(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6274958
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】タンクキャップの保持構造
(51)【国際特許分類】
B60K 15/05 20060101AFI20180129BHJP
F16C 11/04 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
B60K15/05 B
F16C11/04 F
F16C11/04 V
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-88887(P2014-88887)
(22)【出願日】2014年4月23日
(65)【公開番号】特開2015-205654(P2015-205654A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2017年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 健一
(72)【発明者】
【氏名】白井 浩史
【審査官】
常盤 務
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−321351(JP,A)
【文献】
実開平02−124721(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0140477(US,A1)
【文献】
特開平07−112686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/05
F16C 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の給油口を塞ぐ給油口蓋に取付けられるタンクキャップの保持構造において、
上記タンクキャップの保持構造は、上記給油口蓋と、上記給油口蓋の裏面に取付けられたタンクキャップハンガーと、上記給油口蓋を上記車体に取付ける給油口蓋取付部材と、該給油口蓋取付部材と上記給油口蓋を連結する連結部材を有し、
上記タンクキャップハンガーは、上記給油口蓋の裏面をスライド可能に取付けられるとともに、上記タンクキャップハンガーの先端にタンクキャップを保持するキャップ保持部が形成され、
上記給油口蓋と連結する上記連結部材の先端に第1ローラーを取付け、上記給油口蓋の裏面の上記タンクキャップハンガーと接触する部分に第2ローラーを取付け、
上記給油口蓋の開閉時に、上記連結部材を上記給油口蓋取付部材との取付部を中心に回動させ、上記連結部材の回動に応じて、上記第1ローラーと接触する上記第2ローラーを回転させ、上記第2ローラーの回転により上記タンクキャップハンガーをスライドさせたことを特徴とするタンクキャップの保持構造。
【請求項2】
上記第1ローラーと上記第2ローラーは、接触して摩擦で上記第1ローラーにより上記第2ローラーを回転させ、上記第2ローラーの回転を上記タンクキャップハンガーに伝達し、上記タンクキャップハンガーをスライドさせる請求項1に記載のタンクキャップの保持構造。
【請求項3】
上記第1ローラーと上記第2ローラーは、表面に歯車が形成され、上記第1ローラーにより上記第2ローラーを回転させ、上記第2ローラーの回転を上記タンクキャップハンガーに伝達し、上記タンクキャップハンガーをスライドさせる請求項1に記載のタンクキャップの保持構造。
【請求項4】
上記給油口蓋の裏面にレール部材を取付け、上記タンクキャップハンガーに上記レール部材に嵌め込まれるレール溝部を形成し、上記タンクキャップハンガーは、上記レール部材によりスライドする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のタンクキャップの保持構造。
【請求項5】
上記連結部材は、屈曲したヒンジ部材である請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のタンクキャップの保持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の給油口を塞ぐ給油口蓋を、車体に取付けられた連結部材で取付けるタンクキャップの保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用燃料タンクに燃料を給油する場合に、車体に設けられた給油口を塞ぐ給油口蓋101を開いて、給油口から燃料を給油する。
