(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6274772
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】センサ測定値を検出して処理しかつ/又は操作器を制御する装置
(51)【国際特許分類】
G01L 19/14 20060101AFI20180129BHJP
G01P 15/08 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
G01L19/14
G01P15/08 102B
【請求項の数】11
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-157135(P2013-157135)
(22)【出願日】2013年7月11日
(65)【公開番号】特開2014-21129(P2014-21129A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2016年7月8日
(31)【優先権主張番号】10 2012 014 407.5
(32)【優先日】2012年7月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】596055475
【氏名又は名称】ヴアブコ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】WABCO GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100062317
【弁理士】
【氏名又は名称】中平 治
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ボリク
(72)【発明者】
【氏名】コンラート・フアイエラベント
(72)【発明者】
【氏名】イーベス・ハンセン
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム・ハイデル
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム・ハイン
(72)【発明者】
【氏名】ロートマール・リユーテル
【審査官】
岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/007987(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0140572(US,A1)
【文献】
特開2008−60140(JP,A)
【文献】
特開平10−111152(JP,A)
【文献】
特開平7−120337(JP,A)
【文献】
特開昭62−21031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D11/24−11/26
G01L 7/00−23/32
G01L27/00−27/02
G01P15/00−15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ測定値を検出して処理しかつ/又は操作器(8)を制御する装置(2)であって、基礎ハウジング(4)、基礎ハウジング(4)に取付けられるセンサ(6)及び/又は操作器(8)、センサ(6)及び/又は操作器(8)を覆って基礎ハウジング(4)に結合可能な蓋(10)、及び制御電子装置(21)を持つ印刷配線板(12)を有するものにおいて、印刷配線板(12)がプレスばめ結合手段(26)を介して蓋(10)の内側に固定的に結合され、印刷配線板(12)が、その蓋から遠い方の側に電気的に有効な第1の接触面(30)を持ち、センサ(6)及び/又は操作器(8)が、その蓋(10)に近い方の側に電気的に有効な第2の接触面(34)を持ち、センサ(6)及び/又は操作器(8)の第2の接触面(34)が、導電性接触ばね(28)を介して第1の接触面(30)に接続されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
少なくとも5〜6個のプレスばめ結合手段(26)が、印刷配線板(12)の接触面(30)に対して正確に又は印刷配線板(12)のこれら第1の接触面(30)の近くで印刷配線板(12)に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
蓋(10)がその内側に内方へ突出する支持突起(40,42)を持ち、これらの突起に、取付けられた状態で印刷配線板(12)が支持されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
