が両立しうる。この観点から、比(F1/F3)は、0.3以上0.8以下がより好ましい。
【0039】
引張り荷重F1、F2及びF3は、引張り試験機によって測定されうる。試験片は、短冊状である。この試験片の幅は50mmであり、長さは300mmである。標線間距離は50mmであり、引張り速度は200mm/minである。試験は、23℃の環境下で行われる。
【0040】
各素材の伸縮性に方向性がある場合、最も引張り荷重が小さい方向と、これに直交する方向とにおいて、測定がなされる。両者が平均されて、引張り荷重F1、F2及びF3が算出される。
【0041】
図4において、両矢印Wは、第一軟質帯16の幅を表す。幅Wは7.0mm以上が好ましい。幅Wが7.0mm以上の第一軟質帯16を有するソール部4は、容易に折れ曲げることができる。この観点から幅Wは15.0mm以上がより好ましい。幅Wは30.0mm以下が好ましい。幅Wが30.0mm以下の第一軟質帯16を有するソール部4は、耐久性に優れる。この観点から幅Wは20.0mm以下がより好ましい。
【0042】
図6から8に、本発明の他の実施形態に係るヘッドカバー40が示されている。図6はヘッドカバー40の背面図であり、図7はその側面図であり、図8はその平面図である。図6において、矢印Xは上下方向を表し、矢印Yは左右方向を表す。このヘッドカバー40は、ソール部42、一対のサイド部44、クラウン部48及びバック部46を備えている。
【0043】
ソール部42は、ゴルフクラブのヘッドのソール部分を覆う。ソール部42は、ヘッドのソール部分を保護する。ソール部42はヘッドカバー40の上端側に位置する。ソール部42は、全面が第一軟質帯50により構成されている。
【0044】
第一軟質帯50は、ソール部42のトウ側の端54からヒール側の端52まで延在している。第一軟質帯50の素材は、後述するサイド部44のサイドシートの素材より軟質である。第一軟質帯50は、折り曲げが自在である。第一軟質帯50は、伸縮自在である。第一軟質帯50は、典型的にはニットでできている。
【0045】
一対のサイド部44は、ゴルフクラブのヘッドのフェイス部分及びこのフェイス部分に対向するヘッドの背面を覆う。一対のサイド部44は、クラブのシャフトの一部も覆う。一対のサイド部44は、ソール部42の左右端56から下方向に延びている。
【0046】
それぞれのサイド部44は、第三軟質帯58及びサイドシート60を備えている。サイド部44は、第三軟質帯58及びサイドシート60が縫い合わされて構成されている。
【0047】
第三軟質帯58は、サイド部44の上側端において、正面側の端から背面側の端まで延びている。この第三軟質帯58は、ソール部42と接合されている。さらに第三軟質帯58は、サイド部44の正面側の端の上側端から下側に延びている。第三軟質帯58の素材は、サイドシート60の素材より軟質である。第三軟質帯58は典型的にはニットでてきている。このヘッドカバー40では、第三軟質帯58の素材は、第一軟質帯50の素材と同じである。第三軟質帯58の素材が、第一軟質帯50の素材と異なってもよい。
【0048】
サイドシート60は、サイド部44の正面側の端の上側端から下側に延びている第三軟質帯58の背面側に位置する。サイドシート60は、第一軟質帯50及び第三軟質帯58より硬質である。硬質であるサイドシート60は、耐久性に優れる。サイドシート60を有するサイド部44は、他のクラブとの衝突による破損が抑えられている。サイドシート60の素材としては、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル等を基材とする樹脂シートが例示される。サイドシート60の素材が、天然皮革、合成皮革、人工皮革等の皮革シートであってもよい。
【0049】
サイド部44がサイドシート60のみからなってもよい。サイド部44が2枚以上のサイドシート60を備えていてもよい。サイド部44が、二種以上の硬質なシートを備えていてもよい。
【0050】
クラウン部48は、ゴルフクラブのヘッドのクラウン部分を覆う。クラウン部48は、シャフトの一部も覆う。クラウン部48は、ソール部42のトウ側の端54から下方向に延びている。クラウン部48の左右端は、一対のサイド部44と接合している。
【0051】
クラウン部48は伸縮自在な素材からなる。伸縮自在な素材からなるクラウン部48は、ヘッドカバー40をゴルフクラブのヘッドに被せる際に、幅が左右方向に広がりうる。これは、ヘッドカバー40のヘッドへの取り付けを容易にする。クラウン部48の典型的な素材はニットである。このヘッドカバー40では、クラウン部48の素材は、第一軟質帯50の素材と同じである。このヘッドカバー40では、ソール部42とクラウン部48は、一体として形成されている。クラウン部48の素材が、第一軟質帯50の素材と異なってもよい。
【0052】