このとき、
図13に示すように、給油口蓋101は、裏面に蓋インナ部材110が取付けられて、車体に取付けられたアーム部材120が蓋インナ部材110を回動自在に取付けることにより車体に取付けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このアーム部材120による蓋インナ部材110の取付けは、アーム部材120のアーム部材保持腕121の先端に、蓋インナ部材110に取付けられた蓋取付軸114を回動自在に取付ける。これにより、給油口蓋101を開けるときには、給油口蓋101と蓋インナ部材110は、蓋取付軸114を中心に回動して、給油口から給油することができる。
【0004】
給油口蓋101と蓋インナ部材110を開く際には、蓋インナ部材110の蓋ロック片112に形成された蓋ロック孔113から車体設けられたロックピンを外す。
給油口蓋1001と蓋インナ部材110を開いた後に、給油口に取付けられたタンクキャップ(図示せず)を外して、蓋インナ部材110に設けられたタンクキャップ保持部115にタンクキャップを一時的に保持して、給油口に給油ガン(図示せず)を挿入して、給油を行う。
【0005】
しかしながら、タンクキャップ保持部115は、板金製の蓋インナ部材110や、合成樹脂製の給油口蓋101から突出した状態で形成しているため、給油口蓋101を開閉するときに、タンクキャップが引っ掛かることや、タンクキャップを給油口に閉め忘れたままでも給油口蓋101を閉じることができるものがあったりする。タンクキャップ保持部115は、突出して形成されているため、他の部品が引っ掛かりやすい場合がある。
そのため、タンクキャップ保持部を、給油口蓋の開閉に応じて引っ掛からなく被係らなくスライドさせることにより、
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−112686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、タンクキャップ保持部を、給油口蓋の開閉に応じてスライドさせるタンクキャップの保持構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、車体の給油口を塞ぐ給油口蓋を開閉するタンクキャップの保持構造において、
タンクキャップの保持構造は、給油口蓋と、給油口蓋の裏面に取付けられたタンクキャップハンガーと、給油口蓋を車体に取付ける給油口蓋取付部材と、給油口蓋取付部材と給油口蓋を連結する連結部材を有し、
タンクキャップハンガーは、給油口蓋の裏面をスライド可能に取付けられるとともに、タンクキャップハンガーの先端にタンクキャップを保持するキャップ保持部が形成され、
給油口蓋と連結する連結部材の先端に第1ローラーを取付け、給油口蓋の裏面のタンクキャップハンガーと接触する部分に第2ローラーを取付け、
給油口蓋の開閉時に、連結部材を給油口蓋取付部材との取付部を中心に回動させ、連結部材の回動に応じて、第1ローラーと接触する第2ローラーを回転させ、第2ローラーの回転によりタンクキャップハンガーをスライドさせたことを特徴とするタンクキャップの保持構造である。
【0009】
請求項1の本発明では、車体の給油口を塞ぐ給油口蓋を開閉するタンクキャップの保持構造において、タンクキャップの保持構造は、給油口蓋と、給油口蓋の裏面に取付けられたタンクキャップハンガーと、給油口蓋を車体に取付ける給油口蓋取付部材と、給油口蓋取付部材と給油口蓋を連結する連結部材を有する。このため、車体の給油口を塞ぐ給油口蓋を給油口蓋取付部材で車体に取付けて、連結部材を回動することで給油口蓋を開閉するとともに、タンクキャップハンガーでタンクキャップを確実に保持することができる。
【0010】
タンクキャップハンガーは、給油口蓋の裏面をスライド可能に取付けられるとともに、タンクキャップハンガーの先端にタンクキャップを保持するキャップ保持部が形成される。このため、タンクキャップハンガーの先端のキャップ保持部に、給油口から外したタンクキャップを保持することができる。
