(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6275093
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】動力電池トップカバー構造及び動力電池
(51)【国際特許分類】
H01M 2/34 20060101AFI20180129BHJP
H01M 2/30 20060101ALI20180129BHJP
H01M 2/26 20060101ALI20180129BHJP
H01M 2/06 20060101ALI20180129BHJP
H01M 2/04 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
H01M2/34 A
H01M2/30 D
H01M2/26 A
H01M2/06 A
H01M2/04 A
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-170301(P2015-170301)
(22)【出願日】2015年8月31日
(65)【公開番号】特開2017-27922(P2017-27922A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2015年8月31日
(31)【優先権主張番号】201510438316.3
(32)【優先日】2015年7月23日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 全坤
(72)【発明者】
【氏名】呉 凱
(72)【発明者】
【氏名】▲トン▼ 平華
(72)【発明者】
【氏名】陳 小波
【審査官】
渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−119303(JP,A)
【文献】
特開2015−095462(JP,A)
【文献】
特開2014−082073(JP,A)
【文献】
特開2011−124214(JP,A)
【文献】
特開2008−066255(JP,A)
【文献】
特開2013−058475(JP,A)
【文献】
中国実用新案第204333054(CN,U)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0044528(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/34
H01M 2/04
H01M 2/06
H01M 2/26
H01M 2/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の極柱、第2の極柱及びトップカバーモジュールを含み、前記第1の極柱及び前記第2の極柱は、いずれも前記トップカバーモジュールに設けられ、且つ、前記第2の極柱は、前記トップカバーモジュールと電気的に絶縁されている動力電池トップカバー構造であって、
前記第1の極柱にくっ付けられ、且つ、前記第1の極柱と前記トップカバーモジュールを電気的に接続する抵抗を更に含み、前記トップカバーモジュールは、トップカバーシート、第1の短絡部材及び第2の短絡部材を含み、
前記第1の短絡部材及び前記第2の短絡部材は、前記トップカバーシートにくっ付けられ、前記動力電池の内部圧力が大きくなると、上へ動作し、前記第1の極柱が前記第2の極柱と電気的に接続されて保護回路が形成され、前記保護回路が形成されたとき、前記第1の短絡部材が前記抵抗と並列接続の関係となるように設置されており、前記抵抗の抵抗値が前記第1の短絡部材より大きいことを特徴とする動力電池トップカバー構造。
【請求項2】
前記第1の短絡部材及び前記第2の短絡部材は、可変形片又はピストン構造により実現することを特徴とする請求項1に記載の動力電池トップカバー構造。
【請求項3】
前記第1の短絡部材は、前記第2の短絡部材と同じ又は異なることを特徴とする請求項2に記載の動力電池トップカバー構造。
【請求項4】
前記可変形片は、溶接部、ボス及び前記溶接部と前記ボスとの間に位置する接続部を含み、
前記ボスは、前記可変形片の中央位置に設けられ、
前記溶接部は、前記接続部の外縁に設けられ、前記トップカバーシートと電気的に接続され、
前記動力電池の内部圧力が大きくなると、前記可変形片は、上へ動作し、前記第1の極柱が前記第2の極柱と電気的に接続されて保護回路が形成されることを特徴とする請求項2又は3に記載の動力電池トップカバー構造。
【請求項5】
前記接続部の厚みは、ボスから溶接部への方向において徐々に小さくなることを特徴とする請求項4に記載の動力電池トップカバー構造。
【請求項6】
