特許第6274859号(P6274859)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6274859有益剤送達粒子、前記粒子を調製するための方法、前記粒子を含む組成物および基質を処理するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6274859
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】有益剤送達粒子、前記粒子を調製するための方法、前記粒子を含む組成物および基質を処理するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/11 20060101AFI20180129BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20180129BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20180129BHJP
   A61K 8/87 20060101ALI20180129BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20180129BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20180129BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20180129BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20180129BHJP
   A61Q 15/00 20060101ALI20180129BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20180129BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20180129BHJP
   C08F 2/00 20060101ALI20180129BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20180129BHJP
   C08F 20/06 20060101ALI20180129BHJP
   C08F 289/00 20060101ALI20180129BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20180129BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20180129BHJP
   C08G 18/72 20060101ALI20180129BHJP
   C08G 18/82 20060101ALI20180129BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20180129BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
   A61K8/11
   A61K8/73
   A61K8/81
   A61K8/87
   A61Q1/14
   A61Q5/02
   A61Q5/12
   A61Q13/00 102
   A61Q15/00
   A61Q19/00
   A61Q19/10
   C08F2/00 Z
   C08F2/44 C
   C08F20/06
   C08F289/00
   C08G18/00 A
   C08G18/32
   C08G18/72
   C08G18/82
   C11D3/50
   C11D17/08
【請求項の数】2
【全頁数】45
(21)【出願番号】特願2013-519061(P2013-519061)
(86)(22)【出願日】2011年7月11日
(65)【公表番号】特表2013-538882(P2013-538882A)
(43)【公表日】2013年10月17日
(86)【国際出願番号】EP2011061782
(87)【国際公開番号】WO2012007438
(87)【国際公開日】20120119
【審査請求日】2014年5月9日
【審判番号】不服2016-3419(P2016-3419/J1)
【審判請求日】2016年3月4日
(31)【優先権主張番号】1011905.5
(32)【優先日】2010年7月15日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】590003065
【氏名又は名称】ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】バーネツト,スチユアート・アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ジヨーンズ,クレイグ・ウオーレン
(72)【発明者】
【氏名】ライマー,アダム・ジヨン
(72)【発明者】
【氏名】メリントン,ジエームズ
(72)【発明者】
【氏名】ウインター,ジエレミー・ニコラス
【合議体】
【審判長】 加藤 友也
【審判官】 小野寺 務
【審判官】 渕野 留香
(56)【参考文献】
【文献】 特表2000−503051(JP,A)
【文献】 特表2004−513192(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/153695(WO,A1)
【文献】 特表2008−518765(JP,A)
【文献】 特開2003−93868(JP,A)
【文献】 特開2010−18604(JP,A)
【文献】 特表2009−507592(JP,A)
【文献】 特開2009−107941(JP,A)
【文献】 特表2006−510580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00- 18/87
C08G 71/00- 71/04
C08F251/00-283/00
C08F283/02-289/00
C08F291/00-297/08
C08F 2/00- 2/60
C08C 19/00- 19/44
C08F 6/00-246/00
C08F301/00
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
B01J 13/02- 13/22
C11D 1/00- 19/00
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00- 90/00
B82Y 5/00- 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
50ミクロン未満の平均径を有する粒子であって、
a)少なくとも1つのポリウレタンシェル;
b)前記シェルの内部でエチレン性不飽和種の連鎖成長重合によって形成される固体コア;
c)前記シェルの外部の多糖沈殿助剤;および
d)前記コア内に吸収されたフレグランス、を含む粒子。
【請求項2】
50から500nmの粒径を有する、請求項に記載の粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、場合により有益剤および/または沈殿助剤を含む粒子の基質への送達、前記粒子を調製するための工程ならびに同一物を含む調製物の調製および使用に関する。本発明は、本明細書において洗濯処理組成物を参照しながら詳細に記載するが、この他の用途やより広範囲の用途を有する。
【背景技術】
【0002】
多数のホームケアおよびパーソナルケア調製物は、基質、例えば布、毛髪および皮膚へいわゆる有益剤を送達することを目指している。高価な有益剤も一部にはあるため、粒子内への有益剤のカプセル封入が、送達を強化する有利な手段として提案されてきた。粒子の送達自体もまた、粒子が、特定の有益剤の非存在下においてさえ利点を付与する場合に有用な可能性がある。
【0003】
これらの粒子はポリマーを含むことができ、多数の様々なタイプの重合は公知である。本明細書では、ステップ成長重合と連鎖成長重合とを識別する。これは、Paul Floryによって1953年に指摘された明確に確立された反応機序の識別である(Paul J.Flory,「Principles of Polymer Chemistry」,Cornell University Press,1953,p.39.ISBN 0801401348を参照されたい。)。
【0004】
本明細書のためには、連鎖成長ポリマーは、モノマーが原子もしくは分子の消失を全く伴わずに転位(例えば、不飽和および典型的にはビニル結合の、または開環反応による。)によって結び付く反応によって形成されるポリマーである。連鎖成長ポリマーは、連鎖の一端から単一方向にのみ成長し、典型的には開始剤が使用される。連鎖成長重合では、鎖末端での成長が終了すると、末端が非反応性になることは一般的なことである。
【0005】
連鎖成長重合の1つのタイプの例は、フリーラジカル重合反応、例えばポリスチレンを生成するためのベンゾイルペルオキシドの(ラジカル開始剤としての)存在下でのスチレン(ビニルベンゼン)の周知の重合である。同様に、アルミニウムクロライドを使用すると、合成ゴムを形成するためにイソブチレンの重合を開始することができる。この他の例には、アクリレートまたはメタクリレートの重合反応が含まれる。
【0006】
ステップ成長ポリマーは、この連鎖がますます大きなオリゴマーを形成するための多官能モノマーの反応の最中に形成されるポリマーである。成長はマトリックス全体で発生し、モノマーの濃度は反応の早期に急速に低下する。ステップ成長重合のためには開始剤は必要とされず、成長中の連鎖の末端は、一般には常に活性のままとなる。典型的には(必ずではないが)、水であることが多い低分子は重合工程において除去される。
【0007】
ステップ成長重合の例は、水を除去しながらジカルボン酸とグリコールとを反応させることによるポリエステルの形成である。また別の例は、「Bakelite」を調製するためのフェノールおよびホルムアルデヒドの重合である。この他の周知のステップ成長重合反応は、ポリエステル、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミドおよびポリエーテルの形成である。
【0008】
連鎖成長重合およびいわゆる「付加重合」は異なる概念であることに留意されたい。付加重合は、反応生成物がポリマーのみである重合である。これは、低分子(「凝縮物」)もまた生成される「縮合重合」とは対照的である。例えばポリウレタンは、ウレタン/カルバメート結合(R−NH−CO−O−R)を形成するための(ジ)イソシアネート化合物(R−N=C=O)と(ジ)ヒドロキシ化合物(HO−R)との付加重合によって生成されるが、この反応機序は、低分子の除去を伴わない分子転位が存在するので、連鎖成長ではなくむしろステップ成長である。
【0009】
連鎖成長およびステップ成長はどちらも、成分の一部がエマルジョンの分散相内に存在する重合によって粒子を調製するために使用されてきた。連鎖成長の場合には、成分の全部が、開始されると内部で反応して粒子を形成する分散相の液滴内に存在することができる。ステップ成長の場合には、成分は、界面で「シェル」を形成するために分散相表面で反応するために分散相内および連続相内の両方に存在することができる。
【0010】
US2009/312222では、粒子は、約30から500nmのようなサイズを備える粒子を得るためにいわゆる「ミニエマルジョン」重合を使用して調製される。ポリマーは、連鎖成長フリーラジカル重合を受けることのできるモノマーに由来する単位を含んでいる。GB2432851は、フリーラジカル重合を受けることのできるモノマーに由来する粒子について開示している。GB2432850は、コアおよびシェルの両方がフリーラジカル重合を受けることのできるモノマーに由来するモノマー単位を含んでいるコア/シェル粒子について開示している。
【0011】
エマルジョン重合は、さらにまたステップ成長反応を使用して実施することもできる。US4622267は、マイクロカプセルを調製するための界面重合技術について開示している。US2002/169233は、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリウレアなどのマイクロカプセル壁が2相間の界面で形成される界面重合工程について開示している。最初にコア材料が溶媒中に溶解させられ、溶媒混合液中に可溶性の脂肪族ジイソシアネートが加えられる。引き続いて、脂肪族ジイソシアネートのための非溶媒が、濁り点のぎりぎりに達するまで加えられる。この有機相は次に水溶液中で乳化させられ、反応性アミンが水相に加えられる。アミンは界面に拡散し、界面でジイソシアネートと反応してポリマー性ポリウレアシェルを形成する。
【0012】
壁材料がステップ成長ポリマーおよび連鎖成長ポリマーの両方を含むマイクロカプセルが提案されている。
【0013】
US2005/0153839は、ポリウレタンもしくはポリウレアの壁を有するマルチカラー感熱記録材料の調製において使用するためのマイクロカプセルについて開示している。ポリマー壁は、さらにポリエーテルを含む少なくともビニルモノマーをラジカル重合する工程によって得られるポリマーを(共有結合)によって含んでいる。好ましくは、この壁のための原料は、ジイソシアネートである。ビニルポリマーは、壁によって封入されるのではなく壁の中に含まれることに留意されたい。
【0014】
EP2204155は、メラミン−ホルムアルデヒド(ステップ成長ポリマー)シェルを有する漏れない砕けやすいコア・シェル型フレグランスマイクロカプセルであって、該コアは場合により、数ある中でも特に、任意の標準手段、例えば不飽和モノマー、例えばビニルもしくはアクリルモノマー(連鎖成長ポリマーである。)のラジカル重合によって調製できる高密度有機油溶性成分を含むことのできるコア・シェル型フレグランスマイクロカプセルについて開示している。または、ポリマーは、縮合反応、例えばポリエーテルもしくはポリエステル(ステップ成長ポリマーである。)を生じさせる反応によって調製できる。フレグランスは、少なくとも1つの環状フレグランス材料を含んでいる。これらの予備成形高密度材料を含む理由は、分離を防止するためにマイクロカプセルの密度をこの中で該マイクロカプセルが使用される組成物の密度と適合させるためである。
【0015】
WO2010/051293(Lubrizol,2010)は、5ミクロン未満(好ましくは200nm未満)の数平均粒径を有するハイブリッド粒子の分散について開示している。該粒子は、ポリウレタンの「シェル」およびアクリルコポリマーの「コア」を含んでいる。該粒子は、ポリウレタン(ポリオール、ジオール、ジイソシアネート)およびアクリルコポリマー(例、MMA、nBA)を形成するために必要な全ての成分を結合することによって得られる;得られたポリウレタン粒子は中和され、中和されたポリウレタンは水中に分散させられる。ラジカル開始剤の添加によって、アクリルコポリマーが形成される。架橋モノマー(例、アリルメタクリレート)もまた使用できる。ハイブリッドポリウレタン−アクリルコポリマーは、パーソナルケア組成物または繊維製品用途において使用され、フレグランスを装填できる。
【0016】
US2002/058732(Mistry,2002)は、シェル内にコアを有する粒子を含む粒子状組成物について開示している。コアは、(メタ)アクリル酸の疎水性アルキルエステルから形成される疎水性ポリマーを含んでいる;シェルは、界面重縮合反応によって形成され、コア(例、ポリアミド)の周囲に半透膜を含んでいる。該粒子は、0.5から30ミクロンの平均粒径を有する。
【0017】
US3516941(Matson,1970)は、25ミクロン以下の粒径を有する粒子(マイクロカプセル)の製造であって、該粒子がアミノプラストタイプの水不溶性非熱可塑性合成樹脂および水不溶性充填材料(例、重合したフーゼル油アクリレート)のシェルを有する粒子の製造について開示している。
【0018】
有益剤、例えば香料などの有益剤のための効果的なカプセル封入物は、以下の特性を有していなければならない:
有益剤20w/w%以上という目標負荷量を有していなければならず、容易に負荷できなければならない;
製造中および貯蔵中の製品内への該有益剤の漏れを最小限に抑えなければならない;
例えば、構造化系および/または懸濁化系の存在を必要とすることによるバルク調製物の修飾を必要としてはならない;
理想的には、カプセル封入物は基質上に明確に沈殿しなければならない;
カプセル封入物は、有益剤の放出を制御しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/312222号明細書
【特許文献2】英国特許第2432851号明細書
【特許文献3】英国特許第2432850号明細書
【特許文献4】米国特許第4622267号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2002/169233号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2005/0153839号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第2204155号明細書
【特許文献8】国際公開第2010/051293号
【特許文献9】米国特許出願公開第2002/058732号明細書
【特許文献10】米国特許第3516941号明細書
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Paul J.Flory,「Principles of Polymer Chemistry」,Cornell University Press,1953,p.39.ISBN 0801401348
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明者らは、改良された粒子は、ステップ成長ポリマー(例えば、イソシアネートをベースとするポリマー)を含むシェルおよび連鎖成長ポリマー(例えば、ポリ(メタ)アクリレート)を含む該シェルの内部の少なくとも1つの領域を含むことを見出した。該シェルは、界面重合によって形成することができ、該内部領域はラジカル重合によって形成することができる。有益にも、シェルを含むポリマーは、「内部」ポリマーの前に形成される。
【課題を解決するための手段】
【0022】
従って本発明は、50ミクロン未満の平均径を有する粒子であって、
a)ステップ成長重合反応によって形成される少なくとも1つのシェル、
b)該シェルの内部で、イソシアネートを含んでいない連鎖成長重合反応によって形成される少なくとも1つの領域、および
c)該シェルの内部の有益剤、および該シェルの外部の表面修飾
を含む粒子を提供する。
【0023】
当該の粒子は、典型的には有益剤のためのシンクを提供する「コア」を形成する内部領域および有益剤を保護して該有益剤のコアからの流出入を調節するシェルを有する。そこで本粒子は、内部領域と他の場所との間の有益剤の(動力学的ではなくむしろ)熱力学的分配を制御する担体であってよい。これは、香料の後期添加が必要とされる場合に、粒子および香料を生成物中へ別個に投与できるので特に有益である。
【0024】
典型的には、該シェルを形成するために使用されるステップ成長重合反応は縮合重合ではなく、およびより好ましくは、イソシアネートモノマー、より好ましくはウレタンおよび/またはウレアを含んでいる。イソシアネートモノマーは、反応性であり、高モノマー変換を可能にし、乾燥およびこの他の加工処理を乗り切ることのできる頑丈で光沢のあるシェルを形成する。上述したように、イソシアネートモノマーは、ステップ成長機序によって反応するが、低分子が重合中に除去されないことによって付加ポリマーであると分類される。
【0025】
好ましくは、内部領域を形成するために使用される連鎖成長重合反応は、より好ましくは少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー、便宜的にはビニルモノマー、最も好ましくはアクリレートもしくはメタクリレートから選択されるモノマーのラジカル重合反応である。当該の材料は、内部領域(典型的には「コア」)および有益剤が望ましい送達パラメーターのために最適化されるための適合性を可能にする。特に、有益剤および内部領域を含む連鎖成長ポリマーの溶解性パラメーターは、改良された吸収および/または送達を達成するために適応させることができる。
【0026】
粒子は、表面修飾、好ましくは沈殿助剤を含んでいる。特に好ましい実施形態では、沈殿助剤は、タンパク質、セルロース、ポリエステルもしくはポリアミド表面にとって直接付着性である。当該の沈殿助剤を使用することによって、特定基質への送達の効率を強化することができる。
【0027】
典型的には、粒子は10ミクロン未満の平均径、および好ましくは1ミクロン未満、より好ましくは500nm未満の平均径を有する。小さな粒子の1つの利点は、これらの粒子が透明生成物内で目に見えにくいことである。また別の有用な利点は、500nm未満のサイズは繊維状基質上への沈殿に好都合であり、懸濁化系および/または構造化系の必要を伴わない調製を許容できることである。
【0028】
有益にも、粒子は疎水性有益剤、好ましくは官能的有益剤、より好ましくはフレーバーもしくはフレグランスを含んでいる。
【0029】
上述したように、有益剤は、粒子形成中に該粒子内へ導入できる、または粒子形成後に「中空」粒子内へ導入することができる。
【0030】
本発明による粒子は、連鎖成長重合が阻害される条件下で最初にシェルを形成するために界面ステップ成長重合を実施することによってエマルジョンから形成することができる。引き続いて、条件は、シェル内の材料が連鎖成長重合を受けるように変化させられる。条件の適切な変化は、連鎖成長反応が阻害される温度から連鎖成長反応が進行する温度へ上昇させることである。他の考えられる条件の変化は、例えば、温度依存性ではなく光線依存性である連鎖成長反応を使用することであろう。
【0031】
本発明の好ましい実施形態は、
a)好ましくは1,000nm未満、より好ましくは500nm未満の平均分散粒径を有し、
i)第1コモノマー、好ましくは適切な第2コモノマーとステップ成長重合できるイソシアネートモノマー、
ii)任意の有益剤、好ましくは官能的有益剤、
iii)少なくとも1つのモノマー、好ましくは連鎖成長重合できるアクリレートもしくはメタクリレート、および
iv)ラジカル開始剤、好ましくは、第1コモノマーがステップ成長重合を受ける温度では有意に活性ではないペルオキシドもしくはアゾ開始剤を含む
分散非水相、
および
i)水、
ii)乳化剤、
iii)第1コモノマーのための第2コモノマー、好ましくはジオールもしくはジアミンを含む
連続水相
を有するエマルジョンを形成する工程、
b)該エマルジョンを該ステップ成長重合は発生するが連鎖成長重合は発生しない温度で維持する工程、および続いて、
c)該エマルジョンを該連鎖成長重合が進行する温度で維持する工程、および
d)(c)の終了時に沈殿助剤を加える工程
を含む方法によって入手できる粒子を提供する。
【0032】
好ましくは、第1および第2コモノマーは、ポリウレタン(近似公式(−R−NH−CO−O−R−O−CO−NH−))によって例示できる。)またはポリウレア(近似一般式(−NH−CO−NH−R−))によって例示できる。)を形成するためのステップ成長機序によって反応する。
【0033】
連鎖成長重合が可能なモノマーは、好ましくはエチレン性不飽和、より好ましくはビニル性である。別の方法では、開環機序を使用できる。
【0034】
有益にも、上述した方法は、単純性および損失の減少という利点を有する将来性のある「ワンポット」反応を提供する:つまり、シェルはエマルジョン液滴の界面でステップ成長重合によって形成され、コアは引き続いてインサイチュー連鎖成長重合によって該シェル内で形成される。
【0035】
便宜的にも、本粒子はさらに、イソシアネート、アルコール、アミン官能基を有する二官能種より高い種由来および/または単官能より高いビニルモノマー由来の架橋剤を含んでいる。三官能および四官能材料が好ましい。架橋剤の利点は、シェルもしくは内部領域いずれかの頑丈性を増加させること、および透過性を低下させることである。シェル内の架橋剤、特に多官能イソシアネートは、漏出の可能性を劇的に低下させることができる。内部領域内の架橋剤は、「コア」と有益剤との相互作用を、例えば溶解性パラメーターの修正によって修正することができる。
【0036】
本発明のまた別の態様は、本発明による粒子を含む製品を製造するための工程であって、粒子および有益剤が調製物へ個別に加えられる工程を提供する。
【0037】
本発明のまた別の態様は、基質を処理する方法であって、好ましくは該基質は皮膚、毛髪および/または繊維材料から選択され、該基質を本発明による粒子を含む組成物を用いて処理する工程を含む方法を提供する。
【0038】
本発明の粒子が頑丈であるために、本発明の粒子は、相当に過酷な環境、例えば高溶媒含量、漂白剤および/または極度のpHを有する生成物中で調製することができる。本粒子は、さらに機械的破砕、例えば製品加工処理、輸送、貯蔵または使用、特に皮膚、毛髪または繊維への適用中に発生する可能性がある機械的破砕にも抵抗性である。
【0039】
本発明のさらにまた別の態様は、本発明による少なくとも1つの粒子を含むホームケアもしくはパーソナルケア組成物、より好ましくは洗濯用洗剤、洗濯用コンディショナー、デオドラント剤、制汗剤、シャンプー、ヘアコンディショナーまたはスキンケアもしくは皮膚洗浄剤を提供する。
【0040】
本発明の粒子は小さい、特に500nm未満の可能性があるので、本発明の粒子は、懸濁化剤を必要とせず、これにより生成物の調製を単純化し、澄んだ/透明な製品の製造を可能にする。ミニエマルジョン粒子は、50nmのように小さい可能性がある。
【0041】
本発明をさらにより明確に理解できるように、以下では本発明の特定の実施形態およびさらに好ましいおよび/または任意の特徴を参照しながら説明する。引用した全ての量は、他に特に記載しない限り全組成物のwt%(重量%)である。
【0042】
作用例および比較例、または他に明示的に指摘した場合を除いて、材料の量もしくは比率または反応の条件、材料の物理的特性および/または使用を指示する本明細書における全ての数は、用語「約」によって修飾されていると理解すべきである。
【0043】
ステップ成長ポリマー:
上述したように、ステップ成長ポリマー(「シェル」を含む。)は、モノマーからますますより大きなオリゴマーの形成によって形成される。適切なクラスの当該モノマーは、メラミン/ウレア/ホルムアルデヒドクラス、イソシアネート/ジオールクラス(特にポリウレタン)およびポリエステルからなる群の中に見いだされる。好ましいのは、メラミン/ウレア/ホルムアルデヒドクラス、イソシアネート/ジアミンクラスおよびポリウレタンを形成するこの他のモノマーのクラスである。
【0044】
適切なモノマー化合物には:ウレア、チオウレア、ジシアン−ジアミド、メレム(1,3,4,6,7,9,9b−ヘプタアザフェナレン)、メラム(N2−(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン)、メロン(式中、ヘプタジンはアミン結合を通して結合したトリ−s−トリアジン単位と重合される。)、アメリン(4,6−ジアミノ−2−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジン)、アメリド(6−アミノ−2,4−ジヒドロキシ−1,3,5−トリアジン)、置換メラミン、グアナミンまたはこれらの混合物が含まれる。
【0045】
置換メラミンには、一、二または三置換であってよいアルキルメラミンおよびアリールメラミンが含まれる。アルキル置換メラミンでは、各アルキル基は、1から6個の炭素、好ましくは1から4個の炭素を含有することができる。
【0046】
一部のアルキル置換メラミンの代表的な例は、モノメチルメラミン、ジメチルメラミン、トリメチルメラミン、モノエチルメラミンおよび1−メチル−3−プロピル−5−ブチルメラミンである。
【0047】
アリール置換メラミンでは、各アリール基は、1から2個のフェニル成分、および好ましくは1個のフェニル成分を含有することができる。アリール置換メラミンの典型的な例は、モノフェニルメラミンまたはジフェニルメラミンである。
【0048】
特に適切なステップ成長ポリマーは、これらステップ成長ポリマーのイソシアネートモノマーが芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートおよびこれらの混合物であるステップ成長ポリマーである。
【0049】
適切な芳香族ポリイソシアネートは、2,4−および2,6−トルエンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリフェニルメタン−p,p’p’’−トリチルトリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンイソシアネート、2,4,4’−ジフェニルエーテルトリイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4−ジフェニルジイソシアネートおよび4,4’4’’−トリフェニルメタントリイソシアネートを含むがこれらに限定されない。
【0050】
適切な脂肪族ポリイソシアネートは、ジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジイソシアネート、ヘキサメチレンl,6−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンl,6−ジイソシアネートのトリマー、イソホロンジイソシアネートのトリマー、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレア、トリメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネートおよびブチレンl,2−ジイソシアネートならびにこれらの混合物を含むがこれらに限定されない。
【0051】
好ましいイソシアネート材料は:2,4−および2,6−トルエンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートである。
【0052】
ステップ成長重合において使用されるコモノマーは、典型的にはジオールまたはジアミンである。
【0053】
適切なジオールは、低分子量ポリマー、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、シクロヘキシルl,4−ジメタノール、1,8−オクタンジオール;高分子量ポリオール、例えば200から2000の範囲内の平均分子量を有するポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリエステルジオール、カルボキシル基を含有するジオール、例えばジメチロールプロピオン酸(DMPA)およびジメチロールブタン酸(DMBA)ならびにこれらの混合物を含むがこれらに限定されない。
【0054】
好ましいジオール材料は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールおよびジプロピレングリコールである。より疎水性のジオール(特に、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールおよび1,6−ヘキサンジオール)は、これらの材料を用いた安定性エマルジョンおよびこれによってより効率的重合を得るのが一般により容易であるので好ましい。
【0055】
適切なジアミンは、アミン、例えばエチレンジアミン(EDA)、フェニレンジアミン、トルエンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタアミン、ペンタメチレンヘキサミン、1,6−ヘキサンジアミン、メチレンテトラミン、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5トリアジン1,2−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、2,4,4−トリアミノジフェニルエーテル、ビス(ヘキサ−メチレントリアミン)、1,4,5,8−テトラアミノアントラキノン、イソホロンジアミン、ジアミノプロパンおよびジアミノブタンならびにこれらの混合物を含むことができる。