センサ(6)が圧力センサ、温度センサ、加速度センサ又は湿気センサとして形成されていることを特徴とする、請求項1〜3の1つに記載の装置。
【請求項5】
操作器(8)が、流体流を制御できるように形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
センサ測定セル(32)及びこれに付属する電子装置(33)が共通なセンサハウジング(36)内に設けられ、接触ばね(28)の円筒状のセンサ側端部が円筒状の貫通口(38)に収容され、貫通孔(38)がセンサ測定セル(32)の接触面(34)に付属していることを特徴とする、請求項1〜5の1つに記載の装置。
【請求項7】
接触ばね(28)の円筒状のセンサ側端部の外径が、円筒状貫通孔(38)の直径に合わされて、接触ばね(28)が付属する貫通孔(38)に失われないように保持されることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
センサ(6)及び/又は操作器(8)が保持クランプ(14,16)により基礎ハウジング(4)に取付けられていることを特徴とする、請求項1〜7の1つに記載の装置。
【請求項9】
少なくとも1つのセンサ(6)が圧力センサとして形成され、かつ流体技術的に圧力ホース(18,20)又は金属の圧力導管により、基礎ハウジング(4)の圧力流体を導く通路(22,24)に接続されていることを特徴とする、請求項1〜8の1つに記載の装置。
【請求項10】
圧力測定セル(32)が、伸び測定テープを張り付けられるセラミック体として形成されていることを特徴とする、請求項6〜9の1つに記載の装置。
【請求項11】
接触ばね(28)のための圧力センサ(6)の接触面(34)が、圧力測定セル(32)上に直接設けられていることを特徴とする、請求項6〜10の1つに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ測定値を検出して処理しかつ/又は操作器を制御する装置であって、基礎ハウジング、基礎ハウジングに取付けられるセンサ及び/又は操作器、センサ及び/又は操作器を覆って基礎ハウジングに結合可能な蓋、及び制御電子装置を持つ印刷配線板を有するものに関する。
【0002】
このような装置の使用範囲は車両制御システムであり、制動機操作ペダルと制動装置の主制動シリンダとの間に、機械的継手は存在しない。このような制動システムを制御するための主特性量は、液圧装置従って制動回路に現れて圧力センサにより検出されかつ電気測定値に変換される作動圧力を形成する。制御電子装置はこれらの測定値を他のセンサ信号と共に評価し、制動装置の操作器のため適当な制御信号を発生する。
【背景技術】
【0003】
従来の圧力測定システムでは、1つの実施形態におけるセンサは制御電子装置の一部を形成し、その印刷配線板に機械的及び電気的に接続されている。このような装置の本質的な欠点は、電子装置だけ又はセンサだけが故障する時にも、電子装置及びセンサを一緒に交換せねばならず、それに応じて高い費用を生じる。
【0004】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第19917941号明細書から、請求項1の上位概念にあげた種類の圧力測定システムを持つ車両制動システム用制動装置が既に公知であり、1つ又は複数の圧力センサが流体圧力を導く基礎ハウジング又は液圧ブロックに固定的に接続されており、測定値を評価して制御信号を発生する制御電子装置は、明らかに個々の圧力センサにそれぞれ分割されて、圧力センサにかぶせられる丸屋根上ハウジング内に設けられている。圧力センサにそれぞれ付属する制御電子装置の部分は、ハウジングの適当に形成される受入れ部に収容されて、詳細には示されてないやり方で制御電子装置に接触して打抜き格子支持体に設けられる別個の接触面に接続され、ハウジングを載せる際接触ばねがこれらの接触面に当たる。
【0005】
この公知の装置は、既に圧力センサ及び制御電子装置の別々の交換を可能にするが、特に多数の圧力センサが設けられている時には、製造技術的及び組立て技術的に費用がかかって高価である。なぜならば、圧力センサに付属する制御電子装置の部分を、これらに付属するハウジングへ個々に取付け、それから1つの集合制御電子装置となるように互いに接続せねばならないからである。接触ばねの押圧力で制御電子装置を負荷することがないようにするため、打抜き格子に設けられて機械的に押圧力を吸収するように設計されている別個の接触面が付加的に設けられ、それがこの装置を更に複雑にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の基礎になっている課題は、請求項1の上位概念にあげた種類の装置を、製造技術的及び組立て技術的に著しく簡単に従って著しく安価にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決策は請求項1の特徴からわかり、本発明の有利な構成及び展開は従属請求項からわかる。