前記可変形片は、前記トップカバーモジュールから遠く離れる方向へ突出するように曲げられて設置され、エッジが前記トップカバーシートと電気的に接続され、前記動力電池の内部圧力が大きくなると、上へ動作し、前記第1の極柱が前記第2の極柱と電気的に接続されることを特徴とする請求項2又は3に記載の動力電池トップカバー構造。
【請求項7】
前記ピストン構造は、導電シート、ピストン及び二つのバネを含み、二つの前記バネがそれぞれ前記ピストンの両側に設けられ、前記導電シートの一端が前記トップカバーシートと電気的に接続され、他端が前記ピストンと電気的に接続され、前記動力電池の内部圧力が大きくなると、前記ピストンは、上へ動作し、前記第1の極柱が前記第2の極柱と電気的に接続されて保護回路が形成されることを特徴とする請求項2又は3に記載の動力電池トップカバー構造。
【請求項8】
前記ピストン構造は、前記ピストンと前記トップカバーシートとの間における隙間を密封するために、前記ピストンと前記トップカバーシートとの間に設けられているシールリングを更に含むことを特徴とする請求項7に記載の動力電池トップカバー構造。
【請求項9】
動力電池トップカバー構造は、上述した請求項1〜8のいずれかに記載の動力電池トップカバー構造が用いられることを特徴とする動力電池。
【請求項10】
第1の極のタブ、及び前記第1の極のタブと前記第1の極柱とを電気的に接続する接続部材を含み、前記接続部材には開孔が設けられていることを特徴とする請求項9に記載の動力電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力電池の技術分野に関し、特に、動力電池トップカバー構造及び動力電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車及びエネルギー貯蔵発電所などにおいては、一般的に大容量を有する動力電池を電源として用いることが必要である。使用の基準及び人々の要求を満たすために、これらの動力電池は、高容量を有すると共に、優れた安全性及び比較的長いサイクル寿命なども有することが必要である。
【0003】
従来技術において、動力電池が過充電された場合、動力電池における電解液の分解は、動力電池の内部において生じた過剰の熱による電池の発火又は動力電池の内部圧力の増大による電池の爆発を招く。そのため、動力電池が暴走する前に、動力電池を継続的に充電するのを阻止するために、外部短絡構造により正極のタブと正極柱を切断する接続部材が必要である。通常、動力電池トップカバー構造においては、正極柱とトップカバーシートとの間に抵抗が設けられており、当該抵抗により、正極柱がトップカバーシートと電気的に接続され、負極柱の近傍において短絡部材が設けられており、動力電池の内部圧力が大きくなったとき、短絡部材は、上へ動作し、動力電池の正負極は、回路に形成され、回路において比較的大きな電流が生成するので、接続部材が溶断され、主回路が切断されてしまう。接続部材を溶断する電流を満たすために、動力電池の正極とトップカバーシートとの間における抵抗の抵抗値が比較的小さいことが求められている。しかしながら、動力電池に釘刺し乱用の場合、動力電池の正極とトップカバーシートとの間における抵抗の抵抗値が比較的小さいとき、外部短絡電流が大きすぎると、釘刺しの箇所が点火されることによって、電解液が点火され、電池が発火してしまう。そのため、釘刺し乱用の場合に、動力電池の正極とトップカバーシートとの間における抵抗の抵抗値が比較的大きいことが必要である。
【0004】
上述した内容に基づき、従来技術において、動力電池が過充電された場合又は動力電池に釘刺し乱用の場合、動力電池の正極とトップカバーシートとの間における抵抗に対する要求が矛盾しているので、動力電池トップカバー構造における抵抗が大きい抵抗値であっても、小さい抵抗値であっても、いずれも動力電池における過充電及び釘刺しの乱用に対する保護を同時に満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術における動力電池トップカバー構造が動力電池における過充電及び釘刺しの乱用に対する保護を同時に満たすことができない問題を解決するための動力電池トップカバー構造及び動力電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1の極柱、第2の極柱及びトップカバーモジュールを含む動力電池トップカバー構造を提供し、前記第1の極柱及び前記第2の極柱は、いずれも前記トップカバーモジュールに設けられ、且つ、前記第2の極柱は、前記トップカバーモジュールと電気的に絶縁されており、前記動力電池トップカバー構造は、前記第1の極柱にくっ付けられ、且つ、前記第1の極柱と前記トップカバーモジュールを電気的に接続する抵抗を更に含み、前記トップカバーモジュールは、トップカバーシート、第1の短絡部材及び第2の短絡部材を含む。
【0007】
