(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記金属層は、Al、Ag、Mg、Cr、Ti、Ni、Au、Ta、Cu、Ca、Co、Fe、Mo、W、Pt、Ybからなる群から選択される何れか一つの金属または二つ以上の合金である請求項16に記載の表示装置製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の利点、特徴、およびそれらを達成する方法は、添付される図面と共に詳細に後述される実施形態を参照すると明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現されることが可能である。本実施形態は、単に本発明の開示が完全になるように、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に対して発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇によってのみ定義される。明細書全体にかけて、同一の参照符号は同一の構成要素を指す。図面において層、領域の大きさ及び相対的な大きさは説明を明瞭にするため、誇張する場合がある。
【0018】
素子(elements)または層が、他の素子または層の「上(on)」と指称されるのは、他の素子または層の真上だけではなく、中間に他の素または他の素子を介在する場合のすべてを含む。
【0019】
第1、第2等が、多様な素子、構成要素を説明するために使用される。しかしながら、これらの構成要素はこれらの用語によって制限されないことはもちろんである。これらの用語は単に一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用されるものである。したがって、以下で言及する第1構成要素は本発明の技術的な思想内で第2構成要素であり得る。
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0021】
以下では本発明の表示装置が有機発光表示装置(OLED)に適用される場合を例示して説明するが、本発明の思想に含まれる範囲内で有機白色発光表示装置(WOLED)など現在開発されて商用化されているものや、今後技術発展により実現可能なすべての表示装置にも適用することができる。
【0022】
図1は本発明の一実施形態による表示装置の断面図である。
【0023】
図1を参照すると、本実施形態による表示装置1は、基板10、基板上に形成された有機発光素子30、基板10上に形成されて有機発光素子30を覆う薄膜封止層50、薄膜封止層50上に形成された反射防止層70を含む。以下、各構成について詳細に説明する。
【0024】
基板10は絶縁基板を含み得る。絶縁基板は、透明なSiO
2を主成分とする透明材質のガラス材で形成され得る。または、絶縁基板は、プラスチック材基板と同じ多様な材質の基板で形成され得る。さらには、絶縁基板は柔軟性を有するフレキシブル基板であり得る。
【0025】
基板10上には、有機発光素子30が形成され得る。有機発光素子30は、基板10上に形成された第1電極(図示せず)、当該第1電極上に形成された有機発光層(図示せず)および当該有機発光層上に形成された第2電極(図示せず)を含み得る。
【0026】
第1電極は、真空蒸着法やスパッタリング法などの方法を利用して基板10上に形成され得、カソードまたはアノードであり得る。第1電極は、透明電極、半透明電極または反射電極であり得、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、Al、Ag、Mgなどを利用して形成され得るが、これに限定されるものではない。また、互いに異なる2以上の物質を利用して2層以上の構造を有することができるなど、多様な変形が可能である。
【0027】
第1電極上には、有機発光層が形成される。有機発光層は公知の発光物質を含み得る。例えば、Alq
3,CBP(4,4’−N、N’−ジカルバゾール−ビフェニル)、PVK(ポリ(n−ビニルカルバゾール))、DSA(ジスチリルアリーレン)などのような公知のホストおよびPtOEP、Ir(piq)
3,Btp
2Ir(acac)、DCJTB(4−(dicyanomethylene)−2−t−butyl−6−(1,1,7,7−tetramethyljulolidyl−9−enyl)−4Hpyran)(以上、赤色ドーパント)、Ir(ppy)
3(ppy=フェニルピリジン)、Ir(ppy)
2(acac)、Ir(mpyp)
3(以上、緑色ドーパント)、F
2Irpic、(F
2ppy)2Ir(tmd)、Ir(dfppz)
3,ter−フルオレン(fluorene)(以上、青色ドーパント)などのような公知のドーパントを含み得る。ただし、前述した内容は一つの例示であり、現在開発されて商用化されているものや今後技術発展により実現可能なすべての発光物質を利用して有機発光層を形成することができると言える。
