【実施例】
【0029】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0030】
実施例及び比較例で得られた皮膚洗浄剤組成物は、以下の試験方法により、評価を行った。
《洗浄力》
油脂汚れを想定した試料としてトリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリルにカーボンブラックを2質量%分散させたサンプルを調製し、これをスライドガラスに均一に塗付する。また、超純水に硬度が150になるように硫酸マグネシウムを溶解し、硬水を調製する。1.5gの各洗浄剤に調製した硬水10mLを加えて、手で泡立て、泡をスライドガラス状に乗せたうえで、指先で30回ガラス上を往復するように擦る。泡を静かに清水10mLで洗い流し、残った試料の量に応じて目視で採点を行った。点数は塗付した試料が完全に残っている状態を0点、完全に洗い流せている状態を5点とした。
【0031】
《起泡性》
超純水に硬度が150になるように硫酸マグネシウムを溶解し、硬水を調製する。1.5gの各洗浄剤に調製した硬水10mLを加えて、手で泡立て、泡立てやすさを評価した。評価は、2分以内に簡単に泡立てられるものを〇、2分以上5分以内であれば十分な泡立ちが得られるものを△、5分以上掛けても満足できる泡量を得られないものを×として三段階で評価した。
【0032】
《泡の弾力》
超純水に硬度が150になるように硫酸マグネシウムを溶解し、硬水を調製する。各洗浄剤1.5gに調製した硬水10mLを加えて、手で泡立て、泡を50mLビーカーに詰める。表面を摺り切りで整えた後、一円玉を泡の上に乗せ、一分間静置する。一分後の一円玉の位置を測定し、その位置を基に採点を行った。点数はビーカー表面を10点、ビーカー底面を0点とし、その間の位置での点数は、距離に応じて比例的に計算した。
【0033】
実施例1〜7及び比較例1〜3では、成分(B)について、検討を行った。
【0034】
《実施例1》
本実施例では、成分(B)として、ヒドロキシステアリン酸を用いた。
脂肪酸として、ラウリン酸3重量部、ミリスチン酸10重量部、パルミチン酸7重量部、及びステアリン酸5重量部、成分(B)としてヒドロキシステアリン酸0.1重量部、成分(C)としてプロピレングリコール15重量部、及び水酸化カリウム4.8重量部に、精製水を合計が100重量部になるように混合し、組成物1を得た。得られた組成物について、洗浄力、起泡性、及び泡の弾力を検査した。結果を表1に示す。
【0035】
《実施例2》
本実施例では、成分(B)として、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジブチルアミドを用いた。ヒドロキシステアリン酸0.1重量部に代えて、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド0.1重量部を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返して、組成物2を得た。得られた組成物について、洗浄力、起泡性、及び泡の弾力を検査した。結果を表1に示す。
【0036】
《実施例3》
本実施例では、成分(B)として、N−2−エチルヘキサノイル−L−グルタミン酸ジブチルアミドを用いた。ヒドロキシステアリン酸0.1重量部に代えて、N−2−エチルヘキサノイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド2.0重量部を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返して、組成物3を得た。得られた組成物について、洗浄力、起泡性、及び泡の弾力を検査した。結果を表1に示す。
【0037】
《実施例4》
本実施例では、成分(B)として、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド及びN−2−エチルヘキサノイル−L−グルタミン酸ジブチルアミドを用いた。ヒドロキシステアリン酸0.1重量部に代えて、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド0.02重量部及びN−2−エチルヘキサノイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド0.08重量部を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返して、組成物4を得た。得られた組成物について、洗浄力、起泡性、及び泡の弾力を検査した。結果を表1に示す。
【0038】
《実施例5》
本実施例では、成分(B)として、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリルを用いた。ヒドロキシステアリン酸0.1重量部に代えて、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル0.1重量部を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返して、組成物5を得た。得られた組成物について、洗浄力、起泡性、及び泡の弾力を検査した。結果を表1に示す。
【0039】
《実施例6》
本実施例では、成分(B)として、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリルを用いた。ヒドロキシステアリン酸0.1重量部に代えて、トリ(ベヘン酸/イソステアリン酸/エイコサン二酸)グリセリル0.02重量部を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返して、組成物6を得た。得られた組成物について、洗浄力、起泡性、及び泡の弾力を検査した。結果を表1に示す。
示す。
【0040】
《実施例7》
