特許第6274817号(P6274817)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6274817
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】塗布容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/42 20060101AFI20180129BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
   B65D47/42 300
   B65D83/00 J
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-225429(P2013-225429)
(22)【出願日】2013年10月30日
(65)【公開番号】特開2015-85953(P2015-85953A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】井田 厚
(72)【発明者】
【氏名】藤田 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】古原 裕嗣
【審査官】 宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−133139(JP,A)
【文献】 特開2002−293353(JP,A)
【文献】 特開2005−186997(JP,A)
【文献】 実開昭58−126966(JP,U)
【文献】 特開平09−086573(JP,A)
【文献】 特開2001−097434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
A45D 34/04
B65D 83/00
B43K 1/00− 1/12
B65D 5/00− 8/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容されるチューブ体と、
前記チューブ体の口部内に装着された弁部材と、
前記チューブ体の口部に外装された外装部材と、
前記外装部材に装着される装着筒部、及び前記外装部材から容器軸方向に沿う前記チューブ体の外側に向けて突出する有底筒状の保持筒部を有する保持筒部材と、
前記保持筒部の内部に回転自在に保持されると共に、一部が前記容器軸方向に沿う前記チューブ体の外側に突出する塗布ボールと、
前記保持筒部材及び前記塗布ボールを覆うオーバーキャップと、
を備える塗布容器であって、
前記弁部材が、前記口部内に装着される本体筒部と、前記チューブ体内から前記本体筒部内への流通を許容しかつその逆向きの流通を規制する逆止弁部と、を有し、
前記外装部材には、前記口部内に挿入される支持筒部が設けられ、
前記本体筒部が、前記口部の内周面と前記支持筒部の外周面とにより径方向に挟まれ、
前記保持筒部の底部には、前記本体筒部内に連通する連通開口部が形成され、
前記保持筒部の底部における前記連通開口部の開口周縁部には、その全周にわたって連続して延び、かつ前記オーバーキャップにより押下された前記塗布ボールが密接するシール突条部が形成され、
前記保持筒部の内周面には、前記塗布ボールの外周面との間で、前記保持筒部における前記容器軸方向に沿う前記連通開口部とは反対側の吐出開口部と前記連通開口部とを連通する連通溝部が形成されており、
前記連通溝部が、前記保持筒部の内周面において、前記容器軸方向に沿って前記チューブ体から離間する側の端縁よりも前記容器軸方向に沿って前記チューブ体に近接する側へ離間した位置に形成されていることを特徴とする塗布容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、内容物が収容される容器本体と、容器本体の口部に固着され、内周面のほぼ中央部に支持シール条が突設されると共に、上端部が縮径することで保持部とされた保持筒体と、球体の中央部よりやや下部が支持シール条に支持されると共に、中央部よりやや上部が保持部に抜け出し不能に保持されて、保持筒内に離脱不能にかつ回転自在に収容された塗布ボールと、容器本体の口部に着脱自在に組み付けられ、口部に組み付けられたときに塗布ボールの上面を押圧し、この塗布ボールの下面を支持シール条に圧着させるキャップと、を備える塗布容器が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような塗布容器において、口部の内側に容器本体内と保持筒体内との間の連通及び遮断を切り替える逆止弁を設けることがある。