特許第6274805号(P6274805)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6274805
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】二重仕事関数半導体デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/8234 20060101AFI20180129BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20180129BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20180129BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20180129BHJP
   H01L 29/423 20060101ALI20180129BHJP
   H01L 29/49 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
   H01L27/088 C
   H01L29/78 301G
   H01L29/58 G
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-206863(P2013-206863)
(22)【出願日】2013年10月2日
(65)【公開番号】特開2014-78708(P2014-78708A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2016年9月30日
(31)【優先権主張番号】12187571.0
(32)【優先日】2012年10月8日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591060898
【氏名又は名称】アイメック
【氏名又は名称原語表記】IMEC
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】トム・シュラム
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン・カイヤ
(72)【発明者】
【氏名】アレッシオ・スペソット
(72)【発明者】
【氏名】ピエール・ファザン
(72)【発明者】
【氏名】ラーシュ−アケ・ラグナーション
(72)【発明者】
【氏名】ロマン・リッツァンタレー
【審査官】 戸次 一夫
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0181616(US,A1)
【文献】 特開2011−159969(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/132225(WO,A1)
【文献】 特開2009−194352(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0127616(US,A1)
【文献】 特開2012−186259(JP,A)
【文献】 特開2010−177265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/8234
H01L 21/336
H01L 27/088
H01L 29/423
H01L 29/49
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重仕事関数半導体デバイスを製造する方法であって、
第1導電型のトランジスタを形成するための第1所定エリアと、第1導電型とは異なる第2導電型のトランジスタを形成するための第2所定エリアとを含む基板を準備する工程と、
基板の上に、前記第1エリアの少なくとも一部を覆うように延び、および前記第2エリアの少なくとも一部を覆うように延びる誘電体層を形成する工程と、
前記誘電体層の上にエッチング停止層を形成する工程と、を含み、
前記エッチング停止層は、第1金属層/スタックおよび/または第2金属層/スタックをエッチングするためのエッチャントによって実質的にエッチングされないものであり、
前記エッチング停止層は、それを通過する第1仕事関数シフト元素および第2仕事関数シフト元素の拡散を許容するものであり、更に、
第1仕事関数シフト元素を含む前記第1金属層/スタックを、前記第1所定エリアの前記エッチング停止層の上に形成する工程と、を含み、
前記第1金属層/スタックは、TiN/Mg/TiN、Mg/TiN、TiN/La/TiN、La、La、またはマトリックス材料の元素とは異なる第1仕事関数シフト元素を含むマトリックス材料を含む層の1つであり、更に、
第2仕事関数シフト元素を含む前記第2金属層/スタックを、前記第1所定エリアの前記第1金属層/スタックの上、および前記第2所定エリアの前記エッチング停止層の上に形成する工程と、
第1仕事関数シフト元素および第2仕事関数シフト元素を誘電体層中に拡散させるためにアニールする工程と、
前記第1金属層/スタックおよび前記第2金属層/スタックを除去する工程と、