本実施例では、成分(B)として、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリルを用いた。ヒドロキシステアリン酸0.1重量部に代えて、トリ(ベヘン酸/イソステアリン酸/エイコサン二酸)グリセリル0.1重量部を用いたこと、並びにパルミチン酸デキストリン0.01重量部を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返して、組成物7を得た。得られた組成物について、洗浄力、起泡性、及び泡の弾力を検査した。結果を表1に示す。
【0041】
《比較例1》
本比較例では、成分(B)に代えて、親油化した水溶性ポリマーであるパルミチン酸デキストリンを用いた。ヒドロキシステアリン酸0.1重量部に代えて、パルミチン酸デキストリン0.1重量部を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返して、比較組成物1を得た。得られた組成物について、洗浄力、起泡性、及び泡の弾力を検査した。結果を表1に示す。
【0042】
《比較例2》
本比較例では、成分(B)に代えて、オイルワックスであるポリエチレンを用いた。ヒドロキシステアリン酸0.1重量部に代えて、ポリエチレン0.1重量部を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返して、比較組成物2を得た。得られた組成物について、洗浄力、起泡性、及び泡の弾力を検査した。結果を表1に示す。
【0043】
《比較例3》
本比較例では、成分(B)に代えて、親油化した水溶性ポリマーであるパルミチン酸デキストリン及びオイルワックスであるポリエチレンを用いた。ヒドロキシステアリン酸0.1重量部に代えて、パルミチン酸デキストリン0.02重量部及びポリエチレン0.08重量部を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返して、比較組成物3を得た。得られた組成物について、洗浄力、起泡性、及び泡の弾力を検査した。結果を表1に示す。
【0044】
(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル及びトリ(ベヘン酸/イソステアリン酸/エイコサン二酸)グリセリルは以下の製品を用いた。
(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル:ノムコートHK−G(日清オイリオグループ株式会社)
トリ(ベヘン酸/イソステアリン酸/エイコサン二酸)グリセリル:ノムコートSG(日清オイリオグループ株式会社)
【0045】
【表1】
【0046】
表1に示すように、低分子オイルゲル化剤を含む実施例1〜7で得られた皮膚洗浄剤組成物は、起泡性が優れているが、親油化した水溶性ポリマー、又はオイルワックスなどのゲル化剤のみを配合した比較例1〜3で得られた皮膚洗浄剤組成物は、十分な起泡性が得られなかった。
【0047】
以下の実施例8〜12及び比較例4〜6では、成分(C)について、検討を行った。
【0048】
《実施例8》
本実施例では、成分(C)として、プロピレングリコールを用いた。
脂肪酸として、ラウリン酸4重量部、ミリスチン酸10重量部、パルミチン酸12重量部、及びステアリン酸4重量部、成分(B)としてN−2−エチルヘキサノイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド0.2重量部、成分(C)としてプロピレングリコール2重量部、及び水酸化カリウム4.8重量部に、精製水を合計が100重量部になるように混合し、組成物8を得た。得られた組成物について、洗浄力、起泡性、及び泡の弾力を検査した。結果を表2に示す。
【0049】
《実施例9》
本実施例では、成分(C)として、ジプロピレングリコールを用いた。プロピレングリコール2重量部に代えて、ジプロピレングリコール15重量部を用いたことを除いては、実施例8の操作を繰り返して、組成物9を得た。得られた組成物について、洗浄力、起泡性、及び泡の弾力を検査した。結果を表2に示す。
【0050】
《実施例10》
本実施例では、成分(C)として、1,3−ブチレングリコールを用いた。プロピレングリコール2重量部に代えて、1,3−ブチレングリコール5重量部を用いたことを除いては、実施例8の操作を繰り返して、組成物10を得た。得られた組成物について、洗浄力、起泡性、及び泡の弾力を検査した。結果を表2に示す。
【0051】
《実施例11》
本実施例では、成分(C)として、プロピレングリコール及びジプロピレングリコールを用いた。プロピレングリコール2重量部に代えて、プロピレングリコール15重量部及びジプロピレングリコール10重量部を用いたことを除いては、実施例8の操作を繰り返して、組成物11を得た。得られた組成物について、洗浄力、起泡性、及び泡の弾力を検査した。結果を表2に示す。
【0052】
《実施例12》
本実施例では成分(C)として、ジプロピレングリコールを用い、更に3価アルコールであるグリセリンを添加した。プロピレングリコール2重量部に代えて、ジプロピレングリコール30重量部を用いたこと、及びグリセリン5重量部を用いたことを除いては、実施例8の操作を繰り返して、組成物12を得た。得られた組成物について、洗浄力、起泡性、及び泡の弾力を検査した。結果を表2に示す。
【0053】
《比較例4》
本比較例では成分(C)に代えて、3価アルコールであるグリセリンを用いた。プロピレングリコール2重量部に代えて、グリセリン15重量部を用いたことを除いては、実施例8の操作を繰り返して、比較組成物4を得た。得られた組成物について、洗浄力、起泡性、及び泡の弾力を検査した。結果を表2に示す。
【0054】
《比較例5》
本比較例では成分(C)に代えて、4価アルコールであるジグリセリンを用いた。プロピレングリコール2重量部に代えて、ジグリセリン15重量部を用いたことを除いては、実施例8の操作を繰り返して、比較組成物5を得た。得られた組成物について、洗浄力、起泡性、及び泡の弾力を検査した。結果を表2に示す。
