特許第6274878号(P6274878)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6274878
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】衣服
(51)【国際特許分類】
   A41D 27/08 20060101AFI20180129BHJP
   A41D 27/10 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
   A41D27/08 C
   A41D27/10
【請求項の数】11
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-10690(P2014-10690)
(22)【出願日】2014年1月23日
(65)【公開番号】特開2015-137439(P2015-137439A)
(43)【公開日】2015年7月30日
【審査請求日】2016年11月7日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 GOLDWIN ATHLETIC 2014 SPRING & SUMMER COLLECTION ゴールドウインアスレチック総合展示商談会(開催日:平成25年7月23日〜24日)
(73)【特許権者】
【識別番号】594137960
【氏名又は名称】株式会社ゴールドウイン
(73)【特許権者】
【識別番号】592019523
【氏名又は名称】株式会社ゴールドウインテクニカルセンター
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100102990
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良博
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(72)【発明者】
【氏名】坂田 悦代
(72)【発明者】
【氏名】鎌谷 尚子
(72)【発明者】
【氏名】御巫 雅子
【審査官】 田中 尋
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0283442(US,A1)
【文献】 登録実用新案第3122107(JP,U)
【文献】 特開平11−323624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D1/06,7/00,27/00−27/28,31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上半身に着用するトップス部と、着用者の左右の大腿の少なくとも一部を覆う左右一対の大腿部被覆部を有する、下半身に着用するボトムス部とを備えた衣服であって、
前記トップス部とボトムス部との少なくともいずれか一方の前身頃に、下方に行くに従って前記前身頃の軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線を備えた左右一対の前身頃側模様と、
前記トップス部の後見頃における軸線と交差し、且つそのトップス部の幅方向に連続的に延びる目視可能な線を備えた第1の後見頃側模様と、
前記トップス部の後見頃における前記第1の後見頃側模様よりも下方側とボトムス部の後見頃の少なくともいずれか一方に、下方に行くに従って前記後身頃の軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線を備えた左右一対の第2の後身頃側模様とを有する、衣服。
【請求項2】
前記トップス部は、予め定めた間隔を空けて相互に並行するように配設された目視可能な複数の線状又は帯状に形成された前記一対の前身頃側模様を複数対備えていて、これらの各対の前身頃側模様は、隣り合う他の対の前身頃側模様と相互に非接触且つ予め定めた間隔を空けて配置されている、請求項1に記載の衣服。
【請求項3】
前記ボトムス部は、前記一対の前身頃側模様を備えている、請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の衣服。
【請求項4】
前記トップス部は、前見頃の左右両側に、予め定めた間隔を空けて相互に並行するように配設された目視可能な複数の線状又は帯状の模様からなる左右一対の縞状模様部を、前記前身頃側模様とは別に備えている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の衣服。
【請求項5】
前記左右一対の縞状模様部は、3本以上の線状又は帯状の模様から形成されていると共に、隣り合う線状又は帯状の模様間の各間隔が、トップス部の前身頃における直近の幅方向の端部側に位置する線状又は帯状の模様間の間隔ほど幅狭になる、請求項4に記載の衣服。
【請求項6】
前記ボトムス部における一対の大腿被覆部は、各裾部の下端部が、内腿側からボトムス部の直近の端部側に斜め上方に向けてそれぞれ傾斜している、請求項1〜5のいずれか1項に記載の衣服。
【請求項7】
前記トップス部は、着用者の上半身における体幹部分を覆う本体部と、基端側が前記本体部に連結された、着用者の左右の上腕を覆う左右一対の上腕被覆部とを有していて、これらの一対の上腕被覆部は、袖幅が、着用者の上腕の幅の比べて大きく形成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の衣服。
【請求項8】
前記トップス部の一対の上腕被覆部は4〜5分丈である、請求項7に記載の衣服。
【請求項9】
前記ボトムス部の一対の大腿被覆部は4〜5分丈である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の衣服。
【請求項10】
前記トップス部は、胸部を被覆する部分において、着用者の乳房の膨らみの頂部に相当する高さ位置を基準高さとして、その基準高さよりも高い部分に明度の高い色彩を付した明色領域を備えていると共に、前記基準高さよりも低い部分に明色領域の色彩よりも明度が低い暗色領域を備えている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の衣服。
【請求項11】
前記衣服は水着である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服に関するものであり、特に着用者の体形を美しく見せることができる衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
衣服として、例えば女性が着用する水着は、従来より様々な形状や模様、色彩のものが提供されているが、水着は着用者の体にフィットするため、着用者の体形が外観にあらわれ易い。
そのため、近年では水着の見頃のパターン切り替えや縫製、素材等を変えることにより、体形を美しく見せる工夫、特に、脚を長く見せることにより全体としてのスタイルを良く見せるための工夫が施されていることが少なくない。この場合においては、水着によって着用者の体、例えばウエストや大腿を締め付けるなどして実際に体形を矯正し、着用者の体を引き締めてすっきりとした体形に見せることにより、視覚的に脚が長く見える効果を得ようとすることが行われることが多い。
しかしながら、例えばスポーツやフィットネスなどの運動を行う場合には、着用者の体を締め付けて体形を矯正すると、自由な体の動きが阻害されるだけでなく、着用者の体に多大な負担がかかるため、適切でない。
【0003】
そのため、例えば特許文献1に記載されているように、視覚上の錯覚、いわゆる錯視を利用して、水着の着用者の体形を美しく見せようとすることが提案されている。この特許文献1に記載の水着の場合、水着全体に略同形状の柄を連続的に設けて、胸部分及び/または臀部分の柄を腹部分の柄よりも大きく形成することにより、着用者の体形を体の凹凸に準じて立体的に見えるようにして、より女性らしい体形に見せるようにしている。
しかしながら、この特許文献1の場合、体の凹凸を強調してより女性らしい体形に見せることは可能であると考えられるが、模様の大小のみでは脚長に見える効果を得ることは難しく、人によっては必ずしも満足するようなスタイルが得られない可能性がある。
【0004】
一方、水着においては、脚の付け根部分のカットを深くしたハイレグカット(High
leg Cut(いわゆるハイレグ))によって、視覚的に脚が長く見えるという錯視効果を得られることが広く知られている。
しかしながら、一般女性の場合、スポーツやフィットネスなどの運動を行う際にハイレグカットの水着を着用することに抵抗を感じることが多い。また、ハレグカットや、脚の付け根部分のカットを浅くしたローレッグカット(Low leg Cut(いわゆるローレグ))に関わらず、大腿の肌の露出をできるだけ抑えたいという心理が作用する場合もある。
そのため、現在では大腿まで被覆するボトムス部を備えた水着を着用する傾向が強く、したがって、ハイレグカットによって脚長に見える錯視効果はあまり利用されない場合が多いのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−323624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の技術的課題は、着用者の脚を長く、胴を短く見せる錯視効果を得ることが可能な、気軽に着用できる衣服を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明の衣服は、上半身に着用するトップス部と、着用者の左右の大腿の少なくとも一部を覆う左右一対の大腿部被覆部を有する、下半身に着用するボトムス部とを備えた衣服であって、前記トップス部とボトムス部との少なくともいずれか一方の前身頃に、下方に行くに従って前記前身頃の軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線を備えた左右一対の前身頃側模様と、前記トップス部の後見頃における軸線と交差し、且つそのトップス部の幅方向に連続的に延びる目視可能な線を備えた第1の後見頃側模様と、前記トップス部の後見頃における前記後見頃側幅方向模様よりも下方側とボトムス部の後見頃の少なくともいずれか一方に、下方に行くに従って前記後身頃の軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線を備えた左右一対の第2の後身頃側模様とを有するものである。
【0008】
本発明においては、前記トップス部は、予め定めた間隔を空けて相互に並行するように配設された目視可能な複数の線状又は帯状に形成された一対の前身頃側模様を複数対備えていて、これらの各対の前身頃側模様は、隣り合う他の対の前身頃側模様と相互に非接触且つ予め定めた間隔を空けて配置されているものとすることができる。
【0009】
さらに、本発明においては、前記ボトムス部は、前記一対の前身頃側模様を備えているものとすることができる。
【0010】
また、本発明においては、前記トップス部は、前見頃の左右両側に、予め定めた間隔を空けて相互に並行するように配設された目視可能な複数の線状又は帯状の模様からなる左右一対の縞状模様部を、前記前身頃側模様とは別に備えているものとすることができる。