【0056】
好ましいジアミン材料は、エチレンジアミンおよび1,6−ヘキサンジアミノである。
【0057】
これらのコモノマーのモル比は、好ましくは水溶性モノマーが油溶性コモノマーより最大10モル%過剰、好ましくは1から8モル%過剰、より好ましくは2から5モル%過剰で存在するように選択される。このことは、イソシアネートモノマーの完全な反応を保証すると考えられる。
【0058】
ステップ成長重合のための架橋剤:
上述したように、架橋剤は、有益にもシェルの特性を改良する。ステップ成長重合のために適切な多数の架橋剤は公知である。架橋剤は、粒子からの有益剤の漏出を有意に減少させる。架橋剤は、好ましくはポリアミンおよびポリオールである。
【0059】
好ましいアミン官能性架橋剤は、2つより多いアミン官能基、例えばテトラエチレンペンタミン、トリエチレンテトラアミン、2,4,4’−トリアミノジフェニルエーテル、ビス(ヘキサメチレントリアミン)、1,4,5,8−テトラアミノアントラキノンおよびジエチレントリアミン(DETA)ならびにこれらの混合物を含有している。
【0060】
好ましいアルコール官能性架橋剤は、2つより多いアルコール官能基、例えばグリセロール、ペンタエリトリトールおよび1,1,1トリヒドロキシメチルプロパンを含有している。
【0061】
特に好ましい架橋剤は、ポリフェニルイソシアネートである。
【0062】
架橋剤の好ましい濃度は、ステップ成長モノマーの1から50モル%、より好ましくは2から35モル%である。
【0063】
連鎖成長ポリマー:
上述したように、シェルの内部の少なくとも1つの領域は、連鎖成長重合によって形成される。典型的には、これは粒子の「コア」を作り上げる単一固形領域を含むことになる。
【0064】
フリーラジカル重合(FRP)は、連鎖成長重合の適切な方法である。FRPでは、単官能性モノマーは、フリーラジカル開始剤および場合により連鎖移動剤の存在下で重合される。連鎖移動剤は、最終ポリマーの平均分子量を低下させるように作用できる。
【0065】
別個の連鎖移動剤および開始剤の使用が好ましい。しかし、一部の分子は、これらの機能の両方を実施することができる。
【0066】
フリーラジカル開始剤は、フリーラジカル重合を開始することが公知の任意の分子、例えばアゾ含有分子、過硫酸塩、酸化還元開始剤、ペルオキシド、ベンジルケトンであってよい。これらの開始剤は、熱的、光分解または化学的手段によって活性化できる。本発明の方法では、熱活性化が好ましい。
【0067】
適切な開始剤の例には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビス(4−シアノバレリアン酸)、ベンゾイルペルオキシド、クミルペルオキシド、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、過酸化水素/アスコルビン酸が含まれるがこれらに限定されない。
【0068】
いわゆる「イニファータ(iniferter)」、例えばベンジル−N,N−ジエチルジチオ−カルバメートもまた使用できる。
【0069】
一部の場合には、1つより多い開始剤を使用できる。
【0070】
好ましい開始剤は、望ましくない副生成物の産生を最小限に抑えるので、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロ−ニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)およびt−ブチルヒドロペルオキシド/アスコルビン酸である。
【0071】
好ましくは、フリーラジカル重合における開始剤の残留物は、モノマーの総重量に基づいて結果として生じるコポリマーの0から5w/w%、好ましくは0.01から5w/w%および特別には0.01から3w/w%を含んでいる。
【0072】
連鎖移動剤は、好ましくはチオール含有分子であり、単官能性または多官能性のいずれであってもよい。連鎖移動剤は、親水性、疎水性、両親媒性、アニオン性、カチオン性、中性または両性イオン性であってよい。分子は、チオール部分を含有するオリゴマーであってもよい。
【0073】
適切なチオールには、C−C18アルキルチオール、例えばドデカンチオール、チオグリコール酸、チオグリセロール、システインおよびシステアミンが含まれるがこれらに限定されない。チオール含有オリゴマー、例えばオリゴ(システイン)もしくはチオール基を生じさせるように後官能化されているオリゴマー、例えばオリゴエチレングリコール(ジ)チオグリコレートもまた使用できる。キサンテート、ジチオエステルおよびジチオカーボネート、例えばクミルフェニルジチオアセテートもまた使用できる。
【0074】
また別の連鎖移動剤は、フリーラジカル付加重合において分子量を限定することが公知の任意の種であってよい。そこで、連鎖移動剤はさらにまた、ヒンダードアルコール、ハロカーボン、アルキルハライドもしくは遷移金属塩もしくは錯体または類似のフリーラジカル安定剤であってもよい。触媒性連鎖移動剤、例えば遷移金属錯体をベースとする連鎖移動剤、例えばコバルトビス(ボロンジフルオロジメチル−グリオキシメート)もまた使用できる。
【0075】
1つ以上の連鎖移動剤を、組み合わせて使用できる。
【0076】
連鎖移動剤の残留物は、該コポリマーの(単官能モノマーのモル数に基づいて)0から20モル%、好ましくは0から10モル%および特別には0から3モル%を含んでいてよい。一部の場合、例えば一部のいわゆるリビング重合法の場合には、連鎖移動剤は必要とされない。
【0077】
連鎖成長重合のためのモノマーは、付加ポリマーを形成できる任意の炭素−炭素不飽和(または環状)化合物、例えばビニルおよびアリル化合物を含むことができる。単官能モノマーは、事実上、親水性、疎水性、両親媒性、アニオン性、カチオン性、中性または両性イオン性であってよい。そこで単官能モノマーは、モノマー、例えばビニル酸、ビニル酸エステル、ビニルアリール化合物、ビニル酸無水物、ビニルアミド、ビニルエーテル、ビニルアミン、ビニルアリールアミン、ビニルニトリル、ビニルケトンおよび上記の化合物の誘導体ならびにこれらの対応するアリル変異体から選択されてよいがこれらに限定されない。
【0078】
連鎖成長ポリマーのための他の適切な単官能モノマーには、ヒドロキシル含有モノマーおよびヒドロキシル基を形成するために後反応させることのできるモノマー、酸含有もしくは酸官能性モノマー、両性イオン性モノマーおよび四級化アミノモノマーが含まれる。
【0079】
オリゴマーもしくはオリゴ官能化モノマー、特にオリゴマー(メタ)アクリル酸エステル、例えばオリゴ[アルキレングリコール]もしくはオリゴ[ジメチルシロキサン]のモノ(アルク/アリール)(メタ)アクリル酸エステルまたは低分子量オリゴマーの任意の他のモノ−ビニルもしくはアリール付加化合物もまた使用できる。1つより多いモノマーの混合物もまた使用できる。
【0080】
好ましいビニル酸およびこれらの誘導体には、これらの(メタ)アクリル酸および酸ハライド、例えば(メタ)アクリロイルクロライドが含まれる。
【0081】
好ましいビニル酸エステルおよびこれらの誘導体には、C1−20アルキル(メタ)アクリレート(直鎖状および分枝状)、例えばメチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートおよび2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、例えばベンジル(メタ)アクリレート、トリ(アルキルオキシ)シリルアルキル(メタ)アクリレート、例えばトリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリル酸の活性化エステル、例えばN−ヒドロキシスクシンアミド(メタ)アクリレートが含まれる。ビニルアリール化合物およびこれらの誘導体には、スチレン、アセトキシスチレン、スチレンスルホン酸、ビニルピリジン、ビニルベンジルクロライドおよびビニル安息香酸が含まれる。ビニル酸無水物およびこれらの誘導体には、マレイン酸無水物が含まれる。ビニルアミドおよびこれらの誘導体には、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、[3−((メタ)アクリルアミド)プロピル]ジメチルアンモニウムクロライド、3−[N−(3−(メタ)アクリルアミドプロピル)−N,N−ジメチル]アミノプロパンスルホネート、メチル(メタ)アクリルアミドグリコレートメチルエーテルおよびN−イソプロピル(メタ)アクリルアミドが含まれる。
【0082】
ビニルエーテルおよびこれらの誘導体には、メチルビニルエーテルが含まれる。ビニルアミンおよびこれらの誘導体には、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノ−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレートおよびアミン基を形成するために後反応させることのできるモノマー、例えばビニルホルムアミドが含まれる。ビニルアリールアミンおよびこれらの誘導体には、ビニルアニリン、ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾールおよびビニルイミダゾールが含まれる。ビニルニトリルおよびこれらの誘導体には、(メタ)アクリロニトリルが含まれる。ビニルケトンおよびこれらの誘導体には、アクレオリンが含まれる。
【0083】
ヒドロキシル含有モノマーには、ビニルヒドロキシルモノマー、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレートおよび糖モノ(メタ)アクリレート、例えばグルコースモノ(メタ)アクリレートが含まれる。ヒドロキシル基を形成するために後反応させることのできるモノマーには、ビニルアセテート、アセトキシスチレンおよびグリシジル(メタ)アクリレートが含まれる。酸含有もしくは酸官能性モノマーには、(メタ)アクリル酸、スチレンスルホン酸、ビニルホスホン酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、2−(メタ)アクリルアミド2−エチルプロパンスルホン酸、モノ−2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチルスクシネートおよびアンモニウムスルファトエチル(メタ)アクリレートが含まれる。両性イオン性モノマーには、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルクロリンおよびベタイン、例えば[2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル]ジメチル−(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシドが含まれる。四級化アミノモノマーには、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリ(アルク/アリール)アンモニウムハライド、例えば(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドが含まれる。
【0084】
オリゴマー(もしくはポリマー)モノマーには、オリゴマー(メタ)アクリル酸エステル、例えばモノ(アルク/アリール)オキシオリゴ−アルキレンオキシド(メタ)アクリレートおよびモノ(アルク/アリール)オキシオリゴ−ジメチル−シロキサン(メタ)アクリレートが含まれる。これらのエステルには、モノメトキシオリゴ(エチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、モノメトキシオリゴ(プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、モノヒドロキシオリゴ(エチレングリコール)モノ(メタ)アクリレートおよびモノヒドロキシオリゴ(プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレートが含まれる。
【0085】
また別の例には、ビニルもしくはアリルエステル、開環重合によって形成された予備成形されたオリゴマーのアミドもしくはエーテル、例えばオリゴ(カプロラクタム)もしくはオリゴ−(カプロラクトン)、またはリビング重合技術によって形成されたオリゴマー、例えばオリゴ(1,4−ブタジエン)が含まれる。ポリマー単量体は、オリゴマーがポリマーであることを別として同一である。
【0086】
マクロモノマーは、一般に重合可能な部分、例えばビニルもしくはアリル基を適切な結合単位、例えばエステル、アミドもしくはエーテルによって予備成形された単官能ポリマーに結合させることによって形成される。適切なポリマーの例には、単官能ポリ(akyleneオキシド)、例えばモノメトキシ[ポリ(エチレンオキシド)もしくはモノメトキシ[ポリ−(プロピレンオキシド)、シリコーン、例えばポリ(ジメチルシロキサン)、開環重合によって形成されたポリマー、例えばポリ(カプロラクトン)もしくはポリ(カプロラクタム)またはリビング重合によって形成された単官能ポリマー、例えばポリ(1,4−ブタジエン)が含まれる。
【0087】
好ましいマクロモノマーには、モノメトキシ[ポリ−(エチレングリコール)]モノ(メタクリレート)、モノメトキシ[ポリ−(プロピレングリコール)]モノ(メタクリレート)、ポリ(ジメチルシロキサン)モノメタクリレートが含まれる。
【0088】
上記に列挙したモノマーに対応するアリルモノマーは、さらにまた適切な場合に使用できる。
【0089】
より好ましいモノマーには:アミド含有モノマー、例えば(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチル(メタ)アクリルアミド、NおよびまたはN’−ジ(アルキルまたはアリール)(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、[3−(メタクロイルアミノ)プロピル)ジメチルアンモニウムクロライド、3−[N−(3−メタクリルアミド−プロピル)−N,N−ジメチル]−アミノプロパンスルホネート、4−(2−アクリルアミド−2−メチルプロピル−ジメチルアンモニオ)ブタノエート、メチルアクリルアミドグリコレートメチルエーテルおよびN−イソプロピル−(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリル酸誘導体、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリオロイルクロライド(もしくはいずれかのハライド)、(アルキル/アリール)(メタ)アクリレート、オリゴ−官能化モノマー、例えばモノメトキシポリ(エチレングリコール)モノメタクリレートもしくはモノメトキシポリ(プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートおよび糖モノ(メタ)アクリレート、例えばグルコースモノ(メタ)アクリレート;ビニルアミン、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノ(メタ)アクリレート、モルホリノエチルメタクリレート、もしくはビニルアリールアミン、例えばビニルアニリン、ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール;ビニルアリールモノマー、例えばスチレン、ビニルベンジルクロライド、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、スチレンスルホン酸およびビニル安息香酸;ビニルヒドロキシルモノマー、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリル(メタ)アクリレートまたはヒドロキシル基に後官能化させることのできるモノマー、例えばビニルアセテートもしくはアセトキシスチレンもまた使用できる;酸含有モノマー、例えば(メタ)アクリル酸、スチレンスルホン酸、ビニルホスホン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、2−アクリルアミド2−エチルプロパンスルホン酸およびモノ−2−(メタクリロイルオキシ)エチルスクシネートが含まれる。またはこれらのアリール/アルキルエステル。またはカルボン酸無水物含有モノマー、例えばマレイン酸無水物;両性イオン性モノマー、例えば(メタ)アクリロイルオキシエチル−ホスホリルクロリン、四級化アミノモノマー、例えばメタクリロイル−オキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド。