【0028】
第2電極は、真空蒸着法やスパッタリング法などの方法を利用して有機発光層上に形成され得、カソードまたはアノードであり得る。第2電極は低い仕事関数を有する金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を含み得る。例えば、第2電極は、Li、Mg、Al、Al−Li、Ca、Mg−In、Mg−Agなどを含み得るが、これに限定されるものではない。また、第2電極は、互いに異なる2以上の物質を利用して、2層以上の構造を有するなど、多様に変形することができる。
【0029】
第1電極および第2電極との間には、有機発光層の他にも、正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層、電子輸送層および電子注入層からなる群から選択された一つ以上の層がさらに含まれ得る。正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層、電子輸送層および電子注入層は、公知の材料および公知の方法を利用して形成することができる。
【0030】
正孔注入層物質としては、公知された正孔注入材料を使用することができる。例えば、銅フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物、m−MTDATA[4,4’、4’’−tris(3−methylphenylphenylamino)triphenylamine]、NPB(N、N’−ジ(1−ナフチル)−N、N’−ジフェニルベンジジン(N、N’−di(1−naphthyl)−N、N’−diphenylbenzidine))、TDATA、2−TNATA、Pani/DBSA(Polyaniline/Dodecylbenzenesulfonic acid:ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸)、PEDOT/PSS(Poly(3,4−ethylenedioxythiophene)/Poly(4−styrenesulfonate):ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホナート))、Pani/CSA(Polyaniline/Camphor sulfonic acid:ポリアニリン/カンファースルホン酸)またはPANI/PSS(Polyaniline)/Poly(4−styrene sulfonate):ポリアニリン)/ポリ(4−スチレンスルホナート))などを使用することができるが、これに限定されない。
【0031】
正孔輸送層は、例えば、N−フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)、N、N’−ビス(3−メチルフェニル)−N、N’−ジフェニル[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、N、N’−ジ(ナフタリン−1−イル)−N、N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)などの方向族縮合環を有するアミン誘導体などを利用して形成することができる。
【0032】
また、正孔阻止層は、例えば、オキサジアゾール誘導体やトリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体などを利用して形成することができる。
【0033】
一方、電子輸送層は、例えば、キノリン誘導体、特にトリス(8−キノリノラート)アルミニウム(Alq
3)、TAZ(3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール)などを利用して形成することができ、電子注入層は、例えば、LiF、NaCl、CsF、Li
2O、BaOなどを利用して形成することができるが、これに限定されるものではない。
【0034】
基板10上には、有機発光素子30を覆う薄膜封止層50が形成される。薄膜封止層50は、酸素および水分などが有機発光素子30素子に侵入することを防止できる。薄膜封止層50は、例えば、積層構造を有する。具体的には、薄膜封止層50は、無機膜層と有機膜層が交互に配置された構造であり得る。すなわち、
図1に図示するように、基板10および有機発光素子30上に第1無機膜層51、第1有機膜層52、第2無機膜層53、第2有機膜層54、第3無機膜層55が順次に積層した構造であり得る。ただし、これに限定されるものではなく、この他にも有機発光素子30上に有機膜層/無機膜層/有機膜層の順に積層した構造、無機膜層/無機膜層/有機膜層順に積層した構造など多様な組合せから形成され得る。また、図面には図示していないが、薄膜封止層50のうち何れか一つの層が金属層からなることも可能である。さらに、