このとき、前記左右一対の縞状模様部は、3本以上の線状又は帯状の模様から形成されていると共に、隣り合う線状又は帯状の模様間の各間隔が、トップス部の前身頃における直近の幅方向の端部側に位置する線状又は帯状の模様間の間隔ほど幅狭になる構成とすることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明においては、前記ボトムス部における一対の大腿被覆部は、各裾部の下端部が、内腿側からボトムス部の直近の端部側に斜め上方に向けてそれぞれ傾斜しているものとすることができる。
【0012】
本発明においては、前記トップス部は、着用者の上半身における体幹部分を覆う本体部と、基端側が前記本体部に連結された、着用者の左右の上腕を覆う左右一対の上腕被覆部とを有していて、これらの一対の上腕被覆部は、袖幅が、着用者の上腕の幅の比べて大きく形成されているものとすることができる。
この場合、前記トップス部の一対の上腕被覆部は4〜5分丈であるものとすることが好ましい。
【0013】
また、本発明においては、前記ボトムス部の一対の大腿被覆部は4〜5分丈であるものとすることができる。
さらに、本発明においては、前記トップス部は、胸部を被覆する部分において、着用者の乳房の膨らみの頂部に相当する高さ位置を基準高さとして、その基準高さよりも高い部分に明度の高い色彩を付した明色領域を備えていると共に、前記基準高さよりも低い部分に明色領域の色彩よりも明度が低い暗色領域を備えているものとすることが好ましい。
また、本発明においては、前記衣服は水着であるものとすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、前身頃には、下方に行くに従って前記前身頃の軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線を備えた左右一対の前身頃側模様が設けられているため、この前身頃側模様がミュラー・リヤー錯視を生じさせることが可能である。これにより、着用者を正面側から見たときには、前記前身頃側模様がない場合に比べ、着用者の胴が短く且つ脚が長く見える錯視効果を得ることができる。
また、後見頃には、トップス部の後見頃における軸線と交差し、且つそのトップス部の幅方向に延びる目視可能な線を備えた第1の後見頃側模様と、この第1の後見頃側模様よりも下方側に、下方に行くに従って前記後身頃の軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線を備えた左右一対の第2の後身頃側模様とが設けられているため、これらの第1の後見頃側模様及び第2の後見頃側模様とによりミュラー・リヤー錯視を生じさせることが可能である。これにより、着用者を背面側から見た場合であっても、前記第1の後身頃側模様及び第2の後見頃側模様がない場合に比べて、着用者の胴が短く且つ脚が長く見える錯視効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は本発明に係る衣服の第1の実施の形態を模式的に示す正面図である。
図2図2は同背面図である。
図3図3は第1の実施の形態の衣服におけるボトムス部を模式的に示す正面図である。
図4図4はミュラー・リヤー錯視について説明するための図である。ただし、(a)第1の線分、(2)第2の線分をそれぞれ示す。
図5図5は奥行きを強調することにより幅が狭く見える錯視について説明するための図である。ただし、(a)錯視効果がない物体の正面図、(2)錯視効果がある物体の正面図をそれぞれ示す。
図6図6は本発明に係る衣服の第2の実施の形態を模式的に示す正面図である。ただし、色彩の違いはドットの密度の違いによってあらわしている。
図7図7は同背面図である。
図8図8は本発明に係る衣服の第3の実施の形態を模式的に示す正面図である。ただし、色彩の違いはドットの密度の違いによってあらわしている。
図9図9は同背面図である。
図10図10は第3の実施の形態の衣服におけるボトムス部を模式的に示す正面図である。
図11図11は第3の実施の形態の衣服における上腕被覆部の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1図3は、本発明に係る衣服の第1の実施の形態を示すもので、この実施の形態においては、衣服として、特に女性が着用するのに好適な水着について説明する。
即ち、この実施の形態の水着1Aは、上半身に着用するトップス部2と、着用者の左右の大腿の少なくとも一部を覆う後述の左右一対の大腿被覆部12,13を有する、下半身に着用するボトムス部3とを備えたものである。
この実施の形態においては、これらのトップス部2とボトムス部3とは相互に別体に形成されていて、別々に着用することが可能となっている。
【0017】
前記トップス部2は、着用者の上半身における体幹部分、具体的には、胸部及び腹部並びに背中を覆う本体部6と、この本体部6の上端側中央に設けられた、着用者の頭を通す襟ぐり部7と、前記本体部6の上方側の左右両端に設けられた、着用者の左右の腕を通す一対のアームホール部8,8と、本体部6の下端側に設けられたトップス部側裾部9とを備えている。なお、この実施の形態においては、前記トップス部6は、袖のないスリーブレスの構成となっている。
一方、前記ボトムス部3は、上端側に設けられたウエスト部11と、股部において二股に分岐する左右一対の前記大腿被覆部12,13と、各大腿被覆部12,13の下端側に設けられた脚を挿脱させるボトムス部側裾部14,15とを備えている。なお、この実施の形態におけるボトムス部の大腿被覆部12,13は、二分丈〜三分丈程度の長さとなっている。
【0018】
そして、前記水着1Aには、前記トップス部2とボトムス部3との各前身頃2a,3aに、下方に行くに従って前記前身頃2a,3aの軸線、より具体的には水着1Aの幅方向(左右方向)の中央に位置して上下方向に延びる軸線に次第に近づくように傾斜する線状に形成された、左右一対の前身頃側模様がそれぞれ設けられている。
さらに、前記トップス部2の前見頃2aには、複数の線状の模様からなる左右一対の縞状模様部31が配設されている。
また、前記トップス部2の後見頃2bに、そのトップス部2の後見頃2aおける軸線、より具体的には水着1Aの幅方向の中央に位置して上下方向に延びる軸線と交差し、且つそのトップス部2の幅方向に延びる目視可能な線を備えた第1の後見頃側模様と、前記トップス部2及びボトムス部3との各後見頃2b,3bに設けられた、下方に行くに従って前記後身頃2b、3bの軸線に次第に近づくように傾斜する線状に形成された左右一対の第2の後身頃側模様とが配設されている。
【0019】
具体的に説明すると、前記水着1Aの前身頃に関して、前記トップス部2の本体部6の前身頃(正面側)には、前記トップス部2に設けられた前身頃側模様として、下方に行くに従って前記トップス部2の前身頃2aの軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線を備えた左右一対の第1傾斜模様21が配設されている。
また、この第1傾斜模様21とは別に、下方に行くに従って前記トップス部2の前身頃2aの軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線を備えた左右一対の第2傾斜模様22とが配設されている。
さらに、前記トップス部2は、前見頃2aの左右両側に、目視可能な複数の線状の模様からなる前記左右一対の縞状模様部31が、前記第1傾斜模様21及び第2傾斜模様22とは別に設けられている。
【0020】
前記第1傾斜模様21は、図1に示すように、前記トップス部2の本体部6における前身頃2aの左右の脇下あたり、即ち前記左右のアームホール部8,8の下端側よりもやや下方に位置する部分から、トップス部2の前身頃の軸線の近傍までそれぞれ延びる、斜め下方向に傾斜した左右一対の線状の模様21a,21bとなっている。
より具体的に、前記本体部6の左側に位置する線状の模様21aについては、その本体部6の前身頃の左側の端部からトップス部2の前身頃2aの軸線に向けて斜め右下方向に延びる、緩やかな曲線状に形成されている。
一方で、前記本体部6の前身頃の右側に位置する線状の模様21bについては、その本体部6の前身頃の左側の端部から本体部の前身頃の軸線に向けて斜め左下方向延び、且つ前記左側に位置する模様とほぼ同様の曲率で曲がる、緩やかな曲線状に形成されている。
したがって、これらの左側に位置する線状の模様21aと右側に位置する線状の模様21bとは、前記トップス部2の前身頃2aの軸線を対称軸とする線対称の形状となっている。
なお、対になっている前記左右の線状の模様21a,21bは、相互に非接触となっていて、いずれもほぼ同じ太さ(幅)、且つほぼ同じ長さとなっている。
【0021】
この実施の形態においては、前記第1傾斜模様21は、複数(図1に示すものの場合9つ)設けられている。
これらの第1傾斜模様21は、配置高さがそれぞれ異なっていて、予め定めた間隔を空けた状態で配置され、且つ他の対の第1傾斜模様21、即ち上下方向において隣り合う他の第1傾斜模様21とは相互に非接触な曲線となっている。
また、前記各第1傾斜模様21は、隣り合う他の第1傾斜模様21との間の間隔が、各第1傾斜模様を構成する線状の模様21a,21bの幅に比べて十分に広い状態にそれぞれ並設されている。
さらに、隣り合う第1傾斜模様21,21の間の間隔は、前記本体部6の幅方向の直近の端部側、即ち上端側が最も狭く、トップス部2の前身頃2aの軸線側、即ち下端側に行くに従って次第に間隔が広くなっている態様となっている。
【0022】
前記第2傾斜模様22は、左右一対の三角形状の模様22a,22bにより形成されたもので、これらの三角形状の模様22a,22bが、前記本体部6の前身頃の左右両端側における下端側、即ち、トップス部側裾部9に接した状態で配設された態様となっている。
具体的に、前記第2傾斜模様22を形成する前記左右一対の三角形状の模様22a,22bは、図1に示すように、正面視において、前記トップス部側裾部9を底辺とし、且つ上方側に頂部を有する形状に形成されている。そして、これらの三角形状の模様22a,22bのうちの一辺が、前記本体部の幅方向の直近の端部から前記前身頃の軸線に次第に近づくように斜め下方向に傾斜する辺(端面)となっていて、この傾斜する一辺が、下方に行くに従って前記前身頃の軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線として機能するようになっている。
【0023】
また、図1及び図3に示すように、前記ボトムス部3の前身頃3a(正面側)には、ボトムス部3に設けられた前身頃側模様として、下方に行くに従って前記前身頃3aの軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線状に形成された左右一対の第3傾斜模様23が配設されている。さらに、この第3傾斜模様とは別に、下方に行くに従って前記前身頃3aの軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線を備えた左右一対の第4傾斜模様24が配設されている。
【0024】
前記第3傾斜模様23は、前記ボトムス部3の前見頃3aと後見頃3bとの連結部分(即ち、ボトムス部3の左右両端部分)における前記ウエスト部11の近傍から、前記大腿被覆部12,13を通って前記ボトムス部側裾部14,15にまでそれぞれ延びる、ボトムス部3の前記軸線の近傍に向けて斜め下方向に傾斜した左右一対の線状の模様23a,23bとなっている。
