(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6275129
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】ターゲットエリアでの所定の配光を得るための照明装置
(51)【国際特許分類】
F21V 14/06 20060101AFI20180129BHJP
F21V 14/04 20060101ALI20180129BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20180129BHJP
F21V 14/00 20180101ALI20180129BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20180129BHJP
G02B 3/14 20060101ALI20180129BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20180129BHJP
【FI】
F21V14/06
F21V14/04
F21V23/00 113
F21V14/00 200
F21S2/00 355
F21S2/00 330
G02B3/14
F21Y115:10
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-522240(P2015-522240)
(86)(22)【出願日】2013年7月20日
(65)【公表番号】特表2015-528188(P2015-528188A)
(43)【公表日】2015年9月24日
(86)【国際出願番号】IB2013055969
(87)【国際公開番号】WO2014013477
(87)【国際公開日】20140123
【審査請求日】2016年7月14日
(31)【優先権主張番号】61/673,915
(32)【優先日】2012年7月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】クロムプボエトス フロリス マリア ハーマンズ
(72)【発明者】
【氏名】ワーグマンス ウィーブ
(72)【発明者】
【氏名】マティーセック マーク
【審査官】
杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/027851(WO,A1)
【文献】
特表2011−530715(JP,A)
【文献】
特表2009−520457(JP,A)
【文献】
特表2011−511410(JP,A)
【文献】
特開2005−078005(JP,A)
【文献】
特開2011−054373(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0134047(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 14/06
F21S 2/00
F21V 14/00
F21V 14/04
F21V 23/00
G02B 3/14
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
ターゲットエリアでの所定の配光を得るための光学部品と、
を有し、
前記光学部品は、
作動力が付与されたときに、制御可能に形状を変化させることのできる材料を有する基板と、
前記基板の形状の変化に沿って形状が変化する1以上の光学素子と、
を有し、
前記基板は、更に、熱及びUV放射のうちの1以上である外部刺激によって、第1静的弾性率を有する第1状態から、第2静的弾性率を有する第2状態へと切り替えられることのできる材料を有し、前記第1静的弾性率は前記第2静的弾性率よりも小さく、静的弾性率は静的条件下での前記基板の応力に対する歪みの比率として算出され、前記材料は、前記第1状態において制御可能に形状を変化させることができ、作動力が付与されないときは、前記第2状態において寸法的に安定している、
照明装置。
【請求項2】