【0008】
使用される圧力センサ又は操作器の数に関係なく、従って特に複数の圧力センサ及び操作器を持つ装置において、装置の制御電子装置及び蓋が1つの構造部分にまとめられる時、製造及び組立てが著しく簡単化される、という認識が本発明の基礎になっている。
【0009】
従って本発明は、センサ測定値を検出して処理しかつ/又は操作器を制御する装置であって、基礎ハウジング、基礎ハウジングに取付けられるセンサ及び/又は操作器、センサ及び/又は操作器を覆って基礎ハウジングに結合可能な蓋、及び制御電子装置を持つ印刷配線板を有するものから出発している。
【0010】
与えられた課題を解決するため、印刷配線板がプレスばめ結合手段を介して蓋の内側に固定的に結合され、印刷配線板が、その蓋から遠い方の側に電気的に有効な第1の接触面を持ち、センサ及び/又は操作器が、その蓋に近い方の側に電気的に有効な第2の接触面を持ち、センサ及び/又は操作器の第2の接触面が、導電性接触ばねを介して第1の接触面に接続されている。
【0011】
本発明による装置の重要な利点は、直接接触可能な接触面を持つ印刷配線板の形成、及び公知のプレスばめ結合手段により蓋への印刷配線板の取付けから生じる。このプレスばめ結合手段は、印刷配線板と蓋との簡単な結合を可能にする。印刷配線板は直接接触可能に形成されるので、ろう付け個所により印刷配線板に接続すべきセンサ及び/又は操作器への別個の導線がなくなる。
【0012】
本発明による装置の好ましい展開によれば、少なくとも5〜6個のプレスばめ結合手段が、印刷配線板の接触面に対して正確に又は印刷配線板のこれら第1の接触面の近くで印刷配線板に設けられている。それにより接触ばねから印刷配線板へ及ぼされる押圧力は、印刷配線板を通ってプレスばめ結合手段へ導かれ、そこから蓋へ導かれるので、印刷配線板は接触ばねの押圧力により曲げを受けることはない。
【0013】
更に同じ目的を果たすため、蓋がその内側に内方従ってセンサ及び/又は操作器の方へ突出する支持突起を持ち、これらの突起に、取付けられた状態で印刷配線板が支持されている。従って提案された構造は、プレスばめ結合手段、支持突起及び接触ばねを介して、印刷配線板を両側で複数個所において支持するので、印刷配線板は不利な振動に励起されることは殆どない。
【0014】
センサが例えば圧力センサ、温度センサ、加速度センサ又は湿気センサとして形成され、操作器が、なるべく流体流を制御できるように形成されている。
【0015】
特に装置が複数のセンサ及び/又は操作器を持っていると、別の利点が生じる。この場合本発明によれば、すべてのセンサ及び/又は操作器用の制御電子装置が、上述したように蓋の内側に取付けられているただ1つの印刷配線板上に設けられている。こうして蓋を基礎ハウジング上へ載せることによって、すべてのセンサ及び/又は操作器の接触を同時に行うことができる。しかし必要な場合蓋を取外した後に、個々のセンサ及び/又は操作器を交換することが可能なままである。
【0016】
装置の別の展開によれば、それぞれのセンサがセンサ測定セル及びこれに付属する電子装置を持ち、それぞれのセンサのセンサ測定セルが共通なセンサハウジング内に設けられている。この場合接触ばねの円筒状のセンサ側端部が円筒状の貫通口に収容され、貫通孔がセンサ測定セルの接触面に付属しているのがよい。
【0017】
貫通孔内にそれぞれの接触ばねを固定的に保持し、それにより脱落に対して保護するために、接触ばねの円筒状のセンサ側端部の外径が、円筒状貫通孔の直径に合わされて、接触ばねが付属する貫通孔に保持される。そのため接触ばねが、そのセンサ側端部で、貫通孔の直径に対して、この目的のため十分な寸法を持つ過大直径を持ち、この過大直径は接触ばねを附属の貫通孔へ比較的容易に挿入するのをまだ可能にする。
【0018】
本発明の別の構成によれば、センサ及び/又は操作器が保持クランプにより機械的に基礎ハウジングに取付けられている。その場合センサが圧力センサとして、また操作器が流体流を制御する操作器として形成されていると、これらは流体技術的に圧力ホース又は金属の圧力導管により、基礎ハウジングの圧力流体を導く通路に接続されている。
【0019】
更に圧力測定セルが、伸び測定テープを張り付けられるセラミック体として形成され、接触ばねのための圧力センサの接触面が、圧力測定セル上に直接設けられているようにすることができる。
