特許第6274992号(P6274992)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6274992
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/03 20060101AFI20180129BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
   H05K5/03 A
   G06F1/16 312Q
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-137239(P2014-137239)
(22)【出願日】2014年7月2日
(65)【公開番号】特開2016-15425(P2016-15425A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2016年8月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】芳須 芳男
【審査官】 梅本 章子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−317693(JP,A)
【文献】 特開平04−279457(JP,A)
【文献】 特開2007−173473(JP,A)
【文献】 特開2005−329566(JP,A)
【文献】 実開昭55−081980(JP,U)
【文献】 特開2003−318564(JP,A)
【文献】 特開2003−086959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00 − 5/06
G06F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体本体と、前記筐体本体の第1の側面に開閉自在に取り付けられたカバーとを有する電子機器であって、
前記第1の側面に立設され、且つ、前記第1の側面と離れた位置に前記筐体本体の底面及び前記第1の側面のそれぞれと平行に伸びる突起部を有する第1の部材と、
前記カバーの閉状態で前記第1の側面と対向する前記カバーの第1の面に立設され、且つ、前記突起部が嵌まる溝部が形成された第2の部材と、
を有し、
前記溝部は、前記閉状態において、前記筐体本体の底面から前記筐体本体の上面に向かうに従って前記第1の側面から遠ざかる方向に形成され
前記カバーは、前記溝部に沿って前記突起部がスライドすると共に前記突起部を軸として回転して開状態となり、
前記第1の側面には、前記カバーの端面が摺動して前記カバーのスライド及び回転を規定する傾斜面を有する傾斜部が設けられ、前記カバーの前記開状態で、前記カバーの前記端面が前記傾斜面と接している、
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコン等の電子機器は、それの筐体本体の側面に開口部(例えば、USBケーブルが挿入される開口部(コネクタ開口部))を有している。
【0003】
そして、従来、蓋の一端部に設けられた軸が筐体本体の下端部で且つ開口部の側面に固着された蓋(カバー)を有する電子機器がある。これにより、蓋(カバー)は、その軸を中心に回転することで開閉自在になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−062234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の電子機器では、カバーの下端部と筐体本体の側面との立体的衝突によって、カバーのスムーズな開閉が阻害される可能性がある。
【0006】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、カバーをスムーズに開閉することができる、電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の態様では、電子機器は、筐体本体と、前記筐体本体の第1の側面に開閉自在に取り付けられたカバーとを有する。また、前記電子機器は、前記第1の側面に立設され、且つ、前記第1の側面と離れた位置に前記筐体本体の底面及び前記第1の側面のそれぞれと平行に伸びる突起部を有する第1の部材と、前記カバーの閉状態で前記第1の側面と対向する前記カバーの第1の面に立設され、且つ、前記突起部が嵌まる溝部が形成された第2の部材と、を有し、前記溝部は、前記閉状態において、前記筐体本体の底面から前記筐体本体の上面に向かうに従って前記第1の側面から遠ざかる方向に形成され、前記カバーは、前記溝部に沿って前記突起部がスライドすると共に前記突起部を軸として回転して開状態となり、前記第1の側面には、前記カバーの端面が摺動して前記カバーのスライド及び回転を規定する傾斜面を有する傾斜部が設けられ、前記カバーの前記開状態で、前記カバーの前記端面が前記傾斜面と接している。
