(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記第2ヒンジ部材が、固定部材と、この固定部材に着脱可能に取り付けられる連結部材とを有し、上記連結部材が上記第1ヒンジ部材に回転可能に連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のヒンジ装置。
上記固定部材と上記連結部材との間には、上記連結部材を上記固定部材に係止して上記連結部材が上記固定部材から脱落することを阻止する仮止め機構が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のヒンジ装置。
上記仮止め機構が、上記固定部材と上記連結部材とのいずれか一方に設けられた係合凹部と、上記固定部材と上記連結部材とのいずれか他方に設けられ、上記係合凹部に係脱可能に係合する係合突出部とを有していることを特徴とする。請求項4に記載のヒンジ装置。
上記第2ヒンジ部材が上記第1ヒンジ部材に水平方向へ回転可能に設けられており、上記係合凹部の上面には、下方に突出する第1係合爪部が形成され、上記係合突出部の上面には上記第1係合爪部に係合して上記係合突出部を上記係合凹部に係合状態に維持する第2係合爪部が形成されていることを特徴とする請求項5に記載のヒンジ装置。
上記連結部材には、上記第2ヒンジ部材が閉位置に位置しているときに、上記収容凹部に入り込む連結突出部が形成され、上記係合凹部が上記固定部材と対向する面から上記連結突出部内に延びていることを特徴とする請求項5又は6に記載のヒンジ装置。
上記第1及び第2ヒンジ部材が、上記枠体と上記扉とのいずれか一方と他方とにそれぞれビスによって固定されており、上記第1ヒンジ部材を上記一方に固定するビスが、その長手方向を上記一方の上記他方との対向面と直交する方向に向けた状態で上記一方に螺合され、上記第2ヒンジ部材を上記他方に固定するビスが、その長手方向を上記他方の上記一方との対向面と直交する方向に向けた状態で上記他方に螺合されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のヒンジ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のもののように、扉にだけ取付凹部を形成した場合には、第1ヒンジ部材が枠体の外面から突出するため、枠体と扉との間には、第1ヒンジ部材の寸法に対応した大きさの隙間が形成される。この隙間は、第1及び第2ヒンジ部材を枠体及び扉に単純に取り付けた場合の隙間よりは小さいものの、未だ満足することができる程度に小さいものであるとは言い難い。一方、特許文献2に記載のもののように、枠体と扉との両者に取付凹部を形成する場合には、枠体と扉との間の隙間を小さくすることができる反面、二つの取付凹部の形成に多くの手間を要するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の問題を解決するために、この発明は、枠体とこの枠体の開口部を開閉する扉とを回転可能に連結するために用いられ、上記扉が閉位置に位置しているときに互いに対向する上記枠体と上記扉との対向面の
うちの一方に取り付けられる第1ヒンジ部材と、他方に取り付けられる第2ヒンジ部材を備え、上記第2ヒンジ部材が上記第1ヒンジ部材に回転可能に連結され、
上記第2ヒンジ部材は、上記第1ヒンジ部材に回転可能に連結される部分の両端から回転軸線方向にそれぞれ突出する2つの突出部分を有し、上記2つの突出部分は、上記扉が閉じ位置に位置しているときに上記一方の対向面を向く前面をそれぞれ有しているヒンジ装置において、上記第1ヒンジ部材
には、上記扉が閉位置に位置しているときに上記他方の対向面に向かって開口する収容凹部が形成され、
上記扉が閉位置に位置しているときに、上記第2ヒンジ部材における上記回転可能に連結される部分と、上記2つの突出部分の前面全体が、上記第1ヒンジ部材の上記収容凹部に入り込むことを特徴としている。
この場合、上記第1ヒンジ部材が、前面が開口した箱状をなすケースを有しており、このケースの内部が上記収容凹部とされていることが望ましい。
