特許第6274651号(P6274651)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6274651
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】水切部材
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/64 20060101AFI20180129BHJP
【FI】
   E04B1/64 C
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-13681(P2014-13681)
(22)【出願日】2014年1月28日
(65)【公開番号】特開2015-140560(P2015-140560A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2017年1月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(74)【代理人】
【識別番号】100096448
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 嘉明
(72)【発明者】
【氏名】相澤 雅也
(72)【発明者】
【氏名】井本 響
(72)【発明者】
【氏名】工藤 雅之
【審査官】 土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−100480(JP,A)
【文献】 特開2006−257821(JP,A)
【文献】 特開2011−012390(JP,A)
【文献】 実開平05−071427(JP,U)
【文献】 実開平06−028324(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62 − 1/99
E04B 1/00 − 1/36
E04B 9/30
E04F 13/08
E04F 19/02
F16B 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物外壁張り出し部に取り付ける水切部材であって、
前記建物外壁張り出し部に固着される固着部と、
前記固着部よりも室外側方向に延びた水切り部と、
前記水切り部よりも下に設けられ、屋外部材が取付け可能な取付部とを備え
前記取付部は、下方に向けて開口したあり溝であることを特徴とする水切部材。
【請求項2】
前記取付部は、前記あり溝と、前記あり溝と室内外方向に隣接した厚肉部である請求項1記載の水切部材。
【請求項3】
前記あり溝は、下方に向けて開口した開口部と、開口部と連続し、開口部よりも上の収容部と、収容部と連続し、収容部よりも上の空間部を有し、
前記空間部は、収容部の室内側よりも室内側に張り出した室内側空間部分、又は収容部の室外側よりも室外側に張り出した室外側空間部分を有し、裏板の一端部を開口部から室内側空間部分又は室外側空間部分に入れることで、裏板を収容部に設けることができるようにした請求項1又は2記載の水切部材。
【請求項4】
前記あり溝は、下方に向けて開口した開口部と、開口部と連続し、開口部よりも上の収容部と、収容部と連続し、収容部よりも上の空間部とを有し、
前記収容部は、開口部の室内側開口縁と連続し裏板の一端部が載置する室内側載置面と、室内側載置面と上下方向に離隔して対向した室内側支持面及び、開口部の室外側開口縁と連続し裏板の他端部が載置する室外側載置面と、室外側載置面と上下方向に離隔して対向した室外側支持面を有している請求項1〜3いずれか1項記載の水切部材。
【請求項5】
前記水切部材の取付部にアタッチメントを取り付け、
前記アタッチメントの室外側縦壁は取付部を有している請求項1〜4いずれか1項記載の水切部材。
【請求項6】
前記アタッチメントの下壁及び又は室内側縦壁に取付部を有している請求項記載の水切部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持ち出しバルコニー等の建物外壁から張り出した張り出し部、階下の建物外壁よりも張り出した階上の建物外壁などの建物外壁張り出し部に用いる水切部材に関する。
【背景技術】
【0002】
持ち出しバルコニーが特許文献1に開示されている。