【発明の効果】
【0008】
開示の態様によれば、カバーをスムーズに開閉することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例1の電子機器の一例を示す図である。
図2図2は、実施例1の電子機器の一例を示す図である。
図3図3は、カバーが開状態である装置本体を示す図である。
図4図4は、カバーが開状態である装置本体を示す図である。
図5図5は、カバーの分解斜視図である。
図6図6は、カバーの分解斜視図である。
図7図7は、筐体本体とカバーとの分解斜視図である。
図8図8は、実施例1の電子機器を下から見た図である。
図9図9は、図8に示すサークルで囲んだ部分を拡大した図である。
図10図10は、嵌合部の部分を拡大した図である。
図11図11は、嵌合部の部分を拡大した図である。
図12図12は、嵌合部の部分を拡大した図である。
図13図13は、被嵌合部を示す図である。
図14図14は、被嵌合部を示す図である。
図15図15は、被嵌合部を示す図である。
図16図16は、被嵌合部の動きの説明に供する図である。
図17図17は、カバーの開閉動作の説明に供する図である。
図18図18は、カバーの開閉動作の説明に供する図である。
図19図19は、カバーの開閉動作の説明に供する図である。
図20図20は、カバーの開閉動作の説明に供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示する電子機器の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本願の開示する電子機器が限定されるものではない。また、実施形態において同一の機能を有する構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0011】
[実施例1]
[電子機器の構成例]
図1及び図2は、実施例1の電子機器の一例を示す図である。図1及び図2に示す電子機器は、例えば、銀行のカウンターに設置される端末である。図1において、電子機器10は、装置本体11と、ディスプレイ12とを有する。また、装置本体11は、筐体本体13と、筐体本体13の前面(つまり、装置本体11の前面)に固着されたカバー14とを有する。カバー14は、図1及び図2に示すように、開閉自在に構成されている。図1には、カバー14の「閉状態」が示され、図2には、カバー14の「開状態」が示されている。
【0012】
図3及び図4は、カバーが開状態である装置本体を示す図である。図3には、装置本体11からディスプレイ12が取り外された状態が示されている。図4では、特に、装置本体11の前面部分を拡大した状態が示されている。なお、カバー14の前後左右上下の方向は、閉状態における前後左右上下の方向を用いて説明する。
【0013】
図3に示すように、カバー14は、カバー本体15と、カバー本体15の後面側の開口部を覆う蓋板16とを有する。蓋板16は、カバー本体15に着脱可能に構成されている。また、図4に示すように、装置本体11は、メディア(DVD等)のドライブ19を有する。また、筐体本体13の前面には、USBケーブルが挿入される開口部20(つまり、コネクタ)が設けられている。図4では、カバー14から蓋板16が取り外された状態が示されている。
【0014】
図5及び図6は、カバーの分解斜視図である。図5には、カバー14を前から見た時の分解斜視図が示され、図6には、カバー14を後ろから見た時の分解斜視図が示されている。図5及び図6に示すように、カバー14は、カバー14の閉状態において、後述する嵌合部40が嵌まる被嵌合部17と、被嵌合部17を保持する保持部18とを有する。被嵌合部17は、保持部18に着脱可能に構成されている。被嵌合部17は、カバー14の後面の上端部で且つ左右方向の中央部に配設される。被嵌合部17については後に詳述する。
【0015】
図7は、筐体本体とカバーとの分解斜視図である。図7では、特に、装置本体11の前面部分を拡大した状態が示されている。
【0016】