【0011】
給油口蓋と連結する連結部材の先端に第1ローラーを取付け、給油口蓋の裏面のタンクキャップハンガーと接触する部分に第2ローラーを取付けた。このため、給油口蓋を開くときに連結部材を回動させるが、連結部材の先端が弧を描くように動き、連結部材の先端に取付けて固定した第1ローラーが連結部材の動きにより接触する第2ローラーを回転させることができる。
【0012】
給油口蓋の開閉時に、連結部材を給油口蓋取付部材との取付部を中心に回動させ、連結部材の回動に応じて、第1ローラーと接触する第2ローラーを回転させ、第2ローラーの回転によりタンクキャップハンガーをスライドさせた。このため、給油口蓋の開閉に応じてタンクキャップハンガーを自動的にスライドさせることができ、タンクキャップハンガーが給油口蓋の開閉に邪魔になることがなく、キャップ保持部に他の部品を引っ掛けることもない。さらに、タンクキャップをキャップ保持部に保持したままでは、キャップ保持部が邪魔になり、給油口蓋を閉じることができないため、タンクキャップを給油口に閉め忘れて、給油口蓋を閉じることがない。
【0013】
請求項2の本発明は、第1ローラーと第2ローラーは、接触して摩擦で第1ローラーにより第2ローラーを回転させ、第2ローラーの回転をタンクキャップハンガーに伝達し、タンクキャップハンガーをスライドさせるタンクキャップの保持構造である。
【0014】
請求項2の本発明では、第1ローラーと第2ローラーは、接触して摩擦で第1ローラーにより第2ローラーを回転させ、第2ローラーの回転をタンクキャップハンガーに伝達し、タンクキャップハンガーをスライドさせる。このため、連結部材の回動により第1ローラーと接触する第2ローラーを摩擦により回転させて、給油口蓋の開閉に応じてタンクキャップハンガーをスライドさせることができる。
【0015】
請求項3の本発明は、第1ローラーと第2ローラーは、表面に歯車が形成され、第1ローラーにより第2ローラーを回転させ、第2ローラーの回転をタンクキャップハンガーに伝達し、タンクキャップハンガーをスライドさせるタンクキャップの保持構造である。
【0016】
請求項3の本発明では、第1ローラーと第2ローラーは、表面に歯車が形成され、第1ローラーにより第2ローラーを回転させ、第2ローラーの回転をタンクキャップハンガーに伝達し、タンクキャップハンガーをスライドさせる。このため、連結部材の回動により第1ローラーと歯車でかみ合う第2ローラーを歯車により確実に回転させて、給油口蓋の開閉に応じてタンクキャップハンガーをスライドさせることができる。
【0017】
請求項4の本発明は、給油口蓋の裏面にレール部材を取付け、タンクキャップハンガーにレール部材に嵌め込まれるレール溝部を形成し、タンクキャップハンガーは、レール部材に沿ってスライドするタンクキャップの保持構造である。
【0018】
請求項4の本発明では、給油口蓋の裏面にレール部材を取付け、タンクキャップハンガーにレール部材に嵌め込まれるレール溝部を形成し、タンクキャップハンガーは、レール部材に沿ってスライドする。このため、タンクキャップハンガーを給油口蓋の裏面に確実に取付けるとともに、スムースにスライドさせることができ、給油口蓋を開いたときに、キャップ保持部を給油口蓋から張り出させて、確実にタンクキャップを保持することができる。また、給油口蓋を閉じるときは、確実にタンクキャップハンガーを給油口蓋の下面に収納することができる。
【0019】
請求項5の本発明は、連結部材は、屈曲したヒンジ部材であるタンクキャップの保持構造である。
【0020】
請求項5の本発明では、連結部材は、屈曲したヒンジ部材であるため、給油口蓋を開くときに、給油口蓋10を給油口から浮かせて、更に、給油口蓋の横の部分に移動させることができる。
【発明の効果】
【0021】