図1は、薄膜封止層50が5層構造で形成されるものと図示しているが、これは一例に過ぎず、この他にも4層構造、または6層構造など多様な積層構造で形成され得る。
【0035】
ここで、各無機膜層(51,53,55)は、外部の水分と酸素が有機発光素子30に侵入することを抑制する役割を果たし、各有機膜層(52,54)は、無機膜層(51,53,55)の内部ストレスを緩和するかまたは無機膜層(51,53,55)の微細クラックおよびピンホールなどを満たす役割を果たす。
【0036】
薄膜封止層50の第1無機膜層51、第2無機膜層53および第3無機膜層55の各々は、透明材質からなり得、例えば、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化ジルコニウム、窒化チタン、窒化ハフニウム、窒化タンタル、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化セリウム、シリコン酸化窒化物(SiON)のうち何れか一つの物質またはこれらの混合物を利用できるが、これに制限されるものではない。
【0037】
薄膜封止層50の第1無機膜層51、第2無機膜層53および第3無機膜層55の形成方法としては、例えば、スパッタリング(Sputtering)、化学気相蒸着法(CVD)、E−ビーム(e−beam)、熱蒸着法(Thermal Evaporation)、熱的イオンビーム補助蒸着法(thermal Ion Beam Assisted Deposition:IBAD)などの真空成膜法を利用することができる。CVD方法としては、ICP−CVD(Induced Coupled Plasma−Chemical Vapor Deposition)、CCP(Capacitively Coupled Plasma)−CVD、SWP(Surface Wave Plasma)−CVD方法などを挙げることができる。ただし、これは一例であり、この他にも現在開発されて商用化されている方法または今後技術発展により実現可能なすべての方法は、本発明の無機膜層形成方法として利用できるといえる。
【0038】
薄膜封止層50の第1有機膜層52、第2有機膜層54の各々は、透明材質からなり得、その材料としては例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ペリレン系樹脂、ポリイミド樹脂のうち何れか一つの物質またはこれらの混合物を利用することができるが、これに制限されるものではない。
【0039】
薄膜封止層50の第1有機膜層52および第2有機膜層54の形成方法としては、例えば、スピンコーティング法、吹き付け塗装、スクリーン印刷法、インクジェット法、ディスフェンシング法などを利用することができるがこれに限定されるものではない。これ以外にもスパッタリング(Sputtering)、化学気相蒸着法(CVD)、プラズマ化学気相蒸着法(PECVD)、熱蒸着法(Thermal Evaporation)、熱的イオンビーム補助蒸着法(thermal Ion Beam Assisted Deposition:IBAD)、原子層蒸着法(ALD)など現在開発されて商用化されている方法または今後技術発展により実現可能なすべての方法は本発明の有機膜層形成方法として利用できるといえる。
【0040】
このように、本発明の表示装置1は、前述した薄膜封止層50を形成することによって、有機発光素子30に水分と酸素が侵入することを効果的に防止することができる。これにより、有機発光素子30の劣化を防止して表示装置1の表示不良を最小化できる効果、耐久性および信頼度を向上させる効果を奏する。また、無機膜層および有機膜層を利用して薄膜封止層50を形成することによってガラス基板で封止部を形成する場合に比べ、表示装置の全体厚さを薄く形成できる効果および表示装置の重さを減少させる効果も追加的に実現することができる。
【0041】
薄膜封止層50上には、外部光の反射を防止する反射防止層70が形成され得、反射防止層70は誘電体層と金属層を含み得る。
【0042】
反射防止層70は、多層構造で形成され得、例えば、
図1に図示するように、薄膜封止層50上に第1金属層71、第1誘電体層72、第2金属層73、第2誘電体層74が交互に積層した構造で形成され得るが、これに限定されるものではない。すなわち、薄膜封止層50上に誘電体層が先に積層した構造で形成することもでき、金属層または誘電体層を連続的に2以上積層した構造で形成することもできる。また、
図1は、反射防止層70が4層構造で形成されるものを図示しているが、これは一例であり、この他にも5層構造、6層構造など多様な積層構造で形成され得る。
【0043】