図7において、筐体本体13は、それの前面の下端部にその前面から立ち上がる突状部材21−1,2が設けられている。突状部材21−1は、筐体本体13の前面の左端部に設けられ、突状部材21−2は、筐体本体13の前面の右端部に設けられている。突状部材21−1,2は、筐体本体13の前面から離れた位置に突起部22−1,2をそれぞれ有している。突起部22−1,2のそれぞれは、筐体本体13の前面及び下面(つまり、底面)の両方と略平行に延びている。図7では、突起部22−1は、筐体本体13の左側面に向かって延び、突起部22−2は、筐体本体13の右側面に向かって延びている。突起部22−1,2は、後述するカバー14の長円形状の溝部52−1,2に嵌まる。これにより、カバー14のスライド及び回転が可能となり、カバー14の開閉が可能となる。
【0017】
突状部材21−1の位置と突状部材21−2の位置との間には、フック部24−1,2が設けられている。各フック部24は、筐体本体13の前面から立ち上がり且つ筐体本体13の底面と平行に設けられた基端部26と、筐体本体13の前面と離れた基端部26の上面の位置から立ち上がり且つ筐体本体13の前面と平行に設けられた先端部28とを有する。このフック部24−1,2は、カバー14の閉状態において、カバー14に設けられたフック部54−1,2にそれぞれ引っ掛かる。これにより、ユーザがカバー14の開閉操作を誤ってカバー14を前方に引き出そうとした場合にカバー14の前方への移動を抑制することができ、突起部22及び後述する溝部52−1,2に過剰な負荷が掛かることを防止することができる。
【0018】
また、筐体本体13の前面においてフック部24−1,2の上側の位置には、突状部材34−1,2がそれぞれ設けられている。突状部材34−1,2は、カバー14の開状態においてカバー14の底面が近接する位置に設けられている。これにより、カバー14の開状態においてカバー14の水平方向(つまり、前後方向)の動きを抑制できるので、開状態におけるカバー14のガタツキを防止することができる。すなわち、突状部材34−1,2は、カバー14の開状態での前後方向のスライドを抑制するスライド抑制部材として機能する。
【0019】
また、筐体本体13の前面下端部から突状部材34−1,2の頂上面(前面)に向かって徐々に高くなる斜面を有する傾斜部36−1,2が設けられている。カバー14が閉状態から開状態へ移行する過程で、カバー14の底面は、傾斜部36−1,2の斜面上を滑りながら移動する。すなわち、傾斜部36−1,2は、カバー14の開閉動作(つまり、スライド及び回転)を規定するガイド部材として機能している。また、突状部材34−1と傾斜部36−1、及び、突状部材34−2と傾斜部36−2は、一体成形されている。
【0020】
また、筐体本体13の前面において下端部の左端部及び右端部には、筐体本体13の前面から立ち上がり且つ筐体本体13の底面と平行に設けられた板状部材30−1,2がそれぞれ設けられている。板状部材30−1の左右両端には、筐体本体13の前面に繋がる壁32−1,2がそれぞれ設けられている。すなわち、壁32−1,2はリブとなっており、板状部材30−1の強度を補強している。また、板状部材30−2の左右両端には、筐体本体13の前面に繋がる壁32−3,4がそれぞれ設けられている。すなわち、壁32−3,4はリブとなっており、板状部材30−2の強度を補強している。
【0021】
ここで、図8に示すように、筐体本体13の底面には、4つのゴム足38−1〜4が設けられている。図8は、実施例1の電子機器を下から見た図である。図9は、図8に示すサークルで囲んだ部分を拡大した図である。図9に示すように、ゴム足38−1は、板状部材30−1の下面に配設されている。ここで、板状部材30−1は、筐体本体13の底面から前方向にはみ出すように設けられている。これにより、筐体本体13の底面にゴム足38−1を設けるよりも電子機器10が前方向に転倒し難くすることができ、電子機器10の安定的な設置が可能となる。板状部材30−2及びゴム足38−2の関係も、板状部材30−1及びゴム足38−1と同様である。
【0022】
図7の説明に戻り、筐体本体13の前面の中央上端部には、嵌合部40が設けられている。図10から図12は、嵌合部の部分を拡大した図である。図10には、嵌合部40の斜視図が示され、図11には、嵌合部40を上から見た図が示され、図12には、嵌合部40を前から見た図が示されている。嵌合部40は、筐体本体13の前面から立ち上がり且つ筐体本体13の上面と平行な板状部材42と、板状部材42の左右側面の筐体本体13から離れた位置、つまり板状部材42の左右側面の先端部に設けられた突起部44−1,2とを有する。例えば、突起部44−1,2は、筐体本体13の上下方向、つまり板状部材42の厚さ方向に延びる壁状に形成されている。突起部44−1,2は、後述する様に、被係止部として機能する。
