(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑み、蓄電素子に振動が作用したときに、電極体の揺動を防止することができる蓄電素子及び蓄電素子の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る蓄電素子は、偏平筒状をなすシート製の筒状部、及び該筒状部の内側に介在するシート製の介在部を含む巻芯を有する電極体と、該電極体を収容するケースとを備え、筒状部は、一端及び他端を有する一対の湾曲部であって、内周面同士を対峙させた状態で配置された一対の湾曲部と、該一対の湾曲部の互いに対向する一端同士及び他端同士を接続して互いに対向する一対の対向部とを有し、記介在部は、筒状部における一対の対向部のうちの一方の対向部
における一対の湾曲部のうちの一方の湾曲部側に接する第一端部と、筒状部における一対の対向部のうちの他方の対向部
における一対の湾曲部のうちの他方の湾曲部側に接する第二端部と、第一端部と第二端部との間の少なくとも一箇所以上に設けられる折り返し部とを有し、電極体は、一対の対向部のそれぞれと対応した平坦部を外周面上に有し、該平坦部は、ケースの内壁面に近接している。
【0008】
かかる構成によれば、折り返し部は、折り返された状態から真っ直ぐに戻ろうとする復元力を有し、介在部は、この折り返し部により、一対の対向部を内側から外側に向かって押圧している。そのため、電極体の平坦部とケースの内壁面とが近接し、電極体の平坦部とケースの内壁面との密接性が維持される。よって、蓄電素子に振動が作用しても、電極体の揺動が阻止される。そのため、電極体の損傷が防止される。
【0010】
また、上記構成によれば、介在部の第一端部が一方の対向部における一方の湾曲部側に接し、一方の対向部が内側から外側に押圧される。一方、介在部の第二端部が他方の対向部における他方の湾曲部側に接し、他方の対向部が内側から外側に押圧される。このため、介在部の折り返し部は、一対の対向部における一方の湾曲部側又は他方の湾曲部側に偏って復元力を発生させることなく、一対の対向部のそれぞれに同様の復元力を発生させる。
【0011】
この場合、介在部は、筒状部における一方の湾曲部側に接する第一の接触部であって、他方の湾曲部側に向かって延びる第一の接触部と、筒状部における他方の湾曲部側に接する第二の接触部であって、一方の湾曲部側に向かって延びる第二の接触部と、第一の接触部及び第二の接触部の間に設けられる少なくとも二つ以上の折り返し部と、少なくとも二つ以上の折り返し部のそれぞれを直列に接続する接続部とを備えることが好ましい。
【0012】
このようにすれば、第一の接触部が第一の折り返し部の復元力により第一の対向部を内側から外側に押圧しており、電極体の平坦部とケースの内壁部との密接性が維持される。また、第二の接触部が第二の折り返し部の復元力により第二の対向部を内側から外側に押圧しており、電極体の平坦部とケースの内壁部との密接性が維持される。よって、蓄電素子に振動が作用しても、電極体の揺動が阻止される。そのため、電極体の損傷が防止される。
【0013】
本発明に係る蓄電素子の製造方法は、偏平筒状の巻芯を製造する巻芯製造工程と、セパレータを挟んで重ね合わされた正極及び負極が巻芯の回りに巻き付けられた電極体であって、平坦部を外周面上に有する電極体を製造する電極体製造工程と、電極体の平坦部がケースの内壁面に近接するように電極体をケースに収容する電極体収容工程とを備え、巻芯製造工程では、一対の巻軸の間に弛ませて配置されたシートを該一対の巻軸に巻き付ける巻回工程と、一対の巻軸に巻き付けられたシートを偏平に圧縮し、折り返し部を有する介在部を内側に形成する介在部形成工程とを備える。
【0014】
かかる構成によれば、介在部形成工程により、一対の巻軸に巻き付けられたシートを偏平に圧縮することにより、巻回工程によりシートにおける一対の巻軸の間で弛んだ部分が折り返し部となる。この折り返し部は、折り返された状態から真っ直ぐに戻ろうとする復元力を有し、介在部は、この折り返し部により、一対の対向部を内側から外側に向かって押圧している。そのため、電極体収容工程において、電極体がケースに収容されたときに、電極体の平坦部とケースの内壁面とが近接し、電極体の平坦部とケースの内壁面との密接性が維持される。よって、蓄電素子に振動が作用しても、電極体の揺動が阻止される。そのため、電極体の損傷が防止される。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明に係る蓄電素子及び蓄電素子の製造方法によれば、蓄電素子に振動が作用したときに、電極体の揺動を防止することができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る蓄電素子の一実施形態である電池セルについて、添付図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係る電池セル1は、