この持ち出しバルコニーは、建物外壁から張り出した室外側の下部に水切部材を備えているので、持ち出しバルコニーの室外面に沿って流れた雨水が持ち出しバルコニーの下面(軒天)に回り込むことがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭63−9681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
持ち出しバルコニー等の建物外壁から張り出した張り出し部を有した建物においては、張り出し部よりも下に、スクリーン、アウターシェード、垂れ壁、物干し等の屋外部材を取り付けることがある。
しかし、張り出し部よりも下に屋外部材を取り付けるためには、建物外壁、建物躯体に穴をあけなければならず、しかも穴から建物躯体に雨水が浸入しないように水密処理が必要であるから、張り出し部よりも下に屋外部材を取り付ける作業が面倒で、時間がかかる。
【0005】
本発明は、前述の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、屋外部材を取り付けできる水切部材とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、建物外壁張り出し部に取り付ける水切部材であって、
前記建物外壁張り出し部に固着される固着部と、
前記固着部よりも室外側方向に延びた水切り部と、
前記水切り部よりも下に設けられ、屋外部材が取り付け可能な取付部とを備え
前記取付部は、下方に向けて開口したあり溝であることを特徴とする水切部材である。
【0007】
本発明の水切部材は、前記取付部は、前記あり溝と、前記あり溝と室内外方向に隣接した厚肉部とすることができる。
【0008】
本発明の水切部材は、前記あり溝は、下方に向けて開口した開口部と、開口部と連続し、開口部よりも上の収容部と、収容部と連続し、収容部よりも上の空間部を有し、
前記空間部は、収容部の室内側よりも室内側に張り出した室内側空間部分、又は収容部の室外側よりも室外側に張り出した室外側空間部分を有し、裏板の一端部を開口部から室内側空間部分又は室外側空間部分に入れることで、裏板を収容部に設けることができるものにすることができる。
このようにすれば、開口部から裏板を入れて収容部に設けることができる。
【0009】
本発明の水切部材は、前記あり溝は、下方に向けて開口した開口部と、開口部と連続し、開口部よりも上の収容部と、収容部と連続し、収容部よりも上の空間部とを有し、
前記収容部は、開口部の室内側開口縁と連続し裏板の一端部が載置する室内側載置面と、室内側載置面と上下方向に離隔して対向した室内側支持面及び、開口部の室外側開口縁と連続し裏板の他端部が載置する室外側載置面と、室外側載置面と上下方向に離隔して対向した室外側支持面を有しているものにできる。
このようにすれば、裏板にねじを螺合するときに裏板が上に動かないので、ねじを裏板に螺合し易い。
【0010】
本発明の水切部材は、前記水切り部よりも下に室内外側方向に向かう下壁を有し、
前記下壁を、水切部材の他の壁よりも厚肉とし、下壁の室内外側方向の全長を取付部とすることができる。
【0011】
本発明の水切部材は、前記水切部材の取付部にアタッチメントを取り付け、
前記アタッチメントの室外側縦壁は取付部を有しているものにできる。
このようにすれば、アタッチメントの室外側縦壁に室内側方向に向かうねじにより屋外構造物を取り付けできる。
【0012】
本発明の水切部材は、前記アタッチメントの下壁及び又は室内側縦壁に取付部を有しているものにできる。
このようにすれば、アタッチメントに屋外部材を取り付けできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、水切部材の取付部を利用して屋外部材を取り付けできるから、建物外壁、建物躯体に穴をあける必要がなく、屋外部材を簡単に取り付けできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】持ち出しバルコニーの取付状態の縦断面図である。
図2】水切部材を取り付けた部分の拡大断面図である。
図3】水切部材のあり溝部分の拡大断面図である。
図4】あり溝の収容部に裏板を設ける動作説明図である。
図5】水切部材にアウターシェードを取り付けた状態の断面図である。
図6】水切部材にアタッチメントを取り付けた状態の断面図である