より具体的には、図1及び図3に示すように、前記第3傾斜模様21のうち、前記ボトムス部3の左側に位置する線状の模様23aについては、そのボトムス部3の前身頃におけるウエスト部11近傍の左側の端部から左側の大腿被覆部12を通って、その左側の大腿被覆部12のボトムス部側裾部14のほぼ中央の位置に達するように、ボトムス部3の前身頃3aの軸線に向けて斜め右下方向に延びる直線状あるいは曲線状に形成されている。
一方、前記ボトムス部3の右側に位置する線状の模様23bについては、そのボトムス部3の前身頃3aにおけるウエスト部11近傍の右側の端部から右側の大腿被覆部13を通って、その右側の大腿被覆部13のボトムス部側裾部15のほぼ中央の位置に達するように、ボトムス部3の前身頃3aの軸線に向けて斜め左下方向に延びる直線状あるいは曲線状に形成されている。
【0025】
また、前記第4傾斜模様24は、左右一対の三角形状の模様24a,24bにより形成されたもので、これらの三角形状の模様24a,24bが、前記ボトムス部3の前身頃3aの左右両端側における下端側、即ち、ボトムス部側裾部14,15に接した状態で配設された態様となっている。
具体的に、前記第4傾斜模様24を構成する前記左右一対の三角形状の模様24a,24bは、ボトムス部3の正面視において、前記ボトムス部側裾部14,15を底辺とし、且つ上方側に頂部を有する形状に形成されている。これらの三角形状の模様24a,24bのうちの一辺が、ボトムス部3の大腿被覆部12,13の幅方向の直近の端部からボトムス部3の前身頃3aの軸線に次第に近づくように斜め下方向に傾斜する辺(端面)となっている。そして、この傾斜する一辺が、下方に行くに従って前記ボトムス部3の前身頃3aの軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線として機能するようになっている。
【0026】
ここで、下方に行くに従って前記前身頃の軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線を備えた前身頃側模様として、前記トップス部2に前記第1傾斜模様21及び第2傾斜模様22を設けると共に、前記ボトムス部3に前記第3傾斜模様23及び第4傾斜模様24を設けたのは、着用者を正面側から見た場合において、錯視により着用者の胴を短く、且つ脚を長く見せるためである。
即ち、前記第1〜第4傾斜模様21〜24、即ち前身頃側模様を下方向きに凸となる斜線(矢印)として機能させることにより、これらの第1〜第4傾斜模様21〜24の各位置においてミュラー・リヤー錯視を発現させて、着用者の胴を短く見せ、相対的に足を長く見せるようにしている。
【0027】
この点について、図4に示す、上下方向に延びる同じ長さの線分29,30を用いて具体的に説明する。
例えば、線分の少なくとも一端に、この線分に近づく方向に凸となる、即ち、線分の上端側においては下方に凸となる斜線を、下端側においては上方に凸となる斜線をそれぞれ付した場合第1の線分29(図4(a)参照)と、線分の少なくとも一端に、この線分に遠ざかる方向に凸となる斜線、即ち、線分の上端側においては上方に凸となる斜線を、下端側においては下方に凸となる斜線をそれぞれ付した第2の線分30(図4(a)参照)とを比較する。
このとき、錯視により第2の線分30の方が第1の線分29よりも短く見えることが知られていて、このような錯視はミュラー・リヤー錯視と呼ばれる。
人間の脳は、第1の線分29を見た場合には、斜線の方向に起因して、奥行きがある空間内において線分自体が空間の奥側にあると認識する一方、第2の線分30を見た場合には、斜線の方向に起因して、空間内において線分自体が空間の手前側にあると認識する。
そのため、同じ長さに見える線分であれば、空間の奥側にある線分の方が長いと知覚することから、前記ミュラー・リヤー錯視が発現するといわれている。
【0028】
そのため、この発明においては、このミュラー・リヤー錯視が発現するための斜線として、水着の前身頃に、下方に行くに従って前記前身頃の軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線を備えた前身頃側模様を設けている。
そして、この実施の形態においては、前記前身頃側模様として、前記第1〜第4傾斜模様21〜24を配設し、これらの第1〜第4傾斜模様21〜24が下方向きに凸となる斜線を形成することにより、水着1Aの上下方向の長さが短く見え易くしている。
【0029】
また、前記ミュラー・リヤー錯視は、斜線を配設した各部分において発現するといわれているため、前記第1〜第4傾斜模様21〜24が配設された各位置において、水着1Aの上下方向の長さを短く見えるような錯視、即ち、これらの第1〜第4傾斜模様21〜24が配設されている各位置を上方側に引き上げるように見える。
この結果、水着1Aの上下方向の長さが全体として短く見えるため、着用者を正面側から見た場合には、着用者の胴が短く見える錯視効果が得られて、相対的に脚の長さが長く見せることが可能となる。
【0030】
一方、前記水着1Aの後身頃に関して、前記トップス部2の本体部6の後身頃(背面側)には、前記第1の後見頃側模様として、このトップス部2の後見頃2bにおける軸線と交差し、且つそのトップス部2の後見頃2bの幅方向(左右方向)に延びる目視可能な線を備えた幅方向模様25が設けられている。
さらに、トップス部2側に設けられた左右一対の第2の後身頃側模様として、前記幅方向模様25よりも下方側に、下方に行くに従って前記トップス部2の後身頃2bの軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線を備えた2種類の傾斜模様がそれぞれ設けられている。即ち、前記トップス部2側の第2の後見頃側模様として、一対の線状の模様からなる第5傾斜模様26と、前記トップス部2の前身頃側に設けられた第2傾斜模様22と同様に、左右一対の三角形状の模様の一辺により形成される第6傾斜模様27とが配設されている。
【0031】
前記幅方向模様25は、前記本体部6の後見頃における左右のアームホール部8,8の縁部分の間の空間に、これらの左右のアームホール部8,8の縁部分の間を架け渡すように、即ち、トップス部2の後見頃2bにおける軸線と交差し、且つその後見頃2bの幅方向に延びるように設けられている。
また、この実施の形態においては、前記幅方向模様25は、長さ方向の中央部分が上方側に凸となるように緩やかに湾曲した曲線状に形成されている。
【0032】
また、前記第5傾斜模様26は、前記トップス部2の本体部6の後見頃における左右のアームホール部8,8の下端側あたり、具体的には、左右のアームホール部8,8における着用者の肩甲骨にあたる部分のやや下方側の縁部分から、下方に行くに従って前記トップス部2の後身頃2bの軸線に次第に近づくように傾斜した状態でトップス部側裾部9にまでそれぞれ延びる、左右一対の線状の模様26a,26bにより形成されている。
より具体的に、前記本体部6の後見頃の左側に位置する線状の模様26aについては、その本体部6の後見頃の左側のアームホール部8の左側の縁部分から本体部6の後身頃の軸線に向けて斜め右下方向に延びる、緩やかな曲線状に形成されている。一方、前記本体部6の後見頃の右側に位置する線状の模様26bについては、その本体部6の後見頃のアームホール部8の縁部分から本体部6の後身頃の軸線に向けて斜め左下方向延び、且つ前記左側に位置する線状の模様26aとほぼ同様の曲率で曲がる、緩やかな曲線状に形成されている。
したがって、前記第5傾斜模様26において、これらの左側に位置する模様と右側に位置する模様とは、前記トップス部2の後身頃2bの軸線を対称軸とする線対称の形状となっている。
なお、この第5傾斜模様26の一対の線状の模様26a,26bは、相互に非接触となっていて、いずれもほぼ同じ太さ(幅)、且つほぼ同じ長さとなっている。
【0033】
さらに、前記第6傾斜模様27は、左右一対の三角形状の模様27a,27bにより形成されたもので、これらの三角形状の模様27a,27bが、前記本体部6の後見頃の左右両端側における下端側、即ち、トップス部側裾部9に接した状態で配設された態様となっている。
具体的に、前記トップス部2側の第2の後身頃側傾斜模様を構成する前記左右一対の三角形状の模様27a,27bは、図2に示すように、背面側から見たときに、前記トップス部側裾部9を底辺とし、且つ上方側に頂部を有する形状に形成されている。これらの三角形状の模様27a,27bのうちの一辺が、前記本体部6の幅方向の直近の端部から前記トップス部2の後身頃2bの軸線に次第に近づくように斜め下方向に傾斜する辺(端面)となっている。そして、この傾斜する一辺が、下方に行くに従って前記トップス部2の後身頃2bの軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線として機能するようになっている。
なお、この第6傾斜模様27を形成する左右一対の三角形状の模様27a,27bは、前記第2傾斜模様22を形成する左右一対の三角形状の模様22a,22bとほぼ同形同大となっていて、本体部6の後見頃と前身頃との連結部分において、隣接する前身頃側と後見頃側との三角形状の模様22a,22b・27a,27bが相互に接した状態となっている。
【0034】
また、前記ボトムス部3の後見頃3b(背面側)には、ボトムス部3側に設けられた前記左右一対の後見頃側模様として、第7傾斜模様28が設けられている。
この第7傾斜模様28は、前記ボトムス部3の前身頃3aに設けられた第6傾斜模様27と同様に、左右一対の三角形状の模様28a,28bにより形成されたもので、これらの三角形状の模様28a,28bが、前記ボトムス部3の後身頃3bの左右両端側における下端側、即ち、ボトムス部側裾部14,15に接した状態で配設された態様となっている。
具体的に、前記第7傾斜模様28を構成する前記左右一対の三角形状の模様28a,28bは、ボトムス部3の背面視において、前記ボトムス部側裾部14,15を底辺とし、且つ上方側に頂部を有する形状に形成されている。これらの三角形状の模様28a,28bのうちの一辺が、ボトムス部3の大腿被覆部12,13における直近の幅方向の端部からボトムス部3の後身頃3bの軸線に次第に近づくように斜め下方向に傾斜する辺(端面)となっている。そして、この傾斜する一辺が、下方に行くに従って前記ボトムス部3の後身頃3bの軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線として機能するようになっている。
なお、この第7傾斜模様28を形成する左右一対の三角形状の模様28a,28bは、前記第4傾斜模様24を形成する左右一対の三角形状24a,24bの模様とほぼ同形同大となっていて、ボトムス部3の後見頃3bと前身頃3aとの連結部分において、隣接する前身頃側と後見頃側との三角形状の模様24a,24b・28a,28bが相互に接した状態となっている。
【0035】
ここで、トップス部の後見頃に、トップス部側の第1の後見頃側模様、即ち幅方向模様と、トップス部に設けられた第2の後見頃側模様、即ち第5傾斜模様及び第6傾斜模様を設けると共に、ボトムス部の後見頃に、ボトムス部に設けた第2の後見頃側模様である第7傾斜模様を設けたのは、着用者を背面側から見た場合において、錯視により着用者の胴を短く、且つ脚を長く見せるためである。