前記作動力は、前記基板の前記材料に付与される電圧である、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記基板の前記材料が、双安定電気活性ポリマ、双安定誘電性電気活性ポリマ、双安定電気活性エラストマ、及び双安定誘電性電気活性エラストマからなるグループから選択される材料を有する、請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記基板は、熱硬化性材料又はUV硬化性材料を有する、請求項1乃至3の何れか一項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記ターゲットエリアでの配光を測定するためのセンサを更に有する、請求項1乃至4の何れか一項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記センサは、光検出器又はカメラである、請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記光学部品の形状及び/又は状態を制御するためのコントローラを更に有する、請求項1乃至6の何れか一項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記センサによって得られ、前記コントローラに提出された信号に基づいて、前記光学部品の形状及び/又は状態を制御する、請求項5又は6に従属する請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記コントローラは、少なくとも1つの電極と、少なくとも1つの電源とを有する、請求項7又は8に記載の照明装置。
【請求項10】
前記コントローラは、前記基板の第1表面上に配置される第1電極と、前記第1表面と反対側の、前記基板の第2表面上に配置される第2電極とを有する、請求項9に記載の照明装置。
【請求項11】
前記コントローラは、前記基板の第1表面上の両端に配置される第1電極及び第3電極と、前記第1表面と反対側の、前記基板の第2表面上の両端に配置される第2電極及び第4電極とを有する、請求項9又は10に記載の照明装置。
【請求項12】
前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極、及び/又は前記第4電極は、分割電極である、請求項11に記載の照明装置。
【請求項13】
前記外部刺激は、前記光源によって提供される、請求項1乃至12の何れか一項に記載の照明装置。
【請求項14】
前記光学素子は、光反射素子、光屈折素子、光回折素子、及びこれらの組合せのうちの任意の1以上を有する、請求項1乃至13の何れか一項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源と、ターゲットエリアでの所定の配光を得るための光学部品とを有し、前記光学部品が、作動力が付与されたときに制御可能に形状を変化させることのできる材料を有する基板と、1以上の光学素子とを有する、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述の種類の照明装置は、原則として任意の屋内又は屋外のタイプの照明器具において用いられるが、特に、屋外照明アプリケーション用の照明器具において用いられる。照明器具の設置場所における柔軟度が、非常に望まれる。例えば屋外照明に対し、街の建築家は、ターゲットエリアでの所望の又は所要の配光を得るために、地面に対し固定された位置のポール上に照明器具を据え付けなければならない。したがって、配光を設定する可能性は、ポール上の位置に照明器具を固定する前に、当該位置を選ぶことに限定される。このことは、今度は、望ましくない照明ポールの混乱(クラッタ)を引き起こす。設置場所における更なる柔軟度は、照明器具をワイヤからつるすことによって既に得られているが、これは依然として、ワイヤの交差で街並みの風景を阻害する。
【0003】
米国特許出願公開第2010/029694A1号は、空間的に変化する電圧分布を用いた電圧制御アレンジメントによって作動される、反射性電気活性ポリマを有する照明装置を説明する。これにより、電気活性ポリマの反射面の形状は、所与の要求に連続的に適合され得る。
【0004】
こうした照明装置は、所与の要求に対する更なる適合性を提供する。しかしながら、こうした照明装置は、ターゲットエリアでの所望の又は所要の配光が提供される必要がある限りの間、連続的な電圧の付与を要するという欠点を有する。このことは、今度は、高エネルギ消費かつロバスト性がより低い照明装置をもたらす。
【0005】
本明細書において使用される場合、「ターゲットエリア」との用語は、配光、好ましくは光の角度強度分布が、本発明による照明装置のセットアップの一部として測定される、照明を必要とする任意の屋外又は屋内表面、及び任意の一時的又は仮想的なエリアを含む意図である。例として、屋外照明器具に関連するターゲットエリアは、例えば、街路、交通路、自転車道、舗装道路、歩道、及び類似のインフラ表面等の屋外表面であってよい。
【0006】