【0090】
対応するアリルモノマーもまた、適切である場合は、各場合において使用できる。
【0091】
疎水性モノマーには:ビニルアリール化合物、例えばスチレンおよびビニルベンジルクロライド;(メタ)アクリル酸エステル、例えばモノ−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、C1−20アルキル(メタ)アクリレート(直鎖状および分枝状)、アリール(メタ)アクリレート、例えばベンジルメタクリレート;オリゴマー(メタ)アクリル酸エステル、例えばモノ(アルク/アリール)オキシオリゴ−[ジメチルシロキサン(メタ)アクリレート]およびトリ(アルキルオキシ)−シリルアルキル(メタ)アクリレート、例えばトリメトキシシリルプロピル−(メタ)アクリレートが含まれる。
【0092】
官能性モノマー、即ち他の部分を用いて後修飾または前修飾できる反応性ペンダント基を備えるモノマー、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルクロライド、マレイン酸無水物、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ビニルベンジルクロライド、(メタ)アクリル酸の活性化エステル、例えばN−ヒドロキシスクシンアミド(メタ)アクリレートおよびアセトキシスチレンもまた使用できる。
【0093】
コポリマーは、多官能モノマーからの未反応の重合可能な基を含有することができる。
【0094】
連鎖成長重合のために特に好ましいモノマーは:C−C20直鎖状または分枝状アルキル、アルカリルまたはアリールアクリレートおよびメタクリレートである。
【0095】
ステップ成長対連鎖成長ポリマーの比率:
粒子を含む結合ステップ成長および連鎖成長ポリマーにおけるステップ成長ポリマーの重量分率は、典型的には、10%から99%、好ましくは15%から80%、より好ましくは25%から75%である。
【0096】
連鎖成長重合のための架橋剤:
架橋剤は、連鎖成長ポリマーの特性を修飾するために使用できる。適切な材料は、重合できる少なくとも2つのビニル基を含有する分子を含んでいる。該分子は、親水性、疎水性、両親媒性、中性、カチオン性、両性イオン性またはオリゴマー性であってよい。例には、ジ−もしくはマルチビニルエステル、ジ−もしくはマルチビニルアミド、ジ−もしくはマルチビニルアリール化合物およびジ−もしくはマルチビニルアルク/アリールエーテルが含まれる。典型的には、オリゴマーもしくは多官能分岐剤の場合には、結合反応は、重合可能な部分を二官能もしくは多官能オリゴマーまたは二官能もしくは多官能基に付着させるために使用される。分岐剤は、分岐剤自体が1つより多い分岐点、例えば「T」形ジビニルオリゴマーを有する可能性がある。一部の場合には、1つより多い多官能モノマーを使用できる。
【0097】
マクロ架橋剤もしくはマクロ分岐剤(典型的には少なくとも1000ダルトンの分子量を有する多官能モノマー)は、一般には重合可能な部分、例えばビニルもしくはアリール基を適切な結合単位、例えばエステル、アミドもしくはエーテルによって予備成形された多官能ポリマーに結合させることによって形成される。適切なポリマーの例には、二官能ポリ(アルキレンオキシド)、例えばポリ(エチレングリコール)もしくはポリ(プロピレングリコール)、シリコーン、例えばポリ(ジメチルシロキサン)、開環重合によって形成されたポリマー、例えばポリ(カプロラクトン)もしくはポリ(カプロラクタム)またはリビング重合によって形成された多官能ポリマー、例えばポリ(1,4−ブタジエン)が含まれる。
【0098】
好ましいマクロ分岐剤には、ポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルオキシプロピル末端ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ(カプロラクトン)ジ(メタ)アクリレートおよびポリ(カプロラクタム)ジ(メタ)アクリルアミドが含まれる。
【0099】
上記に列挙したモノマーに対応するアリルモノマーは、さらにまた適切な場合に使用できる。
【0100】
好ましい多官能モノマーには、ジビニルアリールモノマー、例えばジビニルベンゼン;(メタ)アクリレートジエステル、例えばグリセロールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートおよび1,3−ブチレンジ(メタ)アクリレート;オリゴアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート、例えばテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレートおよびオリゴ(プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート;ジビニルアクリルアミド、例えばメチレンビス−アクリルアミド;シリコーン含有ジビニルエステルもしくはアミド、例えば(メタ)アクリルオキシプロピル末端オリゴ(ジメチル−シロキサン);ジビニルエーテル、例えばオリゴ(エチレングリコール)−ジビニルエーテル;およびテトラ−もしくはトリ−(メタ)アクリレートエステル、例えばペンタエリトリトールテトラ−(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートまたはグルコースジ−からペンタ(メタ)アクリレートが含まれる。また別の例には、ビニルもしくはアリルエステル、開環重合によって形成された予備成形されたオリゴマーのアミドもしくはエーテル、例えばオリゴ(カプロラクタム)もしくはオリゴ−(カプロラクトン)、またはリビング重合技術によって形成されたオリゴマー、例えばオリゴ(1,4−ブタジエン)が含まれる。
【0101】
特に好ましい架橋剤は、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートである。
【0102】
架橋剤の濃度は、典型的には0から75、好ましくは0.0001から50、より好ましくは0.0001から25モル%である。
【0103】
有益剤:
本粒子内には様々な有益剤を組み込むことができる。粒子の最終使用が界面活性剤含有系と関連している場合は、界面活性剤組成物を用いて処理される基質にとって利点を提供できる任意の適合性有益剤を使用できる。好ましい有益剤は、洗濯分野、例えば繊維有益剤、ならびに洗濯用洗剤および/またはリンス溶剤に利点を提供する有益剤である。また別の方法では、有益剤は、皮膚または毛髪に関連する利点を提供できる。界面活性剤の存在下での本発明の粒子の利点は、調製物の保管時の有益剤の良好な残留および製品使用中および使用後の該有益剤の制御可能な放出である。
【0104】
好ましい例には、フレーバーおよびフレグランス、酵素、消泡剤、蛍光剤、陰影染料および/または顔料、コンディショニング剤(例えば水不溶性第四級アンモニウム材料および/またはシリコーン)、サンスクリーン剤、セラミド、酸化防止剤、還元剤、金属イオン封鎖剤、カラーケア添加物、密度照合ポリマー、光退色剤、潤滑剤、不飽和油、皮膚軟化剤/保湿剤ならびに抗菌剤が含まれる。
【0105】
好ましい抗菌剤には、Triclosan(商標)、クリンバゾール、オクタピロクス、ketoconizole、ジンクピリチオンおよび第四級アンモニウム化合物が含まれる。
【0106】
好ましいサンスクリーン剤および/または皮膚美白剤は、ビタミンB3化合物である。適切なビタミンB3化合物は、ナイアシン、ナイアシンアミド、ニコチニルアルコールまたはこれらの誘導体もしくは塩から選択される。皮膚美白剤として作用する他のビタミン類は、有益にも追加の皮膚美白作用を提供するために皮膚美白用組成物中に含めることができる。これらには、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンAまたはこれらの前駆体が含まれる。ビタミンの混合物もまた本発明の組成物に使用できる。特に好ましい追加のビタミンは、ビタミンB6である。本明細書で有用な皮膚美白剤の他の非限定的な例には、アダパレン、アロエ抽出物、アンモニウムラクテート、アルブチン、アゼライン酸、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、シトレートエステル、デオキシアルブチン、1,3ジフェニルプロパン誘導体、2,5ジヒドロキシ安息香酸およびこの誘導体、2−(4−アセトキシフェニル)−1,3 dithane、2−(4−ヒドロキシルフェニル)−1,3 dithane、エラグ酸、グルコピラノシル−1−アスコルベート、グルコン酸、グリコール酸、緑茶抽出物、4−ヒドロキシ−5−メチル−3[2H]−フラノン、ヒドロキノン、4ヒドロキシアニソールおよびこの誘導体、4−ヒドロキシ安息香酸誘導体、ヒドロキシカプリン酸、イノシトールアスコルベート、コウジ酸、乳酸、レモン抽出物、リノール酸、マグネシウムアスコルビルホスフェート、5−オクタノイルサリチル酸、2,4レゾルシノール誘導体、3,5レゾルシノール誘導体、サリチル酸、3,4,5トリヒドロキシベンジル誘導体およびこれらの混合物が含まれる。本発明において有用な好ましいサンスクリーン剤は、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチル−p−アミノ安息香酸およびこれらの混合物である。特に好ましいサンスクリーン剤は、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート、4,−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンまたはこれらの混合物から選択される。本発明の皮膚美白剤組成物において使用するために適切な他の従来型サンスクリーン剤には、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチル−p−アミノ安息香酸、ジガロイルトリオレート、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、エチル−4−(ビス(ヒドロキシプロピル))アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシルサリチレート、グリセリル−p−アミノベンゾエート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル−サリチレート、メチルアントラニレート、p−ジメチル−アミノ安息香酸もしくはアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−p−ジメチル−アミノ−ベンゾエート、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、2−(p−ジメチルアミノフェニル)−5−スルホンベンゾキサゾン酸およびこれらの化合物の混合物が含まれる。
【0107】
好ましい酸化防止剤には、ビタミンE、レチノール、ヒドロキシトルエンをベースとする酸化防止剤、例えばlrganox(商標)または市販で入手できる酸化防止剤、例えばTrollox(商標)シリーズが含まれる。
【0108】
香水およびフレグランス材料(プロフレグランスも包含する。)は、特に好ましい有益剤である。
【0109】
プロフレグランスは、例えば、食用脂質であってよい。食用脂質は、典型的には、顕著な疎水性を備える構造単位を含有する。脂質の大多数は、脂肪酸に由来する。これらの「アシル」脂質では、脂肪酸は主としてエステルとして存在し、モノ−、ジ−、トリアシルグリセロール、リン脂質、糖脂質、ジオール脂質、ワックス、ステロールエステルおよびトコフェロールが含まれる。これらの天然状態では、植物脂質は、これらの酸化を防止するための酸化防止剤を含んでいる。これらは少なくとも一部には植物から油を単離する最中に除去されることがあるが、一部の酸化防止剤は残留する可能性がある。これらの酸化防止剤は、プロフレグランスであってよい。特に、カルテノイドならびにビタミンA、レチノール、レチナール、レチノイン酸およびプロビタミンAを含む関連化合物は、イオノン、ダマスコンおよびダマセノンを含む芳香種に変換させることができる。好ましいプロフレグランス食用脂質には、オリーブ油、ヤシ油、カノーラ油、スクアレン、ヒマワリ種子油、コムギ胚芽油、アーモンド油、ココナッツ油、ブドウ種子油、ナタネ油、ヒマシ油、コーン油、綿実油、サフラワー油、落花生油、ポピー種子油、パーム核油、米ヌカ油、ゴマ油、大豆油、カボチャ種子油、ホホバ油および辛子種子油が含まれる。芳香のある材料である香料成分については、以下でより詳細に記載する。
【0110】
香料は、典型的には、粒子の総重量で10から85%、好ましくは粒子の総重量で15から75%の量で存在する。香料は、適切には50から500ダルトンの分子量を有する。プロフレグランスは、より高い分子量であってよく、典型的には1から10kDであってよい。
【0111】
香料の有用な成分には、天然起源および合成起源両方の材料が含まれる。これらの材料には、単一化合物および混合物が含まれる。このような成分の特定の例は、最新の文献、例えばFenaroli’s Handbook of Flavour Ingredients,1975,CRC Press;Synthetic Food Adjuncts,1947 by M.B.Jacobs,edited by Van Nostrand;またはPerfume and Flavour Chemicals by S.Arctander 1969,Montclair,N.J.(USA)の中に見いだすことができる。これらの物質は、消費者製品に香りを付ける、香味を付ける、および/または芳香を付ける、即ち伝統的に香料もしくは香味が付けられた消費者製品に香りおよび/またはフレーバーもしくは風味を付与する、または前記消費者製品の香りおよび/または風味を修飾する分野の当業者には周知である。
【0112】
これに関連する香料は、完全に調製された製品フレグランスだけではなく、さらにまたこのフレグランス、特に失われやすいフレグランス、例えばいわゆる「トップノート」の選択された成分も意味する。
【0113】
トップノートは、Poucher(Journal of the Society of Cosmetic Chemists 6(2):80[1955])によって規定されている。周知のトップノートの例には、カンキツ油、リナロール、リナリルアセテート、ラベンダー、ジヒドロミルセノール、ローズオキシドおよびシス−3−ヘキサノールが含まれる。トップノートは、典型的には、15から25wt%の香料組成物を含み、増加したレベルのトップノートを含有する本発明のこれらの実施形態では、該粒子内に少なくとも20wt%が存在することが予想されている。
【0114】
本発明の実施形態において使用するのが有益である典型的な香料成分には、相当に低い沸点を備える香料成分、好ましくは300未満、好ましくは100から250℃の沸点を備える香料成分が含まれる。
【0115】
さらに低LogP(即ち、水中に分配されるもの)、好ましくは3.0未満のLogPを有する香料成分をカプセル封入することも有益である。これらの、相当に低い沸点および相当に低いLogPの材料は、「遅延ブルーミング」香料成分と呼ばれており、以下の材料が含まれる:
アリルカプロエート、アミルアセテート、アミルプロピオネート、アニスアルデヒド、アニソール、ベンズアルデヒド、ベンジルアセテート、ベンジルアセトン、ベンジルアルコール、ベンジルホルメート、ベンジルイソバレレート、ベンジルプロピオネート、ベータガンマヘキセノール、ショウノウガム、レボ−カルボン、d−カルボン、シンナミックアルコール、シンナミルホルメート、シス−ジャスモン、シス−3−ヘキセニルアセテート、クミニルアルコール、シクラールC、ジメチルベンジルカルビノール、ジメチルベンジルカルビノールアセテート、エチルアセテート、エチルアセトアセテート、エチルアミルケトン、エチルベンゾエート、エチルブチレート、エチルヘキシルケトン、エチルフェニルアセテート、オイカリプトール、オイゲノール、フェンキルアセテート、フロールアセテート(トリシクロデセニルアセテート)、フルテン(トリシクロデセニルプロピオネート)、ゲラニオール、ヘキセノール、ヘキセニルアセテート、ヘキシルアセテート、ヘキシルホルメート、ヒドラトロピックアルコール、ヒドロキシシトロネラール、インドン、イソアミルアルコール、イソメントン、イソプレギルアセテート、イソキノロン、リグストラール、リナロール、リナロールオキシド、リナリルホルメート、メントン、メンチルアセトフェノン、メチルアミルケトン、メチルアントラニレート、メチルベンゾエート、メチルベンジルアセテート、メチルオイゲノール、メチルヘプテノン、メチルヘプチンカーボネート、メチルヘプチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルフェニルカルビニルアセテート、メチルサリチレート、メチル−N−メチルアントラニレート、ネロール、オクタラクトン、オクチルアルコール、p−クレゾール、p−クレゾールメチルエーテル、p−メトキシアセトフェノン、p−メチルアセトフェノン、フェノキシエタノール、フェニルアセトアルデヒド、フェニルエチルアセテート、フェニルエチルアルコール、フェニルエチルジメチルカルビノール、プレニルアセテート、プロピルボルネート、プレゴン、ローズオキシド、サフロール、4−テルピネロール、α−テルピネロールおよび/またはビリジン。
【0116】
調製物中に複数の香料成分が存在することは一般的である。本発明のカプセル封入物では、上述した遅延ブルーミング香料のリストからの4つ以上、好ましくは5つ以上、より好ましくは6つ以上または7つ以上さえの異なる香料成分が該粒子内に存在することが想定されている。
【0117】
本発明とともに適用できるまた別の群の香料は、いわゆる「アロマセラピー」材料である。これらには、エッセンシャル油の成分、例えばクラリー・セージ、ユーカリ、ゼラニウム、ラベンダー、メース抽出物、ネロリ、ナツメグ、スペアミント、ニオイスミレの葉およびバレリアンを含む、香料製造においても使用される多数の成分が含まれる。本発明によって、これらの材料は、身に付けられる、またはさもなければヒトの身体と接触させられる繊維製品(例えば、ハンカチーフおよびシーツや枕カバー)に移すことができる。
【0118】
表面修飾および沈殿助剤:
沈殿助剤を含む表面修飾は、粒子の外部の特性を修飾する。これらの材料を用いて得ることのできる1つの特別な利点は、粒子を所望の基質へより直接付着性にさせることである。所望の基質には、セルロース誘導体(綿を含む。)、ポリエステル(ポリエステル繊維製品の製造において使用されるポリエステルを含む。)およびタンパク質含有基質(例えば、皮膚および毛髪)が含まれる。沈殿助剤は、好ましくは非加水分解性綿直接付着性ポリマー、加水分解性綿直接付着性ポリマーおよびポリエステル直接付着性ポリマーから選択される。
【0119】
好ましい多糖ポリマーは、加水分解性であってもなくても、広範囲の多糖類に由来してよい。好ましくは、多糖は、タマリンドガム(好ましくはキシログルカンポリマーからなる。)、グアールガム、ローカストビーンガム(好ましくはガラクトマンナンポリマーからなる。)ならびに他の工業用ゴムおよびポリマーからなる群から選択され、タラ、コロハ種子、アロエ、チーア、アマニ、オオバコ種子、マルメロ種子、キサンタン、ゲラン、ウェラン、ラムサン(rhamsan)、デキストラン、カードラン、プルラン、スクレログルカン、シゾフィラン、キチン、ヒドロキシアルキルセルロース、アラビナン(好ましくは、テンサイ由来)、脱分岐アラビナン(好ましくはテンサイ由来)、アラビノキシラン(好ましくはライムギおよび小麦粉由来)、ガラクタン(好ましくはルピンおよびジャガイモ由来)、ペクチンガラクタン(好ましくは、ジャガイモ由来)、ガラクトマンナン(好ましくは、イナゴマメ由来、および低粘度および高粘度両方を含む。)、グルコマンナン、リケナン(好ましくは、アイスランドゴケ由来)、マンナン(好ましくは、アイボリーナット由来)、パキマン、ラムノガラクツロナン、アカシアガム、アガール、アルギネート、カラゲナン、キトサン、クラバン、ヒアルロン酸、ヘパリン、イヌリン、セロデキストリン、セルロース、セルロース誘導体およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0120】
好ましい非加水分解性綿直接付着性沈殿助剤には、非加水分解性多糖類が含まれる。多糖は、好ましくはβ−1,4−結合主鎖を有する。
【0121】
好ましくは、多糖は、セルロース、セルロース誘導体、またはセルロースへの親和性を有するまた別のβ−1,4−結合多糖、例えばポリマンナン、ポリグルカン、ポリグルコマンナン、ポリキシログルカンおよびポリガラクトマンナンまたはこれらの混合物である。より好ましくは、多糖は、ポリキシログルカンおよびポリガラクトマンナンからなる群から選択される。最も好ましくは、沈殿助剤は、ローカストビーンガム、キシログルカン、グアールガムまたはこれらの混合物である。
【0122】
好ましい加水分解性綿直接付着性沈殿助剤には、加水分解性多糖類が含まれる。これらは加水分解性結合によってポリ多糖に共有結合した基によってより水溶性にさせるために修飾されている多糖を含んでいる。好ましい基は、例えば、アセテート、プロパノエート、トリフルオロアセテート、2−(2−ヒドロキシ−1−オキソプロポキシ)プロパノエート、ラクテート、グリコレート、ピルベート、クロトネート、イソバレレートシンナメート、ホルメート、サリチレート、カルバメート、メチルカルバメート、ベンゾエート、グルコネート、メタンスルホネート、トルエン、スルホネートならびにフマル酸、マロン酸、イタコン酸、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、アスパラギン酸、グルタミン酸およびリンゴ酸の基およびヘミエステル基の内の1つ以上から個別に選択されてよい。
【0123】
特に好ましい当該加水分解性沈殿助剤は、セルロースモノアセテートである。
【0124】
適切で好ましいポリエステル直接付着性沈殿助剤には、フタレート含有ポリマー、より好ましくはオキシエチレン、ポリオキシエチレン、オキシプロピレンもしくはポリオキシプロピレンセグメントを含む1つ以上の非イオン性親水性成分、およびテレフタレートセグメントを含む1つ以上の疎水性成分を有するポリマーが含まれる。典型的には、これらの沈殿助剤のオキシアルキレンセグメントは、1から約400の重合度を有するが、より高レベル、好ましくは100から約350、より好ましくは200から約300を使用できる。
【0125】
好ましい沈殿助剤の1つのタイプは、エチレンテレフタレートおよびポリエチレンオキシドテレフタレートのランダムブロックを有するコポリマーである。
【0126】
また別の好ましいポリマー沈殿助剤は、0.2kDから40kDの平均分子量のポリエチレングリコールに由来する10から15重量%のエチレンテレフタレート単位を90から80重量%のポリオキシエチレンテレフタレート単位とともに含有するエチレンテレフタレート単位の繰返し単位を備えるポリエステルである。このクラスのポリマーの例には、市販で入手できる材料ZELCON 5126(DuPont社製)およびMILEASE T(ICI社製)が含まれる。関連ポリマーの例は、US4702857の中に見いだすことができる。
【0127】
また別の好ましいポリマー沈殿助剤は、テレフタロイルのオリゴマーエステル主鎖およびオキシアルキレンオキシ繰返し単位を含む直接付着性直鎖状エステルオリゴマーならびに該主鎖に共有結合した末端部分のスルホン化生成物である。これらのソイルリリース(soil release)剤は、US4968451の中に十分に記載されている。この他の適切なポリマーソイルリリース剤には、US4711730のテレフタレートポリエステル、US4721580のアニオン性でエンドキャップされたオリゴマーエステルおよびUS4702857のブロックポリエステルオリゴマー化合物が含まれる。
【0128】
好ましいポリマー沈殿助剤には、さらにまたアニオン性、特にスルホアロリルでエンドキャップされたテレフタレートエステルを開示しているUS4877896に記載のソイルリリース剤もまた含まれる。
【0129】
さらにまた別の好ましい沈殿助剤は、テレフタロイル単位、スルホイソテレフタロイル単位、オキシエチレンオキシおよびオキシ−1,2−プロピレン単位の繰返し単位を備えるオリゴマーである。繰返し単位はオリゴマーの主鎖を形成し、好ましくは修飾されたイセチオネートエンドキャップを両端に備える。このタイプの特に好ましい沈殿助剤は、約1のスルホイソフタロイル単位、5のテレフタロイル単位、約1.7から約1.8の比率にあるオキシエチレンオキシおよびオキシ−1,2−プロピレンオキシ単位ならびに2エンドキャップ単位のナトリウム2−(2−ヒドロキシエトキシ)−エタンスルホネートを含んでいる。前記ソイルリリース剤は、さらに好ましくはキシレンスルホネート、クメンスルホネート、トルエンスルホネートおよびこれらの混合物からなる群から選択される結晶構造減少安定剤の約0.5重量%から約20重量%のオリゴマーもまた含んでいる。
【0130】
沈殿助剤は、直鎖状または分枝状であってよい。ポリマー沈殿助剤の好ましい分子量は、約5kDから約500kD、好ましくは10kDから500kD、より好ましくは20kDから300kDの範囲内にある。
【0131】
好ましくは、沈殿助剤ポリマーは、ポリマー:粒子固体の比率が1:500から3:1、好ましくは1:200から1:3の範囲内にあるようなレベルで存在する。
【0132】
調製方法
重合は、少なくとも2段階で発生する。これらの段階の早期には、ステップ成長重合によってシェルが形成される。このシェルは、後期に発生する連鎖成長反応のための試薬を封入して含有している。
【0133】
これらの段階の時間的分離は、存在する試薬および反応条件の制御によって遂行される。
【0134】
典型的には、シェル形成反応の成分の少なくとも1つは、初期反応混合物には加えられず、第1段階の反応の進行を段階的に制御するために加えられる。
【0135】
有益にも、反応の第1段階は、連鎖成長反応が阻害される条件下で実施される。これらの条件には、十分に低い温度(熱活性化反応のため)または十分に低い光線(光活性化反応のため)の条件が含まれる。
【0136】
シェル形成反応が十分に進行すると、条件は、内部領域を形成する反応が開始するのを誘発するために(例えば、温度を上昇させる、または反応混合物を光線に曝露させることによって)修飾される。
【0137】
好ましい方法は、非水性分散相中に連鎖成長ポリマー成分を含むエマルジョンが形成され、およびステップ成長ポリマー成分が分散相および連続水相の間の界面に存在する方法である。
【0138】
典型的には、水相は、乳化剤とステップ成長ポリマーのための成分の1つとを含んでいる。水相は、さらに任意のジオール、アルコールまたはアミン架橋剤を含有していてよい。
【0139】
分散相は、連鎖成長モノマー、開始剤、任意のイソシアネートもしくはビニル架橋剤、ステップ成長ポリマーのための他のコモノマーおよび任意の有益剤を含んでいる。
【0140】
有益剤は、反応混合物中に上記に開示したレベルで結果として生じる粒子中で有益剤の濃度を生じさせるレベルで存在してよいが、さらにまた「空の」粒子を形成し、引き続いてこれらの粒子を内部領域内に吸着させることのできる有益剤に曝露させることもまた可能である。
【0141】
表面修飾材料は、一般には本工程の終了時に向かって水相に加えられ、このとき例えば、また別のモノマーはまた別のシェル材料を形成し、該粒子の外側に追加の材料を結合させるために加えることができる。
【0142】
乳化剤
多数の乳化剤がエマルジョン重合において使用するために公知である。重合工程において使用するための適切な乳化剤は、非イオン性界面活性剤、例えばポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコールソルビタンモノラウレート(Tween 20)、ポリエチレングリコールソルビタンモノパルミテート(tween 40)、ポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート(Tween 80)、ポリビニルアルコール(PVA)およびポリ(エトキシ)ノニルフェノール、エチレンマレイン酸無水物(EMA)コポリマー、Easy−Sperse(商標)(ISP Technologies社製)、イオン性界面活性剤、例えばポリアクリル酸の部分的中和塩、例えばナトリウムもしくはカリウムポリアクリレートまたはナトリウムもしくはカリウムポリメタクリレート、Brij(商標)−35、Hypermer(商標)A60またはナトリウムリグノスルフェートおよびこれらの混合物を含むことができるがこれらに限定されない。
【0143】
乳化剤は、さらにまたアクリル酸−アルキルアクリレートコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリアルキレン−コ−カルボキシ無水物、ポリアルキレン−コ−マレイン酸無水物、ポリ(メチルビニルエーテル−コ−マレイン酸無水物)、ポリ(プロピレン−コ−マレイン酸無水物)ポリ(ブタジエン−コ−マレイン酸無水物)およびポリ(ビニルアセテート−コ−マレイン酸無水物)、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールならびにこれらの混合物を含むことができるがこれらに限定されない。
【0144】
好ましい乳化剤は、脂肪アルコールエトキシレート(特にBrij(商標)クラス)、エーテルスルフェートの塩(SLESを含む。)、アルキルおよびアルカリルスルホネートおよびスルフェート(LASおよびSDSを含む。)ならびにカチオン性第四級塩(CTACおよびCTABを含む。)である。
【0145】
特に、乳化剤は非イオン性界面活性剤を含むことが好ましい。これは、生地が洗浄中にアニオン性になるので、アニオン性界面活性乳化剤単独を用いて製造された粒子よりも生地上に良好に沈殿する粒子を生成すると考えられる。さらに、非イオン性界面活性剤は、安定性ミニエマルジョンの形成を促進できるように親水性であるのが好ましい。10モルより多いエトキシル化を備えるアルコールエトキシレート、例えばSynperonic A20(C1320EO)は、良好な結果を産生する。サンプルについてのDLSデータは、界面活性剤の濃度が上昇するにつれて粒径が小さくなることを示しており、これもまた有益である。好ましくは、非イオン性乳化剤対アニオン性乳化剤の比率は1:1より大きく(即ち、非イオン性が過剰に存在する。)、総界面活性剤レベルは、重合混合物の>3wt%でなければならない。
【0146】
共界面活性剤:
典型的には、共界面活性剤は、分散相中および結果として生じる粒子中に存在することになる。本発明において使用するために適切な共界面活性剤には、ヘキサデカン、セチルアルコール、ラウロイルペルオキシド、n−ドデシルメルカプタン、ドデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ポリスチレン、ポリデセン、鉱油、イソプロピルミリステートC13−C15アルキルベンゾエートおよびポリメチルメタクリレートが含まれる。
【0147】
好ましい共界面活性剤は、ヘキサデカン、ポリデセンおよびイソプロピルミリステートを含んでいる。
【0148】
総計としての油相のwt%として、共界面活性剤は、典型的には0から20%、好ましくは1から15%、より好ましくは2から12.5%である。
【0149】
触媒
任意の触媒が、エマルジョンの分散相中に存在してよい。これは、有益にもさらにイソシアネートと反応してポリウレアを形成する可能性がある第一級アミンへのイソシアネートの加水分解を最小限に抑える。この望ましくない反応は、本工程の終了時に残される過剰なジオールを生じさせて、潜在的に悪臭物質の形成をもたらして架橋結合反応を妨害する可能性がある。