即ち、前記幅方向模様25を上方向きに凸となるような斜線として機能させる一方で、前記第5〜第7傾斜模様26〜28,を下方向きに凸となるような斜線として機能させることにより、第5〜第7傾斜模様26〜28と幅方向模様25との間の空間、及び第5〜第7傾斜模様26〜28の各位置においてミュラー・リヤー錯視を発現させている。
これにより、着用者を背面側から見た場合には、これらの各模様がない場合に比べて、第5〜第7傾斜模様26〜28の各位置を上方に引き上げると共に、幅方向模様25と第5〜第7傾斜模様と26〜28の間の空間を縮めるような錯視を発現させるため、着用者の胴が短く見える錯視効果が得られ、相対的に脚の長さが長く見える。
これにより、着用者を背面側から見た場合であっても、着用者を脚長胴短に見え易くすることが可能となる。
【0036】
さらに、前記トップス部2の前身頃2aに設けられている前記縞状模様部31は、目視可能な複数の線状の模様から形成されたもので、左側及び右側の各縞状模様部31は、前記複数の左右一対の線状の模様31a,31bが、予め定めた間隔を空けて相互に並行するように配設されていると共に、隣り合う線状の模様31a,31a・31b,31bと非接触な状態となっている。
この実施の形態においては、前記縞状模様部31は、左側及び右側の縞状模様部の両方とも、それぞれ7本の線状の模様31a,31bにより形成されていて、各線状の模様31a,31bは、いずれも、前記トップス部2の前身頃2aの軸線側に向けて凸となるように緩やかに湾曲した曲線状に形成されている。
具体的には、前記縞状模様部31の線状の模様31a,31bは、基端側(上端側)が前記本体部6の前身頃側におけるアームホール部8,8の周縁部分に位置していると共に、先端側(下端側)が前記本体部6における直近の幅方向の端部に達していて、各線状の模様31a,31bの中間部分に近づくに従って次第に前記トップス部2の前身頃2aの軸線に近づくように湾曲している。
そして、左側及び右側の縞状模様部31のそれぞれにおいて、相互に同じ幅の7本の線状の模様31a,31bが、全体として同心円を描くように配置されている。したがって、左側及び右側の縞状模様部31のそれぞれにおいて、トップス部2における直近の幅方向の端部側に位置する線状の模様の長さが最も短く、逆にトップス部2の軸線側に位置する線状の模様の長さが最も長くなっている。
【0037】
また、前記一対の縞状模様部31は、左右の各縞状模様部31を構成する複数の線状の模様31a,31bの間の間隔、即ち、隣り合う線状の模様31a,31a・31b,31bの間の各間隔が、トップス部2の本体部6の前身頃における直近の幅方向の端部側に位置する線状の模様の間の間隔ほど幅狭になるように、各線状の模様31a,31bが配置されている。
したがって、前記縞状模様部は、前記トップス部2の前身頃2aの最も軸線側に位置する線状の模様31a,31a・31b,31b間の間隔が最も広く、幅方向の端部側に行くに従って線状の模様31a,31a・31b,31b間の間隔は次第に狭くなり、最も端部側に位置する線状の模様31a,31a・31b,31b間の間隔が最も狭い。
【0038】
このように、前記一対の縞状模様部31のそれぞれにおける、隣り合う線状の模様31a,31a・31b,31bの間の各間隔が、トップス部2の本体部6の前身頃における直近の幅方向の端部側に位置する線状の模様31a,31a・31b,31b間の間隔ほど幅狭になるようにしたのは、着用者を正面側から見た場合において、錯視により着用者の胴を細く見せるためである。
【0039】
即ち、図5に示すように、正面視において扁平な物体35に複数の線状の模様36を付すと共に、これらの線状の模36様について、隣り合う線状の模様36,36の間の各間隔37が、物体25の両端部側に位置する線状の模様間の間隔ほど幅狭になるように配設した場合には、奥行きを強調することにより幅が狭く見えるという錯視が発現する。
この錯視は、人間の脳が正確に三次元形状を知覚するに際して、視覚的情報が不足していることが多いことから、脳は足りない情報を推測で補おうとするため、その推測により不正確な形状が特定されることに起因していると考えられている。
そのため、前記一対の縞状模様部31のように、トップス部2の幅方向の端部側に位置する線状の模様31a,31a・31b,31b間の間隔ほど幅狭になると、奥行きがあると認識されるため錯視が発現し、着用者の幅方向の大きさが奥行きに変換されたような錯視効果が生じる。
これにより、前記一対の縞状模様部31が存在しない場合に比べて、着用者の胴を細く見せることが可能となる。
【0040】
なお、前述のように、前記第1傾斜模様21は、隣り合う他の第1傾斜模様21との間の間隔が、前記本体部6の直近の幅方向の端部側、即ち基端側(上端側)が最も狭く、前身頃の軸線側、即ち先端側(下端側)に行くに従って次第に間隔が広くなっている態様となっている。
したがって、この複数の第1傾斜模様によっても、前記縞状模様部31と同様、奥行きを強調することにより幅が狭く見える錯視の効果を発現させることができ、これにより着用者を正面側から見た場合には、錯視によりトップス部2の横幅が狭く見えるため、着用者の胴、特にウエスト部分から臀部の上部にかけて細く見せることが可能となる。
【0041】
ここで、前記トップス部2やボトムス部3に設けられている第1傾斜模様21や第3傾斜模様23、第5傾斜模様26を形成する線状の模様や、前記第2傾斜模様22や第4傾斜模様24、第6傾斜模様27、第7傾斜模様28を形成する三角形状の模様、前記幅方向模様25を形成する線状の模様、前記縞状模様部31を形成する線状の模様31a,31bは、いずれも、それぞれが配置されている前記トップス部の本体部あるいはボトムス部3の生地の色とは異なる色、例えば相互に異なる彩度や明度の色が着色されている。
このように各模様を形成する線状の模様や三角形状の模様と生地との色を異なるものとすることにより、各模様及び線の存在及び形状を肉眼で容易に目視することができ、錯視効果が生じ易くしている。
【0042】
ただし、この実施の形態においては、前記第2傾斜模様22及び第4傾斜模様24を形成する三角形状の模様22a,22b・24a,24bは、ボトムス部3の生地の色とほぼ同色としている。
これにより、これらの第2傾斜模様22及び第4傾斜模様24を形成する三角形状の模様22a,22b・24a,24bがボトムス部3と一体化して見えるため、第2傾斜模様及び第4傾斜模様が形成する斜線が水着全体として強調され、前述のミュラー・リヤー錯視をより効果的に発現させることが可能となる。
【0043】
ところで、前記ボトムス部3における一対の大腿被覆部12,13の各裾部の下端部、即ち各大腿被覆部12,13におけるボトムス部側裾部14,15は、各大腿被覆部12,13の内腿側からボトムス部3の直近の幅方向の端部側に斜め上方に向けてそれぞれ傾斜している。
即ち、左側の大腿被覆部12におけるボトムス部側裾部14は、その左側のボトムス部側裾部14の内腿側からボトムス部3の左側の端部側(外腿側)に斜め上方に向けて傾斜した状態となっている。一方、右側の大腿被覆部13におけるボトムス部側裾部15は、その右側のボトムス部側裾部15の内腿側からボトムス部3の右側の端部側(外腿側)に斜め上方に向けて傾斜した状態となっている。
したがって、ボトムス部3は、正面視及び背面視において、左右のボトムス部側裾部14,15が、内腿側に行くに従って、即ちボトムス部3の前身頃及び後見頃の軸線側に行くに従って、下方側に位置するように傾斜した状態となっている。
【0044】
このように、ボトムス部3の左右の大腿被覆部12,13のボトムス部側裾部14,15を、内腿側からボトムス部3の直近の幅方向の端部側に斜め上方に向けてそれぞれ傾斜させた構成としているのは、ミュラー・リヤー錯視を一層効果的に発現させて、錯視効果を高めためである。
即ち、前述のように、ミュラー・リヤー錯視は、斜線の位置毎に発現するため、一対のボトムス部側裾部のそれぞれの傾斜により形成された一対の線を、下向きに凸となる斜線として機能させることにより、ボトムス部の裾部の下端部においてもミュラー・リヤー錯視を発現させることが可能となる。
これにより、着用者を背面側から見た場合には、一対のボトムス部側裾部を内腿側からボトムス部の直近の幅方向の端部側に斜め上方に向けて傾斜させていない場合に比べて、これらの一対のボトムス部側裾部の位置を上方に引き上げるような錯視を発現させるため、着用者の脛あるいは脹脛の部分が長く見え易く、相対的に着用者の胴が短く見える錯視効果が得られる。
この結果、相対的に脚の長さが長く見えることとなるため、着用者をより効果的に脚長胴短に見え易くすることができる。
【0045】
なお、この実施の形態においては、前記トップス部2に形成されている前記襟ぐり部7における前身頃部分は、正面視略V字状に形成されている。これは、襟ぐり部7が正面視略半円形状である場合に比べて、正面視略V字状である場合の方が着用者の顔が細く見える(シャープに見える)というエコー錯視を利用したものであり、これにより、水着の着用者の顔を小さく見せることが可能となっている。
【0046】
前記構成を有する水着1Aは、前身頃に、下方に行くに従って前記前身頃の軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線を備えた左右一対の前身頃側模様としての第1〜第4傾斜模様21〜24を備えているため、これらの各模様21〜24の部分において、各模様21〜24が形成する目視可能な線によりミュラー・リヤー錯視を生じさせることが可能である。
一方で、後見頃に、トップス部2の後見頃2bの幅方向に延びる第1の後見頃側模様としての幅方向模様25と、該幅方向模様25の下方側に配設された、水着の下方に行くに従ってトップス部2あるいはボトムス部3の後身頃2b,3bの軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線を備えた左右一対の第2の後見頃側模様としての第5〜第7傾斜模様26〜28とを備えている。そのため、これらの各模様25〜28が形成する目視可能な線によりミュラー・リヤー錯視を生じさせることが可能である。
さらには、前記ボトムス部3における一対の大腿被覆部12,13のボトムス部側裾部14,15が、内腿側からボトムス部3の直近の幅方向の端部側に斜め上方に向けてそれぞれ傾斜しているため、この部分においてもミュラー・リヤー錯視を生じさせることが可能である。
これにより、着用者を正面側や背面側から見たときには、前記前身頃側及び後見頃側の各模様がない場合に比べ、着用者の胴が短く且つ脚が長く見える錯視効果を得ることができる。
【0047】
さらに、前記トップス部2の前身頃2aに設けた左右一対の縞状模様部31は、隣り合う線状の模様31a,31a・31b,32b間の各間隔が、トップス部2の前身頃2aにおける直近の幅方向の端部側に位置する線状の模様間の間隔ほど幅狭になるため、錯視効果により前記水着1Aを着用した着用者の胴の奥行が強調されて胴の幅が狭く見える。
したがって、前記第1〜第7傾斜模様21〜24,26〜28や、幅方向模様25、ボトムス部側裾部14,15の傾斜等によって発現するミュラー・リヤー錯視による脚を長く且つ胴を短く見せる効果に加え、胴の幅も狭くみせる効果を得ることができるため、これらの錯視の相乗効果により、着用者を一層脚長胴短に見せることができる。