図3に示すように、偏平筒状をなすシート製の筒状部21、及び該筒状部21の内側に介在するシート製の介在部22を含む巻芯20を有する電極体2と、該電極体2を収容するケース3とを備える。電池セル1は、更に、
図1に示すように、ケース3の外部に配置された外部端子4と、電極体2と外部端子4とを電気的に接続する集電体5とを備える。
【0018】
電極体2は、
図3に示すように、巻芯20と、セパレータ24と、正極25と、負極26とを備える。本実施形態に係る電池セル1は、巻回型の電池セルである。電極体2は、セパレータ24を挟んで重ね合わされた正極25及び負極26を、巻芯20の回りに巻き付けて形成される。電極体2は、偏平状に形成される。
【0019】
巻芯20は、筒状部21と、介在部22とを備える。筒状部21は、
図4に示すように、一端及び他端を有する一対の湾曲部210,211であって、内周面同士を対峙させた状態で配置された一対の湾曲部210,211と、該一対の湾曲部210,211の互いに対向する一端同士及び他端同士を接続して互いに対向する一対の対向部212,213とを有する。
【0020】
一対の湾曲部210,211は、
図3及び
図4に示すように、偏平状の巻芯20における長手方向(Z方向)の両側に配置されている。一対の湾曲部210,211のうちの一方の湾曲部(第一の湾曲部)210は、ケース3の底面300側に配置され、一対の湾曲部210,211のうちの他方の湾曲部(第二の湾曲部)211は、ケース3の蓋板31側に配置されている。一対の湾曲部210,211は、扁平状に巻かれたシートにおける半円状又は略半円状に湾曲された部分である。シートは、弾性変形可能な材質を有し、具体的には、樹脂製である。
【0021】
第一の湾曲部210は、曲げ中心の周方向における介在部22側の端部に第一端210aを有し、曲げ中心の周方向における第二の対向部213側の端部に第二端210bを有する。その反対に、第二の湾曲部211は、曲げ中心の周方向における第一の対向部212側の端部に第一端211aを有し、曲げ中心の周方向における介在部22側の端部に第二端211bを有する。
【0022】
一対の対向部212,213は、
図3及び
図4に示すように、偏平状の巻芯20における短手方向(X方向)の両側に配置されている。本実施形態における第一の対向部212及び第二の対向部213は、ケース3の側面(第二の壁部302)側に配置されている。
【0023】
介在部22は、筒状部21における一対の対向部212,213のうちの一方の対向部(第一の対向部)212側に接する第一端部220と、筒状部21における一対の対向部212,213のうちの他方の対向部(第二の対向部)213側に接する第二端部221と、第一端部220と第二端部221との間の少なくとも一箇所以上に設けられる折り返し部222とを有する。
【0024】
介在部22の第一端部220は、第一の湾曲部210側に接する。介在部22の第二端部221は、第二の湾曲部211側に接する。本実施形態に係る介在部22の第一端部220は、第一の対向部212上における第一の湾曲部210側に備える。具体的には、介在部22の第一端部220は、第一の湾曲部210の第一端210a(の端縁)に接続される。本実施形態に係る介在部22の第二端部221は、第二の対向部213上における第二の湾曲部211側に備える。具体的には、介在部22の第二端部221は、第二の湾曲部211の第二端211b(の端縁)に接続される。
【0025】
より詳しく説明する。介在部22は、筒状部21における第一の湾曲部210側に接する第一の接触部223であって、第二の湾曲部211側に向かって延びる第一の接触部223と、筒状部21における第二の湾曲部211側に接する第二の接触部224であって、第一の湾曲部210側に向かって延びる第二の接触部224と、第一の接触部223及び第二の接触部224の間に設けられる少なくとも二つ以上の折り返し部222と、少なくとも二つ以上の折り返し部222のそれぞれを直列に接続する接続部225とを備える。
【0026】