給油口蓋と連結する連結部材の先端に第1ローラーを取付け、給油口蓋の裏面のタンクキャップハンガーと接触する部分に第2ローラーを取付けたため、連結部材の先端に取付けて固定した第1ローラーが連結部材の動きにより接触する第2ローラーを回転させることができる。また、給油口蓋の開閉に応じてタンクキャップハンガーを自動的にスライドさせることができ、タンクキャップハンガーが給油口蓋の開閉に邪魔になることがなく、キャップ保持部に他の部品を引っ掛けることもない。さらに、タンクキャップをキャップ保持部に保持したままでは、キャップ保持部が邪魔になり、給油口蓋を閉じることができないため、タンクキャップを給油口に閉め忘れて、給油口蓋を閉じることがない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1の実施の形態を示すもので、給油口蓋を閉じた状態の平面図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態を示すもので、給油口蓋の裏面にタンクキャップハンガーを収納した状態を斜め下方から見た斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態を示すもので、給油口蓋を開いた状態の平面図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態を示すもので、給油口蓋を開いた状態を斜め上方から見た斜視図である。
【
図5】本発明の第1の実施の形態を示すもので、給油口蓋を閉じた状態の正面図である。
【
図6】本発明の第1の実施の形態を示すもので、給油口蓋を開いた状態の正面図である。
【
図7】本発明の第2の実施の形態を示すもので、給油口蓋を開いた状態を斜め上方から見た斜視図である。
【
図8】本発明の第1の実施の形態を示すもので、給油口蓋を斜め下方から見た斜視図である。
【
図9】本発明の第1の実施の形態を示すもので、ヒンジ部材を斜め横から見た斜視図である。
【
図10】本発明の第1の実施の形態を示すもので、ローラーを斜め横から見た斜視図である。
【
図11】本発明の第1の実施の形態を示すもので、タンクキャップハンガーを斜め下方から見た斜視図である。
【
図12】本発明の第1の実施の形態を示すもので、給油口蓋取付部材を斜め下方から見た斜視図である。
【
図13】従来の給油口蓋を開いた状態における、アーム部材に給油口蓋と蓋インナ部材を取付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、車体の給油口1を塞ぐ給油口蓋10を、開閉するタンクキャップの保持構造に関するものである。本発明に実施の形態を
図1〜
図12に基づき説明する。
まず、第1の実施の形態を説明し、第2の実施の形態は後述する。
第1の実施の形態は、給油口蓋10と、給油口蓋10の裏面12に取付けられたタンクキャップハンガー20と、給油口蓋10を車体に取付ける給油口蓋取付部材30と、給油口蓋取付部材30と給油口蓋10を連結する連結部材をそれぞれ説明し、給油口蓋10の回動については後述する。
【0024】
給油口蓋10は、
図1に示すように、車体の給油口1を塞ぐために給油口1の形状に合わせて形成されている。第1の実施の形態では、円形に形成されているが、給油口1の形状に合わせて楕円形や四角形に形成することができる。給油口蓋10の上面11は、車体の色と合わせて塗装されて、平滑な平面を形成している。
自動車用燃料タンクに燃料を給油する場合に、車体に設けられた給油口を塞ぐ給油口蓋10を開いて、給油口1から燃料を給油する。
【0025】
図2と
図8に示すように、給油口蓋10の裏面12には、下方に延びる給油口蓋取付脚部13が、2か所に、平行に形成されている。
給油口蓋取付脚部13は、給油口蓋第1取付孔14と給油口蓋第2取付孔15がそれぞれ形成されている。給油口蓋第1取付孔14と給油口蓋第2取付孔15には、後述する連結部材であるヒンジ部材40が取り付けられる。
【0026】
給油口蓋10の裏面12の給油口蓋取付脚部13の間に、給油口蓋取付脚部13と平行に延びる給油口蓋レール部材16が設けられている。給油口蓋レール部材16は、断面形状がH状に形成され、後述するタンクキャップハンガー20がスライド可能に嵌め込まれる。
【0027】
次に、タンクキャップハンガー20について、
図2〜
図4及び
図11に基づき説明する。
タンクキャップハンガー20は、板状に形成され、給油口蓋10の裏面12をスライド可能に取付けられる。タンクキャップハンガー20の中央部には長手方向にレール溝部22が形成されている。レール溝部22に給油口蓋レール部材16が嵌め込まれて、給油口蓋レール部材16に沿ってタンクキャップハンガー20がスライドする。
【0028】
