(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6275114
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】ネイルアップリケおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A45D 31/00 20060101AFI20180129BHJP
A61Q 3/02 20060101ALI20180129BHJP
A61K 8/87 20060101ALI20180129BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20180129BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
A45D31/00
A61Q3/02
A61K8/87
A61K8/86
A61K8/19
【請求項の数】20
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-504771(P2015-504771)
(86)(22)【出願日】2013年4月9日
(65)【公表番号】特表2015-514473(P2015-514473A)
(43)【公表日】2015年5月21日
(86)【国際出願番号】US2013035817
(87)【国際公開番号】WO2013155094
(87)【国際公開日】20131017
【審査請求日】2016年4月1日
(31)【優先権主張番号】61/621,887
(32)【優先日】2012年4月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/799,386
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506360756
【氏名又は名称】パーク、ファ、ヤング
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】パーク、ファ、ヤング
【審査官】
大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】
特開平2−60604(JP,A)
【文献】
特開2010−167712(JP,A)
【文献】
特開2007−136796(JP,A)
【文献】
特開昭63−95998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 29/00−31/00
A61Q 3/02
A61K 8/19、8/86、8/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己接着性のネイルアップリケであって、
第1の接着層と、
前記第1の接着層上に位置する部分的に硬化したベースコートと、
前記ベースコート上において前記第1の接着層の反対側に位置する第2の接着層と、
前記第2の接着層上において前記ベースコートの反対側に位置する金属ホイル層と、
前記金属ホイル層上において前記第2の接着層の反対側に位置する部分的に硬化したトップコートと、
を有し、
前記第2の接着層は、UV硬化性であり、
前記金属ホイル層は、多孔性である
ネイルアップリケ。
【請求項2】
前記第2の接着層は、紫外線照射への暴露によって硬化する請求項1に記載のネイルアップリケ。
【請求項3】
前記ネイルアップリケは、伸長可能であり、前記ベースコート、前記第2の接着層及び前記トップコートは、互いに同一の割合で伸長可能である請求項1又は2に記載のネイルアップリケ。
【請求項4】
前記ベースコート、前記第2の接着層及び前記トップコートは、未硬化状態、部分的に硬化した状態及び硬化状態において、互いに同一の領域を占める請求項1から3のいずれか1項に記載のネイルアップリケ。
【請求項5】
前記金属ホイル層は、前記第2の接着層及び前記トップコートと同一の領域を占める単一の層である請求項1から4のいずれか1項に記載のネイルアップリケ。
【請求項6】
前記金属ホイル層は、前記第2の接着層の全てを覆い、前記トップコートの全てによって覆われる請求項1から4のいずれか1項に記載のネイルアップリケ。
【請求項7】
前記ベースコートは、前記第1の接着層と前記第2の接着層との間に機械的なバリアを形成するとともに、前記第2の接着層が接着される滑らかな面を設ける請求項1から6のいずれか1項に記載のネイルアップリケ。
【請求項8】
前記第2の接着層は、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びポリアセテート樹脂を含む請求項1から7のいずれか1項に記載のネイルアップリケ。