本明細書において使用される場合、「光学素子」との用語は、光源によって放射された光ビーム路を変えるために利用できる、任意の光学素子を含む意図である。しかしながら、光学素子との用語は、特に、光反射素子、光屈折素子、光回折素子、及びこれらの組合せのうちの任意の1以上を含む意図である。
【0007】
本明細書において使用される場合、「第1状態」との用語は、光学部品の基板の材料が、第1静的弾性率を有し、作動力を受けたときに形状を変化させることができる状態を指す。同様に、本明細書において使用される場合、「第2状態」との用語は、光学部品の基板の材料が、第2弾性率を有し、寸法的に安定している状態を指す。第1状態及び第2状態は、更に、第1静的弾性率が第2静的弾性率よりも小さいことによって規定される。材料の静的弾性率は通常、静的条件下での材料の応力に対する歪みの比率として算出されることが留意される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、この問題を克服し、エネルギ消費を低く保ちながら、ターゲットエリアでの所望の又は所要の配光を得ることによって、設置場所における更なる柔軟度を可能にする、ロバストな照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によると、この目的及び他の目的は、当初に説明されたような照明装置であって、基板は、更に、外部刺激によって、第1静的弾性率を有する第1状態から、第2静的弾性率を有する第2状態へと切り替えられることのできる材料を有し、第1静的弾性率は第2静的弾性率よりも小さく、静的弾性率は静的条件下での基板の応力に対する歪みの比率として算出され、材料は、第1状態において制御可能に形状を変化させることができ、作動力が付与されないときは、第2状態において寸法的に安定している、照明装置によって達成される。
【0010】
これにより、照明装置の光学素子が、立上げの間に特定の所望の状態にセットされ、次いで当該状態に固定されることのできる照明装置が達成される。このことは、照明建築家に、例えば街路といった照明されるべきエリアをカバーするために、こうした照明装置を有する多数の同一の照明器具を設置する自由だけでなく、立上げ時に各照明器具の各照明装置の照明プロファイル、すなわちターゲットエリアでの配光をカスタマイズする自由もまた与える。このことは、特定の照明器具の位置と照明されるエリアとの間の強い関連性を緩和し、したがって照明器具の設置場所における大きな柔軟度を提供する。
【0011】
更に、連続的に働く作動力はもはや必要とされず、このことは、顕著により単純で、よりロバストで、かつエネルギ効率のよい照明装置を提供する。
【0012】
実施形態において、作動力は、基板の材料に付与される電圧である。これにより、特に単純な構造を有する照明装置が提供される。
【0013】
実施形態において、照明装置は、光学部品の形状及び/又は状態を制御するためのコントローラを更に有する。
【0014】
これにより、精密な調節を提供する制御された態様で、配光が調節され得る照明装置が提供される。
【0015】
実施形態において、照明装置は、ターゲットエリアでの配光を測定するためのセンサを更に有する。
【0016】
これにより、所与の要求に従った正しい調節がターゲットエリアで達成されることを保証するために、ターゲットエリアでの配光が監視され得る照明装置が提供される。
【0017】
実施形態において、コントローラは、センサによって得られ、コントローラに提出された信号に基づいて、光学部品の形状及び/又は状態を制御する。
【0018】
これにより、特に単純で、効率的で、かつ正確な調節手順を提供するために、コントローラの利点とセンサの利点とが組み合わされた照明装置が提供される。
【0019】
センサは、光検出器、カメラ、及び裸眼のうちの任意の1以上であってよい。センサによって得られた信号は、例えば有線接続又は無線接続を介して自動的に、又は適切なインターフェースを通じて入力されることによる等の、任意の適切な手段によってコントローラに提出されてよい。
【0020】
実施形態において、コントローラは、少なくとも1つの電極と、少なくとも1つの電源とを有する。
【0021】
これにより、単に電極に付与される電圧を電源によって調節することにより、特に単純かつ簡便な態様で配光が調節され得る、単純な構造を有する照明装置が提供される。
【0022】
好ましくは、コントローラは、基板の第1表面上に配置される第1電極と、第1表面と反対側の、基板の第2表面上に配置される第2電極とを有する。
【0023】