【0048】
図6及び図7は、本発明の衣服との第2の実施形態を示すもので、この実施の形態の衣服は、前記第1の実施の形態と同様に、衣服が水着である場合について説明する。
即ち、第2の実施の形態の水着1Bは、前記第1の実施の形態のような左右一対の前身頃側模様や第1の後見頃側模様、第2の後見頃側模様による錯視効果に加えて、着用者の胸部を被覆する部分を、複数の色彩の違いを利用した錯視によって胸部の膨らみ部分の凹凸に減り張りを持たせる効果を発現させることにより、外観上の体形をより女性らしく見せることを可能としている。
【0049】
この実施の形態における水着1Bは、前記第1の実施の形態と同様に、上半身に着用するトップス部42と、着用者の左右の大腿の少なくとも一部を覆う左右一対の大腿被覆部52,53を有する、下半身に着用するボトムス部43とを有している。
なお、これらのトップス部42及びボトムス部43の基本的な構成、即ち、トップス部42が本体部46、襟ぐり部47、一対のアームホール部48,48、トップス部側裾部49を有している点、及びボトムス部43がウエスト部(図示せず)、一対の大腿被覆部52,53、ボトムス部側裾部54,55を有している点については、基本的に前記第1の実施の形態の水着1Aと同じである。
【0050】
そして、前記水着1Bには、前記トップス部42とボトムス部43との各前身頃42a,43aに、下方に行くに従って前記前身頃42a,43aの軸線に次第に近づくように傾斜する線状に形成された左右一対の前身頃側模様がそれぞれ設けられている。また、前記トップス部42の後見頃42bに、そのトップス部42の後見頃42bおける軸線と交差し、且つそのトップス部42の幅方向に延びる目視可能な線を備えた第1の後見頃側模様と、前記トップス部2及びボトムス部3との各後見頃42b,43bに設けられた、下方に行くに従って前記後身頃42b,43bの軸線に次第に近づくように傾斜する線状に形成された左右一対の第2の後身頃側模様が配設されている。
【0051】
具体的に説明すると、前記水着1Bの前身頃について、前記トップス部42の本体部46の前身頃(正面側)には、前記トップス部42に設けられた前身頃側模様として、下方に行くに従って前記トップス部42の前身頃42aの軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線を備えた左右一対の第1傾斜模様61が配設されている。
前記第1傾斜模様61は、左右一対の三角形状の模様61a,61bにより形成され、これらの三角形状の模様61a,61bが、前記本体部46の前身頃の左右両端側における下端側、即ち、トップス部側裾部49に接した状態で配設された態様となっている。これらの三角形状の模様61a,61bのうちの一辺が、前記本体部46の直近の幅方向の端部から前記トップス部42の前身頃42aの軸線に次第に近づくように斜め下方向に傾斜する辺(端面)となっている。そして、この傾斜する一辺が、下方に行くに従って前記トップス部42の前身頃42aの軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線として機能するようになっている。
なお、この第1傾斜模様61の形状や位置、色彩、及び作用効果については、基本的に前記第1の実施の形態における前記第2傾斜模様22と同様のものであるため、詳細な説明は省略する。
【0052】
また、前記ボトムス部43の前身頃43a(正面側)には、ボトムス部43側に設けられた前身頃側模様として、下方に行くに従って前記前身頃43aの軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線状に形成された左右一対の第2傾斜模様62が配設されている。
さらに、この第2傾斜模様62とは別に、下方に行くに従って前記前身頃43aの軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線を備えた左右一対の第3傾斜模様63が配設されている。
【0053】
前記第2傾斜模様62は、前記ボトムス部43の前見頃43aと後見頃42bとの連結部分(即ち、ボトムス部3の幅方向の両端部)における前記ウエスト部51の近傍から、前記大腿被覆部52,53を通って前記ボトムス部側裾部54,55にまでそれぞれ延びる、ボトムス部53の前身頃53aの軸線の近傍に向けて斜め下方向に傾斜した一対の線状の模様62a,62bにより形成されている。
なお、この第2傾斜模様62の形状や位置、色彩、及び作用効果については、基本的に前記第1の実施の形態における前記第3傾斜模様23と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0054】
また、前記第3傾斜模様63は、左右一対の三角形状の模様63a,63bにより形成されたもので、これらの三角形状の模様63a,63bが、前記ボトムス部43の前身頃43aの左右両端側における下端側、即ち、ボトムス部側裾部54,55に接した状態で配設された態様となっている。
そして、これらの三角形状の模様63a,63bのうちの一辺が、前記ボトムス部43の直近の幅方向の端部から前記前身頃43aの軸線に次第に近づくように斜め下方向に傾斜する辺(端面)となっていて、この傾斜する一辺が、下方に行くに従って前記前身頃の軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線として機能するようになっている。
なお、この第3傾斜模様63の形状や位置、色彩、及び作用効果については、基本的に前記第1の実施の形態における前記第4傾斜模様24と同様のものであるため、詳細な説明は省略する。
【0055】
ここで、前記トップス部42に、下方に行くに従って前記前身頃42aの軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線を備えた左右一対の第1傾斜模様61を設けると共に、前記ボトムス部43に、下方に行くに従って前記前身頃43aの軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線を備えた左右一対の第2傾斜模様62及び第3傾斜模様63を設けたのは、ミュラー・リヤー錯視を利用し、着用者を正面側から見た場合において着用者の胴を短く、且つ脚を長く見せるためである。
即ち、前記第1〜第3傾斜模様61〜63を下方向きに凸となる斜線として機能させることにより、第1〜第3傾斜模様61〜63の各位置において、前記第1の実施の形態で説明したミュラー・リヤー錯視を発現させている。
これにより、着用者を正面側から見た場合には、これらの各模様がない場合に比べて、第1〜第3傾斜模様61〜63の各位置を上方に引き上げるような錯視を発現させるため、着用者の胴が短く見える錯視効果が得られ、相対的に脚の長さが長く見える。
この結果、着用者を正面側から見た場合には、着用者を脚長胴短に見え易くすることができる。
【0056】
一方、前記トップス部42の本体部46の後身頃(背面側)には、前記第1の後見頃側模様として、このトップス部42の後見頃42bにおける軸線と交差し、且つそのトップス部42の後見頃の幅方向(左右方向)に延びる目視可能な線を備えた幅方向模様64が設けられている。
さらに、トップス部42側に設けられた左右一対の第2の後身頃側模様として、前記幅方向模様64よりも下方側に、下方に行くに従って前記後身頃42bの軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線を備えた2種類の傾斜模様が設けられている。即ち、前記トップス部42側の第2の後見頃側模様として、一対の線状の模様からなる第4傾斜模様65と、左右一対の三角形状の模様の一辺により形成される第5傾斜模様66とが配設されている。
【0057】
前記幅方向模様64は、前記本体部46の後見頃における左右のアームホール部48,48の縁部分の間の空間に、これらの左右のアームホール部48,48の縁部分の間を架け渡すように、即ちトップス部42の後見頃42bにおける軸線と交差し、且つ後見頃42bの幅方向に延びるように設けられている。
また、前記幅方向模様64は、長さ方向の中央部分が上方側に凸となるように緩やかに湾曲した曲線状に形成されている。
なお、この幅方向模様64は、基本的に前記第1の実施の形態の幅方向模様25と同じ構成であり、また同様の作用効果であるため、詳細な説明は省略する。
【0058】
また、前記第4傾斜模様65は、前記トップス部42の本体部46の後見頃における左右のアームホール部48,48の下端側あたり、具体的には、左右のアームホール部48,48における着用者の肩甲骨のやや下方側近傍の縁部分から、下方に行くに従って前記トップス部42の後身頃42bの軸線に次第に近づくように傾斜した状態でトップス部側裾部49にまでそれぞれ延びる、左右一対の線状の模様65a,65bにより形成されている。
なお、この第4傾斜模様65は、基本的に前記第1の実施の形態の第5傾斜模様26と同じ構成であり、また同様の作用効果であるため、詳細な説明は省略する。
【0059】
さらに、前記第5傾斜模様66は、左右一対の三角形状の模様66a,66bにより形成されたもので、これらの三角形状の模様63a,63bが、前記ボトムス部43の後見頃43bの左右両端側における下端側、即ち、ボトムス部側裾部54,55に接した状態で配設された態様となっている。
そして、これらの三角形状の模様66a,66bのうちの一辺が、前記ボトムス部43の直近の幅方向の端部から前記後身頃43bの軸線に次第に近づくように斜め下方向に傾斜する辺(端面)となっている。この傾斜する一辺が、下方に行くに従って前記後身頃43bの軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線として機能するようになっている。
この第5傾斜模様66を形成する前記左右一対の三角形状の模様66a,66bは、前記第1傾斜模様61を形成する左右一対の三角形状61a,61bの模様とほぼ同形同大となっていて、トップス部42の本体部46における後見頃と前身頃との連結部分において、隣接する前身頃側と後見頃側との三角形状の模様61a,61b・66a,66bが相互に接した状態となっている。
なお、この第5傾斜模様66の形状や位置、色彩、及び作用効果については、基本的に前記第1の実施の形態における前記第6傾斜模様27と同様のものであるため、詳細な説明は省略する。
【0060】
また、前記ボトムス部43の後見頃43b(背面側)には、ボトムス部43側に設けられた前記左右一対の後見頃側模様として、第6傾斜模様67が設けられている。
前記第6傾斜模様は、左右一対の三角形状の模様67a,67bにより形成されたもので、これらの三角形状の模様67a,67bが、前記ボトムス部43の後身頃43bの左右両端側における下端側、即ち、ボトムス部側裾部54,55に接した状態で配設された態様となっている。
この第6傾斜模様67を形成する左右一対の三角形状の模様67a,67bは、前記第3傾斜模様63を形成する左右一対の三角形状の模様63a,63bとほぼ同形同大となっていて、ボトムス部43の後見頃43bと前身頃43aとの連結部分において、隣接する前身頃側と後見頃側との三角形状の模様63a,63b・67a,67bが相互に接した状態となっている。