【請求項9】
前記第2の接着層は、重量比で、ポリウレタン樹脂10−25%、エポキシ樹脂1−25%、ポリアクリレート樹脂1−20%、並びに光開始剤及び安定剤1−10%の範囲の組成を有する材料を含む請求項1から7のいずれか1項に記載のネイルアップリケ。
【請求項10】
前記ベースコート及び前記トップコートの各々は、ネイルエナメルを含む請求項1から9のいずれか1項に記載のネイルアップリケ。
【請求項11】
前記金属ホイル層は、10nmから1000nmの範囲の厚みを有する請求項1から10のいずれか1項に記載のネイルアップリケ。
【請求項12】
前記ネイルアップリケは、0.10mmから0.15mmの範囲の厚みを有する請求項1から11のいずれか1項に記載のネイルアップリケ。
【請求項13】
基板をさらに備え、
前記第1の接着層は、前記基板に剥離可能に接着される請求項1から12のいずれか1項に記載のネイルアップリケ。
【請求項14】
自己接着性のネイルアップリケの製造方法であって、
第1の接着層を形成するステップと、
前記第1の接着層上に部分的に硬化したベースコートを形成するステップと、
前記ベースコート上において、前記第1の接着層と反対側に、第2の接着層を形成するステップと、
前記第2の接着層上において、前記ベースコートと反対側に、金属ホイル層を形成するステップと、
前記金属ホイル層上において、前記第2の接着層と反対側に、部分的に硬化したトップコートを形成するステップと、
を含み、
前記第2の接着層を形成するステップは、紫外線照射への暴露によって硬化可能な接着剤を前記ベースコートに塗布するステップと、前記金属ホイル層を形成するステップの後に、前記接着剤を紫外線照射に暴露させるステップとを含む
方法。
【請求項15】
前記部分的に硬化したベースコートを形成するステップは、第1の溶媒を有する第1のネイルエナメルを前記第1の接着層に塗布するステップと、前記ベースコートが伸長可能になるように、前記第1の溶媒の一部を蒸発させるステップとを含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記部分的に硬化したトップコートを形成するステップは、第2の溶媒を有する第2のネイルエナメルを前記金属ホイル層に塗布するステップと、前記トップコートが伸長可能になるように、前記第2の溶媒の一部を蒸発させるステップとを含む請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の接着層上に金属ホイル層を形成するステップは、10nmから1000nmの範囲の厚みを有する金属ホイルが載置された基板を与えるステップと、前記金属ホイルを前記第2の接着層に接触させるステップと、前記金属ホイルが前記第2の接着層に接着し、かつ、前記基板から剥離するように、前記基板を引き戻すステップとを含む請求項14から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の接着層は、前記第1の接着層を形成するステップによって、剥離可能な基板上に形成され、
前記ネイルアップリケを前記剥離可能な基板から取り外すステップと、前記第1の接着層をユーザの爪に貼り付けるステップと、前記爪を覆うように前記ネイルアップリケを伸長させるステップと、前記ベースコート及び前記トップコートを前記ユーザの体温で更に硬化させるステップとをさらに含むことによって、前記ネイルアップリケを硬化させる請求項14から17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記ベースコート、前記第2の接着層及び前記トップコートは、同一の割合で伸長する請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ベースコート、前記第2の接着層及び前記トップコートは、前記金属ホイル層における皺の発生を防ぐように、前記更に硬化させるステップの間に同一の量だけ収縮する請求項18又は19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2012年4月9日に出願された米国特許仮出願第61/621,887号及び2013年3月15日に出願された米国特許仮出願第61/799,386号に基づく優先権の利益を主張するとともに、その全ての開示内容を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は、ネイルポリッシュ及び爪の装飾の分野に関し、より具体的には、手の爪又は足の爪を装飾するためのネイルアップリケに関する。