これにより、単に電極に付与される電圧を調節することにより、特に単純かつ簡便な態様で配光が調節され得る、単純な構造を有する照明装置が提供される。
【0024】
別の実施形態では、コントローラは、基板の第1表面上の両端に配置される第1電極及び第3電極と、第1表面と反対側の、基板の第2表面上の両端に配置される第2電極及び第4電極とを有する。
【0025】
この実施形態では、電極対の各々に付与される電圧は、必ずしも同一である必要はなく、かえって異なっていてもよく、したがって照明装置の配光を調節するための更なるパラメータを提供し、当該照明装置では、非線形の形状の変化が得られる。
【0026】
実施形態において、第1電極、第2電極、第3電極、及び/又は第4電極は、分割電極である。
【0027】
これにより、基板の形状が、複数の空間次元で同時に変化され得る照明装置が提供される。例えば、分割電極対の各々が、基板の中心からいずれかの縁へ向かう方向で増加する異なる電圧を付与される場合、U字状又は均等な椀状の形状を有する、曲がった形状が得られ得る。
【0028】
実施形態において、外部刺激は、熱及びUV放射のうちの1以上であり、これにより照明装置の基板を固定する単純な態様が提供される。更に、こうした外部刺激を提供する供給源は、原則として、使用後に別の照明装置上で再利用されるために照明装置から取り外されてよく、したがって費用を低減させる。
【0029】
実施形態において、外部刺激は、光源によって提供される。これは、通常の動作条件下で光源が放射する所定の強度を超える強度を有する放射を一時的に放射させられることにより、光源に熱を放出させることによって、及び/若しくは、光源の放射する強度が高められた光源により放射される光によって、又は、基板材料を十分長い時間にわたって照明することによって、得られ得る。
【0030】
これにより、外部刺激の別個の供給源が省かれ得るので、照明装置の基板が特に単純な態様で所望の位置又は状態に固定され得る、特に単純な構造を有する照明装置が提供される。
【0031】
本発明は、請求項に記載された特徴の可能な組み合わせの全てに関することが留意される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明のこの態様及び他の態様は、本発明の実施形態を示す添付図面を参照しながら、より詳細に説明される。
【0033】
【
図1】コントローラと、センサと、外部刺激を提供し、所望の配光でターゲットエリアを照明するための手段とを有する、実施形態における本発明による照明装置の概略図を示す。
【
図2a】光学部品が1対の円形電極の形式のコントローラを備えるときの、変化されていない基板の形状を有する、第2状態における
図1による照明装置の光学部品の上面図を示す。
【
図2b】光学部品が1対の円形電極の形式のコントローラを備えるときの、変化された基板の形状を有する、第2状態における
図1による照明装置の光学部品の上面図を示す。
【
図3a】光学部品が2対の電極と電源との形式のコントローラを備えるときの、変化されていない基板の形状を有する、第2状態における
図1による照明装置の別の光学部品の側面図を示す。
【
図3b】光学部品が2対の電極と電源との形式のコントローラを備えるときの、変化された基板の形状を有する、第1状態における
図1による照明装置の別の光学部品の側面図を示す。
【
図4】a)変化されていない基板の形状を有する、第2状態における
図1による照明装置の光学部品の概略図を示し、b)変化されていない基板の形状を有する、第1状態における
図1による照明装置の光学部品の概略図を示し、c)変化された基板の形状を有する、第1状態における
図1による照明装置の光学部品の概略図を示し、d)変化された基板の形状を有する、第2状態における
図1による照明装置の光学部品の概略図を示し、形状変化は基板の平面的な伸縮であり、a)乃至d)には、それぞれの転移条件が示されている。
【
図5】a)変化されていない基板の形状を有する、第1状態における
図1による照明装置の別の光学部品の概略図を示し、b)変化された基板の形状を有する、第1状態における
図1による照明装置の別の光学部品の概略図を示し、c)変化された基板の形状を有する、第1状態と第2状態との間の転移における
図1による照明装置の別の光学部品の概略図を示し、d)変化された基板の形状を有する、第2状態における
図1による照明装置の別の光学部品の概略図を示し、形状変化は基板に両凸面を与えるものであり、a)乃至d)にはそれぞれの転移条件が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、本発明による照明装置100の実施形態を示す。