【0150】
適切な触媒は、アミノもしくは有機金属化合物、例えばN,N’−ジメチルアミノエタノール、N,N’−ジメチルシクロヘキシルアミン、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N’−ジメチルアセチルアミン、ジアミノビシクロオクタン、第1スズオクトエートおよびジブチルスズジラウレート、1,3−ビス(ジメチルアミノ)ブタン、ペンタメチルジエチレントリアミンならびにこれらの混合物を含むことができる。
【0151】
触媒の濃度は、典型的には連鎖成長モノマーに比較して0.1から2%である。
【0152】
重合条件
上述したように、重合は、典型的には少なくとも2段階で発生する。早期の段階には、シェルは、好ましくは、好ましい実施形態では約60℃未満、典型的には15から55℃で行われる反応によって形成される。後期の段階には、内部領域は、約70℃より高い、典型的には70から95℃の好ましい温度で重合させられる。
【0153】
どちらの反応も、重合が実質的に完了するために十分に長時間にわたって進行させられ、1から3時間が各段階のために典型的である。
【0154】
沈殿助剤は、後期の段階の終了時(好ましくは冷却工程後)に加えることができ、このとき例えば、沈殿助剤の一部分を封入して「毛髪」が該沈殿助剤を含む「毛髪用」粒子を生じさせるまた別のシェル材料の形成によって該沈殿助剤を該粒子の外面に結合させるためにまた別のシェル形成材料(例えばまた別のイソシアネートおよびコモノマー)が加えられる。
【0155】
単純なコア−シェル粒子については、有益剤を除くコアは粒子の質量の80wt%以下であり、シェルは一般に粒子の質量の20wt%以上である。
【0156】
好ましくは、エマルジョン重合工程は、1ミクロン未満の分散相液滴サイズで実施される、いわゆる「ミニエマルジョン」重合である。十分に微細なエマルジョンは、超音波処理および/または高剪断動的ミキサーもしくは静的ミキサーを含む広範囲の方法によって得ることができる。ミニエマルジョン生成物は、優れた懸濁化特性を有する。
【0157】
ホルムアルデヒドスカベンジャー:
本発明の粒子を含む組成物は、(必要であれば)ホルムアルデヒドスカベンジャーを含むことができる。EP1797947に開示されたホルムアルデヒドスカベンジャーは、本発明の実施形態において使用できる。また別の実施形態では、ホルムアルデヒドスカベンジャーは、重合の終了時に反応混合物の水相に加えることができる。
【0158】
本発明のホルムアルデヒドスカベンジャーは、好ましくは、ホルムアルデヒドと反応してこれを除去できるβ−ジカルボニル化合物、モノ−もしくはジ−アミド材料、アミンおよび他の材料から選択される。
【0159】
本発明の適切なβ−ジカルボニル化合物は、ホルムアルデヒドへの求核性攻撃を生じさせる酸性水素を有する。
【0160】
好ましいβ−ジカルボニル化合物は、アセトアセトアミド(BKB(Eastman社から市場で入手できる。))、エチルアセトアセテート(EAA(Eastman社から市場で入手できる。))、N,N−ジメチレンアセトアミド(DMAA(Eastman社から市場で入手できる。))、アセトアセトン、ジメチル−1,3−アセトンジカルボキシレート、1,3−アセトンジカルボン酸、マロン酸、レゾルシノール、1,3−シクロヘキサジオン、バルビツール酸、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン(ジメドン)、2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン(メルドラム(Meldrum)酸)、サリチル酸、メチルアセトアセテート(MAA(Eastman社から市場で入手できる。))、エチル−2−メチルアセトアセテート、3−メチル−アセトアセトン、ジメチルマロネート、ジエチルマロネート、1,3−ジメチルバルビツール酸、レゾルシノール、フロログルシノール、オルシノール、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸およびマロンアミドである。この他の適切なβ−ジカルボニルスカベージャーは、U.S.5,194,674およびU.S.5,446,195ならびにTomasino et al,Textile Chemist and Colorist,vol.16,No.12(1984)に列挙されている。
【0161】
モノ−もしくはジ−アミドもまた効果的なホルムアルデヒドスカベンジャーとして使用することができる。
【0162】
好ましい有効なモノ−およびジ−アミドスカベンジャーは、ウレア、エチレンウレア、プロピレンウレア、カプロラクタム、グリコウリル、ヒダントイン、2−オキサゾリジノン、2−ピロリジノン、ウラシル、バルビツール酸、チミン、尿酸、アラントイン、ポリアミド、4,5−ジヒドロキシエチレンウレア、モノメチロール−4−ヒドロキシ−4−メトキシ−5,5−ジメチル−プロピルウレア、ナイロン2−ヒドロキシエチルエチレンウレア(SR−511;SR−512(Sartomer社))、2−ヒドロキシエチルエチレンウレア(Hydrovance(National Starch社))、L−シトルリン、ビオチン、N−メチルウレア、N−エチルウレア、N−ブチルウレア、N−フェニルウレア、4,5−ジメトキシエチレンウレアおよびスクシンイミドである。
【0163】
有効なホルムアルデヒドスカベンジャーであるまた別のクラスの化合物は、ホルムアルデヒドとの反応によってイミンを形成するアミンである。
【0164】
好ましいアミンには、ポリ(ビニルアミン)(Lupamin(商標)(BASF社))、アルギニン、リシン、アスパラギン、プロリン、トリプトファン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP);タンパク質、例えばカゼイン、ゼラチン、コラーゲン、ホエイタンパク質、大豆タンパク質およびアルブミン;メラミン、ベンゾグアナミン、4−アミノ安息香酸(PABA)、3−アミノ安息香酸、2−アミノ安息香酸(アントラニル酸)、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、クレアチン、4−アミノサリチル酸、5−アミノサリチル酸、メチルアントラニレート、メトキシルアミンHCl、アントラニルアミド、4−アミノベンズアミド、p−トルイジン、p−アニシジン、スルファニル酸、スルファニルアミド、メチル−4−アミノベンゾエート、エチル−4−アミノベンゾエート(ベンゾカイン)、β−ジエチルアミノエチル−4−アミノベンゾエート(プロカイン)、4−アミノベンズアミド、3,5−ジアミノ安息香酸および2,4−ジアミノフェノールが含まれる。
【0165】
同時係属出願のU.S.Letters for Patent Application Number 11/123,898およびU.S.6,261,483ならびにTomasino et al,Textile Chemist and Colorist,vol.16,No.12(1984)に開示されている他のアミン。
【0166】
他のホルムアルデヒドスカベンジャーは公知であり、例えばヒドラジン、例えば2,4−ジニトロフェンジルヒドラジンはホルムアルデヒドと反応してヒドラゾンを生じさせる。この反応はpH依存性で可逆性である。他の好ましいアミンは、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミンおよび1,4−フェニレンジアミンの非限定的リストから選択することができる。
【0167】
さらに、芳香族アミン、トリアミンおよび脂肪族ポリアミンもまた使用できる。これらのアミンの例は、アニリン、ヘキサメチレン−ジアミン、ビス−ヘキサメチレントリアミン、トリエチル−アミントリアミン、ポリ(プロピレンオキシド)トリアミンおよびポリ(プロピレングリコール)−ジアミンを含むことができるが、これらに限定されない。
【0168】
WO2007/091223に記載のホルムアルデヒドスカベンジャーもまた、本発明の実施形態において使用できる。これらはナトリウムバイサルファイト、ウレア、システイン、システアミン、リシン、グリシン、セリン、カルノシン、ヒスチジン、グルタチオン、3,4−ジアミノ安息香酸、アラントイン、グリコウリル、アントラニル酸、メチルアントラニレート、メチル4−アミノアベンゾエート、エチルアセトアセテート、アセトアセトアミド、マロンアミド、アスコルビン酸、1,3−ジヒドロキシアセトン二量体、ビウレット、オキサミド、ベンゾ−グアナミン、ピログルタミン酸、ピロガロール、メチルガレート、エチルガレート、プロピルガレート、トリエタノールアミン、スクシンアミド、チアベンダゾール、ベンゾトリアゾール、トリアゾール、インドリン、スルファニル酸、オキサミド、ソルビトール、グルコース、セルロース、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアミン)、ヘキサンジオール、エチレンジアミン−N,N’−ビスアセトアセトアミド、N−(2−エチルヘキシル)アセトアセトアミド、N−(3−フェニルプロピル)アセトアセトアミド、リリアール、ヘリオナール、メロナール、トリプラール、5,5−ジメチル−l,3−シクロヘキサンジオン、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセンカルボキサルデヒド、2,2−ジメチル−l,3−ジオキサン−4,6−ジオン、2−ペンタノン、ジブチルアミン、トリエチレンテトラミン、ベンジルアミン、ヒドロキシシトロネロール、シクロヘキサノン、2−ブタノン、ペンタンジオン、デヒドロ酢酸、キトサンおよび/またはこれらの混合物である。
【0169】
特に好ましいスカベンジャーは、ウレア、エチレンウレア、エチルアセトアミド、アセトアセトアミドおよびこれらの混合物の内の少なくとも1つを含んでいる。最も好ましいスカベンジャーは、ウレア、エチレンウレア、エチルアセトアミド、アセトアセトアミドおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【発明を実施するための形態】
【0170】
本発明は、最も好ましくは、
a)少なくとも1つのポリウレタンシェル;
b)前記シェルの内部で、好ましくはアクリレートおよび/またはメタクリレートを含むエチレン性不飽和種の連鎖成長重合によって形成される固体コア
c)該シェルの外部で多糖沈殿助剤;および
d)該コア内に吸収されたフレグランス
を含む50ミクロン未満の平均径を有する粒子に在する。
【0171】
特に好ましい粒子は、50から500nmの粒径を有する。以下より詳細に説明するように、該粒子は特に皮膚の表面、毛髪または洗濯の処理のために意図される組成物中において特に有益な用途を見いだせるが、このとき該沈殿助剤は、処理される表面に直接付着性であるように選択される。
【0172】
製品中での使用
本発明の最終製品組成物は、任意の物理的形態、例えば固体、例えば粉末もしくは顆粒、錠剤、固体の棒、ペースト、ゲルもしくは液体、特別には水性液体であってよい。
【0173】
本発明の粒子は、有益には界面活性剤を含有する、ならびに特に洗濯用およびパーソナルケア用組成物に組み込むことができる。粒子は、典型的には前記組成物中に全組成物の重量の0.001%から10%、好ましくは0.005%から7.55%、最も好ましくは0.01%から5%の濃度で含まれる。
【0174】
洗濯用途のためには、本組成物中の1つの有効成分は、好ましくは、界面活性剤または繊維製品コンディショニング剤である。1つより多い有効成分を含めることができる。一部の用途のためには、有効成分の混合物を使用できる。
【0175】
本発明の粒子を含む調製組成物は、石鹸および非石鹸アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性および両性イオン性界面活性化合物およびこれらの混合物から選択できる界面活性化合物(界面活性剤)を含有することができる。多数の適切な界面活性化合物を利用することができ、文献、例えばSchwartz,Perry and Berchによる「Surface−Active Agents and Detergents」,Volumes I and IIの中に十分に記載されている。使用できる好ましい界面活性化合物は、石鹸ならびに合成非石鹸アニオン性および非イオン性化合物である。
【0176】
本発明の組成物は、直鎖状アルキルベンゼンスルホネート、特にC8からC15のアルキル鎖長を有する直鎖状アルキルベンゼンスルホネートを含有することができる。直鎖状アルキルベンゼンスルホネートの濃度が、全組成物の重量で0wt%から30wt%、より好ましくは1wt%から25wt%、最も好ましくは2wt%から15wt%であれば好ましい。
【0177】
組成物は、上記に引用したパーセンテージに追加した量で他のアニオン性界面活性剤を含有することができる。適切なアニオン性界面活性剤は、当業者には周知である。例には、第一級および第二級アルキルスルフェート、特にC8からC15第一級アルキルスルフェート;アルキルエーテルスルフェート;オレフィンスルホネート;アルキルキシレンスルホネート;ジアルキルスルホスクシネート;および脂肪酸エステルスルホネートが含まれる。ナトリウム塩が一般に好ましい。
【0178】
組成物は、さらに非イオン性界面活性剤を含有することができる。使用できる非イオン性界面活性剤には、第一級および第二級アルコールエトキシレート、特にアルコール1モル当たり平均1から20モルのエチレンオキシドを用いてエトキシル化されたC8からC20脂肪族アルコールおよびより好ましくはアルコール1モル当たり平均1から10モルのエチレンオキシドを用いてエトキシル化されたC10からC15第一級および第二級脂肪族アルコールが含まれる。非エトキシル化非イオン性界面活性剤には、アルキルポリグリコシド、グリセロールモノエーテルおよびポリヒドロキシアミド(グルカミド)が含まれる。
【0179】
非イオン性界面活性剤の濃度が本発明の粒子を含む完全に調製された組成物の重量で0wt%から30wt%、好ましくは1wt%から25wt%、最も好ましくは2wt%から15wt%であれば好ましい。
【0180】
任意の従来型繊維製品コンディショニング剤を使用できる。コンディショニング剤は、カチオン性または非イオン性であってよい。繊維製品コンディショニング剤化合物が主要な洗濯洗剤組成物中で使用される場合、該化合物は、典型的には非イオン性であろう。リンス相内で使用するためには、該化合物は、典型的にはカチオン性であろう。該化合物は、本発明の粒子を含む完全に調製された組成物の重量で、例えば0.5%から35%、好ましくは1%から30%、より好ましくは3%から25%の量で使用されてよい。
【0181】
適切なカチオン性繊維製品柔軟剤化合物は、C20以上の平均連鎖長を有する単一アルキルもしくはアルケニル長鎖を含む実質的水不溶性第四級アンモニウム材料、またはより好ましくはC14以上の平均連鎖長を有する極性頭基および2本のアルキルもしくはアルケニル鎖を含む化合物である。好ましくは、繊維製品柔軟剤化合物は、C16以上の平均連鎖長を各々が有する2本の長鎖アルキルもしくはアルケニル鎖を有する。最も好ましくは、長鎖アルキルもしくはアルケニル基の少なくとも50%は、C18以上の連鎖長を有する。繊維製品柔軟剤化合物の長鎖アルキルもしくはアルケニル基が大部分は直鎖状であれば好ましい。
【0182】
2つの長鎖脂肪族基を有する第四級アンモニウム化合物、例えばジステアリルジメチルアンモニウムクロライドおよびジ(硬化タローアルキル)ジメチルアンモニウムクロライドは、市販で入手できるリンスコンディショナー組成物において広範に使用されている。これらのカチオン性化合物の他の例は、「Surfactants Science Series」volume 34 ed.Richmond 1990,volume 37 ed.Rubingh 1991 and volume 53 eds.Cross and Singer 1994,Marcel Dekker Inc.New York」の中に見いだすことができる。
【0183】