なお、この第6傾斜模様67の形状や位置、作用効果については、基本的に前記第1の実施の形態における前記第7傾斜模様28と同様のものであるため、詳細な説明は省略する。
【0061】
ここで、トップス部42の後見頃42bに、トップス部側の第1の後見頃側模様、即ち幅方向模様64と、トップス部42に設けられた第2の後見頃側模様、即ち第4傾斜模様65及び第5傾斜模様66を設けると共に、ボトムス部43の後見頃43bに、ボトムス部43に設けた第2の後見頃側模様である第6傾斜模様67を設けたのは、ミュラー・リヤー錯視を利用し、着用者を正面側から見た場合において着用者の胴を短く、且つ脚を長く見せるためである。
即ち、前記幅方向模様64を上方向きに凸となる斜線として機能させる一方で、前記第4〜第6傾斜模様65〜67を下方向きに凸となる斜線として機能させることにより、第4〜第6傾斜模様65〜67と幅方向模様64との間の空間、及び第4〜第6傾斜模様65〜67の各位置において、前述のミュラー・リヤー錯視を発現させている。
これにより、着用者を背面側から見た場合には、これらの各模様がない場合に比べて、第4〜第6傾斜模様65〜67の各位置を上方に引き上げて見せると共に、幅方向模様64と第4〜第6傾斜模様65〜67との間の空間を縮めるような錯視を発現させるため、着用者の胴が短く見える錯視効果が得られ、相対的に脚の長さが長く見える。
この結果、着用者を背面側から見た場合であっても、着用者を脚長胴短に見え易くすることができる。
【0062】
ところで、前記トップス部43の前身頃43aにおける着用者の胸部に対応する部分には、前述のように、水着の胸部の膨らみ部分の凹凸に減り張りを持たせる複数の色彩が付与されている。
具体的に、前記トップス部43の前身頃43aにおける幅方向の中央側の位置であって、前記トップス部43の前身頃43aにおいて着用者の胸部を被覆する部分に、その着用者の乳房の膨らみの頂部に相当する高さ位置(水着1Bの上下方向(着丈方向)の位置)を水着1Bの上下方向の基準高さとして、水着1Bの上下方向の高さにおいてその基準高さよりも高い部分に、明度の高い色彩を付した中央側明色領域71が設けられている。一方で、水着1Bの上下方向の高さにおいて前記基準高さよりも低い部分に、前記中央側明色領域71の色彩よりも明度が低い中央側暗色領域72が設けられている。
【0063】
このように、着用者の乳房の膨らみの頂部に相当する高さ位置を基準高さよりも上方側に位置する部分に前記中央側明色領域71を、下方側に位置する部分に前記中央側暗色領域72を設けたのは、陰影による錯視を発現させることによって、水着の前身頃をより立体的に見せて水着の胸部の凹凸に減り張りを持たせるためである。
これにより、着用者の乳房の膨らみに伴う水着の胸部の膨らみを強調される一方で、ウエスト部分が細く見えるため、外観上、より女性らしい体形に見せることが可能となる。
【0064】
具体的に説明すると、前記陰影による錯視は、人間の目が、上方から光が当たっていると物が立体的且つ膨らんで見え易いという特性を利用しているものである。これは、人間は、日常生活において、太陽や電灯のように光は上方から当たると無意識に思うために生じると考えられる錯視であり、例え物に凹凸がなかったとしても、上方側が明色(光が当たっている)で下方側が暗色(影ができている)であると、膨らんでいると認識することを利用している。なお、逆に、上側が暗色で下方側が明色であると窪んでいると認識する。
そのため、この実施の形態においては、着用者の乳房の膨らみの頂部に相当する高さ位置を基準高さよりも上方側に前記中央側明色領域71、下方側に前記中央側暗色領域72を設けて、水着の胸部に立体感を持たせて膨らみを強調できるようにしている。
【0065】
なお、この実施の形態においては、前記中央側暗色領域72の下方側には、この中央側暗色領域72の色彩よりも明度の高い色彩が付与されていて、前述した陰影による錯視を利用して、中央側暗色領域72がより窪んで見えるようにしている。
また、前記中央側明色領域71と前記中央側暗色領域72とは、彩度との関係もあるが、明度の差ができるだけ大きくすることが好ましい。
【0066】
また、前記水着1Bのトップス部42の前身頃42aにおける前記中央側明色領域71及び中央側暗色領域72の幅方向の両側、具体的には着用者の脇下から脇腹に至る部分については、前記中央側明色領域71の幅方向の両側に位置する部分に側部側暗色領域73,73がそれぞれ設けられている一方、各側部側暗色領域73,73の下方側であって前記中央側暗色領域72の幅方向の両側に位置する部分に側部側明色領域74,74がそれぞれ設けられている。
これらの側部側暗色領域73,73及び側部側明色領域74,74は、中央側明色領域71及び中央側暗色領域72に伴う陰影による錯視の効果を一層効果的に強調し、水着1Bの前身頃をより立体的に見せることで、水着1Bの胸部の凹凸にさらに減り張りを持たせた状態に見せるためである。
即ち、これらの側部側暗色領域73,73及び側部側明色領域74,74の存在により、中央側明色領域71及び中央側暗色領域72が視覚的に一層目立つようになるため、水着1Bの前身頃の凹凸の減り張りをより効果的に見せて立体感が強調することができる、水着1Bの胸部を膨らみとウエスト部分の細さがさらに強調されることとなる。
【0067】
また、前記ボトムス部63の一対の大腿被覆部52,53は、4〜5分丈となっていて、前記第1の実施の形態のボトムス部3の大腿被覆部12,13よりも長く形成されている。
このように前記大腿被覆部52,53の長さを4〜5分丈としたのは、水着1Bによって着用者の大腿の大部分を被覆することにより、知覚的補完による錯視効果を発現させて、着用者の脚全体を外観上において可及的に細く見せ易くするためである。
この知覚的補完による錯視は、人間の脳が見えない部分は見える部分から推定する(補完する)傾向にあることを利用した錯視であり、視覚的に着用者の太腿のほとんどを被覆して直接的には見えないようにする一方で、太腿よりも細い脛や脹脛を直接的に見せることにより、見た者に脛等の太さに基づいて大腿の太さを知覚的に補完させるようにしている。
したがって、この知覚的補完による錯視により、着用者の脚全体を、外観上細く見せ易くすることが可能となる。
【0068】
さらに、前記ボトムス部63における一対の大腿被覆部52,53の各裾部の下端部、即ち各大腿被覆部52,53におけるボトムス部側裾部54,55の下端は、各大腿被覆部52,53の内腿側からボトムス部の直近の端部側に斜め上方に向けてそれぞれ傾斜している。
このボトムス部63のボトムス部側裾部54,55の傾斜に係る構成については、基本的に前記第1の実施の形態のボトムス部側裾部14,15と同じあり、同様の作用効果を奏するため、詳細な説明は省略する。
【0069】
なお、この実施の形態においては、前記トップス部42に形成されている前記襟ぐり部47における前身頃部分は、正面視略V字状に形成されている。これにより、前記第1の実施の形態と同様に、エコー錯視を利用して、水着の着用者の顔を小さく見せることが可能となっている。
【0070】
前記構成を有する水着1Bは、前身頃の第1〜第3傾斜模様61〜63、後見頃の幅方向模様64及び第4〜第6傾斜模様65〜67により各模様が形成する目視可能な線、さらには、前記ボトムス部3における一対の大腿被覆部52,53のボトムス部側裾部54,55の傾斜によりミュラー・リヤー錯視を生じさせることが可能である。
これにより、基本的に前記第1の実施の形態と同様に、着用者を正面側や背面側から見たときには、前記前身頃側及び後見頃側の各模様がない場合に比べ、着用者の胴が短く且つ脚が長く見える錯視効果を得ることができる。
【0071】
さらには、この第2の実施の形態の場合、前記トップス部42は、胸部を被覆する部分に、着用者の乳房の膨らみの頂部に相当する高さ位置を基準高さとして、その基準高さよりも高い部分に明度の高い色彩を付した中央側明色領域71を、前記基準高さよりも低い部分に前記中央側明色領域71の色彩よりも明度が低い中央側暗色領域72をそれぞれ配設している。これにより、陰影による錯視効果によって、水着の立体感が増して凹凸の減り張りがつき易くなるため、着用者の胸部の膨らみが強調されやすい傾向となるため、着用者の外観上の体形をより女性らしくみせることができる。
【0072】
図8図10は、本発明の衣服の第3の実施の形態を示すもので、この実施の形態の衣服は、前記第1及び第2の実施の形態と同様に、衣服が水着である場合について説明する。
即ち、第3の実施の形態の水着1Cは、前記第1の実施の形態のような左右一対の前身頃側模様や第1の後見頃側模様、第2の後見頃側模様による錯視効果に加えて、着用者の腕の外観上の太さを細く見せることを可能としている。
【0073】
この実施の形態における水着1Cは、前記第1の実施の形態と同様に、上半身に着用するトップス部82と、着用者の左右の大腿の少なくとも一部を覆う左右一対の大腿被覆部92,93を有する、下半身に着用するボトムス部83とを有している。
前記トップス部82は、胸部及び腹部並びに背中を覆う本体部86と、この本体部86の上端側中央に設けられた、着用者の頭を通す襟ぐり部87と、前記本体部86の上方側の左右両端に設けられた、着用者の左右の上腕を通す左右一対の上腕被覆部88.88と、本体部86の下端側に設けられたトップス部側裾部89を備えている。
なお、ボトムス部83がウエスト部91、左右一対の大腿被覆部92,93、ボトムス部側裾部94,95を有している点については、前記第1の実施の形態の水着と同じである。
【0074】
そして、前記水着1Cには、前記トップス部82とボトムス部83との各前身頃82a,83aに、下方に行くに従って前記前身頃82a,83aの軸線に次第に近づくように傾斜する線状に形成された左右一対の前身頃側模様がそれぞれ設けられている。
また、前記トップス部82の後見頃82bに、そのトップス部82の後見頃82bおける軸線と交差し、且つそのトップス部82の幅方向に延びる目視可能な線を備えた第1の後見頃側模様と、下方に行くに従って前記後身頃82bの軸線に次第に近づくように傾斜する線状に形成された左右一対の第2の後身頃側模様が配設されている。
【0075】
具体的に説明すると、前記水着1Cの前身頃について、前記トップス部82の本体部86の前身頃(正面側)には、前記トップス部82に設けられた前身頃側模様として、下方に行くに従って前記トップス部82の前身頃82aの軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線を備えた、3種類の左右一対の傾斜模様、即ち第1〜第3傾斜模様101〜103がそれぞれ配設されている。
さらに、前記トップス部82の前身頃82aにおけるこれらの第1〜第3傾斜模様101〜103よりも上方側には、トップス部82の前見頃82aにおける軸線と交差し、且つそのトップス部82の幅方向に連続的に延びる目視可能な線を備えた前身頃側幅方向模様104が設けられている。
【0076】
前記第1〜第3傾斜模様101〜103について、前記トップス部82の前見頃82aにおける軸線側、即ち前身頃82aの幅方向の中央側に最も近い位置に前記第1傾斜模様101が配設されていると共に、最も遠い位置に前記第3傾斜模様103が配設され、これらの第1傾斜模様101と第3傾斜模様103との間の位置に前記第2傾斜模様102が配設されている。
なお、これらの第1〜第3傾斜模様101〜103を形成する線状の模様は、相互に非接触となっている。
【0077】