第3金属層/スタックを、前記第1所定エリアおよび前記第2所定エリアに形成する工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記第1金属層/スタックは、金属、金属化合物、または第1仕事関数シフト元素を含む誘電体から形成されたマトリックス材料から形成された請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記仕事関数シフト元素は、La、Gd、Tb、Er、Yb、Dy、Lu、Y、およびScからなるグループから選択される希土類金属である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記マトリックス材料は、酸化物または窒化物である請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記仕事関数シフト元素は、アルカリ土類金属である請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記仕事関数シフト元素は、MgまたはScである請求項2に記載の方法。
【請求項7】
二重仕事関数半導体デバイスを製造する方法であって、
第1導電型のトランジスタを形成するための第1所定エリアと、第1導電型とは異なる第2導電型のトランジスタを形成するための第2所定エリアとを含む基板を準備する工程と、
基板の上に、前記第1エリアの少なくとも一部を覆うように延び、および前記第2エリアの少なくとも一部を覆うように延びる誘電体層を形成する工程と、
前記誘電体層の上にエッチング停止層を形成する工程と、を含み、
前記エッチング停止層は、第1金属層/スタックおよび/または第2金属層/スタックをエッチングするためのエッチャントによって実質的にエッチングされないものであり、
前記エッチング停止層は、それを通過する第1仕事関数シフト元素および第2仕事関数シフト元素の拡散を許容するものであり、更に、
第1仕事関数シフト元素を含む前記第1金属層/スタックを、前記第1所定エリアの前記エッチング停止層の上に形成する工程と、
第2仕事関数シフト元素を含む前記第2金属層/スタックを、前記第1所定エリアの前記第1金属層/スタックの上、および前記第2所定エリアの前記エッチング停止層の上に形成する工程と、
第1仕事関数シフト元素および第2仕事関数シフト元素を誘電体層中に拡散させるためにアニールする工程と、
前記第1金属層/スタックおよび前記第2金属層/スタックを除去する工程と、
第3金属層/スタックを、前記第1所定エリアおよび前記第2所定エリアに形成する工程と、を含む方法。
【請求項8】
前記第2仕事関数シフト元素を含む前記第2金属層/スタックを堆積する前に、第1仕事関数シフト元素を前記誘電体層中に拡散させるための独立したアニール工程を含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
アニール工程は、前記第2仕事関数シフト元素を、前記第1所定エリアの前記誘電体層中に拡散させない請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記エッチング停止層は、TaN、Ta、TaO、TaおよびTiNの少なくとも1つを含む請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記エッチング停止層は、TaN層、およびTaO層およびTa層のいずれかを含む二重層を含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記エッチング停止層は、TiN層、およびTaO層およびTa層のいずれかを含む二重層を含む請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第1金属層/スタックあるいは前記第2金属層/スタックは、TiN/Mg/TiN、Mg/TiN、La、La、およびTiN/La/TiNの1つを含む請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記第1金属層/スタックおよび前記第2金属層/スタックの少なくとも1つは、アルミニウムを含む請求項7に記載の方法。
【請求項15】
前記第1金属層/スタックおよび前記第2金属層/スタックの少なくとも1つは、TiN層で覆われた、またはTiN/Al/TiNを含む三重層で覆われた、アルミニウム酸化物を含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1金属層/スタックおよび前記第2金属層/スタックの少なくとも1つは、TiN/Al/TiNを含む三重層で覆われたアルミニウム酸化物を含む請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記エッチング停止層は、0.5nm〜20nmの厚さを有する請求項7に記載の方法。
【請求項18】
前記基板を準備する工程は、前記第1所定エリアを前記第2所定エリアから電気的に絶縁する絶縁エリアを準備する工程を含み、
この方法は、更に、
前記絶縁領域の上方の位置で、前記誘電体層の一部、前記エッチング停止層および前記第3金属層/スタックを除去する工程を含む請求項7に記載の方法。
【請求項19】
前記誘電体層は、高誘電率(high-k)誘電体を含む請求項7に記載の方法。
【請求項20】
前記高誘電率(high-k)誘電体は、HfO,HfSiO、HfSiN、ZrO、およびドープしたハフニウム酸化物の1つ含む請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マイクロエレクトロニクスデバイスおよび関連したマイクロエレクトロニクスデバイスを製造する方法に関し、詳細には、二重(dual)仕事関数半導体デバイスおよび関連したデバイスを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、高誘電率(high-k)金属ゲートベースのCMOS集積化機構において、NMOSデバイスおよびPMOSデバイスでは異なるスタックが必要になる。典型的には、N型デバイスおよびP型デバイスには異なるキャップ層または異なる金属スタックが設けられる。これらのキャップ層は、典型的には、NMOSデバイスでは希土類元素またはMg、PMOSデバイスではAlまたはAlを含む。
