(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
液体洗浄剤の総質量に対して、前記(A)の含有量が、1〜70質量%であり、前記(B)成分の含有量が、0.1〜10質量%であり、前記(C)成分の含有量が、1〜20質量%である、請求項1に記載の液体洗浄剤。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の液体洗浄剤は、下記(A)成分、(B)成分、および(C)成分を含有する。
【0020】
<(A)成分>
(A)成分は、下記化合物(A1)、下記化合物(A2)および下記化合物(A4)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含むノニオン界面活性剤である。(A)成分は、本発明の液体洗浄剤へ洗浄性能を付与する成分である。(A)成分は、化合物(A1)、化合物(A2)および化合物(A4)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物に加えて、さらにそれら以外のノニオン界面活性剤(以下、「他のノニオン界面活性剤」ともいう。)を含んでいてもよい。
【0021】
(化合物(A1))
化合物(A1)は、下記一般式(a−1)で表される化合物である。
【0022】
【化5】
(式(a−1)中、R
1は炭素数9〜13の炭化水素基であり、R
2は炭素数2〜4のアルキレン基であり、R
3は炭素数1〜4のアルキル基であり、mはOR
2の平均繰り返し数を示す5〜25の数である。)
【0023】
前記式(a−1)中、R
1は炭素数9〜13の炭化水素基である。炭化水素基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、また、環状の構造を含んでいてもよい。
R
1としては脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、または直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基がより好ましい。 炭化水素基の炭素数は9〜13であり、10〜13が好ましく、11〜13がより好ましい。炭素数が9以上であれば、洗浄力が高まる。一方、炭素数が13以下であれば、液安定性が向上し、特にゲル化が抑制される。
【0024】
R
2は炭素数2〜4のアルキレン基であり、エチレン基またはプロピレン基が好ましい。なお、ここでいうエチレン基は−CH
2CH
2−の構造で表される構造を意味し、プロピレン基は、−CH
2CH
2CH
2で表される構造を意味する。
m個のOR
2は、全てが同じであってもよいし、異なっていてもよい。すなわち、1分子中のアルキレン基は1種類であってもよいし、2種類以上の組み合わせであってもよい。特に、洗浄時の泡立ちがよく、安価であることから、m個のOR
2が全てオキシエチレン基である、またはオキシエチレン基とオキシプロピレン基とが混在していることが好ましい。
アルキレン基が2種類以上の組み合わせである場合、OR
2の付加方法としては特に限定されない。たとえば、オキシレチレン基とオキシプロピレン基とが混在している場合の付加方法としては、ランダム付加であってもよく、ブロック付加であってもよい。ブロック付加の方法としては、エチレンオキシドを付加した後にプロピレンオキシドを付加する方法、プロピレンオキシドを付加した後にエチレンオキシドを付加する方法、エチレンオキシドを付加した後にプロピレンオキシドを付加し、さらにエチレンオキシドを付加する方法等が挙げられる。
【0025】
R
3は炭素数1〜4のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。
R
3としては、具体的に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、およびn−ブチル基が挙げられる。中でもメチル基、およびエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
炭素数が1以上であれば、低温保存時の析出が抑制されやすい。一方、炭素数が4以下であれば、低温条件下での液体洗浄剤の水に対する溶解性が向上する。
【0026】
mはOR
2基(オキシアルキレン基)の平均繰り返し数(平均付加モル数)を示す5〜25の数である。mが5以上であれば、洗浄力、特に皮脂汚れに対する洗浄力が向上する。一方、mが25以下であれば、液体洗浄剤の水に対する溶解性が向上する。 m個のOR
2が全てオキシエチレン基である場合、mは5〜20が好ましく、12〜18がより好ましい。なお、mは整数であってもよく、小数を含んでもよい。
m個のOR
2において、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とが混在している場合、mは12〜21が好ましい。このとき、オキシプロピレン基の平均繰り返し数は、1以上、5以下が好ましく、1以上、4以下がより好ましく、1以上、3以下さらに好ましい。オキシプロピレン基の平均繰り返し数が5を超えると、洗浄力、および液体洗浄剤としての液安定性(透明均一性、経時安定性等)が低下するおそれがある。
ここで、「OR
2基の平均繰り返し数(平均付加モル数)」とは、使用する脂肪酸エステル1モルに対して付加させるアルキレンオキシドのモル数の平均を意味する。
本明細書における「平均付加モル数」は、たとえば、NMRにより求めることができる。
【0027】
化合物(A1)において、OR
2の繰り返し数が異なる化合物(アルキレンオキシド付加体)の分布の割合を示すナロー率は、化合物(A1)の総質量に対して20質量%以上であることが好ましい。ナロー率の上限値は実質的には80質量%以下であることが好ましい。このナロー率は、20〜80質量%であり、20〜50質量%であることがより好ましく、液安定性と水に対する溶解性がより向上することから、30〜45質量%であることがさらに好ましい。
このナロー率が高いほど、良好な洗浄力が得られやすくなる。また、このナロー率が20質量%以上、特に30質量%以上であると、化合物(A1)由来の原料臭気の少ない液体洗浄剤が得られやすくなる。これは、化合物(A1)の製造後、化合物(A1)の製造物中に存在する、化合物(A1)と共存する化合物(A1)の原料である脂肪酸エステルと、前記一般式(a−1)中のmが1または2で表されるアルキレンオキサイド付加体が少なくなるためである。
【0028】
本明細書において「ナロー率」とは、OR
2の繰り返し数が異なる化合物の分布の割合を示す、下記の数式(S)で表される値をいう。
【0030】
前記(S)式中、m
maxは、化合物(A1)全体の中に最も多く存在する化合物(アルキレンオキシド付加体)のOR
2の繰り返し数を示す。
iはOR
2の繰り返し数を示す。
Yiは、化合物(A1)全体の中に存在するOR
2の繰り返し数がiである化合物(アルキレンオキシド付加体)の化合物(A1)の総質量に対する割合(質量%)を示す。
【0031】
前記ナロー率は、たとえば化合物(A1)の製造方法等によって制御することができる。
化合物(A1)の製造方法としては特に制限されるものではないが、たとえば表面改質された複合金属酸化物触媒を用いて、脂肪酸アルキルエステルにアルキレンオキサイドを付加重合させる方法(特開2000−144179号公報参照)により容易に製造することができる。
かかる表面改質された好適な複合金属酸化物触媒としては、具体的には、金属水酸化物等により表面改質された、金属イオン(Al
3+、Ga
3+、In
3+、Tl
3+、Co
3+、Sc
3+、La
3+、Mn
2+等)が添加された酸化マグネシウム等の複合金属酸化物触媒;金属水酸化物および金属アルコキシド等からなる群から選択された少なくとも1つの成分により表面改質されたハイドロタルサイトの焼成物触媒等が挙げられる。
また、前記複合金属酸化物触媒の表面改質においては、複合金属酸化物と、金属水酸化物および金属アルコキシドからなる群から選択される少なくとも1つの成分との混合割合を、複合金属酸化物を100質量部としたとき、複合金属酸化物100質量部に対して、金属水酸化物および金属アルコキシドからなる群から選択される少なくとも1つの成分の割合を、0.5〜10質量部とすることが好ましく、1〜5質量部とすることがより好ましい。
【0032】
化合物(A1)は1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
化合物(A1)の含有量は、液体洗浄剤の総質量を100質量%としたとき、1〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、15〜45質量%がさらに好ましい。化合物(A1)の含有量が1質量%以上であれば、良好な洗浄力が得られる。一方、化合物(A1)の含有量が70質量%以下であれば、経時に伴うゲル化が起こりにくくなる。
【0033】
(化合物(A2))
化合物(A2)は、下記一般式(a−2)で表される化合物である。
【0034】
【化6】
(式(a−2)中、R
4は炭素数10〜20の炭化水素基であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、sはEOの平均繰り返し数を示す5〜20の数であり、tはPOの平均繰り返し数を示す1〜4の数であり;[−(EO)
s−(PO)
t−]とは、EOとPOとが式−(EO)
s−(PO)
t−の順序によらず混在して配列してもよいことを表す。)
【0035】
前記式(a−2)中、R
4は炭素数10〜20の炭化水素基である。炭化水素基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、また、環状の構造を含んでいてもよい。
R
4としては脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、および直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基がより好ましい。 前記炭化水素基の炭素数は10〜20であり、12〜18が好ましく、12〜14がより好ましい。炭素数が10以上であれば、洗浄力が高まる。一方、炭素数が20以下であれば、液安定性が向上し、特にゲル化が抑制される。
化合物(A2)は単一鎖長の混合物であってもよく、複数の鎖長の混合物であってもよい。R
4は原料のアルコール(R
4−OH)に由来し、前記アルコールとしては、ヤシ油、パーム油、または牛脂等の天然油脂由来のアルコール;石油由来の合成アルコール等が挙げられる。
【0036】
sはEO基(オキシエチレン基)の平均繰り返し数(平均付加モル数)を示す5〜20の数である。sは整数であってもよく、小数を含んでもよい。sが上記範囲内であれば、洗浄力、特に皮脂汚れに対する洗浄力が向上する。sは5〜18が好ましい。
tはPO基(オキシプロピレン基)の平均繰り返し数(平均付加モル数)を示す1〜4の数である。tは整数であってもよく、小数を含んでもよい。tが上記範囲内であれば、液体洗浄剤のゲル化が抑制されやすくなり、また、すすぎ時に良好な泡切れ性が得られやすい。tは1〜3が好ましい。
ここで、「EO基の平均繰り返し数(平均付加モル数)」とは、使用するアルコール1モルに対して付加させるエチレンオキシドのモル数の平均を意味する。
ここで、「PO基の平均繰り返し数(平均付加モル数)」とは、使用するアルコール1モルに対して付加させるプロピレンオキシドのモル数の平均を意味する。
【0037】
化合物(A2)において、[−(EO)
s−(PO)