前記第1の短絡部材及び前記第2の短絡部材は、前記トップカバーシートにくっ付けられ、前記動力電池の内部圧力が大きくなると、上へ動作し、前記第1の極柱が前記第2の極柱と電気的に接続されて保護回路が形成され、且つ、前記保護回路が形成されたとき、前記第1の短絡部材は、前記抵抗と並列接続の関係になる。
【0008】
本発明は、動力電池を更に提供し、前記動力電池におけるトップカバー構造においては、上述した動力電池トップカバー構造が用いられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明における動力電池トップカバー構造及び動力電池は、トップカバーシートの第1の極柱側と第2の極柱側においてそれぞれ第1の短絡部材と第2の短絡部材が設けられ、第1の極柱とトップカバーシートとの間に抵抗が設けられることにより、動力電池に対して釘刺し乱用の場合に、内部においてガスが生成しないため、第1の短絡部材及び第2の短絡部材は、機能せず、動力電池の第1の極柱及び第2の極柱は、抵抗により保護回路が形成され、且つ、本発明において、釘刺し乱用の場合、電流が比較的小さく、釘刺しの箇所が点火されないことを保障するために、当該抵抗の抵抗値を大きく設定することができる。動力電池が過充電されると、動力電池の内部気圧は、所定値を超え、第1の短絡部材及び第2の短絡部材は、上へ動作し、動力電池の第1の極柱及び第2の極柱は、第1の短絡部材、第2の短絡部材により保護回路が形成され、このときに、動力電池の第1の極柱及び第2の極柱は、第2の短絡部材及び抵抗により回路を形成することもできるが、二つの回路が並列接続されており、且つ、抵抗の抵抗値が第1の短絡部材よりも遥かに大きいため、このとき、抵抗値が比較的大きい抵抗のある回路を無視することができ、第1の短絡部材及び第2の短絡部材により形成された回路により、動力電池に対して過充電の保護をする。本発明における技術方案を用いることにより、動力電池は、過充電及び釘刺しの乱用の場合、それぞれ独立した保護回路が形成され、動力電池に対して効果的に保護し、動力電池の発火又は爆発を防止するので、動力電池の安全性を効果的に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明における実施例又は従来技術における技術方案をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明において使用される図面について簡単に説明し、明らかに、以下の説明における図面は、本発明のいくつかの実施例であり、当業者にとって、創造的労力をかけない前提で、これらの図面により、その他の図面を得ることもできる。
【
図1】
図1は、本発明における動力電池トップカバー構造の一つの実施例の構造模式図である。
【
図2】
図2は、本発明における動力電池トップカバー構造のもう一つの実施例の構造模式図である。
【
図4】
図4は、本発明における動力電池トップカバー構造のもう一つの実施例の構造模式図である。
【
図5】
図5は、本発明における動力電池トップカバー構造のさらにもう一つの実施例の構造模式図である。
【
図6】
図6は、本発明における動力電池トップカバー構造のさらにもう一つの実施例の構造模式図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施例における第1の短絡部材6及び第2の短絡部材7に用いられるもう一つのピストンの構造模式図である。
【
図9】
図9は、本発明の動力電池の実施例における構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明における実施例の目的、技術方案及びメリットをより明確にするために、以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術方案についてより明確に且つ完全に説明し、当然、説明する実施例は、本発明の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。本発明における実施例に基づき、当業者は、創造的労力をかけずに得られたすべてのその他の実施例がいずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【0012】
図1は、本発明における動力電池トップカバー構造の一つの実施例の構造模式図である。