上記第2ヒンジ部材が、固定部材と、この固定部材に着脱可能に取り付けられる連結部材とを有し、上記連結部材が上記第1ヒンジ部材に回転可能に連結されていることが望ましい。
上記固定部材と上記連結部材との間には、上記連結部材を上記固定部材に係止して上記連結部材が上記固定部材から脱落することを阻止する仮止め機構が設けられていることが望ましい。
上記仮止め機構が、上記固定部材と上記連結部材とのいずれか一方に設けられた係合凹部と、上記固定部材と上記連結部材とのいずれか他方に設けられ、上記係合凹部に係脱可能に係合する係合突出部とを有していることが望ましい。
上記第2ヒンジ部材が上記第1ヒンジ部材に水平方向へ回転可能に設けられており、上記係合凹部の上面には、下方に突出する第1係合爪部が形成され、上記係合突出部の上面には上記第1係合爪部に係合して上記係合突出部を上記係合凹部に係合状態に維持する第2係合爪部が形成されていることが望ましい。
上記連結部材には、上記第2ヒンジ部材が閉位置に位置しているときに、上記収容凹部に入り込む連結突出部が形成され、上記係合凹部が上記固定部材と対向する面から上記連結突出部内に延びていることが望ましい。
上記第1及び第2ヒンジ部材が、上記枠体と上記扉とのいずれか一方と他方とにそれぞれビスによって固定されており、上記第1ヒンジ部材を上記一方に固定するビスが、その長手方向を上記一方の上記他方との対向面と直交する方向に向けた状態で上記一方に螺合され、上記第2ヒンジ部材を上記他方に固定するビスが、その長手方向を上記他方の上記一方との対向面と直交する方向に向けた状態で上記他方に螺合されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0008】
上記特徴構成を有するこの発明よれば、第1ヒンジ部材が枠体と扉
のうちの一方
の対向面に形成された取付凹部に取り付けられる。第2ヒンジ部材は、枠体と扉
のうちの他方の
対向面に直接取り付けられる。
扉が閉位置に回転すると、上記第2ヒンジ部材における上記回転可能に連結される部分と、上記2つの突出部分の前面全体が、第1ヒンジ部材の収容凹部に
入り込む。したがって、第2ヒンジ部材が収容凹部に収容された分だけ第2ヒンジ部材を第1ヒンジ部材に近づけることができる。よって、扉が閉位置に回転したときに枠体と扉との間に形成される隙間を小さくすることができる。しかも、取付凹部は、枠体と扉とのいずれか一方にだけ形成すればよい。したがって、取付凹部の形成に要する手間を半減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、この発明に係るヒンジ装置が用いられた収容装置の要部を、扉を閉位置に回転させた状態で示す平面図である。
【
図2】
図2は、同収容装置の要部を、扉を直角位置に回転させた状態で示す平面図である。
【
図3】
図2は、同収容装置の要部を、扉を開位置に回転させた状態で示す平面図である。
【
図4】
図4は、ヒンジ装置の第1固定部材及び第2固定部材以外の構成を省略して示す
図1のX−X線に沿う拡大断面図である。
【
図6】
図6は、扉が直角位置に回転した状態での
図5と同様の断面図である。
【
図7】
図7は、扉が開位置に回転した状態での
図5と同様の断面図である。
【
図8】
図8は、同第1収容装置に用いられているこの発明の一実施の形態たるヒンジ装置を、扉を直角位置に回転させた状態で示す正面図である。
【
図13】
図13は、同ヒンジ装置を、第2ヒンジユニットを直角位置に回転させた状態で示す一部省略斜視図である。
【
図14】
図14は、同ヒンジ装置の第1ヒンジユニット及びリンク機構部を示す分解斜視図である。
【
図16】
図16は、同ヒンジ装置の第2ヒンジユニットを示す分解斜視図である。
【
図17】
図17は、同第2ヒンジユニットとリンク構成部とを示す分解斜視図である。
【
図18】
図18は、同ヒンジ装置を用いて扉を枠体に取り付けるための工程のうちの第1工程を説明するための要部の断面図である。
【
図19】
図19は、同工程の第2工程を説明するための要部の断面図である。
【
図20】
図20は、同工程の第3工程を説明するための要部の断面図である。
【