t−]とは、EOとPOとが左式の順序によらず、混在して配列してもよいことを意味する。すなわち、EOとPOとは、ブロック状に付加していてもよく、ランダム状に付加していてもよい。EOとPOとがブロック状に付加している場合の付加方法としては、化合物(A1)の説明において先に例示した付加方法が挙げられる。特に、全自動洗濯機での洗濯におけるすすぎ性がより良好となることから、エチレンオキシドを付加した後にプロピレンオキシドを付加して、さらにエチレンオキシドを付加する方法が好ましい。
【0038】
化合物(A2)において、EOとPOの付加モル数分布は特に限定されず、前記付加モル数分布は化合物(A2)の製造方法等によって制御することができる。
たとえば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の一般的なアルカリ触媒を用いてEOとPOを疎水性原料に付加させた場合には、比較的広い付加モル数分布となる傾向にある。また、特公平6−15038号公報に記載されたAl
3+、Ga
3+、In
3+、Tl
3+、Co
3+、Sc
3+、La
3+、Mn
2+等の金属イオンを添加した酸化マグネシウム等の特定のアルコキシル化触媒を用いてEOとPOを疎水性原料に付加させた場合には、比較的狭い付加モル数分布となる傾向にある。
【0039】
化合物(A2)は1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
化合物(A2)の含有量は、液体洗浄剤の総質量を100質量%としたとき、1〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、15〜45質量%がさらに好ましい。化合物(A2)の含有量が1質量%以上であれば、良好な洗浄力が得られる。一方、化合物(A2)の含有量が70質量%以下であれば、経時に伴うゲル化が起こりにくくなる。
【0040】
(化合物(A4))
化合物(A4)は、下記一般式(a−4)で表される化合物である。
【0041】
【化7】
(式中、R
1は炭素数10〜20の炭化水素基であり;A
1O及びA
2Oはそれぞれ独立に炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり;pはA
1Oの平均繰返し数を表し、qはA
2Oの平均繰返し数を表し、p>0、q>0であり、p+qは10以上60未満の数である。)
【0042】
前記式(a−4)中、R
1は炭素数10〜20の炭化水素基である。洗浄性の観点から、炭素数10〜18のアルキル基または炭素数10〜18のアルケニル基が好ましく、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
R
1の炭素数が10以上であることにより、再汚染防止効果が高まり、洗浄力が向上する。一方、R
1の炭素数が20以下であることにより、水への溶解性が向上する。
【0043】
前記式(a−4)中、A
1OおよびA
2Oは、それぞれ独立に、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、オキシエチレン基、オキシプロピレン基が好ましい。A
1OとA
2Oとは、相互に同じであっても異なっていてもよい。
前記式(a−4)中、pはA
1Oの平均繰返し数を表し、qはA
2Oの平均繰返し数を表し、pおよびqはそれぞれ独立に0超である。p+qは10以上、60未満の数である。p+qが10未満であると、洗浄効果が得られにくくなる。一方、p+qが60以上であると、化合物(A4)自体の分子量の増加に伴い、同じ配合量では組成物中の化合物(A4)のモル数が減少するために洗浄効果が低下しやすくなる。なかでも、p+qは、洗浄力と再汚染防止効果がより高まることから、好ましくは15以上、40以下であり、より好ましくは15以上、35以下である。
【0044】
(A
1O)
pは、オキシエチレン基のみの繰返し構造でもよく、オキシプロピレン基のみの繰返し構造でもよく、オキシブチレン基のみの繰返し構造でもよく、オキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシブチレン基が混在している構造でもよい。なかでも、オキシエチレン基のみの繰返し構造、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とが混在している構造が好ましく、オキシエチレン基のみの繰返し構造がより好ましい。
オキシエチレン基とオキシプロピレン基とが混在している構造の場合、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とがランダム状に繰り返されていてもよく、ブロック状に繰り返されていてもよい。この場合、化合物(A4)中のオキシエチレン基の総量が、化合物(A4)中の全オキシアルキレン基の総質量に対して、60質量%以上であることが、水への溶解性の点から好ましい。
(A
2O)
qは、前記(A
1O)
pと同様の意味を有し、好ましい例も同様である。
【0045】
化合物(A4)としては、ポリオキシエチレン(20)ヘキサデシルアミン(R
1=炭素数16のアルキル基、オキシエチレン基の平均繰返し数20、p+q=20、ポリオキシエチレン(15)牛脂アルキルアミン(R
1=炭素数14〜18のアルキル基、オキシエチレン基の平均繰返し数15、p+q=15、ポリオキシエチレン(50)オクタデシルアミン(R
1=炭素数18のアルキル基、オキシエチレン基の平均繰返し数50、p+q=50、ポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピレン(12)ヘキサデシルアミン(R
1=炭素数16のアルキル基、オキシエチレン基の平均繰返し数42、オキシプロピレン基の平均繰返し数12、p+q=54に相当)、ポリオキシエチレン(28)ポリオキシプロピレン(8)アルキルアミン(R
1=炭素数12〜14のアルキル基、オキシエチレン基の平均繰返し数28、オキシプロピレン基の平均繰返し数8、p+q=36に相当)等が好適である。
【0046】
化合物(A4)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物(A4)の含有量は、液体洗浄剤の総質量を100質量%としたとき、1〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、15〜45質量%がさらに好ましい。化合物(A4)の含有量が1質量%以上であれば、再汚染防止効果が高まり良好な洗浄力が得られる。一方、化合物(A4)の含有量が70質量%以下であれば、液体洗浄剤の流動性が良好となる点から好ましく、製造時のハンドリング性に優れる。
【0047】
(他のノニオン界面活性剤)
(化合物(A3))
化合物(A3)は、下記一般式(a−3)で表される化合物である。
【0048】
【化8】
(式(a−3)中、R
5は炭素数10〜22の炭化水素基であり、EOはオキシエチレン基であり、nはEOの平均繰り返し数を示す5〜20の数である。)
【0049】
前記式(a−3)中、R
5は炭素数10〜22の炭化水素基である。炭化水素基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、また、環状の構造を含んでいてもよい。さらに、炭化水素基は不飽和結合を有していてもよく、単一鎖長および複数の鎖長の混合物でもよい。
R
5としては脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、または直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基がより好ましい。 炭化水素基の炭素数は10〜22であり、10〜20が好ましく、10〜18がより好ましい。炭素数が10以上であれば、洗浄力がより向上する。一方、炭素数が22以下であれば、液安定性がより向上し、特にゲル化がより抑制される。
R
5は原料のアルコール(R
5−OH)に由来し、前記アルコールとしては、ヤシ油、パーム油、または牛脂等の天然油脂由来のアルコール、石油由来の合成アルコール等が挙げられる。
【0050】
nはEO(オキシエチレン基)の平均繰り返し数(平均付加モル数)を示す12〜20の数であり、12〜18が好ましく、12〜16がより好ましい。nは整数であってもよく、小数を含んでもよい。nが12以上であれば、化合物(A3)由来の原料臭気の少ない液体洗浄剤が得られやすくなる。一方、nが20以下であれば、HLBが高くなりすぎるのを抑制でき、皮脂汚れに対する洗浄力を良好に維持できる。特にnが12〜16であれば、皮脂汚れに対して高い洗浄力を示す。
【0051】
化合物(A3)において、EOの付加モル数分布は特に限定されず、前記付加モル数分布は化合物(A3)の製造方法等によって制御することができる。
たとえば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の一般的なアルカリ触媒を用いてEOを疎水性原料に付加させた場合には、比較的広い付加モル数分布となる傾向にある。また、特公平6−15038号公報に記載されたAl
3+、Ga
3+、In
3+、Tl
3+、Co
3+、Sc
3+、La
3+、Mn
2+等の金属イオンを添加した酸化マグネシウム等の特定のアルコキシル化触媒を用いてEOを疎水性原料に付加させた場合には、比較的狭い付加モル数分布となる傾向にある。
【0052】
化合物(A3)の具体例としては、Shell製:商品名Neodol(C12/C13)、Sasol製:Safol23(C12/C13)等のアルコールに対して、12および、15モル相当のEOを付加した化合物;P&G社製:商品名CO−1214やCO−1270等の天然アルコールに9、12および、15モル相当のEOを付加した化合物の;炭素数12〜14の第2級アルコールに9、12および、15モル相当のEOを付加した化合物(日本触媒株式会社製、ソフタノール90、120および150)等が挙げられる。
化合物(A3)は1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0053】
また、化合物(A3)以外に含んでもよい他のノニオン界面活性剤の例としては、アルキルポリグルコシド(APG)、脂肪酸ジエステル(ライオン株式会社製:商品名リオノンDT−600S)、アルキルアミンオキサイド(ライオン株式会社製:アロモックスDMC−W)等が挙げられる。
【0054】
他のノニオン界面活性剤の含有量は、液体洗浄剤の総質量を100質量%としたとき、1〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、15〜45質量%がさらに好ましい。他のノニオン界面活性剤の含有量が1質量%以上であれば、より良好な洗浄力が得られる。一方、他のノニオン界面活性剤の含有量が70質量%以下であれば、経時に伴うゲル化がより起こりにくくなる。
【0055】
(A)成分としては、化合物(A1)が好ましい。化合物(A1)は化合物(A2)および化合物(A4)よりも他の成分と配合しやすく、かつ濃縮化しやすい。化合物(A1)であれば、濃縮化の際に溶剤を必要としないので、香気が損なわれにくい。
【0056】
また、液体洗浄剤の粘度を低減させ、使用性を向上させるには、化合物(A3)を併用することが好ましい。化合物(A1)、化合物(A2)および化合物(A4)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物のみを用いる場合に比べ、化合物(A3)を前記化合物と併用すると、化合物(A1)、化合物(A2)および化合物(A4)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物と、化合物(A3)とで構成される分子集合体において、分子間のパッキング性が弱まり、液体洗浄剤の粘度が低減すると考えられる。特に化合物(A1)と化合物(A3)とを併用することが好ましい。
