(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用、結果、および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や、派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
【0012】
本実施形態の車両1は、例えば、不図示の内燃機関を駆動源とする自動車、すなわち内燃機関自動車であってもよいし、不図示の電動機を駆動源とする自動車、すなわち電気自動車や燃料電池自動車等であってもよいし、それらの双方を駆動源とするハイブリッド自動車であってもよいし、他の駆動源を備えた自動車であってもよい。また、車両1は、種々の変速装置を搭載することができるし、内燃機関や電動機を駆動するのに必要な種々の装置、例えばシステムや部品等を搭載することができる。また、車両1における車輪3の駆動に関わる装置の方式や、数、レイアウト等は、種々に設定することができる。
【0013】
図1に例示されるように、車体2は、不図示の乗員が乗車する車室2aを構成している。車室2a内には、乗員としての運転者の座席2bに臨む状態で、操舵部4や、加速操作部5、制動操作部6、変速操作部7等が設けられている。操舵部4は、例えば、ダッシュボード24から突出したステアリングホイールであり、加速操作部5は、例えば、運転者の足下に位置されたアクセルペダルであり、制動操作部6は、例えば、運転者の足下に位置されたブレーキペダルであり、変速操作部7は、例えば、センターコンソールから突出したシフトレバーである。なお、操舵部4や、加速操作部5、制動操作部6、変速操作部7等は、これらには限定されない。
【0014】
また、車室2a内には、表示出力部としての表示装置8や、音声出力部としての音声出力装置9が設けられている。表示装置8は、例えば、LCD(liquid crystal display)や、OELD(organic electroluminescent display)等である。音声出力装置9は、例えば、スピーカである。また、表示装置8は、例えば、タッチパネル等、透明な操作入力部10で覆われている。乗員は、操作入力部10を介して表示装置8の表示画面に表示される画像を視認することができる。また、乗員は、表示装置8の表示画面に表示される画像に対応した位置で手指等で操作入力部10を触れたり押したり動かしたりして操作することで、操作入力を実行することができる。これら表示装置8や、音声出力装置9、操作入力部10等は、例えば、ダッシュボード24の車幅方向すなわち左右方向の中央部に位置されたモニタ装置11に設けられている。モニタ装置11は、スイッチや、ダイヤル、ジョイスティック、押しボタン等の不図示の操作入力部を有することができる。また、モニタ装置11とは異なる車室2a内の他の位置に不図示の音声出力装置を設けることができるし、モニタ装置11の音声出力装置9と他の音声出力装置から、音声を出力することができる。なお、モニタ装置11は、例えば、ナビゲーションシステムやオーディオシステムと兼用されうる。
【0015】
また、車室2a内には、表示装置8とは別の表示装置12が設けられている。
図3に例示されるように、表示装置12は、例えば、ダッシュボード24の計器盤部25に設けられ、計器盤部25の略中央で、速度表示部25aと回転数表示部25bとの間に位置されている。表示装置12の画面12aの大きさは、表示装置8の画面8aの大きさよりも小さい。この表示装置12には、主として車両1の駐車支援に関する情報を示す画像が表示されうる。表示装置12で表示される情報量は、表示装置8で表示される情報量より少なくてもよい。表示装置12は、例えば、LCDや、OELD等である。なお、表示装置8に、表示装置12で表示される情報が表示されてもよい。
【0016】
また、
図1,2に例示されるように、車両1は、例えば、四輪自動車であり、左右二つの前輪3Fと、左右二つの後輪3Rとを有する。これら四つの車輪3は、いずれも転舵可能に構成されうる。