【背景技術】
【0003】
手の爪を即座にコーティングする製品によれば、乾燥したネイルポリッシュを手の爪に接着固定することにより、ネイルポリッシュが手の爪に貼り付けられる。このような製品を使うことが、爪の手入れ方法として人気を得ている。「ネイルアップリケ」としても知られるこのような製品によれば、ユーザは、手又は足の爪を、色、デザイン又は画像により、もしくはメタリックな光沢で、短時間で装飾することができる。このような光沢は、金属ホイル又はフィルムを含有するネイルアップリケ(以下、「ホイルアップリケ」という)を用いることによって与えられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態に係るネイルアップリケは、第1の接着層と、第1の接着層上に位置する部分的に硬化したベースコートと、ベースコート上に位置する第2の接着層と、第2の接着層上に位置する金属ホイル層と、金属ホイル層上に位置する部分的に硬化したトップコートとを有する自己接着性のネイルアップリケを含む。いくつかの実施形態において、第2の接着層は、紫外線照射への暴露によって硬化する。いくつかの他の実施形態において、ネイルアップリケは、伸長可能であり、ベースコート、第2の接着層及びトップコートは、互いに実質的に同一の割合で伸長可能である。さらに他の実施形態において、ベースコート、第2の接着層及びトップコートは、未硬化状態、部分的に硬化した状態及び硬化状態において、互いに同一の領域を占める。さらなる実施形態において、金属ホイル層は、第2の接着層と同一の領域を占める単一の層である。
【0005】
本発明の実施形態に係る自己接着性のネイルアップリケの製造方法は、第1の接着層を形成するステップと、第1の接着層上に部分的に硬化したベースコートを形成するステップと、ベースコート上に第2の接着層を形成するステップと、第2の接着層上に金属ホイル層を形成するステップと、金属ホイル層上に部分的に硬化したトップコートを形成するステップとを含む。いくつかの実施形態において、第2の接着層を形成するステップは、金属ホイル層を形成するステップの後に、接着剤を紫外線照射に暴露させるステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明への理解をより完全なものとするために、以下、添付図面を併せて参照しながら、本発明の詳細な説明を行う。
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る剥離可能な基板上に位置する複数層ホイルのネイルアップリケの垂直方向断面概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の方法の実施形態に従って用意された積層シートから切断された後のホイルアップリケのセットの概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
いくつかの実施形態において、本発明は、金属ホイル又はフィルムを少なくとも1つの層として有する複数層のネイルアップリケ(「ホイルアップリケ」)を含む。本発明の実施形態に係る方法において、ホイルアップリケは、剥離可能な基板上に1層ずつ重ねる態様で形成される。ホイルアップリケは、ユーザの手の爪又は足の爪を覆うことできるように柔軟かつ伸長可能であるが、手の爪又は足の爪に貼り付けられると、(例えば、ユーザの体温の影響により、又は室温で)硬化する。本開示の目的のために、手の爪及び足の爪を総称して「爪」と称する。
【0008】
図1は、本発明の実施形態に係るホイルアップリケ10の垂直方向断面概略図である。一実施形態において、ホイルアップリケ10は、剥離可能な基板12に接着された状態で与えられ、ホイルアップリケ10は、剥離可能な基板12から剥がすことができる。
図1に戻ると、本発明の実施形態に係るホイルアップリケ10は、ホイルアップリケを爪に接着させるとともに、ホイルアップリケを剥離可能に基板12に接着させることに適した接着剤を含む第1の接着層14と、第1の接着層14上に位置し、ネイルエナメルを含むベースコート16と、ベースコート16上に位置する第2の接着層18と、第2の接着層18上に位置する金属ホイル又はフィルム層20と、金属ホイル又はフィルムを覆うクリアなネイルエナメルのトップコート22とを含む複数層構造である。第2の接着層18は、紫外線照射(「UV照射」ともいう)に暴露されることによって硬化(例えば、ゲル化及び/又は硬化)し得る接着剤を含み、本明細書では「UV接着層」とも称される。
【0009】