第一の接触部223及び第二の接触部224は、一対の対向部212,213の内周面に面した第一面223a,224aと、該第一面223a,224aと反対側の第二面223b,224bとを有する。第一の接触部223の第一面223a及び第二の接触部224の第一面224aは、一対の対向部212,213の内周面に接しており、一対の対向部212,213の内周面を内側から外側に向かって押圧している。
【0027】
第一の接触部223の第一の湾曲部210側の第一端部223cは、第一の湾曲部210の第一端210a(の端縁)に接続される。第一の接触部223の第一端部223cと反対側の第二端部223dは、折り返し部222(の第一の折り返し部222a)に接続される。第二の接触部224の第二の湾曲部211側の第一端部224cは、第二の湾曲部211の第二端211b(の端縁)に接続される。第二の接触部224の第一端部224cと反対側の第二端部224dは、折り返し部222(の第二の折り返し部222b)に接続される。
【0028】
本実施形態に係る折り返し部222は、二つ有する。折り返し部222は、第一の接触部223の第二の湾曲部211側の第二端部223dから第一の湾曲部210に向かって曲がる第一の折り返し部222aと、第二の接触部224の第一の湾曲部210側の第二端部224dから第二の湾曲部211に向かって曲がる第二の折り返し部222bとを有する。折り返し部222a,222bは、一対の湾曲部210,211の中間又は略中間に配置される。
【0029】
接続部225は、第一の折り返し部222aと第二の折り返し部222bとを略直線状に繋ぐ。
【0030】
本実施形態に係る巻芯20は、一枚のシートを(複数箇所で)湾曲させることで、一対の湾曲部210,211、一対の対向部212,213、及び介在部22を形成している。すなわち、一対の湾曲部210,211、一対の対向部212,213、及び介在部22は、一枚のシートから形成されている。
【0031】
巻芯20は、第一の接触部223の第一端部223cと該第一の接触部223の第一端部223cより外側の第一の対向部212とを溶着した第一の溶着部23aと、第二の接触部224の第一端部224cと該第二の接触部224の第一端部224cより外側の第二の対向部213とを溶着した第二の溶着部23bとを備える。これにより、介在部22は、
図3に示すように、反発力を作用させつつS字状に湾曲した状態で維持するようになっている。
【0032】
正極25、負極26、及びセパレータ24は、巻芯20の回りに偏平状に巻回されている。そして、
図3に示すように、扁平状の電極体2が形成される。すなわち、電極体2は、巻回中心方向(Y方向)に対して直交する一方向(Z方向)の外寸が巻回中心方向及び一方向と直交する他方向(X方向)の外寸よりも長くなるように形成されている。これにより、電極体2は、一対の対向部212,213のそれぞれと対応した平坦部2c,2cを外周面上に有する。
【0033】
すなわち、本実施形態に係る電極体2は、巻回中心の両側に略真っ直ぐに延びる一対の直線状部2a,2aと、一対の直線状部2a,2a同士を接続して円弧状をなす一対の円弧状部2b,2bとを備える。一対の直線状部2a,2aのそれぞれは、巻芯20における一対の対向部212,213のそれぞれに対応して形成される。これに対し、一対の円弧状部2b,2bのそれぞれは、巻芯20における一対の湾曲部210,211のそれぞれに対応して形成される。これに伴い、電極体2の最外周面上にある一対の平坦部2c,2cは、巻芯20の一対の対向部212,213のそれぞれに対応して形成される。
【0034】
そして、電極体2は、ケース3の互いに対向した一対の内壁面302a,302aに対して面対向した状態でケース3に収容される。電極体2の平坦部2cは、ケース3の内壁面302aと対向する。
【0035】
正極25及び負極26は、
図2に示すように、巻回中心方向に位置ずれした状態で積層されている。これにより、電極体2には、巻回中心方向の一端部に正極25のみが積層した正極リード部Laが形成される。また、電極体2には、巻回中心方向の他端部に負極26のみが積層した負極リード部Lbが形成される。本実施形態に係る電極体2は、巻回中心方向の一端部における直線状部2a,2aが正極リード部Laを構成し、巻回中心方向の他端部における直線状部2a,2aが負極リード部Lbを構成している。
【0036】
そして、介在部22がシートに対応した反発力(真っ直ぐに戻ろうとする復元力)を作用させているため、巻芯20の回りに巻回されたセパレータ24、正極25及び負極26は、外側に押された状態になっている。
【0037】
一対の集電体5,5のそれぞれは、