【0035】
本発明による照明装置100は、通常、光源110と光学部品120とを有する。光学部品120は、基板122と、光源110から離れて面するように基板122の表面上に配置される光学素子121とを有する。基板122と光学素子121とは別個の要素であってよく、又は代替的に、基板と光学素子とは全く同一の要素であってもよい。
【0036】
光源110は、例えば1以上のLED又は電球、あるいは光源のアレイさえといった、任意の実施可能なタイプの光源であってよい。光源110は、光学部品120のいずれの側に配置されてもよい。しかしながら好ましくは、光源110は、光源110から放射された光が、最初に光学部品120の基板122を通じて伝搬し、次いで、ターゲットエリア400の所定の表面エリア300を照明するために、光学部品120の光学素子121を通じて伝搬する及び/又は光学部品120の光学素子121によって反射されるように、配置される。光源110は、光学部品120上に、又はそして好ましくは、光学部品120から距離を置いて配置されてよい。
【0037】
光学素子121は原則として、任意のタイプの光学素子であってよい。例えば、光学素子121は、反射器、レンズ、鏡、回折格子、プリズム、拡散器、又はこれらの組合せであってよい。光学素子121は、剛性素子であってよく、又は基板122に沿って光学素子121が形状を変化させることを可能にする、柔軟性素子であってもよい。基板122は、作動力を受けたときに、例えば基板122に電圧が付与されたときに、形状を制御可能に変化させる材料を有し、基板122は、外部刺激によって、第1静的弾性率を有する第1状態から、第2静的弾性率を有する第2状態へと切り替えられることができ、少なくとも第2状態において、寸法的に安定した態様で固定され得る。原則として、作動力が付与されないときは、材料は第1状態においてもまた、寸法的に安定し得る。
【0038】
これらの特性を満たす材料は、例えば双安定電気活性ポリマ(EAP)、双安定誘電性電気活性ポリマ、双安定電気活性エラストマ、及び双安定誘電性電気活性エラストマ(DEA)である。また、材料は、好ましくはポリマ若しくはエラストマである熱硬化性材料、又は、好ましくはポリマ若しくはエラストマであるUV硬化材料であってもよい。
【0039】
図1に示されるように、照明装置は、コントローラ130と、外部刺激を提供するための手段140と、センサ200とを更に有する。
【0040】
外部刺激を提供するための手段140は、第2状態において基板122を固定することができる外部刺激の任意の供給源であってよい。好ましくは、手段140は、加熱素子又はUV放射源等の、熱若しくはUV放射又はこれらの組合せを提供するための手段である。別の可能性は、抵抗加熱によって外部刺激を提供するために、電気抵抗の形式で手段140を用いることであり、電気抵抗は取り外されることができ、他の照明装置のために再利用され得る。外部刺激を提供するための手段140は、光学部品120の基板122に外部刺激を提供するように配置される。
【0041】
代替においては、外部刺激は、通常の動作条件下で光源110が放射する所定の強度を超える強度を有する放射を一時的に放射させられる、光源110によって提供される。
【0042】
コントローラ130の実施形態は、
図2乃至
図5を参照して、以下に更に詳細に説明されるが、コントローラ130は通常、光学部品120の基板122に形状を変化させるための、任意のタイプのコントローラであってよい。
【0043】
コントローラ130は、好ましくは、以下に詳細に説明されるような電極に基づく、電気的に作動されるコントローラである。代替的に、コントローラ130は、例えば、ばね、磁石、又は基板122に作動力を付与することによって基板122の形状を変化させるのに適切な任意の他の手段に基づく、機械的に作動されるコントローラであってよい。基板122の形状は、手によって変化されることさえ実施可能であり、すなわち、コントローラは、手動で基板122の形状を変化させ、基板122が外部刺激にさらされている間、所望の形状を保持するために使用される、ユーザの指又は手であってもよい。
【0044】
センサ200は、任意のタイプの実施可能な光検出器であってよいが、好ましくは、照明装置を据え付ける、カメラ又はユーザの裸眼である。センサ200は、所定の配光300で照明されるべきターゲットエリア400に、又はターゲットエリア400の近くに配置される。
【0045】