ここで、ホイルアップリケ10の層を形成するために用いられる材料について説明すると、まず、接着層又はネイルエナメル層14,16,18,22の各々に適した材料は、市販の商品を入手してもよく、当業者に公知の材料及び方法を用いてカスタマイズしてもよいことに留意されたい。本発明の実施形態において、上述の層は、製造工程における硬化処理の間、及び/又はユーザの爪に貼り付けられている間、寸法の安定性を維持しなくてはならない。層の寸法が変化する場合、層14,16,18,22が同一の領域を占める(すなわち、互いを同程度に覆う)状態を維持し、ホイルアップリケ、すなわち、より具体的にはホイル層における皺又は歪みの発生を回避するように、層の寸法の変化は、層14,16,18,22の各々にわたって同程度に発生しなければならない。金属ホイル又はフィルム層20の寸法の安定性は、本明細書のいずれかの箇所で説明されている理由の通りであり、典型的には問題とならない。様々な層に使用される材料はまた、共に機能する場合には、最終製品(すなわち、ホイルアップリケ)に望まれる物理的特性(例えば、伸長性、収縮性、柔軟性、引き裂き抵抗等)を有する構造を与えなければならず、アップリケ又はホイル層に皺を発生させることなく伸長又は屈曲しなければならない。これらの特性は、当業者に公知のネイルエナメルアップリケ、例えば、2005年5月11日に出願された米国特許出願第11/126,862号(2005年11月17日に公開された米国特許出願公開公報第2005/0255061号)に記載されたネイルエナメルアップリケの特性と同様であってもよく、これらの両方の開示内容の全ては参照として本明細書に組み込まれている。
【0010】
第1の接着層14について説明すると、第1の接着層14において使用される接着剤は、硬化した場合に爪にしっかりと接着するものでなければならない。接着剤は、液体又は硬化状態から溶解した状態で、基板12に塗布されてもよく、低分子量のアセテート又はアルコール等の、人間の体温以下の温度で容易に揮発する溶媒を含有してもよい。第1の接着層14の接着剤はまた、シリコンコーティングされた剥離ライナ紙又はアルミニウムで積層されたプラスチックフィルムの薄いシート等の材料で形成され得る基板12から、容易に剥離するタイプの接着剤でなければならない。第1の接着層の適切な厚みは、本発明のいくつかの実施形態において、完成品のアップリケの全体の厚みの約10%から15%である。本発明での使用に適した接着剤及び基板は、前述の米国特許出願第11/126,862号においてさらに説明されたネイルエナメルアップリケと同様の接着剤及び基板である。本発明に適した例示的な接着剤は、アクリル系コポリマー接着剤を含む。
【0011】
ベースコート16及びトップコート22について説明すると、本発明の実施形態において、ベースコート16及びトップコート22は、市販の又はカスタマイズされたネイルエナメルから形成されてもよいことに留意されたい。本発明の一実施形態において、トップコート22は、ホイル層20が視認可能であり、完成品のアップリケ10が所望のメタリックな色及び光沢を有するように、クリアな(例えば、透明又は透光性の)エナメルから形成される。いくつかの他の実施形態において、完成品のアップリケの外観向上のために、クリアなコートは、有色であってもよく、あるいは添加物(例えば、グリッター又は雲母のチップ)を含んでもよい。かかる実施形態において、トップコートは、ホイル層が視認可能な状態を維持するように、配合されなければならない。ベースコート16もクリアなエナメルから形成されてもよいが、ベースコート16の目的は、第1の接着層14とUV接着層18との間に機械的なバリアを設けるとともに、UV接着層18を塗布するための滑らかな面を設けることである。トップコート22及びベースコート16の適切な厚みは、完成品のアップリケの全体の厚みの約35%から約45%の範囲である。ネイルエナメルは、有機溶媒ベース又は水ベースであってもよく、UV硬化性タイプであってもよい。ネイルエナメルの所望の物理的特性及び組成は、ベースコート16又はトップコート22の各々を塗布する方法、又は層16,22の硬化温度等の要因によって異なる。室温(例えば、約20℃)で1500センチポアズ(60回転)から4000センチポアズ(60回転)の粘度を有する有機溶媒ベースのネイルエナメルは、本発明において特に有用である。ネイルエナメルの特性及び配合は、前述した米国特許出願第11/126,862号のネイルエナメルアップリケに関する記載の中で説明されており、当業者であればいずれかの説明を容易に採用し、本発明での使用に適したクリアなコートを生成することができる。
【0012】
