(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6274920
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】スプレッダー
(51)【国際特許分類】
E21D 9/06 20060101AFI20180129BHJP
【FI】
E21D9/06 302G
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-48266(P2014-48266)
(22)【出願日】2014年3月12日
(65)【公開番号】特開2015-172293(P2015-172293A)
(43)【公開日】2015年10月1日
【審査請求日】2016年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】507157676
【氏名又は名称】株式会社クボタ工建
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 真浩
【審査官】
亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−203170(JP,A)
【文献】
実開平06−057992(JP,U)
【文献】
実公昭44−026604(JP,Y1)
【文献】
米国特許第02139563(US,A)
【文献】
特開昭53−067910(JP,A)
【文献】
実公昭45−012801(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 9/04−9/12
E21D 11/00−19/06
E21D 23/00−23/26
E02D 7/00−13/10
E04G 9/00−25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールド掘進機のシールドジャッキの先に設けられてセグメントを押すスプレッダーであって、
セグメントに当接する当接面が円弧状の押圧板に形成され、
押圧板は、シールドジャッキによって押される押圧部を、シールド掘進機の断面の周方向における押圧板の両端部間の中央部に有し、
当接面は、シールド掘進機の断面の周方向における押圧板の両端部から中央部の押圧部に近付く位置ほど、押圧方向とは反対方向へ後退しており、
セグメントを押す際、押圧板はセグメントに当接した当接面が平坦になるまで変形して、シールドジャッキの推力がシールド掘進機の断面の周方向における押圧板の中央部から両端部まで均等に当接面に分布することを特徴とするスプレッダー。
【請求項2】
当接面は、シールド掘進機の断面の周方向における押圧板の両端部から中央部の押圧部に近付く位置ほど、押圧方向とは反対方向へ傾斜又は湾曲して後退していることを特徴とする請求項1記載のスプレッダー。
【請求項3】
当接面は、シールド掘進機の断面の周方向における押圧板の両端部から中央部に近付く位置ほど、押圧方向とは反対方向へ傾斜又は湾曲し、
押圧部はシールド掘進機の断面の周方向における押圧板の中央部に位置することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のスプレッダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド掘進機のシールドジャッキの先に設けられてセグメントを押すスプレッダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、
図9,
図10に示すように、シールド掘進機のシールドジャッキ102のピストンロッド103の先端部には、偏芯金具104を介して、スプレッダー105が設けられている。スプレッダー105は、円弧状の押圧板106と、押圧板106に溶接された補強部材107とを有している。押圧板106には、セグメント108に当接する当接面109が形成されている。また、シールドジャッキ102によって押される押圧部110が押圧板106の周方向Aにおける中央部に位置している。
【0003】
また、セグメント108は、シールドジャッキ102の軸心方向から見て円弧状の部材であり、複数の補強材111a〜111dを有している。
これによると、シールドジャッキ102のピストンロッド103を後方へ伸ばすことにより、スプレッダー105の当接面109が、トンネル内で組み立てられて固定されたセグメント108に当接し、セグメント108を押す。このときの反力によってシールド掘進機が前進する。
【0004】
尚、このようなスプレッダー105については、例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−243209
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記の従来形式では、スプレッダー105の当接面109は平坦に形成されており、