コントローラ130は、センサ200によって得られ、コントローラ130に提出された信号に基づいて、基板122の、ひいては光学部品120の形状及び/又は状態を制御する。センサ200によって得られた信号は、任意の適切な手段によってコントローラ130に提出される。コントローラ130が電気的に作動されるコントローラであり、センサ200が、信号を伝送するための手段を有するカメラ等の電子センサである場合、信号の提出は、好ましくは有線接続又は無線接続を介して自動的に実行される。他方で、センサ200が例えば裸眼である場合、当該提出は、コントローラ130に接続して提供される、キーボード又は調節つまみ等の適切なインターフェースを通じて入力されるデータによって実行され得る。
【0046】
センサ200、コントローラ130、及び外部刺激を提供するための手段140は、照明装置100上に提供される固定要素であってよい。この場合、センサ200、コントローラ130、及び外部刺激を提供するための手段140は、要求の変更及び/又は照明装置の位置の変更の場合に、照明装置100の配光の再調節のために使用されることが実施可能である。
【0047】
代替的に、任意の1以上のセンサ200、コントローラ130、及び外部刺激を提供するための手段140は、照明装置100から取り外し可能なように提供されてよい。この場合、これらの構成要素は、他の照明装置100の調節のために再利用され得る。この実施形態は、特に単純で費用効率のよい照明装置を提供し、こうした照明装置を有する多数の照明器具を導入し、調節することが必要な場合の使用のために、特に有利である。
【0048】
本発明により、ターゲットエリア400での所望の配光300は、次の態様で得られる。最初に、本発明による照明装置100は、所望の場所に提供され据え付けられる。所望のターゲットエリア400は、光源110を用いて照明され、ターゲットエリア400での配光は、好ましくはセンサ200によって測定される。所望の配光300の値と測定された配光の値とは、比較される。光学部品120の基板材料は第1状態にあり、照明装置100の光学部品120の形状は、所望の配光300と測定された配光とのずれを所定の限度を下回るように低減させるために、好ましくはコントローラ130を作動させることによって、比較に基づいて調節される。最後に、光学部品120は、調節された光学部品120の形状と一致する位置において、外部刺激によって固定され、光学部品120の基板材料を第2状態へと切り替える。
【0049】
次に
図2a、
図2b、
図3a、及び
図3bを見ると、コントローラ130を有する、本発明による照明装置100の光学部品120が示される。コントローラ130は、光学部品120の基板122を、x、y(
図2b参照)の少なくとも1方向に、光学素子121と隣接する基板122の第1表面11と略平行に伸縮させる。
【0050】
図2a及び
図2bに示される実施形態では、コントローラ130は、1対の円形電極50及び電源(図示されていない)と、双安定電気活性エラストマ又は双安定電気活性ポリマを有する基板122とを有する。第1円形電極51は、同様に円形状である光学部品120の基板122の外周に沿って、基板122の第1表面11上に、光学素子121を取り囲んで配置される。第2円形電極(図示されていない)は、光学部品120の基板122の反対側の第2表面12上に同様に配置される。円形電極対に電圧が付与されるとき(
図2b)、電極間に配置されている基板122の部分は伸縮され、その結果として、円形電極の内部の光学部品の部分が中心に向かって押し動かされる。これにより、光学素子121、ひいては光学部品120は、より小さな直径を有する円形構造へと形状を変化させる。
図2a及び
図2bに示される実施形態では、光学素子121は、第1表面11の平面の範囲内にある全方向に、同時に伸縮され得る。
【0051】
電極対は原則として、光学部品の基板の外周に従って一致する、例えば長方形又は三角形といった任意の形状を有してよいことが留意される。また、光学部品の基板の外周のほぼ全体に沿って伸びる、すなわち、1以上の区分が欠けている電極も実施可能である。
【0052】
図3a及び
図3bに示される実施形態では、基板122は双安定電気活性エラストマ又は双安定電気活性ポリマを有し、コントローラ130は、電圧源131と、基板122の第1の端13でそれぞれ第1表面11上及び第2表面12上に配置され、したがって第1電極対51、52を形成する、第1電極51及び第2電極52とを有する。コントローラ130は、基板122の第2の端14でそれぞれ第1表面11上及び第2表面12上に配置され、したがって第2電極対53、54を形成する、第3電極53及び第4電極54を更に有する。それぞれの電極対51、52及び53、54に電圧を付与するとき、それぞれの電極対の間に挟まれて配置されている基板の部分は伸縮され、その結果として、電極対と電極対との間に中央に配置された光学素子121を含む光学部品120の部分が、主に電極対と電極対との間に伸びる方向に、光学部品120の中央に向かって押し動かされる。