図4に例示されるように、車両1は、少なくとも二つの車輪3を操舵する操舵システム13を有している。操舵システム13は、アクチュエータ13aと、トルクセンサ13bとを有する。操舵システム13は、ECU14(electronic control unit)等によって電気的に制御されて、アクチュエータ13aを動作させる。操舵システム13は、例えば、電動パワーステアリングシステムや、SBW(steer by wire)システム等である。操舵システム13は、アクチュエータ13aによって操舵部4にトルク、すなわちアシストトルクを付加して操舵力を補ったり、アクチュエータ13aによって車輪3を転舵したりする。この場合、アクチュエータ13aは、一つの車輪3を転舵してもよいし、複数の車輪3を転舵してもよい。また、トルクセンサ13bは、例えば、運転者が操舵部4に与えるトルクを検出する。
【0017】
また、
図2に例示されるように、車体2には、複数の撮像部15として、例えば四つの撮像部15a〜15dが設けられている。撮像部15は、例えば、CCD(charge coupled device)やCIS(CMOS image sensor)等の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。撮像部15は、所定のフレームレートで動画データを出力することができる。撮像部15は、それぞれ、広角レンズまたは魚眼レンズを有し、水平方向には例えば140°〜190°の範囲を撮影することができる。また、撮像部15の光軸は斜め下方に向けて設定されている。よって、撮像部15は、車両1が移動可能な路面や車両1が駐車可能な領域を含む車体2の周辺の外部の環境を逐次撮影し、撮像画像データとして出力する。
【0018】
撮像部15aは、例えば、車体2の後側の端部2eに位置され、リヤトランクのドア2hの下方の壁部に設けられている。撮像部15bは、例えば、車体2の右側の端部2fに位置され、右側のドアミラー2gに設けられている。撮像部15cは、例えば、車体2の前側、すなわち車両前後方向の前方側の端部2cに位置され、フロントバンパー等に設けられている。撮像部15dは、例えば、車体2の左側、すなわち車幅方向の左側の端部2dに位置され、左側の突出部としてのドアミラー2gに設けられている。ECU14は、複数の撮像部15で得られた画像データに基づいて演算処理や画像処理を実行し、より広い視野角の画像を生成したり、車両1を上方から見た仮想的な俯瞰画像を生成したりすることができる。なお、俯瞰画像は、平面画像とも称されうる。
【0019】
また、ECU14は、撮像部15の画像から、車両1の周辺の路面に示された区画線等を識別し、区画線等に示された駐車区画を検出(抽出)する。
【0020】
また、
図1,2に例示されるように、車体2には、複数の測距部16,17として、例えば四つの測距部16a〜16dと、八つの測距部17a〜17hとが設けられている。測距部16,17は、例えば、超音波を発射してその反射波を捉えるソナーである。ソナーは、ソナーセンサ、あるいは超音波探知器とも称されうる。ECU14は、測距部16,17の検出結果により、車両1の周囲に位置された障害物等の物体の有無や当該物体までの距離を測定することができる。すなわち、測距部16,17は、物体を検出する検出部の一例である。なお、測距部17は、例えば、比較的近距離の物体の検出に用いられ、測距部16は、例えば、測距部17よりも遠い比較的長距離の物体の検出に用いられうる。また、測距部17は、例えば、車両1の前方および後方の物体の検出に用いられ、測距部16は、車両1の側方の物体の検出に用いられうる。
【0021】
また、
図4に例示されるように、駐車支援システム100では、ECU14や、モニタ装置11、操舵システム13、測距部16,17等の他、ブレーキシステム18、舵角センサ19、アクセルセンサ20、シフトセンサ21、車輪速センサ22等が、電気通信回線としての車内ネットワーク23を介して電気的に接続されている。車内ネットワーク23は、例えば、CAN(controller area network)として構成されている。ECU14は、車内ネットワーク23を通じて制御信号を送ることで、操舵システム13、ブレーキシステム18等を制御することができる。また、ECU14は、車内ネットワーク23を介して、トルクセンサ13b、ブレーキセンサ18b、舵角センサ19、測距部16、測距部17、アクセルセンサ20、シフトセンサ21、車輪速センサ22等の検出結果や、操作入力部10等の操作信号等を、受け取ることができる。