【0003】
キャップ層のパターニングは、特有の問題をもたらす。NMOSデバイスおよびPMOSデバイスに異なる金属スタックを用いた場合、異なるスタック高さでまたは全く異なる2つのスタックにおいてゲートエッチングを同時に行う必要がある。スタックまたはスタック高さの差異は、問題を引き起こすことがある。1つの問題は、例えば、最も薄い金属ゲートスタックを持つデバイスにおけるSiおよびSTI凹部の形成である。他の問題は、例えば、1つまたは両方のスタックにおける「脚(foot)」またはノッチ(notch)の形成である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した問題を解決し、同じ基板上にNMOSデバイスおよびPMOSデバイスの集積化を可能にするCMOS集積化機構のニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の目的は、nMOSトランジスタおよびpMOSトランジスタを備えた二重仕事関数半導体デバイスを製造する方法を提供することである。
【0006】
この目的は、本開示に従って、第1の独立請求項の技術的特徴を示す方法を用いて達成される。
【0007】
本開示の他の目的は、関連したデバイスを提供することである。
【0008】
この目的は、本開示に従って、第2の独立請求項の技術的特徴を備えたデバイスを用いて達成される。
【0009】
本開示の第1態様によれば、例えば、nMOSトランジスタおよびpMOSトランジスタを備えた二重仕事関数半導体デバイスの製造方法が開示される。該方法は、下記のステップを含む。
・第1導電型のトランジスタを製作するための第1所定エリアおよび、第1導電型とは異なる第2導電型のトランジスタを製作するための第2所定エリアを備えた基板を用意するステップ。
・基板の上に、前記第1エリアおよび前記第2エリアの両方の上に延びる誘電体層を設けるステップ。
・第1仕事関数シフト元素(element)を含む第1金属層または第1金属層スタックを、前記誘電体層の上で、前記第1所定エリアに、例えば、前記第1所定エリアだけに、例えば、前記第1所定エリアで、前記第2所定エリアではない場所に、設けるステップ。
・第2仕事関数シフト元素(element)を含む第2金属層または第2金属層スタックを、前記第1金属層および前記誘電体層の上で、前記第1所定エリアおよび前記第2所定エリアにそれぞれ設けるステップ。
・第1仕事関数シフト元素および第2仕事関数シフト元素の誘電体層中への拡散を促進するためのアニール工程を行うステップ。
・前記第1金属層または第1金属層スタックおよび前記第2金属層または第2金属層スタックを除去するステップ。
・第3金属層または第3金属層スタックを、前記第1所定エリアおよび前記第2所定エリアに設けるステップ。
【0010】
該方法は、単一金属ゲートがNMOSおよびPMOSについて設けられ、この金属ゲートが追加の処理フローの際に固定されるという利点を提供する。これにより、典型的にはドライのゲートエッチング処理を許容するため、ゲート構造の画定が簡単になり、最終的には比較的低い複雑さでゲート構造を画定する。
【0011】
他の利点は、例えば、単一の最終ゲート高さがNMOSおよびPMOSについて達成され、再びゲート画定、例えば、ゲートエッチングの処理を緩和することである。
【0012】
基板は、例えば、シリコン基板、またはSiGe基板、好ましくは50%未満のGe濃度のもの、またはシリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板にできる。基板の追加の例を詳細な説明にある。
【0013】
該方法は、好都合には、トランジスタデバイス、好ましくは、プレーナ型のものを製造するために使用できる。垂直型のトランジスタデバイス(例えば、FINFETデバイス等)の分野での応用も除外されない。
【0014】
第1導電型のトランジスタは、PMOSトランジスタまたはNMOSトランジスタでもよい。第2導電型のトランジスタは、それぞれNMOSトランジスタまたはPMOSトランジスタでもよい。第1導電型は、第2導電型と異なる(具体的には反対になる)。
【0015】
MOSFETデバイスにおいて、ゲートは、チャネルを導電性にする閾値電圧(Vt)を必要とする。相補型MOS(CMOS)プロセスが、nチャネルおよびpチャネル(各々NMOSおよびPMOS)トランジスタの両方を製造する。閾値電圧(Vt)は、実効仕事関数差(ΔWFeff)と呼ばれるものによって影響される。閾値電圧(Vt)の値を確立するには、各NMOSおよびPMOSゲート材料(ゲートスタック)の実効仕事関数差、およびこれらの対応するチャネル領域が、チャネルプロセスおよびゲートプロセスを通じて独立に達成される。換言すると、ゲート誘電体(例えば、ホスト誘電体および可能性ある異なるキャップ層からなる)およびゲート電極(例えば、少なくとも1つの金属層からなる)の両方が、ゲートスタック(デバイス)の実効仕事関数(WFeff)を決定する。さらに、ゲートプロセス自体は(異なるプロセス及び/又は適用される熱処理のシーケンス)は、ゲートスタック(デバイス)の実効仕事関数(WFeff)に対して影響を有するであろう。
【0016】
