特許第6274688号(P6274688)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6274688
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】仮締切工法
(51)【国際特許分類】
   E02D 19/04 20060101AFI20180129BHJP
   E01D 22/00 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
   E02D19/04
   E01D22/00 B
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-101182(P2017-101182)
(22)【出願日】2017年5月22日
【審査請求日】2017年6月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596109273
【氏名又は名称】株式会社高知丸高
(73)【特許権者】
【識別番号】310016452
【氏名又は名称】四国開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129207
【弁理士】
【氏名又は名称】中越 貴宣
(72)【発明者】
【氏名】高野 広茂
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−297748(JP,A)
【文献】 特開2005−264500(JP,A)
【文献】 特開2016−014290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 19/04
E01D 22/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋脚の周りに、複数の仮締切分割体を連結して仮締切構造体を構築するための仮締切工法であって、
橋脚の周囲にフロート台船を設置し、
前記フロート台船上にて、最下段に位置する仮締切分割体を、前記橋脚を囲むように組み立て、
前記橋脚の上部に吊下げ手段を設置し、
前記最下段の仮締切分割体を前記吊下げ手段によって吊り下げて所定高さまで降下させ、
順次、下側に位置する前記仮締切分割体の上に、新たな仮締切分割体を組立・連結すると共に、前記仮締切分割体の内側に複数のガイドローラを配設し、該ガイドローラを前記橋脚の外周面に接触させた状態で前記仮締切分割体を降下させ、
前記最下段の仮締切分割体が前記橋脚の基礎部に着底し、最上段の仮締切分割体まで複数の前記仮締切分割体が連結されて仮締切構造体が構築された後、前記最下段の仮締切分割体の内周面と前記基礎部との間に止水コンクリートを打設し、
前記止水コンクリートの硬化後、前記仮締切構造体の内側の排水を行うことを特徴とする仮締切工法。
【請求項2】
前記仮締切分割体が、ライナープレート及び補強リングで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の仮締切工法。
【請求項3】
前記最上段の仮締切分割体と前記橋脚の上部との間に、前記仮締切構造体の浮き上がりを防止するための浮き防止支柱を配設することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の仮締切工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋脚の周りに仮締切構造体を構築するための仮締切工法に関する。
【背景技術】
【0002】
河川や海等の水中に設置されている橋脚の補修工事や耐震補強工事を行う場合、以前は橋脚の周囲に鋼矢板や鋼管矢板等で仮締切構造体を構築し、この仮締切構造体と橋脚の間の水、土砂を排出することによって作業空間を形成していた。
【0003】
しかし、鋼矢板や鋼管矢板等で仮締切構造体を構築する工法は、工期が非常に長期になると共に、莫大な工事費も掛かることから、工期の短縮化、工事費の低コスト化が求められていた。
【0004】
そこで、鋼製パネルやライナープレートを使用した仮締切工法が種々、開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された仮締切構造体の施工方法は、橋脚周りに筒状仮締切構造体を構築する施工方法であって、前記橋脚の所要高さの全周囲に環状作業用プラットホームを設け、このプラットホームの外周部は、外縁から中心に向かって所要長さ切り離し可能となって、その外周部が切り離されたプラットホームは前記仮締切構造体の内側に納まってその仮締切構造体が通過し得る大きさとなり、前記プラットホーム上で前記仮締切構造体を構築し、その構築後、前記外周部を切り離し、前記仮締切構造体を前記プラットホームを通過・下降させて前記橋脚の基礎に固定することを特徴としている。