これにより、いったん容器本体から流出した内容物が容器本体内へ逆流することを防止し、容器本体内の内容物を衛生的に保管することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−97434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の塗布容器では、いったん使用した後に、キャップを装着して塗布容器を保管すると、容器本体から流出した内容物が、逆止弁と支持シール条に圧着された塗布ボールとの間に充填される。この状態でキャップを取り外して塗布容器を再度使用しようとしても、充填された内容物によって塗布ボールが動きにくくなっているため、被塗布部分に対して内容物をスムーズに塗布できない場合がある。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、逆止弁を有する一方で塗布容器を再度使用したときに、被塗布部分に対して内容物をスムーズに塗布できる塗布容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明の塗布容器は、内容物が収容されるチューブ体と、前記チューブ体の口部内に装着された弁部材と、前記チューブ体の口部に外装された外装部材と、前記外装部材に装着される装着筒部、及び前記外装部材から容器軸方向に沿う前記チューブ体の外側に向けて突出する有底筒状の保持筒部を有する保持筒部材と、前記保持筒部の内部に回転自在に保持されると共に、一部が前記容器軸方向に沿う前記チューブ体の外側に突出する塗布ボールと、前記保持筒部材及び前記塗布ボールを覆うオーバーキャップと、を備える塗布容器であって、前記弁部材が、前記口部内に装着される本体筒部と、前記チューブ体内から前記本体筒部内への流通を許容しかつその逆向きの流通を規制する逆止弁部と、を有し、前記外装部材には、前記口部内に挿入される支持筒部が設けられ、前記本体筒部が、前記口部の内周面と前記支持筒部の外周面とにより径方向に挟まれ、前記保持筒部の底部には、前記本体筒部内に連通する連通開口部が形成され、前記保持筒部の底部における前記連通開口部の開口周縁部には、その全周にわたって連続して延び、かつ前記オーバーキャップにより押下された前記塗布ボールが密接するシール突条部が形成され、前記保持筒部の内周面には、前記塗布ボールの外周面との間で、前記保持筒部における前記容器軸方向に沿う前記連通開口部とは反対側の吐出開口部と前記連通開口部とを連通する連通溝部が形成されており、前記連通溝部が、前記保持筒部の内周面において、前記容器軸方向に沿って前記チューブ体から離間する側の端縁よりも前記容器軸方向に沿って前記チューブ体に近接する側へ離間した位置に形成されていることを特徴とする。
【0008】
この場合では、内容物が弁部材とシール突条部に密接する塗布ボールとの間に充填されていても、この内容物が連通溝部を通って吐出開口部に向けて流動可能となっているので、塗布時において内容物によって塗布ボールが吐出開口部から離間する方向に動くことが阻害されることを防止する。それにより、塗布ボールを被塗布部分に接触させて塗布容器を被塗布部分に沿って移動させたときに、塗布ボールは、被塗布部分に沿って回転しやすくなる。そのため、塗布容器を再度使用したときに被塗布部分に対して内容物をスムーズに塗布することができる。
また、上記充填されている内容物が連通溝部を通って吐出開口部に向けて流動するので、高粘度の内容物であっても、被塗布部分に対してスムーズに塗布することができる。さらに、チューブ体内からの内容物の吐出を連通溝部を介して目視にて確認可能である。また、本体筒部が口部の内周面と支持筒部の外周面との間に挟み込まれているので、本体筒部を口部の内側で安定して配設することができる。
【0009】
さらに、連通溝部により生ずる凹凸部が保持筒部の外側端縁に露出しないため、内容物の塗布時に上記凹凸部が被塗布部分に当たることを抑制できる。これにより、被塗布部分に刺激を与えることなく内容物を塗布できる。
【発明の効果】
【0010】
この発明にかかる塗布容器によれば、弁部材とシール突条部に密接する塗布ボールとの間に充填されている内容物が連通溝部を通して吐出開口部に流動されることが容易になるので、上記充填されている内容物によって塗布ボールが動きにくくならずに、内容物を塗布できる。また、高粘度の内容物を使用することができると共に、内容物の使用量を目視でき、さらに、弁部材を口部内に安定して配設できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態における塗布容器を示す軸方向断面図である。