ゲートスタック(デバイス)の実効仕事関数(WFeff)は、ゲート誘電体材料、ゲート電極材料の選択、および実施するゲートプロセスによってチューニング(調整/変更/シフト)可能なパラメータである。これに対してゲート電極(金属ゲート電極または電極層または金属制御電極とも称される)の仕事関数(WF)は、材料の固有の性質である。一般に、ある材料(即ち、金属層)の仕事関数は、初期において電子がフェルミ準位にある場合、材料中の電子を材料原子の外側に真空へ脱出させるのに要するエネルギーの測定基準(単位は電子ボルト(eV))である。ゲート電極の仕事関数は、材料の堆積状態(as-deposited)の仕事関数または固有の仕事関数と称することもある。
【0017】
好ましい実施形態によれば、仕事関数(仕事関数シフト元素)は、実効仕事関数(実効仕事関数シフト元素)である。シリコン基板での実効仕事関数は、トランジスタデバイスに用いられるのと同じゲート電極、高誘電率(high-k)ゲート誘電体、ドープしたSi基板を用いて集積した、金属−絶縁体−シリコンキャパシタデバイスから抽出される実効仕事関数でもよい。シリコン基板での実効仕事関数を計算するには、キャパシタデバイスの平坦なバンド電圧が、好ましくは、文献("Characterization of Ultra-Thin Oxides Using Electrical C-V and I-V Measurements.", J. R. Hauser and K. Ahmed, International conference on Characterization and Metrology for ULSI Technology, 1998, pp. 235-239)に記載されているようなC−Vベースの方法を用いて抽出される。該文献は、参照によりここに組み込まれる。好ましくは、実効仕事関数は、下記の式を用いて計算される。但し、誘電体中のゼロ電荷を想定している。
【0018】
【数1】
【0019】
ここで、φdoped Siは、ドープしたSi基板のフェルミ準位である。
【0020】
N型シフト元素は、高誘電率(high-k)ゲート誘電体スタックへの拡散またはこれを通る拡散によって、ゲートスタックの実効仕事関数をシリコン(または半導体基板)伝導帯エッジに向けてシフトできる追加の元素でもよい。
【0021】
P型シフト元素は、高誘電率(high-k)ゲート誘電体スタックへの拡散またはこれを通る拡散によって、ゲートスタックの実効仕事関数をシリコン(または半導体基板)価電子帯エッジに向けてシフトできる追加の元素でもよい。
【0022】
好ましい実施形態によれば、該方法は、第2仕事関数シフト元素を含む第2金属層または第2金属層スタックを堆積する前に、第1仕事関数シフト元素の誘電体層中への拡散を促進するための独立したアニール工程を含む。
【0023】
これは、シフト元素の誘電体層中への拡散を促進するための最終のアニール工程が、第1仕事関数シフト元素の誘電体層中への拡散を促進するのに不充分である場合、後者のプロセスは独立して制御または最適化できるという利点を提供する。
【0024】
好ましい実施形態によれば、アニール工程は、第2仕事関数シフト元素の誘電体層中への第1所定エリアでの拡散を提供しないものである。
【0025】
これは、第2仕事関数シフト元素が第1所定エリアにおける第1金属層または第1金属層スタックを通って第1所定エリアにおける誘電体層中へ拡散する可能性が制御または回避できるという利点を提供する。
【0026】
好ましい実施形態によれば、該方法は、第1および第2金属層または第1もしくは第2金属層スタックを堆積する前に、エッチング停止層、好ましくは、ウェットエッチング停止層を誘電体層の上に設けるステップをさらに含む。エッチング停止層は、第1金属層または第1金属層スタック及び/又は第2金属層または第2金属層スタックをエッチングするためのエッチャントによってエッチングされないものであり、エッチング停止層は、それを通過する第1仕事関数シフト元素および第1仕事関数シフト元素の拡散を許容するものである。
【0027】
好ましい実施形態によれば、エッチング停止層は、誘電体を完全に被覆できる。エッチング停止層は、第1所定エリアおよび第2所定エリアを完全に被覆できる。エッチング停止層は、誘電体を完全に隠蔽できる。
【0028】
これは、誘電体(典型的には、高誘電率(high-k)、即ち、高い誘電定数のもの)が、デバイスの追加プロセスの際、ウェットおよびプラズマ処理への露出から常に保護されるという利点を提供する。そうしなければ、こうしたプロセスによって影響を受けて、その結果、最終ゲートスタックの最終の電気特性に影響を与えるであろう。
【0029】
好ましい実施形態によれば、エッチング停止層は、TaN,TaまたはTaまたはTaO(Taの空気酸化によって形成されるTa亜酸化物)、TiNのいずれか、あるいはこれらの組合せを含む。
【0030】
好ましい実施形態によれば、エッチング停止層は、TaN層およびTaOまたはTa層を含む二重層(bilayer)として、あるいはTiN層およびTaOまたはTa層を含む二重層として埋め込まれる。
【0031】
エッチング停止層は、好ましくは、第1所定エリアおよび第2所定エリアにおいて同じ構成を有する。
【0032】
好ましい実施形態によれば、第1金属層または第1金属層スタック、あるいは第2金属層または第2金属層スタックは、TiN/Mg/TiN、またはMg/TiN,La,La、またはTiN/La/TiNを含む。
【0033】
好ましい実施形態によれば、第2金属層または第2金属層スタック、あるいは第1金属層または第1金属層スタックは、アルミニウムを含む。それは、例えば、Al、Al酸化物、Alドープシリコン酸化物を含んでもよい。
【0034】
好ましい実施形態によれば、第1金属層または第1金属層スタック、あるいは第2金属層または第2金属層スタックは、TiN層で覆われ、またはTiN/Al/TiNを含む三重層(trilayer)で覆われたアルミニウム酸化物を含む。