【0020】
別の変形例によれば、圧力センサが圧力缶として形成され、圧力変化の際その形状変化が適当なやり方で付属する電子装置へ伝送される。
【0021】
本発明が次に実施例により更に説明される。そのため明細書に図面が添付されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】 圧力センサの測定値を検出して処理しかつ操作器を制御する装置を一部切欠いた側面図で示す。
【
図2】
図1による圧力センサの細部を一部切欠いた側面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に示す装置2は、流体圧力を導いて液圧ブロック又は空気圧ブロックとも称することができる基礎ハウジング4を持ち、更に基礎ハウジング4に固定的に結合されて流体圧力を記録する圧力センサ6、流体流を制御する操作器8、及び基礎ハウジング4へかぶせられる蓋10を持ち、この蓋内に印刷配線板12が設けられて、電子部品から成る制御電子装置21を保持している。
【0024】
圧力センサ6及び操作器8は、保持クランプ16により、詳細には示してないやり方で基礎ハウジング4に取付けられている。圧力センサ6は、圧力ホース18により圧力流体を導く基礎ハウジング4の通路22に流体技術的に接続されている。操作器8は、導管20を経て、基礎ハウジング4にある第2の通路24に接続されている。
【0025】
印刷配線板12は蓋10に設けられ、その内側にプレスばめ結合手段26により機械的ン固定されている。蓋10は更にその内側に支持突起40,42を持ち、これらの突起上に印刷配線板12が載っている。
【0026】
圧力センサ6又は操作器8と制御電子装置21を保持する印刷配線板12との電気的接触は、印刷配線板12と圧力センサ6又は操作器8との間に設けられている付属の接触ばね28を経て行われる。その際接触ばね28は、印刷配線板側で、蓋から遠い方の側で印刷配線板12に形成されている第1の電気接触面30に直接支持されている。
図1に示すように、印刷配線板12の蓋に近い側にあるプレスばめ結合手段26は、第1の電気接触面30又は接触ばね28に正確に対向して設けられているので、接触ばね28から印刷配線板12へ及ぼされる力を吸収して蓋10へ転送することができる。プレスばめ結合手段26が接触ばね28に正確に対向して設けられておらず、そのすぐ近くに設けられている場合にも、同じ効果が得られる。接触ばね28は、以下更に説明するように、センサ6又は操作器8に同様に付属している第2の電気接触面34上にある。
【0027】
圧力センサ6及び操作器8は、一部従来の構造を持っている。従って圧力センサ6は、圧力測定セル32、及びこの圧力測定セル32に付属して記録された流体圧力を電気測定信号に変換する電子装置33を持っている。圧力測定セル32は例えばセラミック体であり、これに圧力測定テープが設けられ、異なる圧力において異なるその伸びが、流体圧力のための尺度を形成する。別の構成によれば、圧力センサが圧力缶として形成され、圧力変化の際その形状変化が、同様に測定される圧力のための尺度を表す。
【0028】
図2は、中に設けられるセラミック材料製の圧力測定セル32と記録される流体圧力を電気測定信号に変換する付属のセンサ側電子装置33とを持つ圧力センサ6の詳細を示す。第2の電気接触面34は、圧力測定セル32上に直接設けられている。第2の電気接触面34の範囲において、センサハウジング36の天井壁に円筒状貫通孔38が形成されて、受入れ範囲では十分円筒状の接触ばね28を受入れている。接触ばね28のセンサ側端部の巻回の広さは、貫通孔38の形状及び寸法に合わされて、接触ばね28が貫通孔38内で確実に固定されるようにしている。このため接触ばね28のセンサ側端部は、例えば貫通孔38の直径に対して非常に僅かな過大寸法を持っている。接触ばね28のセンサ側端部の固定は、装置2全体の組立て過程中に紛失防止装置としてのみ役立つ。
【0029】
前述したことからわかるように、蓋10と基礎ハウジング4へかぶせる際印刷配線板12とすべてのセンサ6及び操作器8との電気的接触が自動的に行われる。故障したセンサ6又は操作器8の交換は、基礎ハウジング4から蓋10を取外した後、直ちに僅かな費用で可能である。
【符号の説明】
【0030】
2 装置
4 基礎ハウジング
6 圧力センサ
8 操作器
10 蓋
12 印刷配線板
14,16 保持クランプ
18,20 圧力ホース
21 制御電子装置
22,24 通路
23 電子装置
26 プレスばめ結合手段
28 接触ばね
30,34 接触面
32 圧力測定セル
38 貫通孔