図1に示すように、本実施例における動力電池トップカバー構造は、第1の極柱1、第2の極柱2及びトップカバーモジュールを含み、第1の極柱1及び第2の極柱2は、いずれもトップカバーモジュールに設けられ、且つ、第2の極柱は、トップカバーモジュールと電気的に絶縁されており、本実施例における動力電池トップカバー構造は、第1の極柱1にくっ付けられ、且つ、第1の極柱1とトップカバーモジュールを電気的に接続する抵抗8を更に含む。ここで、トップカバーモジュールは、トップカバーシート3、第1の短絡部材6及び第2の短絡部材7を含み、第1の短絡部材6及び第2の短絡部材7は、トップカバーシート3にくっ付けられ、動力電池の内部圧力が大きくなるとき、上へ動作し、第1の極柱1が第2の極柱2と電気的に接続されて保護回路が形成され、且つ、保護回路が形成されたとき、第1の短絡部材6が抵抗8と並列接続の関係になるように設置され、第1の極柱及び第2の極柱をそれぞれ正極極柱又は負極極柱とすることができ、具体的に、第1の極柱が正極極柱である場合、第2の極柱は、負極極柱であり、第1の極柱が負極極柱である場合、第2の極柱は、正極極柱であり、第1の極柱は、正極極柱であり、第2の極柱は、負極極柱であることが好ましい。
【0013】
例えば、トップカバーシート3の両端には、第1の極柱1及び第2の極柱2を導入するための取付孔が設けられており、第1の極柱1及び第2の極柱2は、いずれもトップカバーシート3の両端における取付孔内に装着され、且つ、第2の極柱2がトップカバーシート3と電気的に接続することを防止するために、第2の極柱2とトップカバーシート3との間に絶縁ガスケットが設けられている。第1の極柱1及び第2の極柱2には、それぞれ第1の極柱の導電ブロック4及び第2の極柱の導電ブロック5が設けられ、具体的に、第1の極柱1及び第1の極柱の導電ブロック4は、溶接又はカシメなどにより接続され、第2の極柱2及び第2の極柱の導電ブロック5は、溶接又はカシメなどにより接続され、これにより、第1の極柱1は、第1の極柱の導電ブロック4と電気的に接続され、第2の極柱2は、第2の極柱の導電ブロック5と電気的に接続される。第2の極柱2は、トップカバーシート3と電気的に接続することができないため、第2の極柱の導電ブロック5は、トップカバーシート3と絶縁的に設置されるように、第2の極柱の導電ブロック5とトップカバーシート3との間に絶縁部材が装着されても良い。第1の極柱の導電ブロック4とトップカバーシート3とを電気的に接続するために、抵抗8は、第1の極柱の導電ブロック4とトップカバーシート3との間に設けられている。例えば、本実施例における抵抗8は、円環状又は円柱状であってもよい。第1の極柱の導電ブロック4が第1の極柱1と電気的に接続されているため、抵抗8が円環状である場合、抵抗8は、第1の極柱1に嵌合し、このときに、第1の極柱1は、抵抗8によりトップカバーシート3と電気的に接続する。抵抗8が円柱状である場合、抵抗8は、トップカバーシート3と第1の極柱の導電ブロック4との間に嵌合することができ、このときに、トップカバーシート3は、抵抗8により第1の極柱の導電ブロック4と電気的に接続する。
【0014】
抵抗8は、第1の極柱の導電ブロック4とトップカバーシート3とを電気的に接続し、電池の金属筐体とトップカバーシート3は、電気的に導通されているため、第1の極柱の導電ブロック4および電池筐体は、いずれも電池の第1の極柱1と電気的に接続されている。動力電池に釘が刺された場合、動力電池の内部においてガスが生成しないが、金属釘は、電池筐体を貫通して電池の内部に入り、動力電池の内部において、釘は、さらに第2の極柱2と電気的に接続し、そこで、第1の極柱1と第2の極柱2との間に保護回路が形成され、釘刺しの箇所において発火しないことを保障するために、保護回路の電流は比較的小さいことが必要であり、抵抗8の抵抗値が比較的大きいことが必要である。説明しなければならないのは、必要とする抵抗値を満たす抵抗8を設置するために、抵抗8の個数が限定されず、1個であっても良く、複数を設置しても良い。具体的な数については、必要に応じて設置してもよい。
【0015】
図1に示すように、第1の短絡部材6は、トップカバーシート3における第1の貫通孔Aの下に設けられ、第1の貫通孔Aは、第1の極柱の導電ブロック4の下に設けられ、第1の短絡部材6は、トップカバーシート3と電気的に接続され、且つ、第1の短絡部材6は、第1の極柱の導電ブロック4に接せず、動力電池の内部圧力が大きくなるとき、第1の短絡部材6は、動力電池の内部の圧力を受け、上へ動作し、第1の貫通孔Aを通して第1の極柱の導電ブロック4と電気的に接続される。第2の短絡部材7は、トップカバーシート3における第2の貫通孔Bの下に設けられ、第2の貫通孔Bは、第2の極柱の導電ブロック5の下に設けられ、第2の短絡部材7は、トップカバーシート3と電気的に接続され、且つ、第2の短絡部材7は、第2の極柱の導電ブロック5に接せず、動力電池の内部の圧力が大きくなるとき、第2の短絡部材7は、動力電池の内部の圧力を受け、上へ動作し、第2の貫通孔Bを通して第2の極柱の導電ブロック5と電気的に接続される。
図1に示すように、本実施例における第1の短絡部材6及び第1の極柱の導電ブロック4は、それぞれ第1の貫通孔Aの上下両側に位置し、両者は、接せず、第2の短絡部材7及び第2の極柱の導電ブロック5は、それぞれ第2の貫通孔Bの上下両側に位置し、両者は、接しない。