【0022】
ECU14は、例えば、CPU14a(central processing unit)や、ROM14b(read only memory)、RAM14c(random access memory)、表示制御部14d、音声制御部14e、SSD14f(solid state drive、フラッシュメモリ)等を有している。CPU14aは、例えば、表示装置8,12で表示される画像に関連した画像処理や、車両1の目標位置の決定、車両1の移動経路の演算、物体との干渉の有無の判断、車両1の自動制御、自動制御の解除等の、各種の演算処理および制御を実行することができる。CPU14aは、ROM14b等の不揮発性の記憶装置にインストールされ記憶されたプログラムを読み出し、当該プログラムにしたがって演算処理を実行することができる。RAM14cは、CPU14aでの演算で用いられる各種のデータを一時的に記憶する。また、表示制御部14dは、ECU14での演算処理のうち、主として、撮像部15で得られた画像データを用いた画像処理や、表示装置8で表示される画像データの合成等を実行する。また、音声制御部14eは、ECU14での演算処理のうち、主として、音声出力装置9で出力される音声データの処理を実行する。また、SSD14fは、書き換え可能な不揮発性の記憶部であって、ECU14の電源がオフされた場合にあってもデータを記憶することができる。なお、CPU14aや、ROM14b、RAM14c等は、同一パッケージ内に集積されうる。また、ECU14は、CPU14aに替えて、DSP(digital signal processor)等の他の論理演算プロセッサや論理回路等が用いられる構成であってもよい。また、SSD14fに替えてHDD(hard disk drive)が設けられてもよいし、SSD14fやHDDは、ECU14とは別に設けられてもよい。ECU14は、駐車支援装置の一例である。
【0023】
ブレーキシステム18は、例えば、ブレーキのロックを抑制するABS(anti-lock brake system)や、コーナリング時の車両1の横滑りを抑制する横滑り防止装置(ESC:electronic stability control)、ブレーキ力を増強させる(ブレーキアシストを実行する)電動ブレーキシステム、BBW(brake by wire)等である。ブレーキシステム18は、アクチュエータ18aを介して、車輪3ひいては車両1に制動力を与える。また、ブレーキシステム18は、左右の車輪3の回転差などからブレーキのロックや、車輪3の空回り、横滑りの兆候等を検出して、各種制御を実行することができる。ブレーキセンサ18bは、例えば、制動操作部6の可動部の位置を検出するセンサである。ブレーキセンサ18bは、可動部としてのブレーキペダルの位置を検出することができる。ブレーキセンサ18bは、変位センサを含む。
【0024】
舵角センサ19は、例えば、ステアリングホイール等の操舵部4の操舵量を検出するセンサである。舵角センサ19は、例えば、ホール素子などを用いて構成される。ECU14は、運転者による操舵部4の操舵量や、自動操舵時の各車輪3の操舵量等を、舵角センサ19から取得して各種制御を実行する。なお、舵角センサ19は、操舵部4に含まれる回転部分の回転角度を検出する。舵角センサ19は、角度センサの一例である。
【0025】
アクセルセンサ20は、例えば、加速操作部5の可動部の位置を検出するセンサである。アクセルセンサ20は、可動部としてのアクセルペダルの位置を検出することができる。アクセルセンサ20は、変位センサを含む。
【0026】
シフトセンサ21は、例えば、変速操作部7の可動部の位置を検出するセンサである。シフトセンサ21は、可動部としての、レバーや、アーム、ボタン等の位置を検出することができる。シフトセンサ21は、変位センサを含んでもよいし、スイッチとして構成されてもよい。
【0027】