【0055】
《比較例6》
本比較例では成分(C)に代えて、3価アルコールであるグリセリン及び4価アルコールであるジグリセリンを用いた。プロピレングリコール2重量部に代えて、グリセリン10重量部及びジグリセリン5重量部を用いたことを除いては、実施例8の操作を繰り返して、比較組成物6を得た。得られた組成物について、洗浄力、起泡性、及び泡の弾力を検査した。結果を表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】
表2に示すように、2価アルコールを含む実施例8〜12で得られた皮膚洗浄剤組成物は、泡の弾力が優れているが、2価アルコールを含まない(3価アルコール及び/又は4価アルコールのみを含む)比較例4〜6で得られた皮膚洗浄剤組成物は、十分な泡の弾力が得られなかった。
【0058】
実施例13〜16では、成分(A)について、検討を行った。
【0059】
《実施例13》
本実施例では、成分(A)として、ラウリン酸3重量部、ミリスチン酸2重量部、パルミチン酸1重量部、及びステアリン酸4重量部、全体量10重量%になるように配合した。成分(B)としてN−ラウロイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド0.5重量部、成分(C)としてプロピレングリコール15重量部、及び水酸化カリウム2.0重量部に、精製水を合計が100重量部になるように混合し、組成物13を得た。得られた組成物について、洗浄力、起泡性、及び泡の弾力を検査した。結果を表3に示す。
【0060】
《実施例14》
本実施例では成分(A)の全体量を20重量%にした。ラウリン酸3重量部、ミリスチン酸8重量部、パルミチン酸4重量部、及びステアリン酸5重量部、水酸化カリウム3.8重量部を用いたことを除いては、実施例13の操作を繰り返して、組成物14を得た。得られた組成物について、洗浄力、起泡性、及び泡の弾力を検査した。結果を表3に示す。
【0061】
《実施例15》
本実施例では成分(A)の全体量を30重量%にした。ラウリン酸4重量部、ミリスチン酸10重量部、パルミチン酸10重量部、及びステアリン酸6重量部、水酸化カリウム5.8重量部を用いたことを除いては、実施例13の操作を繰り返して、組成物15を得た。得られた組成物について、洗浄力、起泡性、及び泡の弾力を検査した。結果を表3に示す。
【0062】
《実施例16》
本実施例では成分(A)の全体量を40重量%にした。ラウリン酸4重量部、ミリスチン酸15重量部、パルミチン酸10重量部、及びステアリン酸11重量部、水酸化カリウム7.7重量部を用いたことを除いては、実施例13の操作を繰り返して、組成物16を得た。得られた組成物について、洗浄力、起泡性、及び泡の弾力を検査した。結果を表3に示す。
【0063】
【表3】
【0064】
《実施例17》
本実施例では、成分(B)である(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリルの含有量を0.1重量部とし、更にアニオン界面活性剤としてラウロイルグルタミン酸Na、両性界面活性剤としてラウラミドプロピルベタイン、ノニオン高分子としてヒドロキシエチルセルロース、カチオン高分子として2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとブチルメタクリレートの共重合体(ポリクオタニウム−51)、粉体としてカオリン、そしてスクラブ剤としてマンナンを用いて、皮膚洗浄用組成物を製造した。
表4に示す成分を用いたこと以外は実施例1の操作を繰り返して、組成物17を得た。得られた組成物について、洗浄力、起泡性、及び泡の弾力を検査した。結果を表4に示す。
【0065】
《実施例18》
本実施例では、成分(B)であるN−2−エチルヘキサノイル−L−グルタミン酸ジブチルアミドを0.05重量部とし、更にアニオン界面活性剤としてココイルエチルタウリンNa、両性界面活性剤としてココアンホ酢酸Na、ノニオン高分子としてPEG−14M、カチオン高分子として2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとステアリルメタクリレートの共重合体(ポリクオタニウム−61)、粉体としてイライト、そしてスクラブ剤として海シルトを用いて、皮膚洗浄用組成物を製造した。
表4に示す成分を用いたこと以外は実施例17の操作を繰り返して、組成物18を得た。得られた組成物について、洗浄力、起泡性、及び泡の弾力を検査した。結果を表4に示す。
【0066】
《実施例19》
本実施例では、成分(B)であるN−ラウロイル−L−グルタミン酸ジブチルアミドの含有量を0.2重量部とし、更にアニオン界面活性剤としてラウレス硫酸TEA、両性界面活性剤としてコカミドプロピルベタイン、ノニオン高分子としてポリビニルアルコール、カチオン高分子としてアクリル酸・アクリルアミド・ジアリルジメチルアンモニウムクロリドの三元重合体(ポリクオタニウム−39)、粉体としてシルク末、そしてスクラブ剤としてポリエチレンを用いて、皮膚洗浄用組成物を製造した。
表4に示す成分を用いたこと以外は実施例17の操作を繰り返して、組成物19を得た。得られた組成物について、洗浄力、起泡性、及び泡の弾力を検査した。結果を表4に示す。
【0067】
【表4】
【0068】
成分(A)〜(D)に、更にアニオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン高分子、カチオン高分子、粉体、及びスクラブ剤を添加した皮膚洗浄用組成物も、十分な洗浄力、起泡性、及び泡の弾力を得ることができた。従って、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン高分子、カチオン高分子、粉体、及びスクラブ剤の1種以上を含む皮膚洗浄用組成物も、十分な洗浄力、起泡性、及び泡の弾力を得ることができる。