図2に示すように、電極体2の一方向(Z方向)に延びる端縁に沿って配置される電極体添設部50,50と、該電極体添設部50,50と直角又は略直角をなすように該電極体添設部50,50の一端に延設された固定用片部51,51とを備えている。一対の集電体5,5のそれぞれは、電極体2のリード部La,Lbに機械的且つ電気的に接続されている。
【0038】
ケース3は、一面に開口部が形成された箱状のケース本体30と、該ケース本体30の開口部を閉塞する蓋板31とを備える。本実施形態に係るケース本体30及び蓋板31の何れも金属製である。ケース3は、ケース本体30に対して蓋板31を溶接することで内部空間が気密に形成される。
【0039】
ケース本体30は、扁平な箱形に形成され、扁平状の電極体2を隙間なく嵌め入れられて、収容できるように形成されている。すなわち、本実施形態に係るケース本体30は、平面視長方形状の底部300と、該底部300の長手方向の両端から起立した一対の第一の壁部301,301と、底部300の長手方向と直交する両端から起立した一対の第二の壁部302,302とを備える。ケース本体30は、隣り合う第一の壁部301,301と第二の壁部302,302とが接続されることで、底部300の平面形状に対応する開口部が形成される。
【0040】
ケース本体30は、底部300の長手方向と電極体2の巻回中心方向とが同方向になるように集電体5,5(の電極体添設部50,50)の接続された電極体2を収容できるようになっている。そして、該ケース本体30は、収容した電極体2の平坦部2cが第二の壁部302,302の内壁面302aに近接するように形成されている。すなわち、電極体2の平坦部2cは、ケース3の第二の壁部302の内壁面302aに近接している。
【0041】
蓋板31は、ケース本体30の開口部に即して長方形状に形成されている。そして、該蓋板31には、締結部材6を挿通するための貫通孔が長手方向に間隔をあけて一対設けられている。
【0042】
一対の外部端子4,4のそれぞれは、電極体2と電気的に接続されている。そのため、本実施形態に係る電池セル1は、蓋板31の貫通孔に挿通した締結部材6によって、集電体5がケース3内に固定されるとともに内外にある電極体2と外部端子4とが電気的に接続されている。
【0043】
本実施形態に係る電池セル1は、以上の通りである。続いて、電池セル1の製造方法について添付図面を参照しつつ説明する。
【0044】
電池セル1の製造方法は、偏平筒状の巻芯20を製造する巻芯製造工程と、セパレータ24を挟んで重ね合わされた正極25及び負極26が巻芯20の回りに巻き付けられた電極体2であって、平坦部2cを外周面上に有する電極体2を製造する電極体製造工程と、電極体2の平坦部2cがケース3の内壁面302aに近接するように電極体2をケース3に収容する電極体収容工程とを備える。電池セル1の製造方法は、更に、蓋板31をケース本体30に溶接する溶接工程を備える。
【0045】
巻芯製造工程では、
図5に示すように、一対の巻軸P,Pの間を弛ませて配置されたシートSを該一対の巻軸P,Pに巻き付ける巻回工程と、一対の巻軸P,Pに巻き付けられたシートSを偏平に圧縮し、折り返し部222を有する介在部22を内側に形成する介在部形成工程とを備える。
【0046】
具体的には、巻回工程では、シートSが一対の巻軸P,Pのうちの一方の巻軸Pの外側に配置され、一対の巻軸P,Pの間で弛むように、一方の巻軸Pから該一対の巻軸P,Pの間に通されて、一対の巻軸P,Pのうちの他方の巻軸Pの外側に巻き付けられる。
【0047】
そして、一対の巻軸P,Pの中間の位置を回転中心Cとして、一対の巻軸P,Pを回転させることにより、一対の巻軸P,PにシートSが巻き付けられる。具体的には、一対の巻軸P,Pを一回転させ、偏平筒状に巻かれたシートSにおける第一の接触部223の第一端部223cと該第一端部223cの外側の第一の対向部212とを溶接し、
図4に示す第一の溶着部23aが形成される。また、扁平筒状に巻かれたシートSにおける第二の接触部224の第一端部224cと該第一端部224cの外側の第二の対向部213とを溶接して、
図4に示す第二の溶着部23bが形成される。
【0048】
介在部形成工程では、一対の巻軸P,Pに巻き付けられた長円状のシートSの一対の対向部212,213を押圧して圧縮変形させることにより、巻芯20を偏平筒状に圧縮変形させる。
【0049】
以上より、本実施形態に係る電池セル1によれば、折り返し部222は、折り返された状態から真っ直ぐに戻ろうとする復元力を有し、介在部22は、この折り返し部222により、一対の対向部212,213を内側から外側に向かって押圧している。そのため、電極体2の平坦部2cとケース3の内壁面302aとが近接し、電極体2の平坦部2cとケース3の内壁面302aとの密接性が維持される。よって、電池セル1に振動が作用しても、電極体2の揺動が阻止される。そのため、電極体2の損傷が防止される。