なお、ここでいう「分子集合体」とは、化合物(A1)、化合物(A2)および化合物(A4)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物と、化合物(A3)とが、溶液の温度、圧力などの条件によって集合した集合体を意味する。
化合物(A1)および化合物(A2)の合計と、化合物(A3)との質量比(化合物(A1)および化合物(A2)の合計/化合物(A3))は0.02〜4.5が好ましく、1.25〜4がより好ましく、2〜4がさらに好ましい。質量比が0.02以上であれば、経時に伴うゲル化がより起こりにくくなる。一方、質量比が4.5以下であれば、粘度が低くなりやすく、使用性が向上しやすい。
【0057】
<(B)成分>
(B)成分は、下記化合物(B1)、および高級アルコール(B2)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物である。
【0058】
(化合物(B1))
化合物(B1)は、下記一般式(b−1)で表される化合物(トリグリセリド成分)である。
【0059】
【化9】
(式(b−1)中、Z
1〜Z
3はそれぞれ独立して水素原子、ヒドロキシ基、またはカルボキシ基であり、a+b=7〜19、c+d=7〜19、およびe+f=7〜19である。)
【0060】
前記式(b−1)中、Z
1〜Z
3はそれぞれ独立して水素原子、ヒドロキシ基、またはカルボキシ基である。Z
1〜Z
3は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
また、a+b=7〜19、c+d=7〜19、およびe+f=7〜19であり、好ましくはa+b=11〜15、c+d=11〜15、およびe+f=11〜15であり、より好ましくはa+b=13〜15、c+d=13〜15、およbe+f=13〜15である。a+b、c+d、e+fがそれぞれ7以上であれば、疎水基部分の体積が十分に嵩高くなり、塗布洗浄力が高くなる。一方、a+b、c+d、およびe+fがそれぞれ19以下であれば、疎水基部分の体積が嵩高くなることの固化性のリスクが低減する。
【0061】
化合物(B1)としては、Z
1〜Z
3がヒドロキシ基である化合物(B1−1)、Z
1〜Z
3が水素原子である化合物(B1−2)等が挙げられる。化合物(B1−1)としては特にヒマシ硬化油が好ましく、また化合物(B1−2)としては特にパーム硬化油が好ましい。
また、化合物(B1)としては、公知の方法で製造してもよいし、市販品を用いることもできる。たとえば、化合物(B1−1)としては日油株式会社製の「カスターワックスAフレーク」、化合物(B1−2)としては新日本理化株式会社製の「パーム極度硬化油A」等が挙げられる。
【0062】
化合物(B1)は1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
化合物(B1−1)の含有量は、液体洗浄剤の総質量を100質量%としたとき、0.1〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましく、0.3〜1質量%がさらに好ましい。化合物(B1−1)の含有量が0.1質量%以上であれば、良好な洗浄力を発現できる。一方、化合物(B1−1)の含有量が5質量%以下であれば、固化を起こすリスクが低減される。
化合物(B1−2)の含有量は、液体洗浄剤の総質量を100質量%としたとき、0.5〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましく、2〜4質量%がさらに好ましい。化合物(B1−2)の含有量が0.5質量%以上であれば、良好な洗浄力を発現できる。一方、化合物(B1−2)の含有量が10質量%以下であれば、固化を起こすリスクが低減される。
【0063】
(高級アルコール(B2))
高級アルコール(B2)は、炭素数が6以上、18以下の一価のアルコールである。
疎水基部分の体積が嵩高いほど、構造液体を形成しやすい。よって、高級アルコール(B2)としては、炭素数が12以上のアルコールが好ましく、その中でも特に分岐アルコールが好ましい。炭素数は18以下が好ましい。高級アルコール(B2)の炭素数が18以下であれば、高級アルコール(B2)を含む液体洗浄剤は、固化を起こさずに構造液体を形成できる。
ここで、「構造液体」とは、チキソトロピー性を有する液体を意味する。なお、「チキソトロピー性」とは、ゲルのような塑性固体とゾルのような非ニュートン液体の中間的な物質が示す性質であり、具体的には、せん断応力を受け続けると粘度が次第に低下し液状になり、静止すると粘度が次第に上昇し最終的に固体状になる性質である。
本発明においては、(A)成分を含み、かつ(B)成分を含まない場合、この液体洗浄剤は球状ミセルの状態であるが、このような液体洗浄剤に(B)成分を配合すると、界面活性剤の分子構造と自己組織化構造とを関係づける臨界充填パラメーター(CPP)が1へ近づき、チキソトロピー性を有する液体に変化する。
【0064】
高級アルコール(B2)としては、たとえばSASOL社製の「ISOFOL12」等が挙げられる。
【0065】
高級アルコール(B2)は1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
高級アルコール(B2)の含有量は、液体洗浄剤の総質量を100質量%にとしたとき、1〜7質量%が好ましく、2〜6質量%がより好ましく、3〜5質量%がさらに好ましい。高級アルコール(B2)の含有量が1質量%以上であれば、良好な洗浄力を発現できる。一方、高級アルコール(B2)の含有量が7質量%以下であれば、固化を起こさずに構造液体をより形成しやすくなる。
【0066】
<(C)成分>
(C)成分は、アニオン界面活性剤である。
アニオン界面活性剤としては特に限定されず、公知のアニオン界面活性剤を用いることができる。具体的には、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸またはその塩;α−オレフィンスルホン酸塩;直鎖状または分岐鎖状のアルキル硫酸エステル塩;アルキルエーテル硫酸エステル塩またはアルケニルエーテル硫酸エステル塩;アルキル基を有するアルカンスルホン酸塩;α−スルホ脂肪酸エステル塩等が挙げられる。
これらの塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0067】
また、(C)成分としては、上述した以外にも、たとえば炭素数10〜20の高級脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸塩、アルキル(またはアルケニル)アミドエーテルカルボン酸塩、アシルアミノカルボン酸塩等のカルボン酸型アニオン界面活性剤;アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル塩、グリセリン脂肪酸エステルモノリン酸エステル塩等のリン酸エステル型アニオン界面活性剤等が挙げられる。
これらの塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0068】
上記のうち、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸またはその塩としては、直鎖アルキル基の炭素数が8〜16の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸またはその塩が好ましく、炭素数10〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸またはその塩が特に好ましい。
α−オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数10〜20のα−オレフィンスルホン酸塩が好ましい。
アルキル硫酸エステル塩としては、炭素数10〜20のアルキル硫酸エステル塩が好ましい。
アルキルエーテル硫酸エステル塩またはアルケニルエーテル硫酸エステル塩としては、炭素数10〜20の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、もしくは炭素数10〜20の直鎖状または分岐鎖状のアルケニル基を有し、平均繰り返し数が1〜10モルの酸化エチレンを付加したアルキルエーテル硫酸エステル塩またはアルケニルエーテル硫酸エステル塩(すなわち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩またはポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩)が好ましい。また、炭素数2〜4のアルキレンオキシドのいずれか、またはエチレンオキシド(EO)とプロピレンオキシド(PO)(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)を、平均0.5〜10モル付加した炭素数10〜20の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基(またはアルケニル基)を有するアルキル(またはアルケニル)エーテル硫酸エステル塩(以下、AES,AEPSと示す場合がある。)が好ましい。
アルカンスルホン酸塩としては、炭素数は10〜20のアルカンスルホン酸塩が挙げられ、炭素数14〜17のアルカンスルホン酸塩が好ましく、2級アルカンスルホン酸塩が特に好ましい。
α−スルホ脂肪酸エステル塩としては、炭素数10〜20のα−スルホ脂肪酸エステル塩が好ましい。
これらのアニオン界面活性剤は市場において容易に入手することができる。また、公知の方法により合成してもよい。
【0069】
(C)成分としては、上記のなかでも、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸またはその塩;アルカンスルホン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩;炭素数2〜4のアルキレンオキシドのいずれか、またはエチレンオキシド(EO)とプロピレンオキシド(PO)(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)を、平均0.5〜10モル付加した炭素数10〜20の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基(またはアルケニル基)を有するアルキル(またはアルケニル)エーテル硫酸エステル塩;α−オレフィンスルホン酸塩、および高級脂肪酸塩;およびよりなる群から選ばれる少なくとも1つのアニオン界面活性剤が好ましい。
【0070】
<任意成分>
本発明の液体洗浄剤は、上記(A)成分、(B)成分、(C)成分以外に、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲内で液体洗浄剤に通常用いられる成分を配合することができる。たとえば以下に示す成分が挙げられる。
【0071】
(任意界面活性剤)
本発明の液体洗浄剤は、(A)成分および(C)成分を除く界面活性剤(以下、任意界面活性剤ということがある。)を含有できる。
任意界面活性剤としては、カチオン界面活性剤等が挙げられる。
【0072】
