(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スリットは、前記2つの全反射面の間の境界部を含む断面において、前記発光素子の光軸に対して、少なくとも45°までの角度で前記発光素子から出射された光をそのまま進行させる、請求項1に記載の光束制御部材。
前記発光素子の光軸と前記カバーの外表面との交点における輝度Aと、前記カバーの外表面において互いに隣接する2つの前記交点の中点における輝度Bとは、以下の式(1)を満たす、請求項4に記載の照明装置。
輝度A<1.7×輝度B (1)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明では、本発明の照明装置の代表例として、蛍光管に代えて使用されうる照明装置について説明する。
【0016】
(照明装置の構成)
図1は、本発明の一実施の形態に係る照明装置100の構成を示す図である。
図1Aは、照明装置100の平面図であり、
図1Bは、
図1Aに示されるA−A線の断面図であり、
図1Cは、
図1Bにおいて破線で囲まれた領域の部分拡大断面図である。
【0017】
図1に示されるように、照明装置100は、フレーム(筐体)110と、基板120と、発光素子132および光束制御部材150をそれぞれ有する複数の発光装置130と、カバー140とを有する。複数の光束制御部材150は、それぞれ1つの発光素子132と対になるように基板120上に一列に配置されている。
【0018】
複数の発光素子132は、照明装置100の光源であり、フレーム110に取り付けられた基板120上に一列に配置されている。各発光素子132は、後述する光束制御部材150の入射面153と対向する位置に配置されている。発光素子132は、例えば白色発光ダイオードなどの発光ダイオード(LED)である。フレーム110および基板120は、例えば、アルミニウムや銅などの熱伝導性の高い金属からなる。基板120に高い熱伝導性を要しない場合は、基板120として、ガラス不織布にエポキシ樹脂を含浸させた樹脂製基板を用いてもよい。
【0019】
カバー140は、光束制御部材150から出射された光を拡散させつつ外部に透過させる。カバー140は、すべての発光装置130を覆うように、複数の発光装置130のそれぞれに対して空気層を介して配置されている。カバー140の外面は、有効発光領域となる。
【0020】
カバー140の形状は、空気層を介してすべての発光装置130を覆うことができれば、特に限定されない。カバー140の形状は、円筒形状であってもよいし、円筒の一部を切り欠いた形状であってもよい。本実施の形態では、カバー140は、円筒の一部を切り欠いた形状である。カバー140の材料は、光透過性を有するものであれば、特に限定されない。カバー140の材料の例には、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、スチレン・メチルメタクリレート共重合樹脂(MS)などの光透過性樹脂や、光透過性のガラスなどが含まれる。また、カバー140に光拡散能を付与する手段も、特に限定されない。たとえば、カバー140の内面または外面に光拡散処理(例えば、粗面化処理)を行ってもよいし、光透過性樹脂中にビーズなどの散乱子を分散させてもよい。
【0021】
(光束制御部材の構成)
図2は、本実施の形態に係る光束制御部材150の断面図である。
図2に示されるように、光束制御部材150は、第1光束制御部材151および第2光束制御部材152を有する。光束制御部材150は、発光素子132から出射された光の配光を制御する。第1光束制御部材151および第2光束制御部材152は、それぞれ一体成形により別個に形成されている。第1光束制御部材151および第2光束制御部材152の材料は、所望の波長の光を通過させ得るものであれば特に限定されない。第1光束制御部材151および第2光束制御部材152の材料の例には、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)などの光透過性樹脂や、光透過性のガラスなどが含まれる。また、第1光束制御部材151および第2光束制御部材152の内部にビーズなどの光散乱子を分散させてもよい。
【0022】
図3および
図4は、第1光束制御部材151の構成を示す図である。
図3Aは、第1光束制御部材151の正面図であり、
図3Bは、底面図であり、
図3Cは、平面図である。
図4Aは、第1光束制御部材151の側面図であり、
図4Bは、
図3Bに示されるA−A線の断面図であり、
図4Cは、