【0050】
介在部22の第一端部220が第一の対向部212における第一の湾曲部210側に接し、第一の対向部212が内側から外側に押圧される。一方、介在部22の第二端部221が第二の対向部213における第二の湾曲部211側に接し、第二の対向部213が内側から外側に押圧される。このため、介在部22の折り返し部222は、一対の対向部212,213における第一の湾曲部210側又は第二の湾曲部211側に偏って復元力を発生させることなく、一対の対向部212,213のそれぞれに同様の復元力を発生させる。
【0051】
具体的には、第一の接触部223が第一の折り返し部222aの復元力により第一の対向部212を内側から外側に押圧しており、電極体2の平坦部2cとケース3の内壁部302aとの密接性が維持される。また、第二の接触部224が第二の折り返し部222bの復元力により第二の対向部213を内側から外側に押圧しており、電極体2の平坦部2cとケース3の内壁部302aとの密接性が維持される。よって、電池セル1に振動が作用しても、電極体2の揺動が阻止される。そのため、電極体2の損傷が防止される。
【0052】
また、介在部22の第一端部220及び第二端部221が一対の湾曲部210,211に接続され、介在部22が一対の湾曲部210,211の間における所定の位置に固定される。そのため、電極体2の姿勢によって介在部22が一対の湾曲部210,211の内側及び一対の対向部212,213の内側における所定の位置からずれることがない。
【0053】
また、巻芯20は、一枚のシートSを湾曲させることで、一対の湾曲部210,211、一対の対向部212,213、及び介在部22が形成されている。このため、一対の湾曲部210,211、一対の対向部212,213、及び介在部22は、継ぎ目なく連続して形成され、全体の剛性(強度)が高まった巻芯20を構成する。
【0054】
また、折り返し部222は、第一の湾曲部210と第二の湾曲部211との中間又は略中間に配置されている。そのため、一対の対向部212,213における一方の湾曲部210側又は他方の湾曲部211側に偏って復元力が発生することもない。
【0055】
また、本実施形態に係る電池セル1の製造方法によれば、介在部形成工程により、一対の巻軸P,Pに巻き付けられたシートSを偏平に圧縮することにより、巻回工程によりシートSにおける一対の巻軸P,Pの間で弛んだ部分が折り返し部222となる。この折り返し部222は、折り返された状態から真っ直ぐに戻ろうとする復元力を有し、介在部22は、この折り返し部222により、一対の対向部212,213を内側から外側に向かって押圧している。そのため、電極体収容工程において、電極体2がケース3に収容されたときに、電極体2の平坦部2cとケース3の内壁面302aとが近接し、電極体2の平坦部2cとケース3の内壁面302aとの密接性が維持される。よって、電池セル1に振動が作用しても、電極体2の揺動が阻止される。そのため、電極体2の損傷が防止される。
【0056】
以上のように、本実施形態に係る電池セル1及び電池セル1の製造方法は、電池セル1自体に振動が作用したときに、電極体2の揺動を防止することができるという優れた効果を奏し得る。
【0057】
なお、本発明に係る蓄電素子及び蓄電素子の製造方法は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々な変更を加え得ることは勿論である。また、下記した変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0058】
上記実施形態に係る電池セル1の巻芯20における介在部22の折り返し部222が円弧状に折れ曲がる(たわむ)第一の折り返し部222a及び第二の折り返し部222bであった。しかし、これに限定されるものではない。例えば、介在部の折り返し部は、シートSを鋭角に折り曲げたものであってもよい。
【0059】
上記実施形態に係る折り返し部222は、第一の折り返し部222aと第二の折り返し部222bとを一つずつ備えていた。しかし、これに限定されるものではない。例えば、