【0035】
上記を明確化するため、第1型および第2型のシフト元素を誘電体層の個々のエリアに導入するために個々の金属層または金属層スタックを設ける順序は、交代可能であることは、当業者に理解されよう。例えば、TiN/Mg/TiN,またはMg/TiN,La,LaまたはTiN/La/TiNを含む金属層または金属層スタックを最初に設けてもよい。この層はパターン化できる。その後、アルミニウムを含む第2金属層または層スタックを設けてもよい。代替として、第1金属層または金属層スタックは、Alを含む層でもよい。この層はパターン化できる。次に、TiN/Mg/TiN,またはMg/TiN,La,La,またはTiN/La/TiNを含む第2金属層または第2金属層スタックを設けてもよい。
【0036】
誘電体層に対する個々の層の最終的な位置決めは、誘電体層の個々のエリアの導電型を決定することになる。
【0037】
好ましい実施形態によれば、エッチング停止層は、0.5nm〜20nm、または1nm〜10nm、または2nm〜10nmの厚さを有する。エッチング停止層は、一定の厚さのものでもよい。エッチング停止層は、平坦な上側表面を有してもよい。
【0038】
好ましい実施形態によれば、基板は、第1所定エリアを第2所定エリアから電気的に絶縁する絶縁エリアを備える。該方法は、絶縁領域の上方のある場所にエッチング停止層および第3金属層または第3金属層スタックが存在する場合、誘電体層の一部を除去するステップをさらに含んでもよい。
【0039】
絶縁エリアは、例えば、シリコン酸化物を含むエリアでもよく、このエリアを含んでもよい。それは、例えば、当業者にSTI(Shallow Trench Isolation)として知られているエリアを構成してもよい。
【0040】
好ましい実施形態によれば、誘電体層は、高誘電率(high-k)誘電体(即ち、SiOの基準値(3.9)よりかなり大きい比誘電定数、好ましくは2倍〜10倍大きい)を含む。高誘電率(high-k)誘電体は、典型的には、HfO,HfSiO酸化物,HfSiN,ZrO,またはドープしたHf金属酸化物を含む。誘電体層は、例えば、HfO,HfSiO酸化物,HfSiN,ZrO,またはドープしたHf金属酸化物からなるグループから選択される単一の誘電体材料または複数の誘電体材料を含んでもよい。誘電体層は、均質(homogeneous)でもよい。これは、誘電体層が、第1所定エリアおよび第2所定エリアにおいて同じ構成でもよいことを意味する。好ましい実施形態によれば、誘電体層は、下地基板の主面、例えば、前面を完全に被覆してもよい。
【0041】
好ましい実施形態によれば、誘電体層は、0.5nm〜5nm、または1nm〜3nmの厚さを有する。誘電体層は、一定の厚さのものでもよい。誘電体層は、平坦な上側表面を有してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本開示について、下記の説明および添付図面を用いてさらに説明する。
【0043】
図1A】本開示の第1実施形態に係る処理フローを示す。
図1B】本開示の第1実施形態に係る処理フローを示す。
図1C】本開示の第1実施形態に係る処理フローを示す。
図1D】本開示の第1実施形態に係る処理フローを示す。
図1E】本開示の第1実施形態に係る処理フローを示す。
図1F】本開示の第1実施形態に係る処理フローを示す。
図1G】本開示の第1実施形態に係る処理フローを示す。
図1H】本開示の第1実施形態に係る処理フローを示す。
図1I】本開示の第1実施形態に係る処理フローを示す。
図1J】本開示の第1実施形態に係る処理フローを示す。
図1K】本開示の第1実施形態に係る処理フローを示す。
図2A】本開示の第2実施形態に係る処理フローを示す。
図2B】本開示の第2実施形態に係る処理フローを示す。
図2C】本開示の第2実施形態に係る処理フローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本開示は、特定の実施形態について図面を参照して説明するが、本開示はこれに限定されず、請求項によってのみ限定される。記載した図面は、概略的かつ非限定的なものである。図面において、幾つかの要素のサイズは、説明目的のために誇張したり、縮尺どおり描写していないことがある。寸法および相対寸法は、本開示の実際の具体化に必ずしも対応していない。
【0045】
さらに、説明での用語、「第1」、「第2」、「第3」などは、類似の要素を区別するための使用しており、必ずしも連続順または時間順を記述するためではない。用語は、適切な状況下で交換可能であり、本開示の実施形態は、ここで説明したり図示したものとは別の順番で動作可能である。
【0046】
さらに、説明および請求項の中の用語「上(top)」、「下(bottom)」、「の上に(over)」、「の下に(under)」等は、説明目的で使用しており、必ずしも相対的な位置を記述するためのものでない。こうして用いた用語は、適切な状況下で交換可能であって、ここで説明した本開示の実施形態がここで説明または図示した以外の他の向きで動作可能である。
【0047】
さらに、種々の実施形態は、「好ましい」と称しているが、例示の方法として解釈すべきであり、本開示は、本開示の範囲を限定することなく実施できる。
【0048】