UV接着層18は、最初に紫外線照射に暴露された後、硬化してゲル状又は粘着状になる材料であって、硬化状態において毒性を示さない幅広い範囲の材料の中のいずれかを含むことができる。このような数多くの材料は、市販されており、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアセテート樹脂及びこれらの混合物を含む。このような材料の一つは、重量比で以下の範囲の組成を有する。
10−25% ポリウレタン樹脂
1−25% エポキシ樹脂
1−20% ポリアクリレート樹脂
1−10% 光開始剤及び安定剤
【0013】
金属ホイル又はフィルム層20について説明すると、本発明での使用に適した多数の市販製品が存在する。これらの製品は、概して、プラスチックシート上に配置された金属フィルム(「金属化プラスチック」ともいう)を備える。このような製品は、銀色及び金色等の多数のメタリックカラー、マルチカラー、又はホログラフィー仕上げの製品が入手可能である。アルミニウムは、最も一般的に入手しやすいプラスチックの1つであるポリエチレンテレフタレート(PET)を含むプラスチックシート上に配置される金属の中で、最も普及している金属である。金属フィルムの厚みは、アルミニウムの場合、10nmから1000nmの範囲、より典型的には、50nmから100nmの範囲とすることができる。これらの厚みは、オームストロング単位で表記される場合もあり、1nmは10オームストロングである。このような厚みだと、金属フィルムは、フィルムと接着剤とを接触させるだけで、接着剤の表面、例えばUV接着層18の表面に、無傷で容易に移すことができる。このように形成されたホイル又はフィルム層20は、典型的には多孔性(すなわち、金属粒子間に微小の空隙が存在する)であるが、アップリケにおいては固形に見られ、高い反射性を有する。金属フィルムは多孔性で薄いため、アップリケの外観を損なうことなく、ある程度変形する(例えば、伸長する)ことができる。当業者であれば、本開示によれば、本発明での使用に適した多数のコールドスタンピングホイルの存在を認識することできる。
【0014】
本発明の実施形態に係るホイルアップリケ10のようなホイルアップリケの製造方法において、ホイルアップリケに望ましい層構造を有する材料の積層シートが用意される。シートは、連続的な製造工程によって、剥離可能な基板12上に1層ずつ形成される。このような連続的な処理は、前述した米国特許出願第11/126,862号のネイルエナメルアップリケに関する記載の中で説明されており、当業者であれば、本開示によれば、本発明での使用に適した形でこの処理を適用することができる。
【0015】
参照としてホイルアップリケ10を用いると、接着層14は、液体として、又は固形接着剤を基板12上に溶解させることにより、基板12上に直接配置される。連続的な製造工程の中で、接着層を表面に配置する適切な手段は、当業者に公知である。接着剤は、次の層(すなわち、ベースコート16)が塗布されるまで、粘性を維持しつつ、ゲル化又は硬化することができる。
【0016】
ベースコート16について説明すると、ネイルエナメルは、接着層14を覆い、かつ、次にUV接着層18を塗布するための滑らかな面を形成するように、接着層14に直接塗布される。溶媒又は水を含有するネイルエナメルを、溶媒又は水の一部を蒸発させるように加熱することにより、ベースコート16を部分的に硬化させることができる。蒸発ステップは、使用されるネイルエナメルの組成及びベースコート16の厚みによっては、室温で行われてもよい。この処理の温度及び滞留時間は、全体的な処理速度及び最終製品に望まれる品質に応じて調整されるべきであるため、技術的な選択事項である。本発明の実施形態において、ベースコート16が所望の伸長性を有するように、溶媒又は水の一部は、エナメル中に残留(すなわち、エナメルが「部分的に硬化」)してもよい。UV硬化性のネイルエナメルを用いる場合、典型的なUV硬化性エナメルは、典型的には溶媒又は水を含有しないため、加熱ステップを必要としない場合がある。代わりに、硬化処理を開始するために、エナメルは、UV照射に暴露される。暴露の持続時間及び強度は、ネイルエナメルの配合によって異なるが、関連する化学技術分野の知識を有する者であれば理解されるものであり、又は、ネイルエナメル製造業者の指示に応じて選択されるものである。
【0017】