反射防止層70の第1金属層71、第2金属層73それぞれの材料としては、例えば、Al、Ag、Mg、Cr、Ti、Ni、Au、Ta、Cu、Ca、Co、Fe、Mo、W、Pt、Ybからなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上の合金を利用できるが、これに制限されるものではない。
【0044】
反射防止層70の第1金属層71、第2金属層73の形成方法としては、例えば、スパッタリング、化学気相蒸着法、物理気相蒸着法、E−ビーム、熱蒸着法、熱的イオンビーム補助蒸着法などを利用できるが、これに限定されるものではない。
【0045】
金属の場合、光を吸収する物質であるため、光が金属層を透過するとき一部の光が吸収され得る。すなわち、反射防止層50が金属層を含む場合、一部反射した光を利用した相殺的干渉により、外光の反射を減らすことができる。また、金属層を透過する際に生じる光の吸収現象を利用して、相殺的干渉により完全に相殺されない光を吸収することもできる。
【0046】
反射防止層70は、前述したように誘電体層をさらに含み得、誘電体層は前述した金属層と交互に積層できる。
【0047】
反射防止層70の第1誘電体層72、第2誘電体層74のそれぞれの材料としては、例えば、SiO
2,TiO
2,ZrO
2,Ta
2O
5,HfO
2,Al
2O
3,ZnO,Y
2O
3,BeO,MgO,PbO
2,WO
3,VOX,SiNX,eNX,AlN,ZnS,CdS,SiC,SiCN,MgF,CaF
2,NaF,BaF
2,PbF
2,LiF,LaF
3,GaPからなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上を混合した化合物を利用できるが、これに限定されるものではない。また、第1誘電体層72および第2誘電体層74のうち少なくとも何れか一つが、薄膜封止層50内の有機物層または無機物層と同一な物質で形成され得る。
【0048】
反射防止層70の第1誘電体層72および第2誘電体層74の積層方法としては、例えば、スピンコーティング法、吹き付け塗装、スクリーン印刷法、インクジェット法、ディスフェンシング法などを利用できるがこれに限定されるものではない。この他にもスパッタリング、化学気相蒸着法、プラズマ化学気相蒸着法、熱蒸着法、熱的イオンビーム補助蒸着法、原子層蒸着法など、現在開発されて商用化されている方法または今後技術発展により実現可能なすべての方法は、本発明の誘電体層形成方法として利用できると言える。
【0049】
誘電体層は、反射防止層70内で光の位相差調節および位相補正の役割を果たす。すなわち、誘電体層は、反射する光を、光学的相殺的干渉現象を利用して相殺させることにより、外光反射を防止する役割を果たすことができる。光学的相殺的干渉現象とは、界面から反射した光の相互間に概ね180度程度の位相を成し、かつ反射振幅が同じである場合、互いに相殺される現象をいう。
【0050】
すなわち、本発明の反射防止層70は、外部から入射される光を光学的な相殺的干渉現象および金属層での光吸収現象を利用して相殺させることにより、外光反射を減少させることができる。これにより、円偏光器を利用しなくても、外光反射を減らすことができ、全体表示装置の厚さを減少させ、同時に厚さの減少にもかかわらず表示装置の視認性を向上させる効果を有するようになる。
【0051】
図2は、本発明の他の実施形態による表示装置を図示する断面図である。
図1および
図2を参照すると、本実施形態による表示装置2は
図1に図示する表示装置1とは異なり、薄膜封止層50と反射防止層70との間に形成された干渉防止層60をさらに含み得る。
【0052】
干渉防止層60は、薄膜封止層50と反射防止層70の屈折率差異による光の干渉を防止するための一種の緩衝層として、厚さまたは材質を調整することによって光の干渉を最小化することができる。干渉防止層60は、例えば透明材質で形成され得、公知の有機物質または無機物質で形成され得る。または、薄膜封止層50の有機物層または無機物層を形成する物質が、干渉防止層60の形成物質として利用され得る。また、反射防止層70の誘電体層を形成する物質が、干渉防止層60の形成物質として利用され得る。さらに、干渉防止層60の形成方法は制限されず、例えば薄膜封止層50内の無機物層または有機物層の形成方法を同一に利用することができる。干渉防止層60の厚さは光の干渉性の長さ(coherent length)以上に適切に調整することができ、例えば100nm〜10μmの範囲で形成され得るが、これに限定されるものではない。
【0053】
図3は、本発明による表示装置の薄膜トランジスタが配置された部分を図示する断面図である。
図3を参照すると、本発明の表示装置は、基板10上に形成された薄膜トランジスタT、有機発光素子30、薄膜封止層50および反射防止層70を含み、薄膜封止層50と反射防止層70との間には干渉防止層(図示せず)がさらに形成され得る。