【0005】
この特許文献1に記載された仮締切工法によると、水上のプラットホームにおいて安定した体勢で仮締切構造体に係る分割構造体を順々に製作し、プラットホームを通過・下降させて、橋脚のフーチング又は水中に設置済みの分割構造体上に固定することができる。従って、潜水作業員による水中での作業が少なくなると共に、分割構造体を製作するための機材も水上のプラットホーム上へ運搬すればよく、その荷下ろしも水平方向となり、作業時間も短縮される、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4625532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された仮締切構造体の施工方法によると、従来の鋼矢板や鋼管矢板等で仮締切構造体を構築する工法に比べて、工期短縮、低コスト化が図られるものと思料する。また、分割構造体はプラットホーム上で製作でき、水中での作業も少なくなるため、鋼製パネルやライナープレートを使用した従来の仮締切工法と比較しても、作業効率の向上及び低コスト化が図られるものと思料する。
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載された仮締切構造体の施工方法では、プラットホーム上で製作された分割構造体を通過・下降させる度にプラットホームの外周部を切り離す必要がある。従って、連続的に分割構造体の製作・通過・下降を行うことができず、作業が煩雑となる。
【0009】
また、特許文献1の図2b等に示されるように、橋脚に設置されたプラットホームには機材台船や作業台船から機材が運搬される。しかし、沿岸部等の干満によって水位差が生じる現場では、プラットホームと機材台船等とに高低差が発生し、作業ヤードの一面性を確保することができなくなる。
【0010】
更に、プラットホーム上で製作された分割構造体は、プラットホームを通過・下降させた後、水中に設置済みの分割構造体上に固定しなければならず、その都度、水中作業が必要となる。
【0011】
そこで本願発明者は、上記の問題点に鑑み、水中作業を殆ど不要とし、作業効率の向上、工期の短縮化、低コスト化が図られた仮締切工法を提供するべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に至ったのである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
即ち、本発明は、橋脚の周りに複数の仮締切分割体を連結して仮締切構造体を構築するための仮締切工法であって、橋脚の周囲にフロート台船を設置し、前記フロート台船上にて、最下段に位置する仮締切分割体を、前記橋脚を囲むように組み立て、前記橋脚の上部に吊下げ手段を設置し、前記最下段の仮締切分割体を前記吊下げ手段によって吊り下げて所定高さまで降下させ、順次、下側に位置する前記仮締切分割体の上に、新たな仮締切分割体を組立・連結して降下させ、前記最下段の仮締切分割体が前記橋脚の基礎部に着底し、最上段の仮締切分割体まで複数の前記仮締切分割体が連結されて仮締切構造体が構築された後、前記最下段の仮締切分割体の内周面と前記基礎部との間に止水コンクリートを打設し、前記止水コンクリートの硬化後、前記仮締切構造体の内側の排水を行うことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の仮締切工法において、前記仮締切分割体が、ライナープレート及び補強リングで構成されていることを特徴とする。
【0014】
更に、本発明の仮締切工法において、前記仮締切分割体の内側に複数のガイドローラを配設し、該ガイドローラを前記橋脚の外周面に接触させた状態で前記仮締切分割体を昇降させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の仮締切工法において、前記最上段の仮締切分割体と前記橋脚の上部との間に、前記仮締切構造体の浮き上がりを防止するための浮き防止支柱を配設することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の仮締切工法によると、仮締切分割体の組み立て及び上下の仮締切分割体の連結作業を全てフロート台船上で行うことができるため、作業効率を格段に向上することができ、工期の大幅な短縮化、低コスト化も図られる。
【0017】
また、上記の通り、仮締切分割体の組み立て及び上下の仮締切分割体の連結作業を、橋脚の周囲に設置したフロート台船上で行うため、沿岸部等の干満によって水位差が生じる現場においても、作業ヤードの一面性を確保することができる。