UV接着層18及びホイル層20について説明すると、UV硬化性の混合物は、ベースコート16の表面に塗布される。本発明のいくつかの実施形態において、UV硬化性の混合物は、ホイル層20の塗布終了後まで、UV照射に暴露されない。本発明のかかる実施形態において、金属化プラスチックロールの金属面は、様々な技術分野(例えば、連続接触印刷)において公知の方法を用いて、UV硬化性の混合物と接触する状態に置かれる。ホイルは、多孔性の層において、UV硬化性の混合物に接着し、プラスチックシートから剥離する。この「コールドスタンピング」処理は、室温で行うことが可能な点で、一般的に用いられる「ホットスタンピング」処理よりも有利である。ホットスタンピングは、ホイルの加熱が必要なため、多層構造全体の加熱によりアップリケの下層を乾燥させ、破損させる可能性がある。ホットスタンピング方式では、アップリケに熱を伝達する型打ち機も必要とされる。このような型打ち機は、特注品である場合が多い。本発明の実施形態において用いられるコールドスタンピング方式では、型打ち機も、損傷を与える程度の加熱も不要である。
【0018】
ホイル層20が貼り付けられた後、UV硬化性の混合物は、硬化処理を開始するために、多孔性の金属ホイルを通して、UV照射に暴露される。いくつかの実施形態のベースコート16に含まれるUVネイルエナメルについて説明したように、暴露の持続時間及び強度は、UV硬化性の混合物の配合によって異なるが、関連する化学技術分野の知識を有する者であれば理解されるものであり、又は、接着剤製造業者の指示に応じて選択されるものである。
【0019】
トップコート22について説明すると、ネイルエナメルは、ホイル層20及びUV接着層18を覆うように、ホイル層20上に直接塗布される。トップコート22は、単一の層又は複数層のネイルエナメルを含むことができる。溶媒又は水を含有するネイルエナメルを、溶媒又は水の一部を蒸発させるように加熱することにより、トップコート22を部分的に硬化させることができる。蒸発ステップは、使用されるネイルエナメルの組成及びトップコート22の厚みによっては、室温で行われてもよい。ベースコート16と同様に、この処理の温度及び滞留時間は、全体的な処理速度及び最終製品に望まれる品質に応じて調整されるべきであるため、技術的な選択事項である。本発明の実施形態において、トップコート22が所望の伸長性を有するように、溶媒又は水の一部は、エナメル中に残留(すなわち、エナメルが「部分的に硬化」)してもよい。UV硬化性のネイルエナメルを用いる場合、典型的なUV硬化性エナメルは、典型的には溶媒又は水を含有しないため、加熱ステップを必要としない場合がある。代わりに、硬化処理を開始するために、エナメルは、UV照射に暴露される。暴露の持続時間及び強度は、ネイルエナメルの配合によって異なるが、関連する化学技術分野の知識を有する者であれば理解されるものであり、又は、ネイルエナメル製造業者の指示に応じて選択されるものである。
【0020】
ホイルアップリケのトップコート22が部分的に硬化すると、基板12上のホイルアップリケのセットは、積層シートから切断される。
図2は、前述した方法で製造されたホイルアップリケの例示的なセット24の概略平面図である。各セット24は、異なるサイズの爪に対応するように、異なるサイズのアップリケ、例えば、アップリケ26,28,30,32,34を含んでもよい。いくつかの実施形態において、アップリケ26,28,30,32,34は、接続部36によって一体化される。
【0021】
上述した本発明のいくつかの実施形態において、積層シート、すなわちホイルアップリケは、アップリケが使用時まで伸長可能であるように、少量の溶媒を含む。そこで、アップリケのセット24は、アップリケからの溶媒の損失を防ぐ蒸気バリアを含むパッケージ(図示しない)内に封入される。
【0022】
ホイルアップリケを使用するために、ユーザは、パッケージを開封し、所望のアップリケ26,28,30,32,34を接続部36から取り外す。ユーザは、アップリケを基板から剥がし、接着層14(
図1参照)を爪に貼り付ける。ユーザは、次に、爪を覆うようにアップリケを伸長させ、爪からはみ出た余剰のアップリケを取り除き、アップリケが爪の輪郭に沿うように(例えば、爪やすりを用いて)アップリケを切り揃える。指又は爪先からの体温によって、硬化処理が完了し、アップリケが硬化する。完成品のアップリケは、パッケージに収納されるように薄いため(例えば、全体の厚みが約3.5milから5.5mil、又は約0.10mmから0.15mm)、残留溶媒を素早く(例えば、ユーザの体温及び環境条件によっては1時間未満で)蒸発させることができる。硬化したアップリケは、慣用的なネイルポリッシュの除光液を用いて、爪から剥がすことができる。
【0023】
本明細書に記載された実施形態は、単なる例示に過ぎず、当業者は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多数の変更及び変形を行うことができることを理解されたい。全てのかかる変更及び変形は、添付した特許請求の範囲において具現されるように、本発明の範囲に属するものである。