車輪速センサ22は、車輪3の回転量や単位時間当たりの回転数を検出するセンサである。車輪速センサ22は、検出した回転数を示す車輪速パルス数をセンサ値として出力する。車輪速センサ22は、例えば、ホール素子などを用いて構成されうる。ECU14は、車輪速センサ22から取得したセンサ値に基づいて車両1の移動量などを演算し、各種制御を実行する。なお、車輪速センサ22は、ブレーキシステム18に設けられている場合もある。その場合、ECU14は、車輪速センサ22の検出結果をブレーキシステム18を介して取得する。
【0028】
なお、上述した各種センサやアクチュエータの構成や、配置、電気的な接続形態等は、一例であって、種々に設定(変更)することができる。
【0029】
また、
図5に示されるように、ECU14は、取得部141や、障害物検出部142、駐車区画検出部143、候補位置設定部144、目標位置決定部145、出力情報制御部146、経路算出部147、誘導制御部148、方向設定部150、記憶部149等を備える。CPU14aは、プログラムにしたがって処理を実行することにより、取得部141や、障害物検出部142、駐車区画検出部143、候補位置設定部144、目標位置決定部145、出力情報制御部146、経路算出部147、誘導制御部148、方向設定部150等として機能する。また、記憶部149には、各部の演算処理で用いられるデータや、演算処理の結果のデータ等が記憶される。なお、上記各部の機能の少なくとも一部は、ハードウエアによって実現されてもよい。
【0030】
取得部141は、種々のデータや信号等を取得する。取得部141は、例えば、各センサの検出結果や、操作入力、指示入力、画像データ等の、データや信号等を取得する。取得部141は、操作部14gの操作入力による信号を取得することができる。操作部14gは、例えば、押しボタンやスイッチ等である。
【0031】
障害物検出部142は、車両1の走行に支障を来す障害物を検出する。障害物は、例えば、他の車両や、壁、フェンス、柱、突起、段差、輪留め、物体等である。障害物検出部142は、種々の手法により、障害物の有無や高さ、大きさ等を検出することができる。障害物検出部142は、例えば、測距部16,17の検出結果に基づいて、障害物を検出することができる。また、測距部16,17は、そのビームの高さに対応した物体を検出でき、当該ビームの高さより低い物体を検出できない。よって、測距部16,17の検出結果と、それぞれのビームの高さとによって、障害物検出部142は、障害物の高さを検出することができる。また、障害物検出部142は、車輪速センサ22や不図示の加速度センサの検出結果と、測距部16,17の検出結果とに基づいて、障害物の有無あるいは高さを検出してもよい。また、障害物検出部142は、例えば、撮像部15が撮像した画像に基づく画像処理によって、障害物の高さを検出してもよい。
【0032】
駐車区画検出部143は、標示または物として設けられている駐車区画を検出する。駐車区画とは、車両1をその場所に駐車するよう設定された目安あるいは基準となる区画である。また、駐車境界は、駐車区画の境界あるいは外縁であって、例えば、区画線や、枠線、直線、帯、段差、それらのエッジ等である。すなわち、駐車境界は、標示や物体等である。駐車区画検出部143は、例えば、撮像部15が撮像した画像に基づく画像処理によって、駐車区画および駐車境界を検出することができる。駐車区画検出部143は、駐車境界検出部の一例である。
【0033】
候補位置設定部144は、車両1の移動経路の目標位置すなわち終点位置の候補となる少なくとも一つの候補位置を設定する。候補位置設定部144は、例えば、障害物検出部142による検出結果、および駐車区画検出部143の検出結果のうち少なくとも一方に基づいて、候補位置を設定する。
【0034】
目標位置決定部145は、少なくとも一つの候補位置の中から、目標位置を決定する。目標位置決定部145は、例えば、所定の条件に基づいてランク付けされた少なくとも一つの候補位置の中から、ランクの高い候補位置、すなわち上位の候補位置を、目標位置と決定することができる。また、目標位置決定部145は、例えば、少なくとも一つの候補位置の中から、乗員の操作入力に対応した、すなわち、乗員によって選択された候補位置を、目標位置と決定することができる。
【0035】