【0018】
更に、水中作業も、最下段の仮締切分割体が橋脚の基礎部に着底する際に発生するぐらいで、各仮締切分割体の連結作業を水中で行う必要がないため、水中作業の大幅な削減、作業者の負担軽減、作業効率の向上を図ることができる。
【0019】
また、本発明の仮締切工法において、仮締切分割体をライナープレート及び補強リングで構成することによって、仮締切分割体を容易に組み立てることができ、作業効率の向上が図られると共に、これらライナープレート及び補強リングは再利用することができ、低コスト化が図られる。
【0020】
また、本発明の仮締切工法において、仮締切分割体の内側に複数のガイドローラを配設し、ガイドローラを橋脚の外周面に接触させた状態で仮設分割体を昇降させることによって、橋脚の周りに配設された仮締切分割体の位置を一定に保った状態で仮締切分割体を昇降させることができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0021】
更に、本発明の仮締切工法において、最上段の仮締切分割体と橋脚の上部との間に、仮締切構造体の浮き上がりを防止するための浮き防止支柱を配置することによって、橋脚にアンカーボルト等による固定をする必要がなくなる。また、アンカーを併用することによって、より流速の速い場所でも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る仮締切工法の施工状態を示す概略平面図。
図2】同仮締切工法の準備工程となる浚渫作業の作業説明図。
図3】同仮締切工法におけるフロート台船の設置状態説明図。
図4】同仮締切工法における吊下げ架台及び電動チェンブロックの設置状態説明図。
図5】同仮締切工法における最下段に位置する仮締切分割体の組立作業説明図。
図6】同仮締切工法における次の仮締切分割体、縦梁、ガイドローラの配設作業説明図。
図7】同仮締切工法における仮締切構造体の着底状態説明図。
図8】同仮締切工法における止水コンクリートの打設状態説明図。
図9】同仮締切工法における仮締切構造体内の排水作業の作業説明図。
図10】仮締切構造体内の足場の設置状態説明図。
図11】仮締切構造体内の切梁の設置状態説明図。
図12】仮締切構造体内での耐震補強工事の作業説明図。
図13】仮締切構造体内でのガイドローラの配設状態説明図。
図14】仮締切構造体内の足場の撤去状態説明図。
図15】仮締切構造体内の止水コンクリートの撤去状態説明図。
図16】仮締切構造体の吊り上げ作業の作業説明図。
図17】仮締切構造体の分解・撤去の完了状態説明図。
図18】吊下げ架台、フロート台船の解体・撤去作業の作業説明図。
図19】埋め戻し作業の作業説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の仮締切工法の実施形態について、図面に基づいて詳述する。図1は、本発明の一実施形態に係る仮締切工法の施工概要を示す概略平面図、図2図19は、本実施形態の仮締切工法(仮締切構造体の撤去作業を含む)の作業状態を示す説明図である。
【0024】
本発明は、橋脚の周りに、複数の仮締切分割体を連結して仮締切構造体を構築するための仮締切工法であって、図1に示すように、橋脚1の周囲に組み立て式のフロート台船2が設置されることによって作業ヤードが構築される。フロート台船2の四隅にはスパッド3が配設される。また、フロート台船2の周囲には濁水対策として、シルトフェンス4が設置され、このシルトフェンス4はワイヤ5及びコンクリートブロック6によって固定されている。
【0025】
なお、このフロート台船2の設置作業に先だって、図2に示すように、フロート台船2が設置される橋脚1の周囲の浚渫作業が行われる。浚渫作業には自航艇掘削機7等が使用される。自航艇掘削機7等によって浚渫作業が完了した後、図3に示すように、組み立て式のフロート台船2が橋脚1を囲むように設置される。
【0026】
続いて、図4に示すように、橋脚1上部の橋梁支承部1aを囲むように、H形鋼によって吊下げ手段である電動チェンブロック9を取り付けるための吊下げ架台8が設置される。この吊下げ架台8は、橋梁支承部1aを囲むように配設したH形鋼同士をボルト固定することによって構築されており、橋脚1や橋梁支承部1aにアンカーボルト等で固定する必要がないため、橋脚1や橋梁支承部1aを損傷することがない。
【0027】
以上の準備作業が完了し、フロート台船2上に必要な資材や機材の準備が整ったら、図5に示すように、フロート台船2上において、橋脚1を囲むように最初の仮締切分割体10の組み立て作業が開始される。この最初の仮締切分割体10は、最終的には、仮締切構造体20を構成する仮締切分割体10のうち、最下段に位置する仮締切分割体10となる。