カチオン界面活性剤としては、たとえばカプリル酸ジメチルアミノプロピルアミド、カプリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジメチルアミノプロピルアミド等の長鎖脂肪族アミドアルキル3級アミンまたはその塩;パルミテートエステルプロピルジメチルアミン、ステアレートエステルプロピルジメチルアミン等の脂肪族エステルアルキル3級アミンまたはその塩;パルミチン酸ジエタノールアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエタノールアミノプロピルアミド等が挙げられる。これらカチオン界面活性剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
中でも、カプリル酸ジメチルアミノプロピルアミド、カプリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジメチルアミノプロピルアミドまたはその塩が特に好ましい。これらの混合物もまた好ましい。
【0073】
また、カチオン界面活性剤としては、公知のカチオン界面活性剤の中から適宜選択して用いることができる。たとえば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等のカチオン界面活性剤を用いることもできる。
【0074】
(水)
本発明の液体洗浄剤は、水を含有するのが好ましい。
水の含有量は、液体洗浄剤の総質量を100質量%としたとき、5〜35質量%が好ましく、20〜35質量%がより好ましい。水の含有量が5質量%以上であれば、液体洗浄剤がゲル化しにくく、流動性と安定性を良好に維持できる。一方、水の含有量が35質量%以下であれば、(A)成分と(B)成分を最適な範囲で液体洗浄剤に含有させることができ、構造液体を形成しやすくなる。
【0075】
(溶剤)
本発明の液体洗浄剤は、溶剤を含有してもよい。溶剤としては、従来、衣料用洗浄剤等に配合されている溶剤を用いることができる。
溶剤としては、たとえば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコールなどのグリコール類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、平均分子量約200のポリエチレングリコール、平均分子量約400のポリエチレングリコール、平均分子量約1000のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのポリグリコール類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのアルキルエーテル類等が挙げられる。
水と溶剤の含有量の合計は、液体洗浄剤の総質量を100質量%としたとき、15〜45質量%が好ましく、25〜45質量%がより好ましい。水と溶剤の含有量の合計が15質量%以上であれば、液体洗浄剤がゲル化しにくく、流動性と安定性を良好に維持できる。一方、水と溶剤の含有量の合計が45質量%以下であれば、(A)成分と(B)成分を最適な範囲で液体洗浄剤に含有させることができ、構造液体を形成しやすくなる。
【0076】
(無機塩)
本発明の液体洗浄剤は、無機塩を含有してもよく、特に(C)成分との併用が好ましい。無機塩は(C)成分の親水基がもつ電荷のチャージをキャンセルできるので、構造液体をより形成しやすくなる。
無機塩としては、たとえば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウム等が挙げられる。
【0077】
無機塩は1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
無機塩の含有量は、液体洗浄剤の総質量を100質量%としたとき、0.2〜1質量%が好ましい。無機塩の含有量が0.2質量%以上であれば、洗浄力が向上する。一方、無機塩の含有量が1質量%以下であれば、過剰塩による洗浄力低下を抑制できる。
【0078】
(水溶性粒子、水不溶性粒子)
本発明の液体洗浄剤は、液体洗浄剤を構成する成分に溶けにくい粒子(すなわち、水溶性粒子、および水不溶性粒子)を含有していてもよい。
このような粒子としては、具体的には、カプセル香料やそれに代わる有効成分を含有する包剤、特有の製品審美性を付与するためのビーズおよび真珠光沢剤、ベントナイト、カルボキシメチルセルロース(CMC)、Laponite S482、クラスターデキストリン等が挙げられる。
カプセル香料としては、フィルメニッヒ社製のBLUEFLOWERPOP「FFMHN2814」;ジボダン社製のAURORACAPS、およびCOSMICCAPS;IFF社製のUNICAP101、およびUNICAP503等が挙げられる。
発明の液体洗浄剤は、クラスターデキストリンを含有してもよく、クラスターデキストリンを含有することにより残香性をより高めることができる。クラスターデキストリン(高度分岐環状デキストリン)の具体例としては、グリコ栄養食品株式会社の「クラスターデキストリン」(登録商標)が挙げられる。 これら粒子は1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
水溶性粒子および水不溶性粒子からなる群から選択されるすくなくとも1つの成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量を100質量%としたとき、0.05〜5質量%が好ましい。
【0079】
(尿素またはその誘導体)
本発明の液体洗浄剤は、尿素又はその誘導体を含有してもよく、特に化合物(A1)との併用が好ましい。尿素またはその誘導体としては、尿素[CO(NH
2)
2]、尿素複塩、これら以外の尿素の誘導体等が挙げられる。
尿素複塩としては、HNO
3・CO(NH
2)
2、H
3PO
4・CO(NH
2)
2、H
2C
2O
4・2CO(NH
2)
2、Ca(NO
3)
2・4CO(NH
2)
2、CaSO
4・4CO(NH
2)
2、Mg(NO
3)
2・CO(NH
2)
2・2H
2O、CaSO
4・(5〜6)4CO(NH
2)
2・2H
2O等を用いることができる。
本発明において「尿素の誘導体」は、下記の一般式(d−1)で表される部分構造を有する化合物を包含する。尿素の誘導体のなかでも、一般式(d−2)で表される化合物が好適な化合物として挙げられる。
【0080】
【化10】
(前記式(d−2)中、R
aは、メチル基、エチル基、または炭素数1〜2のヒドロキシアルキル基であり;R
b、R
cおよびR
dは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基である。)
【0081】
前記式(d−2)で表される化合物としては、たとえば、1,3−ジメチル尿素、N−(2−ヒドロキシエチル)尿素等が挙げられる。
尿素は、1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
液体洗浄剤中の尿素の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜15質量%であり、さらに好ましくは1〜10質量%である。含有量が上限値を超えると、保存後に分解物としてアンモニアが発生しやすくなり、液体洗浄剤製品としてにおいが問題となることがある。
【0082】
(シリコーン)
本発明の液体洗浄剤は、シリコーンを含有してもよい。シリコーンを含有することによりすすぎ性及び製造時の泡抑制をより高めることができる。
シリコーンとしてはポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等が挙げられ、中でもポリエーテル変性シリコーンが好ましい。
ポリエーテル変性シリコーンとしては、官能基としてポリエチレンオキシドやポリプロピレンオキシド等のポリエーテル基を有していれば、特に限定されるものではない。また、ポリエチレンオキシドやポリプロピレンオキシド等のポリエーテル基が導入されていれば、他の官能基が導入されていてもよい。
【0083】
商業的に入手可能なポリエーテル変性シリコーンとしては、東レ・ダウコーニング株式会社製のSH3772M、SH3775M、SH3749、SF8410、SH8700、BY22−008、SF8421、SILWET L−7001、SILWET L−7002、SILWET L−7602、SILWET L−7604、SILWET FZ−2104、SILWET FZ−2164、SILWET FZ−2171、ABN SILWET FZ−F1−009、ABN SILWET FZ−F1−009−05、ABN SILWET FZ−F1−009−09、ABN SILWET FZ−F1−009−54、ABN SILWET FZ−2222(以上、商品名);信越化学工業株式会社製のKF352A、KF6008、KF615A、KF6016、KF6017(以上、商品名);GE東芝シリコーン株式会社製のTSF4450、TSF4452(以上、商品名)等が挙げられる。
またシリコーン消泡剤としては、信越化学工業株式会社製のKM−7750、KM−90、KM−98、KS−538、KS−66、KS−69(以上、商品名)等が挙げられる。
これらは、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0084】
(その他の任意成分)
本発明の液体洗浄剤は、液体洗浄剤として許容され得るその他の任意成分を含有していてもよい。
液体洗浄剤として許容され得るその他の任意成分としては、液体洗浄剤の分野において知られた、分散媒、ハイドロトロープ剤、洗浄性ビルダー、安定化剤(たとえば、安息香酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、多価アルコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル等)、アルカリ剤(たとえば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等)、金属イオン捕捉剤(たとえば、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、ジグリコール酸、酒石酸、クエン酸、またはそれらの塩等)、シリコーン等の風合い向上剤、防腐剤、蛍光剤、移染防止剤、パール剤、酸化防止剤(たとえば、ジブチルヒドロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等)、酵素、着色剤として汎用の色素および顔料、着香剤および乳濁化剤等の添加剤、pH調整剤等が挙げられる。
【0085】
また、本発明の液体洗浄剤は、従来、衣料用洗浄剤等に配合されている酵素を含有できる。酵素を含有することで塗布洗浄力がより向上する。
なお、本発明において「酵素」とは、酵素製剤のことを示す。
酵素としては、たとえばプロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、セルラーゼ等が挙げられる。
【0086】
プロテアーゼとしては、セリンプロテアーゼのように、分子内にセリン、ヒスチジン、及びアスパラギン酸を有するプロテアーゼが好ましい。
プロテアーゼの具体例としては、プロテアーゼ製剤としてノボザイムズ社から入手できる商品名Savinase16L、Savinase Ultra 16L、Savinase Ultra 16XL、Everlase 16L TypeEX、Everlase Ultra 16L、Esperase 8L、Alcalase 2.5L、Alcalase Ultra 2.5L、Liquanase 2.5L、Liquanase Ultra 2.5L、Liquanase Ultra 2.5XL、Coronase 48L;ジェネンコア社から入手できる商品名Purafect L、Purafect OX、Properase L等が挙げられる。