【0016】
動力電池が過充電された場合、動力電池内における電解液が分解され、ガスが生成され、気圧が大きくなり、予め設定された気圧値に達した後、第1の短絡部材6は、上へ動作し、第1の貫通孔Aを通して第1の極柱の導電ブロック4に接し、第2の短絡部材7は、上へ動作し、第2の貫通孔Bを通して第2の極柱の導電ブロック5に接する。第1の短絡部材6及び第2の短絡部材7は、それぞれトップカバーシート3と接続され、これにより、第1の極柱1、第1の短絡部材6、トップカバーシート3、第2の短絡部材7及び第2の極柱2は、保護回路に形成される。
【0017】
具体的に、動力電池においては、過充電などの意外が発生したとき、過充電を停止させることができることを保障するために、通常、保護回路の電流が比較的大きいことが必要である。過充電された場合、二本の回路が形成され、一本目の回路は、第1の極柱1、抵抗8、トップカバーシート3、第2の短絡部材7及び第2の極柱2により形成され、二本目の回路は、第1の極柱1、第1の短絡部材6、トップカバーシート3、第2の短絡部材7及び第2の極柱2により形成され、二本の回路は、並列接続の関係となり、並列回路の抵抗は、抵抗8と第1の短絡部材6のうち抵抗が小さい抵抗値よりも小さいので、回路全体において、抵抗がより小さく、回路全体における電流がより大きい。抵抗8の抵抗値が比較的大きく、流れた電流が小さく、過充電がされた場合、電流が抵抗8のある一本目の回路を流れたことを無視することができるため、過充電時の保護回路は、第1の極柱1、第1の短絡部材6、トップカバーシート3、第2の短絡部材7及び第2の極柱2により形成された二本目の回路のみとすることができ、このときに、形成された保護回路は、抵抗8を通らず、そのため、過充電時の抵抗8の抵抗値は、保護回路の電流の大きさに影響を与えない。従って、本実施例における動力電池トップカバー構造は、釘刺し乱用の場合、動力電池の保護を満たすことができると同時に、過充電がされた場合、動力電池の保護を満すこともできる。
【0018】
説明しなければならないのは、抵抗8の存在により、第1の極柱の導電ブロック4がトップカバーシート3と電気的に接続されているので、本実施例における上述した技術方案において、第1の極柱1の第1の極柱の導電ブロック4とトップカバーシート3との間に絶縁部材を装着しなくてもよい。又は、第2の極柱2側と構造的に対称させるように、第1の極柱の導電ブロック4とトップカバーシート3との間に絶縁部材を装着してもよいが、絶縁部材にビアを設置することが必要であり、これにより、抵抗8が当該ビアを通して第1の極柱の導電ブロック4とトップカバーシート3とを電気的に接続することができる。
【0019】
本実施例における動力電池トップカバー構造は、第1の極柱1側に第1の短絡部材6が設けられ、第2の極柱2側に第2の短絡部材7が設けられ、第1の極柱1とトップカバーシート3との間に抵抗8が設けられることにより、動力電池は、釘刺し乱用の場合に、内部にガスが生成しないため、第1の短絡部材6及び第2の短絡部材7は、機能せず、動力電池の第1の極柱1及び第2の極柱2は、抵抗8により保護回路に形成され、また、釘刺し乱用の場合に、電流が小さく、釘刺しの箇所において発火しないことを保障するために、本実施例における抵抗8の抵抗値は、大きく設定することができる。動力電池が過充電された場合、動力電池の内部気圧は、所定値を超え、第1の短絡部材6及び第2の短絡部材7は動作し、動力電池の第1の極柱1及び第2の極柱2は、第1の短絡部材6、第2の短絡部材7により保護回路に形成され、このときに、第2の短絡部材7及び抵抗8も回路に形成されることができるが、二つの回路は、並列接続の関係となり、抵抗8の抵抗値は、第1の短絡部材6よりも遥かに大きいため、このときに、回路における抵抗値が比較的大きい抵抗8を無視することができ、第1の短絡部材6及び第2の短絡部材7により形成された保護回路は、動力電池に対して、過充電の保護をする。本実施例を用いた技術方案は、動力電池が過充電及び釘刺し乱用の場合、それぞれ独立した保護回路が形成されることにより、動力電池に対して、効果的に保護し、動力電池の発火又は爆発を防止し、効果的に動力電池の安全性を向上する。
【0020】
さらに、本発明の実施例における動力電池トップカバー構造において、第1の短絡部材6は、第2の短絡部材7と同じであってもよいし、異なってもよい。また、本発明の実施例における第1の短絡部材6及び第2の短絡部材7は、可変形片又はピストン構造を用いて実現することができる。
【0021】
図2は、本発明における動力電池トップカバー構造のもう一つの実施例の構造模式図である。
図2に示すように、本実施例における動力電池トップカバー構造は、