【0028】
ここで、仮締切分割体10は、複数のライナープレート11と、複数の補強リング12とをボルトで接合することによって組み立てられる。ライナープレート11は波付けされた薄鋼板で形成されており、軽量で再利用が可能である。また、併せて補強リング12を接合することによって、仮締切分割体10の強度を増すことができる。
【0029】
複数のライナープレート11と、複数の補強リング12とをボルトで接合することによって組み立てられた最下段に位置することとなる仮締切分割体10には、吊り下げ用ブラケット13が取り付けられ、図5に示すように、吊下げ手段の電動チェンブロック9によって最下段の仮締切分割体10が吊り下げられる。
【0030】
そして、この最下段の仮締切分割体10を所定の高さまで降下させた後、図6に示すように、この最下段の仮締切分割体10の上に、新たな仮締切分割体10が組立・連結される。具体的には、最下段の仮締切分割体10の上に、新たな仮締切分割体10を構成するライナープレート11及び補強リング12が順次、ボルト接合される。
【0031】
更に、本実施形態の仮締切工法においては、仮締切分割体10の内側に、所定の間隔を空けて複数の縦梁14が配設されると共に、同じく所定の間隔を空けて複数のガイドローラ15が配設されている。仮締切分割体10の組立において補強リング12を適用することによって仮締切分割体10の強度をある程度、確保することは可能であるが、縦梁14を配設することによって、更に強度を増すことができる。
【0032】
また、仮締切分割体10の内側に所定の間隔を空けて複数のガイドローラ15を配設し、ガイドローラ15に係るローラ15aを橋脚1の外周面に接触させた状態とすることによって、仮締切分割体10の昇降作業において、橋脚1の外周面と仮締切分割体10との距離を一定に保った状態、つまり橋脚1の周りに配設される仮締切分割体10の位置を一定に保った状態で仮締切分割体10を昇降させることができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0033】
以上のように、下側に位置する仮締切分割体10の上に新たな仮締切分割体10を組立・連結し、縦梁14及びガイドローラ15を配設した後、電動チェンブロック9によって所定の高さまで降下させるという一連の作業を繰り返す。そして、最下段の仮締切分割体10が橋脚1のフーチング1bの上面に着底する段階で、水中作業によってフーチング1b上面の状況確認や仮締切分割体10の着底確認を行う。つまり、本実施形態の仮締切工法では、この段階で初めて水中作業が必要となるが、それまでの工程においては水中作業を必要とせず、作業効率が非常に高い。
【0034】
フーチング1bの上面に最下段の仮締切分割体10が着底し、最上段の仮締切分割体10が組立・連結されることによって、図7に示すように、複数の仮締切分割体10が組立・連結された仮締切構造体20が構築される。なお、最上段の仮締切分割体10を組立・連結した際には、ガイドローラ15の代わりに切梁16が配設される。
【0035】
次に、図8に示すように、仮締切構造体20に係る最下段の仮締切分割体10の内周面と基礎部(橋脚1のフーチング1b上面)との間に止水コンクリート17を打設する。
【0036】
更に、本実施形態の仮締切工法では、最上段の仮締切分割体10と、橋脚1の上部、例えば本実施形態では橋脚1に係る橋梁支承部1aを囲むように設置された吊下げ架台8との間に、仮締切構造体20の浮き上がりを防止するための浮き防止支柱18が、所定の間隔を空けて複数、配設されることを特徴とする。これら複数の浮き防止支柱18を配設することによって、橋脚1の基礎部(フーチング1b)等にアンカーボルト等による固定をする必要がなくなるため、橋脚1を損傷することなく仮締切構造体20の固定をより確実なものとすることができる。
【0037】
なお、図面では電動チェンブロック9による最下段の仮締切分割体10の吊り下げ状態を維持しているが、この段階で吊下げ手段である電動チェンブロック9による最下段の仮締切分割体10の吊り下げ状態を解除することができる。
【0038】
そして、止水コンクリート17の硬化後、図9に示すように、仮締切構造体20の内側を排水ポンプ19等で排水することによって、少なくとも橋脚1と仮締切構造体20との間に作業空間が形成されることとなる。
【0039】
なお、実際に橋脚1の耐震補強工事等を行う場合は、引き続き、図10に示すように、ガイドローラ15を取り外して、橋脚1と仮締切構造体20との間の作業空間に足場21を組み立てる。
【0040】
更に、図11に示すように、仮締切構造体20の下方における所定の箇所に切梁16を複数配設する。なお、切梁16の配設箇所や配設数は特に限定されず、仮締切構造体20に作用する水圧等を考慮して、適宜決定される。