【0054】
有機発光素子30は、第1電極32、第2電極36および、第1電極32と第2電極36との間に形成された有機発光層34を含み得る。また図面に図示していないが、第1電極32および第2電極36の間には有機発光層34の他、正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層、電子輸送層および電子注入層からなる群から選択された一つ以上の層がさらに含まれ得る。それ他の構成については
図1を参照して上述したため、その説明を省略する。
【0055】
有機発光層34が形成された部分の外側には、画素を画する画素定義膜80が形成され得る。画素定義膜80の形成物質の制限はなく、例えば有機物で形成され得るが、これに限定されるものではない。
【0056】
基板10上には薄膜トランジスタTが形成され得る。薄膜トランジスタTは、有機発光素子30に電流を供給して有機発光素子30を駆動する部分である。薄膜トランジスタTは、ゲート電極92、ソース電極94およびドレイン電極96を含み、有機発光素子30の第1電極32が薄膜トランジスタTのドレイン電極96に連結される。
【0057】
薄膜トランジスタTの種類は制限されず、例えば、非晶質シリコン薄膜トランジスタ(a−Si TFT)、多結晶シリコン薄膜トランジスタ(poly−Si TFT)、酸化物薄膜トランジスタ(oxide TFT)などを薄膜トランジスタTとして利用することができるがこれに限定されるものではない。
【0058】
薄膜封止層50は基板10上に形成され、有機発光素子30を覆うことができる。これにより、膜封止層50は有機発光素子30に水分または酸素が侵入することを効果的に防止することができる。
【0059】
薄膜封止層50上には反射防止層70が形成され得る。反射防止層70は、円偏光器を利用しなくても外部光の反射を防止することによって表示装置の視認性を向上させる役割を果たし、これにより全体表示装置の厚さを薄型化することができる。
【0060】
図4は、本発明の一実施形態による表示装置製造方法を示すフローチャートである。
図5〜
図7は、本発明の一実施形態による表示装置製造方法の工程を層別に示す断面図である。
【0061】
図4を参照すると、本発明による表示装置製造方法は、基板上に有機発光素子を形成し(S10)、基板上に有機発光素子を覆う薄膜封止層(S20)を形成し、薄膜封止層(S30)上に反射防止層を形成することを含む。また、図面には図示していないが、薄膜封止層を形成する工程(S20)と反射防止層を形成する工程(S30)との間に、薄膜封止層上に干渉防止層を形成することをさらに含み得る。これらの各工程について、以下詳細に説明する。
【0062】
まず、基板上の有機発光素子の形成(S10)は、具体的には次のように実行される。
図5を参照すると、まず基板10上に第1電極(図示せず)を形成する。第1電極は真空蒸着法やスパッタリング法などの方法を利用して基板10上に形成され得、カソードまたはアノードであり得る。当該第1電極は、透明電極、半透明電極または反射電極であり、第1電極は酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、Al、Ag、Mgなどを利用して形成できるが、これに限定されるものではない。
【0063】
その後、第1電極上に有機発光層(図示せず)を形成する。当該有機発光層は公知の発光物質を含み、その形成方法に制限がないことは、
図1を参照して上述した通りである。
【0064】
有機発光層を形成した後、有機発光層上に第2電極を形成する。当該第2電極は、真空蒸着法やスパッタリング法などの方法を利用して有機発光層上に形成され、カソードまたはアノードであり得る。第2電極は低い仕事関数を有する金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を含み得る。
【0065】
前述した方法により、第1電極、有機発光層および第2電極を含む有機発光素子30を基板上に形成することができる。
【0066】
その後、基板10上に有機発光素子30を覆う薄膜封止層50を形成する(S20)。具体的には、
図6を参照すると、基板10および有機発光素子30上に有機発光素子30を覆う薄膜封止層50を形成し、薄膜封止層50は、第1無機物層51、第1有機物層52、第2無機物層53、第2有機物層54、第3無機物層55が順次に積層した構造に形成される。各無機物層(51,53,55)および各有機物層(52,54)の材料および形成方法は、上述した通りである。
【0067】