出力情報制御部146は、例えば、駐車支援の開始や、終了、目標位置の決定、経路算出、誘導制御等の各段階で、表示装置8,12や音声出力装置9が、所期の情報を所期の態様で出力するよう、表示制御部14dや音声制御部14e、ひいては表示装置8,12や音声出力装置9を制御する。
【0036】
経路算出部147は、例えば、車両1すなわち自車の現在の位置や、決定された目標位置、障害物の検出結果等に基づいて、車両1の現在の位置から目標位置までの移動経路を算出する。
【0037】
誘導制御部148は、算出された移動経路に沿った車両1の移動が実現されるよう、各部を制御する。誘導制御部148は、例えば、アクセルペダルを操作しなくてもクリープ等によって移動する車両1では、車両1の位置に応じて操舵システム13を制御することにより、車両1を移動経路に沿って移動させることができる。また、誘導制御部148は、操舵システム13のみならず、エンジンやモータ等の駆動機構や、制動機構としてのブレーキシステム18等を制御してもよい。また、誘導制御部148は、例えば、出力情報制御部146や、表示制御部14d、音声制御部14e、ひいては表示装置8,12や音声出力装置9を制御して、車両1の位置に応じた表示出力や音声出力によって、運転者に、移動経路に沿った車両1の移動を案内してもよい。
【0038】
記憶部149は、ECU14での演算で用いられるあるいはECU14での演算で算出されたデータを記憶する。
【0039】
また、駐車支援システム100では、
図6に例示される手順で処理が実行される。まず、障害物検出部142は、障害物を検出し(S1)、駐車区画検出部143は、駐車区画および駐車境界を検出する(S2)。次に、候補位置設定部144は、S1やS2の検出結果に基づいて、車両1の移動経路の目標位置すなわち終点位置の候補となる少なくとも一つの候補位置を設定する(S3)。次に、取得部141は、駐車支援の開始を指示する操作入力を取得する(S4)。すなわち、本実施形態では、例えば、操作指示が入力される前に、S1〜S3は実行されている。次に、目標位置決定部145は、少なくとも一つの候補位置の中から目標位置を決定する(S5)。S5では、目標位置決定部145は、少なくとも一つの候補位置のそれぞれにランクを付け、ランクの最も高い候補位置を目標位置に決定することができる。あるいは、目標位置決定部145は、乗員の操作入力に基づいて選択された候補位置を、目標位置に決定してもよい。次に、経路算出部147は、車両1の現在の位置から決定された目標位置までの移動経路を算出する(S6)。次に、誘導制御部148は、算出された移動経路に沿った車両1の移動が実現されるよう、各部を制御する(S7)。なお、目標位置や、移動経路等は、車両1が移動経路を移動している途中で、適宜に修正あるいは更新されうる。
【0040】
図7に例示されるように、車両1が通路PSを通過している際に、ECU14は、撮像部15で撮像された画像データや、測距部16,17による検出結果に基づいて、車両1の側方や後方に位置する障害物Bや、駐車境界D等を検出することができる。なお、
図7には、撮像部15による撮像範囲および測距部16,17による検出範囲が二点鎖線で例示されているが、これらは一例であって、撮像部15、その撮像範囲、測距部16,17、およびその検出範囲は、
図7の例には限定されない。また、
図7以降の各図では、車両1には、車両前後方向の前方を示す矢印が付されているが、当該矢印は進行方向とは限らない。また、測距部17は、車両1が旋回したり、後退したりする際に、検出結果を得ることができる。また、車両1は自車とも称されうる。
【0041】
次に、
図8〜11が参照されながら、本実施形態の候補位置設定部144による候補位置Cの設定例が説明される。目標位置決定部145は、候補位置設定部144によって設定された少なくとも一つの候補位置Cの中から、目標位置を決定する。すなわち、目標位置決定部145は、候補位置Cに設定された位置を目標位置に決定することはできるが、候補位置Cに設定されなかった位置を目標位置に決定することはできない。よって、以下の候補位置Cの設定条件は、目標位置の設定条件でもある。
【0042】