図2図1の保持筒部の上端部を示す拡大断面図である。
図3図1の保持筒部の上端部を示す拡大正面図である。
図4】オーバーキャップを取り外した状態の塗布容器を示す軸方向断面図である。
図5図4の拡大断面図である。
図6】本発明を適用可能な他の保持筒部の上端部を示す拡大正面図である。
図7】同じく、本発明を適用可能な他の保持筒部の上端部を示す拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明における塗布容器の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0013】
本実施形態における塗布容器1は、例えば図1に示すように、内容物が収容されるチューブ体11と、チューブ体11の円筒状の口部12内に装着された円筒状の弁部材13と、チューブ体11の口部12に外装された円筒状の外装部材14と、外装部材14に装着される円筒状の保持筒部材15と、保持筒部材15の内部に保持される球状の塗布ボール16と、保持筒部材15及び塗布ボール16を覆う有頂円筒状のオーバーキャップ17と、を備えている。これらチューブ体11の口部12、弁部材13、外装部材14、保持筒部材15、塗布ボール16及びオーバーキャップ17は、それぞれの中心軸線を共通軸上に位置した状態で配設されている。以下、この共通軸を容器軸Oと称し、図1において容器軸Oに沿うチューブ体11側を下側、その反対側を上側とし、容器軸Oに直交する方向を径方向、容器軸O回りで周回する方向を周方向とする。
【0014】
チューブ体11の口部12の下端部には、径方向内側に向けて突出する平面視で円環状の弁座部18が全周にわたって形成されている。また、口部12の外周面には、径方向外側に向けて突出しかつ上下方向に延在する複数の第1縦リブ部12Aが周方向に間隔をあけて形成されている。さらに、口部12の下端部には、第1係合突出部12Bが全周にわたって径方向外方に向けて突設されている。なお、第1係合突出部12Bは、周方向に沿って間欠的に形成されてもよい。
【0015】
弁部材13は、口部12内に装着される円筒状の本体筒部21と、チューブ体11内から本体筒部21内への流通を許容しかつその逆向きの流通を規制する円板状の逆止弁部22と、本体筒部21及び逆止弁部22を接続する3つの連結部23と、を有する。
逆止弁部22は、弁座部18上に離間自在に着座されており、弁座部18の開口を開閉することによって本体筒部21内とチューブ体11内との連通及び遮断を切り替える。
連結部23は、周方向に間隔をあけて配設されている。
なお、逆止弁部22は、本体筒部21の下端部に配設されているが、本体筒部21の上下方向の他の箇所に配設されてもよい。また、弁部材13は、いわゆる三点弁であるが、本体筒部21及び逆止弁部22を有する構造であれば、他の構造の弁部材であってもよい。
【0016】
外装部材14は、円筒状の外筒部31と、外筒部31よりも径方向内側に配設された円筒状の内筒部32と、内筒部32よりも径方向内側に配設された支持筒部33と、これらを接続する円環板状の環状接続部34と、を有する。
外筒部31の下端部の外周面には、オーバーキャップ17を螺着するための雄ネジ部31Aが形成されている。
また、外筒部31の下端部の内周面には、径方向内側に向けて突出しかつ上下方向に延在する複数の第2縦リブ部31Bが周方向に間隔をあけて形成されている。この第2縦リブ部31Bは、周方向で隣り合う2つの第1縦リブ部12A間の隙間に配設されており、外装部材14が口部12に対して容器軸O回りで回転することを防止する。
さらに、外筒部31の下端部のうち第2縦リブ部31Bよりも下方には、第2係合突出部31Cが全周にわたって径方向内側に向けて突設されている。第2係合突出部31Cは、第1係合突出部12Bと下方から係合することによって外装部材14が口部12から容易に離脱することを防止する。なお、第2係合突出部31Cは、周方向に沿って間欠的に形成されてもよい。また、外装部材14は、他の構造により口部12に対して着脱自在にまたは着脱不能に装着されてもよい。
また、外筒部31の上端部の内周面には、第1装着突出部31Dが全周にわたって径方向内側に向けて突設されている。第1装着突出部31Dは、上下方向に離間して2本形成されている。なお、第1装着突出部31Dは、1本や3本以上形成されてもよく、周方向に沿って間欠的に形成されてもよい。
【0017】
内筒部32は、環状接続部34から上方に向けて延設されている。