図7】アタッチメントの第2の実施の形態を示す断面図である。
図8】水切部材のあり溝の第2の実施の形態を示す断面図である。
図9】あり溝の収容部に裏板を設けた状態の断面図である。
図10】水切部材のあり溝の第3の実施の形態を示す断面図である。
図11】あり溝部分の拡大図である。
図12】水切部材の第2の実施の形態を示す断面図である。
図13】水切部材の第3の実施の形態を示す断面図である。
図14】水切部材の第4の実施の形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の水切部材を取り付ける建物外壁張り出し部を説明する。
図1に示すように、建物外壁張り出し部は持ち出しバルコニー1としてある。
持ち出しバルコニー1は、建物躯体2に取り付けた本体1aの室外側面1bに外装材1cを取り付けて室外側面1dとし、本体1aの下面1eに軒天ボード1fを取り付けて下面1gとしてある。
建物躯体2に外壁材を取り付けて建物外壁3としてある。
建物躯体2は、上開口2aと下開口2bとを有し、上開口2aと下開口2bに図示しないサッシが取り付けられる。
【0016】
持ち出しバルコニー1の室外側の下部、例えば本体1aの室外側の下部に、本発明の水切部材4が取り付けてある。
持ち出しバルコニー1の室外側面1dに沿って流れた雨水は水切部材4で水切りされ、雨水が持ち出しバルコニー1の下面1gに回り込むことがない。
【0017】
水切部材4は、図2に示すように、張り出し部に固着するための固着部4aと、固着部4aと連続して固着部4aよりも室外側方向に延びた水切り部4bと、後述する屋外部材を取り付け可能な取付部4cを備えている。
固着部4aを張り出し部の室外側の下部に固着して取り付けることで、水切り部4bが張り出し部の室外側面よりも室外側方向に突出する。例えば持ち出しバルコニー1の本体1aの室外側面1bと下面1eに固着部4aを固着して取り付けることで、水切り部4bが持ち出しバルコニー1の室外側面1dの下に位置し、かつ水切り部4bが室外側面1dよりも室外側方向に突出する。
取付部4cは水切り部4bよりも下方に位置する。
【0018】
このようであるから、水切部材4の取付部4cに屋外部材を取り付けることができる。
例えば、水切部材4の取付部4cに垂れ壁を取り付け、垂れ壁で建物外壁3の張り出し部より下の部位を覆い、外観デザインを向上する。
水切部材4の取付部4cにスクリーンを取り付ける。
水切部材4の取付部4cにアウターシェードを取り付け、建物躯体2の下開口2bを遮光する。
水切部材4の取付部4cに物干し、又はフックを取り付ける。
【0019】
水切部材4は図2に示すように、上壁40と、上壁40の室内側端に下向きに設けた室内側縦壁41と、上壁40の室外側端に下向きに設けた室外側縦壁42と、室内側縦壁41の下端部と連続し室外側方向に向けて設けた室内側下壁43と、室外側縦壁42の下端部と連続し室内側方向に向けて設けた室外側下壁44と、上壁40の室内寄りである室内側上壁40aと室内側下壁43を連結する連結縦壁45と、連結縦壁45と室外側下壁44を連結する連結横壁46とを有した水切本体4−1及び、水切本体4−1の室内側上壁40aの室内側端と連続して室内側方向に向かう第1取付壁47と、上壁40の室内側上壁40aと室外側上壁40bとの境に上向きに設けた第2取付壁48とを有している。
【0020】
室内側上壁40aは水平で、室外側上壁40bは室内側よりも室外側が低くなるように傾斜している。
水切本体4−1は、室内側中空部4−1aと室外側中空部4−1bを有することで高強度を確保できる。
【0021】
第1取付壁47と第2取付壁48とで取付部4aを形成している。
第1取付壁47を張り出し部の下面、例えば持ち出しバルコニー1の本体1aの下面1eに固着具、例えばねじ49で固着し、第2取付壁48を張り出し部の室外側面、例えば持ち出しバルコニー1の本体1aの室外側面1bに固着具、例えばねじ49で固着する。
【0022】
このようであるから、水切部材4は張り出し部(持ち出しバルコニー1の本体1a)の下面と室外側面の2つの面に固着されるから、水切部材4の固着強度を確保できる。
【0023】
持ち出しバルコニー1の本体1aの下面1eに取り付けた軒天ボード1fの室外側端面と第1取付壁47と室内側縦壁41とで下向きに開口した凹溝50を形成している。
この凹溝50にシール材51を設けて第1取付壁47の取付部分を水密している。