アミラーゼの具体例としては、アミラーゼ製剤としてノボザイムズ社から入手できる商品名Termamyl 300L、Termamyl Ultra 300L、Duramyl 300L、Stainzyme 12L、Stainzyme Plus 12L;ジェネンコア社から入手できる商品名Maxamyl;天野エンザイム株式会社から入手できる商品名プルラナーゼアマノ;生化学工業株式会社から入手できる商品名DB−250等が挙げられる。
【0087】
リパーゼの具体例としては、リパーゼ製剤としてノボザイムズ社から入手できる商品名Lipex 100L、Lipolase 100L等が挙げられる。
セルラーゼの具体例としては、ケアザイム4500L(商品名、ノボザイムズ社製、還元糖生成量:253.2μM)、ケアザイムプレミアム4500L(商品名、ノボザイムズ社製、還元糖生成量:307.0μM)、エンドラーゼ5000L(商品名、ノボザイムズ社製、還元糖生成量:187.0μM)、セルクリーン4500T(商品名、ノボザイムズ社、還元糖生成量:120.6μM)等のエンドグルカナーゼ製剤が挙げられる。
このうち、ケアザイム4500L、ケアエンザイムプレミアム4500Lが好ましく、ケアザイムプレミアム4500Lがより好ましい。
マンナナーゼの具体例としては、マンナナーゼ製剤としてノボザイムズ社から入手できる商品名Mannaway 4L等が挙げられる。
これら酵素は1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
酵素の含有量は、液体洗浄剤100質量%に対して、0.1〜3質量%が好ましい。
【0088】
液体洗浄剤として許容され得るその他の任意成分のもう1つの側面としては、安定化剤、カチオン界面活性剤、pH調整剤、シリコーン、香料、水、アルカリ剤、酵素、尿素、クラスターデキストリン、および分散媒からなる群から選択される少なくとも1つの成分であることが好ましい。
液体洗浄剤として許容され得るその他の任意成分のもう1つの側面としては、
安息香酸ナトリウム、クエン酸、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、アルキルトリメチルアンモニウム塩、水酸化ナトリウム、シリコーン、香料、水、エタノールアミン、コロナーゼ、尿素、クラスターデキストリン、パラトルエンスルホン酸、ポリエチレングリコール、エタノール、ブチルカルビトール(ブチルジグリコール)、プロピレングリコール、およびクメンスルホン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1つの成分であることが好ましい。
【0089】
<各成分の含有量>
(全界面活性剤の含有量)
液体洗浄剤中に含まれる全ての界面活性剤(以下、「全界面活性剤」ともいう。)の含有量は、液体洗浄剤の総質量を100質量%としたとき、45質量%以上である。全界面活性剤の含有量が45質量%以上であれば、液体洗浄剤に高い洗浄性能を付与することができるとともに、構造液体を維持できる。全界面活性剤の含有量は、51質量%以上が好ましく、51質量%超がより好ましく、54質量%以上が特に好ましい。また、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。全界面活性剤の含有量が80質量%を超えると、液体洗浄剤がゲル化しやすくなり、安定性が低下する場合がある。
すなわち、全界面活性剤の含有量は、液体洗浄剤100質量%に対して、45質量%以上、80質量%以下であり、51質量%以上、80質量%以下が好ましく、51質量%超、70質量%以下がより好ましく、54質量%以上、60質量%以下がさらに好ましい。
なお、ここでいう全界面活性剤とは、(A)成分、(C)成分および任意成分として含まれる界面活性剤を全て合わせた含有量を意味する。
【0090】
((A)成分の含有量)
(A)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量を100質量%としたとき、1〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、15〜45質量%がさらに好ましい。(A)成分の含有量が1質量%以上であれば、良好な洗浄力が得られる。一方、(A)成分の含有量が70質量%以下であれば、経時に伴うゲル化が起こりにくくなる。
【0091】
((B)成分の含有量)
(B)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量を100質量%としたとき、0.1〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましく、0.3〜4質量%がさらに好ましい。(B)成分の含有量が0.1質量%以上であれば、良好な洗浄力を発現できる。一方、(B)成分の含有量が10質量%以下であれば、固化を起こすリスクが低減される。
【0092】
((C)成分の含有量)
(C)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量を100質量%としたとき、1〜20質量%が好ましく、3〜18質量%がより好ましく、5〜16質量%がさらに好ましい。(C)成分の含有量が1質量%以上であれば、洗浄性能、特に塗布洗浄力が向上する。一方、(C)成分の含有量が20質量%以下であれば、液安定性が向上する。
【0093】
((A)成分/(B)成分)
(A)成分と(B)成分との質量比((A)成分/(B)成分)は15〜150が好ましく、37.5〜110がより好ましく、60〜100がさらに好ましい。(B)成分の比率が高すぎると、ゲル化を生じるため、液体洗浄剤の流動性や安定性が低下する場合がある。一方、(B)成分の比率が低すぎると、塗布洗浄力が良好となりにくい。
【0094】
((C)成分/(A)成分)
(C)成分と(A)成分との質量比((C)成分/(A)成分)は0.02〜0.7が好ましく、0.06〜0.5がより好ましく、0.1〜0.3がさらに好ましい。(C)成分の比率が高すぎると、洗浄力が低下する場合がある。一方、(C)成分の比率が低すぎると、タンパク洗浄力や再汚染が悪化する。
【0095】
<物性>
(粘度)
本発明の液体洗浄剤は、25℃におけるB型粘度計(TOKIMEC社製、ロータNo.2又は3)による60rpmでの粘度が50〜1000mPa・sであることが好ましく、75〜800mPa・sであることがより好ましく、100〜500mPa・sであることがさらに好ましい。
また、25℃におけるB型粘度計(TOKIMEC社製、ロータNo.2又は3)による6rpmでの粘度が500〜5000mPa・sであることが好ましく、500〜3000mPa・sであることがより好ましく、500〜2000mPa・sであることがさらに好ましい。
さらに、6rpmでの粘度と60rpmでの粘度との比で表されるTI値(6rpmでの粘度/60rpmでの粘度)が2以上であることが好ましい。TI値はチキソトロピー性を表す指標であり、TI値が大きいほどチキソトロピー性が高く、せん断速度の変化による粘度差が大きいことを意味する。つまり、TI値が大きいほど、低せん断力では高粘度、高せん断力では低粘度となるような液体洗浄剤となる。
本明細書において、粘度は、特に断りのない限り、25℃における値で定義する。すなわち、本明細書に規定した範囲外の値であっても、25℃における値に補正したとき本明細書に規定した範囲の粘度の値であれば、それらは本発明の範囲に含まれる。
【0096】
(pH)
本発明の液体洗浄剤は、25℃におけるpHが6〜9であることが好ましく、7〜8であることがより好ましい。pHが6〜9であることにより、特に、液体洗浄剤を長期間保存しても、経時安定性を良好に保つことができる。
液体洗浄剤(25℃に調温)のpHは、pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製、「HM−30G」)等により測定される値を示す。
本明細書において、pHは、特に断りのない限り、25℃における値で定義する。すなわち、本明細書に規定した範囲外のpH値であっても、25℃におけるpH値に補正したとき本明細書に規定した範囲のpH値であれば、それらは本発明の範囲に含まれる。
【0097】
本発明の液体洗浄剤のpHはpH調整剤により調整できる。pH調整剤としては、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸;多価カルボン酸類、ヒドロキシカルボン酸類等の有機酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミン、アンモニア等が挙げられる。これらのなかでも、液体洗浄剤の経時安定性の面から、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミンが好ましく、硫酸、水酸化ナトリウムが好ましい。
pH調整剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。たとえば、一定量の硫酸、水酸化ナトリウム等を添加することにより制御した場合、さらに、pHの微調整用として無機酸(好ましくは塩酸、硫酸)または水酸化カリウム等をさらに添加することができる。
【0098】
<製造方法>
本発明の液体洗浄剤の製造方法は、常法に基づいて製造することができる。たとえば、(A)成分と、(C)成分と、必要に応じて任意成分とを、水の一部に分散させた後、前記成分を分散させた溶液を(B)成分の融点まで加温し、前記加温した溶液に、に融点まで加温した(B)成分を添加する。その後、任意のpHに調整し、水の残部を加えて、液体洗浄剤を得る。この際、ゲル化形成を抑制できる点で、(A)成分と(C)成分と必要に応じて任意成分とを配合することから始めることが好ましい。
すなわち、本発明の液体洗浄剤の製造方法としては、
(A)成分と、(C)成分と、所望によりその他の成分とを、水の一部に分散させること;
前記成分を分散させた溶液を(B)成分の融点まで加温すること;
前記加温した溶液に、融点まで加温した(B)成分を添加すること;
前記(B)成分を添加して得られた溶液のpHを調整すること;および
前記pHを調整した溶液に前記水の残部を加えること、
を含む液体洗浄液の製造方法が挙げられる。
【0099】
<使用方法>
本発明の液体洗浄剤は、衣料用液体洗浄剤の通常の使用方法と同様の方法で用いることができる。たとえば、液体洗浄剤を洗濯時に洗濯物と一緒に水に投入する方法(通常洗浄)、液体洗浄剤を泥汚れや皮脂汚れ等の汚れ部位に直接塗布する方法(塗布洗浄)、液体洗浄剤を予め水に溶かして衣類を浸漬する方法(漬け置き洗浄)等が挙げられる。また、液体洗浄剤を洗濯物に塗布し、または、液体洗浄剤の希釈液中に衣類を浸漬して適宜放置した後、洗濯機により洗濯する方法等も挙げられる。
【0100】
<作用効果>
以上説明した本発明の液体洗浄剤は、(A)成分と(B)成分と(C)成分とを含有するので、疎水性汚れに対する洗浄力が高く、さらに構造液体が形成される。よって、本発明の液体洗浄剤は構造液体によるチキソトロピー性を有し、せん断力をかけない状態では高粘度、せん断力をかけた状態では低粘度となるような粘度特性を有する。つまり、本発明の液体洗浄剤はせん断力をかけない状態、すなわち静止に近い状態では高粘度であるため、衣類等付着した汚れに直接塗布しても衣類に浸透しにくく、液体洗浄剤が布上に留まりやすい。よって、本発明の液体洗浄剤であれば、優れた塗布洗浄力を発揮できる。
しかも、本発明の液体洗浄剤はせん断力をかけた状態、すなわち液体洗浄剤が保存された容器を傾けたり、液体洗浄剤を攪拌したり、液体洗浄剤に圧力を加えたりした状態では低粘度である。よって、本発明の液体洗浄剤であれば、容器内の液体洗浄剤をキャップに注ぎやすく、キャップから洗濯機の投入口への排出性や投入口からの排出性も良好であり、使用性に優れる。