図10に示すように、スプレッダー105でセグメント108を押している際、シールドジャッキ102の推力Fは、押圧板106の両端部まで均等に分布せず、主に押圧部110からセグメント108に作用する。このため、セグメント108の周方向Aにおける中央部分Bに応力が集中し、例えば4本の補強材111a〜111dのうち、中央部分Bにある2本の補強材111b,111cに、両端部の2本の補強材111a,111dよりも過大な応力が発生し、これら中央部分Bの補強材111b,111cの強度が不足するといった問題がある。
【0007】
さらには、補強部材107を押圧板106に溶接するため、押圧板106が反り返り、
図9の仮想線で示すように、当接面109は中央部分Bが両端部よりも押圧方向Cに張り出した形状に変形することがある。当接面109にこのような変形が発生した場合、応力がより一段とセグメント108の中央部分Bに集中してしまうといった問題がある。
【0008】
本発明は、シールドジャッキの推力を均等に分布させてセグメントに応力が集中するのを防止することが可能なスプレッダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本第1発明は、シールド掘進機のシールドジャッキの先に設けられてセグメントを押すスプレッダーであって、
セグメントに当接する当接面
が円弧状の押圧板に形成され、
押圧板は、シールドジャッキによって押される押圧部
を、シールド掘進機の断面の周方向における押圧板の両端部間の中央部に有し、
当接面は、
シールド掘進機の断面の周方向における押圧板の両端部から
中央部の押圧部に近付く位置ほど、押圧方向とは反対方向へ後退して
おり、
セグメントを押す際、押圧板はセグメントに当接した当接面が平坦になるまで変形して、シールドジャッキの推力がシールド掘進機の断面の周方向における押圧板の中央部から両端部まで均等に当接面に分布するものである。
【0010】
これによると、シールドジャッキのピストンロッドを伸ばして、スプレッダーの当接面を、トンネル内で組み立てられて固定されたセグメントに当接させ、セグメントを押す。このときの反力によってシールド掘進機が前進する。
【0011】
スプレッダーの当接面は両端部から押圧部に近付く位置ほど押圧方向とは反対方向へ後退しているため、上記のようにスプレッダーでセグメントを押している際、スプレッダーは当接面が平坦になるまで僅かに変形し、シールドジャッキの推力がスプレッダーの当接面の中央部から両端部までほぼ均等に分布する。これにより、セグメントに応力が集中するのを防止することができる。
【0012】
本第2発明におけるスプレッダーは、当接面は、
シールド掘進機の断面の周方向における押圧板の両端部から
中央部の押圧部に近付く位置ほど、押圧方向とは反対方向へ傾斜又は湾曲して後退しているものである。
本第3発明におけるスプレッダーは、当接面は、
シールド掘進機の断面の周方向における押圧板の両端部から中央部に近付く位置ほど、押圧方向とは反対方向へ傾斜又は湾曲し、
押圧部は
シールド掘進機の断面の周方向における押圧板の中央部に位置するものである。
【0013】
これによると、スプレッダーの当接面は両端部から中央部に近付く位置ほど押圧方向とは反対方向へ傾斜又は湾曲しているため、スプレッダーでセグメントを押している際、スプレッダーは当接面が平坦になるまで僅かに変形し、シールドジャッキの推力がスプレッダーの当接面の中央部から両端部までほぼ均等に分布する。これにより、セグメントに応力が集中するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明によると、スプレッダーでセグメントを押している際、シールドジャッキの推力がスプレッダーの当接面の中央部から両端部までほぼ均等に分布するため、セグメントに応力が集中するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施の形態におけるスプレッダーを有するシールド掘進機の断面図である。
【
図2】同、複数のセグメントを円環状に接合した図である。
【
図4】同、複数のスプレッダーで円環状に接合されたセグメントを押している図である。
【
図5】同、スプレッダーでセグメントを押している様子を示す側面図である。
【
図7】同、スプレッダーを鞘管の径方向から見た図である。
【
図8】本発明の第2の実施の形態におけるスプレッダーを鞘管の径方向から見た図である。
【
図9】従来のスプレッダーを鞘管の径方向から見た図である。
【
図10】同、スプレッダーでセグメントを押している様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態では、
図1に示すように、1は非開削工法等において使用されるシールド掘進機である。非開削工法では、シールド掘進機1を用いてトンネル2を掘削するとともに、トンネル2内に搬送された複数のセグメント3をシールド掘進機1の後方で円筒状に組み立てて鞘管4を形成している。尚、