図8に例示されるように、候補位置設定部144は、路面Rsからの高さh1が閾値h0より高い障害物B1とは車両1が少なくとも所定距離Lb離間するよう、候補位置Cを設定する。障害物B1は、例えば、壁や、フェンス、柱、他の車両等である。これにより、車両1が高い障害物B1と干渉するのが抑制される。閾値h0は、第一の閾値の一例である。閾値h0は、例えば、車輪3を除く車体の下部と干渉しない高さに設定される。
【0043】
また、
図9に例示されるように、候補位置設定部144は、高さh2〜h5が閾値h0より低い障害物B2〜B5とは、車両1とが重なる状態になる位置に候補位置Cを設定できる。障害物B2は、例えば、輪留めであり、障害物B3は、例えば、突起であり、障害物B4は、例えば、車両止め用の昇降板であり、障害物B5は、例えば、突起である。これにより、候補位置Cが低い障害物B2〜B5を避けて設定されて本来は駐車可能な区画や位置に候補位置を設定できなくなる事態が、抑制される。
【0044】
図10には、進行方向Vに走行する車両1の駐車支援システム100による検出結果の平面図が例示されている。ここでは、互いに離間した二つの障害物B,Bと、互いに離間した二つの駐車境界D,Dとが検出されている。駐車区画の入口側は、
図10の上側である。
図10は、車両1が当該
図10の上部を左方向(進行方向V)に通過した際の検出結果であるため、障害物Bは、例えば、各図の下方に開放された逆U字状に検出される。障害物Bは、閾値h0よりも高い障害物である。また、駐車境界Dは、撮像部15による画像データから検出される。駐車境界Dの画像は、線状あるいは帯状の領域として検出される。なお、検出結果は、測距部16,17や、撮像部15の設定に応じて異なる。
【0045】
候補位置設定部144は、障害物Bの外縁部から所定距離d離間した位置に、障害物Bの外縁に略沿って、障害物Bの限界線Lを設定する。そして、候補位置設定部144は、限界線Lの障害物Bとは反対側の領域内に、候補位置Cを設定する。これにより、候補位置Cに位置した車両1と障害物Bとの間に少なくとも一定の距離dすなわち隙間が確保される。
【0046】
また、候補位置設定部144は、駐車境界Dと重ならないように候補位置Cを設定する。すなわち、候補位置Cは、処理対象領域(設定可能領域)のうち駐車境界Dとは重ならない領域、すなわち駐車境界Dとは外れた領域に設定される。
【0047】
また、候補位置設定部144は、車両1の前後方向での候補位置Cを、障害物Bや駐車境界Dの検出結果に基づいて決定する。なお、以下では、説明の便宜上、駐車境界Dの延びた方向を単に長手方向(
図10の上下方向)とし、駐車境界Dの延びた方向と直交する方向を単に短手方向(
図10の左右方向)とする。また、駐車境界Dが十分に検出されなかった場合、候補位置設定部144は、障害物B,B2,B4等の検出結果に基づいて、車両1の前後方向に対応する長手方向および車両1の幅方向に対応する短手方向を設定し、以下の処理と同様の処理を実行する。
【0048】
候補位置設定部144は、例えば、駐車境界Dの前端Df、すなわち入口側の端部が検出された場合、車両1の参照点Prが当該前端Dfから長手方向に距離L1の位置となるよう、候補位置Cを設定する。なお、駐車境界Dが検出されず、障害物Bが検出された場合には、障害物Bを基準として、同様に候補位置Cを設定することができる。なお、参照点Prは、例えば、車両1の後輪3Rの中心位置に設定される。
【0049】
また、候補位置設定部144は、例えば、駐車境界Dの後端Dr、すなわち奥側の端部が検出された場合、車両1の参照点Prが当該後端Drから長手方向に距離L2の位置となるよう、あるいは、車両1の後端Crが当該後端Drから長手方向に距離L3の位置となるよう、候補位置Cを設定することができる。
【0050】
また、障害物B2,B4の高さh2,h4は、閾値h0より低いことが検出されている。この場合、候補位置設定部144は、車両1がこれら障害物B2,B4と重なった状態となる位置に、候補位置Cを設定することができる。
【0051】
候補位置設定部144は、障害物B2,B4を乗り越えるか否かを、駐車区画または駐車可能空間を定める駐車境界Dまたは障害物Bの位置に対する、相対的な障害物B2,B4の位置によって判断することができる。