繊維製品柔軟剤化合物は、好ましくは優れた柔軟化を提供する化合物であり、25℃より高い、好ましくは35℃より高い、最も好ましくは45℃より高い連鎖溶融LβからLαへの遷移温度を特徴とする。このLβからLαへの遷移は、Handbook of Lipid Bilayers」,D Marsh,CRC Press,Boca Raton,Florida,1990(137および337頁)において規定された示差走査熱量測定法によって測定することができる。
【0184】
実質的水不溶性繊維製品柔軟剤化合物は、20℃の脱塩水中で1×10−3wt%未満の溶解度を有する繊維製品柔軟剤化合物であると規定されている。好ましくは、繊維製品柔軟剤化合物は、1×10−4wt%未満、より好ましくは1×10−8未満から1×10−6wt%の溶解度を有する。
【0185】
特に好ましいのは、少なくとも1つのエステル結合、好ましくは2つのエステル結合によって分子に結合された2つのC12−22アルキルもしくはアルケニル基を有する水不溶性第四級アンモニウム材料であるカチオン性繊維製品柔軟剤化合物である。ジ(タローオキシルオキシエチル)ジメチルアンモニウムクロライドおよび/またはこの硬化タローアナログは、このクラスの特に好ましい化合物である。
【0186】
第2に好ましいタイプは、例えば、US3915867に記載されているようにトリエタノールアミン(以後は「TEAクアットと呼ぶ)に由来する化合物を含んでいる。適切な材料は、例えば、N−メチル−N,N,N−トリエタノールアミンジタローエステルまたはジ−硬化−タローエステル第四級アンモニウムクロライドもしくはメトスルフェートである。市販で入手できるTEAクアットの例には、どちらも部分不飽和であるRewoquat WE18およびRewoquat WE20(例、WITCO社)、完全飽和しているTetranyl AOT−1(例、KAO社)、完全飽和しているStepantex VP 85(例、Stepan社)が含まれる。
【0187】
第四級アンモニウム材料が生物学的に生分解性であれば有益である。
【0188】
さらに繊維製品のための主要洗濯用組成物において使用できる所定のモノ−アルキルカチオン性界面活性剤を含めることも可能である。使用できるカチオン性界面活性剤には、一般式R1R2R3R4N+X−(式中、R基は長い、または短い炭化水素鎖、典型的にはアルキル、ヒドロキシアルキルもしくはエトキシル化アルキル基であり、Xは対イオンである。)の第四級アンモニウム塩(例えば、R1がC8−C22アルキル基、好ましくはC8−C10またはC12−C14アルキル基であり、R2はメチル基であり、ならびに同一もしくは相違していてもよいR3およびR4は、メチルもしくはヒドロキシエチル基である化合物);およびカチオン性エステル(例えば、クロリンエステル)が含まれる。
【0189】
界面活性化合物(界面活性剤)の選択および存在する量は、洗剤組成物の使用目的に左右される。繊維製品洗濯用組成物では、当分野の熟練の調製者には周知であるように、手洗い製品および様々なタイプの洗濯機において使用することを目的とする製品のための様々な界面活性剤系を選択することができる。
【0190】
存在する界面活性剤の総量は、さらに最終使用目的に左右され、十分に調製された製品では、例えば繊維製品を手洗いするための組成物中では60wt%と高くてよい。繊維製品の機械洗濯用の組成物中では、5から40wt%の量が一般に適切である。典型的には、組成物は、重量で少なくとも2wt%、例えば2から60%、好ましくは15から40%、最も好ましくは25から35%の界面活性剤を含んでいる。
【0191】
大多数の繊維製品全自動洗濯機において使用するために適切な洗剤組成物は、一般には、アニオン性非石鹸系界面活性剤、もしくは非イオン性界面活性剤または任意で石鹸とともにこれら2つの任意の適切な比での組み合わせを含有する。主要繊維製品洗濯用組成物として使用する場合は、組成物は、一般に1つ以上の洗浄力ビルダーをさらに含有する。組成物中の洗浄力ビルダーの総量は、典型的には組成物の重量で5から80wt%、好ましくは10から60wt%の範囲に及ぶ。
【0192】
存在してよい無機ビルダーには、例えばGB1437950(Unilever社)に開示されたように、所望であればカルシウムカーボネートのための結晶化種子と組み合わせたナトリウムカーボネート;結晶および非晶質アルミノシリケート、例えばGB1473201(Henkel社)に開示されたゼオライト、GB1473202(Henke社)に開示された非晶質アルミノシリケートおよびGB1470250(Procter & Gamble社)に開示された混合結晶/非晶質アルミノシリケート;ならびにEP64514B(Hoechst社)に開示された層状シリケートが含まれる。無機ホスフェートビルダー、例えばナトリウムオルトホスフェート、ピロホスフェートおよびトリポリホスフェートもまた、本発明とともに使用するために適切である。
【0193】
本発明の組成物は、好ましくはアルカリ金属、好ましくはナトリウム、アルミノシリケートビルダーを含有する。ナトリウムアルミノシリケートは、一般には10から70重量%(無水ベース)、好ましくは25から50wt%の最終製品調製物量で組み込むことができる。
【0194】
アルカリ金属アルミノシリケートは、結晶もしくは非晶質またはこれらの混合物のいずれかであってよく、一般式:0.8 1.5Na2O.Al2O3.0.8 6SiO2を有する。
【0195】
これらの材料は、ある程度の結合水を含有しており、少なくとも50mgのCaO/gのカルシウムイオン交換能力を有することが必要とされる。好ましいナトリウムアルミノシリケートは、1.5 3.5SiO2単位(上記の式内で)を含有する。非晶質および結晶材料はどちらも、文献において十分に記載されているようにナトリウムシリケートとナトリウムアルミネートとの反応によって容易に調製することができる。適切な結晶性ナトリウムアルミノシリケートイオン交換洗浄力ビルダーは、例えばGB1429143(Procter & Gamble社)の中で記載されている。このタイプの好ましいナトリウムアルミノシリケートは、周知の市販で入手できるゼオライトAおよびXならびにこれらの混合物である。
【0196】
ゼオライトは、洗濯用洗剤粉末において現在広範に使用されている、市販で入手できるゼオライト4Aであってよい。しかし、本発明の好ましい実施形態によると、本発明の組成物中に組み込まれたゼオライトビルダーは、EP384070A(Unilever社)に記載されて主張された最高アルミニウムゼオライトP(ゼオライトMAP)である。ゼオライトMAPは、1.33を超えない、好ましくは0.90から1.33の範囲内およびより好ましくは0.90から1.20の範囲内のシリコーン対アルミニウム重量比を有するゼオライトPタイプのアルカリ金属アルミノシリケートであると規定されている。
【0197】
特に好ましいのは、1.07を超えない、より好ましくは約1.00のシリコーン対アルミニウム重量比を有するゼオライトMAPである。ゼオライトMAPのカルシウム結合能力は、一般に無水材料1g当たり少なくとも150mgのCaOである。
【0198】
存在してよい有機ビルダーには、ポリカルボキシレートポリマー、例えばポリアクリレート、アクリル酸/マレイン酸コポリマーおよびアクリル酸ホスフィネート;モノマーポリカルボキシレート、例えばシトレート、グルコネート、オキシジスクシネート、グリセロールモノ、ジ−およびトリスクシネート、カルボキシメチルオキシスクシネート、カルボキシメチルオキシマロネート、ジピコリネート、ヒドロキシエチルイミノジアセテート、アルキルおよびアルケニルマロネートおよびスクシネート;ならびにスルホン化脂肪酸塩が含まれる。このリストは、排他的であることは意図されていない。
【0199】
特に好ましい有機ビルダーは、5から30wt%、好ましくは10から25wt%の量で十分に調製された組成物中で適切に使用されるシトレート;および適切には0.5から15wt%、好ましくは1から10wt%の量で使用されるアクリル酸ポリマー、より特別にはアクリル酸/マレイン酸コポリマーである。
【0200】
無機および有機両方のビルダーは、好ましくはアルカリ金属塩、特別にはナトリウム塩形で存在する。
【0201】
本発明による粒子を含む組成物は、適切には漂白剤系も含有することができる。繊維製品洗濯用組成物は、望ましくはペルオキシ漂白化合物、例えば、水溶液中で過酸化水素を産生できる無機過酸塩もしくは有機ペルオキシ酸を含有することができる。
【0202】
適切なペルオキシ漂白化合物には、有機ペルオキシド、例えばウレアペルオキシドおよび無機過酸塩、例えばアルカリ金属ペルボレート、ペルカーボネート、ペルホスフェート、ペルシリケートおよびペルスルフェートが含まれる。好ましい無機過酸塩は、ナトリウムペルボレート一水和物および四水和物ならびにナトリウムペルカーボネートである。
【0203】
特に好ましいのは、水分による不安定化に対する保護コーティングを有するナトリウムペルカーボネートである。ナトリウムメタボレートおよびナトリウムシリケートを含む保護コーティングを有するナトリウムペルカーボネートは、GB2123044B(Kao社)に開示されている。
【0204】
ペルオキシ漂白化合物は、十分に調製された生成物中で適切には0.1から35wt%、好ましくは0.5から25wt%の量で存在する。ペルオキシ漂白化合物は、低い洗浄温度での漂白作用を改良するために漂白活性剤(漂白前駆体)と結び付けて使用できる。漂白前駆体は、適切には0.1から8wt%、好ましくは0.5から5wt%の量で存在する。
【0205】
好ましい漂白前駆体は、ペルオキシカルボン酸前駆体、より特別には過酢酸前駆体およびpernoanoic acid前駆体である。本発明において使用するために適切な特に好ましい漂白前駆体は、N,N,N’,N’−テトラセチルエチレンジアミン(TAED)およびナトリウムノナノイルオキシベンゼンスルホネート(SNOBS)である。US4751015およびUS4818426(Lever Brothers社)ならびにEP402971A(Unilever社)に開示された新規な第四級アンモニウムおよびホスホニウム漂白前駆体、ならびにEP284292AおよびEP303520A(Kao社)に開示されたカチオン性漂白前駆体もまた重要である。
【0206】
漂白系は、ペルオキシ酸が補給されてよい、またはペルオキシ酸と置換されてもよい。このような過酸の例は、US4686063およびUS5397501(Unilever社)の中に見いだすことができる。好ましい例は、EPA325288、EPA349940、DE3823172およびEP325289の中に記載されたイミドペルオキシカルボン酸のクラスの過酸である。特に好ましい例は、フタルイミドペルオキシカプロン酸(PAP)である。このような過酸は、適切には0.1から12wt%、好ましくは0.5から10wt%で存在する。
【0207】
漂白安定剤(遷移金属封鎖剤)は、さらにまた十分に調製された生成物中に存在していてもよい。適切な漂白安定剤には、エチレンジアミンテトラアセテート(EDTA)、ポリホスホネート、例えばDequest(商標)および非ホスフェート安定剤、例えばEDDS(エチレンジアミンジスクシン酸)が含まれる。これらの漂白安定剤は、さらにまた低濃度の漂白種または非漂白種を含有する最終製品における特に染み抜きのために有用である。
【0208】
特に好ましい漂白系は、ペルオキシ漂白化合物(好ましくはナトリウムペルカーボネートを場合により漂白活性剤とともに)、およびEP458397A、EP458398AおよびEP509787A(Unilever社)に記載されて主張された遷移金属漂白触媒を含んでいる。
【0209】
有益には、本発明の組成物では、有益剤、特に漂白剤に感受性である香料成分を使用できるが、これは例えば粒子内への香料成分のカプセル封入が香料成分もしくは他の有益剤へある程度の保護を提供するからである。
【0210】
十分に調製された組成物は、さらにまた1つ以上の酵素を含有することができる。
【0211】
適切な酵素には、洗剤組成物に組み込むために使用できるプロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、オキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよびリパーゼが含まれる。好ましいタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)は、加水分解反応における繊維製品の染みにおけるように存在する場合は染みのタンパク質のタイプを分解または変化させる触媒的活性タンパク質材料である。これらは、任意の適切な起源、例えば植物、動物、細菌または酵母起源の材料であってよい。
【0212】
様々な量および起源ならびに4から12の様々なpH範囲にある活性を有するタンパク質分解酵素またはプロテアーゼは、入手することができ、本発明において使用できる。適切なタンパク質分解酵素の例は、B.Subtilis(サブチリス)の特定の菌株B.licheniformis(リケニホルミス)から入手されるサブチリシン、例えばGenencor International N.V.社、オランダ国デルフト)によって供給される市販で入手できるサブチリシンであるMaxatase(商標)およびNovozymes Industri A/S社(デンマーク国コペンハーゲン)によって供給されるAlcalase(商標)である。
【0213】
特に適切であるのは、8から12のpH範囲を通して最高活性を有するバチルスの菌株から得られ、例えばNovozymes Industri A/S社から登録商標のEsperase(商標)およびSavinase(商標)を付けて市販で入手できるプロテアーゼである。これらや類似の酵素の調製は、GB1243785に記載されている。他の市販のプロテアーゼは、Kazusase(商標)(Showa Denko社、日本国から入手可能)、Optimase(商標)(Miles Kali Chemie社、独国ハノーバー)およびSuperase(商標)(Pfizer社、米国から入手可能)である。
【0214】
洗浄酵素は、一般に生成物上で約0.1から約3.0wt%の量で顆粒形で十分に調製された生成物中で使用される。しかし、任意の適切な物理的形態の酵素を使用できる。有益には、本発明の組成物では、有益剤、特に酵素に感受性である香料成分を使用できるが、これは例えば粒子内の香料成分(または他の有益剤)のカプセル封入が香料成分(または他の有益剤)へある程度の保護を提供するからである。
【0215】
本発明の組成物は、洗浄力を増加させ処理を容易にするために、アルカリ金属、好ましくはナトリウムカーボネートを含有することができる。ナトリウムカーボネートは、十分に調製された生成物中で適切には1から60wt%、好ましくは2から40wt%の範囲の量で存在してよい。しかし、ナトリウムカーボネートをほとんどまたは全く含有していない組成物もまた、本発明の範囲内に含まれる。
【0216】
十分に調製された洗剤組成物は、洗浄液中に(典型的には洗濯サイクル中に)希釈されると、典型的には主要洗濯用洗剤のために洗浄液の7から10.5のpHを生じさせる。
【0217】
粒子状洗剤組成物は、適切には適合する熱非感受性成分のスラリーをスプレー乾燥し、次に該スラリーを介して処理するためには適合しないこれらの成分をスプレーする、または後投与することによって調製される。熟練の洗剤調製者であれば、困難を伴わずにいずれの成分を該スラリー内に含めるべきか、および含めるべきではないかを決定することができる。本発明の香料粒子は、後投与によって加えることが特に有用である。
【0218】
粒子状洗剤組成物は、好ましくは、少なくとも400g/リットル、より好ましくは500g/リットルのバルク密度を有する。特に好ましい組成物は、少なくとも650g/リットル、より好ましくは少なくとも700g/リットルのバルク密度を有する。
【0219】
当該の粉末は、スプレー乾燥粉末の後塔高密度化または全体的に非塔法、例えば乾燥混合および造粒のいずれかによって調製できる;どちらの場合も有益には高速ミキサー/造粒機を使用できる。高速ミキサー/造粒機を使用する工程は、例えば、EP340013A、EP367339A、EP390251AおよびEP420317A(Unilever社)に開示されている。
【0220】