図1に示された実施例の構造において、第1の短絡部材6及び第2の短絡部材7についていずれも可変形片の構造を用いて実現することができる。
【0022】
図3は、
図2における領域Aの拡大図であり、
図3に示すように、
図3においては、
図2における第1の極柱1側を例とし、第1の短絡部材6について可変形片の構造が用いられることを説明する。
【0023】
図3に示すように、本実施例における動力電池トップカバー構造の可変形片は、溶接部61、ボス62及び溶接部61とボス62との間に位置する接続部63を含み、ボス62は、可変形片の中央位置に設けられ、溶接部61は、接続部63の外縁に設けられ、溶接部61は、トップカバーシート3と電気的に接続され、ボス62は、対応する第1の極柱の導電ブロック4に接しない。
図2及び
図3に示すように、ボス62は、中実構造に設置されてもよく、
図4に示すように、中空構造であってもよい。具体的に、
図4は、本発明における動力電池トップカバー構造のさらにもう一つの実施例の構造模式図である。
図4に示すように、動力電池の内部圧力が大きくなるとき、可変形片は、上へ動作し、第1の極柱1が第2の極柱2と電気的に接続され、その動作原理は、上述した実施例と同じであり、ここで繰り返し述べない。
【0024】
同様に、
図2に示された第2の極柱2側において、第2の短絡部材7に用いられた可変形片は、第1の極柱1側における第1の短絡部材6に用いられた可変形片の構造と同じであり、ここで繰り返し述べない。
【0025】
図2及び
図3に示すように、本実施例における動力電池トップカバー構造のボス62は、円柱体、又は断面が多角形(例えば、正方形、五角形又は六角形など)である柱体であってもよいが、内径が同じであるとき、円の周長は、最も長く、ボス62が同等の厚みである場合、円柱体の過電流の面積は、最も大きく、そのため、本実施例におけるボス62は、円柱体であることが好ましい。好ましくは、本実施例の動力電池トップカバー構造における接続部63の厚みは、ボス62から溶接部63への方向において、徐々に減少してもよく、それにより、接続部63の内周の過電流の面積が効果的に大きくなるので、接続部63全体の断面積は、内から外へ電流の過電流の要求が満たされ、可変形片は、溶断される確率が低減される。
【0026】
説明しなければならないのは、
図3において、ボス62が第1の極柱の導電ブロック4に向いた方向を例として説明を行うが、実際の応用において、ボス62は、第1の極柱の導電ブロック4に遠く離れる一方の側に向いてもよく、又は、ボスにおいて一枚の平板が溶接されてもよく、その原理及び効果は、上述した関連する記載を参照してもよく、ここで繰り返し述べない。
【0027】
本実施例における動力電池トップカバー構造の第1の短絡部材6及び第2の短絡部材7は、上述した可変形片の構造を用い、更に抵抗8と組み合わせることにより、動力電池は、過充電及び釘刺し乱用の場合、それぞれ独立した保護回路が形成されるので、動力電池に対して、効果的に保護し、動力電池の発火又は爆発を防止し、効果的に動力電池の安全性を向上する。
【0028】
図5は、本発明における動力電池トップカバー構造のさらにもう一つの実施例の構造模式図である。
図5に示すように、本実施例における動力電池トップカバー構造は、
図1に示された実施例において、第1の短絡部材6及び第2の短絡部材7がいずれも可変形片の構造を用いて実現し、本実施例における動力電池トップカバー構造が
図4に示された実施例における動力電池トップカバー構造との相違点は、以下の通りである。本実施例における動力電池トップカバー構造において、可変形片は、トップカバーモジュールから遠く離れる方向へ突出するように曲げられて設置され、すなわち、断面が円弧状であり、且つ、可変形片のエッジがトップカバーシート3と電気的に接続されている。動力電池の内部圧力が大きくなると、可変形片は、上へ動作し、即ち、上へ反転し、このときに、可変形片は、トップカバーモジュールに近づく方向へ突出するように曲げられ、最終的に、可変形片の弧底が対応する導電ブロックに接するので、第1の極柱1は、第2の極柱2と電気的に接続されて保護回路が形成される。本実施例の動力電池トップカバー構造における可変形片の実現原理及び效果は、
図2に示された実施例と同じであるため、ここで繰り返し述べない。
【0029】
説明しなければならないのは、可変形片と対応する導電ブロックとの接触面積を大きくするために、各導電ブロックと可変形片との接触位置を円弧状に、又は可変形片の弧底を平底形状に設置することができる。
【0030】
説明しなければならないのは、上述した各実施例における可変形片を例示の構造のみとして、本発明における動力電池トップカバー構造について説明を行うが、本発明の請求項に限定された可変形片の構造は限定されない。例えば、
図3に示された可変形片における接続部63の厚みは、均一であってもよく、又は