【0023】
図7の説明に戻り、カバー14は、「閉状態」で筐体本体13の前面と対向するカバー14の後面に、その後面から立ち上がり且つ前後方向及び上下方向に延びる板状部材50−1,2を有する。すなわち、板状部材50−1,2の法線は、左右方向に延びている。板状部材50−1,2は、カバー14の下端部において左右両端部にそれぞれ設けられている。また、板状部材50−1,2には、板状部材50−1,2の左右の面を貫き且つ長円状に切り欠かれた溝部52−1,2がそれぞれ形成されている。溝部52−1,2は、カバー14の閉状態において、筐体本体13の下面(底面)から上面に向かうに従って溝部52−1,2と筐体本体13の前面との離間距離が大きくなるように形成されている。すなわち、溝部52−1,2は、カバー14の閉状態において、筐体本体13の下面から上面に向かうに従って、筐体本体13の前面から遠ざかる方向に形成されている。上記の通り、溝部52−1,2には、突起部22−1,2が嵌まる。これにより、溝部52−1,2に沿ってカバー14がスライドすることで、カバー14が筐体本体13の前面から離れる方向に移動するので、回転動作時にカバー14の下端部が筐体本体13の前面と立体的に衝突することを回避することができる。すなわち、カバー14のスムーズな開閉が可能となる。また、これにより、溝部52−1,2に沿ってカバー14がスライドすることで、カバー14全体が上方向に移動するので、カバー14の厚みが大きい場合でも、開状態において装置本体11の載置面にカバー14の前面が接した状態で、装置本体11の載置面にカバー14を安定的に保持させることができる。これにより、開状態において突起部22及び溝部52に掛かる負荷を軽減することができる。
【0024】
また、板状部材50−1,2は、カバー14の後面及び下面と結合されたリブであり、カバー14の強度を向上させる補強部材として機能している。
【0025】
また、カバー14には、上記のフック部24−1,2が引っ掛かるフック部54−1,2が設けられている。各フック部54は、4つの壁によって規定されている。すなわち、各フック部54は、カバー14の底面から上面の方向に立ち上がる第1の壁と、第1の壁の上端部から前方に立ち上がる第2の壁と、第1の壁及び第2の壁を左右から挟む第3の壁及び第4の壁とを有する。これら第1から第4の壁によって開口された空間が形成される。
【0026】
ここで、カバー14の閉状態では、フック部24の先端部28の後面とフック部54の第1の壁の前面とが当接する。これにより、ユーザがカバー14の開閉操作を誤ってカバー14を前方に引き出そうとした場合にカバー14の前方への移動を抑制することができ、突起部22及び溝部52に過剰な負荷が掛かることを防止することができる。また、カバー14の閉状態では、フック部24の先端部28の上面とフック部54の第2の壁の下面とが当接する。これにより、閉状態においてカバー14の下方への移動を抑制することができ、突起部22及び溝部52に過剰な負荷が掛かることを防止することができる。また、カバー14の開状態では、フック部24の先端部28の上面とフック部54の第1の壁の前面とが当接する。これにより、開状態においてカバー14の下方への移動を抑制することができ、突起部22及び溝部52に過剰な負荷が掛かることを防止することができる。
【0027】
板状部材50−1の左側及び板状部材50−2の右側には、板状部材50−1及び板状部材50−2と平行に設けられた板状部材56−1,2がそれぞれ設けられている。カバー14の閉状態において、板状部材56−1の左面は壁32−2の右面と近接し、板状部材56−2の右面と壁32−3の左面とが近接する。すなわち、壁32−2及び壁32−3が板状部材56−1,2を外側から挟むことにより、カバー14の左右方向の動きを抑制することができる。これにより、カバー14の閉状態においてカバー14が左右方向に移動することを抑制することができるので、突状部材21−1,2及び板状部材50−1,2に掛かる負荷を低減することができると共に突起部22が溝部52から外れてしまうことを防止することができる。
【0028】
また、上記の通り、カバー14の後面側の上端部で且つ左右方向の中央部には、被嵌合部17が設けられている。図13から図15は、被嵌合部を示す図である。図13には、被嵌合部17の斜視図が示され、図14には、被嵌合部17を上から見た図が示され、図15には、被嵌合部17を後ろから見た図が示されている。なお、被嵌合部17の前後左右上下の方向は、閉状態におけるカバー14の前後左右上下の方向を用いている。