液体洗剤組成物は、必要濃度で成分を含有する組成物を提供するために任意の所望の順序で必須成分およびこれらの任意の成分を混合する工程によって調製できる。本発明による液体組成物は、さらにまた従来型液体洗剤に比較して低濃度の水を含有することを意味するコンパクト形にあってもよい。
【0221】
上記のように、本発明の粒子は、有益剤の(特に香料の)「後期変形添加(late variant addition)」を特徴とする製品を製造するための工程に特に適合する。
【0222】
本発明をさらに詳細に理解し、これを実施することができるために、以下では参考例を参照してより詳細に説明する。
【実施例】
【0223】
一般
有益剤
香料は、複雑な分子の混合物である傾向がある。これらの参考例のためには、他に特に記載しない限り、単純化した再現性のモデル香料を使用した。モデル香料は、トップノート、ミドルノートおよびベースノートに関連する3つの組成物に分けられる。
【0224】
【表1】
【0225】
【表2】
【0226】
【表3】
【0227】
粒子の調製
全てのミニエマルジョン合成について、一般的方法に従った;典型的な例は以下のとおりである。
【0228】
1.下記を30mlバイアル中で結合した:
ポリ(フェニルイソシアネート)(3.86g)−ステップ成長重合のための架橋剤;
イソホロンジイソシアネート(8.05g)−ステップ成長重合のためのコモノマー;
トップノート香料(3.2g)−有益剤(存在する場合);
ジブチルスズジラウレート(0.088g)−触媒;
ヘキサデカン(1.23g)−共界面活性剤;
メチルメタクリレート(8.32g)−連鎖成長重合のためのモノマー;
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(0.083g)−連鎖成長重合のためのフリーラジカル開始剤;
【0229】
2.下記を67.1gの水中に溶解させ、10℃未満に冷却した:
ナトリウムドデシルスルフェート(1.23g)−乳化剤;
1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン(1.52g)−ステップ成長ポリマーのための架橋剤1,6−ヘキサンジオール(4.28g)−ステップ成長重合のためのコモノマー;
【0230】
3.超音波プローブを使用して、(1)および(2)で得られた2相を氷浴中で冷却しながら3分間にわたり混合した。
【0231】
4.工程(3)の結果として生じるミニエマルジョン溶液を丸底フラスコ内に配置し、55℃の外部温度および200rpmで3時間にわたり撹拌した。
【0232】
5.3時間後、温度を85℃へ上昇させ、反応液をさらに2時間撹拌した。
【0233】
6.5時間後、反応液を冷却してデカンテーションした。
【0234】
反応容器および撹拌器は、凝固物および砂粒形成の徴候についてチェックしなければならない。最終固体含量を重量分析によって決定した。
【0235】
綿沈殿助剤グラフト化の手順:
1.1%のLBG/キシログルカンは、1gのポリ(サッカリド)を99gの沸騰水中へホモジナイザーを用いて12,000rpmで2分間撹拌することで溶解させることによって調製する。
【0236】
2.100gの20%固体の(ミニ)エマルジョン粒子を丸底フラスコ内に測り入れる。
【0237】
3.このフラスコに、20gのポリ(サッカリド)ストック液を加える。
【0238】
4.オーバーヘッド型撹拌器およびコンデンサーを取り付け、80℃に加熱する。
【0239】
5.混合液を350rpmで1時間にわたり撹拌した後、アスコルビン酸(1mLの水中で0.096g)およびメチルアクリレート(1.01g)を加える。
【0240】
6.混合液を2分間撹拌した後、30%の過酸化水素溶液(0.275g)を加える。
【0241】
7.90分後、さらに一部分のアスコルビン酸(0.5mLの水中で0.032)および30%の過酸化水素(0.09g)を加える。
【0242】
8.反応が終了したら(3から4時間後)、反応液を冷却し、標識したジャーに移す。
【0243】
ポリエステル沈殿助剤グラフト化の手順:
1.1%PET−POETは、1gのポリマーを99gの沸騰水中へホモジナイザーを用いて12,000rpmで2分間撹拌しながら溶解させることによって調製する。
【0244】
2.100gの20%固体の(ミニ)エマルジョン粒子を丸底フラスコ内に測り入れる。
【0245】
3.このフラスコに、20gのポリ(サッカリド)ストック液を加える。
【0246】
4.オーバーヘッド型撹拌器およびコンデンサーを取り付け、80℃に1時間加熱する。
【0247】
5.反応液を25℃へ再び冷却する。
【0248】
6.5分間かけてイソホロンジイソシアネート(2.17g)およびジブチルスズジラウレート(0.03g)を滴下し、さらに55分間撹拌する。
【0249】
7.水(1.65g)中に溶解させた1,6−ヘキサンジオール(1.16g)を加え、80℃に加熱し、2時間撹拌する。
【0250】
8.反応が終了したら(4から5時間後)、反応液を冷却させ、標識したジャーに移す。
【0251】
洗浄実験:
洗浄実験では、粒子沈殿を以下のとおりに濁度によって測定した:
a)ストック液の調製:
・界面活性剤ストック:(10g/L、50:50のLAS:A7)は、脱イオン水中に直鎖状アルキルベンゼンスルホネート(9.09g、LAS(55%活性))およびSynperonic A7(5g)を計1リットルへ溶解させることによって調製した。
【0252】
・基本バッファーストック液:(0.1M)は、炭酸ナトリウム(7.5465g)および炭酸水素ナトリウム(2.4195g)を脱イオン水中に計1リットルへ溶解させることによって調製した。
【0253】
b)洗浄液の調製:
基本バッファーストック(10ml)および界面活性剤ストック(10ml)を500mlのLinitestポットに加え、80mlの脱イオン水を加えてpH10.5で緩衝して1g/Lの界面活性剤(50:50、LAS:A7)を含有する洗浄液を生成した。
【0254】
c)模擬洗浄:
.04g(洗浄液上で400ppm)のポリマー粒子:未修飾カプセルを各々洗浄液を含有するlinitestポットに加え、確実に混合するためにわずかに撹拌した。洗浄は各サンプルについて2回ずつ実施し、結果を平均化した。5mlのアリコートを各々から取り出し、400nmでの吸光度を1cmのキュベットを使用して記録した。この吸光度値は、模擬洗浄工程前の洗浄液中の100%粒子を表している。
【0255】
d)Linitest装置および手順:
20cm×20cmの1片の非蛍光綿(または必要に応じて編みポリエステル)を洗浄液およびポリマー粒子を含有する各linitestポット内に配置し、このポットを密封した。
【0256】
Linitest(商標)は、実験室規模の洗濯機(例、Heraeus社製)である。この装置は、国際標準試験仕様のための要件を遵守するように設計および構築されている。この装置は、特に洗浄液対布地の低い比率が使用される場合に小規模の洗浄および染み抜き試験のために使用される。
【0257】
市販で利用できるLinitestの様々なモデルがある。この場合に使用したモデルは、40rpmの単一回転速度を有する。キャリアは、12個の500mlスチール製容器に適応することができ、100℃までの温度で作動させることができる。
【0258】
Linitestは20リットルのタンク、制御システムおよび駆動機構を含んでいる。タンクの基部にある永久サーモスタット制御管状加熱素子が浴液を必要な温度へ加熱する。ステンレススチール構造全体は、ギア付きモータによって駆動される回転水平キャリア上に取り付けられている試料容器への効率的な熱伝達を保証する。キャリアの回転運動は、液体を連続動作で容器の一端から他方の端へ液体を「投げる」。この運動は、機械的洗浄工程を模擬し、追加の機械的作用はスチール製ボールベアリングもしくはディスクを使用することによって得ることができる。
【0259】
Linitestポットは、Linitesterクレードルに取り付け、主要洗浄を模擬するために40℃で45分間回転させた。
【0260】
布地を次に取り出し、手で絞り、残っている洗浄液の5mlアリコートを取り出し、上述のように1cmキュベットを使用して400nmでの吸光度を測定した。初期検量線の内挿から、洗浄後に洗浄液に残留している粒子の濃度を決定することができたので、そこで布地上に沈殿した(洗浄沈殿)の濃度を差によって決定することができた。
【0261】
Linitestポットを次に完全にすすぎ洗い、「絞った」布地をポットに戻し、125mlの脱イオン水を加えた。Linitester浴水を排水し、ポットをクレードルに取り付け、すすぎ手順を模擬するために周囲温度(約20℃)で10分間回転させた。次に布地を取り出し、手で絞った。すすぎ液の5mlアリコートを取り出し、400nmでの吸光度を決定した。上述のように初期校正プロットの内挿はすすぎ中に布地から取り除かれた粒子濃度を決定することを可能にしたので、すすぎ前に沈殿した初期濃度との比較によって、布地からの消失パーセンテージを決定することができた。この手順は、第2回および第3回のすすぎからの消失を模擬して決定するためにさらに2回繰り返した。
【0262】
以下の参考例では、全ての量は、他に特に規定しない限り、グラムで提示した。粒子内の香料残留は、粒子をモデル洗濯用洗剤調製物中に配置し、経過時間後に遊離したまま残留している香料の比率を決定することによって決定する。界面活性剤基剤中の香料含量の減少は、比色アッセイによって決定した。
【0263】
[参考例1]
【0264】
【表4】
【0265】
架橋剤の濃度は、イソシアネートまたはヒドロキシル基の三官能分子、即ちポリ(フェニルイソシアネート)または1,1,1−トリス(ヒドロキシル−メチル)プロパン上のパーセンテージを意味する。残留物は、二官能鎖延長分子、つまりイソホロンジイソシアネートまたは1,6−ヘキサンジオール上に存在する。
【0266】
調製した材料は、固体2%で0.75%のトップノート香料を含有する非濃縮洗濯液体洗剤基剤に加えた。これらの材料を次に1、5および8日後に、どの位の香料が粒子内に吸収されていたかを決定するために分析した。ブランク測定は、粒子自体からの反応がないことを保証するために実施し、T=0測定値は、基剤にミニエマルジョン粒子の代わりに水を加えることによって調製した。
【0267】
非架橋粒子(参考例1.7)は香料を極めてわずかしか吸着しなかった。香料吸収における総合的増加は、架橋剤の濃度の増加とともに観察された。最高架橋剤濃度では、およそ35%の香料が吸着されている。
【0268】
【表5】
【0269】
参考例2]
【0270】
【0271】
【表7】
【0272】
2つの架橋剤レベル(2%および32%)での本発明による一連のサンプルは、上記の表に提示した一連の様々なフリーラジカルモノマーを用いて調製した。
【0273】
調製した材料は、固体2%で0.75%のトップノート香料を含有する非濃縮洗濯用液体洗剤基剤に加えた。これらの材料を次に1、5および8日後に、どの位の香料が粒子内に吸収されていたかを決定するために分析した。粒子自体からの反応がないことを保証するためにブランク測定を実施し、T=0測定値は粒子の代わりに基剤へ水を加えることによって調製した。
【0274】
サンプルの架橋剤密度が高いほど、典型的には20から30%以上のフレグランスを吸収した。最初にこの結果は、高度に架橋した粒子はフレグランスが浸透するのは困難であると予想されるので、驚くべきことであると思われた。しかしこれらの材料からの漏出機構は動的に制御されるのではなくむしろ熱力学的に制御されることを前提にすると、遊離香料の濃度は、遊離香料から出発する系由来であり、同一の空粒子と一緒に分注されるので、カプセル封入香料からの濃度と同一でなければならない。
【0275】
【表8】
【0276】
【表9】
【0277】
参考例1では、これらの粒子は純粋に別個のコア材料を伴わないポリ−ウレタンステップ成長ポリマーであり、形成された界面重合によって形成される。この参考例2では、連鎖成長重合によって形成されたコアもまた存在する。参考例2の結果を参考例1と比較すると、はるかに低い濃度の遊離香料はコアを含む粒子により吸着されないまま残されたことを見て取ることができる。
【0278】
漏出は、コアモノマーについての溶解度パラメーター値と比較することができる。溶解度パラメーター差分値(ΔSP)が低いほどフレグランスは該コアモノマーとより適合性である。これはより低濃度の遊離香料をもたらし、そこでアッセイが実施されるときにより低い比色分析反応をもたらす。これはより低い吸収値に変換される。溶解度パラメーターと遊離フレグランスとの間の相関を見いだすことができる。
【0279】
最低溶解度パラメーター値の材料は最低濃度の遊離香料を示し、逆に最高溶解度パラメーター材料は最高濃度の遊離香料を示す。
【0280】
高濃度の架橋剤だけを見ると、コアの溶解度パラメーターが使用されたモノマーに伴って変化すると理解することができる。以下の表は、コアモノマーの性質の変化が溶解度パラメーターに及ぼす作用を示している。
【0281】
【表10】
【0282】
粒子内の香料の濃度は、100%−遊離香料の濃度であると想定できる。そこで、アクリレートコアモノマーはスチレンより良好に機能したことを見て取ることができる。
【0283】
参考例3]
【0284】
【表11】
【0285】
【表12】
【0286】
参考例3は、ハイブリッド粒子内の連鎖成長(フリーラジカル)コアとステップ成長(ポリ(ウレタン))シェルの比率をどのように変化させることができるかを示している。これは、コア内に吸収できるフレグランスのレベルに影響を及ぼすであろう。この参考例は、存在するブチルメタクリレート(BMA)の濃度を変化させることが香料吸収に及ぼす作用を示している。
【0287】
【表13】
【0288】
【表14】
【0289】
上記の参考例と同様に、遊離香料の欠点は粒子内に吸着されている。シェル材料の濃度が比例して減少するにつれて吸着される香料の量が増加することは明らかである。
【0290】
参考例4]
【0291】
【表15】
【0292】
これらの結果は、コアへの架橋剤の添加が2モル%までのレベルでは香料吸収に影響を及ぼさないことを示唆している。2から8モル%へ増加させると、遊離香料の濃度は2倍になり、これは粒子が香料を吸着しにくくなることを示唆している。
【0293】
【表16】
【0294】
これらの結果は、遊離香料と粒子内の香料との平衡がどのように迅速に確立されるかについても示している。加えられた香料の60%超は、第1日後に粒子内に吸着されている。
【0295】
参考例5]
沈殿助剤の添加
メチルアクリレートをこの開始速度のためにグラフト化沈殿助剤のモノマーとして使用したが、伝播および水溶度はこの目的のために最も適合している。ポリ(ウレタン)縮合重合反応を使用してPET−POETポリマーをポリ(ウレタン)シェルにグラフト化させた。これは、ポリマーがカプセル封入物に物理的に吸収されることを可能にするために最初にPET−POETの溶液をカプセル封入スラリーへ加えることによって達成した。次にPET−POETは、イソシアネートおよびジオールの添加によって永久的に付着させた。
【0296】
【表17】
【0297】
これらの結果は明らかに、沈殿助剤を用いると、基質上への粒子の沈殿が有意に増加したことを示している。
【0298】
参考例6]
【0299】
【表18】
【0300】
2つの架橋剤レベル(2%および32%)での本発明による一連のサンプルは、上記の表に提示した一連の様々なフリーラジカルモノマーを用いて調製した。
【0301】
調製した材料は、5%の固体の非濃縮型洗濯用液体洗剤基剤に加えると、液体基剤中の香料濃度は0.5%となった。これらの材料を次に1、5および8日後に、どの位の香料が粒子から基剤内に漏出していたかを決定するために分析した。
【0302】
【表19】
【0303】
漏出は、コアモノマーについての溶解度パラメーター値と比較することができる。溶解度パラメーター差分値(ΔSP)が低いほどフレグランスは該コアモノマーとより適合性である。これはより低濃度の遊離香料をもたらし、そこでアッセイが実施されるときにより低い比色分析反応をもたらす。これはより低い漏出値に変換される。溶解度パラメーターと遊離フレグランスとの間の相関を見いだすことができる。
【0304】
最低溶解度パラメーター値の材料は最低濃度の遊離香料を示し、逆に最高溶解度パラメーター材料は最高濃度の遊離香料を示す。
【0305】
【表20】