このため、タンクキャップハンガー20を給油口蓋10の裏面に確実に取付けるとともに、スムースにスライドさせることができる。給油口蓋10を開いたときに、確実にタンクキャップを保持することができる。また、給油口蓋10を閉じるときは、確実にタンクキャップハンガー20を給油口蓋10の下面に収納することができる。
【0029】
タンクキャップハンガー20の先端にタンクキャップを保持するキャップ保持部21が形成される。本発明の第1の実施の形態では、キャップ保持部21は、半円形の凹部として形成されている。後述するように、タンクキャップハンガー20を給油口蓋10の裏面12でスライドさせて、先端のキャップ保持部21を給油口蓋10からはみ出させて、タンクキャップを半円形の凹部に保持させることができる。このため、タンクキャップの保持に必要な部分のみ給油口蓋10から張り出させることができ、給油時にタンクキャップハンガー20が邪魔にならない。
【0030】
次に、給油口蓋取付部材30について、
図2〜
図4及び
図12に基づき説明する。
給油口蓋取付部材30は、給油口1の側壁に取付けられる取付壁31と、取付壁31の両方の側端から延設される2枚の側壁32と、取付壁31の底辺と側壁32から直角に延設される底壁33を優位している。
【0031】
取付壁31には、給油口1の側壁にねじ止めされる車体取付孔38が2個形成されている。
取付壁31の両方の側端から延設される2枚の側壁32は、取付壁31から離れた側の上部には、後述するヒンジ部材40の第1ヒンジ部材41が取り付けられるそれぞれ第1ヒンジ取付部34が形成され、第1ヒンジ取付部34には、第1ヒンジ取付孔35が形成されている。
【0032】
また、取付壁31の両方の側端から延設される2枚の側壁32の取付壁31に近い側には、後述するヒンジ部材40の第2ヒンジ部材43が取り付けられる第2ヒンジ取付部36がそれぞれ形成され、第2ヒンジ取付部36には、第2ヒンジ取付孔37が形成されている。
【0033】
次に、給油口蓋10と給油口蓋取付部材30を連結する連結部材であるヒンジ部材40について、
図2〜
図4及び
図9に基づき説明する。
ヒンジ部材40は、
図9に示すように、屈曲した板状の部材で、第1ヒンジ部材41と第2ヒンジ部材43がそれぞれ2本ずつ使用されている。第1ヒンジ部材41と第2ヒンジ部材43にはそれぞれ両端に第1ヒンジ連結孔42と第2ヒンジ連結孔44が形成されている。
【0034】
次に、ローラー50について、
図2と
図10に基づき説明する。
ローラー50は、第1ヒンジ部材41と第2ヒンジ部材43の先端に一体的に形成される第1ローラー51と、給油口蓋10に取付けられ、タンクキャップハンガー20に当接する第2ローラー52から構成される。第1ローラー51と第2ローラー52は、歯車にすることができ、第1ローラー51と第2ローラー52を歯車の噛み合わせで回転させることができる。なお、第2ヒンジ部材43に形成される第1ローラー51は、廃止することができるが、第1ヒンジ部材41と同じ形状を使用することが部品点数を減少させることができるため、第2ヒンジ部材43に第1ローラー51を形成したものを使用できる。
【0035】
図5と
図6に示すように、第1ヒンジ部材41は、一方の先端が給油口蓋取付部材30の第1ヒンジ取付孔35と第1ヒンジ連結孔42を貫通するヒンジピン55により取付けられる。第1ヒンジ部材41の他方の先端は、第1ヒンジ連結孔42に第1ローラー51を第1ローラーピン53を嵌合することにより一体的に取り付けられて、給油口蓋第1取付孔14を貫通する第1ローラーピン53により、給油口蓋10に取付けられる。
なお、第1ヒンジ部材41、第1ローラー51と第1ローラーピン53を一体的に形成することができる。このとき、第1ローラーピン53を給油口蓋第1取付孔14に取付けることができる。
【0036】
第2ヒンジ部材43は、一方の先端が給油口蓋取付部材30の第2ヒンジ取付孔37と第2ヒンジ連結孔44を貫通するヒンジピン55により取付けられる。第2ヒンジ部材43の他方の先端は、第2ヒンジ連結孔44に第1ローラー51を第1ローラーピン53を嵌合することにより一体的に取り付けられて、給油口蓋第2取付孔15を貫通する第1ローラーピン53により、給油口蓋10に取付けられる。なお、第2ヒンジ部材43に第1ローラー51を取付けることを省略することができる。
【0037】