図21】
図21は、この発明に係るヒンジ装置が用いられた収容装置の第2の例の要部を、扉を閉位置に回転させた状態で示す一部切欠き平面図である。
【
図23】
図23は、同収容装置の要部を、扉を直角位置に回転させた状態で示す
図22と同様の図である。
【
図24】
図24は、同収容装置の要部を、扉を開位置に回転させた状態で示す
図22と同様の図である。
【
図25】
図25は、この発明に係るヒンジ装置が用いられた収容装置の第3例の要部を、扉を閉位置に回転させた状態で示す一部切欠き平面図である。
【
図27】
図27は、同収容装置の要部を、扉を直角位置に回転させた状態で示す
図26と同様の図である。
【
図28】
図28は、同収容装置の要部を、扉を開位置に回転させた状態で示す
図26と同様の図である。
【
図29】
図29は、この発明に係るヒンジ装置が用いられた収容装置の第4例の要部を、扉を閉位置に回転させた状態で示す一部切欠き平面図である。
【
図31】
図31は、同収容装置の要部を、扉を直角位置に回転させた状態で示す
図30と同様の図である。
【
図32】
図32は、同収容装置の要部を、扉を開位置に回転させた状態で示す
図30と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
図1〜
図3は、この発明の一実施の形態たるヒンジ装置1が用いられた収容装置A1を示す。収容装置A1は、前面部が開口した直方体状の枠体Bと、枠体Bの開口部を開閉する扉Cとを有している。扉Cは、水平方向の一端部が枠体Bの水平方向の一側部の内面に、上下に離間して配置された二つのヒンジ装置1(上側のヒンジ装置1のみ図示)を介して水平方向へ回転可能に連結されている。扉Cは、
図1に示す閉位置から
図2に示す直角位置を経て
図3に示す開位置までの間を回転可能である。扉Cは、閉位置に位置すると、
図1に示すように、枠体Bの開口部に嵌まり込んで開口部を閉じる。扉Cが閉位置に位置しているときには、枠体Bの前面Baと扉Cの前面Caとがほぼ同一平面上に位置するとともに、扉Cの左端面(対向面)Cbと枠体Bの左内側面(対向面)Bbとが僅かな隙間を介して対向する。扉Cの左端面Cbには、二つの取付凹部Cc(一方の取付凹部Ccのみ図示)が形成されている。二つの取付凹部Ccは、上下方向へ所定距離だけ互いに離間して配置されている。扉Cの直角位置は、扉Cが閉位置から
図1及び
図2の時計方向へ90°回転した位置であり、扉Cが直角位置に回転すると、扉Cの幅方向(
図2において上下方向)が前後方向を向く。開位置は、扉Cが閉位置から
図1〜
図3の時計方向へほぼ120°回転した位置である。扉Cが開位置に回転すると、枠体Bの開口部の大部分(
図3において左側の部分を除く大部分)が開かれる。
【0011】
次に、上記収容装置A1に用いられているこの発明に係るヒンジ装置1について説明する。ここで、ヒンジ装置1の各構成については、説明の便宜上、収容装置1の前後左右及び上下を参照しながら説明することとする。勿論、ヒンジ装置1は、そのような方向に限定されるものではない。
【0012】
特に、
図8〜
図13に示すように、ヒンジ装置1は、第1ヒンジユニット(第1ヒンジ部材)2と、第2ヒンジユニット(第2ヒンジ部材)3と、第1及び第2ヒンジユニット2,3を水平方向へ回転可能に連結するリンク機構部4とを備えている。
【0013】
第1ヒンジユニット2は、特に
図14に示すように、ケース21を有している。ケース21は、略直方体の箱状をなしており、その内部が収容凹部21aとされている。収容凹部21aは、ケース21の前面21bに開口している。ケース21は、その長手方向を上下方向に向けるとともに、その前面
21bを扉Cの左端面(対向面)Cbと同一方向に向けて配置されている。そして、その状態でケース
21が扉Cの取付凹部Ccに挿入され、ビス等の固定手段(図示せず)
により固定されている。固定状態においては、ケース21の前面
21bが扉Cの左端面Cbとほぼ同一平面上に位置させられている。なお、ケース21を扉Cに固定するビスは、その長手方向を前面
21bと直交する方向に向けた状態で、つまり扉Cの左端面Cbと直交する方向に向けた状態で扉Cに螺合されている。