【0024】
室外側上壁40bが水切り部4bを形成する。
室内側下壁43の室外側端部43aと連結縦壁45と連結横壁46と室外側下壁44の室内側端部44aとで、下向きに開口したあり溝52を形成し、あり溝52を第1の取付部4c−1としてある。
室内側下壁43は厚肉部43bを有し、厚肉部43bを第2の取付部4c−2としてある。
第2の取付部4c−2は第1の取付部4c−1よりも室内側寄りである。
【0025】
あり溝52は、図3に示すように下面に開口する開口部53と、開口部53と連続し、開口部53よりも上の収容部54と、収容部54と連続し、収容部54よりも上の空間部55を備えている。
【0026】
収容部54の室内側縦面54aと室外側縦面54bとの間の室内外側方向の寸法、つまり収容幅H1は、開口部53の室内側開口縁53aと室外側開口縁53bとの間の室内外側方向の寸法、つまり開口幅H2よりも大きく、収容部54の室内外側方向の中央部、つまり、収容幅H1の幅方向中心H1−1と、開口部53の室内外側方向の中央部、つまり開口幅H2の幅方向中心H2−1は室内外側方向に同一である。
開口部53の室内側開口縁53aよりも収容部54の室内側縦面54aが室内側寄りで、収容部54は、開口部53の室内側開口縁53aと収容部54の室内側縦面54aを連続する上向きの室内側載置面54cを有する。
開口部53の室外側開口縁53bよりも収容部54の室外側縦面54bが室外側寄りで、収容部54は、開口部53の室外側開口縁53bと収容部54の室外側縦面54bを連続する上向きの室外側載置面54dを有する。
収容部54は、室外側載置面54dと上下方向に離隔して対向した下向きの室外側支持面54eを有し、室外側支持面54eと室外側縦面54bと室外側載置面54dとで室内側に向かうコ字状の凹部を形成している。
【0027】
空間部55は、室内側縦面55aと室外側縦面55bと下向面55cとで収容部54に向けて開口したコ字形状である。
室内側縦面55aは、収容部54の室内側縦面54aの上部と連続し、室内側に向けて斜めとなった下部縦面55a−1と、下部縦面55a−1の上部と連続し垂直な上部縦面55a−2とで鉤形状で、空間部55の室内側空間部分55−1は収容部54の室内側縦面54aよりも室内側に張り出している。
空間部55の室外側縦面55bの下端は、収容部54の室外側支持面54eの室内側端と連続し、室外側縦面55bは開口部53の室外側開口縁53bと室内外側方向にほぼ同一位置である。
【0028】
つまり、連結縦壁45は、室内側下壁43の室外側寄りに上に向けて設けた第1縦壁45aと、第1縦壁45aの上端と連続し、斜め室内側上方に向けて設けた第2縦壁45bと、第2縦壁45bの上端と連続し上に向けて垂直に設けた第3縦壁45cとを有し、図2に示すように第3縦壁45cが室内側上壁40aに連結している。
連結横壁46は、第3縦壁45cの下部寄りに室外側方向に向けて水平に設けた室内側横壁46aと、室内側横壁46aの室外側端に下向きに設けた垂直な室内縦壁46bと、室内側縦壁46bの下端に室外側方向に向けて水平に設けた室外側横壁46cと、室内側横壁46cの室外側端に下向きに垂直に設けた室外側縦壁46dとを備え、室外側縦壁46dは室外側下壁44の室内側寄りに連結している。
【0029】
室内側下壁43の室内側端部43aと、連結縦壁45の第1縦壁45aと、連結横壁46の室外側横壁46c、室外側縦壁46dと、室外側下壁44の室内側端44aとで収容部54を形成している。
連結縦壁45の第2縦壁45b、第3縦壁45cの下部寄りと、連結横壁46の室内側横壁46a、室内側縦壁46bとで空間部55を形成している。
【0030】
このようであるから、あり溝52内に裏板5を、開口部53から入れることができる。
つまり、図4に一点鎖線で示すように、裏板5を一端部5aが上で他端部5bが下となるように斜めの姿勢とし、裏板5を開口部53からあり溝52内に挿入し、裏板5の一端部5aを空間部55の室内側空間部分55−1に位置する。この状態で二点鎖線で示すように裏板5の他端部5bを押し上げ、他端部5bを開口部53を通して収容部54の室外側寄りに位置する。
この状態で、図4に三点鎖線で示すように裏板5を収容部54の室外寄りに移動し、図4に実線で示すように裏板5を収容部54に収容する。