請求項で用いた用語「備える、含む(comprising)」は、それ以降に列挙された要素またはステップに限定されるものと解釈すべきでなく、他の要素またはステップを除外していない。記述した特徴、整数、ステップまたは構成要素の存在を、参照したように特定するように解釈する必要があるが、1つ又はそれ以上の他の特徴、整数、ステップまたは構成要素、あるいはこれらのグループの存在または追加を除外していない。こうして表現「手段A,Bを備えるデバイス」の範囲は、構成要素A,Bのみから成るデバイスに限定すべきでない。本発明に関して、デバイスの関連した構成要素だけがA,Bであり、請求項はこれらの構成要素の等価物を含むものとして解釈すべきである。
【0049】
下記において、本発明は、シリコン(Si)基板を参照して説明するが、本発明が他の半導体基板にも等しく適用できることは理解すべきである。実施形態において、「基板」は、半導体基板、例えば、シリコン、ガリウム砒素(GaAs)、ガリウム砒素リン(GaAsP)、インジウムリン(InP)、ゲルマニウム(Ge)またはシリコンゲルマニウム(SiGe)の基板を含んでもよい。「基板」は、半導体基板部分に加えて、例えば、絶縁層、例えば、SiOまたはSi層を含んでもよい。こうして用語「基板」はまた、シリコン・オン・ガラス、シリコン・オン・サファイア基板を含む。用語「基板」は、ある層または関心部分の下地となる層のための要素を一般に定義するために用いられる。また、「基板」は、その上に層が形成される任意の他のベース、例えば、ガラスまたは金属層でもよい。従って、基板は、ブランケットウエハなどのウエハ、または他のベース材料に付着した層、例えば、下側層に成長したエピタキシャル層でもよい。
【0050】
図1(a)〜(k)において、本発明の例示の実施形態に係る処理フローを図示している。図1(a)において、基板1を用意する。活性領域には、公知のようなPウエルおよびNウエル(不図示)が形成される。活性領域は、絶縁領域、例えば、公知のようなSTI(Shallow Trench Isolation)構造で互いに電気絶縁されている。界面層(101、不図示)が形成され、これは典型的にはシリコン酸化物を含む。それは、成長または堆積したSiOでもよく、目標となる用途に依存して0.1〜2nmの厚さを有してもよい。
【0051】
高誘電率(high-k)誘電体層または層スタックが、基板の主面(例えば、前面)の上に設けられる。誘電体層または層スタック3は、例えば、界面シリコン酸化物及び/又は高誘電率(high-k)誘電体を含んでもよく、後者は、例えば、Hfベースのものである。高誘電率(high-k)誘電体は、例えば、Hf酸化物、HfSi酸化物または他のドープHf金属酸化物でもよく、これを含んでもよい。高誘電率(high-k)誘電体の厚さは、用途に依存し、例えば、1〜3nmでもよいが、他の厚さも除外されない。
【0052】
図1(b)において、エッチング停止層4が誘電体層3の上部に設けられる。この層の機能は、N型またはP型シフト元素が含まれる金属層または金属層スタック(いわゆる「金属挙動層」)のウェットエッチングを停止することを含む。
【0053】
エッチング停止層4は、好ましくは、下記の基準の幾つか、好ましくは全てを満足する。
・ゲートエッチングで、反応性イオンエッチング(RIE)によるエッチングが可能であること。
・N型またはP型シフト元素が含まれる金属挙動層のウェットエッチングに用いられるウェットエッチング化学反応(例えば、H,APM(NHOH:H:HO混合、いわゆるSC−1と称される)またはSPM(HSO:H2O混合),HCl)によってエッチングされないこと。
・使用する厚さ範囲で充分な導電性(例えば、抵抗率×厚さ≦10−7Ωcm)を提供すること。
【0054】
可能ならば、エッチング停止層は、好ましくは、拡散アニール工程で用いられる温度で、適度な拡散バリアをできる。エッチング停止層は、1×1014cm/s〜5×1021cm/sの範囲内、より好ましくは1×1016cm/s〜5×1020cm/sの範囲内、さらに好ましくは1×1017cm/s〜5×1019cm/sの範囲内の拡散係数または拡散率を有してもよい。
【0055】
エッチング停止層4は、単層でもよいが、多層でもよく(単層として図示)、下部層は、高誘電率(high-k)誘電体層との金属挙動性界面を提供するものであり、上部層は、エッチング停止層として機能する(金属挙動性が少ない)。
【0056】
両方の層の厚さは制限されないが、組合せ厚さは、好ましくは1〜6nmの範囲、より好ましくは1〜3nmの範囲である。各層では、厚さは、好ましくは1〜3nmの範囲、より好ましくは1〜2nmの範囲である。金属酸化物を上部層として使用した場合、その厚さは、好ましくは、電子および正孔のトンネリング距離より小さい(好ましくは2nmより小さい)。
【0057】
エッチング停止層4を1つの層だけで埋め込んだ場合、それは、好ましくは金属挙動を示し、好ましくは同時にエッチング停止層として機能すべきである。
【0058】
例えば、二重層の場合、エッチング停止層4の上部層は、例えば、貴金属(Ru,Pt,Irなど)、エッチングされないまたはあまりウェットエッチングされずに金属挙動を示す金属窒化物(例えば、TaN,HfN,NbN,MoN,…)、エッチングされないまたはあまりウェットエッチングされずに金属挙動を示す金属酸化物(例えば、RuO,MoO<=2,…)、エッチングされないまたはあまりウェットエッチングされず、低いバンドギャップを有する金属酸化物(例えば、Ta,TaO,Nb,Sc,…)、エッチングされないまたはあまりウェットエッチングされない金属シリサイド(金属性)(例えば、TiSix,TaSix,NiSix,CoSix,PtSix,…)で製作してもよく、またはこれらを含んでもよい。
【0059】