【0014】
ケース21の長手方向に沿う二つの側壁部のうちの一方の側壁(扉Cの
前面Ca側の側壁)には、逃げ凹部21cが形成されている。逃げ凹部21cは、前面21bから底部側に向かって形成されており、ケース21の長手方向の中央部に配置されている。なお、逃げ凹部21cは、必ずしも形成する必要がない。
【0015】
ケース21の内部の上部及び下部には、第1位置調節部材22,22がケース21の前後方向(扉Cの幅方向)へのみ移動可能に、他の方向へは移動不能に設けられている。第1位置調節部材22には、調節ねじ23の一端部が螺合されている。この調節ねじ23の他端部は、ケース21に前後方向へ移動不能に、かつ回転可能に設けられている。したがって、調節ねじ23を正逆方向へ回転させると、第1位置調節部材22がケース21の前後方向へ位置調節される。
【0016】
ケース21の内部の中央部には、第2位置調節部材24がその長手方向を上下方向に向けて設けられている。第2位置調節部材24の上下の両端部は、第1位置調節部材22,22とそれぞれ対向しており、当該両端部には、長手方向を上下方向に向けた長孔24aがそれぞれ形成されている。長孔24aには、ボルトT1が長孔24aの長手方向へ移動可能に挿通されている。ボルトT1は、第1位置調節部材24に螺合されている。そして、ボルトT1を締め付けることにより、第2位置調節部材24が第1位置調節部材24,24に固定されている。しかも、第2位置調節部材24は、第1位置調節部材24に対し長孔24aの上下方向の長さとボルトT1の外径との差の分だけ上下方向へ位置調節可能である。したがって、第2位置調節部材24は、ケース21に対し上下方向へ位置調節可能である。しかも、第1位置調節部材22がケース21に対して前後方向へ位置調節可能であるから、第2位置調節部材24は、ケース21に対し前後方向及び上下方向へ位置調節可能である。
【0017】
特に
図14及び
図15に示すように、第2位置調節部材24には、二つの第1支持板部24b,24bが形成されている。第1支持板部24b,24bは、ケース21の開口部側へ向かって起立しており、上下方向へ互いに離間して配置されている。第1支持板部24b,24bの各先端部には、当該先端部を略「コ」字状に折り曲げることによって第2支持板部24c,24cがそれぞれ形成されている。第2支持板部24c,24cは、第1支持板部24b,24b間に配置されている。
【0018】
上側の第1支持板部24bと第2支持板部24cとの間には、リンク機構部4の上側の第1リンク41の一端部が挿入されている。上側の第1リンク41の一端部は、軸線を長手方向に向けた上側の第1枢軸42を介して第1及び第2支持板部24b,24cに水平方向へ回転可能に連結されている。同様に、下側の第1支持板部24bと第2支持板部24cとの間には、リンク機構部4の下側の第1リンク41の一端部が挿入されている。下側の第1リンク41の一端部は、下側の第1枢軸42を介して第1及び第2支持板部24b,24cに水平方向へ回転可能に連結されている。勿論、上側の第1枢軸42と下側の第1枢軸42とは、互いの軸線を一致させて配置されている。なお、二つの第1リンク41,41に代えて、上下いずれか一方の第1リンク41だけを用いてもよい。
【0019】
二つの第2支持板部24c,24c間には、第2リンク43が配置されている。第2リンク43は、上下に対向して配置された上側リンク部43a及び下側リンク部43bと、この上下のリンク部43a,43bの中間部どうしを連結する連結部43cとを有している。上側リンク部43aは、上側の第2支持板部24cに軸線を上下方向に向けた第2枢軸44の上端部を介して水平方向へ回転可能に連結されている。下側リンク部43bは、下側の第2支持板部24bに第2枢軸44の下端部を介して水平方向へ回転可能に連結されている。上下のリンク部43a,43bについては、連結部43によって連結することなく、互いに独立した部材としてもよい。また、上下のリンク部43a,43bのいずれか一方だけを用いてもよい。
【0020】
なお、この実施の形態では、第1枢軸42が第2枢軸44よりケース21の開口部側に配置されているが、これとは逆に第2枢軸44を第1枢軸42よりケース21の開口部側に配置してもよい。