前記第1傾斜模様101は、前記前身頃側幅方向模様104が位置している部分からトップス部側裾部89にまで至る左右一対の線状の模様101a,101bにより形成されたもので、第1〜第3傾斜模様101〜103の中では最も急勾配の模様となっている。
なお、前記線状の模様101a,101bは、いずれも、略直線状又は曲線状の線により形成されている。
【0078】
また、前記第2傾斜模様102は、前記トップス部82の本体部86の前身頃における前記上腕被覆部88,88との各連結部分の脇下部分からトップス部裾部89に至る左右一対の線状の模様102a,102bにより形成されたもので、前記第1傾斜模様の勾配よりも緩い勾配の模様となっている。なお、図8に示すものの場合、この第2傾斜模様102を形成する一対の線状の模様102a,102bは、略直線状や曲線状の線により、略く字状に形成されたものとなっている。
さらに、前記第3傾斜模様は103、前記トップス部82の本体部86の両端部における脇腹部分からトップス部裾部89に至る左右一対の線状の模様103a,103bにより形成されたもので、前記第1傾斜模様及び第2傾斜模様よりもさらに緩い勾配の模様となっている。なお、前記線状の模様103a,103bは、いずれも、略直線状又は曲線状の線により形成されている。
【0079】
前記前身頃側幅方向模様104は、前記本体部86の前身頃における胸部よりもやや上方側であって、本体部86と左右の上腕被覆部88,88との連結部分の間の空間に、これらの本体部86と上腕被覆部88.88との連結部分の間を架け渡すように、即ちトップス部82の前見頃82aにおける軸線と交差し、且つ前見頃82aの幅方向に延びるように設けられている。
さらに、前記前身頃側幅方向模様104は、長さ方向の中央部分が上方側に凸となるように緩やかに湾曲した曲線状に形成されている。
【0080】
また、図8及び図10に示すように、前記ボトムス部83の前身頃83a(正面側)には、ボトムス部83に設けられた前身頃側模様として、下方に行くに従って前記前身83a頃の軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線状に形成された、左右一対の第4傾斜模様105及び第5傾斜模様106がそれぞれ配設されている。
前記第4傾斜模様105及び第5傾斜模様106について、前記ボトムス部83の前見頃83aにおける軸線側、即ち前身頃83aの幅方向の中央側に前記第4傾斜模様105が、ボトムス部83の両側側、即ち第4傾斜模様105よりもボトムス部83の幅方向の外方側に前記第5傾斜模様106がそれぞれ配設されている。なお、これらの第4傾斜模様105及び第5傾斜模様106を形成する線は、相互に非接触となっている。
【0081】
前記第4傾斜模様105は、ボトムス部83のウエスト部91から左右の前記大腿被覆部92,93を通って前記ボトムス部側裾部94,95にまでそれぞれ延びる、ボトムス部83の前身頃83aの軸線の近傍に向けて斜め下方向に傾斜した一対の線状の模様105a,105bにより形成されている。
一方、前記第5傾斜模様106は、前記ウエスト部91よりやや下方側における、前記ボトムス部83の前見頃83aと後見頃93bとの連結部分(即ち、ボトムス部83の幅方向の両端部)近傍から、前記大腿被覆部92,93を通って前記ボトムス部側裾部94,95にまでそれぞれ延びる、ボトムス部83の前身頃83aの軸線の近傍に向けて斜め下方向に傾斜した一対の線状の模様106a,106bにより形成されている。
なお、前記第5傾斜模様106を形成する線状の模様106a,106bは、前記第4傾斜模様105を形成する線状の模様105a,105bに比べて、傾斜が緩くなっている。また、前記第5傾斜模様106については、厳密には、この第5傾斜模様106を形成する線状の模様106a,106bのさらに上端側は、ボトムス部83のデザイン上、ボトムス部83の後見頃83b側のウエスト部91の位置まで延びている。
【0082】
ここで、前記トップス部82に、下方に行くに従って前記前身頃82aの軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線を備えた左右一対の第1〜第3傾斜模様101〜103、及びトップス部82の前身頃82aの幅方向に延びる前身頃側幅方向模様104を設けると共に、前記ボトムス部83に、下方に行くに従って前記前身頃83aの軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線を備えた左右一対の第4傾斜模様105及び第5傾斜模様106を設けたのは、ミュラー・リヤー錯視を利用し、着用者を正面側から見た場合において着用者の胴を短く、且つ脚を長く見せるためである。
【0083】
即ち、前記第1〜第5傾斜模様101〜103,105,106を下方向きに凸となる斜線として機能させる一方、前記前身頃側幅方向模様104を上方向きに凸となる斜線として機能させることにより、これらの第1〜第5傾斜模様101〜103,105,106の各位置及び、第1〜第5傾斜模様101〜103,105,106全体と前身頃側幅方向模様104との間の空間において、前記第1の実施の形態で説明したミュラー・リヤー錯視を発現させている。
これにより、着用者を正面から見た場合に、これらの各模様がない場合に比べて、第1〜第5傾斜模様101〜103,105,106の各位置を上方に引き上げると共に、第1〜第5傾斜模様101〜103,105,106全体と前身頃側幅方向模様104との間の空間を縮めるような錯視を発現させるため、着用者の脚が長く胴が短くなるような錯視効果が得られる。
この結果、着用者を正面側から見た場合に、着用者を脚長胴短に見せることができる。
【0084】
一方、前記トップス部82の本体部86の後身頃(背面側)には、前記第1の後見頃側模様として、このトップス部82の後見頃82bにおける軸線と交差し、且つそのトップス部82の後見頃92bの幅方向(左右方向)に延びる目視可能な線を備えた後見頃側幅方向模様107が設けられている。
さらに、トップス部82側に設けられた第2の後身頃側模様として、前記後見頃側幅方向模様107よりも下方側に、下方に行くに従って前記トップス部82の後身頃82bの軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線を備えた2種類の傾斜模様が設けられている。即ち、前記トップス部82側の第2の後見頃側模様として、一対の線状の模様により形成された第6傾斜模様108及び第7傾斜模様109とが配設されている。
【0085】
前記前身頃側幅方向模様107は、前記本体部86の後身頃における、その本体部86と左右の上腕被覆部88,88の連結部分との間の空間に、これらの本体部86と上腕被覆部88,88との連結部分を架け渡すように、即ち前記トップス部82の後見頃82bにおける軸線と交差し、且つ後見頃82bの幅方向に延びるように設けられている。
さらに、前記後身頃側幅方向模様107は、長さ方向の中央部分が上方側に凸となるように緩やかに湾曲した曲線状に形成されている。
【0086】
前記第6傾斜模様108は、前記トップス部82の本体部86の後見頃における、本体部86と前記上腕被覆部88,88との連結部分の脇下部分からトップス部裾部89に至る左右一対の線状の模様により形成されたものである。
さらに、前記第7傾斜模様109は、前記トップス部82の本体部86の後見頃の両端部における脇腹部分からトップス部裾部89に至る左右一対の線状の模様により形成されたもので、前記第6傾斜模様よりも勾配が緩い模様となっている。
なお、これらの第6傾斜模様108及び第7傾斜模様109を形成する線状の模様108a,108b・109a,109bは、いずれも直線や曲線により形成されている。
【0087】
ここで、前記トップス部82の後見頃82bに、このトップス部82の後身頃82bの幅方向に延びる前記後身頃側幅方向模様107を設けると共に、下方に行くに従って前記後身頃82bの軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線を備えた左右一対の第6傾斜模様108及び第7傾斜模様109を設けたのは、ミュラー・リヤー錯視を利用し、着用者を背面側から見た場合において着用者の胴を短く見せる一方で、脚を長く見せるためである。
【0088】
即ち、前記後身頃側幅方向模様107を上方向きに凸となる斜線として機能させる一方で、前記第6傾斜模様108及び第7傾斜模様109を下方向きに凸となる斜線として機能させることにより、第6傾斜模様108及び第7傾斜模様109と前身頃側幅方向模様107との間の空間、及び第6傾斜模様108及び第7傾斜模様108の各位置において、前述のミュラー・リヤー錯視を発現させている。
これにより、着用者を背面側から見た場合には、これらの各模様がない場合に比べて、第6傾斜模様108及び第7傾斜模様109の各位置を上方に引き上げると共に、第6傾斜模様108及び第7傾斜模様109と前身頃側幅方向模様107との間の空間を縮めるような錯視を発現させるため、着用者の胴が短く見える錯視効果が得られ、相対的に脚の長さが長く見える。
この結果、着着用者を背面側から見た場合であっても、用者を脚長胴短に見え易くすることが可能となる。
【0089】
ところで、この実施の形態においては、前述のように、前記トップス部83には、基端部が前記本体部86に連結された、着用者の左右の上腕を覆う左右一対の上腕被覆部88,88が設けられている。
これらの一対の上腕被覆部88,88は、袖幅Wが、着用者の上腕の幅の比べて十分に大きく形成されている。
このように、前記上腕被覆部88の袖幅Wを、着用者の上腕の幅の比べて大きく形成するようにしたのは、エビングハウス錯視に代表される対比による錯視を発現させて、着用者の腕全体を細く見え易くするためである。
即ち、図10に示すように、前記上腕被覆部88の袖幅が、着用者の上腕120の幅(径)よりも十分に大きい場合、袖口から導出している着用者の上腕120の一部や前腕121(下腕)は、上腕被覆部88の袖幅Wとの比較において細く見え易くなる(対比による錯視)。
これにより、前記上腕被覆部88が着用者の上腕120にぴったりフィットしている場合に比べて、腕全体が細く見えるため、着用者全体を細く見せることに寄与することとなる。
【0090】
なお、これらの一対の上腕被覆部88,88の各袖幅Wについては、着用者の上腕の最大太さの位置における幅(最大径)の大きさの約1.1倍以上とすることが好ましい。
また、一対の上腕被覆部88,88の袖口幅については、着用者の上腕にぴったりフィットするかあるいは軽く締め付ける程度の大きさにしてもよい。
【0091】
また、前記一対の上腕被覆部88,88は、肘の動きを阻害しない範囲において着用者の上腕のほとんどを被覆できるように、袖丈が4〜5分丈となるように形成されている。
このように前記上腕被覆部を4〜5分丈としたのは、水着によって着用者の上腕の大部分を被覆することにより、知覚的補完による錯視効果を発現させて、着用者の腕全体を、外観上において可及的に細く見せ易くするためである。即ち、視覚的に着用者の上腕のほとんどを被覆して直接的には見えないようにする一方で、太腿よりも前腕や手首を直接的に見せることにより、見た者に前腕の太さに基づいて上腕の太さを知覚的に補完させるようにしている。
したがって、上腕被覆部の袖口を大きくしたことに伴う対比による錯視効果と併せて、より効果的に着用者の腕全体を細く見せ易くすることが可能となる。