【0053】
好ましくは、電極は、アクチュエータの動きを制限しない程度に柔軟で、かつ、作動の間に破損又は故障しない程度に変形可能である材料で作られた、伸縮可能な電極である。こうした電極は例えば、拡散器の第1層上に被覆又は印刷された薄膜電極であってよい。
【0054】
したがって、
図2a、
図2b、
図3a、及び
図3bに示されるコントローラ130は、本質的に、光学部品120と一体化した、いわゆる双安定誘電性電気活性ポリマ(双安定DEA)アクチュエータの様々な実施形態である。
【0055】
DEAアクチュエータは、例えばApplied Physics Letters 95, 192904, 2009中のZ. Yu等の論文からそれ自体知られているタイプのアクチュエータであり、一般的に言うと、従来的には柔らかいエラストマを間に有する2つの伸縮可能な電極のサンドイッチ構造からなる、薄膜アクチュエータである。伸縮可能な電極は、アクチュエータの動きを制限しない程度に柔軟で、かつ、作動の間に破損又は故障しない程度に変形可能である。ポリマアクチュエータの基本的な機能性は、駆動電圧の影響下での制御可能な伸縮動作である。電圧を付与するとき、DEAアクチュエータの伸縮可能な電極表面は大きくなる一方で、弾性ポリマの非圧縮性のために、柔らかいエラストマの厚みは小さくなる。アクチュエーションは、以下のような機械的圧力と作用によって平衡化される静電圧に基づく。電圧、ひいては追加の電荷が、電極に付与されるとき、電極は互いに引き付け合い、電極間の距離は、追加の電荷の大きさに依存する量だけ減少する。圧縮された柔らかいエラストマの機械的圧力によって静電圧が平衡化されるときに、平衡状態が達せられる。
【0056】
双安定電気活性ポリマは、2つの状態(作動及び非作動)の間で切り替えられることができ、通常は作動状態のために用いられる電界を保持する必要なしに、これらの状態にとどまることができるポリマである。これら双安定DEAの本質は、作動の間、材料の第1状態から第2状態への転移がなされることである。この転移は、例えば熱によって誘発され得る。代替的に、誘発は適切な波長及び強度の光であってもよい。
【0057】
更なる可能性として、電極は、分割電極、すなわち2以上の互いに分離した区分を有する電極であってよい。また、電極は原則として、任意の実施可能な形状を有してよい。
【0058】
当然ながら、原則として、任意の数の電極又は1対及び3以上の対を含む任意の数の電極対が提供されてよい。また、全ての電極対は必ずしも同じ電圧を付与されなくてもよい。
【0059】
次に
図4a乃至
図4d並びに
図5a乃至
図5dを見ると、電極51、52及び53、54と、電源131とを有するコントローラ130を有する、
図1による照明装置100の光学部品120が、2つの異なる実施形態において示され、照明装置100の配光を調節する処理における4つの段階を例示する。
図4a乃至
図4d並びに
図5a乃至
図5dの各々において、処理における4つの段階が示される。
【0060】
図4a乃至
図4dでは、当該段階は、
4a) 変化されていない基板の形状を有する、第2状態
4b) 変化されていない基板の形状を有する、第1状態
4c) 変化された基板の形状を有する、第1状態
4d) 変化された基板の形状を有する、第2状態
である。
【0061】
図5a乃至
図5dでは、当該段階は、
5a) 変化されていない基板の形状を有する、第1状態
5b) 変化された基板の形状を有する、第1状態
5c) 変化された基板の形状を有する、第1状態から第2状態への転移局面
5d) 変化された基板の形状を有する、第2状態
である。
【0062】
示される実施形態は、光学部品120の基板122に与えられる形状変化のタイプと、光学部品120の基板122を固定するのに用いられる外部刺激のタイプとに関して異なる。更に、
図4a乃至
図4dに示されるシステムは可逆的である一方で、
図5a乃至
図5dに示されるシステムは不可逆的である。
【0063】
図4a乃至
図4dを参照すると、与えられる形状変化は、基板122の平面的な伸縮であり、用いられる外部刺激は熱であり、したがって基板材料のガラス―ゴム転移を有利に用いる。単純化のために、光学部品120の基板122のみが