【0021】
ケース21の上下の両端部には、カバー25,25がそれぞれ着脱可能に取り付けられている。上側のカバー25により、上側の第1位置調節部材22及び第2位置調節部材24の上端部が覆われ、下側のカバー25により、下側の第1位置調節部材22及び第2位置調節部材24が覆われている。これにより、第1ヒンジユニット2の美観の向上が図られている。
【0022】
次に、第2ヒンジユニット3について説明すると、特に
図16に示すように、第2ヒンジユニット3は、固定板部(固定部材)31及び連結部材32を有している。
【0023】
固定板部31は、略長方形の板状に形成されており、その長手方向を上下方向に向けて配置されている。固定板部31は、枠体Bの左内側面Bbにビス等の固定手段(図示せず)によって固定されている。しかも、固定部材31は、左内側面Bbのうちの前面Ba側の端部、特に扉Cが閉位置に位置したときに取付凹部Bcと対向する部位に配置固定されている。したがって、固定板部31は、扉Cが閉位置に位置すると、ケース21の前面21bと対向する。しかも、固定板部31は、扉Cが開位置側から閉位置に回転すると、その回転に伴って固定板部31の前面(枠体Bの右方を向く面)からケース21の収容凹部21aに内に入り込むことができるよう、固定板部31を枠体の右側から見たとき(閉位置に位置している扉Cの左端面Cbと枠体Bの左内側面Bbとの対向方向に見たとき)の固定板部31の外部寸法が収容凹部21aの内部寸法より一回り小さく形成されている。なお、固定板部31を枠体Bに固定するビスは、その長手方向を枠体Bの左内側面と直交する方向に向けた状態で枠体Bに螺合されている。したがって、扉Cが閉位置に位置すると、固定板部31を固定するビスと、ケース21を扉Cに固定するビスとは、互いに平行になる。
【0024】
固定板部31は、連結部材32によって覆われている。連結部材32は、特に
図4に示すように、深さの浅い箱状をなしており、固定板部31と対向する背面(
図4において左面)32cには開口部が形成されている。この開口部から固定板部31全体が連結部材32内に収容されている。しかも、連結部材32の内部のうちの上下方向の寸法は、固定板部31の上下方向の寸法と同一であるが、左右方向(枠体Bの前後方向)の寸法は、固定板部31の左右方向の寸法より大きくなっている。したがって、連結部材32は、固定板部31に対し左右方向の寸法差の分だけ左右方向へ位置調節可能である。
【0025】
連結部材32の上部及び下部には、左右方向に延びる長孔32aがそれぞれ形成されている。長孔32aには、ビス33が挿通されている。このビス33は、固定板部31に螺合されている。したがって、ビス33を締め付けると、連結部材32の背面32cが枠体Bの左内側面Bbに押し付けられ、連結部材32が枠体Bに押圧固定される。ここで、ビス33が長孔32aに挿通されているので、連結部材32は、枠体Bに対し長孔32aの長さとビス33の外径との差の分だけ左右方向へ位置調節可能である。なお、連結部材32は、その前面を枠体Bの左内側面Bbから離間させる一方、その底部を固定板部31に突き当てることにより、固定板部31に固定してもよい。
【0027】
連結部材32は、その前面32dが枠体Bの左内側面(対向面)Bbと同一方向を向いており、その前側(枠体Bの右側)から見たときの外部寸法がケース21の収容凹部21aの内部寸法とほぼ同一に設定されている。したがって、扉Cが閉位置に回転すると、連結部材32の前面32d全体を含む少なくとも前側の部分(扉C側の部分)全体が収容凹部21aの内部に入り込む。すなわち、
図4に示すように、連結部材32のうちの、枠体Bと扉Cとの間の隙間S内に位置する部分を除く前側の部分が収容凹部21a内に入り込む。したがって、隙間Sを無くすようにした場合、つまり扉Cが閉位置に回転したときに扉Cの左端面Cbが枠体Bの左内側面Bbに接するようにした場合には、連結部材32の前側の全部だけでなく、連結部材32全体、つまり連結部材32の前面から背面までの全体が収容凹部21aの内部に収容される。
【0028】
特に
図5〜
図7及び