エッチング停止層4の下部層は、二重層の場合、当業者に知られている、金属ゲートの通常の基準を満足する。それは、好ましくは、金属挙動およびシフト元素を欠如した適切な出発仕事関数を示す。その場合、それは、例えば、金属(例えば、W)、金属挙動性の金属窒化物(例えば、TiN,TaN,HfN,NbN,MoN,…)、金属挙動性の酸化物(例えば、RuO,WO,MoO<=2,…)、または金属シリサイド(金属性)(例えば、TiSix,TaSix,NiSix,CoSix,PtSix,…)で製作してもよく、またはこれらを含んでもよい。
【0060】
エッチング停止層4を1つの層だけで埋め込んだ場合、エッチング停止層は、例えば、非ウェットエッチング金属(Pt,Ru,…)または金属挙動性の金属窒化物(例えば、TaN,HfN,NbN,MoN,…)、金属挙動性の酸化物(例えば、RuO,MoO<=2,…)または金属シリサイド(金属性)(例えば、TiSix,TaSix,NiSix,CoSix,PtSix,…)で製作してもよく、またはこれらを含んでもよい。
【0061】
金属酸化物の場合、層の誘電的性質にも関わらず、薄い金属酸化物を通過する充分な電子および正孔の伝導を提供するために、低いバンドギャップが好ましくは必要になる(トンネリングまたはホッピングベースの伝導が両方とも適切であると考えられる)。ある見解では、それは、電子および正孔にとって(半)透明層として機能する。低いバンドギャップは、好ましくは、3eVより小さいバンドギャップ、2eVより小さいバンドギャップ、または1eVより小さいバンドギャップに相当する。
【0062】
好ましいエッチング停止層4の例を下記に示す。
・TaN(2〜3nm厚)。
・TaN(2〜3nm厚)/TaO(2〜3nm厚)からなる二重層。
・TiN(2〜3nm厚)/TaO(2〜3nm厚)からなる二重層。ここで、TaO層は、例えば、これだけではないが、2nmで堆積した層の空気酸化(例えば、周囲雰囲気中に24時間)によって形成してもよい。
【0063】
これは、下記の理由および観測に基づいている。仕事関数シフト元素として、多くの金属がエッチング停止層の上方に使用できるが、好ましいケースは、TiNベースの金属である。TiNは、APM(HおよびSPM)によって選択的にエッチング可能であるためである。
【0064】
APMでのウェットエッチングのレート測定結果は、下記のようになる。
・エッチングレート(ER) TiN
- PVD TiN:0.4 nm/s
- ALD TiN:0.06 nm/s
・ER TaN(PVD TaN,空気破壊有りと無し)
- 0.067 nm/s
- PVD TINへの選択性:0.4/0.067=5.9X
・ER Ta(PVD Ta 空気破壊無し)
- 0.026 nm/s
- PVD TINへの選択性:0.4/0.026=15X
・ER Ta(PVD Ta 空気破壊有り)
- 0.005 nm/s
- PVD TINへの選択性:0.4/0.005=80X
- Ta形成(未知の厚さ)にほぼ起因した選択性
【0065】
図1(c)において、N型シフト元素を含む第1金属層または第1金属層スタック5が設けられる。
【0066】
N型シフト元素を含む第1金属ゲートスタックの第1金属層は、例えば、TiN/Mg/TiNサンドイッチ構造、エッチング停止層4が下部層として機能するMg/TiN(エッチング停止層/Mg/TiN),LaもしくはLaキャップまたはTiN/La/TiNサンドイッチ構造、またはエッチング停止層4を通って高誘電率(high-k)誘電体層の中へドーパントの外方拡散(out-diffusion)によってN型仕事関数を提供できる他の多層スタックであってもよい。
【0067】
N型シフト元素を含む第1金属ゲートスタックの第1金属層は、例えば、高誘電率(high-k)ゲート誘電体スタック(界面酸化物及び/又は高誘電率(high-k)自体の組合せ)の中またはこれを通って拡散させることによって、仕事関数を伝導帯エッジに向けて(N型シフタ)シフトできる追加の元素(シフト元素)を含むマトリクス(金属、金属化合物(窒化物または酸化物)、誘電体(SiO))で構成できる。
【0068】
N型シフト用の追加の元素は、希土類金属または希土類金属酸化物、またはMgおよびその酸化物でもよい。それはまたアルカリ土類金属またはその酸化物でもよい。
【0069】
希土類タイプのN型シフト元素は、好ましくは、La,Gd,Tb,Er,Yb,Dy,Lu,Y,Yb,Scのいずれかまたは任意の組合せでもよい。
【0070】
アルカリ土類金属タイプのN型シフト元素は、好ましくは、Mg,Srのいずれかまたは任意の組合せでもよい。
【0071】
図1(d)において、第1金属層または第1金属層スタック5はパターン化される。層5の一部が、第2所定エリアにウェット処理を行うことによって除去される。有機マスク6(例えば、BARC有りまたは無しのレジスト)ベースのN型材料(またはスタック)のウェットエッチングを行う。
【0072】
N型材料(またはスタック)が金属または金属窒化物である場合、このウェットエッチングは、H,APM,SPMまたは他の適用可能なウェット化学反応を利用できる。
【0073】
N型材料(またはスタック)が酸化物である場合、このウェットエッチングは、HFベースのウェット化学反応を利用できる。
【0074】
必要ならば、N型材料(またはスタック)の一部または全部の除去が、RIE(エッチング停止層への選択性の場合、完全ドライ除去のみ)によって実施できる。
【0075】
図1(e)は、N型シフト元素が、第1所定エリアにおいて第1金属層5からエッチング停止層4を通って誘電体層3の中へ外方拡散(「ドライブイン」アニール)するのを示す。
【0076】
この任意のドライブイン・アニールは、N型シフト元素を高誘電率(high-k)ゲート誘電体スタック(可能ならば、界面酸化物および高誘電率(high-k)層の組合せ)の中またはこれを通って拡散させる必要がある。
【0077】