図3Bに示されるB−B線の断面図である。
【0023】
図3および
図4に示されるように、第1光束制御部材151は、入射面153、2つの全反射面154、2つの導光部155、2つの出射面156およびスリット157を有する。第1光束制御部材151は、発光素子132の光軸LAがスリット157を通るように配置される。ここで、「発光素子の光軸」とは、発光素子132からの立体的な光束の中心における光の進行方向をいう。
【0024】
入射面153は、LEDなどの点状光源である発光素子132から出射された光の一部を入射させる。入射面153は、第1光束制御部材151の底面(発光素子132側の面)の中央部に形成されている第1凹部158の内面である。第1凹部158の形状は、特に限定されない。第1凹部158の形状は、半球状や半楕円体状などのように、エッジを含まない曲面であることが好ましい。
【0025】
2つの全反射面154は、入射面153を挟んで発光素子132と対向する位置に形成されている。また、2つの全反射面154は、発光素子の光軸LA(
図2参照)を含み、かつスリット157に平行であって、基板120に垂直な仮想平面に対して面対称に形成されている。2つの全反射面154は、それぞれ、入射面153から入射した光の一部を、発光素子132の光軸LAおよび前記仮想平面と略垂直であり、かつ互いに反対向きである2つの方向(2つの導光部155の方向)に反射させる。すなわち、2つの全反射面154は、到達した光を2つの導光部155に向けて反射させる。
【0026】
図5を用いて、全反射面154の形状について説明する。
図5Aおよび
図5Bは、発光素子を光源とするスポットライトに用いられる光束制御部材10の構成を示す図である。
図5Aは、光束制御部材10の斜視図であり、
図5Bは、光束制御部材10の断面図である。
図5Aおよび
図5Bに示されるように、光束制御部材10は、発光素子から出射された光を入射する入射面12と、入射面12から入射した光の一部を全反射する全反射面14と、入射面12から入射した光の一部および全反射面14で反射した光を出射する出射面16とを有する。入射面12は、光束制御部材10の底部に形成された円錐台状の凹部の内面である。全反射面14は、光束制御部材10の底部の外縁から出射面16の外縁に延びる面であり、光束制御部材10の中心軸を取り囲むように形成された回転対称面である。全反射面14の直径は、入射面12側(底部側)から出射面16側に向けて漸増している。全反射面14を構成する母線は、外側に凸の円弧状曲線である。出射面16は、光束制御部材10において入射面12(底部)の反対側に位置する平面である。
【0027】
図5Cは、光束制御部材10を使用したときの光路を示す図である。
図5Cに示されるように、所定の位置に配置された点光源から出射された光は、入射面12から光束制御部材10内に入射する。光束制御部材10内に入射した光の一部は、そのまま出射面16から外部に向けて出射される。光束制御部材10内に入射した光の残部は、全反射面14で出射面16方向に反射され、出射面16から外部に向けて出射される。このように、点光源から出射された光は、配光を制御されて出射面16から出射される。
【0028】
この光束制御部材10を、
図5Bに示されるA−A線で2分割し、2つの分割片の底部同士を接合させると、
図5Dに示される光束制御部材10’となる。
図5Eに示されるように、このような光束制御部材10’では、点光源から出射された光は、2つの全反射面14で反射されて、互いに反対向きである2つの方向に進む光となる。本実施の形態の第1光束制御部材151の全反射面154の形状は、基本的には、
図5Dに示される光束制御部材10’の全反射面14の形状と同じである。なお、以後の説明では、
図5Dおよび
図5Eにおいて符番「18」で示される、2つの全反射面14の境界線近傍の部位を「全反射面の接続部」と称することがある。また、このとき、全反射面14の境界線は、弧である。
【0029】
2つの導光部155は、入射面153、全反射面154および全反射面154を挟んで相対する位置(発光素子の光軸LAを含み、かつ基板120に垂直な仮想平面に対して面対称)に形成されている。導光部155は、入射面153から入射した光の一部および全反射面154で反射した光を、少しずつ外部に出射させながら、入射面153および全反射面154から離れる方向に導光する。導光部155は、導光部本体160、一対の補強部材161、一対の位置決め凸部162および4つのガイド係合溝164を有する。したがって、導光部本体160の外面は、導光された光を外部に出射する出射面156として機能する。