【0101】
化合物(A4)は、少ない使用量(低濃度)でも高い洗浄効果を発揮する。加えて、他の非イオン界面活性剤(汎用のアルコールエトキシレート等)に比べて、被洗物に吸着しにくいという特性を有する。本発明においては、化合物(A4)と(B)成分とを組み合わせることにより、被洗物に化合物(A4)が吸着しにくいことで、(B)成分が優先的に吸着しやすくなる。このため、(B)成分の吸着により、洗濯脱水後の含水率がより低減しやすくなって、被洗物が乾きやすくなる速乾性付与という特異な効果も発現すると推測される。このような効果は、特にアクリル繊維やポリエステル繊維等の化学繊維を含む被洗物に対して顕著である。
【0102】
また、本発明の液体洗浄剤は、界面活性剤を高濃度で配合しているので、構造液体を維持しやすく、かつ塗布洗浄における洗浄力はもちろんのこと、通常洗浄における洗浄力にも優れる。また、本発明の液体洗浄剤は、すすぎ時に良好な泡切れがよいため、すすぎ回数を減らすこともできる。
【0103】
ところで、洗浄剤に対しては、従来よりも高付加価値を有する製品が求められている。
たとえば、洗濯後の衣料等に十分な香りを付与したり、衣料等の着用中にも発香したりするためにカプセル香料やそれに代わる有効成分を含有する包剤、特有の製品審美性を付与するためのビーズ等の水溶性粒子および水不溶性粒子を配合した洗浄剤等が開発されている。粉末洗浄剤であれば、水溶性粒子や水不溶性粒子を均一に安定して分散させることができるが、液体洗浄剤の場合は水溶性粒子および水不溶性粒子が浮遊または沈降しやすく、均一に分散させることが困難であった。
しかし、本発明の液体洗浄剤であれば、構造液体を形成しているので、水溶性粒子および水不溶性粒子を均一に安定して分散させることもできる。
【0104】
本発明のその他の態様としては、
下記(A)成分、下記(B)成分、下記(C)成分、水、および所望により液体洗浄剤として許容され得る成分を含有し、
全ての界面活性剤の含有量の合計が、液体洗浄剤の総質量に対して、45質量%以上、80質量%以下である液体洗浄剤:
(A)成分:下記一般式(a−1)で表される化合物、下記一般式(a−2)で表される化合物、および下記一般式(a−4)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含むノニオン界面活性剤;
(B)成分:下記一般式(b−1)で表される化合物、および炭素数6以上、18以下のアルコールからなる群から選択される少なくとも1つの化合物; および、
(C)成分:アニオン界面活性剤;
【0105】
【化11】
(式(a−1)中、R
1は炭素数9〜13の炭化水素基であり、R
2は炭素数2〜4のアルキレン基であり、R
3は炭素数1〜4のアルキル基であり、mはOR
2の平均繰り返し数を示す5〜25の数である。)
【0106】
【化12】
(式(a−2)中、R
4は炭素数10〜20の炭化水素基であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、sはEOの平均繰り返し数を示す5〜20の数であり、tはPOの平均繰り返し数を示す1〜4の数であり;[−(EO)
s−(PO)
t−]とは、EOとPOは、式−(EO)
s−(PO)
t−の順序によらず、混在して配列してもよいことを表す。)
【0107】
【化13】
(式(a−4)中、R
1は炭素数10〜20の炭化水素基であり;A
1OおよびA
2Oはそれぞれ独立に炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり;pはA
1Oの平均繰返し数を表し、qはA
2Oの平均繰返し数を表し、p>0、q>0であり、p+qは10以上、60未満の数である。)
【0108】
【化14】
(式(b−1)中、Z
1〜Z
3はそれぞれ独立して水素原子、ヒドロキシ基、またはカルボキシ基であり、a+b=7〜19であり、c+d=7〜19であり、e+f=7〜19である。);
が挙げられる。
【0109】
本発明のその他の態様としては、
下記(A)成分、下記(B)成分、下記(C)成分、水、および所望により液体洗浄剤として許容され得る成分を含有し、
全ての界面活性剤の含有量の合計が、液体洗浄剤の総質量に対して、45質量%以上、80質量%以下である液体洗浄剤:
(A)成分:前記式(a−1)で表される化合物、前記式(a−2)で表される化合物および前記式(a−4)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物と、下記一般式(a−3)で表される化合物と、を含むノニオン界面活性剤;
(B)成分:前記式(b−1)で表される化合物、および炭素数6以上、18以下のアルコールからなる群から選択される少なくとも1つの化合物; および
(C)成分:アニオン界面活性剤;
【0110】
【化15】
(式(a−3)中、R
5は炭素数10〜22の炭化水素基であり、EOはオキシエチレン基であり、nはEOの平均繰り返し数を示す5〜20の数である。);
が挙げられる。
【0111】
本発明のその他の態様としては、
下記(A)成分、下記(B)成分、下記(C)成分、水、および所望により液体洗浄剤として許容され得る成分を含有し、
全ての界面活性剤の含有量の合計が、液体洗浄剤の総質量に対して、45質量%以上、80質量%以下である液体洗浄剤:
(A)成分:前記式(a−1)で表される化合物、下前記式(a−2)で表される化合物、および前記式(a−4)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含むノニオン界面活性剤;
(B)成分:下記一般式(b1−1)で表される化合物(B1−1)、下記一般式(b1−2)で表される化合物(B1−2)、および炭素数6以上、18以下のアルコールからなる群から選択される少なくとも1つの化合物; および
(C)成分:アニオン界面活性剤;
【0112】
【化16】
(式(b1−1)中、Z
1〜Z
3はヒドロキシ基であり、a+b=7〜19であり、c+d=7〜19であり、e+f=7〜19である。);
【0113】
【化17】
(式(b1−2)中、Z
1〜Z
3は水素原子であり、a+b=7〜19であり、c+d=7〜19であり、e+f=7〜19である。);
が挙げられる。
【0114】
本発明のその他の態様としては、
下記(A)成分、下記(B)成分、下記(C)成分、水および所望により液体洗浄剤として許容され得る成分を含有し、
全ての界面活性剤の含有量の合計が、液体洗浄剤の総質量に対して、45質量%以上、80質量%以下である液体洗浄剤:
(A)成分:前記式(a−1)で表される化合物、前記式(a−2)で表される化合物、および前記式(a−4)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含むノニオン界面活性剤;
(B)成分:前記式(b−1)で表される化合物、および炭素数6以上、18以下のアルコールからなる群から選択される少なくとも1る化合物; および
(C)成分:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸またはその塩;アルカンスルホン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩;炭素数2〜4のアルキレンオキシドのいずれか、またはエチレンオキシド(EO)とプロピレンオキシド(PO)(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)を、平均0.5〜10モル付加した炭素数10〜20の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基(またはアルケニル基)を有するアルキル(またはアルケニル)エーテル硫酸エステル塩;α−オレフィンスルホン酸塩;および高級脂肪酸塩からなる群から選択される少なくとも1つのアニオン界面活性剤;
が挙げられる。
【0115】
本発明のその他の態様としては、
下記(A)成分、下記(B)成分、下記(C)成分、水、および液体洗浄剤として許容され得る成分を含有し、
全ての界面活性剤の含有量の合計が、液体洗浄剤の総質量に対して、45質量%以上、80質量%以下である液体洗浄剤:
(A)成分:前記式(a−1)で表される化合物、前記式(a−2)で表される化合物、および前記式(a−4)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物と、前記式(a−3)で表される化合物と、を含むノニオン界面活性剤;
(B)成分:前記式(b1−1)で表される化合物(B1−1)、前記式(b1−2)で表される化合物(B1−2)、および炭素数6以上、18以下のアルコールからなる群から選択される少なくとも1つの化合物; および
(C)成分:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸またはその塩;アルカンスルホン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩;炭素数2〜4のアルキレンオキシドのいずれか、またはエチレンオキシド(EO)とプロピレンオキシド(PO)(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)を、平均0.5〜10モル付加した炭素数10〜20の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基(またはアルケニル基)を有するアルキル(またはアルケニル)エーテル硫酸エステル塩;α−オレフィンスルホン酸塩;および高級脂肪酸塩からなる群から選択される少なくとも1つのアニオン界面活性剤;
が挙げられる。
【0116】
本発明のその他の態様としては、
下記(A)成分、下記(B)成分、下記(C)成分、水、尿素およびクラスターデキストリンからなる群から選択される少なくとも1つの成分、および所望により液体洗浄剤として許容され得る成分を含有し、
全ての界面活性剤の含有量の合計が、液体洗浄剤の総質量に対して、45質量%以上、80質量%以下である液体洗浄剤:
(A)成分:前記式(a−1)で表される化合物、前記式(a−2)で表される化合物、および前記式(a−4)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物と、前記式(a−3)で表される化合物と、を含むノニオン界面活性剤;
(B)成分:前記式(b1−1)で表される化合物(B1−1)、前記式(b1−2)で表される化合物(B1−2)、および炭素数6以上、18以下のアルコールからなる群から選択される少なくとも1つの化合物;および
(C)成分:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸またはその塩;アルカンスルホン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩;炭素数2〜4のアルキレンオキシドのいずれか、またはエチレンオキシド(EO)とプロピレンオキシド(PO)(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)を、平均0.5〜10モル付加した炭素数10〜20の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基(またはアルケニル基)を有するアルキル(またはアルケニル)エーテル硫酸エステル塩;α−オレフィンスルホン酸塩;および高級脂肪酸塩からなる群から選択される少なくとも1つのアニオン界面活性剤;
が挙げられる。
【0117】