【0041】
この段階で、橋脚1と仮締切構造体20との間に、耐震補強工事等を行うための作業空間が完成する。そして、この作業空間内に組み立てられた足場21を利用して、例えば図12に示すように、橋脚1に炭素繊維補強22が施工される。
【0042】
以上のように、本実施形態の仮締切工法によると、仮締切分割体10の組み立て及び上下の仮締切分割体10の連結作業を全てフロート台船2上で行うことができるため、作業効率を格段に向上することができ、工期の大幅な短縮化、低コスト化も図られる。
【0043】
また、仮締切分割体10の組み立て及び上下の仮締切分割体10の連結作業を、橋脚1の周囲に設置したフロート台船2上で行うため、沿岸部等の干満によって水位差が生じる現場においても、作業ヤードの一面性を確保することができる。例えば、満潮時の水位が上昇する場合には、吊下げ手段によって吊り下げられている仮締切分割体10を上昇させ、干潮時の水位が低下する場合には吊下げ手段によって吊り下げられている仮締切分割体10を降下させることによって、フロート台船2と作業中の仮締切分割体10との高さを調整することができ、作業ヤードの一面性を確保することができる。
【0044】
以上、本発明の一実施形態に係る仮締切工法、及び仮締切工法を利用した橋脚の耐震補強工事の一例について詳述したが、耐震補強工事の完了後は以下の手順で仮締切構造体20を撤去することができる。
【0045】
即ち、図13に示すように、仮締切構造体20の下方における所定の箇所に配設された切梁16を撤去して、ガイドローラ15を取り付ける。
【0046】
次に図14に示すように足場21を撤去し、図15に示すように止水コンクリート17を取り壊して撤去する。
【0047】
以上の吊り上げ準備が整ったら、図16に示すように、最上段の仮締切分割体10に係る切梁16を撤去し、吊下げ手段の電動チェンブロック9によって仮締切構造体20に係る最下段の仮締切分割体10を上昇させながら最上段の仮締切分割体10から順次、分解・撤去を行っていく。
【0048】
図17に示すように、仮締切構造体20を構成する全ての仮締切分割体10の分解・撤去が完了したら、図18に示すように、吊下げ架台8の撤去及びフロート台船2の解体・撤去を行う。
【0049】
最後に、図19に示すように、自航艇掘削機7等によって計画高さまで埋め戻し作業を行うことによって、仮締切構造体20の撤去作業が完了する。
【0050】
以上のように、本実施形態の仮締切工法によると、仮締切構造体20を構築する段階での作業効率の向上、低コスト化が図られると共に、仮締切構造体20の撤去作業時においても、作業効率の向上が図られる。また、撤去された仮締切構造体20を構成する仮締切分割体10は再利用することができ、工事費の低コスト化を図ることができる。
【0051】
以上、本発明の仮締切工法の実施形態について詳述したが、本発明の技術的思想を実質的に限定するものと解してはならない。例えば、本発明の仮締切工法において、浮き防止支柱を配置することによって仮締切構造体の浮き上がりを防止することができるが、アンカーを併用することによって、より流速の速い場所でも本発明の仮締切工法を適用することができる。本発明はその要旨を逸脱しない範囲で、当業者の創意と工夫により、適宜に改良、変更又は追加をしながら実施できる。
【符号の説明】
【0052】
1:橋脚
2:フロート台船
8:吊下げ架台
9:吊下げ手段(電動チェンブロック)
10:仮締切分割体
11:ライナープレート
12:補強リング
14:縦梁
15:ガイドローラ
16:切梁
17:止水コンクリート
18:浮き防止支柱
20:仮締切構造体
【要約】
【課題】 水中作業を殆ど不要とし、作業効率の向上、工期の短縮化、低コスト化が図られた仮締切工法を提供する。
【解決手段】 橋脚1の周りに複数の仮締切分割体10を連結して仮締切構造体20を構築するための仮締切工法であって、橋脚1の周囲にフロート台船2を設置し、フロート台船2上にて、最下段に位置する仮締切分割体10を組み立て、橋脚1の上部に吊下げ手段9を設置して最下段の仮締切分割体10を吊り下げて所定高さまで降下させ、順次、下側に位置する仮締切分割体10の上に、新たな仮締切分割体10を組立・連結して降下させ、最下段の仮締切分割体10が橋脚1の基礎部1bに着底し、最上段の仮締切分割体10まで複数の仮締切分割体10が連結されて仮締切構造体20が構築された後、最下段の仮締切分割体10の内周面と基礎部1bとの間に止水コンクリート17を打設し、仮締切構造体20の内側の排水を行うことを特徴とする。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19