【0030】
出射面156から出射される光量を均一にする観点から、導光部155内にはビーズなどの散乱子が分散していることが好ましい。また、出射面156に光拡散処理(例えば、粗面化処理)が施されていてもよい。
【0031】
導光部155の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、導光部155は、ロッド状の部材である。2つの導光部155は、
図5Dに示される光束制御部材10’の出射面16にそれぞれ接続されている。導光部155の短軸方向の断面積は、特に限定されない。本実施の形態では、導光部155の短軸方向の断面積は、導光部155の長軸方向のいずれの位置においても同じである。また、断面積が全反射面154から離れるにつれて小さくなるように、導光部155は形成されていてもよい。導光部155の短軸方向の断面積が全反射面154から離れるにつれて、小さくなる場合には、導光部155の厚みおよび幅の両方を調整することで制御してもよいし、厚みおよび幅のいずれか一方のみを調整することで制御してもよい。また、導光部155の短軸方向の断面形状は、特に限定されず、必要とする配光特性に応じて適宜選択される。本実施の形態では、導光部155の短軸方向の断面形状は、略半円状である。
【0032】
また、導光部本体160の底面(発光素子の光軸LA方向についての発光素子132側の面)には、第2凹部163がそれぞれ形成されている。第2凹部163を形成することで、射出成形時におけるヒケの発生を抑制することができるとともに、製造コストを削減することができる。2つの第2凹部163は、いずれも第1光束制御部材151の中央部近傍に形成されているが、第1凹部158とは連通していない。
【0033】
第2凹部163の大きさおよび形状は、所望の配光特性(本発明の効果を損ねない配光特性)が得られ、かつ第1光束制御部材151に要求される強度を確保することができれば、特に限定されない。本実施の形態において、第2凹部163の平面視形状は、底辺が発光素子132側に位置する台形である(
図3B参照)。また、第2凹部163の深さも特に限定されず、適宜設定されうる。なお、第1光束制御部材151を射出成形により成形する場合、第2凹部163は、ヒケが発生するおそれがある部位に形成することが好ましい。
【0034】
補強部材161は、第1光束制御部材151の強度を向上させる。補強部材161の位置および形状は、第1光束制御部材151の全反射面154の機能を大きく阻害せず、かつ第1光束制御部材151の強度を向上させることができれば、特に限定されない。本実施の形態では、補強部材161は、第1光束制御部材151の底面(発光素子132側の面)側に配置されており、導光部155の側面同士を連接している。
【0035】
位置決め凸部162は、基板120に対して光束制御部材150を位置決めするための凸部である。位置決め凸部162は、補強部材161の裏面に配置されている。
【0036】
ガイド係合溝164は、補強部材161および位置決め凸部162と比較して発光素子132から離れた位置に配置されている。ガイド係合溝164は、後述する第2光束制御部材152の係合突起174(
図6参照)が係合することで、第1光束制御部材151に対して第2光束制御部材152を位置決めするための溝である。
【0037】
スリット157は、2つの全反射面154の間において、全反射面154の境界線に沿って配置されている貫通孔である。スリット157は、発光素子132から出射された光の他の一部を光軸LAに沿う方向にそのまま進行させる。全反射面154間におけるスリット157の形状および位置は、特に限定されない。本実施の形態では、スリット157は、前記仮想平面を含む断面において、発光素子132の光軸LAに対して、少なくとも45°までの角度で発光素子132から出射された光をそのまま進行させるようにスリット157が配置されている。スリット157から出射される光の光量は、発光素子132の光軸LAに対して、45°超の角度で出射された光をそのまま進行させるようにしても大きく変化しない。スリット157の長軸方向の長さ(幅)は、特に限定されない。スリット157を進行させる光の光量に応じて適宜設定すればよい。
【0038】
図2に示されるように、第2光束制御部材152は、少なくともスリット157を覆うように配置され、発光素子132から出射し、第1光束制御部材151に入射せずにそのまま進行した光(スリット157を透過した光)を拡散させつつ透過させる。第2光束制御部材152の形状は、前述の機能を発揮することができれば特に限定されない。第2光束制御部材152の形状の例には、半円筒形状や釣り鐘様形状(逆U字型)などが含まれる。本実施の形態では、第2光束制御部材152の形状は、鐘様形状である。