支持筒部33は、環状接続部34の内周縁から下方に向けて延設されており、口部12内に挿入されている。そして、支持筒部33の外周面は、口部12の内周面との間で本体筒部21を挟み込んでいる。これにより、本体筒部21は、口部12の内側で安定して配設される。
【0018】
保持筒部材15は、外装部材14に装着される円筒状の装着筒部41と、装着筒部41の上端に連設され、外装部材14から上方に向けて突出する有底円筒状の保持筒部42と、を有する。
装着筒部41は、外筒部31の上端部と内筒部32との間に配設されており、装着筒部41の外周面には、第2装着突出部41Aが全周にわたって径方向外側に向けて突設されている。
第2装着突出部41Aは、上下方向に離間して2本形成されており、第1装着突出部31Dに対して下方から各別に係合することによって、保持筒部材15が外装部材14から容易に離脱することを防止する。なお、第2装着突出部41Aは、1本や3本以上形成されてもよく、周方向に沿って間欠的に形成されてもよい。また、装着筒部41は、外筒部31の内周面と内筒部32の外周面との間に嵌め込まれるなど、他の方法により外装部材14に対して着脱自在にまたは着脱不能に装着されてもよい。
【0019】
保持筒部42の内部には、その内径が下端部から上下方向の中央部に向かうにしたがって漸次拡径すると共にこの中央部から上端部に向かうにしたがって漸次縮径する保持空間43が形成されており、この保持空間43には、塗布ボール16が収容されている。
また、保持筒部42の底部の中央部には、口部12に連通する連通開口部42Aが形成されている。そして、保持筒部42の底部における連通開口部42Aの開口周縁部には、全周にわたって連続して延在するシール突条部44が上方に向けて突設されている。シール突条部44には、図1に示すように、オーバーキャップ17の装着時において、塗布ボール16が密接されている。
【0020】
また、保持筒部42の上端部の内周面には、図1から図3に示すように、塗布ボール16の外周面との間で、保持筒部42における吐出開口部42Bと連通開口部42Aとの間を連通する連通溝部45が形成されている。連通溝部45は、保持筒部42の上端部の内周面において周方向に間隔をあけて複数(例えば6つ)形成されている。また、連通溝部45は、保持筒部42の吐出開口部42Bから下方に離間した位置から下方に向けて上下方向に沿って直線状に延在している。
【0021】
塗布ボール16は、球状をなしており、保持筒部42の保持空間43内で回転自在にかつ外側に離脱不能に保持されている。また、塗布ボール16の一部は、保持筒部42の吐出開口部42Bから上方に突出している。
塗布ボール16は、オーバーキャップ17の離脱時において、保持筒部42の保持空間43内でシール突条部44から離間可能に保持されており、オーバーキャップ17の装着時において保持筒部42の上端部から離間している。
【0022】
オーバーキャップ17は、円板状の頂壁部51と、頂壁部51の外周縁から下側に向けて延設された円筒状の周壁部52と、を有する。
頂壁部51の下面の中央部には、オーバーキャップ17の装着時において塗布ボール16を押下する押下突出部51Aが全周にわたって下方に向けて突設されている。なお、オーバーキャップ17は、装着時において塗布ボール16を押下できれば、頂壁部51が直接塗布ボール16を押下する構成やオーバーキャップ17に塗布ボール16を押下するための部材を設けた構成など、押下突出部51Aを設けない構成であってもよい。
周壁部52の内周面には、外筒部31の雄ネジ部31Aと螺合する雌ネジ部52Aが形成されている。なお、オーバーキャップ17は、雌ネジ部52A及び雄ネジ部31Aの螺合以外の他の方法により外筒部31に対して着脱自在に装着されてもよい。
【0023】
次に、このような構成の塗布容器1の使用方法について説明する。
まず、オーバーキャップ17を取り外す。これにより、押下突出部51Aによる塗布ボール16の押し下げ状態が解除され、図4及び図5に示すように、塗布ボール16は、シール突条部44から離間可能となる。しかし、塗布容器1を少なくとも一度は使用している状態では、チューブ体11から流出した内容物が弁部材13の逆止弁部22とシール突条部44に接触している塗布ボール16との間に充填されている。そのため、押下突出部51Aによる塗布ボール16の押し下げ状態が解除されても、上記充填している内容物により、塗布ボール16は、動きにくくなっている。しかし、保持筒部42の上端部の内周面に連通溝部45が形成されているので、たとえ塗布ボール16が保持筒部42の上端部に接触していても、塗布容器1の外部と本体筒部21の内側との間の連通が確保される。そのため、上記充填している内容物は、この連通溝部45を通って吐出開口部42Bへ染み出やすくなっている。これにより、塗布ボール16は、上下方向に移動しやすくなり、内容物により塗布ボール16が動きにくくなることが回避される。