図2に示すように、鞘管4はトンネル2の周壁をなすものである。
【0017】
図2,
図3に示すように、セグメント3は、円弧状に湾曲した外板部8と、一対の主桁9と、一対の継手板10と、アングル状の複数の補強材11とを有している。主桁9は、内フランジ形状を有し、鞘管4の長さ方向Dにおける外板部8の両端部に、内側へ突出して設けられている。主桁9は、ボルト、ナット等の連結部材を用いて、複数のセグメント3同士を鞘管4の長さ方向Dにおいて接続するためのものである。
【0018】
継手板10は、鞘管4の周方向Aにおける外板部8の両側端部に、内側へ突出して設けられている。継手板10は、ボルト、ナット等の連結部材を用いて、複数のセグメント3同士を鞘管4の周方向Aにおいて接続するためのものである。
【0019】
図1に示すように、シールド掘進機1は、カッタービット(図示省略)、円筒状のスキンプレート15、シールド掘進機1の推進力を発生させるシールドジャッキ装置16等を有している。
【0020】
シールドジャッキ装置16は、シールド掘進機1のスキンプレート15内の後部に、周方向Aにおいて所定角度おきに複数台(例えば
図4では90°おきに4台)配置されている。
図4〜
図7に示すように、各シールドジャッキ装置16は、シールドジャッキ17と、シールドジャッキ17から受ける集中荷重を分散させてセグメント3を押すスプレッダー18と、偏芯部材19とを有している。スプレッダー18は、シールドジャッキ17の軸心方向から見て円弧状の部材であり、偏芯部材19を介してシールドジャッキ17のピストンロッド20の先端部に設けられている。
【0021】
偏芯部材19は、ピストンロッド20の先端部に取り付けられた球面継手であり、先端が球面状の突軸部21を有している。
スプレッダー18は、円弧状の押圧板27と、押圧板27の周方向Aにおける中央部に設けられた胴部28と、押圧板27に設けられた補強部材29とを有している。胴部28には係合孔30が形成され、偏芯金具22の突軸部25が胴部28の係合孔30に嵌め込まれ、ボルト31によって突軸部25と胴部28とが相対揺動自在に連結されている。
【0022】
偏芯部材19を介してシールドジャッキ17によって押される押圧部33が押圧板27の周方向Aにおける中央部に位置している。また、押圧板27には、セグメント3の主桁9に対して当接離間自在な当接面34が形成されている。当接面34は、押圧板27の周方向Aにおける両端部34aから中央部34b(押圧部33)に近付く位置ほど、押圧方向Cとは反対方向へ緩やかに傾斜して後退するV形状に形成されている。
【0023】
以下、上記構成における作用を説明する。
図1,
図2に示すように、シールド掘進機1を用いてトンネル2を掘削するとともに、トンネル2内に搬送された複数のセグメント3をシールド掘進機1の後方で円筒状に組み立てて鞘管4を形成している。この際、
図5,
図6に示すように、シールドジャッキ17のピストンロッド20を後方へ伸ばして、スプレッダー18の当接面34を、トンネル2内で組み立てられて固定されたセグメント3の主桁9に当接させ、セグメント3を押す。このときの反力によってシールド掘進機1が前進する。
【0024】
図7に示すように、スプレッダー18の当接面34は両端部34aから中央部34bに近付く位置ほど押圧方向Cとは反対方向へ緩やかに傾斜しているため、上記のようにスプレッダー18でセグメント3を押す際、
図6に示すように、先ず、当接面34の両端部34aがセグメント3に当接し、その後、当接面34の中央部34bがセグメント3に当接し、スプレッダー18の押圧板27は当接面34が平坦になるまで僅かに変形し、シールドジャッキ17の推力Fがスプレッダー18の当接面34の中央部34bから両端部34aまでほぼ均等に分布する。これにより、セグメント3に応力が集中するのを防止することができ、セグメント3の各補強材11に発生する応力が均等になり、いずれかの補強材11に過大な応力が発生して補強材11の強度が不足するのを防止することができる。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、
図8に示すように、スプレッダー18の当接面34は、両端部34aから中央部34bに近付く位置ほど、押圧方向Cとは反対方向へ緩やかに円弧状に湾曲して後退している。
【0025】
これによると、上記第1の実施の形態と同様の作用および効果が得られる。
上記実施の形態では、シールド掘進機1にシールドジャッキ装置16を4台設けているが、4台に限定されるものではなく、それ以外の複数台設けてもよい。
【符号の説明】
【0026】
1 シールド掘進機
3 セグメント
17 シールドジャッキ
18 スプレッダー
27 押圧板
33 押圧部
34 当接面
34a 当接面の端部
34b 当接面の中央部
A 周方向
C 押圧方向