【0039】
図6および
図7は、第2光束制御部材152の構成を示す図である。
図6Aは、第2光束制御部材152の正面図であり、
図6Bは、平面図であり、
図6Cは、底面図である。
図7Aは、第2光束制御部材152の側面図であり、
図7Bは、
図6Bに示されるA−A線の断面図であり、
図7Cは、
図6Bに示されるB−B線の断面図である。
図6および
図7に示されるように、第2光束制御部材152は、半円筒部171および2つの側壁部172を有する。
【0040】
半円筒部171は、全反射面154の直上近傍に配置される。半円筒部171の内面には、複数の凹条(拡散透過部)173が形成されている。複数の凹条173は、第2光束制御部材152の軸方向に垂直な方向に半円環状に配置されている。ここで、「第2光束制御部材152の軸」とは、半円筒部171の軸線をいう。
【0041】
2つの側壁部172は、それぞれ半円筒部171の側縁に連接している。側壁部172の内面の中央部分には、複数の凹条173(拡散透過部)が形成されている。複数の凹条173は、第2光束制御部材152の軸方向に垂直な方向に直線状に配置されている。また、半円筒部171に配置された複数の凹条173と、半円筒部171に配置された複数の凹条173に対応した側壁部172に配置された複数の凹条173とは、それぞれ連なるように配置されている。凹条173は、到達した光を拡散させつつ透過させる。凹条173の断面形状は、特に限定されない。凹条173の断面形状の例には、半円形状や三角形などが含まれる。本実施の形態では、凹条173の断面形状は、半円形状である。各凹条173は、同一の形状であってもよいし、異なった形状であってもよい。本実施の形態では、各凹条173は、同一形状に形成されている。
【0042】
また、側壁部172の両端部の内側には、4つの係合突起174が配置されている。4つの係合突起174は、第1光束制御部材151に配置された4つのガイド係合溝164に係合することで、第2光束制御部材152を第1光束制御部材151に位置決めする。半円筒部171が連接していない側壁部172の端部には、第2光束制御部材152を基板120に位置決めおよび固定するための突起部175が配置されている。基板120に固定された第1光束制御部材151のガイド係合溝164に第2光束制御部材152の係合突起174を係合しつつ、第2光束制御部材152の突起部175を基板120の係合凹部(図示省略)にはめ込むことにより、第2光束制御部材152を基板120および第1光束制御部材151に固定することができる。
【0043】
発光素子132から出射された光の一部は、入射面153から第1光束制御部材151内に入射する。光束制御部材150内に入射した光の一部(発光素子132の光軸LAに対して小さな角度で出射された光)は、全反射面154において導光部155に向けて反射される。さらに、第1光束制御部材151内に入射した光の他の一部(発光素子132の光軸LAに対して大きな角度で出射された光)は、そのまま導光部155に到達する。また、発光素子132から出射し、発光素子132の光軸LAに沿う光は、そのままスリット157を通過する。
【0044】
導光部155に入射した光は、少しずつ出射面156から外部に出射されながら、導光部155の端部に向けて導光される。結果として、光束制御部材150の外面全体から略均一に光が出射される。一方、スリット157を通過した光および発光素子132の中心以外から出射した光は、第2光束制御部材152に到達する。第2光束制御部材152に入射した光は、複数の凹条173で拡散されつつ光束制御部材150の外部に透過する。光束制御部材150の出射面156から出射された光は、空気層を透過してカバー140の内面に到達する。カバー140の内面に到達した光は、拡散されつつカバー140を透過する。結果として、カバー140の外表面全面から略均一に光が出射される。このようにして、点状光源である発光素子132からの出射光を光束制御部材150によって線状の光に変換することができる。
【0045】
(シミュレーション1)
シミュレーション1では、本実施の形態に係る照明装置100のカバー140の外表面における輝度分布をシミュレーションした。また、比較のため、スリット157を有さない比較例に係る光束制御部材を有する比較例に係る照明装置(
図8A参照)のカバーの外表面における輝度分布もシミュレーションした。