これにより、裏板5の一端部5aは収容部54の室内側載置面54cに載置し、他端部5bが室外側載置面54に載置し、裏板5の他端部5bが室外側支持面54eに接することで上方に移動しないように支持する。
【0031】
なお、図示は省略するが、空間部55は、その室外側空間部分が収容部54の室外側縦面54bよりも室外側に張り出す形状とすることができる。
このようにすれば、裏板5を開口部53からあり溝52内に挿入し、裏板5の一端部5aを空間部55の室外側空間部分に位置させるようにして、裏板5を収容部54に設けることができる。
【0032】
裏板5は、後述するように水切部材4の取付部4cに屋外部材を取り付けるねじを螺合するためのものである。
例えば、図5に示すように、屋外部材であるアウターシェード6の取付ブラケット60から上下方向に向かう第1のねじ61を裏板5に螺合してアウターシェード6を水切部材4に取り付ける。
取付ブラケット60は上下方向に向かう第2のねじ62を室内側下壁43の厚肉部43bに螺合することで水切部材4に固着してある。
これにより、アウターシェード6を水切部材4の室内外側方向に離隔した2ヶ所で固着されるので、アウターシェード6の取付強度を確保できる。
【0033】
屋外部材はアウターシェード6に限ることはなく、垂れ壁、スクリーン、物干し、フックなどとすることもできる。
【0034】
以上のように、本発明の水切部材4によれば、水切部材4に屋外部材を取り付けることができるから、張り出し部の下に屋外部材を取り付ける場合に、建物外壁3、建物躯体2に穴をあける必要がなく、張り出し部の下に屋外部材を簡単に取り付けできる。
【0035】
裏板5に螺合するねじ61は、図5に示すように上下方向に向かうので、室内外側方向に向かうねじで屋外部材を水切部材4の取付部4cに取り付けできない。
そこで、図6に示すように水切部材4の取付部4c(第1の取付部4c−1、第2の取付部4c−2)にアタッチメント7を上下方向に向かう第1のねじ61,第2のねじ62で取り付ける。
アタッチメント7は、上横壁70と室外側縦壁71で鉤形状の本体72と、横壁73と室内側縦壁74で鉤形状のカバー75を備え、カバー75を本体72にねじ76で着脱自在に取り付けてアタッチメントとする。
上横壁70から上下方向に向かう第1のねじ61をあり溝52に設けた裏板5に螺合し、上下方向に向かう第2のねじ62を室内側下壁43の厚肉部43bに螺合することで、アタッチメント7を水切部材4の下面に取り付ける。
【0036】
アタッチメント7の本体72の室外側縦壁71には、取付部、例えば室外側に開口したあり溝77を有し、このあり溝77に裏板5が設けてある。
裏板5に室内外側方向に向かうねじ78を螺合することができるので、水切部材4にアタッチメント7を介して室内外側方向に向かうねじ78で屋外構造物を取り付けできる。
例えば、テラス屋根8の垂木掛け部材8aの縦壁8a−1を、アタッチメント7の本体72の室外側縦壁71に接し、縦壁8a−1から室内外側方向に向かうねじ78を裏板5に螺合することでアタッチメント7に棟木部材8aを取り付ける。
【0037】
図7に示すように、アタッチメント7のカバー75の横壁73と室内側縦壁74とに取付部を形成しても良い。例えば、横壁73に図3に示すと同様のあり溝77を下方に向けて開口して形成し、室内側縦壁74に室内側に向けて開口したあり溝77を形成する。
このようにすれば、アタッチメント7にアウターシェード、フックなどを取り付けできる。
【0038】
図示は省略するが、アタッチメント7のカバー75の横壁73に、取付部、例えば下方に開口したあり溝77を形成しても良い。
このようにすれば、アタッチメント7にアウターシェードを図5に示すと同様にして取り付けできる。
【0039】
次に、水切部材4の他の実施の形態を説明する。
図8に示すように、あり溝52の収容部54の室内側縦面54aにおける上端に、室外側に向かう突起54a−1を設け、突起54a−1と室内側縦面54aと室内側載置面54cとで室外側に開口した凹部を形成する。
【0040】
このようにすれば、図9に示すように収容部54に裏板5を、一端部5aを室内側載置面54cに載置し、他端部5bを室外側載置面54dに載置して取り付けた状態で、裏板5が上に移動しようとすると、裏板5の一端部5aは突起54a−1と干渉し、他端部5bは室外側支持面54eと干渉するので、裏板5を上に移動しないように支持できる。