図10の例では、駐車境界Dの前端Dfから障害物B4までの長手方向の距離Lb4は、車両1の全長よりも短く、例えば当該全長の半分程度である。このような位置にある障害物B4は、輪留めである可能性は低い。よって、候補位置設定部144は、例えば、駐車境界Dの前端Dfからの長手方向の距離が、車両1の長さの2/3程度以下の範囲にある閾値h0より低い障害物B4については、当該障害物B4の入口側とは反対側、すなわち奥側に、候補位置Cを設定することができる。
【0052】
また、
図10の例では、駐車境界Dの前端Dfから障害物B2までの距離Lb2は、車両1の全長に近い長さである。このような位置にある障害物B2は、輪留めである可能性が高い。よって、候補位置設定部144は、駐車境界Dfからの長手方向の距離が、車両1の長さの3/4程度以上の範囲にある閾値h0より低い障害物B2については、当該障害物B2を基準として候補位置Cを設定することができる。具体的には、障害物B2から長手方向の距離Lr2だけ前方に車両1の参照点Prが位置するよう、候補位置Cを設定することができる。距離Lr2は、車両1の後輪3Rが輪留めの前端に当たっている状態での値に基づいて設定される。
【0053】
また、候補位置設定部144は、乗り越える障害物B4との車幅方向の位置を設定することができる。車両1の後輪3Rが端部Be上を通過するのは好ましくない。そこで、候補位置設定部144は、例えば、障害物B4の車幅方向の端部Beが検出された場合、当該端部Beと車両1の車幅方向の端部Ceとの短手方向の距離Wbeが、後輪3Rと端部Beとが重ならない所定の範囲となるように、または端部Beと車両1の中心線CLまたは参照点Prとの短手方向の距離Wb4が、後輪3Rと端部Beとが重ならない所定の範囲となるように、候補位置Cを設定する。
【0054】
また、候補位置設定部144は、候補位置Cでの車両1の姿勢すなわち方向Cvを設定することができる。候補位置設定部144は、例えば、駐車境界Dの検出結果および障害物Bの検出結果のうち少なくとも一方に基づいて、候補位置Cの方向を検出することができる。方向Cvは、例えば、駐車境界Dの延びる方向や、限界線Lに沿う方向等に基づいて、設定されうる。
【0055】
また、候補位置設定部144は、候補位置Cで車両1が重なる状態となる障害物B2,B4に対する姿勢すなわち方向を設定することができる。障害物B2,B4は、駐車区画に対応した姿勢で設置されている場合が多い。例えば、障害物B2,B4の前縁部分は、駐車区画の奥行き方向と直交して設定されている場合が多い。よって、候補位置設定部144は、障害物B2,B4について検出された方向に基づいて、方向Cvを設定することができる。
図10の例では、候補位置設定部144は、例えば、障害物B2,B4の前縁部の所定範囲の検出結果に対する最小二乗法等の回帰分析等によって得られる直線Bl,Blと交叉するよう、例えば直交するよう、方向Cvを設定することができる。障害物B2,B4の検出結果に基づく方向Cvの設定により、例えば、駐車境界Dが十分に検出されなかった場合等にあっても、方向Cvを設定できるという効果が得られる。また、例えば、障害物B2,B4と方向Cvとが交叉(直交)することにより、車輪3が障害物B4を乗り越える場合や車輪3が障害物B2と当接する場合の不都合が少なくなるという効果もある。
【0056】
また、候補位置設定部144は、例えば、駐車境界Dの延びる方向や、障害物Bの端部の外縁の延びる方向としての限界線Lの方向、障害物B2,B4の延びる方向としての直線Blの方向等を、適宜に重み付けして平均することにより、これらの方向を加味して方向Cvを設定することができる。また、駐車境界Dが検出されている場合には、障害物Bの検出結果を用いないなど、検出状況等によって、方向Cvの算出方法を変更することができる。候補位置設定部144は、姿勢決定部の一例である。
【0057】
また、駐車境界Dに基づいて算出された候補位置Cの車両1の参照点Pr1の位置と、障害物B2に基づいて算出された参照点Pr2の位置とが、異なる場合が生じうる。