【0029】
被嵌合部17は、前後の側面を貫き且つ開口形状が矩形状の筒状部62を有する。また、被嵌合部17は、筒状部62内の左右両端部にそれぞれ設けられた係止部64−1,2がそれぞれ設けられている。係止部64−1,2のそれぞれは、一端部が筒状部62の上面に結合され、他端部が筒状部62の下面と結合されている。例えば、係止部64−1,2のそれぞれは、筒状部62の上下方向に延びる糸状の部材である。また、係止部64は、弾性体、つまり弾性を有する素材で形成されている。好ましくは、係止部64は、ABS又はナイロン等の合成樹脂である。これにより、係止部64に弾性を持たせつつ強度を持たせることができる。また、被嵌合部17及び嵌合部40から成る係止機構をコンパクトにすることができる。なお、被嵌合部17は、係止部64と同じ材料で一体的に形成されてもよい。これにより、係止部64が摩耗したり破損したりした場合には、被嵌合部17を新しいものに容易に取り替えることができる。
【0030】
ここで、係止部64−1と係止部64−2との離間距離は、上記の嵌合部40の板状部材42の左右方向の幅よりも少しだけ大きくなっている。一方、係止部64−1と係止部64−2との離間距離は、上記の嵌合部40の突起部44−1の左頂上部と突起部44−2の右頂上部との離間距離よりも少しだけ小さくなっている。このため、カバー14が開状態から閉状態に移行する時に、突起部44−1,2は、図16に示すように、係止部64−1,2をそれぞれ左右方向に押し広げて筒状部62の奥に進む。そして、係止部64−1,2は、上記の通り弾性を有するので元の状態に戻る。そして、突起部44−1,2が、係止部64−1,2に引っ掛かる。これにより、カバー14の閉状態を安定化させることができる。図16は、被嵌合部の動きの説明に供する図である。
【0031】
[電子機器におけるカバーの開閉動作]
以上の構成を有する電子機器におけるカバー14の開閉動作について説明する。図17から図20は、カバーの開閉動作の説明に供する図である。図17から図20には、カバーの閉状態から開状態に至る過程での複数の時点でのカバーの状態が示されている。また、図17から図20には、図4のA−A矢視断面の模式図が示されている。
【0032】
図17には、カバーの閉状態が示されている。図17に示すように、カバー14の閉状態では、溝部52−2に嵌まっている突起部22−2は、溝部52−2の1つの端部P1に位置している。図17を見てわかるように、溝部52−2は、カバー14の閉状態において、筐体本体13の下面(底面)から上面に向かうに従って溝部52−1,2と筐体本体13の前面との離間距離が大きくなるように形成されている。
【0033】
図18には、カバー14が閉状態から少し開いた状態が示されている。ユーザの操作によってカバーが引かれると、傾斜部36−2の案内によって(つまり、傾斜部36−2の斜面上をカバー14の下端部Bが滑りながら移動することによって)、カバー14がスライドされると同時に突起部22−2を回転軸として回転される。このため、図18では、突起部22−2が溝部52−2の端部P1から端部P2に向けて移動している。ここで、上記の通り、溝部52−2は、カバー14の閉状態において、筐体本体13の下面(底面)から上面に向かうに従って溝部52−1,2と筐体本体13の前面との離間距離が大きくなるように形成されている。従って、突起部22−2が溝部52−2の端部P1から端部P2に向けて移動することで、カバー14全体が前方にスライドされている。これにより、回転動作時にカバー14の下端部が筐体本体13の前面と立体的に衝突することを回避することができる。
【0034】
図19には、図18の状態よりもさらにカバー14が開いた状態が示されている。図19では、突起部22−2が溝部52−2の端部P2に位置しており、カバー14のスライド動作はこの時点で完了している。そして、カバー14がさらに回転すると、カバー14は、図20に示す開状態となる。
【0035】
図20に示すカバー14の開状態では、カバー14の前面が載置面PLに接している。また、開状態では、カバー14の下端部Bは、突状部材34−2と近接している。これにより、カバー14の開状態においてカバー14の水平方向(つまり、前後方向)の動きを抑制できるので、開状態におけるカバー14のガタツキを防止することができる。
【0036】