クラウン部48が硬質なシートを備えていてもよい。クラウン部48が、二種以上の硬質なシートを備えていてもよい。
【0053】
バック部46は、ゴルフクラブのヘッドのヒール部分からシャフトの一部までを覆う。バック部46は、ソール部42のヒール側の端52から下方向に延びている。バック部46の左右端は、一対のサイド部44と接合している。
【0054】
バック部46はジップファスナー62及び一対のバックシート64を備えている。ジップファスナー62は、バック部46の上端66から下端68まで延びている。一対のバックシート64は、ジップファスナー62を挟んで両側に位置している。バックシート64は、第一軟質帯50及び第三軟質帯58より硬質である。硬質であるバックシート64は、耐久性に優れる。バックシート64を有するバック部46は、他のクラブとの衝突による破損が抑えられている。バックシート64の素材としては、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル等を基材とする樹脂シートが例示される。バックシート64の素材が、天然皮革、合成皮革、人工皮革等の皮革シートであってもよい。このヘッドカバー40では、バックシート64の素材はサイドシート60の素材と同じである。バックシート64の素材がサイドシート60の素材と異なってもよい。
【0055】
バック部46は、ジップファスナー62により開閉可能である。バック部46は、その上端66を除き、ジップファスナー62部分で左右に分離することができる。バック部46を開くことで、ヘッドカバー40がヘッドに容易に被せられうる。ヘッドカバー40をヘッドに被せた後にジップファスナー62を閉めることにより、ヘッドカバー40の形状がゴルフクラブにフィットする。バック部46がジップファスナー62に代えて、マグネットを備えていてもよい。
【0056】
以後、本発明の作用効果が説明される。
【0057】
本発明に係るゴルフクラブ用ヘッドカバー40は、ソール部42はトウ側の端54からヒール側の端52まで延在する第一軟質帯50を備えている。この第一軟質帯50は、伸縮自在である。このヘッドカバー40をゴルフクラブのヘッドに被せたとき、この第一軟質帯50は、左右に広がる。図9には、このヘッドカバー40をゴルフクラブ72のヘッドに被せた状態が示されている。第一軟質帯50が左右に広がるため、ヘッドに被せていない時の第一軟質帯50の幅は、ヘッドの幅よりも大幅に小さくされている。このヘッドカバー40の体積は小さい。このヘッドカバー40は、かさばらない。このヘッドカバー40の体積は小さいため、このヘッドカバー40の輸送時のコストは小さい。このヘッドカバー40の体積は小さいため、このヘッドカバー40の保管に必要なスペースは小さい。
【0058】
さらに、この第一軟質帯50は折り曲げ自在である。ソール部42を折り曲げることで、ヘッドカバー40の体積はさらに小さくできる。このヘッドカバー40は、折り曲げられた状態で輸送されるため、このヘッドカバー40の輸送時のコストはさらに削減されうる。このヘッドカバー40は、折り曲げられた状態で保管されるため、このヘッドカバー40の保管に必要なスペースはさらに小さい。ソール部42を折り曲げてもこのヘッドカバー40には、皺は生じない。このヘッドカバー40は、外観が保たれている。
【0059】
本発明に係るゴルフクラブ用ヘッドカバー40は、サイド部44にサイドシート60を備えている。このシートは、硬質である。このシートを有するヘッドカバー40は、他のクラブとの衝突による破損が抑えられている。このヘッドカバー40は、全体がニットで構成されたヘッドカバー40に比べて、高い耐久性を有する。
【0060】
以上説明されたように、本発明に係るヘッドカバーは、従来のヘッドカバーに比べて、体積が大幅に削減されている。このヘッドカバーは、運搬及び保管が容易である。また、このヘッドカバーは、充分な耐久性を有する。このことから、本発明の優位性は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明に係るヘッドカバーは、種々のゴルフクラブに適している。
【符号の説明】
【0062】
2、40・・・ヘッドカバー
4、42・・・ソール部
6、44・・・サイド部
8、48・・・クラウン部
10、46・・・バック部
12・・・シャフト部
14・・・ストラップ
16、50・・・第一軟質帯
18・・・ソールシート
20、22、24、52、54、56・・・端
26、60・・・サイドシート
28・・・第二軟質帯
30、64・・・バックシート
32・・・中央
34・・・下側端
58・・・第三軟質帯
62・・・ジップファスナー
66・・・上端
68・・・下端
72・・・ゴルフクラブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9