図4及び
図5に示された可変形片のエッジは、円形、正方形又は多角形などであってもよく、ここで、繰り返し述べない。
【0031】
図6は、本発明における動力電池トップカバー構造のさらにもう一つの実施例の構造模式図である。
図6に示すように、本実施例における動力電池トップカバー構造は、
図1に示された実施例において、第1の短絡部材6及び第2の短絡部材7がいずれもピストン構造を用いて実現する。
【0032】
図7は、
図6における領域Bの拡大図である。
図7に示すように、
図7は、
図6における第1の極柱1側を例とし、第1の短絡部材6に用いられたピストン構造について説明を行う。
図7に示すように、本実施例の動力電池トップカバー構造におけるピストン構造は、導電シート64、ピストン65及び二つのバネ66を含み、ピストン65が対応する第1の極柱の導電ブロック4に接せず、二つのバネ66がそれぞれピストン65の両側に設けられている。例えば、ピストン65は、「几」字形をなし、バネ66は、「几」字形であるピストン65の突起部の両側に設けられ、バネ66の先端は、トップカバーシート3に接し、動力電池は、通常使用時に、バネ66の弾性力のため、ピストン65が対応する第1の極柱の導電ブロック4に接することを防止することができる。導電シート64の一端は、トップカバーシート3と電気的に接続され、他端は、ピストン65と電気的に接続され、これにより、ピストン65がトップカバーシート3と電気的に接続され、動力電池の内部圧力がバネ66の弾性力より大きくなるまで大きくなると、ピストン65は、上へ動作し、第1の極柱の導電ブロック4に接するので、第1の極柱1が第2の極柱2と電気的に接続されて保護回路が形成される。
【0033】
同様に、
図6に示された第2の極柱2側において、第2の短絡部材7に用いられたピストン構造は、第1の極柱1側における第1の短絡部材6に用いられたピストン構造と同じであり、ここで繰り返し述べない。
【0034】
また、上述した実施例における動力電池トップカバー構造において、ピストン構造は、シールリング67を更に含み、ピストン65とトップカバーシート3との間における隙間を密封するために、シールリング67は、ピストン65とトップカバーシート3との間に設けられている。ピストン65は、バネ66と接続され、第1の貫通孔Aと第2の貫通孔Bとの密封性を保障することができないため、シールリング67を用いて、動力電池の電解液が第1の貫通孔A及び第2の貫通孔Bから漏れないようにする。
【0035】
本実施例の動力電池トップカバー構造における第1の短絡部材6及び第2の短絡部材7は、上述したピストン構造を用い、更に抵抗8と組み合わせることにより、動力電池が過充電及び釘刺し乱用の場合、それぞれ保護回路が形成されるので、動力電池に対して、効果的に保護し、動力電池の発火又は爆発を防止し、効果的に動力電池の安全性を向上する。
【0036】
さらに、上述した実施例の動力電池トップカバー構造に用いられたピストン構造は、ピストン構造のうちの一つにすぎず、本発明の技術方案を実現するために、その他の類似の機能を有するピストン構造を用いても良い。
【0037】
例えば、
図8は、本発明の実施例における第1の短絡部材6及び第2の短絡部材7に用いられたもう一つのピストン構造の模式図である。
図8に示すように、当該ピストン構造は、動力電池において内から外へ順に、延伸シート11、変位板12、バネ13、外導電シート14及び仕切板15を含み、延伸シート11は、それぞれトップカバーシート3及び変位板12と電気的に接続され、バネ13は、変位板12の上端に設けられ、且つ、外導電シート14を通して仕切板15に接続され、変位板12が第1の極柱1又は第2の極柱2に設けられた外導電シート14と電気的に接続されることを防止し、外導電シート14は、第1の極柱1又は第2の極柱2と電気的に接続され、且つ、仕切板15によりトップカバーシート3と絶縁接続され、仕切板15の断面は、切り欠きのある方形枠形状であってもよく、バネ13の一端は、切り欠きを通して変位板12と接続され、他端は、切り欠きに対向する仕切板15と接続される。動力電池トップカバー構造における第1の短絡部材6及び第2の短絡部材7は、いずれも上述したピストン構造が用いられる場合、動力電池の内部圧力がバネ13の弾性力より大きくなるまで大きくなると、変位板12は、上へ動作し、外導電シート14と電気的に接続されるので、対応する極柱と電気的に接続され、それにより、第1の極柱1は、第2の極柱2と電気的に接続されて保護回路が形成される。
【0038】
本実施例におけるピストン構造は、
図2〜
図6のいずれか1つの実施例の動力電池トップカバー構造における第1の短絡部材6又は第2の短絡部材7に用いられることができ、本発明における動力電池トップカバー構造の選択可能な実施例が形成され、その実現原理は、上述した