図4に示されることが留意される。
【0064】
段階4a)から始めると、光学部品120は、高い弾性率及び固い基板122を有する第2状態において示され、基板材料はガラス相にあり、当該基板材料の変化されていない元の形状を有する。
【0065】
段階4b)に達するために、外部刺激が、基板122の温度Tを基板材料のガラス温度T
gを超えて上昇させるために使用される。これにより、基板材料がガラス相からゴム相への転移を経るとともに、光学部品120は、第2状態から、低い弾性率及び柔らかい基板122を有する第1状態へと切り替えられる。
【0066】
更に段階4c)に達するために、基板の温度Tはガラス温度T
gを超えて保たれ、したがって光学部品120は第1状態において保たれている。電極51に電圧Vを付与するために、コントローラ130の電圧源131がオンにされ、反対側の電極52は接地される。電圧Vは、光学部品120の基板122の材料を、電極51、52の平面と平行な全方向に伸縮させ、したがって電極51、52の間に配置された基板122の部分の面積を増加させる一方で、同時に基板122を薄くなるようにさせることによって、光学部品の形状を変化させる。
【0067】
最後に、段階4d)に達するために、基板の温度Tはガラス温度T
gを下回って低くされ、基板材料はゴム相からガラス相への転移を経て、したがって光学部品120を第2状態へと切り替える。同時に、電圧源131はオンのままとされる。これにより、基板122、ひいては光学部品120は、第2状態において、寸法的に安定している態様で固定され、変化された形状が維持されている。温度がガラス温度T
gを十分下回るとき、電圧源131はオフにされる。
【0068】
図4a乃至
図4dにおける処理は、可逆的な処理及び不可逆的な処理の両方として用いられ得ることが留意される。エラストマを、ガラス温度を上回って再び加熱することによって、エラストマは、電界が存在しない状態で元の形状へと弛緩し、処理が可逆的に行われ得る。
【0069】
次に
図5a乃至
図5dを参照すると、基板122と光学素子121とは、1つの一体の素子である。この場合、光学部品120に与えられる形状変化は、平面的な光学部品120から、2つの膨らみ又は2つの略凸面を有する光学部品120への変化である。用いられる外部刺激は、紫外線(UV)放射である。
【0070】
段階5a)から始めると、光学部品120は、低い弾性率及び柔らかい基板材料を有する第1状態において示され、基板材料は硬化されていない局面にあり、当該基板材料の変化されていない元の形状を有する。したがって、基板材料は第1状態において寸法的に安定している。
【0071】
段階5b)に達するために、基板材料は柔らかいままで保たれ、したがって光学部品120は第1状態において保たれている。電極対51、52及び53、54の各々に電圧Vを付与するために、コントローラ130の電圧源131がオンにされる。電圧Vは、電極53と電極54との間及び電極51と電極52との間に配置された光学部品120の基板122の材料を、電極の平面と平行な全方向に伸縮させ、したがってそれぞれの電極51、52及び53、54の間に配置された基板122の部分をともに押し動かすことによって、光学部品120の形状を変化させ、これにより光学部品120を膨れ出させ、又は光学部品120に凸面を獲得させる。
【0072】
段階5c)では、UV放射源140である外部刺激が、基板材料をUV放射に暴露させ、これにより基板材料を硬化させるために、オンにされる。これにより、光学部品120は、第1状態から、高い弾性率及び固い基板材料を有する第2状態へと切り替えられる。同時に、電圧源131はオンのままとされる。これにより、基板材料、ひいては光学部品120は、第2状態において固定され、変化された形状が維持されている。
【0073】
最後に、段階5d)に達するために、UV放射源140とコントローラ130の電圧源131とは、オフにされる。これにより、基板材料、ひいては光学部品120は、第2状態において固定され、変化された形状が維持されている。
【0074】
図5a乃至
図5dで例示された処理は、通常、不可逆的な処理である。
【0075】
当業者は、本発明が、上述の好ましい実施例に決して限定されないことを理解する。むしろ、添付の請求項の範囲内で多くの改良及びバリエーションが可能である。例えば、本発明の可能なアプリケーションは、照明装置に限定されないことが留意される。例えば、光学素子が回折格子である場合の実施形態において、興味深いアプリケーションは、分光システム内での使用のための光学装置である。