図16〜
図17に示すように、連結部材32の前面32dの上下方向の中央部には、第1連結突出部(連結突出部)32bが形成されている。第1連結突出部32bは、連結部材32の前面32dから前方(
図17において左方;枠体Bの右方)に向かって突出させられている。したがって、扉Cが閉位置に回転すると、
図5に示すように、第1連結突出部32b全体がケース21の収容凹部21aの内部に入り込む。
【0029】
特に
図17に示すように、第1連結突出部32bの上下方向の両端面には、第1リンク41,41の他端部(
図17において右端部)がほぼ接している。第1リンク41,41の他端部は、第1連結突出部32bの突出方向の中間部に第1及び第2枢軸42,44と平行な第3枢軸45を介して回転可能に連結されている。
【0030】
第1連結突出部32bの突出方向の先端部には、さらに前方(
図17において左方)へ向かって突出する第2連結突出部32cが形成されている。第2連結突出部32cの上下方向の長さは、第1連結突出部32bの長さより短くなっている。より正確には、第2リンク43の上側リンク部43aと下側リンク部43bとの間の距離とほぼ同一に設定されている。第2連結突出部32cは、第1連結突出部32bの上下方向の中央部に配置されている。
【0031】
第2連結突出部32cの上下の両端面には、第2リンク43の上側リンク部43a及び下側リンク部43bの両他端部がそれぞれ接している。上側リンク部43a及び下側リンク部43bの両他端部は、第2連結突出部32cに第3枢軸45と平行な第4枢軸46を介して回転可能に連結されている。
【0032】
上記のように、第1リンク41,41並びに第2リンク43の上側及び下側リンク部43a,43bの各一端部が第1ヒンジユニット2に回転可能に連結されるとともに、第1リンク41,41並びに第2リンク43の上側及び下側リンク部43a,43bの各他端部が第2ヒンジユニット3に回転可能に連結されている。この結果、第1ヒンジユニット2が第2ヒンジユニット3に回転可能に連結され、ひいては扉Cが枠体Bにヒンジ装置1を介して回転可能に連結されている。
【0033】
固定板部31と連結部材32との間には、仮止め機構5が設けられている。仮止め機構5は、連結部材32を固定板部31にビス33で本固定する前に仮止めするためのものであり、それによって扉Cを枠体Bに容易に連結することができるようになっている。
【0034】
特に
図18〜
図20に示すように、固定板部31の前面と対向する連結部材32の底面には、係合凹部51が形成されている。係合凹部51は、連結部材32を前後方向(枠体Bの左右方向)から見たとき、第1連結突出部32bの基端部の外郭線(範囲)内に位置するように配置されており、第1突出部32b内に延びている。係合凹部51は、断面長方形状をなしており、その長手方向を上下方向に向けて配置されている。係合凹部51の上側面の開口部側の端部には、下方に向かって突出する係合爪部(第1係合爪部)51aが形成されている。係合凹部51の下側面の開口部側の端部には、上方に向かって突出する係合爪部51bが形成されている。この係合爪部51bは、連結部材32がその上下方向の向きを逆にして使用される場合に対応するためのものであり、連結部材32の上下方向の向きが必ずこの実施の形態のように定められて使用されるのであれば、係合爪部51bは必ずしも形成する必要がない。
【0035】
一方、固定板部31の前面(
図18において左方を向く面であり、枠体Bの右方を向く面)には、連結部材32側に向かって突出する係合突出部52が形成されている。係合突出部52は、断面長方形の板状に形成されている。係合突出部52は、連結部材32内に固定部材31を挿入したとき、係合凹部51にその開口部から入り込むことができるように配置されている。しかも、係合突出部52は、係合凹部51内にその開口部から挿入することができるよう、上下方向の長さが係合爪部51a,51b間の距離とほぼ同一に設定され、左右方向の幅は、連結部材32が固定板部31に対して左右方向へ位置調節されることを許容するように、係合凹部51の左右方向の幅より所定の寸法だけ狭く設定され、突出長さ(固定板部31の前面からの係合突出部52の高さ)は係合凹部51の深さより若干低くなっている。