したがって、裏板5に上下方向に向かう第1のねじ61を螺合するときに裏板5が上に動かないので、第1のねじ61を裏板5に螺合し易い。
【0041】
図10に示すように、あり溝52の収容部54の室内側縦面54aの上端に室外側方向に向かう室内側支持面54fを設け、収容部54を幅方向中心H1−1に対して室内側と室外側が対称形状とする。
あり溝52の空間部55の室内側縦面55aを、収容部54の室内側支持面54fの室外側端と連続した垂直とし、空間部55を収容部54の幅方向中心H1−1に対して室内側と室外側が対称形状とする。
図11に示すように、空間部55の室内側縦面55aと室外側縦面55bとの間の寸法、つまり空間部55の幅H3は、収容部54の幅H1より小さく、開口部53の開口幅H2よりも大きい。
【0042】
このようにすれば、空間部55に六角ボルトの頭部を嵌合して取り付けできる。
【0043】
図10図11に示すあり溝52であると、裏板5を水切部材4の下から開口部53を通してあり溝52の収容部54内に入れることができないので、水切部材4を張り出し部に取り付ける以前、または、水切部材4を張り出し部に取り付けた状態で、水切部材4の長さ方向一端から裏板5を収容部54内に長手方向にスライドして挿入して入れる。ボルトを入れる場合も同様である。
【0044】
水切部材4を張り出し部の前面と側面に沿って取り付ける場合には、前面に取り付けた水切部材4の長さ方向端部と側面に取り付けた水切部材4の長さ方向端部とを樹脂のコーナーブロックで連結することがある。
この場合には、コーナーブロックに裏板が入る切欠部を形成し、その切欠部から裏板を収容部54に入れることができる。
【0045】
また、裏板5を収容部54に入れる場合には、室内側下壁43の室外側端43a、室外側下壁44の裏板側端44aにおける長さ方向の一部分に、裏板5が入る切欠部を形成し、その切欠部から裏板5を収納部54に入れ、裏板5を長さ方向に移動して所定の位置とすることができる。
【0046】
図12に示すように、室内側下壁43に室内側縦壁41よりも室内側方向に突出した室内側突出壁43cを形成し、この室内側突出壁43cと第1取付壁47との間に軒天ボード1fの室外側端部を挿入するようにできる。この水切部材4の水切本体4−1は1つ、または2つ以上の中空部を有する。
【0047】
図13に示すように、水切部材4の下壁を、室内側下壁43と室外側下壁44が一体に連続した形状とする。
この下壁の肉厚を、上壁40、室内側縦壁41、室外側縦壁42の肉厚よりも厚くし、下壁の室内外側方向全長を取付部4cとする。
このようにすれば、下壁、つまり水切部材4の下面における室内外側方向に任意の位置にねじを螺合できるから、任意の位置に屋外部材を取り付けできる。この水切部材4の水切本体4−1は1つの中空部を有する。
【0048】
図14に示すように、水切部材4を中空部を有しない形状としても良い。
つまり、上壁40を室外側上壁40bのみとし、室外側上壁40bの室内側端に第2取付壁48を上向きに垂直に設ける。なお、図13に示す水切部材4も中空部を有しない形状としても良い。
室外側縦壁41の上端に第2取付壁47を室内側に向けて設ける。
図13図14に示す水切部材4は、図12に示す水切部材4と同様に室内側下壁43に室内側突出壁43cを有するものとしても良い。
【0049】
実施の形態では、建物外壁張り出し部を持ち出しバルコニーとしたが、これに限ることはなく、建物外壁張り出し部は建物における建物外壁から張り出したものであれば良く、さらには、建物外壁張り出し部は階下の建物外壁よりも張り出した階上の建物外壁でもよい。
また、裏板はボルトを螺合する部材に限ることはなく、ボルトが挿通し、ボルト頭部が接するようにしたワッシャ等の部材などでも良い。
【0050】
1…持ち出しバルコニー(張り出し部)、2…建物躯体、3…建物外壁、4…水切部材、4a…固着部、4b…水切り部、4c…取付部、5…裏板、5a…一端部、5b…他端部、7…アタッチメント、52…あり溝、53…開口部、53a…室内側開口縁、53b…室外側開口縁、54…収容部、54a…室内側縦面、54b…室外側縦面、54c…室内側載置部、54d…室外側載置部、54e…室外側支持面、54f…室内側支持面、55…空間部、55−1…室内側空間部、60…取付ブラケット、68…ねじ。
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