【0024】
この状態で塗布ボール16を被塗布部分に接触させながら塗布ボール16を回転させることにより、塗布ボール16の表面の内容物が被塗布部分に塗布されていく。ここで、連通溝部45が被塗布部分を引っ掻くことなく、スムーズに内容物が塗布される。
内容物の供給は、例えばチューブ体11を圧搾することによって行われる。チューブ体11を圧搾すると、チューブ体11の内圧が上昇し、弁部材13の逆止弁部22が弁座部18から離間し、連通開口部42Aが開放されて本体筒部21内とチューブ体11内とが連通する。これにより、チューブ体11内の内容物は、本体筒部21の内側に流入していく。このようにして、チューブ体11内の内容物を供給していく。なお、例えばチューブ体11から供給された内容物の圧力によってなど、塗布ボール16が保持筒部42の上端部の内周面に接触しても、供給された内容物が連通溝部45を通って吐出開口部42Bへ流動する。そのため、供給された内容物によって塗布ボール16が動きにくくなることが回避される。
内容物の供給は、チューブ体11の圧搾を解除することによって停止される。圧搾を解除すると、弁部材13の逆止弁部22が弁座部18上に着座し、本体筒部21内とチューブ体11内との連通が遮断される。これにより、チューブ体11内の内容物が衛生的に保管される。
以上のようにして、塗布容器1を用いて内容物を被塗布部分に塗布する。
【0025】
以上のような構成の塗布容器1によれば、弁部材13の逆止弁部22とシール突条部44に密接する塗布ボール16との間に内容物が充填されていても、連通溝部45を通して上記充填している内容物を吐出開口部42Bに流動させることが容易であるので、塗布容器1を再度使用したときに被塗布部分に対して内容物をスムーズに塗布できる。また、連通溝部45を介して内容物を吐出開口部42Bに流出させやすいため、内容物の粘度が高くても、内容物をスムーズに塗布できる。さらに、連通溝部45を通して充填されている内容物を視認できるので、内容物の使用状況を確認できる。また、弁部材13が口部12内に安定して装着されるので、逆止弁部22の開閉動作が安定する。
さらに、連通溝部45により生ずる凹凸部が保持筒部42の外端開口部に露出しないため、上記凹凸部が被塗布部分に触れることなく内容物を塗布できる。
【0026】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、連通溝部の形状は、例えば図6に示すように、上下方向に対して斜めに延在する連通溝部101であってもよく、例えば図7に示すように、その上端が保持筒部42の上端開口部に達する連通溝部102であってもよい。連通溝部の上端が保持筒部の上端開口部まで達する場合には、内容物を塗布容器の外部に向けて流動させることが促進できる。
【0027】
また、連通溝部の形状は、上下方向の全長にわたって一定でなくてもよく、その周方向の幅が下方に向かうにしたがって広くなるまたは狭くなってもよく、例えば曲線状など直線状に延在しなくてもよい。さらに、連通溝部の長さは、塗布ボールの外周面との間で保持筒部の上端開口部と連通開口部とを連通することが可能であれば、保持筒部の上下方向の全長にわたって形成するなど、適宜変更してもよい。連通溝部の深さについても、適宜変更してもよい。また、連通溝部の数は、1以上であれば、適宜変更してもよく、周方向で等間隔をあけて配設されていなくてもよい。内容物の粘度などに応じて連通溝部の本数や形状などを適宜変更することにより、内容物を均一に塗布できる。
さらに、外装部材と保持筒部材とは、別部材として形成されているが、一体的に形成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
この発明によれば、逆止弁を有する一方で塗布容器を再度使用したときに、被塗布部分に対して内容物をスムーズに塗布できる塗布容器に関して、産業上の利用可能性が認められる。
【符号の説明】
【0029】
1 塗布容器、11 チューブ体、12 口部、13 弁部材、14 外装部材、15 保持筒部材、16 塗布ボール、17 オーバーキャップ、21 本体筒部、22 逆止弁部、33 支持筒部、41 装着筒部、42 保持筒部、42A 連通開口部、42B 吐出開口部、44 シール突条部、45,101,102 連通溝部、51A 押下突出部、O 容器軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7