【0036】
係合突出部52の上面には、凹部52aが形成されている。この凹部52aは、係合突出部52の突出方向における中間部から先端部の所定距離だけ手前の位置までの範囲に配置されている。この凹部52aの底面は、係合突出部52の突出方向の前方へ向かうにしたがって係合突出部52の上面から下方へ離間するように傾斜する傾斜面52bとされている。凹部52aの底面のうちの傾斜面52bに続く部分は、ほぼ垂直か垂直に対してわずか傾斜した面によって構成されている。
【0037】
係合突出部52の上面の中間部から先端部に至る範囲に凹部52aが形成されることにより、凹部52aより先端側に位置する係合突出部52の上面には、係合爪部(第2係合爪部)52cが形成されている。この係合爪部52cが係合爪部51aに係合することにより、係合突出部52が係合凹部51に離脱不能に係合されている。この結果、連結部材32が固定板部31に仮止めされている。なお、連結部材32が上下逆向きにして使用された場合には、係合爪部52cが係合爪部51bに係合する。
【0038】
係合突出部52の下面は、係合突出部52の上面と上下対称に構成されている。したがって、係合突出部52の下面には、凹部52d、傾斜面52e及び係合爪部52fが凹部52a、傾斜面52b及び係合爪部52cとそれぞれ対称に形成されている。係合爪部52fは、固定板部31が上下を逆向きにした使用された場合には、係合爪部51aに係合する。
【0039】
仮止め機構5は、上記構成に限定されるものではない。例えば、係合凹部を固定部材31の前面に設け、係合突出部を連結部材32の固定部材31と対向する底面に形成してもよい。また、係合突出部52の上面の先端部に、上方へ突出する係合爪部を形成する一方、係合凹部51の上面の底部側(奥側)の端部に上方に延びる係止凹部を形成し、この係止凹部に係合爪部を係合させることにより、係合突出部52を係合凹部51に係脱可能に係合させてもよい。さらに、仮止め機構5は、第1ヒンジユニット2のケース21内に第2ヒンジユニット3の連結部材32を挿入するタイプのこの発明に係るヒンジ装置1に限定されるものでなく、扉が閉位置に位置しているときに第1及び第2ヒンジ部材が互いに離間対向する従来のヒンジ装置にも適用することができる。
【0040】
上記構成のヒンジ装置1を用いて扉Cを枠体Bに取り付ける場合には、枠体Bに第2ヒンジユニット3の固定板部31を取り付ける一方、扉Cには
第1ヒンジユニット2を取り付ける。ここで、
第1ヒンジユニット2には、第2ヒンジユニット3の連結部材32を、リンク機構部4を介して取り付けておく。次に、扉Cを適宜に移動させることにより、係合凹部51内に係合突出部52を挿入する。この場合、係合突出部52が係合凹部51内に確実に挿入されるようにするために、
図18に示すように、連結部材32が枠体Bに突き当たるまで係合突出部52を係合凹部51に挿入することが望ましい。
【0041】
その後、扉Cから手を離して扉Cを自由に挙動することができるようにする。すると、扉Cがその自重による回転モーメントにより、下端部を回転中心として上端部が枠体Bから離間する方向(
図18〜
図20において反時計方向)へ回転する。この結果、連結部材32が固定板部31から離間移動する。ここで、図示されたヒンジ装置1が扉Cの下端部(他のヒンジ装置1)から上方へ大きく離間しているので、連結部材32は平行移動とほぼ同一の状態で移動する。連結部材32の移動に伴って係合爪部51aが係合突出部52の上面上を摺動する。係合爪部51aが凹部52aに達すると、連結部材32の離間移動に伴って係合爪部51aが傾斜面52b上を摺動する。この摺動に伴って連結部材32及び扉Cが下方へ移動する。扉Cが所定の位置まで回転し、連結部材32が所定の位置まで移動すると、
図19に示すように、係合爪部51aが係合爪部52cに係合する。この結果、連結部材32が固定部材31に仮固定され、ひいては扉Cが枠体Bに仮固定される。仮固定状態では、扉Cが枠体Bから脱落することがないので、作業者は両手を扉Cから離すことができる。
【0042】