【0046】
図8Bは、照明装置100を正面から観察した場合の輝度分布のシミュレーション条件を説明するための図である。
図8Bに示されるように、本シミュレーションでは、基板120上に複数の発光素子132(白色LED)を中心間距離(P)が48mmとなるように一列に配置し、各発光素子132の上に長さ38mmの光束制御部材150を配置した。また、発光素子132の発光面からカバー140の外表面までの距離を16mmとし、光束制御部材150の高さを6.7mmとし、カバー140の内径を24mmとした。なお、本シミュレーションでは、1つの発光素子132のみを点灯させた場合の例を示している。
【0047】
図8Cは、シミュレーション結果を示すグラフである。
図8Cの横軸は、シミュレーションした発光素子132(光束制御部材150)に隣接する発光素子132の光軸LAからの距離(mm)を示している。また、縦軸は、輝度(cd/m
2)を示している。
図8Cの実線は、本実施の形態に係る光束制御部材150を使用した場合のシミュレーション結果を示しており、破線は、比較例の光束制御部材を使用した場合のシミュレーション結果を示している。
【0048】
図8Bに示されるように、スリット157を有する光束制御部材150を用いた本実施の形態に係る照明装置100は、スリット157を有さない比較例の光束制御部材(
図8A参照)を用いた比較例の照明装置と比較して、スリット157直上のカバー140の外表面における輝度が高かった。また、光束制御部材150から出射される光の輝度は、発光素子132の光軸LAと、カバー140の外表面との交点から離れるにしたがって低かった。
【0049】
(シミュレーション2)
次に、カバー140上の輝度分布に対するスリット157の幅の影響についてシミュレーションした。シミュレーションには、スリット157の幅が0.05mm、0.1mm、0.3mmおよび1.0mmの4種類の第1光束制御部材151を使用した。本シミュレーションでは、第2光束制御部材152を使用せず、スリット157を通過する光のみが照射するカバー140の外表面の輝度分布を調べた。その他のシミュレーションの条件は、シミュレーション1と同じである。
【0050】
図9Aは、シミュレーション結果を示すグラフであり、
図9Bは、光束制御部材150の長軸方向(発光素子132の配列方向)におけるスリット157の中心からの距離と、カバー140の外表面における輝度との関係を示すグラフである。
図9Aの横軸は、スリット157の中心(第1光束制御部材151の中心)からの距離(mm)を示しており、
図9Bの横軸は、スリット幅(mm)を示している。
図9Aおよび
図9Bの縦軸は、カバー140の外表面における輝度(cd/m
2)を示している。
図9Aにおける破線はスリット157の幅が0.05mmの第1光束制御部材151を用いた場合の結果を示しており、一点鎖線はスリット157の幅が0.1mmの第1光束制御部材151を用いた場合の結果を示しており、二点鎖線はスリット157の幅が0.3mmの第1光束制御部材151を用いた場合の結果を示しており、実線はスリット157の幅が1.0mmの第1光束制御部材151を用いた場合の結果を示している。
【0051】
図9Aに示されるように、スリット157の幅が長くなるにつれてスリット157を通る光が多くなることが分かる。また、
図9Bに示されるように、スリット157の幅と、スリット157を通る光の光量との間には、相関関係があることが分かった。
【0052】
(シミュレーション3)
次に、本実施の形態に係る光束制御部材150を有する照明装置100を用いて、カバー140の外表面の輝度分布に対するスリット157の幅の影響についてシミュレーションした。また、比較例としてスリットが塞がれた光束制御部材(
図10A参照)を有する照明装置についてシミュレーションした。その他のシミュレーション条件は、シミュレーション1と同じである。
【0053】
図10Bは、シミュレーション結果を示すグラフであり、
図10Cは、光束制御部材150の長軸方向(発光素子132の配列方向)におけるスリット157の中心からの距離と、スリット157を通る光の光量との関係を示すグラフである。
図10Bおよび
図10Cの横軸は、スリット幅(mm)を示しており、
図10Bおよび
図10Cの縦軸は、カバー140の外表面における輝度(cd/m
2)を示している。