以上のように本実施例によれば、電子機器10は、筐体本体13と、筐体本体13の第1の側面(ここでは前面)に開閉自在に取り付けられたカバー14とを有する。また、電子機器10は、突状部材21と、板状部材50とを有している。突状部材21は、筐体本体13の第1の側面に立設され、且つ、当該第1の側面と離れた位置に筐体本体13の底面及び第1の側面のそれぞれと平行に伸びる突起部22を有する。板状部材50は、カバー14の閉状態で筐体本体13の第1の側面と対向するカバー14の第1の面(ここでは後面)に立設され、且つ、突起部22が嵌まる溝部52が形成されている。そして、溝部52は、カバー14の閉状態において、筐体本体13の底面から筐体本体13の上面に向かうに従って筐体本体13の第1の側面から遠ざかる方向に形成されている。
【0037】
この電子機器10の構成により、溝部52に沿ってカバー14がスライドすることで、カバー14が筐体本体13の前面から離れる方向に移動するので、回転動作時にカバー14の下端部が筐体本体13の前面と立体的に衝突することを回避することができる。すなわち、カバー14のスムーズな開閉が可能となる。
【0038】
また、電子機器10は、開状態においてカバー14と対向する筐体本体13の第1の側面の位置に立設されたスライド防止部材としての突状部材34を有する。
【0039】
この電子機器10の構成により、カバー14の開状態においてカバー14の水平方向(つまり、前後方向)の動きを抑制できるので、開状態におけるカバー14のガタツキを防止することができる。
【0040】
また、電子機器10は、筐体本体13の第1の側面に設けられ、カバー14のスライド及び回転を規定するガイド部材としての傾斜部36を有する。
【0041】
この電子機器10の構成により、カバー14をスムーズに開閉することができる。
【0042】
また、電子機器10は、筐体本体13の前面の下端部に設けられたフック部24と、カバー14の後面の下端部に設けられ且つカバー14の閉状態においてフック部24が引っ掛かるフック部54とを有する。
【0043】
この電子機器10の構成により、ユーザがカバー14の開閉操作を誤ってカバー14を前方に引き出そうとした場合にカバー14の前方への移動を抑制することができ、突起部22及び溝部52に過剰な負荷が掛かることを防止することができる。
【0044】
また、電子機器10は、筐体本体13の前面の下端部に筐体本体13からはみ出すように設けられた板状部材30と、板状部材30の下面に設けられたゴム足38とを有する。
【0045】
この電子機器10の構成により、電子機器10が前方向に転倒し難くすることができ、電子機器10の安定的な設置が可能となる。
【0046】
また、電子機器10は、板状部材30の左右端部に設けられた壁32と、カバー14の後面に設けられ且つカバー14の閉状態において壁32と近接する板状部材56とを有する。
【0047】
この電子機器10の構成により、カバー14の閉状態においてカバー14が左右方向に移動することを抑制することができる。
【0048】
また、電子機器10は、係止部64を有し且つカバー14に設けられた被嵌合部17と、被係止部(つまり、突起部44)を有し且つ筐体本体13に設けられた嵌合部40とを有する。そして、係止部64は、例えば、ナイロンで形成されている。
【0049】
この電子機器10の構成により、係止部64に弾性を持たせつつ強度を持たせることができる。また、被嵌合部17及び嵌合部40から成る係止機構をコンパクトにすることができる。
【0050】
[他の実施例]
[1]実施例1では、突起部22を有する突状部材21を筐体本体13に設け、溝部52が形成された板状部材50をカバー14に設けているが、これに限定されるものではない。逆に、溝部を有する部材を筐体本体13に設け、溝部に嵌まる突起部を有する部材をカバー14に設けてもよい。
【0051】
[2]実施例1では、カバー14の左右方向の動きを抑制する機能部(30,32)と、フック部24とを別に設けているが、これに限定されるものではなく、1つにしてもよい。
【0052】
[3]実施例1では、電子機器10の種類を銀行端末として説明したが、これに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0053】
10 電子機器
11 装置本体
12 ディスプレイ
13 筐体本体
14 カバー
15 カバー本体
16 蓋板
17 被嵌合部
18 保持部
19 ドライブ
20 開口部
21,34 突状部材
22,44 突起部
24,54 フック部
26 基端部
28 先端部
30,42,50,56 板状部材
32 壁
36 傾斜部
38 ゴム足
40 嵌合部
52 溝部
62 筒状部
64 係止部
図1
図2
図3
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