図11の例では、駐車境界Dに基づいて算出される参照点Pr1の位置は、駐車境界Dの前端Dfから長手方向の奥側へ距離L1の位置として設定される。これに対し、障害物B2に基づいて算出される参照点Pr2の位置は、障害物B2から長手方向の入口側へ距離Lr2の位置として設定される。障害物B2の前端Dfからの奥側への距離がLb2であった場合、参照点Pr2の前端Dfから奥側への距離L12は、L12=Lb2−Lr2となり、参照点Pr1と参照点Pr2との距離の差(誤差)δは、δ=L1−L12となる。候補位置設定部144は、誤差δが閾値δthと同じかあるいはより大きい場合には、候補位置Cを設定しない。これにより、例えば、候補位置Cが駐車区画からずれた位置に設定されるのが抑制されうる。閾値δthは、第二の閾値の一例である。参照点Pr1は、第一の候補位置の一例であり、参照点Pr2は、第二の候補位置の一例である。なお、参照点Pr1は、閾値h0より高い障害物B,B1の検出結果から算出されてもよい。
【0058】
また、種々の検出結果は車両1の移動に伴って変化する。例えば、車両1が駐車区画に近付くほど、検出範囲が広がったり、検出精度が高まったりする。そこで、目標位置決定部145は、車両1が候補位置Cの中から決定された目標位置への移動経路の途中で、上述した候補位置設定部144と同様の計算を行うことで、目標位置およびその方向を更新することができる。なお、車両1の走行状態や加速操作部5の操作状態に応じたセンサ等の検出結果に基づいて、車両1が障害物B4を乗り越えることが推定される場合に、障害物B4を乗り越える状態となる目標位置が決定されてもよい。
【0059】
以上、説明したように、本実施形態では、例えば、候補位置設定部144は、閾値h0より高い障害物B1とは車両1が少なくとも所定距離Lb離間するよう候補位置Cを設定するとともに、閾値h0より低い障害物B2〜B5と車両1とが重なる状態になる位置に目標位置Cを設定可能である。よって、本実施形態によれば、例えば、駐車区画内に低い障害物B2〜B5があるような状況でも、目標位置がより不都合の少ない位置に決定されうる。
【0060】
また、本実施形態では、例えば、候補位置設定部144は、閾値h0より低い障害物B2の位置に対応して設定された位置に、候補位置Cを設定できる。よって、例えば、輪留めなど、駐車区画に対応して大凡の位置がわかる障害物B2がある場合に、当該障害物B2の検出結果に基づいて、目標位置がより不都合の少ない位置に決定されうる。
【0061】
また、本実施形態では、例えば、候補位置設定部144は、車両1の移動経路の途中で、閾値h0より低い障害物B2,B4の位置に対応して設定された位置に、候補位置Cを設定できる。よって、例えば、移動経路の途中の検出結果に基づいて、目標位置がより不都合の少ない位置に決定されうる。
【0062】
また、本実施形態では、例えば、候補位置設定部144(姿勢決定部)は、候補位置Cの方向Cvを、閾値h0より低い障害物B2,B4の方向と交叉する姿勢となるように決定する。よって、例えば、障害物B2,B4の方向に基づいて、目標位置がより不都合の少ない位置に決定されうる。
【0063】
また、本実施形態では、例えば、駐車区画検出部143による検出結果および障害物検出部142による閾値h0より高い障害物B,B1の検出結果のうち少なくとも一方に基づく参照点Pr1(第一の候補位置)と、障害物検出部142による検出結果のうち閾値h0より低い障害物B2,B4の位置に対応して設定された位置としての参照点Pr2(第二の候補位置)との距離が、閾値δthと同じかあるいはより大きい場合は、目標位置が決定されない。よって、例えば、目標位置が駐車区画と外れた位置に決定されるのが抑制されうる。
【0064】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。また、各構成や形状等のスペック(構造や、種類、方向、形状、大きさ、長さ、幅、高さ、数、配置、位置等)は、適宜に変更して実施することができる。また、本発明は、種々の形態の駐車場や駐車スペースでの駐車支援に適用可能である。また、車両の位置および方向ならびに候補位置およびその方向の、検出の仕方や、設定の仕方、それらの基準等は、種々に設定したり変更したりすることができる。また、入力信号は、マイクへの音声入力に基づいてもよい。