図10Bにおける太い実線はスリット157の幅が0.05mmの第1光束制御部材151を用いた場合の結果を示しており、太い破線はスリット157の幅が0.1mmの第1光束制御部材151を用いた場合の結果を示しており、太い一点鎖線はスリット157の幅が0.3mmの第1光束制御部材151を用いた場合の結果を示しており、太い二点鎖線はスリット157の幅が1.0mmの第1光束制御部材151を用いた場合の結果を示している。
図10Bにおける細い実線は平坦部の幅が0.3mmの第1光束制御部材151を用いた場合の結果を示しており、細い破線は平坦部の幅が0.6mmの第1光束制御部材151を用いた場合の結果を示しており、細い一点鎖線は平坦部の幅が1.2mmの第1光束制御部材151を用いた場合の結果を示している。
【0054】
図10Bに示されるように、スリット157の幅が長くなるにつれてスリット157を通る光が多くなることが分かる。また、
図10Cに示されるように、スリット157の幅と、スリット157を通る光の光量との間には、相関関係があることが分かった。
【0055】
図8Bに示されるように、本実施の形態に係る照明装置100は、基板120上に複数の発光装置(光束制御部材150および発光素子132)が配置されている。そして、
図8Cに示されるように、1つの発光装置130のみを使用した場合、カバー0の外表面における光の輝度は、発光装置130の中心から離れるにつれて低くなっていた。したがって、カバー140全体から均一に光を出射させるためには、発光装置130から出射される光を、隣接する光束制御部材150から出射された光と部分的に重複させることが必要となる。このように、部分的に光を重複させて、照明装置100全体として光を均一に出射させるためには、発光素子132の光軸LAとカバー140の外表面との交点における輝度Aと、カバー140の外表面において互いに隣接する2つの当該交点の中点における輝度Bとは、「輝度A<1.7×輝度B」を満たすことが好ましい。より具体的には、(輝度A+輝度C×2)≒(2×輝度B)、かつ1.7×輝度B≦(輝度A+輝度C×2)≦2.3×輝度Bを満たすことが好ましい。ここで、「輝度C」は、輝度Aを示す光束制御部材150に隣接する光束制御部材150の光軸LAと、カバー140の外表面との交点における輝度をいう。発光素子132の中心間距離、空間距離、光束制御部材150の材料および拡散カバーを適宜変更しても、輝度A、輝度Bおよび輝度Cが前述の範囲内にあれば、照明装置100から出射される光の輝度の均一性を確保することができる。
【0056】
なお、複数の凹条173の断面が三角形である場合、凹条173は、第1傾斜面および第2傾斜面を有する。
【0057】
(効果)
本発明者は、特許文献1に記載のLED照明燈装置における問題を解決するために、まず前述した反射面154を有する光束制御部材を作製した。この光束制御部材では、発光素子132の直上部が明るくなりすぎるという問題を解決することができたが、今度は発光素子132間が明るくなり、発光素子132の直上部が暗くなってしまうという問題があった。
【0058】
そこで、本発明者は、反射面154の間にスリット157を設けることで、発光素子132から出射した光をそのままスリット157を通るように進行させた。これにより、本実施の形態に係る照明装置100では、発光素子132の直上部分を明るくすることができ、発光素子132の配列方向の輝度ムラを少なくすることができる。また、スリット157を通る光の光路上に凹条(拡散透過部)173を有する第2光束制御部材152を配置することで、照明装置100の有効発光領域から出射される光の光量を均一にすることができる。
【0059】
(変形例)
図11および
図12は、実施の形態の変形例に係る発光装置130の構成を示す図である。
図11Aは、変形例に係る第1光束制御部材151の配置を示した斜視図であり、
図11Bは、
図11Aに示される第1光束制御部材151に第2光束制御部材152を組み合わせた状態を示す図である。
図12Aは、発光素子132の光軸LAに垂直な平面において導光部155が連結した状態の光束制御部材150を示す斜視図であり、
図12Bは、発光素子132の光軸LAを含む平面において導光部155が連結した状態の光束制御部材150を示す斜視図である。
【0060】
図11A、Bに示されるように、実施の形態1の変形例に係る光束制御部材150では、複数の光束制御部材150(第1光束制御部材151および第2光束制御部材152)が連なって配置されていてもよい。また、
図12A、Bに示されるように、実施の形態1の変形例に係る光束制御部材150では、2つの導光部155の全反射面154と反対側の端面同士が結合されており、全体として、円環形状となるように形成されていてもよい。