第1ヒンジ部材41に取付けられた第1ローラー51は、第1ヒンジ部材41に固定されているため、第1ヒンジ部材41がヒンジピン55を中心に回動するにつれて、第1ローラー51と第2ローラー52が接触する点が移動して、接触する第2ローラー52を回転させる。第2ローラー52の回転によりタンクキャップハンガー20をスライドさせることができる。
【0038】
次に、
図2〜
図6に基づき、給油口蓋10の開閉とタンクキャップハンガー20の動きについて説明する。
車体の給油口を給油口蓋10が閉じているときは、
図2及び
図5に示すように、タンクキャップハンガー20は給油口蓋10の裏面12に収納されている。
【0039】
給油口蓋10のロックが外れて、給油口蓋10が開き始めると、第1ヒンジ部材41と第2ヒンジ部材43がヒンジピン55を中心に回動し始める。第1ヒンジ部材41と第2ヒンジ部材43が回動し始めると、第1ヒンジ部材41と第2ヒンジ部材43の他方の先端も、給油口蓋10を給油口1から上方に浮かすことができる。
【0040】
その時、第1ヒンジ部材41に取付けられた第1ローラー51も、第1ヒンジ部材41の回動とともに円弧状に移動する。第1ローラー51が移動し始めると、第1ローラー51と当接する第2ローラー52も回転し始めて、第2ローラー52と当接するタンクキャップハンガー20も給油口蓋10の動きと反対方向にスライドする。
【0041】
更に、第1ヒンジ部材41と第2ヒンジ部材43がヒンジピン55を中心に回動し終わると、
図3と
図6に示すように、給油口蓋10は、給油口1から外れて、横に位置する。そのとき、タンクキャップハンガー20は、
図3、
図4と
図6に示すように、給油口蓋10からキャップ保持部21が飛び出している。キャップ保持部21は、タンクキャップを保持させるに必要なときにのみ、給油口蓋10から張り出すことができ、給油口蓋10の開閉にキャップ保持部21が邪魔になることがなく、キャップ保持部21に他の部品を引っ掛けることもない。また、給油中もキャップ保持部21とタンクキャップが邪魔になることがない。
【0042】
給油口1からタンクキャップを外して、キャップ保持部21に嵌め込んで、給油口1に給油ガンを挿入して給油をすることができる。給油終了後は、タンクキャップを給油口1に嵌め込んで、給油口蓋10を閉じる。給油口蓋10を閉じるときは、給油口蓋10を給油口1の方向に移動させる。
【0043】
給油口蓋10を移動させるには、給油口蓋10を横方向に動かして、第1ヒンジ部材41と第2ヒンジ部材43を、ヒンジピン55を中心に回動させる。給油口蓋10を給油口1まで移動させて、給油口1を塞ぐことができる。給油口蓋10の動きとともに、タンクキャップハンガー20は、給油口蓋10の裏面12をスライドして、キャップ保持部21も給油口蓋10の裏面12に収納される。
【0044】
この時、タンクキャップをキャップ保持部21に保持したままで給油口蓋10を閉じようとすると、キャップ保持部21とタンクキャップが邪魔になり、給油口蓋10を閉じることができないため、タンクキャップを給油口1に閉め忘れて、給油口蓋10を閉じることがない。
【0045】
次に、本発明の第2の実施の形態について、
図7に基づき説明する。第2の実施の形態は、第1の実施の形態とはタンクキャップハンガー20のキャップ保持部21とヒンジ部材40の形状が異なっており、他の部分は同様であるため、異なる部分のみ説明する。
第2の実施の形態のタンクキャップハンガー20のキャップ保持部21は、フック形状に形成されている。このため、タンクキャップ又はタンクキャップに取付けられた紐をこのフック形状のキャップ保持部21に保持させることができる。
【0046】
連結部材であるヒンジ部材40は、第1一体ヒンジ46と第2一体ヒンジ47から形成される。第1一体ヒンジ46と第2一体ヒンジ47は、それぞれ給油口蓋取付部材30の第1ヒンジ取付部34と第2ヒンジ取付部36に取付ける部分が一体に形成されている。このため、ヒンジ部材40を給油口蓋取付部材30に取付ける作業が容易である。
更に、第1一体ヒンジ46と第2一体ヒンジ47の本体部分も波状に屈曲して形成されている。
【符号の説明】
【0047】
10 給油口蓋
16 給油口蓋レール部材
20 タンクキャップハンガー
21 キャップ保持部
22 レール溝部
30 給油口蓋取付部材
40 ヒンジ部材(連結部材)
50 ローラー