本発明のその他の態様としては、
下記(A)成分、下記(B)成分、下記(C)成分、水、および所望により液体洗浄剤として許容され得る成分を含有する液体洗浄剤であり、
前記液体洗浄剤の総質量に対して、
全ての界面活性剤の含有量の合計が、45質量%以上、80質量%以下であり、
前記(A)成分が、1〜70質量%、
前記(B)成分が、0.1〜10質量%、
前記(C)成分が、1〜20質量%、
前記水が、5〜35質量%であり、かつ
前記各成分の合計量が100質量%を超えない、液体洗浄剤:
(A)成分:前記式(a−1)で表される化合物、前記式(a−2)で表される化合物、および前記式(a−4)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含むノニオン界面活性剤;
(B)成分:前記式(b−1)で表される化合物、および炭素数6以上、18以下のアルコールからなる群から選択される少なくとも1つの化合物; および
(C)成分:アニオン界面活性剤;
が挙げられる。
【0118】
本発明のその他の態様としては、
下記(A)成分、下記(B)成分、下記(C)成分、水、および所望により液体洗浄剤として許容され得る成分を含有する液体洗浄剤であり、
前記液体洗浄剤の総質量に対して、
全ての界面活性剤の含有量の合計が、45質量%以上、80質量%以下であり、
前記(A)成分が、1〜70質量%、
前記(B)成分が、0.1〜10質量%、
前記(C)成分が、1〜20質量%、および
前記水が、5〜35質量%であり、かつ
前記各成分の合計量が100質量%を超えず;
前記(C)成分と前記(A)成分との質量比である(C)成分/(A)成分が0.02〜0.7であり;
前記(A)成分と前記(B)成分との質量比である(A)成分/(B)成分が15〜150である、
液体洗浄剤:
(A)成分:前記式(a−1)で表される化合物、前記式(a−2)で表される化合物、および前記式(a−4)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含むノニオン界面活性剤;
(B)成分:前記式(b−1)で表される化合物、および炭素数6以上、18以下のアルコールからなる群から選択される少なくとも1つの化合物;および
(C)成分:アニオン界面活性剤;
が挙げられる。
【0119】
本発明のその他の態様としては、
下記(A)成分、下記(B)成分、下記(C)成分、水、および所望により液体洗浄剤として許容され得る成分を含有する液体洗浄剤であり、
前記液体洗浄剤の総質量に対して、
全ての界面活性剤の含有量の合計が、45質量%以上、80質量%以下であり、
前記(A)成分が、1〜70質量%、
前記(B)成分が、0.1〜10質量%、
前記(C)成分が、1〜20質量%、および
前記水が、5〜35質量%であり、かつ
前記各成分の合計量が100質量%を超えず;
前記(C)成分と前記(A)成分との質量比である(C)成分/(A)成分が0.02〜0.7であり;
下記化合物(A1)および下記化合物(A2)の合計と下記化合物(A3)との質量比である化合物(A1)および化合物(A2)の合計/化合物(A3)が、0.02〜4.5である
液体洗浄剤:
(A)成分:前記式(a−1)で表される化合物(A1)、前記式(a−2)で表される化合物(A2)および前記式(a−4)で表される化合物(A4)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物と、前記式(a−3)で表される化合物(A3)と、を含むノニオン界面活性剤;
(B)成分:前記式(b−1)で表される化合物、および炭素数6以上、18以下のアルコールからなる群から選択される少なくとも1つの化合物;および
(C)成分:アニオン界面活性剤;
が挙げられる。
【0120】
本発明のその他の態様としては、
下記(A)成分、下記(B)成分、下記(C)成分、水、および所望により液体洗浄剤として許容され得る成分を含有する液体洗浄剤であり、
前記液体洗浄剤の総質量に対して、
全ての界面活性剤の含有量の合計が、45質量%以上、80質量%以下であり、
前記(A)成分が、1〜70質量%、
前記(B)成分が、0.1〜10質量%、
前記(C)成分が、1〜20質量%、および
前記水が、5〜35質量%であり、かつ
前記各成分の合計量が100質量%を超えず;
前記(C)成分と前記(A)成分との質量比である(C)成分/(A)成分が0.02〜0.7である、
液体洗浄剤:
(A)成分:前記式(a−1)で表される化合物(A1)、前記式(a−2)で表される化合物(A2)および前記式(a−4)で表される化合物(A4)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物と、前記式(a−3)で表される化合物(A3)と、を含むノニオン界面活性剤;
(B)成分:前記式(b1−1)で表される化合物(B1−1)、前記式(b1−2)で表される化合物(B1−2)、および炭素数6以上、18以下のアルコールからなる群から選択される少なくとも1つの化合物; および
(C)成分:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸またはその塩;アルカンスルホン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩;炭素数2〜4のアルキレンオキシドのいずれか、またはエチレンオキシド(EO)とプロピレンオキシド(PO)(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)を、平均0.5〜10モル付加した炭素数10〜20の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基(またはアルケニル基)を有するアルキル(またはアルケニル)エーテル硫酸エステル塩;α−オレフィンスルホン酸塩;および高級脂肪酸塩からなる群から選択される少なくとも1つのアニオン界面活性剤。
【実施例】
【0121】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0122】
[使用原料]
(A)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・A1−1:MEE(ヤシ脂肪酸メチル(質量比でラウリン酸メチル/ミリスチン酸メチル=8/2の混合物)に、アルコキシル化触媒を用いて、15モル相当のエチレンオキシドを付加して合成したノニオン界面活性剤、合成品)。上記一般式(a−1)におけるR
1が炭素数12、14のアルキル基、R
2がエチレン基、R
3がメチル基、mが15の化合物。以下のようにして合成した。
特開2000−144179号公報に記載の合成方法(サンプルDに対応するもの)に準じて合成した。すなわち、化学組成が2.5MgO・Al
2O
3・nH
2Oである水酸化アルミナ・マグネシウム(協和化学工業株式会社製、「キョーワード330」)を600℃で1時間、窒素雰囲気下で焼成して得られた焼成水酸化アルミナ・マグネシウム(未改質)触媒2.2gと、0.5N水酸化カリウムエタノール溶液2.9mLと、ラウリン酸メチルエステル280gと、ミリスチン酸メチルエステル70gとを4Lオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内で触媒の改質を行った。次いで、オートクレーブ内を窒素で置換した後、昇温し、温度180℃、圧力3×105Paに維持しつつ、エチレンオキシド1052gを導入し、撹拌しながら反応させた。さらに、反応液を80℃に冷却し、水159gと、濾別助剤として活性白土及び珪藻土をそれぞれ5gとを添加した後、触媒を濾別し、MEEを得た。
【0123】
・A2−1:EOPO(炭素数10〜14の1級アルコールに、平均9モルのエチレンオキシド、平均2モルのプロピレンオキシド、平均9モルのエチレンオキシドを順にブロック付加させたノニオン界面活性剤)。上記一般式(a−2)中におけるR
4が炭素数12、14のアルキル基、sが18、tが2の化合物。
【0124】
・A3−1:LMAO−1(天然アルコールCO−1214(P&G社製)に対して平均15モル相当のエチレンオキシドを付加したノニオン界面活性剤)。以下のようにして合成した。
天然アルコールCO−1214を861.2gと、30%NaOH水溶液2.0gとを耐圧型反応容器中に仕込み、容器内を窒素置換した。次に温度100℃、圧力2.0kPa以下で30分間脱水した後、容器内を160℃まで昇温して反応液を得た。次いで、反応液を攪拌しながらエチレンオキシド(ガス状)760.6gを、反応液中に徐々に加えた。この時、反応温度が180℃を超えないように添加速度を調節しながら、エチレンオキシドを吹き込み管で加えた。エチレンオキシドの添加終了後、温度180℃、圧力0.3MPa以下で30分間熟成した後、温度180℃、圧力6.0kPa以下で10分間、未反応のエチレンオキシドを留去した。次に、温度を100℃以下に冷却した後、反応物の1質量%水溶液のpHが約7になるように、70質量%p−トルエンスルホン酸を加えて中和し、LMAO−1を得た。
【0125】
・A3−2:LMAO−2(天然アルコールCO−1214(P&G社製)に対して平均8モル相当のエチレンオキシドを付加したノニオン界面活性剤)。以下のようにして合成した。
エチレンオキシドの導入量を507.4gに変更した以外は、前記LMAO−1の合成方法と同様にしてLMAO−2を得た。
【0126】
・A4−1:ポリオキシエチレン(20)ヘキサデシルアミン(上記一般式(a−4)中のR
1=炭素数16のアルキル基、オキシエチレン基の平均繰返し数20、p+q=20に相当)合成品。なお、A4−1は、以下のようにして合成した。
脂肪酸アミン(東京化成工業社製、n−ヘキサデシルアミン)をオートクレーブ(耐圧硝子工業社製)に仕込み、系内を窒素で置換した後、150℃に加熱し、エチレンオキシドを所定量に達するまで少量ずつ添加して、エチレンオキシド(EO)の平均付加モル数が2モルの3級アミンを合成した(一段階目)。次に、得られた3級アミンと、アルカリ触媒(NaOH;前記3級アミン100質量部に対して0.8質量部、40質量%NaOH水溶液を使用)とをオートクレーブに仕込み、系内を窒素で置換し、加温減圧による脱水を行った後、150℃に加熱し、エチレンオキシドを所定量に達するまで少量ずつ添加して、EOの平均付加モル数が20モルのA4−1を得た(二段階目)。反応後は、生成物を酢酸により中和処理した。また、アミン価測定により、分子量を算出したところ、1121であった。
【0127】
・A4−2:ステアリルアミンのエチレンオキサイド(13モル)プロピレンオキサイド(2モル)付加物(下記一般式(A4−2)中のR=炭素数18のアルキル基、x+y=2、a+b=13に相当)合成品。なお、A4−2は、以下のようにして合成した。
【0128】
【化18】
脂肪酸アミン(ライオンアクゾ株式会社、アーミン18D)をオートクレーブ(耐圧硝子工業社製)に仕込み、系内を窒素で置換した後、150℃に加熱し、プロピレンオキシドを所定量に達するまで少量ずつ添加して、プロピレンオキシド(PO)の平均付加モル数が2モルの3級アミンを合成した(一段階目)。次に、得られた3級アミンと、アルカリ触媒(40質量%NaOH水溶液を用いて0.8質量%分)とをオートクレーブに仕込み、系内を窒素で置換し、加温減圧による脱水を行った後、150℃に加熱し、エチレンオキシドを所定量に達するまで少量ずつ添加して、POの平均付加モル数が2モル、EOの平均付加モル数が13モルのポリオキシアルキレンステアリルアミン)を得た(二段階目)。反応後は、生成物を酢酸により中和処理した。また、アミン価測定により、分子量を算出したところ、939であった。
【0129】