図6に示すように、折り返し部222は、二つの第一の折り返し部222a,222aと、二つの第二の折り返し部222b,222bとを備えていてもよい。このとき、接続部225は、第一の折り返し部222aと第二の折り返し部222bとを接続する。よって、介在部22における、第一の接触部223と第二の接触部224との間には、第一の折り返し部222aと第二の折り返し部222bとが交互に配置される。また、第一の折り返し部222a及び第二の折り返し部222bのそれぞれの数量は、二つに限定されず、二つ以上であってもよい。
【0060】
上記実施形態において、介在部22の第一端部220が第一の湾曲部210の第一端部210aに接続され、介在部22の第二端部221が第二の湾曲部211の第二端部211bに接続されていた。つまり、上記実施形態に係る介在部22の折り返し部222は、シートSを山折りに折り曲げた第一の折り返し部222aと、シートSを谷折りに折り曲げた第二の折り返し部222bとを備えていた。しかし、これに限定されるものではない。例えば、介在部22の第一端部220が第一の湾曲部210の第二端部210bに当接し、介在部22の第二端部221が第二の湾曲部211の第一端部211aに当接していてもよい。つまり、介在部22の折り返し部222は、シートSを谷折りに折り曲げた第一の折り返し部222aと、シートSを山折りに折り曲げた第二の折り返し部222bとを備えていてもよい。
【0061】
上記実施形態に係る電極体2は、単一のケース3に一つ収容されていた。しかし、これに限定されるものではない。例えば、二つ以上の電極体2が単一のケース3に収容されていてもよい。この場合、隣り合う電極体2,2の平坦部2c,2c同士が近接状態で面対向するように、二つ以上の電極体2が一列に配置される。そして、一列に並ぶ電極体2のうちの両端にある二つの電極体2,2のそれぞれは、一方の平坦部2cをケース3の内壁面302aに近接させて配置される。従って、両端にある二つの電極体2,2の巻芯20,20の反発力がケース3の内壁面302aに作用し、ケース3内に配置された二つ以上の電極体2のそれぞれの揺動が防止される。
【0062】
上記実施形態に係る電池セル1の巻芯20において、一枚のシートSを湾曲させることで、一対の湾曲部210,211、一対の対向部212,213、及び介在部22が一体的に形成されたが、例えば、複数枚のシートSを繋ぎ合わせて一対の湾曲部210,211、一対の対向部212,213、及び介在部22が形成されたものであってもよい。すなわち、巻芯20は、一対の湾曲部210,211、一対の対向部212,213、及び介在部22のそれぞれが独立したシートSで構成され、これらのシートSを繋ぎ合わせて形成されたものであってもよい。
【0063】
また、
図7に示すように、一対の湾曲部210,211と一対の対向部212,213とが、介在部22とは別のシートSにより形成されており、筒状部21と介在部材22とが別体であってもよい。
【0064】
上記実施形態において、一対の湾曲部210,211と一対の対向部212,213と介在部22とは、一枚のシートSにより形成されていた。しかし、これに限定されるものではない。巻芯製造工程は、以下のような工程により巻芯20を製造するものであってもよい。まず、折り返し部222が形成されたシート状の介在部材22が一対の巻軸P,Pの間に配置され、介在部材22の第一端部220と第二端部221とが一対の巻軸P,Pを繋ぐ線を挟んで両側に配置される。そして、該一対の巻軸P,Pの間を回転中心として該一対の巻軸P,Pを回転させることにより、シートSが一対の巻軸P,Pに巻き付けられ、シートSを偏平状の筒状に巻かれた筒状部21であって、内側に介在部材22が挿入された筒状部21を有する巻芯20が形成される。
【0065】
また、巻芯製造工程は、以下のような工程により巻芯20を製造するものであってもよい。まず、シートSが偏平した筒状に巻かれて、筒状部21が形成される。そして、介在部材22が該筒状部21に挿入され、内側に介在部材22が挿入された筒状部21が形成される。このとき、介在部材22は、第一端部220と第二端部221とが筒状部21の内周面に接するように筒状部21の内側に配置する。なお、筒状部21は、介在部材22が挿入される前から偏平にされていなくてもよい。つまり、介在部材22が挿入される前の筒状部21は、円筒状であり、介在部材22が挿入された後に、第一端部220と第二端部221とが筒状部21の内周面に接するように、巻芯中心を挟んで対向する外周面上の一対の領域を巻芯中心方向に向かって圧縮することにより、扁平した筒状に変形させたものであってもよい。
【0066】
上記実施形態においては、蓄電素子の一例として電池セル1を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、蓄電素子は、キャパシタであってもよい。