図6に示された実施例の実現原理と類似し、その詳細については、上述した実施例における記載を参照してもよく、ここで繰り返し述べない。
【0039】
又は、本発明の実施例における第1の短絡部材6及び第2の短絡部材7は、トップカバーシート3において、直接的に、導電する伸縮可能な部材(例えば、コルゲート管)が設けられることができ、各極柱において導電レールが設けられ、導電する伸縮可能な部材は、導電レールに接しない。動力電池の内部圧力が大きくなると、導電する伸縮可能な部材は、上へ動作し、導電レールと電気的に接続され、これにより、第1の極柱1が第2の極柱2と電気的に接続される。
【0040】
説明しなければならないのは、上述した各実施例における第1の短絡部材6及び第2の短絡部材7に用いられたピストン構造を例示の構造のみとして本発明における動力電池トップカバー構造について説明を行うが、本発明の請求項に限定されたピストン構造は限定されない。
【0041】
説明しなければならないのは、上述したいずれか1つの実施例において、いずれも第1の短絡部材6及び第2の短絡部材7に同じ構造が用いられることを例として、本発明の技術方案について説明を行ったが、実際の応用における第1の短絡部材6及び第2の短絡部材7の構造は、異なってもよく、例えば、第1の短絡部材6は、可変形片が用いられ、第2の短絡部材7は、ピストン構造などが用いられ、又は第1の短絡部材6は、ピストン構造が用いられ、第2の短絡部材7は、可変形片などの構造が用いられ、ここで繰り返し述べない。但し、動力電池が乱用され場合、第1の短絡部材6及び第2の短絡部材7は、同時に動作することを保障するために、第1の短絡部材6及び第2の短絡部材7が動作する圧力閾値は、同じである必要がある。
【0042】
図9は、本発明における動力電池の実施例の構造模式図である。本実施例における動力電池には、動力電池トップカバー構造21、電池筐体22及び絶縁片23などが含まれ、ここで、各モジュール間の接続関係については、関連する従来技術を参照してもよく、ここで繰り返し述べない。ここで、動力電池トップカバー構造21は、
図1〜
図8に示された実施例における動力電池トップカバー構造を用いることができ、その詳細は、上述した実施例の記載を参照してもよく、ここで繰り返し述べない。
【0043】
さらに、本実施例における動力電池は、第1の極のタブ及び第1の極のタブと第1の極柱1とを電気的に接続する接続部材24をさらに含み、接続部材24には、開孔25が設けられている。ここで、接続部材24は、溶断器であり、溶断器は、大きい電流が通過したときに、瞬時に溶断して回路を切断することができ、接続部材24には、開孔25が設けられており、その設置目的は、以下の通りである。電流が接続部材24及び第1の極柱を流れる面積を小さくし、電流が大きいとき、接続部材24がさらに溶断しやすい。
【0044】
動力電池トップカバー構造21を設置するのは、動力電池に釘が刺され、又は過充電された場合、第1の極柱1及び第2の極柱2を短絡させ、外部電流が生成され、保護回路が形成され、釘刺し又は過充電のリスクを低減することができるが、当該保護回路の電流は、無限に拡大してはならず、電流が大きいとき、動力電池トップカバー構造21が焼損されてしまうので、この状況の発生を防止するために、第1の極柱1と第1の極のタブとを電気的に接続する接続部材24には、開孔25を設けることができる。過充電がされた場合、大きい外部電流は、接続部材24を溶断させ、設けられた当該開孔25により、外部電流が動力電池トップカバー構造21を焼損する前に、接続部材24を溶断させることを保障することができ、これにより、充電回路が切断され、入力電源による動力電池に対する充電が停止されるので、動力電池トップカバー構造21が焼損されないように保護することができる。説明しなければならないのは、本実施例における動力電池は、さらにその他の部材を含むことができ、その詳細については、従来技術を参照してもよく、ここで繰り返し述べない。
【0045】
本実施例における動力電池は、上述した動力電池トップカバー構造を用いることにより、過充電及び釘刺し乱用の場合、それぞれ独立した保護回路が形成され、動力電池に対して、効果的に保護し、動力電池の発火又は爆発を防止し、効果的に動力電池の安全性を向上する。
【0046】
最後に説明しなければならないのは、上記の各実施例は本発明の技術方案を説明するためのものであり、それを限定するものではなく、上述した各実施例を参照し、本発明について詳細な説明を行ったが、当業者は、依然として上述した各実施例に記載の技術方案に対して変更し、又は、その一部又はすべての技術的特徴に対して、同等の置換を行うことができ、これらの変更又は置き換えは相応する技術方案の主旨が本発明における各実施例の技術方案の範囲を逸脱しないようにする。