次に、連結部材32の下側の長孔32aにビス33を挿通し、固定部材31に螺合させて軽く締める。その後、上側の長孔32aにビス33を挿通し、固定部材31に螺合させて軽く締める。これを繰り返す。上下のビス33を交互に締め付けるのは、連結部材32の下部及び下側のビス33に過度の応力が作用することを防止するためである。上下のビス33を十分に締め付けることにより、連結部材32を枠体Bに固定する。その結果、扉Cが枠体Bにヒンジ装置1を介して回転可能に連結される。なお、扉Cの枠体Bに対する取付位置は、第1位置調節部材22、第2位置調節部材24の位置及び連結部材32の位置を適宜に調節することにより、三次元的に調節することができる。
【0043】
ここで、ビス33の締め付け作業に際し、作業者は扉Cを支持する必要が無い。扉Cが仮止め機構5によって枠体Bに仮止めされているからである。したがって、作業者は、両手でビス33の締め付け作業を行うことができる。よって、扉Cを枠体Bに容易に取り付けることができる。
【0044】
上記構成のヒンジ装置1が採用された収容装置A1においては、特に
図4及び
図5に示すように、扉Cが閉位置に回転したときに、連結部材32の前側(
図4及び
図5において右側)の端部の全部がケース21の収容凹部21a内に収容されるので、収容された部分の長さの分だけ枠体Bと扉Cとの間の隙間Sを小さくすることができる。しかも、取付凹部Ccが扉Cに形成されるだけであり、枠体Bには取付凹部を形成する必要がない。したがって、取付凹部の形成に要する手間を半減することができる。
【0045】
ヒンジ装置1は、上記収容装置A1に使用されるだけでなく他の収容装置にも使用することができる。以下、ヒンジ装置1が採用された他の収容装置について説明する。なお、ヒンジ装置1は、それが使用される収容装置に対応して若干の設計変更されることがあるが、基本的な構成は、上記実施の形態と同一である。そこで、各収容装置に用いられているヒンジ装置1についての説明は省略する。
【0046】
図21〜
図24は、上記ヒンジ装置1が用いられた収容装置の第2例たる収容装置A2を示す。この収容装置A2においては、枠体Bの左内側面Bbに取付凹部Bcが形成されている。この取付凹部Bcに第1ヒンジユニット(第1ヒンジ部材)2のヒンジケース21が取り付けられている。一方、扉Cの左端面Cbには取付凹部が形成されておらず、第2ヒンジユニット3が左端面Cbに直接取り付けられている。
【0047】
図25〜
図28は、上記ヒンジ装置1が用いられた収容装置の第3例たる収容装置A3を示す。この収容装置A3においては、扉Cが閉位置に位置したときに、扉Cが枠体Bの内部に入り込むことがなく、扉Cの背面(対向面)Cdが枠体Bの前面(対向面)Baと対向するようになっている。扉Cの背面Cdの左端部には、取付凹部Ccが形成されている。この取付凹部Ccにケース21が取り付けられている。一方、枠体Bの前面Baの左端部には、第2ヒンジユニット3が直接取り付けられている。
【0048】
図29〜
図32は、上記ヒンジ装置1が用いられた収容装置の第4例たる4収容装置A4を示す。この収容装置A4においても、上記収容装置A3と同様に、扉Cが閉位置に回転すると、扉Cの背面Cdが枠体Bの前面Baと対向するようになっている。しかし、この収容装置A4においては、枠体Bの前面Baの左端部に取付凹部Bcが形成されている、この取付凹部Bcにケース21が固定されている。一方、扉Cの背面Cdの左端部には、第2ヒンジユニット3が直接固定されている。
【0049】
なお、この発明は、上記の実施の形態たるヒンジ装置1に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲において各種の変形例を採用することができる。
例えば、上記の実施の形態においては、第1ヒンジユニット2と第2ヒンジユニット3とを第1及び第2の二つ(二種類)のリンク41,43によって回転可能に連結しているが、一つ(一種類)のリンクだけで連結してもよく、三つ(三種類)以上のリンクによって連結してもよい。また、第1ヒンジユニット2と第3ヒンジユニット3とを、上記第2特許文献2に開示されているヒンジ装置のように、一つの枢軸で回転可能に連結してもよい。