このステップは、任意であり、後続のP型シフト元素のドライブイン・アニールがN側で、即ち、第1所定エリアで充分でない場合、好都合に使用できる。
【0078】
同様なことは、N型シフト元素およびP型シフト元素のための供給ステップの順序が切り替わる「PMOS−最初」の実施形態に適用される。
【0079】
図1(f)は、N型シフト元素を含む第2金属層または第2金属層スタック7が設けられる。
【0080】
この第2金属層または第2金属層スタック7は、例えば、下記のものでもよい。
・キャップ層。例えば、2nm厚のAlまたはAl
・サンドイッチ構造。例えば、2nm/2nm/2nm厚のTiN/Al/TiN。
・Al(またはAl)/TiN。ここで、エッチング停止層は、下部層として機能する(エッチング停止層/Al(またはAl)/TiN)。
・エッチング停止層4を通って高誘電率(high-k)誘電体3の中へのドーパントの外方拡散によってP型仕事関数を提供できる任意の他の多層スタック。
【0081】
この第2金属層または第2金属層スタック7は、高誘電率(high-k)ゲート誘電体スタック(可能ならば、界面酸化物および高誘電率(high-k)誘電体の組合せ)の中またはこれを通って拡散させることによって、仕事関数をシリコン(または半導体基板)価電子帯エッジに向けてシフトできる追加の元素(P型シフタ)を含むマトリクス(金属、金属化合物(窒化物または酸化物)、誘電体(SiO))で構成できる。
【0082】
P型シフト元素は、例えば、Alでもよく、これを含むものでもよい(例えば、AlまたはAl)。
【0083】
図1(g)は、P型シフト元素の外方拡散アニール工程(「ドライブイン・アニール」)を示す。アニールを行い、個々のエリアにおいて、N型シフト元素およびP型シフト元素を、エッチング停止層4を通って高誘電率(high-k)ゲート誘電体スタック3(可能ならば、界面酸化物及び/又は高誘電率(high-k)自体の組合せ)の中またはこれを通って拡散させる。アニール工程は、N型シフト元素およびP型シフト元素の両方を拡散する。
【0084】
好ましい実施形態によれば、PMOS側またはNMOS側のいずれかが最初に処理され、この点で、シーケンスはゲートスタックへのドーパント拡散を制御する最善の柔軟性を与える。
【0085】
図1(h)は、第1および第2金属層または第1および第2金属層スタックの除去を示す。エッチング停止層4に対して選択的である、第1もしくは第2金属層または第1もしくは第2金属層スタック5,7のウェット除去を行う。
【0086】
N型およびP型材料(またはスタック)が金属、または金属窒化物である場合、このウェットエッチングは、例えば、H,APM,SPMまたは他の適用可能なウェット化学反応を利用できる。
【0087】
N型材料(またはスタック)が酸化物である場合、このウェットエッチングは、例えば、HFベースのウェット化学反応を利用できる。
【0088】
必要ならば、N型およびP型材料(またはスタック)の一部または全部の除去が、RIE(エッチング停止層への選択性の場合、完全ドライ除去のみ)によって実施できる。
【0089】
図1(i)は、ゲートキャップ層8の堆積を示す。ゲートキャップ層8は、例えば、TiN(または任意の他の金属または金属挙動性の化合物)でもよく、これを含んでもよく、そして例えば、シリコンをさらに含んでもよい。キャップ層は、例えば、TiNの第1副層と、シリコンの第2副層とを含んでもよい。
【0090】
図1(j)は、ゲートパターニングプロセスを示す。エッチングをPMOS側およびNMOS側で行って、両側がほぼ同じゲート高さおよび材料を有するようにし、PMOSおよびNMOSにおいて対称的なゲート技術を提供する。N側またはP側にある異なる又はより厚い金属に起因した脚(foot)の形成を回避できる。こうした脚(foot)(そのより低い部分(領域3+4)にある三角形状のゲートエッジ)は、非均質材料スタックをエッチングした場合、不都合にも形成されることがある。これは、NMOSおよびPMOSデバイスについて異なるスタック高さが存在する場合、特に問題になる。
【0091】
本開示の実施形態によれば、高誘電率(high-k)誘電体層またはスタックは、ゲートのエッチング工程まで、ウェットクリーニングまたはプラズマ処理から保護されることは、当業者は理解するであろう。
【0092】
図1(k)は、MOSFETデバイスが製造されるラインプロセスのフロントエンド(FEOL)の最終段階を示す。エクステンション注入が設けられる(破線で示す)。スペーサ10が形成される。ソース/ドレイン注入が行われる(破線)。領域9,11において、好ましくは、伝統的な金属(例えば、Ni,Co,NiPt)を用いて、シリサイド化処理が行われ、NとPの接続性、低い抵抗率および良好なコンタクト抵抗を確保している。
【0093】
図2(a)〜図2(h)において、本発明の他の例による処理フローを示しており、こではエッチング停止層を使用していない。処理ステップおよびデバイス特性は、図1に従って説明したものとほぼ同様であるが、エッチング停止層に関連した幾つかの条件はもはや問題ではない。これにより、使用可能な他の材料系の幾つかが得られる。このフローに従って、仕事関数を調整することがより容易になると考えられる。
【0094】
このフローにおいて界面酸化物層(101)(図1にも存在する)を明示していることに留意する。このフローでは、高誘電率(high-k)はウェット化学反応に曝されており(例えば、ステップ2b,2e)、関連した歩留まりおよび信頼性の問題を伴う。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図1K
図2A
図2B
図2C