【0092】
また、前記ボトムス部83の一対の大腿被覆部92,93は、前記第2の実施の形態と同様に、4〜5分丈に形成されていて、これにより、知覚的補完による錯視を発現させて着用者の脚全体を外観上細く見せ易くすることができるようにしている。
このように前記大腿被覆部92,93の長さを4〜5分丈とした理由、特に知覚的補完による錯視効果については、前記第2の実施の形態と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0093】
さらに、前記ボトムス部83における一対の大腿被覆部92,93の各裾部の下端部、即ち各大腿被覆部92,93におけるボトムス部側裾部94,95は、各大腿被覆部92,93の内腿側からボトムス部の直近の端部側に斜め上方に向けてそれぞれ傾斜している。
このボトムス部83のボトムス部側裾部94,95における下端の傾斜に係る構成については、基本的に前記第1の実施の形態と同じあり、同様の作用効果を奏するため、詳細な説明は省略する。
【0094】
なお、この実施の形態においては、前記トップス部82に形成されている前記襟ぐり部87における前身頃部分は、正面視略V字状に形成されている。これにより、前記第1の実施の形態と同様に、エコー錯視を利用して、水着の着用者の顔を小さく見せることが可能となっている。
【0095】
前記構成を有する水着1Cは、前身頃に第1〜第5傾斜模様101〜103,105,106、さらに前身頃側幅方向模様104を設けると共に、後見頃に後見頃側幅方向模様107及び第6傾斜模様108及び第7傾斜模様109を設けたことにより、各模様101〜109が形成する目視可能な線、さらには、前記ボトムス部83における一対の大腿被覆部92,93のボトムス部側裾部94,95の傾斜によりミュラー・リヤー錯視を生じさせることが可能である。
これにより、基本的に前記第1の実施の形態と同様に、着用者を正面側や背面側から見たときには、前記前身頃側及び後見頃側の各模様がない場合に比べ、着用者の胴が短く且つ脚が長く見える錯視効果を得ることができる。
【0096】
さらには、この第3の実施の形態の場合、前記トップス部82に、基端部が前記本体部86に連結された、着用者の左右の上腕を覆う左右一対の上腕被覆部88,88を設け、これらの一対の上腕被覆部88,88の各袖幅Wを着用者の上腕の幅よりも大きくして、大きさ的にゆとりを持たせたため、対比による錯視により、腕全体を細く見せ易くすることができる。これにより、着用者全体としてしても細く見せ易い。
【0097】
前記第1〜第3の実施の形態においては、前記前身頃側模様、第1の後見頃側模様、第2の後身頃側模様について、線状の模様によりこれらの模様を形成しているものが存在するが、これらの前記前身頃側模様、第1の後見頃側模様、第2の後身頃側模様については、帯状の模様により形成するようにしてもよい。あるいは、三角形状の模様を利用して、その三角形状の模様における傾斜する1辺により形成される線を前記前身頃側模様、第1の後見頃側模様、第2の後身頃側模様としてもよい。
【0098】
また、前記第1〜第3の実施の形態においては、前記前身頃側模様及び第2の後身頃側模様の一部について、三角形状の模様の1辺を利用して目視可能な線を形成したものが存在するが、前身頃側模様及び第2の後身頃側模様は、必ずしも三角形状の模様を利用したものである必要はなく、目視可能な線を形成することができれば、単純な線状又は帯状の模様により形成することができる。
【0099】
前記第1の実施の形態においては、トップス部2の前身頃2aに左右一対の縞状模様部31を設けたものとなっているが、この縞状模様部は省略することができる。また、この縞状模様部を第2及び第3の実施の形態における水着のトップス部の前見頃に設けてもよい。
【0100】
前記第1の実施の形態では、前記縞状模様部31は線状の模様により形成されているが、線に比べて幅が広い帯状の模様で形成してもよい。
さらに、前記第1の実施の形態では、前記縞状模様部31は、7本の線状の模様により形成されているが、複数本であれば、2〜6本、あるいは8本以上の線状又は帯状の模様を用いてもよい。ただし、3本以上の線状又は帯状の模様で形成する場合は、隣り合う線状又は帯状の模様間の各間隔が、トップス部の前身頃における直近の幅方向の端部側に位置する線状又は帯状の模様間の間隔ほど幅狭になるように、各線状又は帯状の模様を配置することが好ましい。
【0101】
また、前記第1の実施の形態では、前記縞状模様部31を、相互に同じ幅の線状の模様31a,31bにより形成し、隣り合う線状又は帯状の模様間の各間隔が、トップス部の前身頃における直近の幅方向の端部側に位置する線状又は帯状の模様間の間隔ほど幅狭になるように配設している。
しかしながら、縞状模様部を形成する線状又は帯状の模様を等間隔に配置すると共に、トップス部の前身頃における直近の幅方向の端部側に位置する線状又は帯状の模様ほど幅を小さくすることにより、縞状模様部によって奥行きを強調する錯視効果を発現できるようにして、トップス部の前身頃に立体感を持たせることができるようにしてもよい。
【0102】
前記第1〜3の実施の形態においては、下方に行くに従って前記前身頃の軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線を備えた左右一対の前身頃側模様を、前記トップス部とボトムス部との両方の前身頃に設けているが、この前身頃側模様は、トップス部とボトムス部との少なくともいずれか一方の前身頃に設けられていればよい。
また、前記第1〜第3の実施の形態においては、前記前身頃側模様として、第1の実施の形態の場合は第1〜4傾斜模様の4種類、第2の実施の形態の場合は第1〜第3傾斜模様の3種類、第3の実施の形態の場合は第1〜第5傾斜模様の5種類からなる、複数対の傾斜模様を配設している。しかしながら、この前身頃側模様は、少なくとも下方に行くに従って前記前身頃の軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線を備えた左右一対の模様であれば、少なくとも1種類(一対)の模様が用いられていればよく、逆に6種類以上の模様を用いてもよい。
【0103】
また、前記第1〜3の実施の形態においては、前記トップス部の後見頃における軸線と交差し、且つそのトップス部の幅方向に連続的に延びる第1の後見頃側模様として、幅方向模様を1本のみ設けているが、この第1の後見頃側模様は複数本設けてもよい。
さらに、前記第1〜3の実施の形態においては、第1の後見頃側模様としての幅方向模様を、長さ方向の中央部分が上方側に凸となるように緩やかに湾曲した曲線状に形成しているが、この幅方向模様は略直線状であってもよい。なお、第1の後見頃側模様としての幅方向模様が略直線状であっても、ミュラー・リヤー錯視は発現する。
【0104】
前記第1の実施の形態及び第2の実施の形態においては、下方に行くに従って前記後身頃の軸線に次第に近づくように傾斜する目視可能な線を備えた左右一対の第2の後身頃側模様を、トップス部及びボトムス部の両方の後見頃にそれぞれ設けている。
しかしながら、前記第2の後見頃側模様は、トップス部とボトムス部との少なくともいずれか一方の後身頃に設けられていれば、第3の実施の形態のようにトップス部のみに設けられていてもよく、あるいはボトムス部のみに設けられていてもよい。
【0105】
前記第1〜3の実施の形態においては、前記ボトムス部における一対の大腿被覆部は、各裾部(ボトムス部側裾部)の下端部が、内腿側からボトムス部の直近の端部側に斜め上方に向けてそれぞれ傾斜した構成となっているが、前記大腿部被覆部の裾部は必ずしもこのような傾斜を備えていなくてもよい。
【0106】
前記第1及び第2の実施の形態においては、トップス部がスリーブレスの構成となっているが、第3の実施の形態のように、トップス部の本体部に、着用者の上腕を覆う左右一対の上腕被覆部を設けてもよい。このとき、一対の上腕被覆部は、袖幅が、着用者の上腕の幅の比べて大きく形成することが好ましく、また4〜5分丈とすることが好ましい。
【0107】
また、第3の実施の形態においては、前記トップス部83に形成した前記一対の上腕被覆部88,88の各袖幅Wが、着用者の上腕の幅の比べて大きく形成されているが、これらの一対の上腕被覆部は必ずしもこのような袖幅とする必要はなく、任意の袖幅とすることができる。
また、第3の実施の形態では、前記上腕被覆部88,88を4〜5分丈としているが、これらの一対の上腕被覆部は任意の袖丈とすることができる。あるいは、これらの一対の上腕被覆部は省略してもよく、第1及び第3の実施の形態のようにスリーブレスの構成としてもよい。
【0108】
前記第2の実施の形態においては、前記トップス部42は、胸部を被覆する部分において、着用者の乳房の膨らみの頂部に相当する高さ位置を基準高さとして、その基準高さよりも高い部分に明度の高い色彩を付した明色領域を備えていると共に、前記基準高さよりも低い部分に明色領域の色彩よりも明度が低い暗色領域を備えている。
しかしながら、このような明色領域及び暗色領域は必ずしも必要ではなく、省略することができる。逆に、このような明色領域及び暗色領域を、第1及び第3の実施の形態における水着のトップス部に設けてもよい。
【0109】
前記第2及び第3の実施の形態においては、前記ボトムス部の一対の大腿被覆部は4〜5分丈としているが、必ずしも4〜5分丈とする必要はなく、第1の実施の形態のように2〜3分丈、あるいは以外の丈としてもよく、任意に設定することができる。
逆に、第1の実施の形態の水着について、前記ボトムス部の一対の大腿被覆部を4〜5分丈として、知覚的補完の錯視を発現させるようにしてもよい。
【0110】
なお、第1〜第3の実施の形態においては、前記トップス部に形成されている前記襟ぐり部における前身頃部分を、正面視略V字状に形成してエコー錯視が発現するようにしているが、襟ぐり部は必ずしもこのような形状とする必要はなく、正面視略半円形状等の任意の形状としてもよい。
【0111】
また、前記1〜第3の実施の形態における水着1A〜1Cは、トップス部とボトムス部とが相互に別体に形成されていて、別々に着用することが可能となっているが、本発明においては、トップス部とボトムス部とが一体に形成されていて、水着の正面側あるいは背面側に設けたファスナー(スナップボタン)等によって着脱用の開口を拡縮自在とした構成であってもよい。
【0112】
さらに、前記第1〜第3の実施の形態においては、本発明の衣服が水着である場合について述べているが、本発明の衣服は、水着のみに限定されず、トップス部とボトムス部とを有する衣服であれば、例えばレオタードや体操着等の運動用の衣服など、各種のものとすることができる。
【符号の説明】
【0113】
1A〜1C 水着(衣服)
2,42,82 トップス部
3,43,83 ボトムス部
6 トップス部の本体部
7 襟ぐり部
8 アームホール部
9 トップス部裾部
11 ウエスト部
12,13,52,53,92,93 大腿被覆部
14,15,54,55,94,95 ボトムス部側裾部
31 縞状模様部
71 中央側明色領域
72 中央側暗色領域
88 上腕被覆部
W 上腕被覆部の袖幅
図1
図2
図3
図4
図5
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図9
図10
図11