(B)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・B1−1:ヒマシ硬化油(日油株式会社製、「カスターワックスAフレーク」)。
・B1−2:パーム硬化油(新日本理化株式会社製、「パーム極度硬化油A」)。
【0130】
(C)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・C−1:LAS−H(直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸(ライオン株式会社製、「ライポンLH−200」、純分96質量%))。
・C−2:ヤシ脂肪酸(日油株式会社製)。
・C−3:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステルモノエタノールアミン塩(炭素数10〜14の直鎖アルキル、PO平均付加モル数1、EO平均付加モル数3)
【0131】
任意成分として、以下に示す化合物を用いた。
・共通成分a:下記表1に示す。
・共通成分b:下記表2に示す。
・共通成分c:下記表3に示す。
・共通成分d:下記表4に示す。
・共通成分e:下記表5に示す。
・共通成分f:下記表6に示す。
【0132】
【表1】
【0133】
【表2】
【0134】
【表3】
【0135】
【表4】
【0136】
【表5】
【0137】
【表6】
【0138】
共通成分a〜fに含まれる各化合物は、以下の通りである。
・アミドアミン:ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド(東邦化学工業株式会社製)、カチオン界面活性剤。
・PTS−H:パラトルエンスルホン酸(テイカ株式会社製、「テイカトックス300」)。
・安息香酸Na:安息香酸ナトリウム(東亞合成株式会社製)。
・クエン酸:クエン酸(一方社油脂工業株式会社製)。
・PEG:ポリエチレングリコール。
・NaOH: 水酸化ナトリウム
・EtOH:エタノール(特定アルコール95度合成、日本アルコール販売株式会社製)。
・エタノールアミン:モノエタノールアミン(三井化学株式会社製)
・アルキルトリメチルアンモニウム塩:塩化ドデシルトリメチル(ライオン・アクゾ株式会社製)、カチオン界面活性剤。
・ブチルカルビトール:ブチルジグリコール。
・プロプレングリコール:1,2−プロパンジオール(ダウ・ケミカル社製)。
・クメンスルホン酸Na:クメンスルホン酸ナトリウム(テイカトックス株式会社製、「テイカトックスN5040」)。
・コロナーゼ:コロナーゼ48L(Novozymes社製)。
・シリコーン:シリコーンエマルジョン(信越化学工業株式会社製、「KM−98」)。
・香料A−1:特開2008−7872号公報の実施例に記載の香料組成物a−1−1。
・香料A−2:特開2002−146399号公報の表11〜18に記載の香料組成物A。
・香料B−1:BLUEFLOWERPOP「FFMHN2814」(フィルメニッヒ社製)。
・香料B−2:COSMICCAPS(ジボダン社製)。
・香料B−3:UNICAP503(IFF社製)。
・尿素::試薬、純正化学株式会社製
・クラスターデキストリン:グリコ栄養食品株式会社製
・水:精製水
【0139】
[実施例1〜26、比較例1〜6]
以下に示す製造方法により、表7〜9に記載の含有量(質量%)で各成分を含有する組成物を調整した。なお、溶媒として水(精製水)を使用し、表7〜9に記載の水以外の成分と水とを合わせて100質量%となるようにした。水の含有量は「バランス」とした。
【0140】
<製造方法>
500mLのビーカーに、(A)成分およびエタノールを入れ、マグネットスターラー(MITAMURA KOGYO INC.製)で十分に攪拌した。これに任意成分(水とエタノールを除く)と(C)成分とを添加し、この溶液の全体量が、液体洗浄剤の総質量に対して90質量%となるように水を加え、さらに攪拌した後、(B)成分の融点まで加温した。これに、融点まで加温した(B)成分を添加し、全体が均一になる(すなわち、各成分が均一に分散する)まで攪拌した。次いで、25℃でのpHが7.0になるようにpH調整剤(水酸化ナトリウムまたは硫酸)を適量添加した後、この溶液の全体量が液体洗浄剤の総質量に対して100質量%になるように水を加え、液体洗浄剤を得た。
得られた各液体洗浄剤について、以下に示す評価方法により塗布洗浄力、使用性、分散性、および速乾性を評価した。結果を表7〜9に示す。
【0141】
<評価方法>
(洗浄力の評価)
ホウレン草500gを洗い、根の部分を取り除いた。3DH硬水250mLをミキサー(National Soup&Fruit MX−V350)に入れ、ほうれん草を少量ずつ加え粉砕した。全てのホウレン草を前記ミキサーに入れた後、5分間回転し、完全にジュース状にした。
アイスバスにビーカーを入れ、その上にザルを設置し、さらに6枚重ねのガーゼを置き、先に得られたホウレン草ジュースを濾過した。このとき、ガーゼが目詰まりした場合はガーゼを取り換えた。ろ液をバット(29×22×4cm)に移し、綿布(#100 26×21cm)10枚を入れ、時々裏返しながら3分間浸漬した。
バットから綿布を取り出し、20〜30分毎に布の上下を逆さにしながら1晩放置した。その後、洗濯機(三菱電機株式会社製、「CW−C30A1−H」)で2分間すすぎ、30秒間脱水後、風乾させ暗所で保存し、ホウレン草汚れ布(汚染布)とした。
次いで、15℃で24時間保存後の液体洗浄剤0.1gを10枚の汚染布にそれぞれ塗布(液体洗浄剤0.1g/汚染布1枚)し、5分間放置した。その後、洗浄試験機(Terg−O−Tometer、UNITED STATES TESTING社製)に、前記汚染布と、市販のTシャツ(綿100%、B.V.D.社製)を投入した。なお、Tシャツの投入量は、全布質量が約45gとなるように調整した。
前記洗浄試験機の標準コースにより、洗浄10分間、すすぎ2回、脱水3分間を順次行う洗浄操作1回を行った。
洗浄操作後の汚染布を25℃、湿度65%RHの恒温恒湿室に24時間放置し、汚染布を乾燥した。
ホウレン草汚れの付着前の原布と、洗浄前のホウレン草汚れ布(汚染布)と、洗浄・乾燥後の汚染布のb値(反射率)を測色色差計(日本電色株式会社製、製品名:SE2000)を用いて測定し、下記(1)式によりホウレン草汚れに対する塗布洗浄力(%)を算出した。
塗布洗浄力(%)=(洗浄・乾燥後の汚染布のb値−洗浄前の汚染布のb値)/(原布のb値−洗浄前の汚染布のb値)×100 ・・・(1)
【0142】
ホウレン草汚れに対する塗布洗浄力の評価は、上式により算出される塗布洗浄力(%)を用いて、下記評価基準においてC、B、Aであれば塗布洗浄力が良好であると判定した。
なお、塗布洗浄力(%)には、汚染布10枚の平均点を用いた。
A:洗浄率が90%以上。
B:洗浄率が85%以上、90%未満。
C:洗浄率が80%以上、85%未満。
D:洗浄率が80%未満。
【0143】
(使用性の評価)
液体洗浄剤400gの入ったボトル(容量200mL)を25℃の恒温槽で放置した。3時間経過した後、恒温槽からボトルを取り出し、ボトルを傾けて内容物(液体洗浄剤)を透明のキャップに注ぎ入れる操作を行った。
液体洗浄剤をキャップに注ぎ入れるときの注ぎやすさの評価をパネラー10人で実施し、下記判断基準により採点した。10人の採点の平均点を下記評価基準に分類して、使用性を評価し、C、B、Aであれば使用性が良好であると判定した。
【0144】
判断基準:
1点:注ぎやすさは、比較例2に比べて非常に悪い。
2点:注ぎやすさは、比較例2に比べてやや悪い。
3点:比較例2または比較例2と同等。
4点:注ぎやすさは、比較例2に比べてややよい。
5点:注ぎやすさは、比較例2に比べて非常によい。
【0145】
評価基準:
A:平均点が4.5点以上。
B:平均点が4.0点以上、4.5点未満。
C:平均点が3.5点以上、4.0点未満。
D:平均点が3.5点未満。
【0146】
(分散性の評価)
100mLガラス瓶(広口規格びん:PS−No6)に液体洗浄剤を30g充填し、これにビーズ(東色ピグメント株式会社製、「PFL−RED 7155T Lot.0308」)を0.5g加えて分散させた。25℃の恒温槽に1日間保存した後、恒温槽からガラス瓶を取り出し、液体洗浄剤中のビーズの分散状態を目視にて確認し、下記評価基準に従って評価した。
A:ビーズが液体洗浄剤中に均一に分散している。
B:ビーズが浮遊または沈降している。
【0147】
<速乾性能の評価>
評価布として、市販品シャツ(株式会社ユニクロ製のヒートテック。衣類表示組成:アクリル40%、ポリエステル33%、レーヨン21%、ポリウレタン6%)を用いた。
(1)評価布の前処理
全自動洗濯機(株式会社東芝製の製品名AW−80VC)に、60℃の水道水34Lを入れた。そこに、衣料用洗剤(ライオン株式会社製の商品名ブルーダイヤ)30gを添加し、続けて前記市販品シャツを入れた。次いで、前記全自動洗濯機の標準コースにより、洗浄15分間、すすぎ3回、脱水7分間を順次行う洗浄操作を2回繰り返して行った。次に、衣料用洗剤を入れずに、上記と同様の洗浄操作を3回繰り返して行った。その後、自然乾燥させ、評価布として用いた。
(2)速乾性試験
全自動洗濯機(株式会社東芝製の製品名AW−80VC)に、15℃の水道水34Lを入れた。そこに、前記評価布3枚と、Tシャツ(綿100%)及び綿タオル(綿100%)とを投入した(Tシャツ及び綿タオルの投入量を、評価布3枚とTシャツと綿タオルとの全質量が1.7kgとなるように調整した)。
そこに、各例の液体洗浄剤10gを添加し、前記全自動洗濯機の標準コースにより、洗浄10分間、すすぎ1回、脱水3分間を順次行う洗浄操作1回を行った。
次いで、前記評価布を、温度25℃、相対湿度60%の恒温室(ESPEC CORP製のMODEL:TBR−2HAOPX)内で乾燥させた。
このとき、経時による乾燥後の質量を測定し、これを乾燥後重量とした。前記評価布の含水率を経時で追い、乾燥1時間後の含水率を測定した。
(3)速乾性能の評価
含水率(%)を下式に基づいて算出した。
含水率(%)=(経時での乾燥後重量(g)−初期重量(g))/経時での乾燥後重量(g)×100
速乾性能の評価は、上式により算出される含水率(%)を用い、乾燥後1時間後の比較例3の含水率を1とした時、各実施例における相対含水率を求め、
下記基準で評価をおこない、B、Aであれば速乾性能が良好であると判断した。
A:比較例3に対し、相対含水率が0.3以下
B:比較例3に対し、相対含水率が0.4以上0.6以下
C:比較例3に対し、相対含水率が0.7以上0.9以下
D:比較例3に対し、相対含水率が1.0以上
【0148】
【表7】
【0149】
【表8】
【0150】
【表9】
【0151】
表7および8から明らかなように、各実施例で得られた液体洗浄剤は、塗布洗浄力に優れ、使用性にも優れていた。
また、各実施例で得られた液体洗浄剤は、ビーズを均一に分散することもできた。この結果より、各実施例で得られた液体洗浄剤は、構造液体を形成していると考えられる。
【0152】
一方、表9から明らかなように、(A)成分を含有せず、かつ全界面活性剤の含有量が9質量%である比較例1の液体洗浄剤は、塗布洗浄力および使用性に劣っていた。
(A)成分を含有しない比較例2の液体洗浄剤は、使用性に劣っていた。
(B)成分を含有しない比較例3の液体洗浄剤は、塗布洗浄力および使用性に劣っていた。
全界面活性剤の含有量が39質量%である比較例4の液体洗浄剤は、塗布洗浄力および使用性に劣っていた。
(C)成分を含有しない比較例5の液体洗浄剤は、使用性に劣っていた。
また、比較例2〜5の場合、ビーズを均一に分散できなかった。よって、比較例2〜5の液体洗浄剤は、構造液体を形成しておらず、球状ミセルを形成していると考えられる。