一例として、第1有機物層52を形成するとき、ポリイミド形成用モノマーを熱蒸着法、プラズマ化学気相蒸着、原子層蒸着法などの乾式工程を利用して第1無機物層51上に蒸着させる。また、熱処理過程を経ることにより、ポリイミド系樹脂の第1有機物層52を形成することができ、同じ方法で第2有機物層54を形成することもできる。熱蒸着法などの乾式工程により、第1有機物層52を形成する場合、第1無機物層51を蒸着した後、イン−ライン(in−line)上で第1有機物層52を交代に蒸着することが可能である。また、第1有機物層52の厚さの調整が容易であり、湿式工程に比べ、工程自体が単純になる利点を有し、量産性が高まる効果がある。ポリイミド形成用モノマーとしては、PTCDA(perylenetetracarboxylic dianhydride)、BPDA(biphenyltetracarboxylic dianhydride)およびPMDA(pyromellitic dianhydride)からなる群から選択された一つ以上の酸成分とDADD(diaminododecane)、ODA(oxydianiline)およびPDA(phenylene diamine)からなる群から選択された一つ以上のアミン成分を含み得る。ただし、これは一例であり、公知されたポリイミド系樹脂を形成できるモノマーであれば、制限されず使用することができる。
【0068】
酸成分とアミン成分は熱蒸着法、プラズマ化学気相蒸着、原子層蒸着法などの方法により第1無機物層51上に蒸着した後、熱処理によりポリイミド系樹脂に重合され得る。
【0069】
一方、図面に図示していないが、前述した内容は一例に過ぎず、薄膜封止層50の構造は多様に変形されることについては、
図1で説明した通りである。
【0070】
その後、薄膜封止層50上に反射防止層70を形成する(S30)。具体的には、
図7を参照すると、薄膜封止層50上に形成された反射防止層70は、第1金属層71、第1誘電体層72、第2金属層73、第2誘電体層74が順次に積層した構造に形成される。
【0071】
第1金属層71および第2金属層73、並びに第1誘電体層72および第2誘電体層74の形成方法および材料については、上述した通りである。
【0072】
一方、図面に図示していないが、薄膜封止層50を形成した後、反射防止層70を形成する前に薄膜封止層50上に干渉防止層をさらに形成することができる。干渉防止層は透明材質で形成され得、その形成方法に制限はない。また干渉防止層の厚さは光の干渉性の長さ(coherent length)以上に適切に調整することができる。
【0073】
以下では本発明による表示装置の具体的な実施例を例示するが、本発明が下記の実施例に限定されるものではない。
【0074】
(比較例)
ガラス材質の基板(
図1の10)上に有機発光素子(
図1の30)を形成した。また、薄膜封止層(
図1の50)の代わりに封止ガラス基盤を利用して有機発光素子30を封止した。封止有機基板上には円偏光板を付着した。封止ガラス基盤の厚さは500μmであり、円偏光板の厚さは約150μmである。
【0075】
(実施例1)
ガラス材質の基板(
図1の10)上に有機発光素子(
図1の30)を形成した。また、無機膜層(Al
2O
3)/有機膜層(アクリル)/無機膜層(Al
2O
3)/有機膜層(アクリル)/無機膜層(Al
2O
3)からなる5層構造の薄膜封止層(
図1の50)を形成し、薄膜封止層(
図1の50)の総厚さは6μmで形成した。反射防止層(
図1の70)は、金属層(Cr、7μm)/誘電体層(SiO
2,50μm)/金属層(Cr、7μm)/誘電体層(SiO
2,70μm)を含む積層構造に形成した。
【0076】
図8は、比較例と実施例1の視感反射率を図示するグラフである。
図9は、比較例と実施例1の光透過率を図示するグラフである。
【0077】
図8を参照すると、実施例1(B)の視感反射率(luminous reflectance)と比較例(A)の視感反射率は、全体光波長領域でほぼ同一であることがわかる。具体的には、視感反射率は、比較例(A)は4.6%、実施例1(B)は4.7%の水準であって、互いにほぼ等しい水準を示した。また、
図9を参照すると、光透過率の場合にも実施例1(B)と比較例(A)がほぼ等しい水準を有することがわかる。
【0078】
(実施例2)
ガラス材質の基板(
図1の10)上に有機発光素子(
図1の30)を形成した。また、無機膜層(Al
2O
3)/有機膜層(アクリル)/無機膜層(Al
2O
3)/有機膜層(アクリル)/無機膜層(Al
2O
3)からなる5層構造の薄膜封止層(
図1の50)を形成した。反射防止層(
図1の70)は、金属層(Ti、4μm)/誘電体層(SiO
2,70μm)/金属層(Ti、3μm)/誘電体層(SiO
2,70μm)を含む積層構造に形成した。
【0079】
図10は、比較例と実施例2の視感反射率を図示するグラフである。
図11は、比較例と実施例2の光透過率を図示するグラフである。
【0080】
図10を参照すると、実施例2(C)の視感反射率と比較例(A)の視感反射率は全体光波長領域でほぼ等しいことが分かる。具体的には、視感反射率は、比較例(A)は4.6%、実施例2(C)は4.7%の水準であり、互いにほぼ等しい水準を示した。また、
図9を参照すると、光透過率の場合にも実施例2(C)と比較例(A)はほぼ等しい水準を有し、実施例2(C)の方がより安定的な光透過率を提供できることがわかる。
【0081】
(実施例3)
ガラス材質の基板(
図1の10)上に有機発光素子(
図1の30)を形成した。また、無機膜層(SiNx)/無機膜層(SiCN)/無機膜層(Al
2O
3)/有機膜層(アクリル)/無機膜層(Al
2O
3)からなる5層構造の薄膜封止層(
図1の50)を形成した。また、干渉防止層(図
2の60)を追加し、干渉防止層(図
2の60)として1μm厚さのアクリル層を使用した。反射防止層(
図1の70)は、金属層(Ag、7μm)/誘電体層(SiO2,30μm)/金属層(Cr、5μm)/誘電体層(SiO2,50μm)を含む積層構造に形成した。
【0082】
図12は、比較例と実施例3の視感反射率を図示するグラフである。
図13は、比較例と実施例3の光透過率を図示するグラフである。
【0083】
図12を参照すると、実施例3(D)の視感反射率が比較例(A)の外光反射率に比べ優れていることが分かる。具体的には視感反射率は、比較例(A)は4.6%、実施例3(D)は1.1%の水準であり、実施例3(D)の方がより優れたものである。また、
図13を参照すると、光透過率の場合実施例3(D)と比較例(A)はほぼ等しい水準を有することがわかる。
【0084】
(実施例4)
ガラス材質の基板(
図1の10)上に有機発光素子(
図1の30)を形成した。また、無機膜層(Al
2O
3)/有機膜層(アクリル)/無機膜層(Al
2O
3)/有機膜層(アクリル)/無機膜層(Al
2O
3)からなる薄膜封止層(
図1の50)を形成した。反射防止層(
図1の70)は、金属層(Cr、7μm)/誘電体層(SiO2,30μm)/金属層(Cr、6μm)/誘電体層(SiO
2,40μm)/金属層(Cr、4μm)/誘電体層(SiO
2,70μm)を含む積層構造に形成した。
【0085】
図14は、比較例と実施例4の視感反射率を図示するグラフである。
図15は、比較例と実施例4の光透過率を図示するグラフである。
【0086】
図14を参照すると、実施例4(E)の視感反射率と比較例(A)の視感反射率は全体光波長領域でほぼ同一であることが分かる。具体的には、視感反射率は、比較例(A)は4.6%、実施例4(E)は4.1%の水準であり、互いにほぼ等しい水準を示した。また、
図15を参照すると、光透過率の場合も実施例4(E)と比較例(A)はほぼ等しい水準を有することが分かる。
【0087】
(実施例5)
ガラス材質の基板(
図1の10)上に有機発光素子(
図1の30)を形成した。また、無機膜層(Al
2O
3)/有機膜層(アクリル)/無機膜層(Al
2O
3)/有機膜層(アクリル)/無機膜層(Al
2O
3)からなる薄膜封止層(
図1の50)を形成した。反射防止層(
図1の70)は、誘電体層(SiO
22,50μm)/誘電体層(TiO
2,30μm)/金属層(Ag、10μm)/誘電体層(SiO
2,30μm)/金属層(Cr、9μm)/誘電体層(SiO
2,50μm)を含む積層構造に形成した。
【0088】
図16は、比較例と実施例5の視感反射率を図示するグラフである。
図17は、比較例と実施例5の光透過率を図示するグラフである。
【0089】
図16を参照すると、実施例5(F)の視感反射率と比較例(A)の視感反射率は全体光波長領域でほぼ同一であることが分かる。具体的には視感反射率は、比較例(A)は4.6%、実施例5(F)は4.7%の水準であり、互いにほぼ等しい水準を示した。また、
図17を参照すると、光透過率の場合にも実施例5(E)と比較例(A)はほぼ等しい水準を有し、実施例5(F)の方がより安定的な光透過率を提供できることが分かる。
【0090】
以上より、前述した本発明の表示装置は、別途の円偏光器を備えることなく外光反射を防止することができ、これにより表示装置を薄型化、軽量化できる利点を有することが分かった。
【0091】
以上添付された図面を参照して本発明の実施形態および実施例を説明したが、本発明は上記の実施形態または実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で製造され得、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明が、その技術的思想や必須の特徴を変更しない範囲で他の具体的な形態で実施され得ることを理解することができる。したがって、上述した実施形態および実施例はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。